やはり俺がバンドを組むのはまちがっている   作:静寂な堕天使クロノス

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だいぶ遅くなってしまいましたが、
皆さんあけましておめでとうございます。
この小説を書き始めてからもう1年が経ちましたね。
この1年多くの人が見てくださって嬉しかったです!
これからもよければ見てください!

今回のドリフェスは30連でフェス限りんりんと有咲とロリの薫さんが出てくれました。
めちゃくちゃ嬉しかったです!
皆さんの結果もよければ教えてください。


第43話

遂にspaceのラストライブの日が訪れた。

その日も珍しく早起きした俺は今日の夕方から始まるライブのことをぼんやり考えていた。

 

「......あ〜!やっぱだめ!緊張する!」

 

小町も朝から初めてのライブということがあり緊張しっぱないしでずっとソワソワしていて見ていてこっちまで落ち着きがなくなってしまう。

 

「なぁ小町、もう少し落ち着かない?」

 

「できるわけないでしょ!?お兄ちゃんバカなの!?」

 

「せめて努力はしてみよう?」

 

俺が言えたことじゃないって?

キットキノセイダヨー

 

「だって....小町はお兄ちゃんと違って.....初めてだもん」

 

もう少し言い方気をつけよう?

 

「その気持ちもわからなくもないけどな、ライブは楽しんでやるのが1番だぞ。気負わずにな」

 

そんなこと言われたところで緊張は治らないだろうが本番になればまぁ大丈夫だろう。

 

「うん、頑張る....」

 

「にしても妹と、小町と同じステージに立つ日が来るとはな.....」

 

「お兄ちゃんも感慨に浸るの早すぎでしょ.....」

 

そんなこと言われたってお兄ちゃん小町とステージに立つのすっごい楽しみにしてたからね?

 

「ばっかお前、兄ってのはそんなもんなんだよ」

 

少なくとも俺レベルのシスコンになれば当たり前のことだ。

 

「小町はもうちょっとお兄ちゃんに妹離れしてもらいたいんだけどなー」

 

「安心しろ、一生離れられないから」

 

小町が将来彼氏とか家に連れて来た暁には精神的に徹底的に追い詰めて即刻追い返すまでにある。

 

「やっぱ小町のお兄ちゃんはごみぃちゃんなんだね.....」

 

「こんな妹思いの兄とか滅多にいないぞ」

 

「小町はもう少し社交的で友達も多くて捻くれてなくて目が輝いてるお兄ちゃんが欲しかったよ.....」

 

「的確に兄の真反対の性格を上げるのやめよう?」

 

自覚してる分ダメージ大きいから.....

 

「でも、小町はそんなごみぃちゃんでも受け入れてあげるよ!今の小町的にポイント高い!」

 

「その割には色々辛辣だなおい」

 

確かになんだかんだ言って小町は俺のことを思ってくれているのはわかるが。

やだ!これって両思い?

 

「なんかお兄ちゃんがくだらないことばっかり言うから緊張するのがバカみたいになっちゃった」

 

それなら俺が精神的にダメージを食らった意味もできると言うものだ。

 

「.....そうか」

 

「ふふ、ありがとお兄ちゃん!」

 

やはり俺の妹は世界で1番可愛いらしい。

誰がなんと言おうと異論は認めない。

 

「ねぇお兄ちゃん、小町spaceに行く前になんか甘いもの食べに行きたいなー?」

 

「え?めんどくさ.....」

 

「行きたいな〜?」

 

「.....わかりましたよ、小町様」

 

そして俺は一生妹には勝てない運命らしい.....

 

「やったー!それじゃあ行こう!」

 

まぁこの後の時間的にもまだ全然余裕はあるから少しくらい商店街でゆっくりするのもいいかもしれない。

 

「....準備するから少し待ってろ」

 

なんだかんだ言いつつ俺たち2人はきっと周りに言わせれば仲がいいのだろう、というかそうだといいな。

ふと、そんなことを思いながら俺は急いで支度を始めるのだった.....

 

*****

 

「ふっふーん♪」

 

その後なんだかんだあって俺に奢らせることを約束した小町は非常に上機嫌だった。

 

「それで、どこに向かってるんだ?」

 

「ん?つぐさんの店だよ?」

 

ああ、羽沢珈琲店か。

確かにあそこの店はコーヒーはもちろんケーキとかも美味いんだよな。

と言っても俺も小町に連れられる形で数回しか行ったことはないのだが.....

 

「そういや、アフグロは今日のライブ出るのか?」

 

俺はまだ知り合いでどのバンドが出るかは把握しきってない。

知っているのはRoselia、ラビワン、ポピパ、グリグリくらいのものだ。

 

「んーと確かだけど......アフグロも出るはずだった気がするよ?」

 

「へー他に有名なバンドとか出たりするのか?」

 

「小町が知ってる限りだとハロハピも出るはずだよ、あとパスパレも事務所の許可が出たらしくてライブに出るらしいよ」

 

パスパレに関して言えば日菜から連絡があったので知っていたことだが改めて聞くと普通に芸能人が出るってだけですごいことだよな。

てか、今更だけど日菜からとてつもない数のメッセージが来てるんだけど.....

なに?新手の嫌がらせ?

チェーンメールみたいなのだとしても俺は誰にも渡せないぞ?

 

「そう考えると知り合いばっかだな」

 

「え?お兄ちゃんそんなの知り合いいるの?」

 

「お兄ちゃんだって友達はいなくても知り合いはいるんだよ?」

 

「悪いことは言わないから知り合いなんて言わないでいた方がいいって.....」

 

「まるで向こうはそう思ってないから傷つく前にやめとけって言いたげな目をするのやめて?」

 

「だってお兄ちゃんにそんなに女の人の知り合いがいるなんて考えられないじゃん、お兄ちゃんも知らぬ間に立派になって.....」

 

「お前は俺の母親か」

 

「あれ?八幡先輩?.....と小町」

 

俺たちがお決まりすぎる流れの会話をしていると突然声をかけられる。

 

「蘭さんお久しぶりです〜!!」

 

ちょっと俺の時と態度違いすぎない?

 

「久しぶり、八幡先輩も久しぶりですね」

 

「まぁ俺も最近忙しかったからな」

 

「....家にいる時ほぼ寝てたけどね」

 

それは練習での疲れでめちゃくちゃ眠かったからなんだけどな......

普段運動しない俺からしたら連日の練習なんて拷問にも等しい苦行だ。

それでもこのライブのために頑張ってきてたわけだが。

 

「お前は雪ノ下の練習を知らないからそんなこと言えるんだ......」

 

「雪ノ下.....?アブアルの雪ノ下先輩のことですか?」

 

「ん?知ってるのか?」

 

「何度かライブも一緒にやったので」

 

「そうなんですね〜。これからはお兄ちゃんもお願いしますね?」

 

「えっと.....どういうこと?」

 

「話すと長いからまずはつぐみ先輩の店に行きません?」

 

「あたしもつぐみのところに行くつもりだったしいいよ」

 

そうして歩き出す2人を見ながら俺はふとこんなことを思っていた。

 

またこのパターンかよ........と。

 

*****

 

「え〜!八幡先輩そんな過去があったんですか!?」

 

羽沢の店に入った時にはすでにアフグロのメンバーは勢揃いしていて小町がかいつまんで話した俺の過去を聞いての上原の反応がこれである。

 

「そんな大声を出すなよ」

 

周りの客からチラチラ見られていて落ち着かないから......

