やはり俺がバンドを組むのはまちがっている   作:静寂な堕天使クロノス

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その人たちのためにも頑張って書きますよ〜


第20話

言われてみれば不思議なことではなかったようにも思える。

確かに俺は氷川(妹)に会った時に何か誰かに似てる気がしたのだ。

なるほど氷川(姉)に似ていたように思えたのか.....

 

「お姉ちゃんのお客さんって八幡君だったんだ〜」

 

「日菜?八幡さんと知り合いだったの?」

 

「うん、こないだのイベントでこんなことがあってね〜」

 

氷川(妹)は手短にこないだの丸山の時間を話した。

 

「あの後も彩ちゃんスッゴイ不安がってたんだよ?何回もこんなメールで大丈夫かなぁってあたしに聞いてきたくらいだからね〜」

 

そんなに気にしてたのかよ.....

あの時来たメールはそんなに考え込まれたものだったとは.....

 

「なるほど、丸山さんらしいわね」

 

「氷川は丸山に会ったことあんのか?」

 

「はい、それに日菜からちょくちょく話を聞いているので」

 

なんか氷川(妹)は人と関わるのが好きだよな

俺とは真逆だな、羨ましくはないが....

それに氷川(姉)ともあんま似てないな....

 

「ところでさ〜八幡君、さっきからあたしとお姉ちゃんのこと氷川って呼んでるけどそれだと紛らわしいから名前で呼んでくれない?」

 

あ、確かにそれもそうだが....女子を名前で呼ぶのはいまだにあまり得意ではない。

なんで葉山はあんな簡単そうに名前で呼べるんだよ....

やっぱ陽キャってすげーわ。

だけど呼ばないと納得しなさそうというかなんというか.....

 

「ああ、わかったよ日菜」

 

ああああああ何普通に呼んじゃってんだ俺!

気持ち悪いとか思われたらどうすんだよ!

てか、あいつから言ってきたことだからそう思われたら理不尽すぎるだろ!

名前で呼んだことの恥ずかしさから俺の脳内はおかしなことになっていた。

どこもかしこもオーバーヒートしている.....

 

「ほらお姉ちゃんのことも」

 

「え、わ、私は別に....」

 

「ああ、紗夜....」

 

そのままの勢いで2人目も名前呼びしてしまったのも仕方ないだろう、だって脳内がバグを起こしてるんだもん。

 

「あの、その、えっと.....」

 

ほら、そのせいで紗夜も顔真っ赤にして気持ち悪がっちゃってるじゃん!

 

「あはは、2人とも顔真っ赤〜。りんごみたい!」

 

「ひ、日菜茶化さないで!」

 

やっぱ俺も顔赤いのか....

くそっ!勉強をするような頭じゃなくなってまったぞ.....

 

「と、とにかく八幡さん行きましょう」

 

え?リビングでするんじゃないの?

と考えているとある部屋に通されるが、そこは.....やはり

 

「あまりじろじろ見ないでもらえますか.....」

 

紗夜の部屋だった.....

なんというか、よく掃除されているからというのはもちろん必要最低限なもの以外部屋に置いてないからかすごい清潔な部屋だ。

 

「では、勉強を始めますか。私も自分の勉強を進めているのでわからないところがあったら聞いてください」

 

そこで俺は迷う、なにをかってどの教科を勉強するかだ。

普通なら苦手教科である数学をやるべきところなのだが、あれやったところでできるようになる気がしないからなぁ.....

 

「そういえば八幡さん言い忘れていましたが、八幡さんの苦手教科をやってくれませんか?そちらの方があなたの勉強になりますからね」

 

.....逃げ道は封じられた。

仕方ない、数学をやるか.....

 

*****

ー1時間後ー

 

「どれほど進みましたか?」

 

紗夜が俺のノートを覗き込む、がそれははっきり言って無意味だ。

なぜなら.....

 

「なぜ白紙なのですか!一問も進んでいないじゃないですか!」

 

「そりゃ全部分からないからな」

 

「なぜそんなに自慢げなんですか.....一問もわからないというのはどういうわけですか?」

 

「授業中寝てるからな」

 

「大問題じゃないですか!」

 

そ、そこまで怒るとは.....

