BLEACHの世界に最強になって転生 番外編   作:アニメ大好き

9 / 40
皆様お久しぶりです。
今年もいよいよ残り後2時間くらいになってきました。
今年は私にとっても初めてな事が多かったので、大変な年でした。だからと言う事ではありませんが投稿が遅れてしまいました。
主な理由はポケモンをやっていたからです、すみません(土下座)


今回の世界はタイトルで勘付いている人もいると思います。今年映画にもなったあの作品です。時期はアニメ第1期の最終回終盤からです。そして今回登場する死刃はある意味この世界感にあっていると思います。

※注意
この作品は原作のメインキャラの扱いが酷いので、それが嫌だっと言う方はUターンをオススメします。
それでもいいと言う方はどうぞ。ご観覧ください。



6話 このくだらない世界に終焉を

 黒い暗黒の雲に覆われ一筋の光もない闇の世界。その中に聳え立つ一つの城。それがこの世界の冒険者達が打倒を試みる魔王の城である。しかしその魔王の城の中では今思いも寄らぬ事が起こっていた。

 

『ギャァー!!』

 

「…こんなものか…この世界の魔王の力は……歯ごたえが無さ過ぎて呆れる」

 

「エェ、この程度の力しか無いとは…〇〇様は愚かこの私にすら遠く及びません」

 

 そこにはこの世界の住人なら信じられない、いや信じたくない光景があった。なんと魔王が子供くらいの背丈の人間と思わしき少年に一方的にボコボコにされ床に倒れていたのだから。

 

「そ、そんな魔王様が…」

 

「魔王様が、あんな子供なんかに…」

 

 周りにいた魔族達は主人であり己の種族のトップでもある魔王が人間と酷似した、しかも子供に手も足も出ず敗北した事にショックを受けていた。しかも王を助けようと動いた者達もまた、少年と同じく人間に酷似した姿の長い髭を生やした中年の男に一瞬で切り刻まれてしまった。

 

「…次はどいつが相手だ?何なら全員で纏めて掛かってきても構わない」

 

 

『ウ、ウワァァーーーー!!』

 

 

 魔王を難なく倒した少年の力と恐ろしさに恐怖した配下の魔族達は一斉に逃げ出す。だが次の瞬間、突如皆足を止め少年に向き直る。しかしその目は光を失い全く生気を感じられなかった。

 

「お前達は誰の僕だか分かるな?」

 

「はい。我々は今より〇〇様の忠実な僕。何なりとご命令を」

 

 何と逃げようとしていた魔族達は先程とは一変して襲撃してきた者に対して「様」付けをし敬うように跪く。それを見て年配の男はこうなる事が分かっていたかのようにニヤリと笑い、少年の方は静かに見据えていた。

 

「ではこれよりこの世界をこの俺、そして〇〇族の拠点とする為に行動を開始する!準備を急げ!」

 

 

 

 今この瞬間、この世界は魔王を超える存在によって終焉を辿り始めるのであった。

 

 

 

 

───────────────────────────────────

 

 

 

 

 

 アクセルの街。この街は魔王の城から最も遠く離れた場所に点在しているため、周囲に出現するモンスターのレベルも低く、治安も良いため活気付いている。強いて言うならこの世界で一番安全で優雅な街とも言える。

 

しかしそんな街でも優雅とは程遠い存在もいる。

 

 その街の冒険者ギルドに話し合いをしている4人の男女が警察官のような服を着た女性にに呼び出されていた。

 

「佐藤和真…お前には国家転覆罪の容疑が掛けられている」

 

「ハァッ!?」

 

「佐藤和真」通称カズマ───彼は間抜K…不幸にも事故によって死んでしまいにある女神によってこの世界にへと転生したのである。

 

「え?何?報償金貰えないの?」

 

このやたらと偉そうで踏ん反り返っている水色の髪の女が「アクア」。カズマをこの世界に転生させた女神本人である。

 

 何故その女神がこの世界にいるのかと言うと─────カズマはこの世界に来る前に転生特典を貰える事になったのだが、その特典にアクアを指名されてしまい共にこの世界に来る事になってしまったのだ。

 見た目は超絶美少女で可愛いが、中身は我儘で自己中心的でちょっとでも嫌な事があると突っかかり「神」としての威厳も無くなる程酷い(カズマを転生させる時もポテチを食べ胡座をかきながら椅子に座っていた)。カズマ曰く「駄女神」である。

 さらにはそのアクアを御神体とする宗教「アクシズ教」というタチの悪い奇人や変人の宗教が現れ人様に迷惑をかける始末。その為一部からは「女神の皮を被った邪神」とまで言われている。