 

「でもひーちゃんの気持ちもモカちゃんにはよくわかるよ〜」

 

普段よく表情がわからない青葉も本当に驚いているのがわかる。

 

「そんなに驚くことか?」

 

「そりゃ驚きますよ、それともしかしてあこにもそのこと言いましたか?」

 

「ん?言ったけどそれがどうしたんだ?」

 

「いやーなんかこの間やたら機嫌が良かった時があって.....理由を聞いてもきっともう直ぐわかるからって教えてくれなかったんですよ」

 

あこならすぐ喋ってるものだと勝手に思ってたわ、ごめんな。

 

「あこが巴に隠し事なんて珍しいね」

 

「あたしも気になってたんだけどようやくわかったよ」

 

「一つ質問してもいいですか?」

 

遠慮がちに羽沢が俺を見る。

 

「てことは、八幡先輩も今日のライブに出るってことですか?」

 

「ああ、そのために無理言ってこのタイミングで復帰させてもらったからな」

 

俺がそう言うと羽沢が笑みを浮かべる。

ここで普通の男ならば俺と同じステージに立てることを喜んでるのか?とか思ってしまうところだが幾度となく経験を重ねた俺はそんなミスは犯さない。

羽沢は真面目だからきっと4人になったアブアルの演奏がどんなものかと楽しみにしてるに違いないな。

 

「あれ〜つぐなんか嬉しそうだね〜?」

 

「モ、モカちゃん!」

 

何やら青葉と羽沢が喋ってるようだったが何を言ってたのかよく聞こえなかったな。

 

「アブアルに八幡先輩.....」

 

美竹は早くもステージを想像し出したようだから言っておいてやろう。

 

「.....俺が入ってアブアルは変わったぞ」

 

これだけは譲れない俺の誇りだから、ここだけは自惚れをしても.....いいはずだよな。

 

「なんか八幡先輩がかっこよく見える?」

 

「おい、疑問形にするな」

 

「え?だって八幡先輩が?」

 

おい、上原お前罪に罪を重ねるな。

 

「ひまり....流石に....ふふっ.....かわいそうだよ」

 

ならお前も笑ってんじゃねーよ。

 

「今お前らのせいで俺は一つ黒歴史ができたからな」

 

「いや、お兄ちゃんが勝手に作っただけでしょ」

 

「あ、アタシはかっこいいと思いますよ!」

 

「わ、私もです!」

 

宇田川に羽沢はフォローしてくれるのはいいが時としてそれがより一層傷を抉ることもあることを覚えた方がいいぞ、そうしないと俺とか俺とか俺が犠牲になるからな?

 

「でも、それだけ自信があるなら、楽しみにしてます」

 

ようやく笑いが治ったらしい美竹は最後にそう言ってきたのでさっき笑われた仕返しをした。

 

「ああ、俺たちは"いつも通り"行くだけだ」

 

「蘭の決めゼリフ盗られちゃったね〜」

 

「別にそんなんじゃないから」

 

と言いつつ少し不服そうにしてるのでひとまず仕返しは成功といったところだろうか。

 

「お兄ちゃんもアフグロの皆さんも小町たちを忘れないでくださいよ?」

 

「もちろん、ラビワンも楽しみにしてるからな!」

 

「お世話になったspaceへの恩返し、しないとね」

 

美竹の一言で俺は今回俺が定めた今回のライブの目的を思い出していた。

 

それは、『しっかりと別れを告げる』ということだ。

俺たちをここまで見守ってくれたspaceには感謝してもし足りない、ここでしっかり別れを告げることだけが今の俺にできる恩返し.....になると信じてやり切ってみせる。

 

決意を新たにした俺はそのまましばらくの間時間を過ごした。

なんだかんだアフグロは雪ノ下たち以外で俺が1番話してる時間が長いかもしれないな。

 

「それじゃあ俺たちは先にspaceに向かってるぞ」

 

「あたしたちもつぐみの手伝いが終わったら行くので」

 

「おう、大丈夫だと思うけど遅刻すんなよ」

 

「八幡先輩じゃないんですから」

 

おい、美竹お前俺の話を小町から聞いているからといって俺をdisるんじゃない。

年下にまでいじめられ出したら俺の残り少ないメンタルのHPが.....

 

「.....また後でな」

 

「すっごい露骨な無視.....」

 

ちょっと上原?そんな目で見ないで?本当に俺泣いちゃうよ?

 

「と、とにかくライブではお願いしますね」

 

やっぱ羽沢は戸塚と小町に並んで俺の天使になりうる存在かもしれない.....

傷ついた俺の心もすぐに癒してくれる.....

一家に1人とかいたら地球上からストレスって単語がなくなるレベルなまでにある。

 

「はい!こちらこそ愚兄ともどもお願いします!」

 

「愚兄はひどくない?」

 

結局最終的には罵倒をされた俺はspaceへ向かうのだった.....

 

*****

 

「いや、普通にこれ早く着きすぎたな」

 

「だねー。どうするのお兄ちゃん?」

 

「いやどうもできやしないんだが.....」

 

「たまにはお兄ちゃんも役に立つようなこと言おうよ」

 

「ばっかお前俺ほどためになる言葉を世に送ってるやつとかそうそういないから」

 

進んで世の中の厳しさを説いていく俺ほど感謝されるような存在とか滅多にいるもんじゃないと断言できる。

 

「お兄ちゃんの場合ただ単に自分の経験談言ってるだけじゃん」

 

「実際経験してるから説得力があるんだよ.....」

 

俺だって好き好んであんな経験を積んでるわけじゃない.....

 

「あら?そこにいるのは八幡じゃない!」

 

「おい小町今すぐここを離れるぞ」

 

「え?なん....」

 

今の声は間違いなく俺の知る限り1番の問題児の声だった。

あいつら3人が揃う前にこの場から逃げなければ......俺の心労が.....

 

「本当だー!おーい!はーくん先輩!」

 

これで2人が揃ってしまった!

しかもなんか呼び方が前よりも馴れ馴れしい!

 

「おい、小町早くしろ!どうなっても知らんぞー!」

 

あれ?なんか俺どっかの戦闘民族の王子になってない。

 

「あ!こころさん!というかハロハピの皆さんこんにちは〜」

 

あ、お前もう知り合いなのね......

 

「おお、小町ちゃんにまで会えるとはこれは運命だね、儚い.....」

 

ああ、もう3人揃ってしまったか.....

 

「薫さん.....」

 

おい、小町なにうっとりしてるんだ。

頼むからお前はノーマルでいてくれ.....

 

「八幡君、こんにちは」

 

「久しぶりだな」

 

ハロハピの方たちはたまーに見かけることがあったがあの3人に関わられると面倒で挨拶をしなかったのは内緒だ。

いや本当にたまーにだからね?

 

「早速うちの三馬鹿がすみません.....」

 

「いや、お前も相変わらず大変そうだな.....」

 

俺が知ってる限りで一番の苦労人は間違いなく奥沢だと俺は断言できる。

ちなみに2番目は市ヶ谷。

 

「そう言ってもらえるだけでありがたいです.....」

 

そのレベルに到達してるのか.....

 

「そ、そんなことより八幡君は今日のライブを見にきてくれたの?」

 

「ん、いや、今日のライブに出るために来た」

 

「え?でも八幡さんって.....」

 

「まぁ色々あって昔のバンドに戻ったんだ」

 

もう説明するのが面倒なので最低限伝えるべきことのみを伝える。

 

「それじゃあよろしくお願いしますだね」

 

ああ、羽沢に続きここにも俺の天使がいたのか.....

