【DQ11】ウソバレ☆レイトショー!【ざっくばらん書き】   作:千葉 仁史

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㊤天上に浮く屋敷を目指して

「いつでもどこでも、どんな時代だって、お前と俺は相棒だ!」

 

 そう言って掌を強く握り締めてくれた相棒のことを俺はいつまでも覚えている。

 

「あ、起きた」

 

 瞼を開けると、目の前に青空を背負ったベロニカがいた。彼女が生きている事実を再確認し、感動のあまり涙を流しそうになるのを必死で耐えながら、勇者ことイレブンは「此処は何処?」とすっ呆けるようにして聞いた。あっきれた! と腰に手を当てて今にも怒り出しそうなベロニカを抑えながら、セーニャが「此処はイシの村近辺ですよ」と答える。寝転がっていた草原からイレブンは一発で起き上がると、ぷかぷか浮かぶ命の大樹を見上げながら「とりあえずオーケーかな?」と頭をガシガシと掻いた。

 

 時のオーブを壊し、過去へ戻ったイレブンは命の大樹の付近で突っ立っていた。あれ? 目が覚める場所は聖地ラムダとか言っていなかったっけ? そういえば、巻き戻す瞬間、時の番人が「あ!」と恐ろしい声を上げていたような気がするが、こりゃあ場所を間違いやがったな。でも、ベロニカが生きているなら、まぁいいや。これから起きることを整理しつつ、イレブンはやたらニコニコするセーニャと何処か余所余所しい仲間を連れて――特にカミュに疑われながら――命の大樹を登った。

 さてはて勇者の剣を発見し、前回はシルビアに一番乗りされたけど今回は俺が最初に触ってやる! と背後を気に配りながらイレブンが取ろうとした瞬間、そのシルビアが鞭で後ろからこそこそと追尾していたホメロスを鞭で一打ちした。あ、今度はそっちを取られたか。

 

「不意打ちとなんてさせるかよ! ホメロス、覚悟しやがれ!」

 

 イレブンが攻撃態勢に入るよりも早く、マルティナがホメロスに攻撃を仕掛ける。奇襲に失敗したホメロスが驚く間もなく、イレブンのパーティ全員――セーニャはともかく、珍しくカミュが遅れを取っていた――が迎撃態勢を取っていたので、吃驚するほど早く片が付いた。あの時、フルボッコにされたのが嘘のようである。よっしゃ! とイレブンが喜んでいると、グレイグ(この世界ではまだ敵)がウルノーガに取り憑かれた王様を連れてやってきた。

 

(バーカバーカ。魔王め、お前の作戦は失敗だぜ!)

 

 ふふん、と思っていると、ホメロスが魔王に命乞いをし始めた。それを見た魔王が動き出すよりも先にグレイグがホメロスの前に立ちはだかり、「陛下、貴方様より魔の物の匂いがします」と言い出した。あれ? このおっさん、物分かり良過ぎね? だが、これはチャンスである。

 

「そうなんだよ! この王様、魔王が取り付いてるんだ。やい、ウルノーガ! 王様から出て行きやがれ!」

 

 前の世界で魔王を倒したことでパワーアップした左手の紋章を掲げると、王は呻き声を上げながら倒れ、ウルノーガが現れた。悔しそうな声を漏らす魔王に「覚悟しなさい!」とベロニカが呪文を詠唱する。じいちゃんことロウが爪を構え、シルビアが鞭を鳴らし、マルティナが地面を蹴る。此処がお前の墓場だ! と言わんばかりに飛び出した俺たちの耳に地に伏していたはずのホメロスの声が届いた。

 

「ウルノーガ様に手出しはさせない!」

 

 え、アイツ、まだそんな元気あったの? そう思う間もなく、ホメロスが古代呪文「バシルーラ」を唱える。魔法の光に包まれたイレブンたちはあっという間に世界各地へ飛ばされてしまったのだった。

 

(それで飛ばされて目が覚めたら、イシの村付近ってかい。やれやれだぜ)

 