 

「全く.....ここからは私が一問ずつ見ていきますからやってみましょう」

 

ふっ、これも作戦通りこれでずっと教えててもらえるな。

えっ?最初から聞けよって?そうだなその通りだ。

だがな、そしたら紗夜に迷惑かかるだろ?

....結果的にこっちの方が迷惑かかってるのは分かってるから言うな。

 

「では、まずこの問題ですがこれはですね.....」

 

*****

 

し、死ぬかと思った.....

1時間であれだけのことを詰め込まれるとは.....

でも紗夜教え方うまいな、俺でも理解できるくらいわかりやすく説明してくれたぞ。

 

「では、この問題を解いてみてください」

 

「えーと、これは....剰余の定理を使って....」

 

「そうですね、正解です。そうしたらもうお昼時ですし昼食をとりましょうか」

 

そういえば俺昼飯何も用意してきてない.....

どうするか....

 

「何か準備するので少し待っていてもらえますか?」

 

え?何か作ってくれるってこと?女子が作ってくれるなんて.....小町を除けば初めてのことだな....

本当にいいのだろうか?

 

「わざわざいいのか?」

 

「ええ、気にしないでください。それにその様子だと何も用意してないのでしょう」

 

そこまで見抜かれているならこの際厚意に甘え切ることにしよう。

 

「なら頼む、悪いなわざわざ」

 

「あまり期待はしないでくださいよ?」

 

そう言って紗夜は部屋を出ていった。

 

*****

 

紗夜が部屋を出てからすぐのこと、突然部屋の扉が開いた。

 

「紗夜?早かったな....」

 

紗夜かと思ったのだがそこに立っていたのは....

 

「あたしだよ、八幡君!」

 

「ああ、日菜だったか。悪い間違えて」

 

「気にしないでいーよ、それよりさ....」

 

「ん?なんだ?」

 

「お姉ちゃんとはどんな感じで知り合ったの?」

 

突然何を言いだすんだ?そんなことを知ってどうするつもりだろうか?

 

「別に変わったことはないぞ?たまたま友達とライブ見に行った時にあいつのバンドを見てその中に古い知り合いがいてそれで色々あって話すようになったんだ」

 

「なるほどなるほど.....それじゃあさ!八幡君はお姉ちゃんのことどう思っているの?」

 

「な、何を聞いてんだよ」

 

「いーじゃん、教えてよ〜!」

 

「別に、真面目で優しくていいやつだと思ってるよ.....」

 

本人がいないとはいえこう言うことを言うのはすごい恥ずかしいな.....

 

「ふーん、それじゃあ最後にさ.....」

 

なんだかさっきより幾分真面目っぽい雰囲気になったな。

 

「お姉ちゃん、何かあたしに言ってたりしない?」

 

「どうしてそんなことを聞くんだ?」

 

「一時期さ、あたしとお姉ちゃん、あんまり仲良くなかった時期があったんだよね.....」

 

こないだ紗夜が俺に話してたことか、妹に対するコンプレックス.....

あいつはそれにとても悩んでいた.....

あれから、妹に向き合うと言っていた紗夜はきっと前よりは変わってきたのだろう。

それでも、日菜は不安に思ってしまうのだろう。

また、前のように2人の距離が離れてしまうのではないか....と

 

「あたし、昔から他の人のことが考えれてないってよく言われるの。それでね、パスパレに入ってから他の人の考えっていうのも少しはわかるようになったかな〜って思ってたんだけどね。またお姉ちゃんと前みたいになっちゃわないかなって思うと不安で仕方ないの.....」

 

これが、この明るい少女が人前で見せない顔なのだろうか.....

今、日菜は不安でいっぱいになっている。

なら、俺ができることは、その思いが溢れるその思いを受け止めてやることだけだ。

 

「俺が偉そうに言えることじゃないってのはわかってるんだけどよ.....