 

「あ、あの私はちょっと用事があるので「行かせねェよ!」ッ!?」

 

 こっちのカズマに止められた眼帯をつけ杖を持っている魔法使いは「めぐみん」。魔術を使う一族の中でもトップクラスの紅魔族の少女。人類最強の攻撃魔法【爆裂魔法】を使う事が出来る天才なのだが、使えるのはこの魔法のみ。スキルを上げようとしても「爆裂魔法以外は使わない」と全て技の威力を上げる為に使ってしまう。

 しかもその魔法は1日に1度しか使用出来ず、使用後は魔力と体力を全て消費してしまう為仰向けに倒れ自分ではその場から動けなくなってしまう始末。

 

「流石にこれはなぁ…」

 

そしてこの黄色い髪の背の高い女性は「ダグネス」。

 

 一応騎士ではあるが剣の立ち振る舞いが雑であり唯振り回しているだけで攻撃が全く当てられない。

 さらに本人は身体に受ける苦痛や口汚く罵られる事に喜び(しかもそれを自ら望んでいる)を得ている。つまりは超が付くほどの「M」である。しかし常に身体を鍛えているため体力はかなり有り身体も丈夫である(もっとも身体を鍛えているのは自分に苦痛を与えたいからとの事)。

 

 そして当のカズマも大したスキルは持っていない。故にこのパーティーは実質役に立たない連中の集まりである。

 

 それでも彼等はアクセルの冒険者達と協力して最悪の兵器「デストロイヤー」を殲滅し大量の報償金を貰うはずだったが、その「デストロイヤー」を殲滅する際テレポートさせた場所がある大統主の屋敷だったらしくそのまま吹き飛ばしてしまったらしい。その所為で罪に問われてしまったのである。勿論報償金なんて貰えずアクアはカズマの首根っこを掴み振り回す。

 

 

 

──────そうだった…思い通りにいなかいのがこの世界だよ──────

 

 

 あまりのショックで虚ろ目になり絶望していたその時、突如1人の騎士が大慌てで扉開け息を切らせながら入って来た。そして警察官らしき女性にへと近づき耳打ちする。

 

「何だ?今私達は取り込みt……ッ!?何だと!?」

 

 尋問の途中で話に割り込むなと叱るが、耳打ちでの話した内容に驚愕の表情を浮かべる。その表情に周りにいる冒険者やギルドの係りの人達も騒めきだす。勿論それはカズマのパーティも例外ではない。

 

「エ?何々?カズマ何が起きたのよ」

 

「俺が知るかよ!」

 

「しかしあの表情から察するにかなり深刻な事かもしれないぞ」

 

「もしかしてこの間の「デストロイヤー」の様みたいな関係では!?」

 

「あ、あの〜何かあったんですか?」

 

 受付の女性がオドオドしながらも質問するがその返答はあまりにも衝撃的な事だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「魔王軍がこの街に向かっているとの情報が入った」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

……エッ?

 

「あの〜すみません。聞き違いかもしれないのでもう一度お願い出来ますか?何が近づいていると…?」

 

「だから魔王軍の軍勢が今このアクセルに向かって進行している!しかもかなり近くまで来ているそうだ!」

 

 それから暫く静寂が流れる。そして……

 

 

 

 

 

『エェェェェーーーーーー!!』

 

 

 

 

 

…全員の絶叫とも言える叫び声が建物全体に響いた。

 

 

「魔王軍ってなんだよそれ!?しかも軍勢!?」

 

「この間デュラハンの騎士が攻めてきたばかりだぞ、どうなってんだ!?」

 

「もしかしてソイツの仇を討ちって事じゃないのか?」

 

 周りの冒険者達は魔王軍が街に向かっているとの情報に慌てふためく。そしてこの問題児パーティも例外ではない。

 

「おいおいおい、デストロイヤーを討伐したばかりだったのに魔王軍の軍勢なんて……巫山戯るのも大概にしろォォ!!」

 

「ちょっと魔王軍なんて冗談じゃないわよ!てか普通こっち側から攻め込むのが決まりでしょ!何で向こうから来るのよ、可笑しいでしょ!!」

 

「おっと私の魔眼が次なる使命を伝えている…申し訳ありませんが私はここで失礼しま(ガシ)「お前1人だけ逃がすか」…は、離してくださいカズマ!私には次の使命がァ!!」

 

「魔王軍、しかも軍勢…デュラハン(この間の奴)の様なのが沢山いるのか!ソイツらに一斉に相手にされたら────私は一体どんな事になってしまうのだろうか、アァァ…」

 

