騎士見習いの立志伝 ~超常の名乗り~ 作:傍観者改め、介入者
あっという間に失点をしてしまった鳳凰学園。トリッキーな動きを見せた駆のプレーからガタガタと崩れていった。
「あっ!!」
織田からのロングフィードに抜け出すのは宮水。警戒し過ぎて今度は人数を掛けたのに、人を躱しながらボールへとたどり着く速度は反則といっていい。
まるで、人の躱し方、相手の動きをみえているのかのようだった。
司馬がいくら叫んでも、青葉は止まらない。
『躱していく躱していく!! やはりエンジンがかかってきたかぁ!? クロスぅ!?』
崩れないボディバランス。倒れない下半身。重戦車の如く、縦を突破していく青葉が高瀬へとボールを蹴りこんだ。
早いボールが彼の足元へ。そのボールを背にした前に向いたのだ。
————くるっ!!
しかし、後ろから来たボールを足裏でトラップし、逆足で跳ねながら、はたいたのだ。
またもトリッキーな動き。高瀬には飛び出してくる選手が見えていた。
「こんのおぉぉ!!!」
司馬の気迫のディフェンス。高瀬からのラストパスに反応した選手にプレスをかける。
しかし、フィジカルで劣る彼では振り切られてしまった。
———あっ、なんで俺崩れて————
相手の手が当たった瞬間に、司馬の重心が崩れた。そして—————
『一人剥がして振り抜いたぁァァァ!! 江ノ島勝ち越し!! 決めたのは背番号10!! 逢沢駆!! 前半37分!』
『一番やられてはならない、ケアしていたところなんですがねぇ。やはり体の使い方が上手いですねぇ』
『これで単独トップに躍り出る、今大会7得点目!!』
逢沢ッ! 逢沢ッ!! 逢沢ッ!!
完全に逢沢がこのゲームを支配していた。この存在感、この驚異的なプレーの数々。
もはや、世間は認めなければならない。
彼は間違いなく、逢沢傑の再来ではない。
彼は、逢沢傑を超える存在だと。もしくは、フォワードの決定力を兼ね備えた、逢沢傑なのだと。
「—————切り替えろ!! まだ一点差だ!! 取り返すぞ!!」
甲斐が叫ぶ。まだ前半のビハインド。まだまだ勝負は分からないと。
「ああ! 打ち合いなら俺らの十八番だ!! 取り返すぞ!!」
声が出る。鳳凰イレブンは声を出す。目の前の強敵、難敵を前にして、前半で気持ちを折られるわけにはいかない。
しかし、ここで逢沢の中央突破の個人技がさく裂する。
————なっ、ボールが消えて!
跨ぎフェイントから逢沢の足元からボールが消えたのだ。加速する逢沢に置き去りにされる司馬。
ここで駆の得意技、ヴァニシング・ターンがさく裂。
『ここでトリッキーな動きが出て、パスを出す! 兵藤だ!!』
ボランチに詰められる前にボールを前にはたいた駆は、フリーランニングしながら穴を探す。
さらに人が津波のように押し寄せる。江ノ島の人数を使った厚みのある攻撃が展開されていく。
ワンタッチでサイドへと流れ、中塚が切り返す。
「うおおぉぉぉ!!!!」
今度も同じように大きくボールを前に蹴りだしてのドリブルだったが、
「ぐわっ!?」
相手の手にぶつかり倒される。しかし鳳凰のファウル。体を止めてしまったと審判に取られてしまう。
『ああっと、近い位置でファウルを貰った江ノ島高校。蹴るのは宮水か、それとも織田か!?』
「—————いい位置ですよ、織田先輩」
青葉が織田に語り掛ける。織田が笑う。中塚が倒れた場所はややゴール前の正面。おあつらえ向きの場所ともいえる。
「練習の場所とほぼ変わらないな、この位置は」
これまで、荒木からフリーキックのメインキッカーになりたくて、天才や化け物たちを前に、勝負できる武器を探していた。
器用なボランチだけで終わるつもりはなかった。自分に遠目からのシュートだけではない武器が欲しかった。
その成果を、今ここで見せつける時だ。
「———————」
集中する織田の視界には、鳳凰のブロックが居並ぶ。ちょうどキーパーは青葉のシュートを警戒しているのか、少し外寄りだった。
さんざん遠目から縦回転のボールでゴールを奪ってきたのだ。荒木がピッチにいない今、無回転も蹴れる上にキック力のある彼に視線が集まるのは必然といえた。
そして、青葉が指示を出す。チームメートに対し、身振り手振りを使って指示をする姿を見て、鳳凰は彼への警戒を強める。
完全に青葉への視線が集まったこの瞬間、最初に気づいたのは、キーパーの愛甲だった。
—————あっ
蹴りこんだのは、ほぼ無警戒だった織田だった。右足から繰り出される壁の外、空曲げてきた軌道。流れるように曲がっていく織田の一撃が、抉るように鳳凰ネットを揺らしたのだった。
『曲がってェェェェ 入ったぁァァァ!! 見事なカーブを描いたボールの軌道は、ゴールに吸い込まれていきました!! 背番号6織田涼真!! 今大会初ゴール!!』
「うおぉっ!! すげぇぇぇ!!!」