お前が思ってる以上にあいつはお前のことを考えてると思う。この際言っちまうけど確かに少し前まであいつはお前とのことで悩んでた。

なんでお前ばっかり....ってな」

 

「やっぱり、あたし....お姉ちゃんを傷つけてたのかな?」

 

「ああ、多分な」

 

今この少女に必要なのはその場しのぎの嘘ではない。

真実を知った上で向き合わせる厳しさ、多分そうだ。

 

「でもな、それ以上にお前のことを....大切に思っている」

 

「そんな悩みを話している時でさえあいつの顔は.....姉の顔だった」

 

自分でももう何を言っているかわからない、でも伝えなければいけない。

 

「ここに来るまで、あいつはお前のことばかり話してたぞ。あいつはあいつなりにお前との関わり方を変えようとしている。あいつの話から聞くとお前は天才肌だろ?だからうまくいかないことをもどかしく思っちまうのかもしれないけど、お前にできるのは紗夜と一緒にゆっくりとでも変わっていくことだ」

 

「お姉ちゃんが....八幡君の...を....きになったのも....なぁ」

 

?何か小声で日菜が言っているがよく聞こえないな?

 

「ありがと!八幡君のおかげで なんかわかった気がする!」

 

もう先ほどまでの怯えた少女はいなかった。

そこにいるのは、名前の通り日の光のような笑顔を浮かべる少女だった......

 

「八幡さん、昼食の準備ができまし....」

 

ちょうどそこに紗夜が戻ってきてしまった....

 

「日菜?八幡さんと何をしているの?」

 

俺は、この顔を知っている....

時折雪ノ下たちが浮かべていた、笑っているのに笑っていない顔だ。

こ、こわい、なぜ女子というのはこの顔を浮かべるとここまでの迫力が出るのだろうか.....

 

「別に、ただ八幡君とおしゃべりしてただけだよ〜」

 

なぜ日菜は俺の方に少しやってきてるんだ?

やめろよ、紗夜の顔がさらに迫力がさらに増してるから.....

 

「なぜ勉強途中の八幡さんに話しかけているのかしら?」

 

「だって休憩中でしょ?だったら問題ないじゃん」

 

なんか2人の間に火花が見えるんだが.....

 

「まぁ実際休憩中だったし、暇してたのも事実だから....」

 

「.....八幡さんがそう言うなら」

 

「それより昼を用意してくれたんだろ?悪いけど腹が減っちまったから早く食べさせてくれないか?」

 

俺は別にそこまで腹は減っていないがこの場の雰囲気を変えねば.....

 

「そうですね、ではリビングまで....」

 

*****

 

その後もいろいろなことがあった。

俺たちと一緒に昼飯を食べることになった日菜と紗夜が俺の正面を争い出したり.....

 

午後から日菜まで勉強会に参加すると言い出して少し紗夜と言い合いをして結局参加することになったり....(その後紗夜の予想通りすぐに飽きていたが)

 

そんなこんなでもうだいぶいい時間になり....

 

「今日は急に悪かったな」

 

「いえ、私も教えながら自分の復習になりましたから」

 

「そう言ってもらえると助かる」

 

「今度は勉強とかじゃなくて普通に遊びにきてね!」

 

「いや、それはハードルが.....」

 

「別に気にしなくてもいーのに」

 

いや、気にするだろ.....

 

「それじゃあ...."またな"」

 

自分で言って気づいたが.....

またな....か。

前ならじゃあなだったのにな.....

俺も変わったのかもな......

 

昼と夜が出会う夕暮れに俺はそんなことを思うのだった.....

 

*****

 

「ねぇ、お姉ちゃん」

 

「なに、日菜?」

 

「お姉ちゃんはさ、八幡君のことどう思う?」

 

「急にどうしたの?」

 

「いや、ただ気になっただけだよ」

 

「全くもう、本当にあなたは気まぐれね」

 

昼と夜が出会う時間に2人の少女はお互い顔を見合わせ笑いあうのだった。

 

お互いに本当の気持ちをどことなく気づいてはいたがそれが確信に変わるのも....また先の話

 

 




今回はだいぶ早く書き上げることができました。
今回の話もまた感想、評価してくださると嬉しいです。
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