【完結】Transformers the Gate~機械仕掛けのオプティマス~   作:詠符音黎

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第5話

「うわああああ!? 凄い襲ってくるよビーちゃん!?」

 

 まゆりはトランスフォームしたバンブルビーに乗り、道路を走っていた。

 その後ろを追跡する一機の戦闘機の機影。

 ディセプティコンの航空参謀、スタースクリームだ。

 スタースクリームはバンブルビーとまゆり間がけて機銃掃射はロケットを発射してくる。

 バンブルビーはそれを巧みな横移動や加速、減速を交えて避けていく。

 

「大丈夫なの、ビーちゃん!?」

 

 まゆりは問いかける。

 すると、

 

『安心してください』

 

 と、ラジオの音声で返ってきた。

 

「……うん! ビーちゃんがそう言うなら!」

 

 まゆりは頷く。

 手は震えていたが、その手をギュッと握りしめ、恐怖と戦っていた。

 スタースクリームの追撃はなおも止むことを知らない。

 バンブルビーは狭い道でなんとか小刻みに動き、それを避ける。

 そして、バンブルビー達はトンネルに入る。

 スタースクリームもまた、一緒にトンネルの中に入る。

 トンネルの中は狭く、うまく攻撃を避けることができないバンブルビー。

 このままではやられてしまう。そう思ったときだった。

 

『飛ぶぞ!』『用意しろ』

 

 バンブルビーのラジオから、突然そんな音声が流れてくる。

 

「えっ!? う、うん!」

 

 まゆりは何がなんだか分からなかったが、その言葉に従い、ぐっと頭を抱え姿勢を低くとる。

 そしてまゆりがそんな態勢をとり、トンネルから出た瞬間、なんとバンブルビーは急にトランスフォームを始めた。

 

「きゃあっ!?」

 

 まゆりは思わず声を上げる。

 だがバンブルビーはそんなまゆりを片手で優しく包み、そしてもう一方の手で、バンブルビー目掛けトンネルの中を飛んできていたスタースクリームに反転して殴りかかった。

 

「何っ!?」

 

 スタースクリームはトンネルの中を飛んでいたために高度が低く、ジャンプしたバンブルビーの拳の圏内にいた。そしてスタースクリーム意表をつかれた事と、高度を合わされたことにより、バンブルビーの拳をもろにくらい、地面に叩き落とされた。

 

「ぐっ!?」

 

 スタースクリームは地表を滑るように転がる。

 転がりながらも、なんとかトランスフォームして受け身を取ろうとする。

 だが、それをバンブルビーは見逃さなかった。

 バンブルビーはまゆりを地面にそっと置くと、すばやくスタースクリーム目掛けて走っていき、まだ姿勢を整え終えていないスタースクリームをさらに殴り飛ばした。

 

「ぐえっ!?」

 

 またも吹き飛ぶスタースクリーム。

 そのスタースクリームをさらに振り下ろすように殴りつけるバンブルビー。

 スタースクリームはその衝撃で、地面に強くぶつかりゴムまりのように跳ねる。

 

「ぐぐぐ……」

 

 ゆっくりと起き上がろうとするも、衝撃が未だに体に残っているスタースクリーム。

 そのスタースクリームの頭に、バンブルビーはキャノン砲を突きつける。

 そしてそのまま、バンブルビーはスタースクリームの頭を吹き飛ばした。

 

『蝶のように舞い、蜂のように刺す』

 

 バンブルビーは銃口を吹き消すようなジェスチャーを取り、ラジオでそう流す。

 そんなバンブルビーのもとに、まゆりが駆け寄る。

 

「すごい! すごいかっこよかったよビーちゃん!」

 

 まゆりが興奮気味に言う。

 バンブルビーはそれに対し、照れくさそうに頭をかく。

 

「これで私達を追ってきてた悪いロボットさんはやっつけられたのかな?」

 

 バンブルビーは頷く。

 

「そっか。じゃあ、ひとまず安心なんだね」

 

 再びバンブルビーは頷く。

 

「……ねぇビーちゃん。お願いがあるんだけど」

『?』

 

 バンブルビーは首をかしげる。

 そんなバンブルビーに、まゆりは言った。

 

「私、オカリンを助けに行きたいの。本物のオールスパークを持ってるのは、オカリンでしょ? だから、きっとオカリンはいっぱい大変な目にあっちゃうと思うんだ。だから、そんなオカリンを、少しでも助けたいの。やっと悪い奴やっつけたところでビーちゃんも疲れてると思うけど、お願いできるかな?」

 

