やはり俺がバンドを組むのはまちがっている   作:静寂な堕天使クロノス

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今回から夏休みに入っていきます。
なるべく全バンドと違った思い出を作らせてあげたいものです。

最近こないだまで運が良かった代償かバンドリのガチャ運が悲惨なことになり出しましたw


第27話

 

今日は待ちに待った終業式である。

この日が嫌いというやつなどよほどきつい運動部くらいだろ。

葉山が去年の夏は思い出したくないとか言ってたしな、やっぱ運動部って怖い。

 

「あ!八幡、こないだ話してたことなんだけどさ...」

 

「ああ、みんなで出かけようって言ってたあれか」

 

「そうそう!あのあとみんなに予定を聞いたんだけどね、8月のこの日はどうかなぁ?」

 

「おう、その日も予定はないから大丈夫だぞ」

 

「ならよかったよ、それでね、今のところみんなで海に行かないかって話になってるんだけどそれでいいかな?」

 

海かぁ....

海ってリア充の巣窟のイメージであまり好きじゃないんだよなぁ.....

ん?まてよ.....海に行くということは泳ぎに行くってことだよな....

ってことは水着が必要になる、すると戸塚の水着姿が見られるのか!?

 

「よし、海に行こう、むしろそれしかありえないだろ」

 

「八幡も海が好きなんだね!僕も海で泳ぐの好きなんだ!」

 

戸塚と一緒に....海に.....

 

やべ、想像してたら頰が緩んで....

危ない危ない、危うくクラスメイトに気持ち悪がられるとかはだった。

って、俺のことなんて誰も見てないか、はっはっはっ

 

テンションがだいぶおかしいことになってきてるな、これが夏の魔法ってやつか?

 

「楽しみにしとく」

 

「うん!絶対にみんなで行こうね!」

 

「おう」

 

*****

 

その後終業式を終えクラスでHRを済ませたらばもうそこにあるのは夏休み!

だけど.....別にやることもなかったんだよなぁ....

 

「あっ!ヒッキー!」

 

この声は....まぁ考えるまでもなくあの呼び方するのはあいつだけだよな.....

 

「なんだよ、由比ヶ浜?」

 

「ううん、見かけたから声をかけただけだよ!」

 

「雪ノ下たちは一緒じゃないのか?」

 

「今待ち合わせしてるとこ、この後すぐに練習行くからね」

 

「相変わらず熱心だな」

 

「だってもっと上手くなりたいし!」

 

「そっか....」

 

「結衣ちゃんおまたせ〜、って先輩?」

 

「おう、お前は久しぶりだな」

 

由比ヶ浜とは同じクラスだからちょくちょく話したりもするがこいつと雪ノ下とはそこまで関わる機会もなく話すの自体が久しぶりになってしまうことも珍しくない。

 

「またせてしまったかしら、ごめんなさい.....。で、なんであなたがいるのかしら、比企谷君?」

 

「たまたまここで由比ヶ浜とあっただけだ」

 

最初の頃はマジでこんなことを真面目な顔して聞いてくるからめちゃくちゃ嫌われてるのかと思ってたがこいつの場合マジで純粋に聞いてるだけだからなぁ....

 

「ヒッキーも彩ちゃんから話聞いてるよね?」

 

「ん?ああ、海に行くっていうあれだろ」

 

「そうそう!あたしたちが一緒に出かけるなんてすっごい久しぶりじゃない?」

 

「んー確かにそうだな、てかそもそも元から俺はそんなお前らと出かけてなかっただろ?」

 

「それは先輩が毎回断るからですよ〜」

 

「そうね、毎回めんどくさいの一言で断るんだもの」

 

「いや、それは俺なりの気遣いであってだな....」

 

だって女子3人と出かけるのとかハードル高すぎない?

むしろ数回でも一緒に行ったのが奇跡だよ?

 

「まぁそんな細かいことは置いといて」

 

置いとくなら最初からその話をしないで欲しいんだけど.....

 

「楽しみにしてるね!」

 

「私も楽しみにしてます!」

 

「.....私もよ」

 

雪ノ下まで珍しいこともあるもんだな、冗談じゃなく雪とか降るんじゃないか?

 

「あなた、今失礼なことを考えたわね?」

 

「いや、そんなことないぞー」

 

「あなたは隠し事が下手くそなのよ」

 

「そうですね、わかりやすいです」

 

え?そんなに?俺的には上手く誤魔化せてると思ってたのに.....

恥ずかしい.....

 

「え?そうなの!?あたし全然気づかなかっただけど!?」

 

あーよかったー1人だけめっちゃ俺のこと信用してくれてる奴いたわ....

 

「あなたはそのままでいいと思うわ」

 

「えーそれなんかひどいし!」

 

この空気懐かしいなぁ.....