 

「ああ、こちらこそよろしくな!」

 

「な、なんか急に元気だね」

 

は!しまったつい天使に出会ってテンションが120%までいってしまった.....

 

「いや、そのあれだ、ライブ前だからだ」

 

我ながら言い訳が下手くそすぎる.....

流石にこれは引かれたか。

 

「そっか、私もライブ前は緊張するけど楽しみだなって思うよ」

 

あーやっぱ天使!

 

「えー八幡さん、妹さんが少しずつ押されてきてます.....」

 

え?あ、本当だ。

最初は3人と普通に話していた小町だったがあの3人の会話のできなさはレベチなのでコミュ力が高すぎる小町も押され始めてるみたいだな。

 

「....助けに行かなきゃだめ?」

 

「いや、妹さんですよね?」

 

そりゃそうなんだけど.....

 

「仕方ないか.....」

 

これもなんかの試練だと思うしかない。

 

「えーと、なんで弦巻たちはこんな早くに着いたんだ?」

 

我ながら話しかけ方下手くそすぎかよ.....

 

「それはだね、こころの提案なのさ」

 

「まぁ、そうだろうな」

 

3バカの中でも特に要注意人物だしな、いや悪いやつじゃないんだけどこいつの発案の場合リアルに国とか動かしかねんし.....

 

「なんだか早くspaceに行けばいいことがある気がしたのよ!」

 

「そしたらはーくん先輩たちに会えたからこころんの言う通りだったね!」

 

俺と会うことをいいことと捉えるのはどうかと思うが....

 

「そうだわはぐみ!せっかく早く来たのだし少し準備運動しましょう!」

 

「確かに準備運動をすればライブでもっといい演奏ができそう!流石だよこころん!」

 

発想の飛躍がすげぇ.....

 

「もちろん私も付き合わせてもらうよ」

 

そして止める奴が不在っていうのもすげぇ.....

 

「それじゃあ行きましょう!」

 

そう言うと3人は勢いよく走り出した.....って言うかちょっと待ってめっちゃスピード早くない?

日本新記録くらいでてない?

 

「あーあの3人をほっとくとなにするのかわからないのであたしたちも追いかけますね.....」

 

「お、おう」

 

「それじゃあまたね、八幡君」

 

「おう、待ってる.....」

 

そう言うとハロハピは嵐のように去っていった.....

 

「相変わらずすごいね.....」

 

「ああ、あいつらを理解できる日は多分来ないわ....」

 

あのバンドの型破りなスタイルもあれを見ればむしろ自然な気がするから不思議なものだよな.....

 

「あれ?八幡君じゃん」

 

いや俺の知り合いみんな来るの早くないっすかね?

 

「ああ、日菜か」

 

というか、パスパレも全員で来てるみたいだけど......

 

「あの.....すいません日菜さん、私ファンなんですけど良ければ握手して下さい!」

 

「ん?いいよ〜」

 

そう言うと日菜はフレンドリーに小町に手を差し出す。

 

「お兄ちゃん、小町はもう死んでもいいかも......」

 

「頼むから生きて?じゃないとお兄ちゃんも生きていけないよ?」

 

「なんと美しい兄妹愛.....素晴らしいブシドーです!」

 

「と言うよりあれは.....」

 

「シスコンってやつだよね......」

 

そうだが何か?

 

「まさか本物のパスパレの皆さんと同じステージに立てるなんて.....」

 

小町は感動しっぱなしのようだ。

 

「こんなに言ってもらえると私たちも頑張ってよかったって思えるわね」

 

白鷺もいつもはよく感情がわからないけど今だけは本心だと理解できる。

 

「この子が八幡君の妹?」

 

「ああ、世界一可愛い妹だ」

 

「うわぁ.....あれは重症ですね.....」

 

大和にまでそんなこと言わららなんて心外でしかないな。

あこや日菜が姉を好きなのと同じ感情だというのになぜ俺は引かれなきゃいけないんだ。

 

「最近八幡君に会えなくて寂しかったよー」

 

と、ショックを受けてるうちに小町の要望に一通り応え終わったらしい日菜が俺の方に話しかけてくる。

こいつは俺を観察対象としてだろうが興味を持ってるらしいからな。

あくまで観察対象としてというのを決して勘違いはしてはいけない。

最近俺はこれを何回言うんだよ、一個くらい本物の好意ないかなぁ.....

 

「まぁお前たちが忙しいだろうしな」

 

「八幡君が言ってくれたらどこにだっていくのに〜」

 

マジで勘違いしそうなことばかり言うなこいつ。

後こいつは本気で来そうなのも怖い.....

 

「私も.....日菜ちゃんみたいにできたらなぁ.....」

 

「彩ちゃんは彩ちゃんのままでいいのよ」

 

「え?それってどういうこと?ていうか千聖ちゃんもしかしてだけど......」

 

「あれだけ分かりやすければ誰でも気づくと思うのだけれど」

 

「え〜!」

 

「うおっ!どうした、彩?」

 

日菜と話していたら急に彩が大声を出してついびっくりしてしまった。

 

「い、いや、な、なんでもにゃいよ?」

 

めちゃくちゃ動転してるし怪しいんだが.....でも噛んでるからいつも通りか。

 

「彩さん、その言い方何かあるって言ってるのと同じですよ.....」

 

「彩さんは隠し事には向きませんね!」

 

「それって褒められてるの?」

 

「それは彩ちゃんが判断すればいいんじゃないかしら?」

 

まぁ普通に考えて褒められてはないと思うが......

 

「そういや、パスパレも来るのが早いな」

 

「あたしたちは人が集まったところに来るわけにはいかないからねー」

 

さすがアイドル、確かにパスパレがいたらみんな話に行っちゃうわな。

 

「というか、八幡君こそライブを観に来るにしても早くない?」

 

「あー俺と小町はライブ見に来たんじゃなくてライブに出るんだ」

 

「え?八幡君もステージに立つの?」

 

「ああ、まぁ色々あってな」

 

もはや説明すらしないのは許してほしい。

 

「そうなんだ!楽しみにしてるね!」

 

「わ、わたしも楽しみにしてるね!」

 

日菜と彩がそう言ってくれたからには下手な演奏はできないな。

 

「というわけで私たちは先にspaceで準備してますね」

 

「ああ、今日はよろしく頼む」

 

「お互い全力で頑張りましょう!」

 

「ジブンも八幡さんの演奏楽しみにさせてもらいますね!」

 

なんか、すでに大勢から期待されてしまったな。

本当に重いプレッシャーになりかねないのに背中を押してくれてる気がするのはあいつらの優しさのおかげなのかもしれないな。

 

「.....お兄ちゃん」

 

「ん?どうした小町?」

 

「なんであんなにパスパレの人と気軽に話してるの!?」

 

「え?それは.....」

 

「お兄ちゃんみたいな目の腐ってる死んだ魚見ないな人と話してたらパスパレの人が.....」

 

えー理不尽、と思ったがこうなった小町は止まらないことを知っているので甘んじて説教を受けるしかない。

本当にガチのファンって怖い......

 

「まったくもう少しお兄ちゃんは考えて行動を.....」

 

「あれ?小町ちゃん?早いねー、僕たちが一番乗りだと思ったのに.....」

 

こ、この声は!

