騎士見習いの立志伝 ~超常の名乗り~   作:傍観者改め、介入者

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前作を先に読んでおくと、複雑な心境になるお話かもしれません。

颯の並々ならぬ決意は、この作品だけで理解するのは難しいです。


第六話 片羽根の妖精

翌日、大会議室でベンチ入りメンバーを決めることと、公式戦で採用される戦術が発表される。

 

「基本となるのは4-2-2-2のツートップスタイル。これはどのサッカーでも見受けられるフォーメーションですが、状況に応じて4-2-3-1に変更するなど、前線の戦略を変更する場合もあるかもしれません」

 

まずはGK。

1番 紅林

16番 藤堂

19番 李

 

SB

2番 沢村(DMFも可)

3番 八雲 

17番 中村 

12番 桜井(DMFも可)

 

CB

4番 海王寺

5番 三上 

14番 錦織 

15番 不動

 

MF

6番 織田

7番 兵藤

8番 宮水

10番 荒木

18番 的場(FWも可)

 

FW

11番 工藤

 9番 火野

13番 高瀬

20番 逢沢

 

戦術はセンターアタック、サイドアタックともに適性のあるフォーメーションであり、4-2-3-1への変更も容易だ。

 

特に重要なのは、2列目のオフェンシブハーフのポジショニングである。

 

サイドバックのオーバーラップを促進するために、前方のサイドのスペースを空けるためにもオフェンシブハーフが中に絞る、もしくはサイドに張るなど能力の高いサイドアタッカーが必要になる。

 

ディフェンス戦術もそれぞれのポジションの選手とマッチアップしやすく、マンマークにもゾーンディフェンスにも適性のある陣形である。

 

オフェンシブハーフの運動量を考えると、リトリートでブロックを作るのが最善だろう。

 

ディフェンシブハーフの2人には、オフェンシブハーフの負荷をできるだけ低減するためのサポートと、サイドバックのオーバーラップのケアを求められ、広い視野を備える選手がいることが重要。

 

 

一方、4-2-3-1では積極的なフォアチェックでショートカウンターが武器になり、サイドバック、サイドハーフの連携がハマれば効果的な攻撃が可能となる。

 

FWの負担を減らすために、運動量のある選手を2列目に置き、積極的にゴール前に出ることも求められる。

 

特に、サイドハーフは中央のトップ下、CFWの負担を減らすため、カットインとクロスボールの精度が重要視される。

 

以上、登録される30名が発表された。なんとか中塚もしっかりとリザーブメンバーに入ることになった。しかし、現状足元の技術に劣る彼には厳しい現状となっている。

 

 

 

「以上のメンバーがベンチ入り、もしくは出場登録選手です。」

 

 

そして目まぐるしく江ノ島高校の歩みは加速し、翌日からは静岡合宿が始まる。

 

 

「まさか、静岡にこんないい場所があるなんて……」

青葉は、静岡の地で行きがけに見かけたサッカー場の近くにこんな旅館、しかも安いところがあることに驚いていた。

 

 

「実は、FCの頃からお世話になっているところで、神奈川では信じられない料金で安く借りられるんです。さらには、この宿の近くには芝生のサッカー場もあるんです」

満足げに語る岩城監督。FC時代からの縁で、ここの旅館の主とも交流があり、ここに来るのは恒例だという。

 

FC時代の選手や、新鮮な光景にテンションの上がっているSCの選手たちは我先にと旅館へと殺到。

 

「――――なぜ集合しないのだ……」

規律を守ることに重きを置く織田は放置され、その様子を見かねた逢沢と青葉は苦笑い。

 

「―――――は、ははは……はぁ」

 

「あの元気も帰りになればなくなっていますよ、たぶん」

 

青葉も、オンオフは重要だと考えていたので、これには不満顔。同時期にマイアミヴァルキリーズと戦っているであろう颯はどうなっているかと気になっている。

 

 

 

 

同時刻――――――

 

県内有数のサッカースタジアムでもある静岡IAIスタジアムでは、日本代表とマイアミの試合をベンチで眺める颯の姿。

 

応援席では、美島が戦況を見つめている。

 

「――――――個人技で違いを作れないから、相手が振られていない―――――」

 

ボール回しで何とかディフェンスラインを崩そうとしている日本代表だが、運動量の差なのか、あまり効果的ではない。

 

