やはり俺がバンドを組むのはまちがっている 作:静寂な堕天使クロノス
今回は以前もやったもしもの未来を描いてみました!
時期に合わせてクリスマスのお話を何本か書いてみました!
なお甘々成分多めで書きましたのでキャラ崩壊しておりますが気にならないという方はどうぞお楽しみください。
「おっ、もうすぐ休憩が終わるな」
「そうだね、4回戦も楽しみだ」
「あれ?八幡寝ちゃってるのかな?」
「そうであるな、起こすか?」
「まだ少し時間あるしもう少し寝ててもいいんじゃない?.....ハチ兄なんか、笑ってるし」
「まったく、どんな夢を見てるんだか.....」
*****
「....きて...だ...い、おき....くだ...さい」
心地よいまどろみの中急に誰かに起こされている。
....まったく、誰だよ気持ちよく寝てるのに.....
「起きてください、八幡さん」
「....あと....5時間....」
「5分ならともかくそんな時間は待てません、早く起きてください」
「だってよ....こんなにも寒いと....布団から出たくなくなるだろ?」
「確かに寒いですがここは部屋の中でしょう.....」
バレたか、ちゃんと暖房を入れているので寒いどころかめちゃくちゃ快適である。
「はぁ....わかったよ。紗夜」
そうしてようやく抵抗を諦めた俺は起き上がり起こしにきた人間の....紗夜の方を見る。
俺と紗夜は高校3年生の冬、なんやかんやあって付き合い始め今は互いに大学生となりお互いの大学が近いこともあり3年生になった頃に同棲を始めた。
同棲を始めて早くも半年以上が経ってるわけだが.....
「最初から素直に起きてください」
「そうだな、紗夜が目覚めのキスでもしてくれたらすぐ起きれるぞ」
「そ、そんなこと....できるわけ.....」
「いやなのか?」
「そ、そんなことはないのですが....」
やばい、俺の彼女が朝から可愛すぎる。
と、飽きるどころか次々に新しい一面を知ることができますます紗夜への想いは増すばかりだ。
昔はバカップルには絶対にならないと思っていたが今は行く先々でバカップル扱いである。
世の中何があるかわからないもんだ。
「いやなのか?」
そんなことを思いながら俺は言葉を繰り返す。
「いやでは....ないです」
「ならよかった」
「またからかっていますね....?」
そう拗ねたような表情を浮かべるのもまたなんとも可愛いものなのだがこれ以上は本当に機嫌を損ねかねないのでこの辺にしておくか。
「で、今日はいつにも増して起こすのが早いな」
基本毎日紗夜に起こしてもらってるのだが現在の時刻は朝の7時前、休みの日はいつもあと30分は後に起こしに来ることが多かったが.....
「それはだって.....クリスマスですし」
「ああ、なるほど....」
つまりきっと紗夜はこう言いたいのだろう。
クリスマスだし、デートがしたいと。
「ちょっと待っててくれ、俺も準備をするから」
「はい、ですが慌てる必要はありませんからね?」
先読みして返事をしてしまったがどうやら正解のようだ。
全く、俺の返事を聞いた途端の笑顔は反則だろ。
「いや、俺も....お前と出かけるの楽しみだし」
「....わ、私も準備を終わらせてきます!」
同棲して以来前よりも素直に感謝とかを伝えるようになったのだがその理由の半分以上がそうすると高確率で紗夜の可愛い姿を見れるからだ。
「さて、じゃあさっさと準備するか」
きっと紗夜のことだから紗夜はもう準備の大半が終わっているのだろうし急がないとな.....
そんなことを思いながら俺は急いで準備を進めていくのだった.....
「よーし準備できたぞ」
あれから着替えやら朝食(紗夜が作ってくれてあった)を済ませた俺は紗夜に声をかける。
「私の方も準備し終わりました」
「そっか、それで今日はどこに行くつもりなんだ?」
「そのですね....実は決めてないのですが.....」
「珍しいな、お前が予定も立たずに誘うなんて」
「さ、最近お互いに練習やらで忙しくて一緒に出かけられてなくてふと出かけたいなと思って声をかけたので.....」
どつしよつ、俺の彼女の可愛さが止まることを知らないんだが。
同棲して以来たびたび紗夜の可愛さによって死にそうになるんだが?