 同じ場所に飛ばされていた双賢の姉妹と合流したイレブンは、とりあえず近場のデルカダールへ向かうことにする。示し合わせた訳ではないが、デルカダールには他の仲間が揃っていた。王様とマルティナの感動の対面を横目に、イレブンはイシの村の人々と少し感動の薄れた対面を果たす(だって前の世界で無事だったことは知っていたし)。陛下の話を聞いて、ホメロスと一緒に逃げたであろう魔王を追っ掛けることを決めたイレブンたちにグレイグが「俺も連れていってくれ」と仲間入りを頼んできた。

 

(前の世界でもグレイグのおっさんは仲間になったし、こっちの世界でも仲間になるんだなぁ。これが運命ってヤツ?)

 

 カミュは難色を示し、セーニャは驚いた顔をしたが、他の仲間は賛成したので、イレブンはグレイグをパーティ入りさせる。

 

「恐らくホメロスは魔王に操られているのでしょう。軍が混乱しますので、この件はどうぞ御内密に」

(いや、あれガッツリ忠誠誓ってんだって。でも、これを知ったら、おっさん悲しむだろうし、もう少し黙っていよう)

 

 グレイグがそうデルカダール王に伝えるのを聞いて、イレブンは何処かヤキモキした気分になった。

 兎に角も、この八人パーティでイレブンたちは改めて出立することになったのだった。

 

 一方、その頃、ホメロスの機転により助けられたウルノーガはとある山脈の洞窟に身を隠していた。オーブは奪えないわ、命の大樹は落とせないわ、部下はホメロスしかいないわ、で散々な状態である。(※魔物は強い奴にしかついてこないから、命の大樹落としに失敗したので本来ついてくる予定だった魔物がついてこなかった)とどめに勇者の証の光を直に浴びたことにより弱体化してしまったので、勇者討伐についてはホメロス(※部下はいないけれど魔軍司令コスチュームに着替え済)に委ねることにして、ウルノーガは洞窟の奥へ引っ込むことにした。

 さて、後のことを任されたホメロス。回復を果たしたのち、あの忌々しい勇者たちをどう倒そうか考える。(※ウルノーガが抜刀する前にグレイグが前に立ちはだかったので、そのウルノーガが自分を殺そうとしたことに気が付いていない)其処へエビルプリーストと名乗る魔物が「部下にしてほしい」とやってくる。見たことがない魔物だな、と思いつつも、圧倒的な部下不足の為、ホメロスは傘下へ引き入れることにした。

 

 その頃の勇者たち御一行について。旅立ったのはいいが、魔王の逃げ先の情報があまりないため見付からず、イレブンは苛々していた。しかしイレブンが苛ついていた最大の理由は仲間の余所余所しさであった。前の世界――時を巻き戻す前では、ベロニカこそ失ってしまったが、その悲しみを力に変え、絆を高めて魔王に挑んだ。だが、時を巻き戻したことで――覚悟していたとはいえ――その絆が失われ、イレブンは仲間が『顔の見知った赤の他人』にしか見えなくなっていた。あと、『これから起こる未来が分かっている』状態でありながら、状況が遅々として進まないことも苛々の要因の一つだった。要は時を遡ったことで、これから起こることは分かっているから強くてニューゲーム状態! ……と思っていたら、魔王に逃げられるわ、これから起こることが変わって分からないわ、仲間と高めた絆がパァになって『顔の見知った赤の他人』にしか見えないわ、で苛々が募っていったのである。

 その結果、そんな勇者を心配し、色々と声を掛けてくれたカミュにイレブンは喧嘩をしてしまう。怒ってパーティを抜け出したカミュを連れ戻すため、ベロニカとマルティナとロウが追っ掛ける。残ったセーニャとシルビアとグレイグで勇者を諭すが、「そんなこと言ったって、お前ら他人じゃないか」と意固地になったイレブンはなかなか聞き入れようとしない。

 

 とある平地にて、カミュと合流したベロニカたちはカミュを説得するが、その最中、ホメロスの強襲を受ける。しかも、その奇襲で気を失ったカミュとベロニカをホメロスは人質にしてしまった。マルティナはロウに「私が囮になるから逃げて下さい」と告げる。そんなことさせる訳には! と代わりに囮になろうとするロウにマルティナは言った。