一色の縦パスに反応するが、受け手と出し手のみのパスワークでは、簡単にゴール前を許さない。

 

シュートチャンスもコースを防がれて得点を奪うことが出来ていない。

 

 

 

対して相手は自ら仕掛けたり、仕掛けるふりをするなど、多彩な選択肢で徐々になでしこの運動量を奪っていく。

 

 

「うぅむ、やはり惜しいところまで行くが―――――」

 

「寸前で止められていますね。」

 

五島監督も守備陣に細かく指示を出し、マークするべき選手を指し示すが、防戦一方。前半は0対1。

 

一点ビハインドで折り返すことになる。

 

 

「―――――後半から出られるか、小野寺?」

 

 

「いつでもいけます」

強い瞳で応える颯。その時を待ち望んできたのだ。彼女の意欲は頂点まで高まっていた。

 

 

 

ウィンドブレーカーを脱ぎ、ユニフォーム姿になった颯は、ピッチに入る直前色々な感情が渦巻いていた。足が不自由だった世界では、成しとげる想像すらできなかった代表入り。それが今、現実のものになりつつある。

 

—————私は掴み取るよ。このチャンスを。

 

 

青葉が繋いでくれた右足と共に、まずはこのデビュー戦で踏みしめよう。

 

 

—————だから見ていなさい。私はあの舞台に、必ず辿り着いて見せるから

 

 

後退の番号を表すボードが掲げられる。その瞬間が近づくほど、彼女は燃え滾る心を沈ませ、試合に入り込んでいく。

 

 

 

『さぁ、前半は一点ビハインドで折り返すことになったなでしこジャパン!! 後半頭から選手交代です!』

 

 

『8番大月さくらに代わりまして、背番号18! 小野寺颯が入ります!! さぁ、将来を背負って立つヤングなでしこが、どんなプレーを見せるのか!』

 

 

「お願いね、颯ちゃん」

 

交代する大月に後を託される小野寺。

 

「―――――ええ。ここに呼ばれた意味を、証明します」

 

 

そして颯は、”右足”でまずピッチを踏みしめ、代表デビューを果たすことになる。ついに悲運のヒロインではなく、輝くためのニューヒロインになるために、このピッチに力を証明する時がやってきた。

 

 

 

後半頭から左サイドに入った小野寺。リスタート前、一色と言葉を交わす時間があった。

 

「――――前半から見た貴女の感想は、どう?」

 

「後ろは前線の動き出しがなく、パスコースに困っていた印象です。歩きながらでもいいので、相手から距離を取ってください。後は左サイドに」

 

 

そして最後に一色にだけに聞こえる声である約束事をし、後半が始まる。

 

 

マイアミボールから始まる後半。真ん中の一色がパスコースを塞ぎにかかるが上手くいかない。

 

全体的にコンパクトに陣形を構えているなでしこは、徐々に押し込まれていく。

 

――――あの左サイド、そこそこ体格はあるけれど、うちのサイドの敵ではないわね!

 

 

手薄に見えた左サイドめがけて狙い撃ちするマイアミのボランチ。当然ロングボールに競りに行くサイドアタッカーだったが、

 

 

――――この子、早い!?

 

そのロングボールを事前に知っていた自分よりも反応よく飛び出したのだ。しかもあっさりと前を取られ、進行方向も手でブロックされてしまっている。

 

「このっ!!」

 

 

「―――――っ」

外国語で何かを言っている。少々汚い言葉で「SHIT!」と聞こえたので、相手が焦っているのだと気づいた颯。

 

 

――――なら、もっと焦ってもらおうかな

 

トンっ

 

落下地点のボールをダイレクトに浮かせてトラップし、相手の腰辺りに手を紛れ込ませた颯。そして、ここで青葉の虐め(彼の圧勝劇)によって生じた彼女のマリーシアがさく裂。

 

背中に手を回した颯は、相手を自分が行きたい方向とは逆側へと押したのだ。相手は競り合ったときに生じた自らの力を制御できず、完全に逆方向へと突っ伏す格好となる。

 

「なっ!」

 

そして驚いた彼女の前にはすでに前へとドリブルを開始している颯の姿。あの浮き球へのダイレクトトラップにより、自分の行きたい進行方向へとボール刃向かっていたということになる。

 

