やはり俺がバンドを組むのはまちがっている 作:静寂な堕天使クロノス
Afterglowのクリスマス復刻10連しましたけど爆死しました.....
出た人がとても羨ましいです。
お正月は何か当たるといいなぁ.....
「.....早く来すぎたかな」
現在時刻は8時30分ほど、スタジオの予約時間まで後30分ほどある。
久しぶりに4人で練習ということで遅刻だけはしないようにと思っていたのだがむしろだいぶ早く着いてしまった。
「あら?今日は早いのね、八幡?」
「まぁな」
そうしてると後ろから湊に話しかけられる。
Roseliaとはたまに自主練と時間が被ってて会うこともあったがこんな早くに会ったのは初めてのことだった。
「そういう湊こそ早くに来てるのか?」
「ええ、この場所での最後のライブに向けて全力を尽くすために」
流石、雪ノ下に対抗しうるストイックさだ。
.....俺には絶対に身に付かないな。
「.....そうか、頑張れよ」
「最後のライブまで、あなたがステージに立つところは見れないのね」
俺の言葉をまだ事情を知らない湊は誤解したらしい。
まぁ、まだ俺がバンドに戻ったことを知っているのは俺の関係者だと小町くらいしかいないしな。
「努力してみるがあのババァのオーデション結果次第だ」
俺たちがやりきれなかったことは一度たりともなかったけどな。
「え?でもあなたは.....」
「俺は、戻りたい古巣に戻れたんだよ」
なんだか分かりにくい表現を使ってしまったがそれでも湊には伝わったらしい。
「そうなの....またあのバンドで八幡が見られるのね」
「ああ、アブアルの演奏楽しみにしとけ」
「もちろんよ、私がどうしてあなたをスカウトしたかわかってるかしら?」
「いや、その俺のギターがお前の採点基準で合格をもらえたからじゃないのか?」
「ステージであなたが.....輝いていたからよ。今思えば、あれはあのバンドだからこそだったのね」
確かに湊にバンドを組まないかと誘われて一度一緒に音を合わせた時俺たちは揃って違和感を感じた、それは単に俺があいつら以外と演奏することに違和感を覚えた結果なのかもしれない。
「お前たちと同じステージに立てるように努力だけはしてみる」
「そう言っておきながらあなた、今不合格なんて全く考えてないって顔してるわよ」
「そう見えるか?」
実際その通りでもちろん死ぬ気での練習は必要になるが4人でならやり切れると思う。
「ええ」
こうやって俺なんかを待っててくれた人がいるんだなぁ......
そう思うとなんだか不思議な気分だ、こそばゆいというか......
「おはようございます湊さん、今日も早いですね」
「おはよう、紗夜」
「2日ぶりだな」
「あら、八幡さんもいたのですね」
さっきの湊と同じようにこの時間に俺がいることに少し驚いているらしい。
「それはそうよ、私たちにライバルができたのだもの」
「ライバル?」
突然の発言に紗夜は不思議そうにしている。
「勝手に人のバンドをライバル認定しないでくれますかね.....」
「あら?それを決めるのはあなたではないでしょう?」
「お前でもないだろ.....」
正直そんなの誰でもないと思うが.....
「えっとそれはつまり.....八幡さんが.....」
紗夜はこの流れだけで事の流れを察したらしい。
「まぁそういうことだ」
「.....よかったですね」
「サンキュー」
「わかったでしょう?私たちが頂点に立つためにもさらに練習をしなければいけないわ」
「そうですね、同じギターとして負けるわけにはいきません」
まぁ音楽に勝ち負けなんてものはないのだが感覚的に相手の方が上手いと思うこともある。
当然俺だってプロの演奏とかを聞けばそんな気分になることもある。
「おっ!友希那に紗夜、それに八幡もおはよー!」
「おはようございます」
「おはよう、リサ」
Roseliaはみんな集合時間の10分前には来るのか?