 

「もうロウ様には死んでほしくないから」

 

 その言葉にロウが疑問を覚える前に、マルティナはキメラに翼をロウに投げ、逃がしてしまった。

 

 マルティナによって逃がされたロウは勇者と合流し、カミュとベロニカとマルティナがホメロスに掴まったことを話す。仲間をもう死なさないために過去に戻ったのに、自分の我儘でピンチに陥らせてしまった、と落ち込むイレブンを「落ち込むより先にすることがあるでしょ」とシルビアが発破を掛ける。ロウの背中にはホメロスからの声明文がいつのまにか貼り付けてあり、要約すると「人質を返してほしくば、天空屋敷へ来い」とのことだった。天空屋敷? と勇者が首を傾げたとき、地面が鳴動し、屋敷が浮上する。

(※漫画「うしおととら」の高千穂空屋敷を想像してほしい)

 

「カミュ、ベロニカ、マルティナ! 待ってろよ。必ず助け出してやる!」

 

 かくして、過去にゲットしたことがあるので方法が分かっていたため楽々手にしたケトスに乗り、勇者御一行は天空屋敷を目指すことになったが、足を踏み入れた瞬間、罠(トラップ)が発動し、三つに分断されてしまう(イレブン、セーニャとロウ、シルビアとグレイグ)。イレブンに至っては分断というより落とし穴で、あと少しで地上へ強制的にお帰りされる(落とされる)ところだった。壁に剣を突き刺すことで落ちることを回避した勇者だったが、これでは身動きが取れない! どうにかして這い上がるしかないイレブンであった。

 

 ホメロスはというと「戦力の差を埋めるのはやっぱり奇襲が一番だな」と思いながら、勇者パーティ三人を捕まえたことに悦に入っていた。縛り上げられているのにホメロスを気丈に睨み付けるカミュとベロニカ(ちなみにマルティナは別室)の二人にホメロスは「潜入したドブネズミがどうなったか見せてやろう」と、なんとイレブンの首(!)を見せる。それを見て真っ青になる二人。項垂れる様を見て「貴様らも後を追わせてやろう!」と高笑いするホメロスだった……が。

 

「よくも俺の相棒を!!」

 

 いつのまにか縄を解き、ブチ切れたカミュに思いっきり殴られた。小癪な! とホメロスは魔法を放つが、カミュはそれを正面から突破し、唖然とするホメロスに左手で再度殴り掛かる。

 

「彼奴は世界の希望だったんだ! 彼奴がいなきゃ俺に生きてる意味がない!」

「ドブネズミの癖に生意気な!」

 

 それから後はもう悲惨である。二人の乱闘は縺れに縺れ(しかも意外なことにカミュの方が優勢だ)、ダンジョンを壊しながら奥へと消えていった。残されたベロニカはしばし茫然としていたが、正気に戻ると、ホメロスが落としたイレブンの首に触れてみた。すると、魔法が解け、それは単なる石となった。

 

「カミュ、これニセモノよ! イレブンは生きて――」

「ぎゃあああ!」

 

 ベロニカの言葉は届かず、ホメロスの悲鳴が聞こえるだけである(それだけカミュがブチ切れて暴れているようだ)。とりあえず、ベロニカはマルティナと合流することに決めた。

 

 一方、別檻に閉じ込められたマルティナだったが、自力で脱出していた。逃げる最中でベロニカと合流し、天空屋敷を走る二人は広いホールへ辿り着く。そのホールには二体の魔物が鎮座していた。逃げるのは此奴を倒すしかない! と戦闘の構えを取る二人。

 

 その頃、シルビアとグレイグは天空屋敷の広いホールに辿り着いていた。此処は? と思っていると、二体の魔物がホールに飛び込んできた。襲い掛かる魔物に迎撃の構えを取る二人。

 

 いうまでもなく、此処は互いの姿が魔物に見える魔法のホールだったのだ。そうとは知らずに戦い続ける四人。さて、勝敗の行方は?

