BLEACHの世界に最強になって転生 番外編   作:アニメ大好き

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どうも皆様アニメ大好きです。

漸く最後の死刃の話が完成しました。メンバー全員を出せた、ここまで来るのに長い道のりでした。書いている途中で「こっちの方がいいかも」と思い何度も展開を書き換えたりして大変でした。でもその分書き上げた時には大きな達成感がありました。

今回の登場作品はまたマニヤックな作品かと思います。6年前にアニメ化したけど、第二期どころか放送終了してから1年後には最新の情報もないので新作がないと思われるのが残念です。
しかし資料集めのため、もう一度その作品を観たらまた興味を持ちました。よくありますよね、昔見た作品をもう一度見るとかなりハマってしまうと言うケース。それもあって遅れてしまいました、申し訳ありません。

長話(?)はこのまでにして、本編へどうぞ。


20話 世界最強のデビル

とある世界の小さな島

 

 そこで今複数の巨大な影があった。

 

 全身黒く鋭い刃を模した両腕、その両腕の先と目と顔、胸の部分にある複数の黄色い発光体、まるでとあるヒーローに登場した最強と名高い存在に似た10m近くある巨大な怪物が複数いたと思われる。何故過去形なのかと言うと、殆どは頭部と思われるところが破壊され動かなくなっていたからだ。

 そして残っていた2体も最早虫の息に近い状態。そしてその巨大生物を見下ろす、彼等よりも小さな影が複数あった。

 

『つまらん。頑丈さ以外は大したことがない奴等だ』

 

「所詮は見た目通りただデカいだけの生物でだったか」

 

「このままトドメを刺してやる「待て」ッ!〇〇様!!」

 

 彼等の後ろに別の怪物が現れると、彼等は慌てて頭を下げ跪く。怪物は彼等の間を通りまだ辛うじて生きている2体の巨大生物に手を翳すと掌から電撃が放たれる。電撃を食らった巨大生物達は気絶したのか項垂れ動かなくなる。暫くして顔を上げた怪物達は、怪人の前まで移動すると自身達を苦しめた怪物達同様頭を下げ跪いた。

 

「今この時をもって貴様等は儂の僕となった。よって儂の世界支配に手を貸すのだ。お前達もだ。この世界の連中にお前達の力を知らしめろ!そしてこの世界を、力尽くで征服するのだァ!!」

 

 

『オォォーーーー!!』

 

 

 怪物の声に応えるようにその場にいた全員が雄叫びを上げ、夜空にへと響くのであった。

 

 

 

────────────────────────────

 

 

 海に浮かぶ人工的に作られた島とも言える船【海上学園都市リトルガーデン】。そこは人類を襲う存在【サベージ】に対抗するための拠点にして【武芸者(スレイヤー)】育成施設である。

 

 

 【サベージ】───それはある日突然、隕石と共に飛来した謎の地球外生命体。彼等は何のために地球に飛来したのか、そして目的は何なのかが分からない、未だに謎多き存在である。

 

 

 そして人類は【サベージ】に対抗するため、隕石の欠片から発見された『ヴァリアブルストーン』と呼ばれる赤い鉱石を原料に武装兵器【ハンドレッド】を生み出し、その【ハンドレッド】を用い【サベージ】と戦う存在を【武芸者(スレイヤー)】と呼ぶ。

 【ハンドレッド】は触れることによって様々な形に変化する。故に人によって武器の形状が違う。しかし特定の人間しか反応しない上、その殆どが学生を始めとした子供達。故に【学生都市リトルガーデン】を創設したのだ。

 

 そして今年この学生に入学した生徒の中でも、かなりの注目を浴びている生徒が約2名いた。

 

 

「ふぅ〜、もう少しエナジーを上手く使いこなせるようにならないとな」

 

 この男性は【如月ハヤト】。入試の時ハンドレッドの反応数値が歴代トップと言う成績で入学。さらに入学して半年もしない内に、サベージを2回も撃退すると言う功績を残した期待の武芸者(スレイヤー)。そして彼は自主トレーニングを終え訓練所から出てきたところであった。

 

 

「お疲れ様、ハヤト。でも前よりも使い方が良くなっていたよ。だから自信持って」

 

「ありがとうエミリア。そう言ってもらえるだけでも嬉しいよ」

 

 今ハルトと共に訓練所から出て会話をしているのが【エミリア・ハーミット】と言う女性。しかもとある国の第三王女である。入学当時はとある理由で男装し【エミール・クロフォード】と名乗っていた。そしてハルトに引けを取らない程の実力者である。

 

 

「ハ〜ヤ〜ト♪」

 

「うわっ!サ、サクラ!?」

 

 今背中からハヤトに抱きついたピンク髪のツインテール少女は【霧島サクラ】。圧倒的な人気を誇る世界的歌姫。とある島でハルトがサベージを倒したことで彼を自身のボディカードに指名。その最中、幼い頃に出会った少年であることを知り好意を抱きリトルガーデンに入学、それ以降アプローチをしている。

 

「ちょっと!あんまりハヤトにくっ付かないでよ!」

 

「良いじゃないこれくらい♪」

 

「良くない!」

 

「おい、2人共落ち着いて…」

 

 そんな3人のやり取りの中、さらに別の3人の女性が近づいてくる。

 

「貴方達!一体何をしているんですか!」

 