 

「まってたぜ!戸塚!今日はお前と同じステージな立てて嬉しいぜ!」

 

「小町はいま痛切にパスパレの人たちがこの現場にいなくて良かったと思ってるよ.....」

 

そんなこと言われても戸塚を見てテンションが上がるのは全人類共通のことだし......

 

「おーい、我もいるぞー」

 

「僕も八幡たちと同じステージに立てて嬉しいよ!」

 

「我もー」

 

「戸塚も俺と同じことを思ってたなんて.....これは運命だな」

 

「ねぇ?無視?我を無視してるのか?」

 

「もう.....八幡たら冗談はやめてよ」

 

9割方本気なんだが。

 

「小町は緊張しっぱなしですよ〜」

 

さっきまでだいぶ寛いでたろうが。

 

「とにかく、やれることをやろう。あたしたちにできるのはそれくらいだよ」

 

「ちょっとー1人忘れてはおらぬか?」

 

川崎はこんな時でも落ち着いてるんだなぁ。

個人的には雪ノ下と湊との3人での絡みをぜひ見たいところではある。

ちょっと喧嘩になりそうで怖いけど.....

 

「それじゃあ小町はここからはみんなと行ってくるね」

 

「ああ、川崎も今日はよろしく頼むな」

 

「うん、お互い全力でいこう」

 

そう言ってラビワンのメンバーもspaceに向かっていく。

 

「ちょっとまったぁぁぁぁ!!!!」

 

「なんだよ、材木座うるさいな」

 

「最初から最後まで完全無視はさすがにやられないと思ってたのに....思ってたのに......」

 

「だって完全にそういう流れだっただろ?」

 

「そんな流れなどあってたまるかぁ!」

 

「まぁ、悪かったから落ち着きな」

 

なんだかんだ言ってこいつも完全に確信犯でやっていたあたり材木座の普段の扱いも窺えるというものだな。

別に哀れとは思わないけど。

 

そのままギャーギャー言ってる材木座を連れて4人はspaceに今度こそ入っていった。

 

なんかみんなに会ってたら知らぬ間に結構いい時間になってきてるんじゃないか?

もうすぐ雪ノ下たちも来るんじゃないか?

 

「あら?珍しいこともあるものね、あなたが1番最初に来ているなんて」

 

とか思ってたらちょうどだな。

 

「たまには、な」

 

「そのやる気が空回りしなければいいのだけれど」

 

「それはどっちかというと由比ヶ浜のほうだろ.....」

 

「あら?あなたが思ってるより由比ヶ浜さんは成長したわよ?」

 

「え?マジで?いつもならやる気高すぎて何かしらやってたのに?」

 

いや、めちゃくちゃ失礼な会話なのは自覚してるよ?

 

「ええ、あなたが抜けた直後くらいからかしらね、意識的に直そうとしてたのが見ててわかったわ」

 

「へー俺は割とああいう感じの演奏も嫌いじゃなかったんだけどな」

 

ミスがないというのはもちろんいいことなのだが、それだけでは見てる人の心を掴むことはできない。

むしろミスがあった方が人間味があって俺は好みだ。

まぁRoseliaレベルになるとまた話は別だが。

 

「....あなたはそう思ってたのね」

 

俺がこういうことをしっかりと言ってればすれ違いはなかったらな。

 

「だけど、今の演奏は前より好きだぞ」

 

前よりもレベルが上がったのはもちろんだが全員本音で語り合ったからか以前より近い距離で演奏してる感じがするというか.....

 

「そう....ならいいわ」

 

「あのーそろそろ私たちに気づいてもらっていいですかね?」

 

「うおっ!いつの間にいたんだ?」

 

「うおっ!なんてひどい!」

 

「ちなみにしっかり先輩の思ってたことは聞かせてもらいましたよ〜」

 

「そうか」

 

「ていうかヒッキーあたしにちょっと失礼なこと言ってなかった?」

 

「それに気づけるようになるとは....成長したな.....」

 

「もはやただの悪口!?」

 

「2人ともじゃれ合うのもほどほどにして頂戴」

 

「いや、俺は素直に由比ヶ浜の成長を感じてるだけだ」

 

「.....先輩ってちょくちょく結衣ちゃんのことバカにしますよね」

 

「実際バカだし」

 

「ひどっ!ヒッキーだって数学あたしと同じくらいじゃん!」

 

「どのみち2人とも学年最底辺レベルなのだから変わらないでしょう.....」

 

俺たちの言い争いに雪ノ下は呆れてるのでここらへんで終わりにしておくか。

 

「八幡、戻ったというのは本当だったのね」

 

と茶番に一区切りついたところでRoseliaもご到着である。

 

「ああ、そんなたちの悪い嘘はつかねーよ」

 

「それはそうですが、改めて見るとやはり4人の方がしっくりきますね」

 

「いやーそう言ってもらえると嬉しいものですね〜」

 

「あなたたちの成長した演奏、楽しみだわ」

 

「そちらの演奏も楽しみにしてるわ」

 

「ふっふっふっ我らのきょう、きょう.....?」

 

「狂乱だよ.....あこちゃん.....」

 

「我らの狂乱の宴を仕方と見るがいい!」

 

「あこちゃんが中2みたいにならないことをあたし祈ってる」

 

「ああ、俺もだ」

 

まぁあこの周りには沢山の友達顔いるし大丈夫だと思うけどな。

....俺と違って。

 

「そらにしても八幡がアブアルとして立つステージをもう一度見れるとは思わなかったわ」

 

「それもお前たちのおかげなところもあるけどな」

 

「そんなことはないわ、八幡が努力した結果よ」

 

「いや、それでもサンキューな」

 

「そこまでいうならどういたしましてと言っておくわ」

 

そう言って湊は俺に微笑む、正直めっちゃ可愛いので思わず照れてしまう。

 

「ぐふっ!」

 

とか思ってたら急に一色に横っ腹を膝でこづかれる。

と言ってもそれなりの威力で超痛いんだけど.....

 

「なにすんだよ.....」

 

「べっつにー、です」

 

「あら?ライブ前に緩んだ顔をしてるあなたの気を引き締めてくれたことに気づかないのかしら?」

 

「不可抗力だろ.....」

 

なに?なんで急にそんな対応冷たいの?

女の子の機嫌は山の天気よりも変わりやすいのは小町を見てても明らかだがこの3人は特に激しいんだよな......

 

「八幡さんなんだか楽しそう!」

 

「そうだね.....」

 

「いやー結衣たちも今日はよろしくね〜」

 

「こっちこそよろしくね、リサちゃん!」

 

にしてもなんでこんなに一つの場所でこんなにも多くの人に会うんだよ......

 

「今日はよろしく頼むわね」

 

「ええ、こちらこそよろしく頼むわ」

 

そしてそれぞれのメンバー間で挨拶が行われる。

 

「それでは私たちは先に行きますね」

 

「うん!また後でねー!」

 

Roseliaも控え室に行きもうほとんどの知り合いのバンドは来たんじゃないか?

このままだと知り合いをコンプリートしかねないしそろそろ俺たちも中に入るか.....

 

「なぁ、そろそろ俺たちも中に....」

 

「おおー比企谷君!久しぶりだね!」

 

とか思ってた矢先に早速また知り合いが.....

 

「お久しぶりです、ゆり先輩」

 

いや、でも本当にゆり先輩に関してはお久しぶりだな。

 

「お、というか見て察するに比企谷君またアブアルに戻ったねー?」

 

いやこの人すごいな、エスパーか。

 

「見て察するにってのは流石に冗談だけどね」

 

「え?」

 

「りみが教えてくれたの、あの子すっごい嬉しそうに話してたわよ」

 

おお、俺の天使の中の1人りみがそんなにも俺の復帰を.....