 

やっぱもうそろそろだよな。

 

「雪乃さん、やっぱりここで伝えた方がいいでよね?」

 

「そうね、それがいいと思うわ」

 

なんか話し合ってから由比ヶ浜が繰り出す。

 

「あのさ、ヒッキー。夏休みの終わりにあたしたちライブをするんだけどさ.....そのライブで私たちの今の音聞いてくれないかな?」

 

「私たちあれからたくさん練習しました」

 

「もし、あなたが戻りたいと言った時にいつでも迎えられるようにしてきたの....だから、一度でいいから聞いて欲しいの」

 

今までで1番真剣な顔でそう頼まれる。

そして俺の返事ももう、決まっている。

 

「行かせてもらう、俺もちょうどお前らに話したいことがあるしな」

 

俺の返事を聞いて3人とも顔が明るくなる。

 

「それなら、ここで話してるわけにはいきませんね」

 

「そうね、すぐに練習しないと」

 

「そうと決まったら早く行こうよ!」

 

「頑張れよ」

 

「ええ、楽しみにしててちょうだい」

 

そういうと3人は去っていった。

 

「俺もとりあえず帰るか....」

 

*****

 

「そういえばさ、ヒッキーにあのこと言っとかなくて大丈夫だったかな?」

 

「あー確かにいうのを忘れてましたね」

 

「彼ならオーナーとも仲が良いのだし、もう聞いてると思うわ」

 

「でも本当に残念だよねー」

 

「でも、こればかりは私たちがどうにかできる問題でもないし....」

 

「そうね、思い出の場所だものね....」

 

そう、それでもそれは避けれぬ運命なのだから.....

 

*****

 

ー夏休み初日ー

 

あーやることねー

ぼっちかつ部活もやってない、そのため本気で予定と呼べるものが少なすぎる....

 

家にいても暇だし....

そういや、戸山たちはオーデションうまくいったのだろうか?

気になるな....

 

『今、市ヶ谷のうちで集まってたりするか?』

...と、前ならこんな感じに自分から連絡とかなかなかありえないことだな....

 

これで返信待つか.....

 

それからおよそ一時間後

 

『はい!今みんなで有咲の家の蔵で集まって練習してます!!』

 

『それならこれから向かっても迷惑じゃないか?こないだの続きを見たい』

 

『もちろんです!待ってますね!!』

 

メールでも元気なやつだな.....

とにかく準備して向かうか.....

 

あいつらのことだしきっと大丈夫だと思うけど....'

 

その後俺が準備を終えて市ヶ谷家に着いたのが約30分後、もう俺も何度か来てて市ヶ谷のおばあさんに顔と名前覚えられてきてしまった。

ほんと、こんな深い関わりができるなんてな....'

 

「邪魔するぞ」

 

「あ!八幡先輩!」

 

んでもって戸山のこの反応もそろそろテンプレ化してきたな。

 

「おう、あれから調子はどうだ?」

 

「八幡先輩が前に来てくれた時の後....やっぱりまだ何がダメなのかわからなくって....」

 

そこで戸山の言葉が途切れその代わりにりみが言葉を繋ぐ。

 

「でもね、私たちちゃんと何が足りてなかったのか気づけたんだ」

 

「私たちはまだ、足りてないところがたくさんある」

 

「でも、それをみんなで埋めればいいんじゃないかって....」

 

「ポピパは、5人でポピパなんだって」

 

りみの言葉は山吹、市ヶ谷、花園が繋ぐ。

 

「そっか、やっぱりしっかり気づけるんじゃねーか」

 

「八幡先輩がアドバイスしてくれたからです」

 

市ヶ谷は謙遜するがそれは違うと否定しないとな。

 

「あの時も言ったけど俺はアドバイスなんかしてない」

 

「八幡先輩ってば素直じゃないんですから〜」

 

「お前せっかくいい雰囲気なのになんでそんな空気読まずに雰囲気ぶち壊すんだよ!」

 

ついツッコミを入れてしまった....

これじゃもう場の雰囲気が.....

 

「ま、香澄らしいな」

 

「そうだね」

 

気づけばみんな笑ってる、そうこいつらは自分たちで進めたんだ。

そのことはいつかこのバンドを支える強さになるのだと....

そう、俺は確信した。

 

「じゃあさ、せっかくだし先輩にも聞いてもらおうよ!」

 

「そうだね、今度こそ先輩に褒めてもらわなきゃね」

 

「八幡君聞いてくれる?」

 

「もちろんだ」

 

そのためにここに来たんだしな.....

 

「聞かせてもらうぜ、お前たちの音を」

 

それからポピパの5人は演奏をした。

その姿は見ている俺が思わず見入ってしまうほどに輝いていて....