 2人に注意を掛けたロールツインテールの金髪の女性は【クレア・ハーヴェイ】。リトルガーデンの館長にして、学生達を束ねる生徒会長。今まで多くのサベージとの抗戦で高い実績を残しており、その強さから『絶対無敗の女王』と言う名の異名を持つ学園最強の女王(クイーン)。そしてリトルガーデンを設立したワルスラーン社のお嬢様でもある。

 

 

「如月ハヤト、女性2人に抱きついてハ、ハシタナイとは思いませんの!」

 

「いや、抱きついているのは俺じゃなくて、エミリアとサクラの方なんですけど…」

 

「もう〜。いっつも良いところで来るんだから。もしかして会長、僕とハヤトがイチャついてのが悔しいの〜?」

 

「なッ!ななな、何を言っているんですの!!」

 

「無礼だぞ、エミリア・ハーミット!」

 

 こちらの緑髪で褐色肌の女性は【リディ・スタインバーグ】。クレアと同じ生徒会所属で副会長の1人。貧しい家庭に生まれ、生活の為に軍に入隊することを目標にしていた。そんな時クレアと出会いその実力を買われ、彼女の右腕的存在となる。その為クレアのことを大いに尊敬している。

 

「そうです。クレア様に限ってそのようなことある筈がありません」

 

 そしてもう1人の眼鏡を掛けた女性は【エリカ・キャンドル】。彼女もまた生徒会所属にして副会長の1人。嘗てサベージに襲われていた所を、クレアに助けられたことをキッカケに彼女に憧れ崇拝している。

 

 

 この生徒会3人、そしてハヤトとエミリアを含めた5人は、生徒会直属の選抜部隊────【セレクションズ】のメンバーである。

 

 

「兎に角、2人とも今すぐ如月ハヤトから離れなさい!」

 

「いいじゃない別に。減るもんじゃないんだから」

 

「そうだよ。もしかして会長、自分がこう言うこと出来ないからって僻んでるの?」

 

「な、何をバカなことを言って!」

 

「ちょ、2人共落ち着けって。会長も落ち着いてください」

 

 

 最早お約束と言ってもいい展開になっていたその時…

 

 

 

 

 

 

 

バリン

 

 

 

 

ドカーーン

 

 

 

『!?』

 

 

 

…リトルガーデンのバリアを突き破り何かが上空から飛来、その衝撃で轟音と共に艦船が大きく揺れる。

 

「な、何だ!?」

 

「何が起きたの?」

 

「今の揺れは一体…」

 

 

 

 

ヴー、ヴー

 

 

 

『緊急事態が発生しました!付近の皆様は速やかに避難してください!』

 

 

 突然の事態に戸惑っていると、いきなり警報が鳴り響き、更にはアナウンスが発令する始末。すると彼等の共に一本の通信が入る。

 

『皆!』

 

「博士、一体何があったのですか?」

 

『それについてだが、一旦こっちに来てくれ。詳しくはそこで話す』

 

「…分かりましたわ。リディ、エリカ行きますわよ。如月ハヤトとエミリア・ハーミットもいいですわね」

 

『はい、クレア様』

 

「了解です、会長」

 

「分かった」

 

 クレアの指示で5人はその場を後にしようとする。その時ハルトが残ったサクラのことに気付き、振り返ると彼女の元へ戻る。

 

「サクラ、お前は安全なところへ避難するんだ」

 

「だったら〜、私もハヤトと一緒に行こうかな」

 

「エッ!?だけどサクラはセレクションズじゃあ…」

 

「じゃあ、ハヤトはこの騒ぎの中1人で行けって言うの?」

 

「そ、そう言う訳じゃ…」

 

「それに、少なくてもハヤトと一緒の方が安全だと思うけど♪」

 

 確かに現状況では、下手に動けば騒ぎに巻き込まれる危険性も。今はハヤト()と一緒にいた方が最も安全だと言える。

 

「…分かった。絶対離れるなよ」

 

「うん♪」

 

 ハヤトはサクラを連れながら皆の元へ向かうのであった。

 

 

 

───────────────────────────

 

 

 呼ばれた彼女達がとある部屋の前に辿り着くと扉が開き中に入る。そこには大勢の人がコンピュータを操作しており、その中心にあるデカいモニターが市街地を映し出されていた。

 

「シャーロット博士、一体何があったのですか!」

 

「サベージの襲撃か!?」

 

「いや、違うが。しかしそれに似たモノであると言っていいだろう」

 

「どう言うこと?」

 

「これを見てください」

 

 1人のオペレーターがキーボードを操作してモニターに映し出されたのは、上半身裸で筋肉質、全身青黒い肌、鋭く釣り上がった黄色い瞳、鋭く尖った4本の牙、右肩に羊左肩に牛の顔を模したプロテクターらしきモノを付け、尾骶骨付近から伸びた太い尻尾を生やしたサベージとは全く違う怪物が都市を破壊しまくっている映像であった。

 

「何、コイツ!?」

 

「あれもサベージなの?」

 

「分かりません。でもエネルギー反応もこれまでのサベージとは全く異なっています。もしかしたら新種のサベージ、若しくは暴走した【ヴァリアント】かもしれまん」

 

 【ヴァリアント】とは何らかの理由、若しくは戦闘中に受けた傷口からサベージの体液が体内に入ってしまった武芸者(スレイヤー)のことである。その者達は従来の武芸者よりも強力な力を発揮することが出来るできる。しかし取り合えた体液が活性化してしまうと性格が好戦的になり、自制が利かなくなってしまうのだ。

 

 

