【完結】Transformers the Gate~機械仕掛けのオプティマス~ 作:詠符音黎
それは宇宙からやってきていた。
宇宙を観測していた人間達は、それをただの隕石だと思って見過ごしていた。
だが、本当はそうではなかった。
それは意思をもった金属だった。
倫太郎も、車に乗りながら、その流星を見ていた。そして、倫太郎はなぜか革新できていた。それが、ただの流星ではないと。
その意思を持った金属の塊は、日本の各所に落ちていった。
もちろん、それが落ちた場所は大きな騒ぎになった。だが、誰もその金属を目にすることはなかった。
当然である。
金属はみな、近くにあった乗り物に
あるものはトラックに、あるものは救急車に、あるものはスポーツカーに……次々とトランスフォームしたからだ。
そして“彼ら”はみなある一点を目指して動いていた。
日本、場所は秋葉原にある、柳林神社へと。
倫太郎達は柳林神社についていた。
そこには、るか、フェイリス、鈴羽、萌郁と、残りのラボメンが揃っていた。
「あれ、凶真? どうしたにゃ? この前貰った車でやってきて?」
「岡部さん?」
フェイリスとるかが不思議そうな顔で倫太郎を見る。
「お前達こそ、どうしてこんな深夜にみんなで集まってるんだ」
「……花火大会、みんなでしようって……」
萌郁が答える。その手には、線香花火が握られていた。
「それよりどうしたのさ君達こそ。そんな蒼白な顔してさ」
鈴羽が聞く。倫太郎はゴクリと息を飲み、答えようとする。
「実は……」
そのときだった。
大きなクラクションが鳴り響いた。クラクションの方を向くと、続々と車が柳林神社に向かって集まってくるのが見えた。
その車達は次々結集すると、倫太郎達の前で、トランスフォームし始めた。
「えっ!? 何っ!? 何なのニャ!?」
「く、車が……変形した!?」
「……嘘……!?」
「…………っ!?」
フェイリス達は、みな驚いていた。当然だろう。目の前で突然車がロボットに変形したのだから。倫太郎もまだ自分を信じられていなかった。
しかし、ただ一人鈴羽だけは、驚きの質が違っているように思えた。
「お、岡部さん……これは、一体……!?」
「……俺にも、分からん……」
倫太郎はるかの言葉に首を横に振る。
そんな倫太郎達の前に、一機のロボットが歩み寄ってきた。
青と赤のカラーが印象的なトラックが変形したものだ。
そして、そのロボットは片膝をつき、倫太郎に視線を合わせて語りかけてきた。
「未来ガジェット研究所の所長、岡部倫太郎だな?」
「あ、ああ……」
倫太郎は息を飲みながらも答える。
「私はオプティマスプライム。惑星サイバトロンからやって来た、金属生命体だ」
「オートロボット、オートボットと呼んでくれ」
救急車から変形したロボットが言った。
「惑星サイバトロンって……宇宙人って事!? す、凄いお!? 本当に居たんだお!?」
「その通りだ。この星の人間とこうして接触するのは、初めてとなるな」
興奮気味に言う至に、オプティマスは冷静に言う。
「日本語話せるの?」
「ああ、インターネットで学んだ」
「ああ……」
紅莉栖の質問にあまりにも普通に答えたため、紅莉栖は面食らった。
「我が軍の仲間達を紹介しよう。彼はジャズ」
「よろしくな、人間。いい星だな」
スポーツカーからトランスフォームしたロボットが言う。
「軍医のラチェット」
「ふむ、オスが三人にメスが五人、繁殖に適した構成だ」
救急車からトランスフォームしたロボットが紹介された。
「こっちはアイアンハイド」
「よう兄ちゃん姉ちゃん、一発ドカンとやってみるかい?」
アイアンハイドと紹介されたロボットが、キャノン砲を見せながら言う。
「よせアイアンハイド」
「冗談だよ、俺のキャノン砲を自慢したくてな」
「こっちはスキップとマッドフラップ、ツインズと呼ばれている」
「よう、可愛い子多いね!」
「お前人間なんか好みかよ!」
「いや言ってみただけ」
ツインズがワイワイと話している。
「そして彼がバンブルビー。君達のボディーガードの役目を任せた」