「年末までしっかりと練習の予定立てられてたからな......逆によくクリスマスにお互いの練習が休みになってたな」
「そうですね、本当によかったです」
言い忘れていたが俺も紗夜も高校時代と変わらずバンド活動を続けている、奇跡なのか誰かしらがわざとそうしたのかかはわからないが俺たちはみんなすぐに集まることのできるくらいの近さの大学に進学している。
「で、どうするか?」
そして話は振り出しに戻る。
「そうですね....ではまずはどこに行くのか話し合ってみましょうか」
「そうだな、早めに起きてるからまだ時間に余裕があるからな」
「そう思えたならこれからは自分で早起きしてください」
「無理だな、お前に起こしてもらうのが俺の日課だ」
「調子がいいんですから....」
と言いつつ嬉しそうな表情を隠しきれてないのも可愛いのだが口に出さずに堪能する可愛さがあってもいいと思わないか?
「それで紗夜はどこか行きたいところとかないのか?」
「そうですね....私はイルミネーションを見に行きたいです」
「ただイルミネーションは夜からだもんな、それまで別の場所に行けそうだよな....」
「そうですね.....八幡さんは行きたいところはないんですか?」
「俺か?うーん急に言われても思いつかないな....」
大学生になり相当改善された俺のぼっちだがそれでも圧倒的に1人で過ごしていた時間が長いのでこうやって誰かとどこか行くところ考えたりするのはまだ苦手なんだよな.....
「そういや今年はRoseliaやら日菜から誘われてないのか?」
去年は昼にRoseliaとパーティーをしていたから一緒に過ごしたのは夕方からなんだよな。
ちなみに一昨年は日菜と2人で過ごしてから俺との時間は同じように夕方からだった。
「今年はみんな予定があると言っていました、なので問題ありません」
「そうか、ようやく1日俺が紗夜を独占できるのか」
「も、もう!急にそういうことを言わないでください!」
「すまん、最近割とお互い忙しかったせいか1日一緒にいられるのが嬉しくてな」
こればかりは事実だ、さっきも言ったが最近は大学なりバンドの練習なりが忙しく2人で過ごす時間は減っていた。
「....ようやくも何も私はあなたにしか独占されてません」
「ぐはっ!?」
「は、八幡さん!どうしたのですか!?」
「悪い....唐突に可愛すぎた....」
いやね、本当にたまにこんな風に俺を殺そうとしてくるんだよ、こいつ。
「な、何を言ってるのですか!」
そして紗夜も顔を真っ赤にしてノックアウトと2人して恥ずかしさに悶えてるこの光景は人に見せたらそれは確かにバカップルに見えるんだろうな.....
「と、とにかくはやく行く場所を決めましょう!」
「お、おう」
その後なんとか瀕死の状態から回復して話し合いを進める。
そしてなんとか予定を立て終わり出かけるにはちょうどいい感じの時間になった。
「よし、なら予定も決まったし早速出かけるか」
「はい、そうですね」
「ふぁ....」
おっと珍しく早起きしたからかあくびが.....
「....」
あくびをしてる最中に紗夜が立ち上がった音がした。
先に玄関に向かうのだろう。
「....っ!?」
え?ちょっと待ってあくびし終わって口を閉じた瞬間に口に訪れたこの感触は......
「ちょ、なんで急に.....」
「先程....私が....そのキスをしたら目が覚めると言っていたので.....眠いままデートされるのも....いやですし....」
むしろ目が覚めすぎて1週間くらい寝不足になりそうだ.....
