やはり俺がバンドを組むのはまちがっている 作:静寂な堕天使クロノス
その日の放課後俺はある人の元を訪れた......
「君から来るなんて珍しいじゃないか比企谷」
「ええ。平塚先生、相談があってきました」
「......"あの件"のことか?」
一瞬にして俺が真面目な話をしにきたと悟ってくれる。
ここまで気が利くのになぜこの人は結婚できないんだ......
"ブンッ"
空気が裂けるような音とともに俺の顔面寸前まで平塚先生の拳が迫ってくる.......
「何か失礼なことを考えたな、比企谷?」
こっわっ!え?何この人エスパーなの?
これは結婚できな......
"ブンッ"
「ツギハアテル」
先ほどより遥かに高い殺意を感じる......
ぼっちとして培った勘が告げている。これ以上は本当に危険だと......
「すいませんでした...」
そんなやりとりの後、俺たちは相談室に向かって話すことにした。
*****
ー相談室ー
「で、君が急にこんな話をしに来るということは何かあったのだろう?」
やっぱ鋭いな、この人。
近代でここまでいい先生いないだろ
などと先生に感謝しつつ俺は日曜日に起こったことを話した。
「......なるほど、君はまだ昔のバンドメンバーが自分を恨んでいるんじゃないか、と思ってしまっているようだな......」
「......怖いんです。あいつらのライブを見ることが、そっちの方がいいバンドになっているんじゃないかって......」
「そうか......ではひとつ昔話を聞かせてやろう」
昔、昔といってもそれほど昔ではないが
あるガールズバンドがいたそうだ......
その少女たちは本気でプロを目指していたそうだ。
少女たちは楽しみながら演奏していた。
が、どんなにライブを重ねてもスカウトはなく、いつしか少女たちは楽器を演奏することを楽しいと思えなくなっていき、そのうち自然とバンドを解散してしまった......
「......先生その話ってもしかして......」
「それ以上は言うなよ、比企谷......」
追求してほしくなさそうだったのでそれ以上は聞かないでおいた。
「いいか比企谷?この話の少女たちはやり直すことができないところまで行ってしまった...... だがな、君はまだやり直せるところにいる。私は君に答えをあげることもできないし、こんなことを言うことしかできない...... 君たちはまだ若い、失敗を恐れず生きなさい。きっとそれが若者の強さになる。なに、その結果生まれた黒歴史など、大人になってから恥ずかしがればいいんだ」
「先生、ありがとうございます。俺必ず答えを出してみせます!」
俺にしては珍しく力強い返事ができた。
「そうか、ならもう行きたまえ......今君がすべきことはここで私と話すことではないだろう?」
「はい!」
そうして俺は相談室を後にした......
*****
少し話しすぎてしまったかな......
あの頃は本当に毎日が輝いていた。
彼らにはあんな思い......してほしくないからな。
彼らの助けになるのなら、私たちの失敗にも意味があったのだろうな。
今頃、彼女たちはなにをしているのだろうか......
だがきっとみんな演奏する少年、少女の手伝いをしているのだろうな......
過去の仲間たちを思い出しながら私は沈んでいく夕日を眺めるのだった......
*****
平塚先生の話を聞いて話を聞いて俺はより強い覚悟を持つことができた。
「よしっ!やるか」
そう言って俺はスマホを取り出し数少ないアドレス帳を開くのだった......
......言っておくがアドレス帳に人が少ないのはあれだ俺のオーラにみんながビビって誰も話しかけてこなかったからだ。
ほ、ほんとだもん!
八幡寂しくないもん!
*****
ー翌日の放課後ー
俺はライブハウスspaceの前で、昨日呼び出した人たちを待っていた。
「あ!ヒッキーやっはろー!」
最初に来たのは由比ヶ浜か。
それから間もなくして
「せーんぱい!」
続いてあざとい仕草とともに一色が
「比企谷君......」
そして、最後に困惑気味の雪ノ下が来た。
「突然呼び出して悪かったな」
「そーですよー。私にだってスケジュールがあるんですからね!」
あー、相変わらずこいつあざといな......
だが確かに生徒会に入っている一色のスケジュールは相当忙しいだろう
「それで、話とは何なの比企谷君?」
「今日は、お前らに俺の覚悟を伝えに来た。
まず今まで散々お前らを避けてしまったことを謝らせてくれ
そして、いつになるかはわからないけど必ずあの時出せなかった答えを、俺なりの本物を見つけ出す!
だから、それが見つかるまでもう少しの間だけ待っててくれ......」
俺の話を聞いた3人は皆下を向いているためどんな顔をしているかわからない。
だが普通に考えて、何を急にそんな都合のいいことをと怒っているのだろう。
しかしそれも覚悟の上だ。
彼女たちの怒りはもっともだし、全て受け入れるつもりだ。
再び覚悟を決めて彼女たちの反応を待っていると
「「「ふふっ」」」
「ヒッキー、普通そう言うのって答え出してから言うものじゃない?ほんとウケる」
「そーですよー。真剣に話し始めたと思ったら答えが出てないなんてほんと先輩は先輩のままですね」
「由比ヶ浜さんと一色さんの言う通りだわ。本当にあなたは変わらないのね」
3人に一斉に吹き出され笑われながらそんなことを言われた......
やばい、猛烈に消えたい......
平塚先生、やっぱ黒歴史は今から恥ずかしいっす.......
「でも、あなたの思いはわかったわ」
「うん!あたしたちはいつまででも待ってるよ!」
「でも、あんまり待たせると私たちの気持ちも変わってしまうかも知れませんよ?」
「......ありがとう」
あいつらは俺の思いをしっかり受け止めてくれた。
そのあいつらのためにも、俺は必ず答えを出さなければならない。
決意を新たにした俺と彼女たちは、夕暮れに優しく見守られながらしばし話を続けたのだった...
今回は少し長めでしたね...
次回からはバンドリキャラをまた出していきます。