 カズマとアクアは魔王軍がアクセルに向かっている事に絶叫し、めぐみんは下手な言い訳をして逃げ出そうとして所をカズマに首根っこを掴まれてる。ダグネスに関してはいつもの様にスイッチが入り騒いでいた。

 

「ほ、本当に魔王軍がこの街に向かっているのですか!?」

 

「あぁ、しかも情報では更に巨大な魔物らしき存在複数確認されているとの事だ」

 

「冗談じゃねェ、こんな所居られるか!」

 

 恐怖した冒険者達は1人、また1人と慌ててその場から逃げ出した。軈てあれだけ騒いでいた店内は一変し静寂が訪れ残っているのはカズマ一行と査察官(?)の女性とその部下、そして受付の女性達のみとなった。

 

「さ〜てと、じゃあ俺達とそろそろお暇するとしま「待て!」グヘ!!」

 

この場から去ろうとするカズマを査察官(?)の女性が、先程カズマがめぐみんにしたように首根っこを掴み止める。

 

「今からお前達に依頼を与える」

 

「い、依頼!?」

 

「最早嫌な予感しかしないんだが…」

 

 

 

「お前達にはこれより進行してくる魔王軍の討伐をしてもらいたい」

 

 

 

「………」

 

 

 そして再び静寂が訪れる。

 

 

「…いやいやいや、無理でしょ、無理に決まってるでしょ!魔王軍の討伐!?貴方本気で言ってますか!?こんな戦闘力も一般人程度の俺に酒ばかり飲んだっくれてる駄女神、一発撃ったら動けなくなる魔術師、そして攻撃が当たらないクルセイダーのパーティですよ?そんな連中が況してや魔王軍の討伐なんて出来るわけないでしょ!!」

 

カズマは無茶振りなクエストに絶叫しながら訴える。…てか自身も含めてここまで自分のパーティメンバーを瀆せるとはある意味感心する。

 

「そうよ!だいたい女神の私が魔族と戦うなんてあり得なんだからね!それにデストロイヤー騒動(あんなこと)があって直ぐにこんなクエスト無茶振りもいいところよ!!」

 

「私もですよ。それにどうして私達なんですか!?そういうのはもっと凄腕の冒険者に依頼してください!」

 

「私は受けるぞ。大勢の魔族共にどんな目に合わされるのか…考えただけでゾクゾクしてくる…」

 

 アクアとめぐみんは真っ向から拒否するが、ダグネスはその依頼を受けいれる。理由としては例の如くだが…。

 

「兎に角俺達はそんな依頼絶ッッッ対に受けませんからね!」

 

 ややキレ気味に拒否し、カズマ一行は足音を立てながら建物から出ようとする。

 

「…もしこの依頼を達成したら、今回の容疑の件無かったことにしてもらうよう頼んでやってもいいぞ」

 

 その言葉にカズマ一行の足が止まる。

 

「更にはそれなりの報酬を出そうと思っていたのだが仕方ない。なら別の冒険者に頼んで『ちょっと待った!』…何だ?」

 

「よく考えたら困っている人をホッとくのは冒険者として良くないよな。その依頼お受けしましょう」

 

「本当は物凄く忙しいんだけど、でもどうしてもと言うのなら仕方ないわね。特別にこの崇高なる女神アクア様が相手になってあげるわ!」

 

「し、心配ありません。魔王軍の軍勢であろうとこの私の爆裂魔法で瞬殺してあげますよ(ガタガタ)」

 

 先程とは態度が一変し依頼を受ける事を承諾したカズマとアクア。めぐみんも強気に威張り散らしているが、その足は膝から下がガタガタと震えている。

 

「よォォし、魔王軍を倒して報酬をガッポリ貰うぞ!!」

 

『オォォーー!!』

 

 しかし受けた理由があまりにも私情を挟み過ぎているにも関わらず隠す素振りもないので、依頼した査察官(?)の女性本人も呆れる。

 

 

 

─────────────────────────────────────────

 

 カズマ一行は魔族討伐の依頼を受けたのだが、後に自分達が仕出かした事の重大さに気付く。

 

 

 ───新たな借金が有耶無耶になるかもしれない喜びと報酬という言葉に目が絡んでしまっていたためにとんでもない依頼を受けてしまった───っと。

 

 

「どうするのよ!魔族の軍勢を相手にするなんて無理に決まってるでしょ!カズマ、どうしてそんな依頼受けちゃったのよ!この馬鹿!!」

 

「お前だって何だかんだ言っておきながら、報酬に目が眩んだじゃねェか、駄女神!」

 

「お、お二人共落ち着いてください」

 

「そうだぞ。言い争っても何も解決しないぞ」

 