「そ、それでは行きましょう!」
そう言って逃げるようにして玄関に向かう紗夜。
「そ、そうだな!」
慌てて俺も紗夜を追う。
「....なぁ紗夜」
「なんですか?」
玄関を出てから恥ずかしさから沈黙してた俺たちだが不意に俺が声をかける。
「今日は....楽しもうな」
「はい....せっかくのクリスマスですからね」
そう言っておずおずと手を伸ばしてくる紗夜の手を取りながら周りに人がいないことを確認しその手を少し強引に引き寄せる。
「え?」
驚いたような顔をする紗夜の顔へと近づけ先程のお返しを軽くしておく。
「え、その...こんな....場所で....」
「人がいないことは確認した....あと、お返ししておかないとな」
「.....」
声にならない声をだして悶絶している紗夜の手を今度は普通に握って俺はこう思う。
やはり、俺の彼女がこんなに可愛いのは何も間違ってないと。
**********
「ねぇ八幡君、今年のクリスマスの予定は.....空いてたりしない?」
大学に進学して初めての12月になったばかりのある日突然彩が電話でそう聞いてくる。
「空いてると思ったけど....それがどうかしたか?」
「いやーその日私もたまたま仕事が休みでさ、よければその....一緒に出かけたりしない?」
現役のアイドルからクリスマスにこんなお誘いを受ける日が来るは......
明日あたりにこの辺りが雪で完全に埋れてしまわなければいいのだが.....
「俺は構わないけど.....彩はパスパレのみんなと過ごしたりしなくていいのか?」
「その日は....他のみんなはもう予定が入っちゃってるみたいで.....あ、ほ、他の人もね、聞いたんだけど空いてないらしくて.....」
それで仕方なく最後に俺に予定を聞いてきたってことか?
まぁ俺もその日は暇だし.....断る理由は特にないな。
「ま、俺でよければこっちは構わないぞ」
「ほ、本当よかったぁ.....」
「俺を誘えたくらいで大袈裟すぎないか?」
「う、ううんこの日のために頑張った甲斐があったっていうかそのなんていうか....と、とにかく楽しみにしてるね!ま、また今度詳しく話し合おうね!」
そう言うだけ言ってさっさと電話を切ってしまう彩を不思議に思いながら人生でも稀に見る幸運なのだろうイベントができたことをただただ喜ぶ俺だった.....
「少し早く着きすぎたかな......」
クリスマス当日となり俺は彩と話し合って決めた集合場所である駅に着いたが待たせるのも悪いと思って早く家を出たのだが思ったよりもはやく着いてしまった。
「あっ!八幡君!」
なんて思ってたのだが彩も早く着いてしまったらしく手を振りながら俺へと近づいてくる。
「ごめん、待たせちゃった?」
「いや、本当に今着いたばかりだ。ほぼ同時につくなんてな」
気を遣われたと思わせるのもあれなのでしっかり今きたばかりなことを強調しておく。
「そうなの?でも私も早く家を出てきたのに八幡君も着いてるなんて....」
「小町に女の子は待たせないようにって昔から無駄に言われ続けてきたからな」
事実バンドを始めるまでまず誰かと待ち合わせするということはなかったので無駄だったのは間違いない。
「ふふっ、それでも八幡君ってそういうところ本当に優しいよね」
「俺が優しかったら全人類が聖人になるけどな」
「そういう謙虚なところも私はす....すごいなぁって思うよ」
何か一回違うことを言いかけてた気がするがまぁ気にしないでおこう。
「そ、それじゃあ早速出かけようか!」
「ああ、そうだな」
ちなみに今日は電車を使って話題になっているイルミネーションを見ることになっている。
その後電車に乗り込みしばらく揺られる。
「最近前よりパスパレのことをよくテレビで見るようになった気がするな」
「本当?でも確かに前よりもお仕事を貰えるようになってきて前よりも忙しいかも」
「まだ大学生だってのにすげーなって毎回思ってるぞ」
「八幡君にそう言ってもらえたら頑張った甲斐があるよ!」