そこにいたのは前の迷っていた少女ではなくありのままの、今出来る精一杯の自分たちを奏でる少女だった。

 

「どうでしたか?」

 

「そうだな.....」

 

5人は息を飲んで俺の感想を待つ。

 

「演奏はまだまだだな」

 

「そんな....」

 

「だけど、今までのお前らの中で1番いい演奏だった」

 

「え?でも、まだまだだって.....」

 

「確かにお前たちの演奏技術自体はまだまだだと言ったけどな市ヶ谷、技術があっても....気持ちがないバンドの演奏は聞いててつまらないと思うんだよ」

 

「今の私たちならspaceのオーディションに合格出来るかな?」

 

「それは俺が一概に言えることじゃないけど.....お前たちがそのまま5人でやってけば受かるさ、必ず」

 

「みんな聞いた!?八幡先輩が珍しく素直なこと言ってるよ!」

 

「やっぱお前はダメだ」

 

「えーなんでですかー!?」

 

「自分で考えろ」

 

「えーひどいですよ〜!」

 

「いや、香澄今のは流石に....」

 

「お前が悪いな」

 

「さーやに有咲まで!?」

 

この後も俺はこんなコントじみたことをしながらもポピパの練習に付き合うのだった。

 

*****

 

気づけばもう時刻は6時を過ぎて.....

 

「そろそろ小町が心配してる....いや、怒ってる頃かな」

 

「大丈夫なんですか?」

 

「ああ、連絡は一応入れてあるから...多分説教程度で済むだろ」

 

「八幡先輩も年長者としての威厳がないよね」

 

「おい、花園お前人が気にしてることなんのためらいもなく抉るのやめない?」

 

「え?私そんなことした?」

 

「え?自覚なし?」

 

「でも香澄よりは遥かにマシだろ」

 

「そんなにこいつもひどいのかよ.....」

 

「そんなことないですよー、私だってしっかりお姉ちゃんしてるんですから!」

 

「あはは、香澄いつも叱られてるじゃん」

 

「そんなことな....くもないかも.....」

 

ほんとに威厳ゼロなんだな....

 

「じゃあ今日の練習はここまでにして解散にするか」

 

「そうだね、私もうお腹ぺこぺこだよ」

 

「私も」

 

「私もお腹すいたな〜」

 

「じゃ、俺も帰るから、オーディション頑張れよ」

 

「「「「「はい!」」」」」

 

見事に揃った返事を返すポピパの声を聞きながら俺は家路につくのだった.....

 

*****

 

「じゃあまた明日も練習頑張ろうね!」

 

「そうだね、絶対に次のオーデションに合格しないとだね」

 

「次のオーデションが最後のチャンスだからね.....」

 

「絶対にみんなでspaceのステージに立とうね!」

 

「そうだな、ほんと急な話だったよな〜」

 

「私、今でも信じられない」

 

「こないだまでお前すごかったからな.....

 

「確かにあれは怖かったね....」

 

やっぱり私はこの5人でステージに立ちたい!

だからこの最後のチャンス掴んでみせる!

 

*****

 

ー翌日ー

 

今日は午後から予約を入れていたのでスタジオを訪れてギターの練習だ。

アブアル時代の頃の曲を練習するようになってからよりギターを弾くのが楽しくなってきてついつい練習時間も長くなる。

 

今回も危うくスタジオの使用時間を過ぎてしまいそうになったがギリギリのところで気づいて俺はスタジオを出た。

 

なんだかんだこのspaceのスタジオを使うようになってもう5年目になるのか?

なんか愛着も湧くもんだよなぁ。

 

「おや、そこにいるのはハチじゃないか」

 

「あ?なんだよババァ」

 

「相変わらずの挨拶だね、元気にやってるかい?」

 

「ああ、このスタジオのおかげでな」

 

「そうかい、それならこのスタジオの運営もしがいがあったってもんだね」

 

「何言ってんだババァ感傷に浸るほどではないだろ」

 

「そういえばハチにはまだ言ってなかったね」

 

「何をだよ?」

 

なんだろう、俺の中で聞きたくないという思いも強くなってきている。

それでも俺はババァに続きを急かした。

 

「ハチ、私はこの店をspaceを閉めるよ」

 

な....spaceを閉める.....?

ここは、俺にとって思い出深い場所だ。

自宅と同じか....それ以上に安らげたほどだ。

 

「そうか....あんたはもう....」

 

「ああ、もう私はやりきったよ」

 

「具体的には....いつ閉めるんだ?」

 

「8月の最後にライブがある、それでこの店は終いだよ」

 

雪ノ下たちが俺を誘ったライブで最後....

 

「あんたが立たないのは残念だけどね」

 

「それは...悪かった」

 

「あんたが素直に謝るとむず痒いねぇ」

 

オーナーは気を緩ませようといつも通りに振る舞うが俺にその強さはない。

 

「....とりあえず今日は帰るわ」

 

「ああ、閉めるまではここに来るんだろう?」

 

「ああ....」

 

店から出た後も俺は深い喪失感に苛まれ続けた。

今の俺には、海のことなど想像もできなかった.....

 

 




今回はここまでです。
8月でspaceとはお別れする予定は前から決めてありました。
こういう思い出深い場所がなくなるのは、辛いものがありますよね.....

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