 因みにハヤトとエミリア、そしてこの間学園を襲撃した者逹もその【ヴァリアント】である。

 

「うわ〜、何この部屋!秘密基地って感じでスッゴイ!」

 

「サクラ!?何で君がここに!?」

 

「何でって、ハヤトに連れて来てもらったのよ♪」

 

「如月ハヤト、何故セレクションズでない一般生徒の彼女をここに連れて来たのですか!」

 

「し、しかし会長。あのままサクラを1人にする訳にもいかなかったですし、それに此処なら他と比べれば安全ですし」

 

 その考えに一理あったので何も言えなくなってしまう。エミリアはハヤトの腕に抱き付き笑顔を浮かべるサクラに、悔しいっと言わんばかりに顔を赤くし頬を膨らませる。クレアも面白くないようで少し険しい顔になっていた。

 

「まぁまぁ君達、今はこっちをどうにかするのが優先だろ」

 

 シャーロット博士の指摘で冷静さを取り戻し気持ちを元に戻す。

 

「確かに今はリトルガーデンを死守することが最優先です。例え敵がサベージであろうとなかろうと、これ以上の破壊行為を見過ごす訳にはいきません。セレクションズ出動です!!」

 

『了解!!』

 

 クレアの言葉でセレクションズ5名は部屋を出るのであった。

 

 

───────────────────────────

 

 

 リトルガーデン都市部

 

 

 普段なら人々の活気に溢れているのだが今は違う。建物が破壊され、至る所に残骸が散らばり、街は炎に包まれて人々は逃げ惑っていた。すると1箇所で爆発が起きる。

 

「何なんだコイツ…」

 

「私達の攻撃が全然効かないなんて」

 

 そこでは【フリッツ・グランツ】と言う男性と【レイティア・サンテミリオン】と言う女性、2人の武芸者が1人の怪人に圧倒されていた。何かが落下した時その近くにいた2人は、現場に向かうと舞い上がる煙の中から大柄の怪人の姿があった。そして怪人はイキナリ都市を破壊し始めた。

 2人はハンドレッドを展開し止めようとしたが全く歯が立たず逆に返り討ちに合い現在の状況に至る。

 

「貴様等の力はそんなものか?つまらん。このままトドメを刺してくれる!」

 

「待て!」

 

 そこにヴァリアントスーツを纏い、ハンドレッドを装着したハヤト達が到着する。

 

「ハヤト!それに会長達も!」

 

「2人とも無事か!」

 

「よくここまで持ち堪えてくれました。後は私達に任せない」

 

「エッ!?しかし…」

 

「私達も【セレクションズ】の一員なんです。一緒に戦わせてください」

 

「…気持ちは分かりますが、貴方達は今の戦闘でエナジーが切れかけているでしょ」

 

「今お前達がいても足手まといになるだけだ」

 

「そうです。貴方達も早く避難しなさい」

 

 悔しいが生徒会メンバーの言う通り。怪人との戦闘でかなりのダメージを食らった2人はエナジーが限界に近い。それに彼等は【セレクションズ】に入って他のメンバーと比べると日が浅く経験が少ない。今の自分達は間違いなく彼等の足を引っ張るだけのお荷物になるだけだろう。

 

「…分かりました、後を頼みます。レティ、行くぞ」

 

「フリッツ、でも…」

 

「副会長の言う通り、今俺達が居ても邪魔になるだけだ。それともお前は会長達の足を引っ張りたいのか?」

 

「…分かった」

 

 フリッツの説得でレイティアも渋々ながら納得しこの場を離れた。

 

「何だ貴様等は?」

 

「私はこの学園の生徒会長【クレア・ハーヴェイ】です。そう言う貴方は何者ですか!」

 

「ワシか?ワシは【デモゴルゴン】。世界最強の【デビル】じゃ!!」

 

 【デモゴルゴン】と名乗った怪人は、いきなり口から火を吐き攻撃してきた。ハヤトが皆の前に出てエナジーを集中させNバリアを展開し防ぐ。

 

「…それで防いだつもりか?食らえ【アギラオ】!

 

 同じように口から炎を吐き出す。だが先程よりも威力が強くバリアは次第に押され始めてくる。

 

「皆んな、俺が防いでいる間に」

 

「分かりましたわ。リディ、エリカ、行きますわよ!」

 

『はい、クレア様!』

 

 彼が防いでくれている間に、副会長2人が左右に別れ、エリカがエナジーで鎖を形成させ縛り上げ動きを封じる。その隙にリディが槍を突き出し攻撃を仕掛ける。

 しかしデモゴルゴンは鼻で笑うと、何と力付くで鎖を引きちぎってしまい、迫り来る槍を片手で受け止めてしまった。振り払おうと力を入れるリディだがビクともしない。

 

「くだらん」

 

 逆にデモゴルゴンが腕に力を入れたら、掴んでいた刀身が「バキンッ」と折れてしまった。そして空いていたもう片方の腕で殴り掛かる。咄嗟に盾で防ぐがあまりの威力に耐え切れず吹き飛ばされてしまい、身体は地面に打ち付けられる。

 

「リディ!大丈夫!?」

 

「あぁ、問題ない」

 

「この程度か、貴様等の力は?飛んだ期待外れだな」

 

「それはどうでしょうか?」

 

 クレアの声に反応した時には、自身の周りを6つの砲台が取り囲んでいた。そして一斉に砲撃が放たれ爆発を起こす。『絶対無敗の女王』と言う名の異名を持つ彼女の攻撃を、この距離で食らっては流石にタダじゃ済まない筈。誰もがそう思った。

 しかし爆煙が晴れると、そこには炎に包まれている無傷のデモゴルゴンの姿があった。

 

「今のは良かった。後少しバリアを貼るのが遅ければ手傷くらいは負っていただろう」

 

「そんな!?気高き戦姫(アリステリオン)の砲撃を防ぎきったと言うの!?」

 

「バカな!?クレア様の攻撃をあの距離で食らって無傷だなんて!?」

 

「あり得ません!?」

 

 自慢の攻撃が防がれたに驚くクレア。2人の副会長も崇拝する彼女の攻撃が全く通じていないことにショックを受ける。

 

「次はワシの番だ、【ガイアバスター】!!