 心配そうな顔でバンブルビーに聞くまゆり。

 そんなまゆりに、バンブルビーは、ぐっと親指を立て頷いた。

 

『任せろ!』

「本当!? ありがとうビーちゃん!」

 

 まゆりはバンブルビーの足に抱きつく。

 そんなまゆりをバンブルビーはゆっくり持ち上げ、再びトランスフォームし車になって、まゆりと共に倫太郎のいる秋葉原へと再度向かうのであった。

 

   ◇◆◇◆◇

 

 

 

「これだ! この武器だ!」

 

 鈴羽は秋葉原の近郊にこっそりと作っていたセーフハウスから武器を回収していた。路地裏の地下にその入口があった。

 体中に重たい弾を巻き付け、鈴羽はグレネードランチャーのような大きな銃を構える。

 

「待たせたねアイアンハイド! さあ行こう!」

 

 狭い入り口から体を出し、地上へと出た鈴羽はまっていたアイアンハイドに言う。

 

「おう! ディセプティコンの奴らを八つ裂きにしてやる!」

 

 アイアンハイドは両手を突き合わせながら答えて、二人一緒に路地裏を出る。

 そのときだった。

 

「っ! 危ない!」

 

 突然の砲撃が、二人を襲った。

 その砲撃から、アイアンハイドは鈴羽を守る。そのアイアンハイドの機転により、アイアンハイドと鈴羽は大きな怪我を負わずに済んだ。

 

「くそっ! 今のは!」

 

 鈴羽は砲撃のあった方向を見る。そこにいたのは、過剰とも言えるほどに武装を積んだ、戦車だった。

 ディセプティコンの戦車にトランスフォームできる戦士、ブロウルだ。

 ブロウルは戦車の形態のまま二人に近づき、砲撃を繰り返す。

 

「ちっ!」

 

 それを二人はそれぞれ反対の物陰に隠れてやり過ごす。

 

「野郎! ぶっ殺してやる!」

 

 アイアンハイドが両手をキャノン砲に変えて吠える。

 

「アイアンハイド! 私も行く!」

「……よし、ついてこい!」

 

 アイアンハイドは一瞬逡巡したが、鈴羽の決意に溢れた目を見て、頷く。

 

「それじゃあ一、二の三で行くよ!」

「ああ!」

「一!」

「二の……」

『三!』

 

 その言葉と同時に、二人は飛び出した。

 

「!」

 

 二人が一緒に飛び出してきたことにより、ブロウルは一瞬照準を遅らせる。

 だが、すぐさま照準を鈴羽に向けた。

 

「させるか!」

 

 しかし、その隙をアイアンハイドは見逃さなかった。

 アイアンハイドはキャノン砲でブロウルの砲身を撃ち、歪める。

 

「!?」

 

 ブロウルはそれにより照準がずれ、直ぐ側のビルの壁を吹き飛ばし、自分にコンクリート片を降りかからせることになる。

 コンクリートの雨を受け混乱しているブロウルに、一気に駆け寄ろうとするアイアンハイドと鈴羽。

 だが、ブロウルはすぐさまトランスフォームに、その凶悪な姿を見せる。

 

「ちいっ!」

 

 ブロウルとアイアンハイド両者が拳をふるい、その拳同士がぶつかる。

 近距離でキャノン砲を撃とうとするアイアンハイドと、ありあまるほどの武装を発揮しようとするブロウル。

 だが、お互い距離が近すぎるために、うまくいかない。

 

「このディセプティコンの鉄くずが!」

 

 アイアンハイドとブロウルは両手を掴み合い、互いに力比べの形になる。

 すぐさま崩れかねない、その均衡。

 

「そこだああああああああああああ!」

 

 それを、鈴羽は見逃さなかった。

 鈴羽はアイアンハイドの股の間を滑りぬけ、ブロウルの直下に来ると、胸にAPDS弾を撃ち込む。

 

「っ!!??」

 

 胸を近距離で撃ち抜かれたブロウルは、大きくよろめき、アイアンハイドに押し倒される。

 

「コレでも喰らいやがれ!」

 

 そして、倒れたブロウルに、アイアンハイドはキャノン砲を突きつけ、鈴羽の撃った胸に大きな風穴を開けた。

 動かなくなるブロウル。それは、アイアンハイドの勝利を意味していた。

 

「やったね、アイアンハイド!」

 

 鈴羽が起き上がり、アイアンハイドの元に歩み寄る。

 

「ああ、お前のおかげだ、鈴羽!」

 

 そして、鈴羽とアイアンハイドはお互いにそっと拳を突き合わせた。

 

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