バンブルビーはその言葉と共に、陽気な音楽を流しながら踊りだす。
「バンブルビー……じゃあビーちゃんだ!」
「のん気にそんな事言ってる場合かまゆり。彼はその……話せないのか?」
「ああ、彼の発音装置は随分前に故障してしまってな」
倫太郎の質問に、ラチェットが答える。
「そして最後に彼はウィーリー。元ディセプティコンだったが、我々オートボット側についてくれた」
「へいへい、俺が最後ってひどくない? まあでもトリって考えればいいかな、へへっ」
オートボットの中でも一際小さいロボットが下品そうな笑い方をしながら言った。
「……かわいい……」
「ねぇ、今言ったディセプティコンって!? そもそも、なぜあなた達は地球に来たの!?」
紅莉栖が倫太郎の横に並びオプティマスに聞く。
「説明しよう」
そうしてオプティマスは立ち上がり、説明を始めた。
「我々の星、サイバトロンは長い間戦争をしていた。私達オートボットとディセプティコン。何千万年にも渡る戦いを。それは、我々の星の資源を巡る争いであり、そして、我々の種を生み出したオールスパークを巡る争いだった。その戦いで惑星サイバトロンは疲弊し、オールスパークも宇宙のどこかへと消えてしまった。ディセプティコンはそのオールスパークを探し出し、その力で宇宙のあらゆる機械を自らの尖兵へと変形させるつもりなのだ。そして、そのオールスパークがこの地球にあることを突き止めた」
「この、地球に……? どうしてそれが分かったんだ」
倫太郎は思った疑問を口にする。今まで何千年も行方が分からなかったものが、なぜ急にその在処がわかったのか。
その答えは、倫太郎達を驚かせるに値するものだった。
「それだ。その発明品、テレトラン1のおかげだ」
オプティマスは、至の持っているテレトラン1を指さして言った。
「こ、これの!? どゆこと!?」
「その装置は電波を何百倍にも増幅する装置らしいな。その電波の増幅で、宇宙にまで君達の言うDメールのデータが飛んできた。そして、そのDメールにオールスパークのエネルギーを感知したのだ。私達も、そしてディセプティコンも」
「Dメールに、オールスパークの……!?」
「そこは私から説明するよ」
そこで、今まで黙っていた鈴羽が口を開きオプティマスの前に歩いてきた。
もちろん、倫太郎達は驚いた顔をする。
「バイト戦士……!?」
「岡部倫太郎、そしてみんな。驚くかもしれないけど聞いて欲しい。私は未来から来たんだ。彼ら、トランスフォーマーが地球を戦場に戦っている未来から」
「未来から……!? そ、そんな! ありえないわ!」
「ありえなくはないんだよ牧瀬紅莉栖。君達が研究しているタイムマシン研究が、いずれ人間の時間移動すら可能にするんだ。そして私は、二〇三六年の未来から、その過去を変えるためにやってきた。その未来を変えるために。でももう、事態は私の予測していたよりも早く動いていたみたいだ」
「そうか……とりあえず、その話を信じようバイト戦士」
「岡部!? 信じるの!?」
「もう既に俺達の想像を超える事態が起きている。それと比べれば、俺達の研究の延長線上にあるもののほうがまだ信じやすいだろう」
「ありがとう、岡部倫太郎……いや、オカリンおじさん」
鈴羽は軽く頭を下げると、説明を続ける。
「それで、その未来でやっと判明したことだけど、時間移動に使われるエネルギーにおいて、カー・ブラックホール理論などだけじゃ説明できない理屈が存在した。それが、オールスパークのエネルギー」
「オールスパークのエネルギーが、時間移動の鍵だったのか……」
「その通りだ。そのエネルギーの波動を、君達が実験で送ったDメールのデータから把握することができたのだ」
「そういうことだったのか……」
「後は、正確なオールスパークの場所をディセプティコンより前に突き止めなければいけないのだが……」
「その場所なら、私が知ってるよ」
「本当か!? 少女よ!」
鈴羽の言葉にオプティマスが反応する。鈴羽は、コクリと頷く。
「うん。オールスパークはここ、秋葉原の地下にある!」