 

 拳を勢いよく地面に打ち込むと、無数の岩の破片が浮かび上がる。そしてその破片が一斉に降り注ぎ襲い掛かる。

 

 クレアは6つの砲台を使って次々と破片を撃ち落としていく。しかし全てを相殺することは出来ず、一つの大きな破片が動けないリディにへ迫る。するとエリカが急いで駆け付け前に出て、Nバリアを展開して防ぐ。

 

「どうしたどうした、守るだけで精一杯か?」

 

「君こそ、相手は会長達だけじゃないってこと忘れてない?」

 

 死角に入っていたエミリアが後方から剣を振り下ろそうとした時、彼女の足に尻尾が巻き付き身体を地面に打ち付けた。それを1回、2回、3回と何度も繰り返す。

 

「止めろォーー!」

 

 そこへエミリアを助けようとハヤトが突っ込み剣を振り下ろした。しかしその剣はデモゴルゴンの剛腕に受け止められてしまい、もう片方の手で頭を掴まれる。

 

「そんなモノで、ワシの【鋼皮】に傷を付けられると思ったか?」

 

 そのまま頭から地面に打ち付けられ、エミリアと共にクレア達のいる方へと投げ付けられる。

 

「2人とも大丈夫か?」

 

「…はい」

 

「何とかね…」

 

「貴様等、ワシの力がこんなモノだと思ったら大間違いだ」

 

 デモゴルゴンの右拳に赤いエネルギーが纏わりつく。そして右腕を勢いよく突き出すと、纏ってたエネルギー【虚弾】が高速で放たれる。クレアとエリカはNバリアを展開して攻撃を防ぐ。

 

「防いだか。だが、いつまで耐えられるか?」

 

 今度は両拳に虚弾を纏わせ交互に突き出す。それを連続で何度も何度も突き出し連射する。2人は尚攻撃を耐え続けるが、早い速度で放たれたことで威力も上がっているであろう攻撃を受け続けエナジーを消耗していき、次第にバリアに罅が入り出し亀裂が大きくなっていく。

 そしてデモゴルゴンは両腕を同時に突き出し虚弾が2つ放たれると、遂にバリアは砕け散る。さらに追撃で放たれた2つの虚弾がそれぞれに命中し、3人の元へと吹き飛ばされる。

 

「どうだ、これがワシの力だ!貴様等が幾ら束になったところで、『最強のデビル』にして【死刃】であるワシに勝てるわけがないのだ、ブハハハハ!!」

 

 5人の倒れる姿を見て高笑いをする。するとクレアが立ち上がり皆を守るように前に出る。

 

「まだまだですわ。皆をこれ以上傷付けさせませんわ!」

 

 残っている砲台を向けて威嚇する。しかし彼女の守る姿勢がデモゴルゴンに取っては不快で仕方なかった。

 

「…小娘、何故後ろの奴らを庇う?ソイツ等にそこまでする程の価値があるとでも言うのか?この場所にいる人間共に対してもそうだ。弱い連中を守ったところで、お前に何の得もないだろうに?」

 

「…そんなの関係ありません。彼女達は私の大切な存在です。それを守るのに価値とか得とか関係ありませんわ!それに私はこの学園の生徒会長。生徒達を守る役目があります!【ノブレス・オブリージュ】────力ある者は、力無き者のためにその力を振るう、それこそ私の理念なのですから!!」

 

 良いところのお嬢様ではあるが、決してそこに驕ることなく強い責任感を持ち『力ある者は、力無きも者を守るべし』と言う【ノブレス・オブリージュ】────それがクレア・ハーヴェイ(彼女)が持つ信念である。力ある発言をした彼女の姿を副会長2人は勿論、ハルトとエミリアも素直にカッコいいと思った。しかし…

 

 

「力無き者のために力を振るうだと?笑わせるな小娘が!この世は力が全てだ!強者は弱者を好きなように出来る。力ある者こそ、全てを支配する権利があるのだ!」

 

 

 …“力は己の私利私欲のために使う”と言う考え方のデモゴルゴンには、”他人のために力を使う”と言うクレアの考え方は理解し難いことであった。

 

 

「このまま貴様等を始末することは容易いが、それでは面白くない。…出でよ、我が従属官共!!」

 

 両腕を広げ叫ぶと、後方に複数の黒い渦が出現。そこからなんと2体のサベージが現れたのだ。しかもそれだけではない。

 サベージの他に両腕に鋭い爪を生やした巨大な赤い蜥蜴、背中に小さな羽根を生やした緑色のライオン。他にも頭部、両肩、両下腿部に黒いプロテクターを纏った赤い恐竜、頭部に巨大な角を生やし、背中にも無数のトゲを生やした四つ目のバッファローが現れる。