だとしたらこいつら優秀すぎるだろ。
修学旅行とかでもこいつら絶対送れないタイプのやつだな。
「おはようございます!!」
「おはようございます......」
タイミングよくあこと白金も集合してくる。
「まだ少し早いけどスタジオにはもう入れるかしら?」
「確認してみましょうか」
「2人ともいつにも増してやる気充分だね〜。なんかいいことでもあったの?」
「私たちに、と言うよりは八幡に.....かしら?」
「私たちにとってもいい刺激になるので良いことではありますね」
「えっと?つまりどういうこと?」
「八幡さん何があったんですか?」
事情をよく知らない今井とあこはよくわからないようだが白金はそれである程度事情を理解したようだ。
「しっかり.....話し合えたんですね」
「ああ、あの時のお前の言葉がきっかけだった....だからそのありがとな」
未だに人にお礼を言うのは照れてしまうのは単に言い慣れてないだけなのかみんなもそうなのかはわからないがきちんと感謝が伝わっていることを祈ることしかできない。
「いえ.....少しでも八幡さんの背中を押せたなら.....よかったです」
「ん?りんりんと八幡さんは何を話してるの?」
「いや、たいした話じゃないから気にするな」
なんとなくあの会話を人に知られるのは気恥ずかしいものがある。
「それで結局なにがあったの?」
その後俺は3回目となる説明をして改めて3人からも祝福の言葉をもらった。
「てことはこれからのライブで八幡さんとも同じステージに立てるってこと?」
「そうなるな」
「それって超かっこいい!」
あこのかっこいいの基準は正直よくわからないがそう思ってもらえるのはきっと感謝するべきことなのだろう。
「確かにそれじゃあアブアルに負けないように練習しなきゃだね〜」
今井も湊と紗夜と同じ結論にたどり着いたらしい。
「それじゃあ私たちはそろそろ練習を始めましょう」
「次は今度のライブで会えることを期待してるわ」
そう言ってRoseliaの面々は去っていった。
それにしてももう一つ今度のライブに出なければならない理由が増えたな。
「.....随分とRoseliaと仲がいいのね」
この声は.....雪ノ下には間違いないのだがなんだか声がやたらと冷えていると言うか.....はっきり言って怖い。
「いや、そりゃまぁなんというかその」
とりあえずこういう時には何も言わずにはぐらかすのが最適解だろう。
こういうときのはぐらかしのスキルはぼっちたら俺にとっては簡単なことだ。
「.....また今度まとめて聞かせてもらうわよ」
あれ?今回はすんなりと引いたな?
流石の雪ノ下も久々の練習前に俺を問い詰める気はないのか?
つかまとめてって言うほどのことでもないだろ。
「それより後の2人は?」
「いつも通りならあと少しで来るわね」
「そうか」
なんかこうやって練習の前後の時間を誰かと過ごすということ自体久々なことで新鮮にさえ思ってしまうのが俺がバンドを抜けていた期間の長さを表している。
「2人ともやっはろー!」
「待たせちゃいましたかね?」
「いいえ、私は今きたところでこの男は楽しそうにRoseliaと話してたわ」
「その情報今いる?」
「ふーん、ヒッキー珍しく早くに来てたんだね?」
「前の先輩なら考えれないことですね、Roseliaの人たちと待ち合わせでもしてたんですか?」
うーんなんかさっきと同じようにこいつらの声も若干いつもより低いぞ?
「そんなわけねーだろ」
とか言いながらもめっちゃ冷や汗かいてるんですけど、なんでかわからないけど体が震えてるんですけど......
「まぁ今は追求しないでおきましょう」
「そうだね、とりあえずスタジオに入ろっか」
「そうだな」
「先輩久しぶりの練習なんでしっかり音を合わせてくださいね?」
「善処する」
いいか、この世の中で善処するって言葉はめちゃくちゃ便利だから覚えておけよ。
ただし使いすぎると効果がなくなるから気を付けろ。
「それでは行きましょうか」
こうして俺は久しぶりにバンドとして練習をしたがやはり誰かと音を合わせるのはかなり久しぶりのことなので俺は相当にミスをした。
他の3人にも迷惑をかけまくった、ただそれすらも帰ってきたんだと実感する材料になるだけである。
そんな風に俺たちの練習の日々はあっという間に過ぎてついに今日はオーデションの日になった。
「まさか同じステージのオーデションを2度受けることになるとは思わなかったわね」
「本当ですよ、でももう一度受かればいいだけです」
「うん!短かったけどヒッキーともいっぱい音合わせたしね!」
「.....少し飲み物買ってくるわ」
「.....そう、わかったわ」
そういい一度外へと出る。
きっと3人にはバラバラなのであろうが俺は緊張しまくっている。
そりゃあ久しぶりのオーデションだ、しかも3人は1度受かっているのに俺のためにもう一度オーデションを受けるのだ。
俺がやり切らなかったらと、ここにきてそんな想像をしてしまう。
昨日まではそんなこと少しも考えなかったのにな。
「あ!八幡先輩!」
「お前も今日オーデションか?」
「はい!今回こそ受かってみせます!」
俺に話しかけてきたのは戸山だった。
普段市ヶ谷家の蔵で練習をしているポピパとはスタジオで会うことはないので海以来の再会だ。
「ここにいるってことは八幡先輩バンドまた始めたんですか!?」
こいつは緊張とは無関係そうな性格してるなぁ.....