審判は競り合いで相手が倒れたのだと判断してしまう。マリーシアに気づかない。

 

 

『おっと、小野寺! ロングボールをインターセプト!!そのまま駆け上がる!!』

 

「颯ちゃん!!」

 

中央スペースからダイアゴナルに走りこんできた一色が声をかける。

 

「はいっ!」

中央から走りこんできた一色にパスを渡し、サイドに展開するため一色は3列目のボランチの花井を使う。

 

「妙さん!!」

パスをした瞬間に動き出していた一色へとパスを戻そうとする花井だが、

 

「まえよっ! 美咲!!」

 

一色の鋭い声とともに前方を見ると―――――――

 

 

ぽっかりとあいた中央スペースが出現していた。そのスペースに相手を振り切って侵入しているのは―――――

 

 

「はいっ!!」

 

ロングボールをふわりと浮かせた花井。彼女の指示通りにそのスペースを狙い打ったのだ。

 

 

『ここで小野寺が走りこんでいた!! 前が空いているぞ!!』

 

 

『小野寺、一色、花井の3人の動きですね。一色とのワンツーを選択しなかった小野寺ですが、花井にボールが渡る瞬間に動き出していましたね。一色も彼女が動き出していたのを知って指示を出していましたが、良い崩しです』

 

しかも、小野寺はサイドに流れるフェイクを入れてもう一度中に絞る動きをしていた。ボールが一瞬だけ見えてしまったマークをしていた選手は簡単に振り切られ、彼女をフリーにしてしまったのだ。

 

 

『そのまま中央突破!! さぁ、シュートが打てるか!?』

 

陣形を立て直しきれていないマイアミはゴール前を固めようとする。しかしそれを気にすることもなく―――――

 

 

『シュートぉぉぉぉ!!! ああっとこぼれた!! そこへ詰めているのは井伊だぁぁ!!!』

 

FWの井伊がこぼれ球を押し込んだのだ。ドライブの利いた強烈なミドルシュートを放った小野寺のボール処理をはじいたまではよかったが、彼女が詰めているところまでは対策できなかった。

 

『日本同点!! こぼれ球を押し込んだ井伊の値千金の同点ゴール!! いやぁ、良いゴールでしたねぇ!』

 

『サイドから中に絞る小野寺の動きと、FWの井伊のこぼれ球に対する反応の良さ。いい連携だったと思います!』

 

 

左サイドを迂闊に攻め込めなくなったマイアミの攻撃にミスが生じる。コンパクトに守ることが出来ているなでしこのディフェンダー、中江がプレスからボールを奪取。

 

「颯ちゃん!!」

 

そのまま左サイドでの競争となるが――――――

 

 

『早い早い早い!! マイアミのサイドバックを一気に抜いたぁぁ!!』

 

 

最初に悠々と追いついた小野寺だったが、前方からはCB。後方からはSBとボランチ。徐々に包囲されていく小野寺だったが、

 

「なっ!?」

 

「えっ!?」

 

「このっ!」

 

ドラッグバックからのターン。利き足の裏でボールを戻しながら、右のインサイドでカットインのトラップと見せかけての左のドラッグバック。

 

周囲を囲んでいたはずのマイアミの包囲を切り裂くように、抜け出した小野寺の――――

 

 

「―――――っ」

 

体勢を意図的に崩したマイナス気味のクロスボール。シュートコースを塞がれた瞬間にパスを出した小野寺のボールは中央に走りこんでいた司令塔の一色へ

 

――――凄い、ゴールやシュートではなく、ワンプレーでこんなに試合を変えられるなんて

 

出てきていきなり仕事を成し遂げる小野寺の実力に舌を巻きつつも、自分の役目を果たす一色。

 

 

『フリーだぁァァァ!!!! なでしこ勝ち越し~~!!!! 後半25分に日本逆転!! サイド、密集したエリアを見事なターンで突破した小野寺からのラストパス!!』

 

ハイライトシーンでも流れる。今までのなでしこでは見たこともないトリッキーな動き。

 

プレスに遭いながらも常にボールを動かし、鮮やかにターンで躱す小野寺の姿に、観客は魅了される。

 

 

『そして中央でフリーの一色がダイレクトで難なく決めました!! さすがの決定力!! これで代表初アシストの小野寺!!』

 

 