 

 全員見た目は全然違うが一つ共通していることがある。それは、それぞれ身体の部位に同じ紋様が記されていること。

 

『お呼びでしょうか、デモゴルゴン様』

 

「この街を徹底的に破壊し尽くせ!コイツ等に己の無力さを思い知らせてやるのだ!」

 

『「「「ハッ!」」」』

 

 命令を受けた4人の怪人と2体のサベージは、それぞれ別々の方向へと進み出す。それを阻止しようとクレアは砲台を向けるが、飛んできた虚弾によって破損してしまう。

 

「貴様等の相手はワシだ。どうしてもアイツ等を止めたいなならワシを倒してからにしろ、ブハハハハ!」

 

 高笑いし行手を阻むデモゴルゴン。このままリトルガーデンが破壊されるのを見ているしかないのか。

 思考が絶望に染まろうとしていたその時、1体のサベージの頭が突如爆発を起こす。それにより頭部が破損し弱点であるコアが剥き出しとなる。そこに1つの影が現れ大剣のような武器でコアを突き刺し破壊。コアを失ったサベージはそのまま機能停止し崩れ落ちた。

 

「な、何!?」

 

「何が起きた!?」

 

 突然の出来事に慌てる怪物達。すると倒れたサベージの近くに3つの人影が降りる。それは先日この学園を襲撃したヴァリアント達【クロヴァン・オルフレッド】、【ネサット・オルフレッド】、【ナクリー・オルフレッド】であった。

 

「貴方達、何でここに!?」

 

「なんで?そんなの決まってるじゃん。アンタ達を助けに来たのよ」

 

「如月ハルト、私は貴方に救ってくれた。その恩を返したい」

 

「そう言うこった。それに借りを返せないままくたばられたんじゃ、こっちも気分悪いんでな」

 

 リトルガーデン襲撃時にネサットが暴走してしまった時、それを止め助けたのがハルトであった。大切な家族を救ってくれたハルトは彼等にとっては恩人、その恩人のピンチに黙っている程、薄情者ではない。

 

『チッ、だがたった3匹増えたところで何が出来る』

 

「3人だけじゃないですよ!」

 

 女性の声が聞こえたと思ったら、上空から鎖が付いた鉄球が飛んできて残っていたサベージの頭部を破壊しコアが露わになる。身体がグラ付きバランスが崩れたところに1つの人影が飛び出し、そのまま鉄球でコアを押し潰され呆気なく戦闘不能にされ崩れ落ちる。

 

 そしてその人影は地上に降り立つと、エミリアに視線を向ける。すると突撃する勢いで距離を詰め迫り、エリミアに顔を抑えられる。

 

「エミリア姫様ァァーー、ご無事ですかァァ!!」

 

「クラウディア!?何でここに!?」

 

「貴方様のためならこの【クラウディア・ローエッティ】何処へでも参上いたしますゥ!」

 

 彼女はエミリアの幼馴染であり友人であるが、エミリアのことを過剰なまでに崇拝し友人以上の感情を持っている。

 まるで眼鏡をかけた誰かさんみたい…。

 

「バカな。サベージ(アイツ等)をほぼ一撃で倒すとは…」

 

「それも一体は一匹の人間に倒されただと!?」

 

 生徒会メンバーを始め、多くの修羅場を潜り抜けた武芸者(スレイヤー)なら2、3mくらいの大きさのサベージなら簡単に倒せる。しかし10m近くの大きさ奴なら話は別。幾ら凄腕の武芸者(スレイヤー)でも簡単に対処するのは不可能に近い。しかしその10mクラスを、呆気なく倒されてしまうと言う予想外の事態に怪物達は慌てる。

 

「くだらんことで一々騒ぐな!サベージ共(奴等)は気まぐれで僕にしたようなもんだからな。倒されたところで変わせん。それにたかが人間共が数人増えたところで大したことなどない」

 

 だが主人のデモゴルゴンはただ気まぐれで、自身の部下にしたから倒されても特に気にしていなかった。それに実際、目の前の武芸者(スレイヤー)と手合わせしてサベージでは相手にならないと悟っていたのかもしれない。

 

「だが次から次へと、ワシの邪魔をしたからには生かしてはおけん…お前達あの人間共を始末しろ!」

 

『「「「ハッ!」」」』

 

「…クラウディア、僕に力を貸してくれるよね?」

 

「勿論です!エミリア様のためなら、このクラウディア何でもいたします!!」

 

「それじゃあ向こうの怪物の相手はお願いね」

 

「はい!…エッ?あの〜エミリア様は…」

 

「僕はハヤトと会長達でこっちを相手にしなきゃいけないから、宜しくね♪」

 

「そんな、エリミア様ァァ!私もエミリア様と一緒に「クラウディア、言うこと聞いてくれたら何でも一つお願いを聞いてあげても良いよ」分かりました!行ってきまァァーーす!!」

 

 そう言ってクラウディアは走って行った。

 

 

「エミリア…あんなこと言った良かったのか?」

 

「…クラウディアを説得するのに思い浮かんだのがあれしかなかったんだ。ハァ、でもどうしよう」

 

 非常事態なったとはいえ、あんなことを言ってしまったことに、憂鬱になりながらも戦いを再開するのであった。

 

 

──────────────────────────

 

 

『餓鬼共、お前達の相手は俺達だ。しかしあのサベージ(デカブツ)共を一撃で倒すとはやるな。だがサベージ(デカブツ)共を倒したくらいで調子に乗るなよ』

 