これは今度何かしらしてあげなければ.....

 

「ヒッキー流石にその顔はアウトだと思うよ.....」

 

「おっ!結衣ちゃんも久しぶりだね〜」

 

「はい!久しぶりです、ゆり先輩!」

 

「さらに奥には雪乃ちゃんといろはちゃんもいるね〜」

 

「どうも、今日はお願いしますね〜」

 

「お願いします」

 

ゆり先輩もこう見るとあまり似てる姉妹ではない気がするよな。

 

「それじゃあ私はやる事あるからまた後でね〜」

 

え?なんでわざわざspaceにきた後どっか行くんだ?

 

「え?ゆり先輩どこ行くんですか?」

 

同じことを思ったらしい由比ヶ浜が尋ねると

 

「いやーなんというかひなこがさ.....」

 

あ、そういやこの人のところにもあの3バカに勝るとも劣らないほどの強烈キャラいたわ。

そういや、ハロハピもまだ戻ってこないけど戻ってくるよな?

 

「.....それじゃあまた後で」

 

「うん!比企谷君私もりみも君の演奏、ううん君たちの演奏を楽しみにしてるからね!」

 

そう言うとゆり先輩は若干急ぎ足でspaceを後にした。

つか、あの人はどこまで俺たちの事情を読み取ってるんだろうか?

なんか、8割方理解してそうで怖いんだけど。

 

「さて、ここまで来たらあれだなうん、きっとあいつらもくるな」

 

「ヒッキー何言ってるの?」

 

「いや、こっちの話だ」

 

いやだって俺の知り合いの奴らあと一組だけだから来ないこととか流れ的にないだろう。

 

「さて、それではそろそろ私たちも控え室に向かいましょう」

 

「そうですね、まだ若干早いですけど行きましょうか」

 

まぁ、若干どころじゃないけどね?

割とまだ時間には余裕がある、むしろspaceのスタッフがこんなに早くみんなきて驚いてるくらいじゃないか?

 

「それじゃあ行こうか」

 

だけどこうやって入ろうとした瞬間にくるんだろ、後ろから。

 

「ヒッキー?何してるの早く行くよ?」

 

いやこないんかい。

 

*****

 

それからまた控え室で色んなバンドと喋っていたら時間は割とすぐに過ぎてもうそろそろ本番に向けての準備が始まるくらいにはなったのだがいまだにまだハロハピだけがその姿を見せない。

え?くるよね?

 

「本当にハロハピの人たちは間に合うのかな?」

 

事情を知ってる小町はそろそろ本気で心配をしだしたようだ。

でも、あの黒服の人たちの存在があることを知っている俺はどこか大丈夫だろうと決め付けている気持ちがあった。

 

「す、すみません、あとはあたしたちだけですよね.....」

 

ほらな、間に合ってきた。

ちょうど奥沢が3バカの手を引いて控え室に入ってくる。

その後ろに松原も続く。

 

「おつかれ.....でいいよな?」

 

もうそのレベルじゃないほど奥沢の顔は疲れ果てているがこれからのライブ大丈夫か?

 

「はい.....ありがとうございます.....」

 

本当に倒れたりはしないよな?

 

「それにしても気づいたら隣町まで行っちゃうなんて思わなかったよね!」

 

ん?今北沢なんて言った?隣町まで?

それここからの距離にすると最短でも10キロ近くあるんじゃ......

それを往復ってことは......

もはやハーフマラソンくらいの距離になる.......

 

「松原も大丈夫なのか?」

 

「うん、私と美咲ちゃんは黒い服の人たちが用意してくれた自転車だったから.....」

 

有能、あの黒服の人たち有能!

俺の家にも来ないかな?

そしたら完璧にニート生活できるのに.....

 

「さて、全員揃ったみたいだね」

 

ハロハピが揃ったところでババァ、今はオーナーって呼んでやるか.....

オーナーが控え室に入ってくる。

 

「今日のライブで私はこの店を閉める。だからこの最後のライブ絶対にやりきりな」

 

「はい!」

 

みんなが同時に返事をするので相当な声量になる。

それを合図に各バンドの間で緊張感が生まれる。

 

「それじゃ開演まではそれぞれしっかり準備をするんだよ」

 

そう言うとオーナーは控え室を出て行った。

 

「比企谷君、私たちも最後にもう一度確認をしておきましょう」

 

それぞれのバンドが最後の確認に入り始めいよいよ緊張感が漂い始める。

だが俺はこの空気が嫌いじゃない。

慣れればむしろライブ前の集中力を高めるのに最適だ。

 

「では、特に変更はなくいくわよ」

 

「うん!」

 

「了解です!」

 

「おう」

 

最後の確認が終わったところで改めて周りを見渡すが他のバンドも準備万全となったようだ。

 

「それじゃあ最初はあたしたちね!」

 

今回のライブ最初の出番はハロハピだ。

さっきまで疲れてないかとか思ったがあの3バカは疲れとは無縁のようだ。

 

「こころんがんばってね!」

 

「任せてちょうだい香澄!」

 

「はぐみも頑張ってね」

 

「みーんなを笑顔にしてくるね!」

 

「子猫ちゃんたちの望みを叶えるのが私たちの役目さ.....」

 

「「「薫さん.....」」」

 

瀬田の言葉にメロメロになっているりみと上原、そして小町正直あいつがモテるのを見ると男として....とてつもない敗北感があるんだけど.....

俺も儚いとかいってたらモテるかな?

キモいとか言われて飛び降りる未来が見えるな、いやキモい確定してるのかよ......

 

「それじゃあ行ってくるわね!」

 

そう言うと嵐の如くハロハピの5人は行ってしまった。

ちなみにライブステージの様子は控え室からもモニターで見ることができるので他のバンドの様子や会場の盛り上がりもバッチリわかる。

 

「みんな〜ハロー!」

 

「「「「「ハロー!!!」」」」」

 

弦巻の呼びかけに会場から一体感溢れる反応が返ってくる。

どうやら俺たちが思ってる以上に会場のボルテージは上がっているらしい。

 

「今日はこの場所での最後のライブだけれどだからこそみんな最高の笑顔でさよならしましょう!」

 

「寂しい気持ちなんてはぐみたちが吹っ飛ばしちゃうよー!」

 

「そうだね、私も寂しいがかのシェイクスピアもこう言っているよ。

『運命と魂を最もふさわしい場所へ運ぶのだ』とね。まぁつまり、そういうことさ」

 

「「「きゃー!!!」」」

 

ここでも瀬田薫ファンの熱烈な応援が....

というかあいつら最初から客のテンション上げさせすぎじゃないか?

このままだと俺らのときに疲れてたりとかしないかな.....

 

「あ、あのこころちゃんそろそろ進めないと時間がね?」

 

「ええ!わかったわ!それじゃあみんな行くわよ〜!ハッピー!ラッキー!スマイル!イェーイ!」

 

これまた会場との一体感が見事なコールだ。

こりゃあ俺たちも頑張らないとな。

 

その後ハロハピの演奏は常に客の視線を集め続け特に問題はなく終わりそうだ。

 

「それじゃあこの次はあたしたちの番だね」

 

「おう!ハロハピに負けないようがんばろうぜ!」

 

「今日もモカちゃんがんざっちゃうよ〜」

 

「私もがんばるね!」

 

次の出番のアフグロも気合バッチリだ。

 

「それじゃあみんなえいえいおー!」

 

「「「「.....」」」」

 

「こういうときくらい一緒にやってよー!!」

 

あ、そこは相変わらずなのね.....