だからこそ今でもそんなアイドルと一緒に出かけてるというのが信じられないのだが。
「八幡君たちは最近調子はどうなの?」
「俺たちか?まぁケントが受験期になってからは少し練習が減ってるけど順調だぞ」
だが俺たちアブアルも実はスカウトが来るようになっていて今はケントの受験を理由に断ってたり返事を保留にしてるのだが一度みんなで話し合ってケントの受験が終わり次第挑戦してみようという結論が出ている。
「そうなんだ、ケント君にも頑張れって伝えてね」
「おう、伝えとく」
彩とこうやって接しているとまるで芸能人であるというのを感じない。
もちろんそれはいい意味であり緊張せずに話せるというのは芸能人としてはすごいことじゃないかと思う。
「八幡君は大学でどうなの?その.....彼女とか出来たりしてるの?」
「俺か?俺は....そもそも友達すらできてないな」
残念なことに俺は大学デビューをするわけでもなく高校と同じように大学でもほとんど1人で過ごしている。
「よかった.....」
「そこで安心されるのは複雑なんだが....」
「あ、ご、ごめんね!違うのそうじゃなくって!」
「大丈夫だ、わかってるから」
その反応を見たくてやっただけだ。
「俺には友達も彼女も多分できないんじゃないか、こんなんだし」
「そ、そんなことないよ!八幡君は優しいし.....私はいいところいっぱい知ってるよ!」
冗談のはずがそんな真面目に否定されるとは思わなかったな.....
「その、ありがとな」
思わず普通にお礼を言ってしまったがきっと俺の顔は今赤くなっているのだろう、顔熱いし.....
「あ、えっとごめんね急に」
と、言いつつお互いに照れてしまって相手の顔が見れない.....
そのまま電車の中ではお互い悶絶していたら気がついたら目的へと着いていた.....
「うわ〜すっごい綺麗!」
「そうだな、こんな本格的なイルミネーション見にしたのは初めてだけどすごいのはわかるな」
「私もこんな綺麗なイルミネーションは初めてだよ!」
「ロケとかでも行ったりしないのか?」
「行ったことはあったけど時間がなくてゆっくり見れなかったんだよね」
「なるほど....それじゃ今日はしっかり楽しまないとな」
「うん!」
なんて話しながら歩いてるとだんだん人が多くなってきたようだ。
「あ、すいません....」
どうやら彩は人にぶつかってしまってるようだ。
てか普通にこのままだとはぐれかねないな....
「あ、あのさ八幡君人が多くなってきたからさ....その」
「ん?どうした?」
どうも歯切れが悪く何かを言ってこようとしてる彩に問いかける。
「その....はぐれないようにさ....手、繋がない?」
「あ、ああ」
人が多くてはぐれないようにするのはわかるのだが.....
女子と手をつなぐ機会など小さい頃小町にして以来なんだよな.....
え?学校行事とかはどうしたのかって?そんなん全部拒否られたに決まってるだろ。
「じゃ、じゃあ....失礼します.....」
なぜか敬語になりながらとても遠慮がちに俺の手を握る彩。
「お、おう」
俺もその手を相当ためらったものの握り返す。
え?これ現実?だってただのぼっち大学生が現役のアイドルと手を繋いでるんだよ?
「八幡君の手....あったかいね」
先ほどまでカイロの入ったポケットにずっと手を入れてたおかげで俺の手は割と暖かくなっている。
対して彩の手はかなり冷たくなっていた。
「彩も手袋くらいしてくればよかったのに」
「いや、あのその〜実は忘れちゃって」
「やっぱおっちょこちょいなのは相変わらずか」
「う、うん。早く治したいんだけどね.....」
だけど彩の場合それが可愛いのかもしれないが。
「本当は八幡君と手をつなぐ口実にしようとしてたんだけどなぁ.....」
「何か言ったか?」
「う、ううん!なんでもない!」
気のせいならいいのだが.....
というか本当に初めて本格的なイルミネーションを見たけど綺麗だなぁ.....