「ああ、また....アブアルとしてな」
「おめでとうございます!それで雪乃先輩たちも会場にいるんですね!」
「ああ、もう会ったのか?」
「はい!ここにくる直前に会いました!」
てことは俺がスタジオを出た直後くらいか。
「今日はお互いやり切れるようがんばろうな」
「八幡先輩が.....素直に応援してくれてる.....?」
「お前は俺をなんだと思ってるんだよ.....」
全く、みんなして俺のことを誤解しすぎである。
俺はリア充以外のやつに対してはかなり寛容な心を持っているというのに。
しかし俺目線で言えば俺以外のやつなんて大抵リア充なのだが。
それじゃ寛容な心持ってても意味ないじゃん。
「えーと、ひねくれてる先輩?」
「素直に答えるな、もう2度と言ってやんねー」
「嘘嘘!冗談ですよ!ちゃんと優しいって知ってますから!」
この間雪ノ下たちが俺のことをこいつらに喋ったせいでこいつらも俺をいじり出してきて困ってるんだよな。
「たく、それじゃ俺はあいつら待たせてるからそろそろ行くわ」
「はい!お互い頑張りましょうね!」
「次はステージで会えるといいな」
「はい!」
そう言いながら戸山に背を向けながら俺は戸山と出会ったときのことを思い出した。
こいつと会ったのが俺が多少は変われたきっかけなんだよな.....
結果として俺は年下の女子に人生の転機を作ってもらったわけだ。
ダサい話だなぁ.....
でも、だからこそ俺はここに今立っているのだ。
感謝すべきなのだろう、あいつには。
「.....ありがとな」
最後に聞こえるか聞こえないかのギリギリの声量でお礼を言う。
最近になって俺は人に礼を言うことが増えたと思う。
それだけ俺は人に助けてもらってるのだ。
ぼっちだと思ってた俺も.....人にずっと助けてもらってたのだ。
「遅かったわね.....またどこかで油を売ってたのかしら?」
「いや、ただ入り口で戸山と会っただけだ」
「そう言えば私たちと話した後に香澄ちゃんも外に出てましたね」
「香澄ちゃんたちは何回か落ちちゃってるんだけどあきらめないで受けてるんだって、一緒に合格したいねー」
「きっと彼女たちなら大丈夫よ」
「雪ノ下がそんなこと言うなんて.....」
「どういう意味かしら?」
相変わらず俺には当たりが強い.....
「それよりも今は自分たちのことに集中しましょう」
「ああ」
その後オーデションの順番を待ってる間はまるで永遠のように長く感じたが遂に俺たちの番が来た。
「それじゃあ練習通りに行くわよ!」
「はい!任せてください!」
「うん!頑張ろー!」
「....任せろ」
久しぶりの感覚に鼓動がどんどん早くなる。
しかし、先ほどのような緊張というよりは興奮に近い感情になっている。
「それじゃあ行くわよ!」
そのままオーデションは拍子抜けなほどスムーズに進行していった。
演奏が終わった瞬間に練習ともライブとも少し違った感覚に襲われる。
「.....あんたたち3人は聞くまでもないね」
そう言いババァ、元居オーナーは雪ノ下たちに目を向ける。
そっちの3人は合格のようだ。
てことは俺は....ダメだったのか?