 

「美竹さん、頼むわよ」

 

「もちろんです、あたしたちはいつも通りにいくだけです」

 

この2人仲悪いようで意外といい組み合わせなのかもしれないな。

本人たちに言ったら美竹は全力で否定してきそうだが.....

 

「みんな最高の笑顔だったわ!」

 

おっと、ハロハピの出番は終わったようだな。

最初の盛り上げは完璧だったようだな。

 

「どうも、Afterglowです」

 

「ハロハピが盛り上げてくれたからな、あたしたちも負けてらんないぜ!」

 

「おーともちんやる気バッチリ〜」

 

「もちろん私たちもだよね、つぐ?」

 

「うん!もちろんだよ!」

 

「それじゃあみんなあたしたちを見ていて!」

 

アフグロも自分たちで言ってた通りに気合入ってるなー。

演奏からもひしひしと熱気が伝わってくる。

 

「友希那〜、蘭たちすっごいね〜」

 

「ええ、5人とも最高の演奏をしているわ」

 

「会場の熱気もすでに最高潮ですね」

 

やっぱまぁみんな同じことも考えるわけだ。

 

「あこたちも負けないくらい盛り上げていかないとですね!」

 

でもどのバンドも自分たちは.....とか思ってないのがすごいよなぁ.....

 

「こんなに盛り上がってると私たちの方もテンション上がっちゃうね」

 

「うわっ!ゆり先輩、そろそろ準備してなくていいんですか?」

 

次の出番はグリグリだったはずだが.....

 

「うん、もうすぐ行かないとだね」

 

「呑気に話してていいんですか?」

 

「まぁまぁそんなこと言わずにさ、私だって君に言いたいことはいっぱいあったんだからさ」

 

「そんなのとっくに言ってくれてればよかったのに.....」

 

「比企谷君はひどいなぁ、私は気を遣ってたのに」

 

「ゆり先輩を迷惑に思うことなんてないですからそういう遠慮は別にしなくていいですよ」

 

「君はたまにそういうことをさらっと言うなぁ.....」

 

え?もしかして俺今相当キモいこと言ってた?

え?やばい、死にたい.....

絶対引かれたじゃん.....

 

「まぁいいや、じゃあ行ってくるね」

 

「は、はい」

 

そう言うとゆり先輩も行ってしまった。

一体何だったんだ.....

考えても仕方ないかと思ったら材木座が俺の近くへと寄ってくる。

 

「.....八幡よ、なぜ貴様はこの環境に適応できるのだ?我、周りに女子しかいなくてもはや息苦しいのだが.....」

 

「何だよ材木座、お前もグリグリの次が出番なんだから早く準備しろよ」

 

とか言ってるけど俺も不思議な限りである。

強いて言うなら普通に知り合いが多いからだろうか?

てか材木座は一応戸塚が同じバンドにいるけど俺は完全に男1人だからなぁ.....

慣れるしかなかったのかもしれないなぁ.....

 

「そんなもの、あとは覚悟を決めるだけに決まっているであろう」

 

「お前の場合多分それが1番長いだろ」

 

「そ、そんなことはないのである!剣豪将軍たる者常に覚悟など.....」

 

「出来てないから俺のところに来てんだろ?」

 

「まぁ、そうだが.....」

 

「じゃあとっとと帰れ」

 

「酷すぎないか!?お前は俺を何だと思ってるんだ!?」

 

あれ?なんかこいつ緊張しすぎてなんか口調普通になってない?

そうなると誰が喋ってんだかよくわからないぞ?

 

「え?なにも?」

 

「思ってすらないの!?」

 

そりゃ材木座だし?

 

「ほらとっとといったいった」

 

「まじでなんも言ってくれないの!?」

 

それはともかくお前もうキャラ崩壊しまくってるよ?

大丈夫?

素が見えちゃってるけど大丈夫?

 

「これで何かあったらお前を恨むからな......」

 

もう、手遅れだな。

俺の元から離れて行く材木座を見ながら俺は次にあいつと話す時どう接すればいいのか分からなくなりつつある。

 

時になってモニターを見たところ今はグリグリの曲が始まったくらいか。

 

「お姉ちゃんすごいなぁ.....」

 

「私たちも頑張らないとだね」

 

「やっべー結構緊張してきた.....」

 

そして次に俺たちの近くにやってきたのはこれまた初ライブを控えるポピパの5人だ。

 

「あ、八幡先輩今日はお願いしますね」

 

「花園はあんま緊張しないんだな」

 

「ううん、緊張してるけどそれ以上にライブが楽しみ」

 

「わかるなーその感じ、あたしも初めてのライブのときそんな気持ちだったもん」

 

材木座の時にはいたのかさえわからなかった由比ヶ浜はポピパ相手にはしっかり出てくるらしい。

 

「私は今でも緊張しますよー、先輩はどうですか?」

 

「俺は、なんかよくわかんないな」

 

いやそりゃしてないわけではないんだけどさ。

 

「ヒッキーどっちかっていうと本番テンション上がっちゃうタイプだしね」

 

いや、それどんなタイプだよ.....

 

「私たちもいたか純粋に楽しみって思えるくらいライブしたいね」

 

「そんなんになるまですげーかかりそうだけどな」

 

「ふふ、それはわからないわよ?」

 

雪ノ下にしては相当柔らかい雰囲気を纏った一言にむしろ俺の方が驚いてる件。

 

「え?どういうことですか?」

 

りみの質問にも雪ノ下は微笑んだだけだった。

まぁ雪ノ下の言わんとすることはわかるけどな。

 

「すぐにきっとわかるよ、私が保証しちゃいます」

 

一色が変わりにそう伝える。

いまだに5人はよくわからないようだがそれは本当に感じてもらうしかないからな。

 

「ま、とにかく今日のライブを楽しめ」

 

「はい!みんなに負けないくらいのキラキラドキドキを届けます!」

 

それでいい、それがお前らしさ、お前たちらしさだ。

 

「皆さんありがとうございます、なんか緊張取れました」

 

いや、お前は元からそんな緊張してるそぶりなかったけどな?」

 

「みなさん、はじめまして私たちはRabbit in wonderlandって言います」

 

そんなことを話してるとグリグリの出番は終わりついにラビワンの番になったようだ。

 

「それじゃあまずはメンバー紹介から、ギター比企谷小町!」

 

「みなさーんお願いしますねー!」

 

なんだかんだ言いながら小町もしっかり緊張が取れたらしい。

 

「「「うおおおおお!!!」」」

 

そして小町の可愛さを見て男どもが絶叫してやがる。

今顔を覚えたから今叫んだやつ覚悟しろよ?

 

「ベース戸塚彩加!」

 

「よ、よろしくね!」

 

「「「「「.....」」」」」

 

なぜか会場が一瞬静まる。

そして.....

 

「「「「「うおおおおおおおお!!!!」」」」」

 

今日1番の大声が響き渡る。

 

「な、なんだあの子、すごい可愛いぞ!」

 

「お、オレもうファンになる!」

 

戸塚の可愛さに会場の男たちは大興奮だ。

 

「あ、あの僕、男子なんですけど....」

 

 

戸塚、真実ってのは時に最も人を傷つける凶器になり得ることを自覚した方がいいぞ。

 

「「「「「......」」」」」

 

ほら会場の男どもショックで静まり返っちゃったよ.....