「俺達をサベージ(アイツ等)と同じだと思ったら大間違いだ」

 

 挑発的に発言する怪物達。しかし…

 

「エミリア姫様のお願いなので仕方なく手を貸してや・るです。有り難く思うのです」

 

「何上からモノ言ってるの。調子に乗らないでよ」

 

「お前こそ俺達の足を引っ張るんじゃねェぞ。チビ」

 

「誰がチビですって!?もう一度言ってみやがれです!」

 

…喧嘩していて全く聞いていなかった。

 

『お前等、俺達を無視してんじゃねェ!』

 

 無視されたことで逆上した彼等は炎や光線を放つ。それによって4人は散開し二手に分かれてしまう。

 

 

 

 クロヴァンとガネットの前に立ち塞がったのは巨大な蜥蜴と、羽の生えたライオンであった。

 

『お前達相手はお前等か。我が名は【クロークルワッハ】!デモゴルゴン様直属の従属官の1人だ!』

 

「俺は【マンチィコア】!同じくデモゴルゴン様の従属官だ!」

 

 巨大な蜥蜴は【クロークルワッハ】、羽根の生えたライオンは【マンティコア】と名乗る。

 

「伝説の獣と同じ名前…」

 

「コイツは倒し甲斐がありそうだな。だがそのデカい身体で俺達の動きに付いて来れるか?」

 

『この餓鬼共…その減らず口、今すぐ叩けなくしてやる!【マハラギ】!』

 

 馬鹿にされたことで逆上し、口から高熱の火炎を吐く。3人は回避し、クロヴァンが先陣を切り突撃、振り上げた大剣を勢いよく振り下ろす。クロークルワッハは鋭い爪を盾にして受け止め払い除ける。さらに腕を振るうと爪から三本の斬撃が飛び交う。咄嗟に剣で受け止め払い除けると、斬撃はそのまま地面を抉り傷跡が出来る。

 

「ヘ、中々やるじゃねェか。確かにサベージよりは手応えあるかもな」

 

『調子に乗るな!【ファイヤー・ブレス】!』

 

 再び口から炎を吐き応戦する。2人の激闘の最中、ガネットはクロークルワッハの意識がクロヴァン1人に集中している間に、視界に入らない位置から攻撃を仕掛けようとする。攻撃を仕掛けようとする。しかし彼女の背後から一つの影が現れる。

 

「【マハジオ】!」

 

 マンティコアは口から放たれた電撃がガネッサに命中し、ダメージを受け倒れてしまう。

 

「相手はこっちにもいるってこと忘れてるんじゃねェよ」

 

 自身を睨み付けるガネッサを上空から見下すマンティコア。この2人の戦いはまだまだ始まったばかり。

 

 

 

 一方クラウディアとナクリーと対峙するのは、鎧を着た恐竜と、杖を持った四つ目のバッファローであった。

 

「俺達の相手はこんなちんちくりんの小娘共か。期待外れだな」

 

ナクリー(黒い方)は兎も角、クラウディア(白髪)の方は大したことなさそうだ」

 

「誰が大したことなさそうですか!?そう言う貴方達は何者ですか!」

 

「俺はデモゴルゴン様の従属官、邪悪竜【リンドム】!」

 

「同じく邪悪竜【ナーガ】!デモゴルゴン様の邪魔をする連中は、ここで消えてもらう!」

 

「それはこっちのセリフです。お前達なんかさっさと倒して、エリミア様にご褒美をもらうのです」

 

 先手必勝と言わんばかりに鉄球を投げ飛ばす。しかしリンドムが自身の長い尻尾を振るい弾き飛ばす。その隙にナーガが杖の先端から火炎弾を放つ。

 ナクリーが両手にチャクラムを持ち相殺し、そのまま投げ飛ばす。ナーガは杖で払い飛ばしチャクラムはナクリーの手元に戻る。

 

「何やってんの。いきなり突っ込む奴がいる?」

 

「煩いです、ちょっと油断しただけなのです。それに助けてなんて頼んでないのですよ!」

 

「あぁ〜もういい!私は私だけでやる!」

 

 元々敵であったから互いに反発し合い、ナクリーはチャクラムを持ったままナーガに詰め寄る。対するナーガも杖を振るい互いの武器がぶつかり合い力比べとなる。

 

「あの女、見た目の割にやるじゃねェか」

 

「よそ見してる場合じゃないですよ!」

 

 2人の戦いを見ていたリンドムの元へ鉄球が付いている腕を振りかぶっているクラウディアの姿があった。遠距離では尻尾で無効化されてしまうとふみ、接近戦で勝負と鉄球を打ち込むが、両腕で抱え込まれ受け止められしまう。その間にリンドムは尻尾を伸ばし縛り上げ持ち上げる。

 

「食らえ!」

 

 そして尻尾を通じて電撃を流し込み、クラウディアが苦痛の叫びを上げる。電撃を止めるとそのままクラウディアを投げ飛ばす。しかも不運なことにその進路上にはナクリーがおり、2人はそのままぶつかり共に倒れてしまう。

 

「痛ッ!ちょっと、邪魔しないでよ!」

 

「こっちだってしたくてしてる訳じゃないんですよ!」

 

 息が全然合っていない2人は、不可抗力にも関わらず互いに相手を責め歪み合ってしまう。

 

「煩い奴等だ…これでも食らえ!!」

 

