やはり俺がバンドを組むのはまちがっている   作:静寂な堕天使クロノス

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今回は八幡がバンドから抜けて少ししてからの頃の話を書きます。
具体的には友希那さんとどう出会ったかを書きます。


番外編

ーある日のことー

 

戸塚達とライブに行ってから数日経った日のこと昼休み俺は戸塚や材木座と昼食をとっていた。

 

「そういえばさ八幡、こないだライブ行った時にRoseliaのボーカルの人と知り合いだったけどどういう関係なの?」

 

「そうだぞ八幡!我を差し置いて何をあの様な可憐な少女と知り合いになどなっているのだ!このラノベ主人公が!」

 

「いやどういう意味だよ.....」

 

「それは是非ともどういうことか聞かせてもらいたいわね?」

 

な、なぜここにいるんだ!

などとふざけているのはやめといたほうがいい雰囲気だな、うん。

 

「なんでここにいるんだ、雪ノ下?」

 

「あら?私がいたら話さない様なことなのかしら?」

 

「そうなんですか、先輩!」

 

「いやそんなわけないなだろ.....」

 

「なら話してよ〜、あたしも気になるし」

 

一色に由比ヶ浜まで....

 

まぁ別に本当に話してもなんの問題もないことだしいっか。

 

「少し長くなるぞ?」

 

「じゃあ話してよ八幡!」

 

「分かったよ」

 

そうあれは冬の寒い日のことだったな.....

 

*****

 

 

もうバンドを抜けてから1ヶ月か.....

あいつらとはあれから一切の会話をしていない。

それでもギターだけはやめられなくて、今も月に一回はspaceでギターを弾かせてもらっている。

雪ノ下たちと予約が被らないようババァに無理言って予約の予定を教えてもらっているので雪ノ下たちと会うこともない。

 

「やっぱ、ものたりねぇな.....」

 

1人でギターを弾く、それはかつての当たり前だったはずなのに今はそれがとても寂しくまたみんなで弾きたいという気を起こしてしまう。

 

「このままじゃぼっちの名が廃るな...」

 

自嘲じみた笑みを浮かべてそれでもギターを弾き続けるのはやはり俺の未練の表れ、といったところなのだろうか。

気づくともうすぐ時間も終わってしまう。

俺は帰りの支度を始め、スタジオを後にした。

 

「じゃあ次はこの日で....」

 

受付で次の予約をしてから俺はspaceから出ようとした。

 

「あなた、比企谷八幡よね?」

 

が、急に見知らぬ女の子から声かけられたんだけど

あれ?俺ラノベキャラにでもなったの?

 

「あ、ああ、そうだが....」

 

「そう、なら単刀直入に言うわ」

 

なんというか少し強引な子だなぁ

あれ?まてよ?俺がラノベ主人公ならこの後だいたい何かに巻き込まれる流れじゃね?

めんどくさいのはやだよ?

 

「私と組んで頂点を目指さない?」

 

「は?わ、悪い。組んでっていうのは何でだ?」

 

「もちろん、バンドよ」

 

母さん、父さん、小町、そしてかまくら、俺やっぱりラノベの主人公になれたみたいです。

 

「八幡?八幡?聞いてるの?」

 

「わ、悪い、でなんだっけ?」

 

「聞いてなかったのね....返事はどうなの?」

 

「返事も何もなんで俺なんだ?俺以外にももっといいやつがいるだろ」

 

「いいえ、私は少し前からあなたの練習風景を見ていたわ、私の目標のためにもあなたのようなレベルの高い人が必要なの」

 

「それこそもっとレベルの高いやつが....」

 

「私が見てきた中であなたの演奏はトップクラスよ。それどころかプロ同然ですらあったわ」

 

「それでも初対面でこちらはお前のことを何も知らないままバンドなんて組めるわけないだろ」

 

「そう、なら今度私と一緒に演奏してみない?そうしたらきっと納得してもらえると思うのだけど」

 

ご、強引だな、よほどその目標を達成したいみたいだな。

だがどうするかもう断れる雰囲気でもなくなってしまったんだが....

 

「わかったよ、それでお前名前はなんていうんだ?」

 

ほんとに今更だが名前を尋ねる。

 

「友希那、湊友希那よ」

 

なんだかその名前はその少女にとてもあっている気がした。

 

「そうか、ならこの日は空いてるか?」

 

「ええ、問題ないわ」

 

「じゃあその日のこの時間に....」

 

その後湊とは詳細な集合時間を決めてから別れた。

あった時から感じていたがやはりあいつは....

 

*****

 

夜、今は1人で考えている。

俺はなぜあんな話を断らなかったんだ、いや理由などわかっている。

湊はあいつに、俺を変えてくれたあいつに似ているのだ。

そう、俺が初めて共に演奏をした少女、雪ノ下雪乃に.....