 依頼の件で喧嘩を始めるカズマとアクアをめぐみんとダグネスが止めに入る。軈てこの喧嘩がバカバカしくなってきたカズマが折れると大きな溜息が出る。

 

「ハァ〜、とんでもない依頼を引き受けちまったもんだ〜」

 

しかし最早後の祭り。戻ったとしても断るのは不可能、と言うか取り消してくれるわけがない。

 

そんなこんなで門を潜りトボトボと数歩歩いた時、突如空が黒雲に覆われていくのが目に入る。

 そして前方から何かが現れ此方に向かって来るのが見える。目を凝らして良く見てみると…

 

 

 

ドシン、ドシン

 

 

ガシャ、ガシャ

 

 

 

バサッ、バサッ

 

 

 

…魔族の軍勢が足音を立てながらアクセルの街に向かって進んでいた。

更にその後方には頭部に二本の角を生やした太った巨大な赤い魔物、さらに太陽に酷似した仮面顔で赤い魔物と同じくらいの大きさの灰色の魔物、そして他の2種とは違い人並みの大きさの青い鳥顔の魔物が複数羽を羽ばたかせ飛んで来ている。

 

「おいおいおい、まさかあれが魔族の軍勢か!?」

 

「嘘でしょ、嘘でしょ、嘘でしょ!?もう直ぐそこまで来てるじゃない!これじゃ隠れる暇もないじゃない!!」

 

「あ、あんな数流石に相手に出来ませんよ!」

 

「あぁ、あんなに沢山…。あれだけの数で一斉に責められたらと思うとォ…」

 

相変わらずの一名を除き3人は目の前にまで迫っている魔族の軍勢に驚愕し、アクアはあまりの急展開に取り乱し始めてしまう。

その場で呆然と立ち尽くしていたカズマは意を決して声に出す。

 

 

「よし、こうなったら─────

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

──────戦略的撤退だァァァ!!

 

 

…と、体をUターンさせ大慌てで街の方へと走り出す。しかもアクアまで同じように走り出していた。

 

 

『て、逃げるんですか(のか)!?』

 

 

「当たり前でしょ!あんなのとマトモに戦って勝てると思うの!?絶対に無理に決まってるじゃない!!」

 

アクア(コイツ)と意見が合うのは癪だがその通りだ。こんなマトモな戦闘も出来ない俺達が勝てるわけがねェ!ここは一旦街に戻って他の冒険者達にも協力してもらわねェと!!」

 

 何とも情けないと言っているが、全て正論なので2人は複雑を顔を浮かべる。カズマは門の所まで着き潜ろうとした瞬間…

 

 

 

 

 

 

ドカーーン

 

 

 

 

 

 

 

…目の前で何故の爆発が起こり後方へ数回でんぐり返しする。

2人は慌てて近寄り目が回っているカズマ達を起こさせる。

 

「カズマ、アクア大丈夫か?」

 

「な、なんとか…」

 

「もう何なのよォ、今のォ!?てか何でイキナリ爆発が起こるのよォ!?」

 

「み、皆さんあれを!」

 

 めぐみんに指摘され上空を見上げるとそこには羽根を生やした背の低い黒髪の少年と、長い髭を生やした赤髪の中年の男が上空で静止していた。

 

 この2人こそ魔王城を制圧した2人である。

 

 4人の視線に気付くと両者ゆっくり降り着地すると背中の黒い羽根を消す。すると同時に後方にいた魔族の軍勢も進行を停止する。

 

「何よアンタ達!?アッ!さてはさっきの爆発ってアンタ達の仕業ね!イキナリ失礼じゃない!怪我したらどうするのよ!慰謝料払いなさいよ!!」

 

 案の定アクアは騒ぎ出し難癖を付けてくる。しかし2人は耳を傾けず黙ってアクアを凝視していた。

 

「…感じるか?」

 

「はい僅かですが、あの女から感じられる忌々しい気配…間違いありません」

 

「やはりそうか。青い髪の女」

 

「な、何よ?」

 

「貴様……女神族か?」

 

 その言葉に4人は驚愕した。この2人はアクアが女神であると一瞬にして見抜いたのだから。

 

「質問に答えろ。貴様は女神族か?」

 

「…よく分かったわね。そうよ、私は女神よ。でもねただの女神じゃないわ。全てにおいて至高にして神聖なる女神アクア様よ」

 

 アクアは胸を張って全身全霊で己をアピールする。彼女の本性を知っている3人特にカズマからすればただ痛々しい光景にしか見えていないようで憐れみな眼差しを向けている。

 

「女神アクア…この世界にはそんな女神がいるのか」

 

「でもアンタ達一目見ただけで私を女神って分かるなんていい目してるじゃない。だっかっら〜特別にアンタ達の名前を聞いてあげてもいいわよ」

 

 今ので調子付いたアクアは益々上から目線な態度を取る。調子に乗り過ぎて痛い目に合うということを学んだらどうだろうか?