 

 セーニャとロウの二人チームはというと、圧倒的な攻撃力不足でピンチになっていた(強力なアタッカー不在チーム)。こうなれば仕方ないとロウは腹を括り、「驚くでないぞ!」とセーニャに告げ、まだ誰にも見せていなかったグランドクロスを放つ。ならば私も! とセーニャがイオナズンを放つ。ちょっと待って。なんで僧侶のセーニャが攻撃呪文を? と混乱するロウにセーニャは「皆様には秘密にしてくださいね」と言っただけだった。

 

 落とし穴に嵌まった勇者がなんとかして這い上がると、其処は天空屋敷の最下層であった。フウと溜息を吐く間もなく、その部屋へホメロスとカミュが落ちてくる。ホメロス! と剣を構えるイレブンだったが、ホメロスの姿はズタボロであった。元気が有り余っている勇者からすると、ホメロスは一撃で倒せそうだったが、ホメロスは気を失ったカミュを掴んでいた。大きく開いた窓辺に立ったホメロスは「好きな方を選べ。私の死か、相棒の生か」と言うと、其処から飛び降りてしまう。ルーラで逃げるホメロスと地面へ真っ逆さまに落ちていくカミュ。

 

(※此処で選択肢。『ホメロスの死』を選ぶと、ルーラで追跡した勇者によってホメロスを一撃で倒すことができる。その代わり、カミュは二度と仲間にならない)

 

 無論、勇者が選ぶのは『カミュの生』だ。瞬時に飛び降り、カミュを掴む勇者だったが、そこから先は考えていなかった。「やべっ!」と目を瞑った瞬間、ケトスに受け止められ、二人は助かった。

 

 マルティナ&ベロニカ対シルビア&グレイグの戦いは熾烈を極めていた。最終的に相打ちとなり、四人とも倒れてしまったところへエビルプリーストが現れ、「さて死んで貰いましょうかねぇ」と魔法を放とうとした瞬間、ガッツで蘇ったグレイグにエビルプリーストは斬られる。一度戦闘不能になったことでグレイグに掛かっていた『まやかしの魔法』が解けたのだ。エビルプリーストは、というと斬られても余裕綽々な顔で、この作戦を考えたのはホメロスだとグレイグに告げる。

 

「次はウルノーガではなく、貴方がホメロスを斬りますか?」

 

 それだけ言い残して、エビルプリーストは逃走する。

 

(『次は』だと? もしや彼奴、知っているのでは?)

 

 そう首を傾げるグレイグの元へセーニャとロウが合流を果たす。セーニャによりホールの魔法を完全に除染し、六人は崩れかけた天空屋敷から勇者が連れてきたケトスに飛び移り、脱出した。

 

 脱出したはいいが、カミュを筆頭にボロボロだったので、ドゥルダ郷で休むことにした勇者御一行。そこで勇者はベロニカにより、偽の首を見せられたカミュがイレブンの為に戦ったことを教える。それを知ったイレブンは、前の世界でカミュが言っていた「いつでもどこでも、どんな時代だって、お前と俺は相棒だ!」が本当であったことを知り、「前とか今とか関係なく、カミュは相棒で、仲間は仲間なんだ」と気付き、態度を改め、パーティに謝罪する。

 

 さて、絆を取り戻した勇者御一行だったが、あんな胸糞悪い天空屋敷に行ったものだから何かしら呪いが掛かっているのでは? とニマ大師に言われ、ステータスチェックをされることに。そうされると知った途端、イレブンは「時が遡ったことがばれてしまう!」と焦り、カミュ以外の仲間たちも何故か嫌がる。

 それでも強制的にされた結果、勇者のレベルが高いのは勿論だったが、なんと他の皆のレベルが思っていたよりも十以上高いことが判明する。セーニャとグレイグに至っては二十以上も高い。俺って、こんなにレベル高かったっけ? と混乱するカミュ。黙り込む仲間たち。そして、にこにこ笑うセーニャ。

 

 真相の行方は?

 

 

つづく

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