『いいカウンターでしたねぇ。スピードに乗ってそのままクロスを上げるのかと思いましたが、密集したエリアをあんな動きで突破するとは―――――』

 

いつもはなでしこのかわいい子に目が向くはずの竹田が、いつになく真剣な表情で解説をしていた。

 

『一色以来の大物が、ついに出てきましたよ! これは!!』

 

 

現エースと次世代エースの夢の競演。一気に流れを掴んだなでしこが攻勢に出る。

 

 

試合はそのまま―――――

 

 

『試合終了!!! なでしこジャパン!! 大勝です!! 前半リードされていた状況でしたが、終わってみれば5発大勝!! 後半は失点もなく、見事な修正力を見せつけました!!』

 

 

『一色がこの試合勝ち越し弾を含む、2発にFW井伊の2得点。CKのこぼれ球を押し込んだ中江! そして2アシストの小野寺!』

 

『後半出場で一気に流れを変えたのは彼女でしょうね。惜しいシュートもありましたが、見事なパスでゴールを演出するなど、サイドアタッカーとして、ほとんど不満はないですね』

 

『と、言いますと?』

 

 

『もっと打っていい。惜しいシュートも少し狙い過ぎている印象を受けました。ちょっと今日の彼女は黒子役に徹し過ぎましたね』

 

今日の試合のMVPは3人。同点弾とダメ押し弾を決めた井伊と、勝ち越し弾を含む二発の一色。そして得点こそなかったものの、アシストを量産した小野寺が呼ばれることに。

 

「前半苦しかった状況が一転。後半は攻撃的なサッカーでしたね」

インタビュアーの質問が始まる。満足げな表情を浮かべる一色は、その質問に応じる。

 

「そうですね。前半は相手のフィジカルに押し負けて、スペースを作ることに難儀しました。しかし、後半からは前線の動きを修正することが出来たのではないかと思います」

 

 

「小野寺選手からのラストパスが勝ち越し弾を呼び込みました。」

 

 

「ええ。少し私も入るのが遅れたのですが、いいボールが来ました。決められてよかったです」

新進気鋭のラストパスからダイレクトシュート。手ごたえを感じていたのか、余ほど嬉しいらしい。

 

いつもは冷静で纏め役の一色の笑顔が弾ける様子に驚きを隠せない一同。

 

「まさか、あれほど一色君が笑うとは」

五島監督も離れた場所で驚いていた。

 

他のメンバーも、一色のあそこまでの笑顔は久しく見ていなかった。

 

「続いて井伊選手。反撃の狼煙を上げる同点弾。お見事でした」

 

続いてFWの井伊選手。ショートカットの凛々しい容姿のスピードを武器にする選手だ。

 

「颯ちゃんがいいシュートを放っていたので、何とか押し込んでやろうと思っていました。いい位置に詰めることが出来て、とりあえずFWの仕事を果たせたかなと」

 

勝気なコメントを残す井伊。ちらりと小野寺の方を見て、ウインクする。

 

「さらに勝ち越し後の追加点。あれで試合が決定づけられたのではないでしょうか。」

 

「いい時間帯に勝ち越し点と追加点を取ることが出来ました。みんなが自信をもって前に出たことで、プレスも機能しましたし、みんなで奪った追加点だと思います」

 

チームも完全に攻勢に出ていた展開。イレブンが自信をもってマイアミとデュエルをすることで、チームも元気になっていた。

 

ディフェンス陣が奪い返したボールを決めることが出来た。このゴールは一番一体感のある得点といえるだろう。

 

 

「完全に裏に抜けて、キーパーとの勝負でループシュート。狙っていましたか?」

 

 

「飛び出しの勢いが早かったので、とっさに思いつきました。ちょっと今日は出来過ぎですね」

はにかんだ井伊の顔。手ごたえを感じるものだったのだろう。

 

「ありがとうございます。続いて代表デビューで衝撃の2アシスト。素晴らしい活躍でしたね」

 

一際フラッシュの音が大きくなる。小野寺は少し苦笑いをしつつ、質問に答える。

 

「ありがとうございます。先輩方が、ピッチに入る前から声をかけてくれたので、緊張はあまりしませんでした。前半から出ていれば、緊張していたかなと思います」

 

はにかむ様な笑みを零す小野寺。

 