 

「いや、むしろそっちの方が萌えないか?」

 

「オレもだ!男の娘ってロマンだからな!」

 

「「「うおおおおお!!!」」」

 

むしろ一部の男どもは余計に盛り上がってしまった.....

こいつら、俺と仲良くなれるな。

 

「.....」

 

なんだか控え室の女子のモニターを見る視線がすっごい冷たいけど問題ないよね!

 

「ドラム、材木座義輝!」

 

「みんな、今日はよろしく頼むぞ!」

 

あ、あいつも流石にこの人前でキャラ作る勇気はなかったのな。

 

「「「「「......」」」」」

 

「せめてなんか言って!?」

 

ここでも無視られる材木座.....

まぁ会場は笑ってるしこいつも案外名物化するかもな。

 

「そして最後にギターボーカルはあたし、川崎沙希!」

 

「「「おおおお!!」」」

 

材木座.....お前はいいやつだったよ、よく知らんけど....

 

そうして観客に受け入れられたラビワンの演奏は大成功に終わったと言っていいだろう。

 

「以上、ラビワンでした!ありがとう!」

 

手を振りつつステージから退場するラビワン、その顔はみんな笑っていた。

 

「皆さん、はじめまして!私たち.....」

 

「「「「「Poppin'Partyです!」」」」」

 

こちらは声を合わせての登場となるポピパ。

 

「まずはメンバー紹介させてください!ギター花園たえ!」

 

「よろしくお願いします」

 

ラビワンで叫びすぎたのか男たちもさっきより反応が薄くなっている。

 

「ベース牛込りみ!」

 

「よ、よろしくお願いします」

 

「あれ?なんかあの子グリグリのゆりさんに似てない?名字も一緒だし....」

 

感の良い客はりみがゆり先輩の妹であることに気付きつつあるようだ。

 

「キーボード市ヶ谷有咲!」

 

「お、お願いします」

 

今この中で1番緊張してるのはこいつかもしれないな。

本番になって緊張が取れるかは大事なとこだがどうか.....

 

「ドラム山吹沙綾!」

 

「よろしくお願いします!」

 

「そしてギターボーカル、戸山香澄!」

 

「今からみなさんをキラキラドキドキさせます!聞いてください.....」

 

そうしてポピパの演奏も順調に進んでいる。

 

「八幡くーん!次は私たちの番だよ!」

 

「日菜か、お前は緊張とかしなさそうだな」

 

「だって、緊張なんてしててもいいことないじゃん!」

 

「うっ、その通りだけどぉ.....」

 

日菜の一言で彩が流れ弾くらったけど大丈夫か?

 

「今日こそ噛まないよう頑張りましょうね」

 

「うん、がんばりゅ!」

 

なんかすでに先行きが不安なんだが.....

 

「今まだの皆さんが盛り上げてくれたステージジブンたちも続いてみせます!」

 

「ブシドーの心を持っていきましょう!」

 

「それじゃああたしたちもいってくるねー!」

 

「おう、頼むぞ」

 

「まっかせてよ!」

 

気づけばもうすぐ最後の俺たちの出番も近づいてきたな。

パスパレの後はRoselia、そして最後の俺たちとなる。

やばい、なんかテンシャン上がってきた.....

 

「八幡先輩、なんかいつもと雰囲気違いますね」

 

そこにすでに出番を終えた美竹と青葉、そして羽沢が近づいてくる。

 

「ヒッキー、ライブ前はいつもこんな感じになるんだよねー」

 

「そうなんですか?」

 

「ええそうね、そのせいなのかこの男この瞬間だけは目が腐ってないのよ」

 

「なので学校の友達にも同一人物って気づかれないんですよね、先輩?」

 

「それを俺に聞くのは悪意以外なんでもないだろ.....」

 

確かに今までライブに見にきたクラスのやつらが由比ヶ浜に『昨日のライブの男の人誰?』とか聞いてるの何度も聞いてたけど.....

そのあと本当にこの人が?とか言われたけど.....

 

「それは流石にモカちゃんも泣いちゃいます〜よよよ〜」

 

「わ、私たちはわかりますから!」

 

そりゃお前たちがわからなかったら俺は飛び降りるぞ。

 

「それでも一部の女子からは意外とかっこいいとか言われたらしてるんですよこの人」

 

「え?そ、そうなんですか?」

 

なぜか羽沢の羅列が悪くなったがライブの後でしっかり水分は取ったのか?

 

「そんなわけないだろ、そもそも存在自体認識されてないし.....」

 

「なんか、あたしたちまで悲しくなってくるんですけど.....」

 

「この男の言うことをいちいち聞いていたらずっと泣くハメになるわよ」

 

「それが1番悲しい言葉ですよね〜」

 

それを言うなよ.....

 

「皆さんこんにちは〜!私たちアイドルバンドのパスパレことPastel*Palettesです!」

 

「みなさん、しっかりと水分は取っていますか?ジブンも忘れがちですけど忘れずに細めにとってくださいね」

 

「みんなまだまだ声出せるかな〜?」

 

「「「イェーイ!」」」

 

まだまだ観客は元気なようだ。

 

「みなさん怪我はしないようにしてくださいね?」

 

「ブシドーの精神を忘れずに行きましょう!」

 

「それではみんな聞いてくだしゃい」

 

あ、やっぱり噛むのね....

会場から笑いが起こるもののやはり芸能人というだけあって華があるなぁ.....

 

「八幡、私たちはあなたたちに最高のバトンをつないでみせるわ。だから待ってて」

 

「おう、任せた」

 

「あなたたちも見ていてください、私たちを」

 

「ええ、もちろんよ」

 

「会場のテンション、もっと上げてきてね!」

 

「任せてください!」

 

「私たちも準備万端にしておきますね!」

 

「うんうん、あたしも今からテンション上がってきたよ〜」

 

「私たちも楽しみにしてるわ、Roseliaの演奏を」

 

それを聞くとRoseliaのメンバーは皆不敵に微笑む。

それは絶対的な自信、圧倒的な練習量をこなした者のみができる表情だった。

 

「.....湊さん.....そろそろ時間です」

 

「わかったわ、それじゃあ行きましょうか」

 

それにしても、このライブも夢のように一瞬で時間が過ぎていってしまう。

 

「お兄ちゃん、小町たちの演奏どうだった!?」

 

うっわ、普段よりテンションが倍高い妹が来た......

そんな風にはしゃぐ姿もかわいいなくそ。

 

「.....最初にしては上出来だろ」

 

「全くお兄ちゃんもこういう時くらい素直に褒めてよ」

 

いや、俺にしては最大限素直に褒めてるんだけど.....

 

「サイコーだったよ!小町ちゃん!」

 

「やっぱり結衣さんはわかってますね〜」

 

もうめんどくさいしこれ以上何も言われたくないから小町の相手は

由比ヶ浜に任せよ......

 

「Roseliaです、よろしくお願いします。それじゃあ早速いくわよ!」

 

MC短かっ!?

え?もう少し俺に落ち着く時間とかくれないの?

まぁ湊が好き好んで喋るとも思わないけど.....

 

「八幡先輩!」

 

この声はまたお前か.....

もうこれ以上の感謝は出てこないぞ?