「それじゃあハチ、あんたに幾つか質問するよ?」
「はい」
本来俺はこの人に敬語など使わないのだがこの場ではお互いに立場があるので敬語を使う。
「一つ目だ、あんたは今どんな気持ちで演奏してたんだい?」
「.....よく覚えてないです、ただ凄く楽しくて、ワクワクして興奮が止まらなかった」
「二つ目だ、あんたは今の自分の点数に何点をつける?」
「....40点くらいでしょうか、他の3人に対して俺だけ明らかに音がズレてます」
「最後だ、それでもやり切ったかい?」
「.....はい!」
それだけは間違いないことだと確信している。
「ふっ、やっぱりあんたも聞くまでもなかったね」
この人はただ確認をしたかっただけらしい。
全くいちいち不安にさせやがって.....
「合格だ」
「「「ありがとうございます」」」
オーナーの言葉に雪ノ下たち3人が頭を下げる。
「比企谷君?」
その中で1人だけ立ち尽くしてる俺に雪ノ下が視線を送ってくる。
「雪ノ下、先に行っててくれ」
「.....わかったわ」
そう言って雪ノ下は他の2人と共に部屋を出ていく。
「どうしたんだい、ハチ?」
「オーナー、俺はあんたにギターを教わったことといいその他にも色々とお世話になっていて言葉で尽くせるものではないけれど、一度しか言いませんのでよく聞いててください。ありがとうございました!」
俺にしてはかなりの大声を出した方だろう。
俺個人も意外なほどこのオーナーに感謝を伝えることは多かったらしい。
「なんだい藪から棒に、あんたがそんなことを言うと気色が悪いね」
そこまで言うことねぇだろうが、このくそババァが.....
久しぶりに殺意を覚えてるぞ.....
「そもそも私はあんたに見返りなんて求めてないんだ。その代わり、これからもずっと演奏をやりきることだね」
その言葉がこの人なりの精一杯の優しさなのだと気付くようになるまでにはかなりの時間がかかるが俺はそれがわかるに足る時間を過ごしている。
「最後のステージ楽しみにしててください」
オレは最後にそう言い残して部屋を後にした。
「あ!八幡先輩!どうでした結果は?」
そしてspaceの外に出るなり戸山たちが出待ちをしていた。
ちなみに雪ノ下たちは俺を待つことなく帰ってしまったらしい。
「....お前たちは?」
こいつらの表情を見る限り結果はわかり切っているのだが一応確認をする。
「私たちは....合格しました!」
「本当にミスばっかでやばいと思ったけどなー」
「うん、私もいっぱいミスしたし怖かったよ.....」
「でも、やり切ったって言える演奏だったよ」
そう振り返るのは市ヶ谷とりみ、山吹だがその顔は安堵に満ちている。
「それで八幡先輩たちはどうでした?」
そして花園は興味津々と言った様子で聞いてくる。
そうだな、普通に言うのもなんかつまらない気がするし.....
「.....」
俺はその前を無言で通り過ぎる。
「えっと.....その....」
突然の俺の行動に5人は戸惑っているようだ。
「また、ステージの上でな」
今思えば死にたくなるくらいカッコつけた言葉だ。
黒歴史認定第300号.....かどうかはなんも知らないがそれくらいあってもおかしくなさそうだなぁ.....
「はい!それまだまだ練習頑張りますね!」
その言葉にきっと満面の笑みで言っているであろう戸山を振り返ることもなく俺はその場を後にするのだった.....
なんとか年内にもう1話更新できてよかったです.....
次はついにspaceとお別れの時が来ます。
あと、現段階では確定してませんが現在オリキャラを登場させることを検討し始めてます。
感想評価などしていただけると励みになるのでお願いします。
それでは最後に次回予告行ってみましょう!
「なんで今回は相手がお前なんだよ.....」
「そんなこと言わないでくださいよ、八幡先輩!」
「はぁ.....お前といるといろいろ疲れるんだよ」
「ひどいっ!でもこの間雪乃先輩たちま八幡先輩といるといつも疲れるって言ってましたよ?」
「あいつら.....」
「でも確かにあんなこととかこんなことを八幡先輩がしてたなんて....」
「戸山、頼むからそれ以上何も喋るな。俺が死にたくなる」
「それは困りますよ!じゃあこの話はまた今度にして次回予告だけしますね!次回やはり俺がバンドを組むのはまちがっているは『ついに比企谷八幡は別れを告げる』です!お楽しみに!」
「はぁ....本当に面倒なやつに黒歴史教えやがって.....」