「ねぇあれパスパレの彩ちゃんじゃない?」
「あったしかに似てるね〜でもなんか男の人といない?」
「しかも手を繋いでるよね、本当に彩ちゃんならなんかショックかも」
やばいな、今まで気づいてなかったが人が多くなってきて彩のことに気づいた人が出てきてるな.....
このままバレたら男と一緒にいたことが明らかになってしまう。
それは彩にとってプラスになる事はないだろう。
「彩、人が多くなってきたし少し人混みを離れないか?」
「うん、そうしようか」
彩も人に気づかれてることに気づいたらしく俺の提案を受け入れてくれる。
「えへへ....私も少しは有名に....」
心なしか喜んでる気もするけど早く離れないとな.....
お、あっちはこっちに比べて人が少ないな。
「ひとまずあっちに向かうぞ」
「うん、わかったよ」
その後なるべく人目につかないように人気の少ない場所まで移動した俺たちはベンチで休憩をしていた。
「危なかったな」
「そうだね、でも私たちも前より多くの人たちに知ってもらえてるんだって思えたよ」
「だけだ今は状況がまずいからな、バレないようにしないとな」
「.....八幡君はさ、私とそういうふうに見られるのはイヤ....かな?」
「悪いがアイドルと出かけて役得と思わないほど男を捨ててるつもりはないぞ」
俺は少し冗談めかしてそう答える。
「誤魔化さないで.....ちゃんと答えて」
しかし彩は俺に逃げることを許してはくれない。
真剣な眼差しで俺を見つめてきている。
「....嫌なわけないだろ」
「そう、ならさ....こんな状況じゃないとチャンスがないし....聞いてもらいたい話があるの」
俺は薄々これから彩が語るのだろう言葉がなんなのか察しがすでについている。
いや、白状するならずっと前から彩が俺に好意らしき想いを持ってくれてるのだろうことも気づいていた。
しかしこんな状況になるまでその思いを勘違いだと、そう思ってしまっていた。
「ああ、なんだ?」
「あのね....私、八幡君のことが好き」
ぽつりと呟くように告げられる彩の思い。
気づいていたのに見ないようにしてた、俺には眩しすぎるほど純粋な好意。
「初めて会ってから、最初は迷惑かけちゃって....それでも許してくれてそんな優しいところを見てたらすぐに好きになっちゃって....だから私と.....」
必死に言葉を探して俺に想いを伝えてくる彩。
だが、これ以上言わせるのは男として流石にアレなので俺も覚悟を決める。
「.....彩、俺もお前のことが好きだ。後出しになっちまって悪いけど.....俺と付き合ってくれ」
「え?」
自分が告白してら途中に急にその相手から告白されたのだ。
普通の人でもパニックになるだろう状況で彩は状況がわからな過ぎてシャットダウンしそうな勢いだ。
「え?そ、それって.....」
「もう言っただろ、俺はお前が好きなんだ」
何度も繰り返すと普通に恥ずかしいのでぜひそろそろ正気に戻ってほしい。
というか彩が慌て過ぎてるおかげで俺の方は驚くほど平静だ、いや恥ずかし過ぎて死にそうではあるけど。
「う、うう....」
「お、おいどうした?」
突然泣き出してしまう彩に俺もあたふたとしてしむう。
「う、嬉し過ぎて....私が頑張ってきたのも無駄じゃなかったんだって....」
最初は本当にただただ一生懸命な姿に心を打たれただけだった。
それが関わっていくうちに気持ちが大きくなっているのを俺は知っていた。
「....1回しか言わないからしっかり聞けよ」
今思えば最近になって俺に積極的に接してくるようになっていた。
そうしてより長い時間を彩と過ごして.....