 

「き、貴様この方に対して何という無礼な口を「寄せ」…し、しかし…」

 

「折角だ。この世界の女神族にも俺達の存在を知らしめるのも悪くないだろう」

 

 

 

 

 

 

 

「俺の名は【ゼルドリス】。魔神族の王となる者だ」

 

「私は【キューザック】。ゼルドリス様の忠実なる従属官」

 

 

 

 

 背の低い少年と中年の男性…いやゼルドリスとキューザックの自己紹介が終わると2人の身体から黒いオーラが溢れ出す。その途方も無い力に冷や汗を流すアクアだが持ち前の強気で隠し余裕っぷりを見せる。

 

「で、その魔()族が何をしにきたのよ?ハッ!さては魔王と手を組んで私達を倒しに来たのね。でもそうはいかないわよ。何故なら私の部下達がアンタ達をケッチョンケッチョンにしちゃうんだから」

 

「おい待て…誰が部下だ誰が。つーかお前が『至高で神聖』だと?冗談は顔だけにしてくれ」

 

「ハァ!何言ってるのよ。この私、アクア様の美貌と可憐さと慈悲深さ全てにおいて至高じゃない」

 

「…遂に頭がイカれたか、この駄女神」

 

「何ですってェェ〜!もういっぺん言ってみなさいよ!」

 

 カズマとアクアがしょうもない喧嘩を始めた事にパーティの2人は「またか」と言わんばかりに溜め息を吐く。

 魔神族の2人も女神とは到底思えないアクアの態度の酷さに幻滅し、ゼルドリスは興味なさげに目を瞑るが、しばらくして口を開いた。

 

「ところでお前、さっき手を組んだとか言ったがどう言う意味だそれは?」

 

 イキナリ質問をされたことで2人は喧嘩を止める。

 

「そんなの決まってるじゃない。アンタ達が魔王と手を組んで攻め込んできたんでしょ?そうでもしなきゃ魔王の軍勢がアンタ達と一緒にいるなんてことありえないもの」

 

 アクアはこれまた自信たっぷりに説明する。彼女のこの自信さは何処から出てくるのか?

 

「あんな雑魚とゼルドリス様がか!?そこの人間の男が言うように笑えん冗談を言うものだなこの世界の女神族は」

 

「ハァ!?どう言う意味よそれ!?」

 

「後ろにいる魔族と言う奴らはもはや魔王の部下ではない。今ゼルドリス様の忠実な僕になっているのだ。そうだな、お前達」

 

キューザックは後方にいる魔族の軍勢にへと声を掛ける。

 

「その通りです」

 

「我々は偉大なるゼルドリス様の忠実な僕」

 

「我々はゼルドリス様にお仕えします」

 

 魔族一同はそれに答え次々とゼルドリスに対する忠誠心ある言葉が出てくる。その状況だけでも驚愕することなのに、さらに彼らに信じられないことを聞かされる。

 

 

「それにその魔王とか言うのはゼルドリス様が既に始末しておられる」

 

 

 その言葉を聞いた時4人の思考が停止した。何とこの世界の魔王は倒されているとのことであった。

 

「おい…嘘だろ…お前が…魔王を倒したってのか…」

 

「あぁ、しかし口程にもなかった。あの程度で魔族の王を名乗っていたとは片腹痛い」

 

「全くですな。ゼルドリス様には手も足も出ずヤラれてしまいましたからね」

 

 まるで赤子を相手にしたような言い草。自分達の目標であった魔王討伐は目の前にいる子供によって足を踏み入れることなく潰えてしまった事実を知るカズマ一行。

 

 そして当の本人のカズマは……顔を伏せながら身体が震えていた。しかし怖いから震えているのではない。その理由は……

 

 

 

ふ…巫山戯るなァァァ!!

 

 

 

「何勝手なことしてくれてんじゃァ!俺は魔王を倒すためにこの世界にこの駄女神に転生してもらったってのに、軽々と魔王を倒しただと!?巫山戯るなァ!!それじゃあ転生した意味がないじゃねェか!!」

 

 

…そう自分の役目であった魔王討伐を先に越されてしまったことに怒っていたのだ。しかし魔王を倒した相手に喧嘩を売るとは怖いもの知らずかこの男は。

 

「全くよ!私だって魔王討伐のお金を貯めるために色々頑張ってきたのに何勝手に魔王倒してくれちゃってゆのよォォ!!」

 

 続くようにアクアも同じように噛み付く。しかしアクアよ…お前お金を貯めるようなことしてたか?賞金が手に入ったら即酒に使ったりして無駄遣いしていたよね?