 一々揉める2人の姿が鬱陶しくなっていき、リンドムは胸部のクリスタルから光線を、ナーガは口から炎を吐き出す。2体の攻撃がクラウディアとナクリーの周りで発生した爆発に巻き込まれ、2人は地面に倒れる。

 

「グッハハハハハハ!やはり俺達の敵ではないな!」

 

「お前達人間共は、そうやって地べたに這いつくばっているのがお似合いだ!」

 

 2人のヤられた姿を見て笑う2体の邪悪竜。しかし2人はゆっくりと身体を起こす。

 

「…舐めんじゃないわよ。…私は何度も何度も、地べたに這いつくばるような、思いをしてきたのよ。これくらいでくたばりはしないわ」

 

「こっちだって、エミリア様からのご褒美が待っているのです。お前達なんかにヤられてる場合じゃないんですよ」

 

 互いに負けられない意地(一名不純な動機ではある)がありボロボロの身体を起き上がらせ立ち上がる。その2人の姿を鬱陶しいながらも、楽しみがいがあると思う邪悪竜達であった。

 

 

──────────────────────────

 

 

「あの3人とクラウディア・ローエッティをを相手にあそこまでの戦いをするなんて…」

 

「当然じゃ、死刃のワシが直々に選んだ従属官じゃからな」

 

「さっきも言っていたけど、その【死刃】って何なの?」

 

「…いいだろう、冥土の土産に教えてやる。ワシ等の組織は所属した順に【11】以降の番号が与えられる。その中から選ばれた最強の存在、それが【死刃】だ!死刃はそれぞれの身体に与えられた数字を記し、【11】以下の幹部から直属の部下を選ぶことが出来る。その部下を【従属官】と呼ぶ。そして…」

 

 

 デモゴルゴンが左胸部に手を翳すと、そこに数字が浮かび上がってくる。そこに刻まれていた数字は───────────────────

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

10

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…ワシは第10の数字を持つ死刃─────《第10死刃(ディエス・エスパーダ)》、【デモゴルゴン】だァァ!」

 

 …あれだけの力を見せつけたデモゴルゴンでさえ、その死刃と言う集団の中では最弱。なのにこの強さなら他の死刃達の強さは想像以上。それにその彼より強い連中がまだ9人()()いる、その事実に5人は驚愕する。

 

「遊びはここまでだ、そろそろくたばるがいい!」

 

 大口を開けトドメを刺そうとする。しかしその直後動きを止めた。

 

 

「何のようだ。ワシは今…何ッ!?…だがワシは取り込んどるのだ、後にしろ。…黙れ!ワシにはワシのやり方や考え方があるのだ!」

 

 

 誰かと会話しているようだが、意見が噛み合わずイザコザが起きていた。そんな時シャーロット博士から通信が入る。

 

『皆んな無事かい?』

 

「博士!?はい、何とか」

 

『そうか、それは良かった。でも戦況は宜しくないみたいだね』

 

「エェ。あの怪物には私達の攻撃が一切効いてません。それに向こうの3人やクラウディア・ローエッティの方も芳しくない状況。このままでは全員やられてしまいますわ」

 

『…今の状況を打破出来る方法が一つだけある』

 

「何だそれは?」

 

『覚えてあるだろう、先日の湖でのサベージのと戦闘を。あの時と同じことをするんだ』

 

「エッ!?それってつまり…」

 

『そう。如月ハヤトのヴァリアントの力をクレア・ハーヴェイに与える。つまり2人がキスをすることだ』

 

『ッ!?』

 

『なッ!?』

 

「エェェェーーーー!!!」

 

 あまりの解答に全員驚愕。特にクレアは顔を真っ赤にし、エミリアは絶叫してしまう。

 

「ダメダメ、絶対にダメ!これ以上ハヤトが僕以外にキスをするなんて!!」

 

「そうだぞ、シャーロット!貴様何を言っているんだ!」

 

「クレア様の唇を、また捧げるなんてそ、そんなこと…」

 

『君達の気持ちも分からなくはない。でも、どうやらそう言ってもいられなくなってしまったようだよ』

 

 批判する3人だがシャーロット博士に指摘され顔を上げると、誰かと会話していたはずのデモゴルゴンが此方を見ていた。今の3人の会話に反応してしまったようだ。

 

「…分かった、それでいい。だが、今目の前にいる目障りな連中を倒してからだ!いいな!」

 

 武芸者達が何か企んでいると察したのか、このまま歪みあっていても埒が明かないと思ったのか、無理矢理であるが納得し会話を終わらせた。

 

『この作戦を強制はしないが、このまま戦っても勝てる確率は極めて低い。さぁ、どうする?』

 

「うぅ…分かった、分かったよ!それでいいよォ!」

 

『そっちの2人も良いかな?』

 

「…納得はしていない。していないがリトルガーデンを守るためだ。今回は目を瞑ってやる」

 

「私もです。…あぁ…またしてもクレア様の唇が…」

 

 3人とも現状を乗り切ること、そしてリトルガーデンと生徒達を守ることを理解し強引だが納得してくれた。約1名かなり精神的にきているようだが…。

 

『承諾してくれたようで何よりだ。しかしもう時間はない。3人共、少しの間アイツを惹きつけてくれないか?』

 

「OK」

 

「分かった」

 

「了解です」

 

 シャーロット博士の指示により3人はデモゴルゴンの気を引くために突撃する。残されたハヤトとクレアは…

 

「か、会長、良いんですか?またこんなこと」

 