そして俺は彩の強いところも、弱いところも見て....恋をした。
「う、うん」
泣きながら真剣な顔になると人はこんなにもマヌケで....可愛い表情になるものなのか、いや彩だから....こんなにも可愛い表情になるのだろう。
そんな愛しさを感じ俺は告げる。
「俺は....ずっとお前に夢中だったよ」
ずっと誤魔化していた、自分が傷つくのが怖いから。
勘違いしないように、みっともないことだが彩の本心を知ってその恐れは必要のないものになった今だから俺はこの言葉が言えるのだ。
「はわわわわわ.....きゅう.....」
「おい?彩?彩!?」
俺の言葉を聞いた彩は限界を迎えてシャットダウンしてしまったらしい。
「可愛いな....」
しかし照れすぎで気絶した彩の顔はとても可愛らしく俺は思わず湧き上がる欲望を抑えきれなかった。
「....これくらいはセーフだよな?」
誰かに言い訳をするように俺は彩の手を取り握りしめる、さっきとは違いしっかりと指を絡めて、さっきよりも力強く。
「これからは....もっと思い出を残していこうな」
起きた時にどんな反応を彩はするだろうか?
そんなことを楽しみに考えながら誰にも届かないが確かに伝わっただろう言葉を呟いて俺は改めて彩を見てこう思う。
やはり、彼女の努力は間違っていない。
*****
突然だが俺の名前は比企谷八幡、25歳のどこにでもいるただの成人男性だ。
俺はとある理由から今現在1人で水族館を歩いて回っている。
え?いい歳した男がなんで1人で水族館にいるのかって?
その疑問はもっともだがただ魚が好きな人の確率もあるから決して他の人には言うなよ?
「って何考えてるんだよ俺は.....」
思わず自分自身にツッコミを入れる俺だがそれも許してもらいたい。
なぜなら俺はかれこれ30分以上も本来は俺の横にいたはずの人を探しているからだ。
「まったく変わらない迷子体質だけは考えものだよなぁ.....花音も」
そう、今日俺と水族館に来てるのは俺の彼女である花音とクリスマスということでデートに来ていたのである。
が、水族館についてわずか5分後には花音の姿が消えていた.....
というのが現状だ。
もちろん電話をしたのだが人が多いせいか電波が届かないようだ。
「職場でまで迷うならあいつ普段どうしてるんだろうな.....」
花音は今俺と訪れているこの水族館で働いているのだが普段は主にペンギンの世話をしてるらしくあまり他の生物、特にお気に入りのクラゲを見れないことを残念に思ってるらしくたまにはゆっくり回りたいという希望の下デートに来たのだが.....
「このまま見つからなかったらどうするかぁ....」
この30分花音が訪れそうな場所を探しているのだがまるで姿が見えない。
普段からよく迷子になる花音だがかつて2時間ほど再開までに時間を要したことがある。
「....流石にクリスマスにまでそれは勘弁してほしいよなぁ」
いやほんとまじで。
「かといって次はどこを探すか.....っと」
次にどこを探しにいくか考え始めた瞬間電話がかかってくる、どつやら電波がようやく通じるようになったらしい。
『もしもし八幡君?』
「ああ、今どこにいるんだ?」
『え、えっとね八幡君とはぐれちゃった辺りまで戻ろうとしたんだけど.....気づいたらクラゲの水槽の前に....』
その話を聞きながら地図で位置を確認したのだが.....
「どうやったらそこまで辿り着くんだよ.....」
はぐれたあたりの位置からクラゲが展示されてる場所は相当な距離がある。
が、幸い今俺がいる位置からはそう離れていない。
「今から俺がそっちに向かうから絶対にそこから離れるなよ」
『う、うん』
「じゃあちょっと待っててくれ」
『いつも本当にごめんね....』
「気にするな、いつものことだ」
いや、いつものことなのもおかしいっちゃおかしいのだが。
『ありがとう.....じゃあ、ここで待ってるね』
「おう」
そう言って電話を切る。
「さて、じゃあ迎えに行きますか.....」
それから5分ほどして花音がいるはずのクラゲの水槽の付近まで来たのだが.....
