やはり俺がバンドを組むのはまちがっている 作:静寂な堕天使クロノス
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俺は結局1週間後に、Roseliaの前でギターを弾くことになってしまった。
流石に何も練習しないのは失礼だと思うし、俺自身が恥をかいてしまうので練習しようと、アドバイスをしがてら戸山たちと共に蔵でギターを弾いている。
「何度見ても八幡先輩のギターすごい!」
戸山からこんな言葉を聞くのは毎回のことだが、それでもやはり少し恥ずかしい。
「そ、そんなことないだろ」
「まったまたー顔、にやけてますよ?ほんとは嬉しいんですよね!素直じゃないですね〜!」
あ、なんか恥ずかしがってるのがアホらしくなってきた...
「ちょっ!香澄そんなことしてないで早く練習に戻れって〜!」
今日も市ヶ谷は苦労してんな〜...
もしこいつらに5人目のメンバーができたらしっかり者であることを祈るしかないな...
ていうか、こいつらのバンドってまだ名前ないのか?
「戸山、お前らのバンドって名前はまだないのか?」
「そう言われてみれば...」
「まだ、考えてなかったね...」
戸山とりみがそう答える。
「ほんとにどーすんだよ、文化祭出るなら名前考えないとだろ?」
「また、おいおい考えればいいんじゃない?」
いつも通り真面目な市ヶ谷に対して相変わらずの花園...
「そういえば、八幡先輩がいたバンドの名前って何でしたっけ?」
「Absolute Aloofだよ。香澄ちゃん」
俺が答える前にりみがそう答える。
「でも、どうしてそんな名前にしたんですか?」
「あーそれはだな...」
その理由はそこそこ恥ずかしいんだが...
「私も気になる」
「わ、わたしも!」
「ここまで聞くと気になるな...」
花園、りみ、市ヶ谷も聞きたそうだし...
仕方ない、話してやるか。
「別に深い理由はねーよ、ただ高いレベルの演奏を目指してたから、それだけだ」
「だから、絶対的な孤高...なるほどな」
おい、市ヶ谷直訳しないで...
実はこの名前を提案したのは俺なのだ、中二病を患っていた時の...
「と、とにかくだな、難しく考えすぎずに気楽に考えていいと思うぞ?」
そんな感じでアドバイスをしてこの話を強制的に終わらせた俺はその後黙々と練習に励むのだった...
*****
ー学校にてー
その日も授業を全て受けて今日はその後の予定もないのでまっすぐ家に帰ろうとしたところで小町から電話が入った。
「もしもし、なんか用か、小町?」
「うん、ちょっと相談したいことあるからサ●ゼに来てくれない?」
「おう、わかった。ちょっと待ってろ」
そういって電話を切った俺はある疑問を持つ。
あれ?何でサ●ゼで相談なんだ?ま、まさか今回の相談小町からじゃない...
なんか面倒ごとの予感....
急に重くなった足を俺は妹のためを思って必死に動かすのだった。
*****
そうして俺は小町との待ち合わせ場所についた。
するとそこには...小町の隣に座る男の姿があったのだ。
小町、ま、まさか相談って彼氏の紹介じゃないだろうな...
お兄ちゃんは絶対認めないからな!
「あ、お兄ちゃーん、こっちこっち」
俺に気づいた小町に呼ばれたのでとりあえず俺は小町の正面に座る。
「それで用ってのは何だ?」
俺は極力怪しまれないようにそう応じるも...
「お兄ちゃんなんか黒いオーラ出てるよ?大丈夫?」
失敗していたようだ。
「その男は誰なんだ小町?」
「初めまして、比企谷さんのお兄さん!俺!川崎大志って言います!今日は相談に乗ってもらってありがとうございます!」
「お前にお兄さんと呼ばれる筋合いはない」
「お兄ちゃん、結婚を認めない父親みたいだよ...」
だって小町取られたくないもん!
「なんか気持ち悪いこと考えてるでしょ...。とにかく!大志君の話を聞いてあげてよ!」
くっ、小町の頼みなら断れない...
「で、相談ってのは?」
「その、実は...」
長かったので簡潔にまとめるとこいつの姉が帰ってくるのが遅くて心配なのだという。そしてそのことを小町に話したところ俺と同じ高校、しかも同じクラスであることが発覚、そこで俺に何をしているのか調べて欲しいとのことだ。
色々心当たりを聞いていると、そらとなく当てはあるそうだ。
曰く、こいつの家は兄弟が多く家計的に大変らしい。
そこで遅くまでバイトをしているのではないかとのことだ。
「それで、やってくれる?お兄ちゃん」
「正直、そこのお前の推測が当たってた場合には俺1人でどうこうできる問題ではないな」
「そう...ですよね、やっぱ俺、直接姉ちゃんに聞いてみます」
「そう、急ぐな。やらないとは言ってないだろーが」
「じゃあ...」
「俺にできるところまでならやってやるよ」
「ありがとうございます!」
こうして俺は予想通り面倒ごとに巻き込まれのだった。
*****
ー1日後ー
まず俺がすべきことは1つだな。
どいつが大志の姉か探すことだ...
実は俺はクラスメイトの名前をほとんど覚えていない。
ひっ、必要なかっただけだからな...
だが、どうやって探すか?
まずそもそも俺が人に話しかけることができないので探しようがない。
あれ?もしかしてここで俺のやれること終了?
「ヒッキーどしたの?やたら悩んでるけど」
「由比ヶ浜か...」
悩んでる俺をみて心配してくれたらしい由比ヶ浜が話しかけてきた。はっ!由比ヶ浜ならきっと川崎のことを知っているはず!