 

纏っている雰囲気、長い髪、さらには少し強引なところ、話し方さえ似てるように感じてしまった.....

 

俺はこのままあの少女とバンドを組むことがあるだろうか?

きっとないだろうな.....

結局ステージの上でも俺はぼっちだったのだから.....

 

あれから俺は随分卑屈になっちまった、いやひねくれてた時に戻ってしまったなぁ.....

そうして俺はあれからなんだ浮かべたかわからない自嘲の笑みをまた浮かべたのだった....

 

*****

 

「比企谷君?あの人とバンドを組んでしまうの?私たちを捨てて?」

 

違う、違うんだ雪ノ下。俺にはその気は.....

 

「ならなんであの時すでに断らなかったの?ヒッキー答えてよ」

 

「わたし達とは遊びでバンドをやっていたってことなんですか、先輩?」

 

由比ヶ浜、一色ちがう、違うんだ。

 

どんなに声にして否定したくても声が出ない、それでも3人はまるで俺の考えがわかっているかのように微笑む、それは諦めの微笑にも、俺が新しいバンドを組もうとしていることをむしろ喜んでいるようにも見えてしまった.....

 

*****

 

「....夢か」

 

そう、あれ夢だ。あいつらを裏切り傷つけた俺の罪悪感が生み出した空想に過ぎない。

なのに、なのになぜこんなにも俺は今日湊と共に演奏することに罪悪感を感じているのだろうか?

それでも、、約束は守らなければならないだろう。

 

「それじゃ行くか....」

 

だいぶ重い足を無理やり動かすようにして俺は家を後にするのだった。

 

いつもより少し歩く速度が遅かったせいか俺にしては珍しくかなり余裕を持って家を出てきたつもりがもう約束の五分前だ。

まぁ遅刻しなかっただけよしとするか。

 

「おはよう、ちゃんと時間通りね」

 

やはり予想通り湊はもうすでにいた。

雪ノ下と同じく時間にはうるさそうだからな.....

 

「おはよう、それでもう準備はいいのか?」

 

「ええ、問題ないわ」

 

「そうかなら早速いくぞ」

 

演奏が終わったとき、率直に俺はこう思った。

湊は天才だと、その声量の生み出す迫力は相当なものだ。

これなら本当にプロだって目指せてしまうかもしれない。

.....かつての俺や葉山のようにいつか声をかけられるかもしれない。

その時にこいつの周りのやつはどうなるのだろうか?

俺は、俺はその時に間違えた、選択をじゃない、対応をだ。

あの時の選択自体は間違っていない、そう信じるしかない。

ただその後のあいつらの気持ちは何一つとしてあっていなかっただけなのだ.....

 

「八幡?またボーっとしてどうしたの?」

 

「わ、悪い」

 

「いいえ、それよりも今の演奏はなんなのかしら?」

 

「なにっていつも通り弾いただけだが?」

 

実際その通りのはずだった、俺はいつも練習してたように弾いたはずだ。

なぜそんな不満げな顔で湊は俺を見上げるのだろうか?

 

「そんなはずはないわ、今日のあなたの音は聞いていて不快だったわ」

 

「なんでお前にそんなことがわかるんだよ?」

 

なんだか朝からの気分の悪さと合わさってだいぶトゲのある声が出てしまった。

 

「いいえ、明らかにあなたの音は普段と違ったわ。普段よりも気持ちが全然入っていなかった」

 

「お前はほとんど俺の演奏なんて聞いたことないだろ?」

 

「そうね、なら白状するわ。私があなたの音を最初に聞いたのはあなたが1人で演奏していた時ではないの」

 

「それって.....」

 

「そう、あなたが4人で演奏していた時よ」

 

「そうか....」

 

「卑怯な話なのだけれど、私はあなたの演奏を初めて見た時にあなたが私の目標のために必要だと思った。でも、ステージ上のあなた達はあまりにも輝いていて....とてもではないけれど私が声かけてもあなたがついてくるとは思えなかった....」

 

「つまりお前は....俺がバンドから抜けたのを知って...」

 

「ええ、率直に言ってチャンスだと思ったわ。でも、今はっきりとわかった。あなたはまだ何か引きずっているわね?」

 

....っ!見抜かれてるな、俺自身もそれは自覚していることだ。

 

「ああ、色々な.....」

 

「そう....私はあなたのその悩みを聞いたとして恐らくなにもできないししようとも思わないわ」

 

「そんなやついらないってことか....」

 

「いいえ、そういうわけではないわ。ただ、そういうことは自分で決着をつけなくては前に進めないのよ。誰かに解決してもらったとしてそのあともその過去はあなたの足かせとなっていつか前に進まなくなってしまう....そんな気がするの」

 

厳しいやつだ....でもだからこそこいつの考えは道理だ。

 

「サンキュ、なんかお前のおかげで少し目が覚めたわ」

 

まだ、前に進めたわけじゃない、でも前に進みたいとは思えた。

きっと世の中大切なのは結局そこなのだ。

前へ進もうとしなければ転ぶこともない....