「クラゲってこんな人気なのか.....」
そこには他の場所よりも多くの人が密集していて花音を探すのがウォー◯ーを探せなみの難易度だ。
「あ!八幡君!」
と、思ってたのだが花音の方が俺に気づいてくれた。
「ようやく会えたな」
「うん、このまま時間が経っちゃたらどうしようって思っちゃったよ....」
「本格的に出かける時にGPSでもつけてもらおうか考えたわ」
「そ、そんなにかなぁ....」
「冗談だ」
8割方は
「そ、それよりも八幡君!見て、クラゲたちすっごい綺麗でしょ?」
若干話を誤魔化された気がするが.....
「そうだな、想像以上だ」
花音の影響があってか俺もいつしかかなりのクラゲ好きになっていたのだがこの光景はなかなか.....
「私も久しぶりに見たけどやっぱりいいなぁ.....」
「俺もようやく見れてよかった、花音が頑なに俺とここに来たがらなかったからな」
「だ、だって知り合いに見られたら恥ずかしいし.....」
「じゃあなんで今日はここに来ようなんて誘ってきたんだ?」
「そ、それは....やっぱり八幡君に私たちがお世話してる子たちを知ってもらいたくて.....。それに最近あんまり八幡君が構ってくれなかったし.....」
あ、俺の彼女めっちゃ可愛い。
確かにここ1、2ヶ月の間俺の方も仕事が忙しくて花音とあまり出かけたりはできてなかったな.....
「オレには詳しくは分からないけど.....ここで働いている人たちが一生懸命お世話をしてるのはわかった」
「ふふっ、なら良かった」
「まぁ花音が迷子にならなきゃもっとゆっくり見てられたんだけどな」
「ふぇぇ!その話はもう終わりにしようよ〜」
「冗談だ」
花音に言われてみればそう思っただけであって多分言われなければこうして意識することはなかっただろう。
「だけど本当に神秘的だな、クラゲってのは」
「でしょ!このクラゲは実は....」
あ、やべスイッチ入れてしまったかもしれない.....
「お、おい」
「それでね!特にこのクラゲはね.....」
結局そのまま10分以上にわたる説明を聞いたところでようやく花音は我に帰り恥ずかしそうに俺に謝るのだった.....
その後も水族館で様々な動物を見て回る。
2人でイルカのショーを見ていたら思いの外水飛沫が飛んできてあわや2人揃ってびしょ濡れになるところだった。
ペンギンも見たが花音の方をペンギンが向いた瞬間大量に花音の近くへとペンギンが寄ってきて周りの客の視線が一点に集中したりだとか.....
そんなこんなであっという間に時間は過ぎていった.....
「もうすぐ閉館時間だな.....」
「だね〜」
「なぁ、最後にもう一度だけクラゲを見にいかないか?
「時間、間に合うかなぁ?」
「まぁ多分大丈夫だろ」
実際長居しなければ普通に見れるくらいの時間はある。
さて、ここで俺は花音をを誘導するのには成功した....
ここでネタバラシをしよう、そう俺は花音にこれからサプライズを仕掛けるつもりでここに来た。
「じゃあ早く行こう!実は私もう一回見たいと思ってたんだ!」
「そうだろうと思ってな」
「そ、そんなにわかりやすかったかな?」
「もうかなり長いこと付き合ってるからな、それくらいはわかるぞ?」
「ふぇぇ....そんなふうに言われると照れちゃうよ....」
すでに顔が真っ赤だがこの後のサプライズが生活したらどんなことになるだろうか?
想像するだけでなんだかこっちまで恥ずかしくなりそうだが今回ばかりは準備もそれなりに頑張ってるからな.....
水族館の方に連絡をして....何故かめちゃくちゃあっさり許可もらえたんだけどな.....
「なんだか人が少ないね?」
「もうみんな帰り始めてるのかもな」
実際は水族館の方々に協力してもらってるわけなのだが.....
なにやら交渉がスムーズに進みすぎていて何やら裏に強大な何かの力を感じるのだが考えすぎなのだろうか?
ん?なんかかつて見かけたスーツ姿をそういえば何度か見かけた気が.....