「なぁ、由比ヶ浜。川崎って名字のやつ知ってる?」
「うん、このクラスにも1人いるよ、川崎沙希ちゃんって子が」
「そっか、サンキュー」
「でも、何でヒッキーそんなことを聞いてきたの?」
な、なんか少し不満そうだな。なんか誤解されている気がするからしっかり事情を説明したほうがいいだろう。なら雪ノ下たちにも一緒に話して協力してもらった方がいいかもな。
「理由を話すから放課後雪ノ下たちと一緒にまた俺のところに来てくれ」
「う、うんわかった」
こうして俺は協力者を得た。
*****
ー放課後ー
「...なるほど、確かにそれは気になるわね」
事情を話したら雪ノ下を始めみんな協力してくれるという。
「でも、まずどうするんですか?だって誰もその川崎さんと話したことないんですよね?」
「それはもう、単刀直入に聞くしかないんだけどさ...」
「じゃああたし聞いてこようか?」
「いや、それはやめたほうがいい」
「そうね」
「え?なんで?」
「普通に考えて見ず知らずの人から夜何してるのと聞かれても答えてはくれないでしょう?」
よく理解ができてない由比ヶ浜に雪ノ下が説明をする。
「じゃあもうお手上げじゃないですか〜」
「そこはまた由比ヶ浜さんをうまく使うしかないわね...」
前途多難ながらこいつらとならできそうな気がするのは不思議なもんだな。
*****
あれから俺たちは様々なアプローチで川崎と接触したのだが当然のごとく教えてはくれなかった。
しかし、俺たちはついに川崎が働いている場所を見つけ出した。
「...それで、なんで俺たちもこんな格好しているんだ」
今俺たちはみんな正装である。
「私たちだって高校生でしょ、こうでもしないとセキュリティを突破できないわ」
「それより先輩何かいうことはないんですか?」
あざとい...だが確かに何も言わないのも失礼な話だな。
「3人ともすごい似合ってるぞー」
「てきとーだ!」
そりゃこんなセリフ言ったことほとんどないからな。
「まぁ、比企谷君が言ってくれただけよしとしましょう...」
やっぱり3人とも呆れ顔だな...
やっぱりならないことはするもんじゃないな。
「と、とにかく行ってみるか」
俺らが行く場所はとあるホテルの最上階にあるバーだ。
そこで、川崎は朝方までバイトをしているようだ。
そして俺たちはバーに入った。
こんなとこ普段はまず来ないから緊張するな...
初めてライブハウスに入ったあの時を思い出すぜ...
入って席に案内されると川崎はすぐに見つかった。
「川崎...」
しかしあいつは俺のことを憶えてないようで
「すみません、どちら様でしたでしょうか?」
「クラスメイトに名前を憶えられてないのはさすが比企谷君ね」
なんか既に俺のメンタルがブレイクしそうなんだが...
なぜかその後も俺をディスりながら雪ノ下、由比ヶ浜、一色と川崎の口論は続いた。
俺の精神はすでに瀕死だ...
「大志が何言ったかは知らないけど気にしないでいいから、もう関わらないで」
川崎は冷たくそう言い放つがここで引き下がるわけにはいかない。
「別に俺はバイトをやめろとは言わない、ただこんなところで無理して朝まで働くのはやめろってことだ」
「でも、そうしたら...」
「お前の家の事情は把握しているつもりだ、だからこそ家族に心配をかけるな。俺にも1人妹がいる。俺もできれば妹には苦労はかけたくない、だからお前の気持ちも少しはわかるつもりだ」
「それじゃあなおさら止めないでよ...あたしは大志たちに迷惑をかけたくないの!」
「だったら、俺はもっといいバイト先を知ってるしお前、スカラシップって知ってるか?」
それから俺は川崎の説得を試みた。
「俺はお前ら兄弟の問題にまで踏み込む気は無い。もう一度弟とよく話し合ってみるんだな」
「...うん」
どうやら俺の説得は川崎まで届いたようだ。
きっともう、大丈夫だろう。
こうして俺たちはバーを後にした。
...予想より遥かに値段が高かったな。
おかげで俺の小遣いが一気に消えた...
*****
あれから川崎は弟と話し合ってあのバイト早めることにしたらしい。俺の提案も受け入れてくれるようだ。
「その...ありがと...」
あの後川崎から感謝を伝えられた。
そして俺が紹介した新しいバイト先とは...
そう、spaceだ。
俺は川崎にライブハウスで働いてみないかと提案したのだ。
あそこなら年齢をごまかさずともバイトができるだろう。
こうして俺に依頼された面倒事は無事解決されたのだった...
*****
兄弟、それは最も近しい他人である。
これは事実だろう。
だがしかし、だからこそお互いなら信頼し合うことができるのだろう。
俺も小町もそのことを再確認できたな...
そんなことを俺はギターを弾きながら考えていた。
すると小町が俺の部屋に入ってきた。
「お兄ちゃん、今、大丈夫?」
「ああ、どうしたんだ小町?」
「やっぱりね、小町ギターを弾きたい。だからギターを小町に教えて」
っ!予想外の内容に俺は驚く。
以前も小町に同じことを言われた俺は小町を傷つけるのを恐れて小町にギターを弾かせまいと躍起になったのだ。
諦めていたと思ってたが...
弟や妹は姉、兄が思っている以上に成長しているのだと実感したばかりだ。
なら、俺の出せる答えは1つだけだ。
「ああ、分かった。絶対途中で投げ出すなよ?」
「うん!」
その時見た小町の笑顔は今までより少し大人びて見えたのだった...
川崎さんとの出会いは作者の能力の関係でだいぶ都合のいいように改変してしまいました。
そして小町がギターを弾きたがったのは兄に対する憧れによるものです。
次回ではRoseliaの前での八幡の演奏を書いていきます。