 

「もぉ、アタッマにきたァ!こうなったらアンタ達を倒してその鬱憤張らさせてもらうからね!!」

 

「そうだな。魔王を倒したコイツ等を倒せば魔王を倒したことになるからな」

 

 その考えは違う気がするが魔王討伐をこんな子供に先に越された怒りで2人は冷静な判断が出来ないでいた。それに巻き込まれるダグネス、めぐみん(2人)は哀れである。

 

「…いいだろう。俺もこの世界の女神族の実力を知りたいと思っていたところだ。キューザックお前は手出しするな、いいな」

 

「はい。畏まりました、ゼルドリス様」

 

キューザックは頭を下げると姿を消すと一瞬で魔族の軍勢の前に移動する。

 

「…この世界の人族と女神族よ。お前達の力見せてもらおう」

 

「へっ、その平然とした顔がいつまで続くかかな?」

 

「そうよ、ボコボコにされて許しを請おても絶対許してあげないんだから。でもぉ、私は心広〜い女神だから私の為に働いてくれるのなら考えなくもないけどグハッ!?」

 

 自分の勝利に一切の揺る無しのカズマとアクアが淡々と言葉を並べていたら突如アクアが吹き飛んだ。すぐ横にいたカズマさえ一瞬何が起こったか分からずにいた。恐る恐る目線だけをアクアから自身の横へ向けると、アクアが立っていた場所に拳を前に突き出しているゼルドリスがいた。

 

「(えっ、ちょっと待て。コイツさっきまであっちに居たよね。一瞬で此処まで来たの!?可笑しいでしょ!しかもアクアを一発で吹き飛ばしやがった。仮にもアイツは女神だよ。なのに一発で吹き飛ばした。どういう身体能力してるんだよコイツ!?)」

 

 あまりの出来事に冷や汗が止まらない。そして目が合うとそのまま慌てて後退する。その間に吹き飛ばされたりアクアが起き上がる。その顔は怒りに満ちていた。

 

「ちょっとアンタ、私が喋っているのに手出すってどういうことよ!人の話は最後まで聞きなさいって親から教わらなかったの!?」

 

「…くだらん。貴様のつまらん会話に付き合う気はないんだ。」

 

「ムカッ 。もう完全に頭にきた!絶対許さない!【ターン・アンデット】!」

 

 アクアが掌から光のエネルギー波を放つ。しかしゼルドリスは動く気配を見せずそのままエネルギー波を食らった。

 

「どう?この私の魔法は凡ゆる不浄なる者を浄化することが出来るの。これで貴方もお終いね。アーハッハッハッハッハ!!」

 

 アクアは完全に勝ち誇ったように嘲笑う。確かに一般的な魔族であったら女神である彼女の浄化魔法を食らったここで勝負はついていただろう。しかし彼女が相手にしているは「魔神族」魔族の王さえも超える存在である。

 

「…フッ。───ハッ!!」

 

 ゼルドリスは口元をニヤつかせ鼻で笑うと力を込め、気迫だけでエネルギー波を消し去った。

 

「う、嘘でしょ!?女神の私の魔法を吹き飛ばすだなんて!?」

 

「貴様の実力を知るために受けてみたが、随分と緩いな。俺の知っている女神族の連中と比べると全く歯応えがないな」

 

 崇高(?)なる女神の自分に向かってあまりに屈辱的な言葉に怒りが込み上げてくる。

 

「だったらこれはどう。女神の怒りと悲しみを込めた一撃『ゴットブロー』!」

 

 女神なのに怒りって言葉が出てくるのはおかしいと思うが今は置いといて、その怒りと悲しみのエネルギーを拳に纏い渾身の一撃を打ち込もうとする。しかしゼルドリスは顔一つ変えずなんと片手でその拳を受け止めた。

 

「…この程度なら魔力どころか剣を使うまでもない」

 

 信じられない、信じたくなかった。元々戦闘においてはそこまで高くないアクアだが、それでも聖なる力を持つ女神の拳を魔の者がしかも片手で受け止めるなんて考えたくもなかった。

 

「貴様のような軟弱な奴が女神族とはな…もう貴様に用はない。消e「【クリエイト・ウォーター】」ッ!?」

 

 トドメを刺そうとした瞬間カズマの声が聞こえ、少量の水がゼルドリスに掛かる。

 