「今は緊急事態です。つべこべ言わず早くしない、如月ハヤト。私もその…恥ずかしいのですから…」

 

 ここまで言われたら男の自分が引くわけにはいかない。

 ハヤトはゆっくりとクレアの顔に近づけ唇に触れる。ほんの僅かな時間でも2人にとって永遠の時のように感じた。

 

 両者の唇を通じてハヤトの中にあるヴァリアントの力がクレアにへと流れて込む。その間にデモゴルゴンと対峙していた3人は窮地に陥る。

 

「うわっ!」

 

「グァっ!」

 

「ハァ…ハァ…!」

 

「鬱陶しい蠅共が。そんなに死に急ぎたいのなら望み通りにしてやろう」

 

 大口を開けると、口先に赤いエネルギーが凝縮されていく。本能で分かる。あれば今までの攻撃とは全く違う、当たれば命の保証はない。しかし最早3人には動ける程の余力はなかった。もうダメかだと思われたその時…

 

 

バシュ、バシュ

 

 

 …小さな無数の浮遊物体から放たれたレーザーによって妨害され、凝縮されていたエネルギーが消失する。

 レーザーが飛んできた方に視線を向けるとクレアが立っていた。

 

 

「これ以上その3人には手出しさせませんわ!」

 

 

 ハンドレッドが全身装甲となっているが、変わったのはそれだけじゃない。彼女の瞳から先程以上の覇気を感じる。

 

「どうやら少し変わったようだが、それでワシの【虚閃】をどうにか出来ると思っているのか!」

 

「先程とは────違いますわよ!」

 

 デモゴルゴンは先程のように大口を開け、口先にエネルギーを凝縮していく。対するクレアはエナジーで大型の大砲を作り出し待ち構えエネルギーをチャージしていく。そして両者の攻撃が同時に放たれ、2つの閃光がぶつかり合う。その威力は互いに引けを取らない、互角であった。

 

「何だと!?」

 

 自身の虚閃と互角の威力の砲撃を繰り出したことに驚く。先程の砲撃よりも威力が上がっている。

 それもその筈。ハヤトとキスをしてヴァリアントウィルスを取り込んだことで、一時的にヴァリアントの力を使えるようになり能力が向上したのだ。

 

 さらにクレアの後方から全身武装となったハヤトが飛び出し剣を振るう。デモゴルゴンは先程と同じように自慢の剛腕で受け止める。だがハヤトもまたヴァリアントの力を発揮している状態、そしてエミリアを始めクレア、サクラ、副会長達、そしてリトルガーデンの皆を守りたいと言う気持ちが力となり、刃が僅かに皮膚にへと食い込んだ。

 

「何ッ!?ワシの鋼皮に傷を付けただと!?」

 

 自慢の鋼皮に傷を付けられたことに動揺し、虚閃の威力が弱まった。クレアはその隙を逃さなかった。威力を最大に上げ一気に虚閃を押され返す。そして砲撃がデモゴルゴンの顔面に直撃し、そのまま後ろに倒れひっくり返り隙が生まれる。

 

 今なら無防備、倒すには今しかない。そう思いハヤトは再び飛び出し倒れているデモゴルゴンにへと突撃し剣を振り上げる。

 

 討ち取ったと思った瞬間、突如上空に亀裂が入る。口のように開くと、そこから黄色い光が溢れ出しデモゴルゴンを包み込む。勢いで振り下ろした剣はその光に阻まれ弾き飛ばされる。

 更には従属官達の頭上にも同様の亀裂が現れ、そこから出た光に包まれる。

 

「クッ、時間切れか」

 

 愚痴を溢しながら起き上がると、そのまま吸い上げられ空に登っていく。

 

「餓鬼共。貴様等に受けたこの痛みと屈辱、絶対忘れんぞ。次にあった時には、この借り必ず返す!覚えておるがいい!!」

 

 その言葉を最後にデモゴルゴンと従属官達は裂け目の中に消え、入り口も閉じ消滅する。

 

 こうしてボロボロになりながらもリトルガーデンを守り抜け危機を脱し一件落着した─────────

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

───────かに思えた。

 

 

 

 

「さぁエミリア様、お約束通り私のお願いを聞いてくださいィィ!!」

 

「ちょ、ちょ。クラウディア近い、近いって……もう緊急時だったとは言え、どうしてあんなこと言っちゃったのかな…」

 

 …その夜、とある一室で別の修羅場が行われるのであった。

 

 




はい、デモゴルゴンは10番でした。
前回のニワもそうでしたが、デモゴルゴンをどの作品に登場させるかホンットォォォォォに迷いました。中々似合うと言うか能力に適した世界が思い付かず、最近のアニメでもいいのが見つからなかったので大変でした(私の知っている範囲ですが)。

そしてハンドレッド、ISに似ていて結構面白かったので第2期くるかなっと思っていましたが、何の情報もない上原作も完結しているのでもう見込みは薄いが残念です。だから小説に限定特典として付いていたドラマcdを通販で買いました。早く聴きたくてワクワクしています。

何はともあれ、これで漸く死刃全員登場させることが出来ました。
だからと言ってこの作品が終わるわけではありません。次回は前々から言っていた番外編になります。その番外編で、まだ階級が明かされていない3名の死刃の階級も明らかに。

最後に今この作品のことについて前々から悩んでいることがありまして、死刃が全員出し終えたこれを機に皆様に質問したいと思っております。詳しくは私の活動報告をご覧ください。
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