「同点弾の瞬間。井伊選手が押し込みました。どんな気持ちでしたか?」

 

「私が止められたので、何とか誰か詰めてほしい、と思ったら阿虎さんが押し込んだので、ほっとしました」

ミスシュートと思っていた小野寺。青葉のようにミドルシュートを決めることは簡単ではないと思っていた。しかし、そのミスを取り返した井伊に感謝しているのだ。

 

ウインクを返す小野寺。彼女のそれに微笑む井伊。

 

「後半出場の小野寺選手のプレーでチームの動きが変わったと思いますが」

 

 

「―――自分のプレーがチームによい影響を与えることが出来て本当に良かったです」

模範解答の受け答え。少々面白くなさそうな表情をする記者もいたが、サッカー通の記者は満足げに頷いた。

 

「これからの実戦に向け、修正するべきところは」

彼らからの質問に、小野寺は日本中に宣言するように言い放つ。

 

「――――怖さを相手に与えられる選手になりたいです。サイドから常にゴールを脅かせる、そんな強い選手になり、チームの勝利に貢献したいです」

 

 

その試合を見ていた美島は、決断できない自分に歯がゆさを感じていた。

 

――――何を、私は迷っているの?

 

ワールドカップ優勝に近いアメリカ代表になる。それとも日本で約束を果たすのか。

 

――――重要なのは、私のやりたいこと

 

いったいどちらで心の底から笑顔になれるのかが重要ではないのか。

 

 

フラッシュライトに照らされている小野寺を見た美島。

 

――――迷い続けた私だけど、

 

あの青いユニフォームで試合をしたいという気持ちが強くなった。

 

 

 

その日、日本サッカー界にニューヒロインが誕生した。女子サッカーが盛んなアメリカの強豪、マイアミヴァルキリーズに快勝したなでしこジャパンの立役者。

 

小野寺颯は世界に衝撃を与える2アシストを決めて見せたのだ。

 

ドイツでは―――――

 

 

「ほう、日本女子サッカーにここまで動ける存在がいたのか」

 

まるで、U-15の時に自分に土をつけたサイドアタッカーを連想させるような動き。もし彼女がこちら側でプレーしていたなら、

 

――――強敵となりえただろうな

 

 

カール・フォン・ゼッケンドルフは、小野寺颯の活躍とそのプレーに注目していた。

 

「貴方がそこまで注目する存在なの?カール」

妹のアンジーは、日本女子サッカーで活躍を見せた彼女の活躍に注目する彼の様子に驚いていた。

 

「同性ならば、得難い強敵になり得る存在。アオバ・ミヤミズに比肩し得る存在だ」

宮水青葉。あのカールが見通した未来を上回った男。ヨーロッパ中が驚愕し、日本新時代を担うかもしれない存在。

 

————未来は最強なんだ

 

世代別の国際大会で彼に負けた直後、彼は未来についてそう語った。

 

————不透明で、先が見えないからこそ、未来は強いんだ

 

青葉は未来を予測すること、決められた未来ほどつまらないものはないと言い切った。

 

—————未来に型を作ってしまった時点で、俺はお前の未来を超えられる。

 

 

 

 

やってきたことは、単純なフェイント。しかし、その単純なフェイントと緩急で、カールのビジョンを破ったのだ。

 

逢沢傑、レオナルド・シルバと同等のライバル。

 

逢沢傑のパスコースは塞ぐことが出来ず、宮水青葉のドリブルとクロスは対応できなかった。

 

「時代が変わる。それに我がドイツは乗り遅れてはならない」

 

「カール……」

ここまで闘志を隠そうともしない彼は珍しい。いや、青葉に負けた時以来だ。妹のアンジーでさえ、ここまでの闘争心は見たことがなかった。

 

数年前の新聞と、昨日起きたニュースを記事に書いた新聞を見やるカール。

 

そのどちらにも日本人選手の衝撃が載っていた。

 

「いずれ大舞台で見えよう、日本の片翼」

 

 

 




先に代表デビューの颯。美島の闘志に火をつけ、後にやってくるであろう舞衣ちゃんとユニット結成へ。

先駆けは、サイドで流れを作る颯になりました。セブンと舞衣ちゃんは刺激を貰うことでしょう。

o(小野寺)M(美島)M(群咲)?センスのある人、どの順番がいいか教えて・・・・

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