「何の真似だ?こんな技で俺を止められると思っているのか?」

 

 しかし彼が放ったのは、ただ水を生み出すだけの初級魔法。ただの水が通用するばすも無くゼルドリスの怒りを買っただけに過ぎないがカズマの狙いは別にある。

 

「まだまだ、【クリエイト・ウォーター】!」

 

 再び同じ魔法を使いゼルドリスに水を掛ける。その行動を何回か繰り返し、ダメージは無いものの流石に鬱陶しくなってきたようでアクアを離し標的をカズマにへと変え歩き出す。その隙にダグネスがアクアを抱え離れる。

 

 標的を自分に向かせその間にアクアを救出する、それを確認すると水の放出を止める。

 

「そして【フリーズ】!」

 

 そして別の魔法を唱えるとゼルドリスに掛かった水が一気に凍りだす。 これは水を凍らせる初級魔法。

 さっきから【クリエイト・ウォーター】を繰り返し使っていたのは理由はこれの為。一回の使用につき出せる水は少量、しかしそれを繰り返せば桶数杯分の量に等しくなる。それを凍らせたしまえば動きを封じることができる。

 

「今だめぐみん、やれ!」

 

「輝きを秘めしこの力 不可視を我が元へと導き 混沌より接触せんとす 今 爆裂魔法が誘う」

 

 

 

 

 

 

 

『【エクスプロージョン】!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ドカーーーン

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 詠唱を唱え終えると杖の先端から業火の炎────めぐみんが得意とする爆裂魔法が勢いよく放たれゼルドリスに直撃する。そして周囲一帯を炎と爆音、衝撃波が襲う。

 

 

 この一連の流れは全てカズマの作戦であった。先ず標的を自分に向けさせその間にダグネスごアクアを救出させ、【クリエイト・ウォーター】で全身がずぶ濡れになったところに【フリーズ】で一気に凍結させる。そして動きが止まったところにめぐみんが爆裂魔法を叩き込む。

ニートでバカなカズマにしては良く出来た作戦である。

 

 

 衝撃波が止み目を開けると、爆裂魔法が直撃した場所は小さなクレーターが出来ていた。

 

「よぉし、よくやっためぐみん!」

 

「まぁ私に掛かればこんなの朝飯前ですよ」

 

 めぐみんの技が珍しく上手く決まり喜び褒めるカズマ、そしてその事を胸を張るめぐみん。しかし地面に這いつくばっているような体勢なので格好がついていなかった…。哀れ。

 

「でもこれであの生意気な子供は仕留めたも同然。後はあそこに集団を何とかすれば…「ガシャ、ガシャ」ッ!?」

 

 しかし喜びも束の間、爆煙の中から「ガシャ、ガシャ」と物音が聞こえ始めると動く影が見える。その物影のシルエットがハッキリと見え始めると中からゼルドリスが現れる。その顔と服には汚れが付いていた。

 

「なかなかの魔力だった。下級魔神なら今ので終わっていただろう。俺の動きを封じそこを強力な魔法を叩き込む作戦もなかなかだ。だが相手が悪かったな。それにその様子だともう先程の魔法は使えまい」

 

 先程の爆裂魔法の威力には感心するが、それ以前にめぐみんの現状を見てかなりの魔力を消耗したことを察する。

 

「やはり俺はお前達を過信しすぎていたようだ。人族だけなら未だしも女神族さえもここまで落ちぶれているとはな…」

 

 最強の爆裂魔法さえ無効化されてしまい

 

「最後に言っておくぞ。お前達は俺達の種族を『魔の人』だと思っているようだがそれは間違いだ。俺達は『人』ではなく『神』と書いて魔神族と言う。つまり俺達は魔の神、全ての魔の種族の頂点に君臨する神だ」

 

 ゼルドリスから発せられる黒いオーラが形を作り出しその背後に巨大な巨人の姿として現れる。

 

「いやァーーー!!こんなところで死ぬなんて絶対イヤ!こんなクエストもう放棄するゥ!!」

 

あまりの恐怖心で遂にアクアはその場から逃げてしまった。しかも───敵に背を向けながら───。

 

 逃げ出して数十歩程歩いた時、突然アクアの足が止まる。体を振り向かせると戻ってくるように足を進める。その光景に一瞬戸惑ったがそれでも女神としての責務を果たしたいんだっとカズマ達は思った。

 

 しかしアクアはカズマ達の近くに来ても足を止めずそのまま進み素通りしてしまった。そしてゼルドリスの前までやってくると跪きこう言った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「私は今からゼルドリス様の忠実な僕です。何なりとご命令を」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