 

「なんだよ、戸山」

 

「いえ、八幡先輩の、アブアルの演奏すっごい楽しみにしてます!」

 

「何度めだよ、それ言うの」

 

「なんかまた言いたくなっちゃったんです!」

 

「そうか、ならしっかり見てろよ?」

 

ポピパのライブは今まで全て見てきた。

俺はその演奏を聞くたびに俺もまた.....と毎回思わされてたんだ。

その前に俺にまたこの熱さを思い出させてくれたのは戸山なのだ。

 

「もちろんです!」

 

だから感謝は言葉になんてしてやらない。

こいつももう立派なギタリスト、だから伝えるのは演奏で。

 

「比企谷君、準備はいいわね?」

 

「ああ、もちろんだ」

 

「それじゃあ.....」

 

「行きましょう!」

 

「あたしたちのステージに!」

 

気がつけば控室にいる全員の目線が俺たちのもとに集まる。

 

「八幡!あたし、あなたの演奏でもっと笑顔になりたいわ!」

 

弦巻.....

 

「あたしも、八幡さんの新しいいつも通り期待してます」

 

美竹......

 

「いってらっしゃい、比企谷君」

 

ゆり先輩.....

 

「お兄ちゃん、おかえりなさい!」

 

小町.....

 

「キラキラドキドキさせてください!」

 

戸山......

 

「八幡君、頑張ってね!」

 

彩......

 

「ほら、つぐも」

 

「え、えっと八幡先輩、頑張ってきてください!」

 

 

羽沢も.....

 

「全力で楽しんできてね」

 

松原......

 

「八幡君、るんってくる演奏よろしく!」

 

日菜も.....

 

なんでかな、今.....

 

「ありがとう.....行ってくる」

 

なんかすでに.....泣いてしまいそうだ......

 

俺は遠回りした末にこれだけの人と.....本物と呼べるものを......得られたのか......

 

このドアを開ければもうあとはステージの裾までの道だ。

最後にもう1度みんなの方を向こうかと思ったが、そうしたら本当に泣いてしまいそうなのでやめておいた。

 

「....」

 

そのまま無言で俺は扉を開けた。

そこに、もう迷いも何もなかった。

 

「.....あなたがこんなにも多くの人との関わりを持つなんて今でも信じられないわ、でもそれがあなたが変わった証拠なのよね」

 

「そうだね、あたしたち以外にも頼れる人がいっぱいできたんだね」

 

「なんだか少し寂しい気もしますけどそれ以上に嬉しいです」

 

「だからこそ、このステージでみんなに見せましょう。新しい私たちを」

 

ああ、なんだよ、そんなこと言われたら......本番前なのに涙が.....勝手に.....

 

「その気持ちは、ライブが終わった時まで取っておいてちょうだい」

 

そう言うと雪ノ下は俺の涙を指で拭う。

 

「今は、最高の演奏をやりきりましょう!」

 

「うん!」

 

「はい!」

 

「....おう!」

 

「ありがとうございました」

 

するとRoseliaが演奏を終えたらしくステージから降りてくる。

 

「八幡、約束は守ったわよ」

 

ああ、確かに約束通り観客のボルテージは最高潮だ」

 

「私たちのパス、受け取っていただけますか?」

 

「もちろんだ」

 

「言っておくけど、もともとあなたたちのファンの私たちのハードルは高いわよ?」

 

湊と紗夜は俺がバンドを抜ける前の姿を知っている。

だからこそ、俺は自信を持って答える。

 

「昔の俺なんて、もうとっくに追い抜かしたよ」

 

それを聞いた2人は笑って控え室へと戻っていった。

 

「それじゃあいくわよ!」

 

そうして俺たちはステージへと上がる。

今でもアブアルは知名度があるようで多くの観客が雪ノ下たちの名前などを叫んでたりする。

 

「え?あのギターの男だれだ?」

 

「わからない?新メンバーなのかな?」

 

「今までずっと3人だったのに.....」

 

当然俺を知らない人は大多数だ。

この反応も当然のことだ。

 

「もしかきてあの人.....3年前までいた......」

 

なかには覚えててくれた人もいるのか.....

ありがたいな......

 

「みなさん、Absolute aloofです。まずは皆さんに1人紹介したいと思います」

 

俺のことだ。

それは見てる方も当然理解してるわけで好奇の視線で俺を見てくる。

 

「この人は比企谷八幡、かつてアブアルでギターを担当していた人よ。それで色々あって今回から再び私たちと共に演奏することになった彼をどうか迎え入れてください」

 

そう言い雪ノ下は頭を下げる。

そして俺は一歩前に出る。

 

「どうも、今紹介された通り比企谷八幡って言います、今まで休んでた分今日思いっきり演奏するのでどうかお願いします」

 

そう言い俺も頭を下げる。

会場から拍手が起きる。

どうやら俺は迎え入れてもらえたらしい。

 

「じゃあみなさんこらからヒッキーをよろしくね!」

 

「おい、ここでその変な呼び方で呼ぶな」

 

定着したら最悪すぎる.....

 

「呼び方なんてどうでもいいじゃないですか、先輩?みなさんもそう思いますよね?」

 

「そーだそーだ!」

 

「ヒッキー!!」

 

「お前の帰り待ってたぞ!ヒッキー!」

 

あ、手遅れだった.....

あんだけカッコつけて控室出てきたのにきっと今頃あいつら全員笑ってんな、死にたい。

 

「比企谷君、よかったじゃないあだ名が広まって」

 

「いや、なんもよくないんだけど.....」

 

「まぁそれは置いといてみなさん最後まで声出す準備はいいですか〜?」

 

「「「イエーイ!!」」」

 

「あたしたちの演奏楽しみにしてくれてる?」

 

「「「イエーイ!!」」」

 

「それじゃあ、最後までお付き合いお願いするわ、聞いてください」

 

演奏はまるで夢のような心地だった。

観客の熱は止まることを知らないのかと思うほどに高まり続ける。

それに呼応するように俺たちの演奏はより激しさを増していく。

終わりが来なければいい、きっとだれもがそう思った。

 

だが、終わりは来るものだ。

 

「以上アブアルでした!ありがとうございました!」

 

これであとは少し休憩を挟んだあとにみんなでステージに上がって挨拶をするだけ.....

 

「......」

 

演奏が終わって観客が見えなくなったからかな......さっきまでこみ上げてた涙が.....また......

 

「もう、いいか?」

 

「......いいわよ」

 

いざそう言われてもそれまで抑えてたからかなかなか涙が流れ出すことはない。

 

「ヒッキー.....」

 

「八幡、もう一度がんばれそうですか?」

 

なんか一色が変な口調になってるがどういうことだ?

 

「どうやら、あの人たちはあなたを泣かせる気はないみたいよ?」

 

「......コール!」

 

「アンコール!」

 

「アンコール!」

 

なるほど、確かにこれは泣いてる暇はなさそうだな。

 

「......じゃあ行くか」

 

俺の呼びかけに3人は呼びかける代わりに先に走り出す。

俺も3人を追いかけ走り出した。

 

輝くステージへと......




はい、更新が遅くなってすいませんでした。
かつ、話を考えてたら知らぬ間にいつもの3倍以上の分量になってしまいました。
これでひとまず一部が完結って感じですかね。
これからはより八幡とバンドリキャラを絡ませて行こうと思います。
なのでまだしばらくは続くのでよければ引き続いて読んでくださると嬉しいです!
感想、評価など励みになるので良ければ聞かせてください。

いつもなら次回予告なのですが今回はまだ次の話が考えきれてないのでお休みです.....
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