いや、これ以上考えるのはやめよう。
「あ!八幡君あの水槽だよね!」
「ああ、確かそうだったな」
「わぁぁ.....やっぱり綺麗....」
「そうだな....」
水槽に浮かんでいるクラゲは発光していて予想のつかない動きが合わさり本当に神秘的な光景だ。
「「....」」
お互いに無言で少しの間クラゲに見入っていたが俺は自分のすべきことを思い出し一足先に現実に戻ってくる。
だが何故か今日がどうなろうと俺たちの記憶に残るだろうと確信する。
「なぁ花音.....大切な話があるんだ」
「なにかな?」
「....驚かないんだな」
「うん、なんか八幡君がそんな顔をしてたから」
「なんだよ、それ」
「さっき八幡君も言ってたでしょ、私だって....ただ何年も八幡君と一緒にいたわけじゃないんだよ?」
「....」
これは一本取られた気分だな。
「じゃあ聞いてくれ」
「うん」
きっと周りに人がいないのが俺の手回しであることも気づいているのだろう。
「今までお前には色んなものをもらった....お前のおかげで俺はそこそこまともな人間になれたと思う」
「うん」
静かに話を聞いてくれる花音、改めて止めどない私さが込み上げてくる。
「まだこれからも迷惑をかける自信しかないし、大変な目に合わせるのはほぼ確定事項だ」
「ふふ、八幡君のことなら大変なんて思わないよ」
「そうか、ならそのままひとつお願いがあるんだ」
少し笑みを浮かべながら俺はそう告げポケットに大切に入れていたものを取り出す。
「よければ、このまま俺の人生もらってくれ。代わりにお前の人生を俺にくれ」
そう言って俺が差し出したのは....指輪だ。
「その....いいか?」
「むぅ」
珍しく少し方を膨らませている。
何か間違えてしまったらしい。
「ちゃんと、素直に言ってもらいたいな」
「マジでか?」
「....じゃないと、私の人生はあげない」
「....わかった、ちょっとだけ待ってくれ」
「早くしないと、ダメだからね?」
ここにきて今まででも初めての出現となる小悪魔花音誕生である。
いや可愛いからいいんだけど。
でも....ここで覚悟を決めなきゃダメか....
「よし」
「....」
ただ真剣に、俺の方を見つめている花音。
その姿は俺の拗れた性格をほどくのには十分すぎた。
「俺と、結婚してください」
「....はい、喜んで」
そのまま目を瞑る花音。
流石に俺もそこで間違えるほどの性格はしていない。
「「....」」
お互いに顔を少しずつ近づけて....唇が触れ合う。
きっとこの瞬間を写真に収めていたのなら後ろの水槽と合わさってそれはきっと....世界で1番美しく、幸せに満ちた写真になっただろう。
唇が離れてから俺たちは顔を見合わせてから笑い合いながらこう言い合う。
「これからもよろしくな、花音」
「うん、こちらこそ」
やはり、俺たちの思い出は間違っていない
今回はここまでです!
なんとかギリでクリスマスイブにに投稿できました!
それと申し訳ないですがここからリアルが忙しくしばらく投稿できないと思います....
よければ気長に待ってくださるとありがたいです。
それとよければ感想、評価など残してくださるとありがたいです!
では次回予告いってみましょう!
「ハチ兄、まだ起きないね」
「だね、もうそろそろ起こさないとかな?」
「そうであるな、もうじき休憩時間も終わりであるしな」
「じゃあ次回予告してから起こすか」
「うん、じゃあ僕がしちゃうね、次回やはり俺がバンドを組むのは間違っているは『そろそろ比企谷八幡も企画にツッコミをしなくなる』です!」
「本当に次の対決はなんなんだろうな.....」
「とりあえず八幡君を起こしちゃおっか」
「おい!八幡!起きろ!もう次の戦いはすぐであるぞ!」
「....うるさいぞ、材木座」
「まったく幸せそうな顔して寝てどんな夢を見てたんだ?」
「は?夢....夢....なんも見てない」
その後休憩終わりまで続いた追及はここでは触れないでおこう.....