背を向けて逃げたことによりゼルドリスの力に抱えってしまい僕とかしてしまった。その光景をカズマ達は唖然とし黙って見ていることしか出来なかった。

 

「ではこの俺、ゼルドリスがお前に仕事を言い渡す。─────あそこにいる奴らを片付けろ」

 

「はい」

 

 振り返り殺意のこもった眼差しでカズマ達に近づいていく。

 

 

 

「お、おいアクア冗談だろ?これもアイツの隙を作るための演技なんだろ?」

 

「そうだぞアクア。それに私達は苦楽を共にして仲間ではないか」

 

「そ、そうですよ、私達は仲間なんですから痛いことしませんよね?」

 

 3人は必死にアクアを説得しようと呼びかける。確かに彼女のせいで酷い目にあったこともあったし辛いこともあった。それでも同じ釜の飯を食った仲である

 

 

「私は魔神族の王となるゼルドリス様の忠実な僕。もうお前達の仲間ではない」

 

 

 しかし返答の言葉にはそんな思いなど一ミリも感じられない。今目の前にいるのは自分達が知っているアクアではない、思考を支配されゼルドリスの忠実な部下となった敵である。

 

 

「そうか。なら……思う存分今までの鬱憤を晒させてもらうぞォォ!!」

 

 カズマはアクアが敵になったことでショックを受けたかと思いきや、彼女の酒癖の悪さや日頃のストレスが溜まっていき丁度いいストレス発散のために、アクアの頭に「グリグリ攻撃」をお見舞いする。

 

「毎度毎度大酒飲みやがって、その所為で俺がどれだけ大変な目にあったか分かっているのか!」

 

「イタタタタタタ!!」

 

「辞めろカズマ、アクアは操られているだけなのだぞ」

 

「そうですよカズマさん。それに今そんなこと言っても聞こえていないと思いますよ」

 

「何言ってやがる。コイツの所為で俺達がどんだけ大変な目にあってきたと思ったんだ!それに聞いていないんだったら、今ここでコイツに仕返しする絶好のチャンスだろうが!!」

 

 ダクネスとめぐみんが止めようとするが、カズマは更に拳に力を込めアクアを悶えさせる。

 

 その光景にゼルドリスは溜息を吐く。思考を支配したとしても能力や知力、力はそのまま、特にパワーが上がるわけではない。だから期待はしていなかったがこれは酷い…酷過ぎる。まさか女神族ともあろうものが人族に力負けするなんて思いもよらなかった。

 

「もういい、見るに耐えん」

 

 ゼルドリスは翼を出し飛び上がると、右腕を前に出すと掌に赤いエネルギーを溜めていく。そして放たれるは破壊をもたらす閃光────

 

 

「虚閃」

 

 

───────自分達のやり取りで気付かなかったカズマ一行は成すすべなくそのまま閃光に飲み込まれ巨大な爆音と砂煙が上がる。カズマ一行がいた場所には彼等の影も形もなく巨大なクレーターが出来上がっていた。

ゼルドリスはクレーター前に着地すると、その隣に待機していたキューザックが近寄る。

 

「流石ですゼルドリス様」

 

「お世辞は辞めろキューザック。あんな奴ら俺達どころか、後ろにいる魔族(連中)の敵でもないだろう。まぁ邪魔者もいなくなったことだ、本題に取り掛かるとする」

 

「ハッ!お前達ゼルドリス様の命令だ!今からこの街を我等の物とする。いいな!」

 

『ハッ!!』

 

 

 

 その後ゼルドリス率いる魔族の軍勢によってアクセルの街を蹂躙、なんとか冒険者達が食い止めようと立ち向かうが、全く太刀打ち出来ず命を落とす者もいればその場から逃げ出そうとする者もいた。もっとも逃げ出した者は片っ端からゼルドリスに思考を支配され配下に降った。

 

 その後落としたアクセルを拠点に、拡大したゼルドリス率いる群勢はありと凡ゆる街や王国を襲撃し歯向かう者は実力の差を見せつけ捩伏せ、逃げ出そうとする者は瞬く間に配下にされていった。

 




今回は1話、2話とは違い前後編でなく一纏めにしました。
カズマ達があまり戦っているところを見た事がないからイメージが湧かなくて申し訳ありません。
ゼルドリスの階級もまだ明かされる時ではない。その時が来るまで待て。ーーー決して階級が決まっていない訳ではない。

メトロイドの方も投稿したので宜しければそちらもご観覧ください。
お気に入り登録お願いします。


本年も私の作品をご観覧してくださり誠にありがとうございます。来年もまたよろしくお願いします。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。