そこからまた立ち上がり再び転ぶことを恐れず前に進もうとする姿勢

俺に必要なのはそれだった。

 

「だから、あなたことは一度諦めることにするわ」

 

「そうか....でもお前ならきっと俺よりもいい音を奏でられる仲間に出会える、そんな気がする」

 

「あら?それは信用していいのかしら?」

 

「信用だけはするな、何せこちとらぼっちだからな」

 

「なぜ、自慢げなのかしら.....」

 

そりゃ俺が唯一続けてることだからな!

....悲しいなぁ

 

「それに....なぜなのかしらねあなたと演奏していると落ち着かないの」

 

えっ....気持ち悪すぎてってこと.....

最後の最後に俺の存在を....

そういえば心なしか少し顔が赤い....

 

「俺が近くにいると空気が悪くなるらしいからな.....」

 

ちなみにこれは小学校時代に実際に言われた言葉だ。

あれ、目から汗が....

 

「いえ、別にそういう意味ではないの。ただ少し鼓動が早まる感じがあるってだけで....」

 

「体調悪いなら無理はするなよ?」

 

「ええ、しっかりと管理してるから大丈夫よ」

 

「でもやっぱ心配だし、今日はこの辺でやめとこうぜ」

 

実際、話してたら割といい時間になってきてるしな。

 

スタジオを出てからのこと。

 

「俺はまた次の予約してくから先外に出てていいぞ」

 

「ええ、わかったわ」

 

そうして俺が予約をすませ外に出ると....

雪が降っていた。

そしてその先を見ると....

 

「にゃーん....かわいいにゃ〜」

 

え?これは俺の幻覚?

気のせいでなかったらさっきまで迫力ある声で歌っていた人が猫にデレデレしてる様な気が....

 

俺が呆然と立ち尽くしていると湊は俺に気づき、固まった。

 

「....見た?」

 

「いや、別に俺はなんも見てないぞ?猫くらいしか....」

 

その瞬間湊の顔が真っ赤になる。

 

「で、できたら忘れてちょうだい」

 

正直忘れられる気はしない、それほどまでに猫と戯れていた湊は可愛かった。

 

「ぜ、善処する....でも猫は可愛いしお前が好きなのもわかるが....」

 

「それでも...やっぱり恥ずかしいもの....」

 

「そうか?俺の家でも猫飼ってるけどそんなふうに可愛がっててもバカにする奴なんていないぞ?」

 

そもそもうちに来てその様子を見たことがあるやつなど本当に片手で数えられる程度しかいないのだが....

 

「今度、その猫を見せてもらえるかしら?」

 

さっきあんなこと言っといて隠す気ゼロじゃねーか....

 

「また機会があったらな」

 

「そうね、次会ったときには最高の演奏を聞かせてみせるわ」

 

「そうか、楽しみにしておく」

 

そう言って俺は歩き出した、ふとした時に振り返ってみたが湊の姿は儚い雪の様に消えてしまっていた....

 

だから俺も前を向いて歩き出した。次あいつの前で演奏する時には胸を張って演奏しようと心に決めて.....

 

*****

 

「....こんなところかしら?」

 

八幡とライブ会場で会った後の打ち上げでリサから八幡との関係を疑われ出会った時のことを話すことになった。

特に変わったこともないのだけれど

 

「それでも友希那のことを忘れるなんて八幡ってかなりすごいね〜」

 

「そんなに私って記憶に残るかしら?」

 

「「「残ります(ね)」」」

 

それは喜ぶべきことなのかしら.....

 

「まぁライブの時の友希那はそうそう忘れられないと思うよ〜」

 

「でも、本当に比企谷さんをスカウトしなくてよかったんですか?」

 

「そうね、今思えばそれは.....」

 

*****

 

「まぁ、こんなところだ」

 

「なるほど、つまりあなたは湊さんに捨てられたってことでいいのかしら?」

 

「おい、それは事実だとしてもいうなよ....」

 

「いや普通は捨てられたことを否定しますよ....」

 

「でも、実際湊さんからそのあと何も連絡なかったんでしょ?」

 

「そうだな」

 

「だが八幡、本当にその様な才能あるものと組まなくても良かったのか?」

 

「あ?話聞いてたか?今も答え出せずに悩んでる俺がその時組めるわけねーだろ。それに、なんていうかな.....」

 

「「今(前)のメンバーよりしっくりこなかったのよ(んだよ)」」

 




今回は割と早く次の話がかけましたね。
また不定期で更新していくのでよければ読んでください。
次回は多分本編にもどります。

余談ですが割と本当に最初の友希那さんの印象は雪ノ下に似てるなって感じでした。
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