「いつの間にあんなシュート身に着けたんだよ!!」
「完璧だっただろ、織田!!」
中塚、兵藤、海王寺が織田の下へ駆け寄る。会心の一撃、鳳凰を突き放す一撃は試合の局面を左右する。
そんな織田の一撃に、駆も賛辞を贈らないわけがない。
「凄かったです、今の軌道! イメージ通りでした?」
「ああ。会心の出来だったよ」
満足げに語る織田の目は燃えていた。そして、その眼はメインキッカーでもある荒木に向けられていた。
—————やるな、織田
荒木も自分の代わりにあんな大仕事をした仲間に賛辞を贈るが、それでもうずうずし始めていた。
————足がうずうずして止まんねぇよ。
前半のうちに先制されたものの、逆転、中押しと見事なリカバリー。鳳凰の攻撃を寄せ付けない試合運びを展開する。
後半は、焦って前に出始めた鳳凰のボールを前で刈り取るショートカウンターが威力を発揮。ボールを貰った瞬間にスイッチが入る、江ノ島の速い攻撃が襲い掛かる。
—————これはっ
逢沢と司馬のマッチアップで、司馬は見様見真似でマスターしたヴァニシング・ターンで抜き去ろうとするが、
「え!?」
あっさりと体を入れられ、ボールをロストする司馬。信じられないといった表情で逢沢を見つめるが、彼が当然それを待つわけがない。
————少し前に転がし過ぎたね。回転も不十分。
見様見真似でいきなりできたのは凄いが、未完成な技をいきなり出されても怖くもなんともない。
何より、モーションですぐに自分の技を繰り出そうとしていたのが分かった。
司馬のロストからの逢沢がドリブル。高瀬がボールを貰いに行く。が、
「な、ぁぁ!?」
高瀬に釣りだされ、空いたスペースの裏を青葉が逃さないはずがない。スペースを見つけた瞬間に駆はフライボールをスペースへと出し、その裏に抜け出す青葉。
一瞬の隙をつかれた、見逃していないはずなのに、動きのキレで完全に抜け出された。
『抜け出してぇ、浮かしてシュートぉぉぉぉ!! 押し込んだぁぁぁ、4点目ぇぇぇ!! 止まらない後半8分! 江ノ島追加点! 宮水今日2点目!!』
ワントラップする際に後ろから来たボールに対し、足を器用にまげて、足の甲でトラップ。そのままトラップした足でボレーを叩き込んだのだ。逆足でのボレーと判断してしまった愛甲の想像のはるか先を行くスピード。
『今大会6得点目! まるで競い合うかのように点を決めます、宮水青葉!』
青葉の速さは、単純に足が速いだけではない。そのプレースピードが速いという点でも、彼は十分すぎるほど規格外なのだ。
「おいおい今度はアフリカ選手並みのトラップかよ!! すごすぎだろ、青葉!!」
兵藤が駆け寄る。異次元過ぎて、訳が分からないほど凄いトラップだったのだ。トラップした瞬間にゴールを決めていると判断してしまうほど鮮やかな体の動き。
「末恐ろしいぜ。本当にどこまで行くんだよ!」
中塚が尚もとんでもないプレーを見せる青葉に対し、尋ねる。
「—————どこまでも、っていうのは格好つけ過ぎかな」
そして、観客席に向けて拳をしたから軽く突き上げ、ガッツポーズをする青葉。
派手なパフォーマンスはいらない。ただ、応援してくれている人のために、何かを返せればと思う。
やってやったぞ、という気持ちを見せる。それだけで青葉は十分だった。
さらに、江ノ島の勢いは止まらない。
ここで、カードを切るのは江ノ島。八雲に代えてここで背番号17の藤田一馬。1年生ながら、クロスの精度に自信のある選手を投入。フィジカルに不安を抱えていたが、この半年で鍛えた肉体はそれなりである。
疲れの見える八雲に代えて、青葉と同じサイドで投入された彼の見せ場が訪れる。
『あっとオーバーラップではなく、キープして————また抜き!!』
青葉からワンタッチでボールを貰った彼は、オーバーラップせず、キープ。そのまま相手に詰められるが、
————ぴょんぴょん跳ねて、確か青葉は————
左足で踏ん張り、右足で空踏み、そのまま右足の反動を利用しながら————
「なっ、あぁ!?」
左サイドバック山本の股を抜くボールと、右足の反動で中へ切り込んだ藤田の仕掛けが決まったのだ。
相手がすかさず躱した後の藤田に詰めてくるが、すぐにボールをはたいてパスが通っていく。
「!?」
鳳凰ディフェンスを束ねる藤田京太郎が逢沢にタックルを仕掛けるが、まるで自分の体を操られるかのように前に釣りだされてしまう。
————俺の体をはたいて、誘導した!?
確かに体を背にして、逢沢は藤田(京)のことを見ていた。しかし、それだけでそんなことが出来るのかと。
詰めてきた相手に敢えて近づき、その力を利用することで、受け流す。
何度も駆と青葉が魅せる体の使い方を、テレビで見ているあの男は苦笑いしていた。
「おいおい。合気道の動きを、攻撃に転用しているのかよ!」
八千草高校の島は、一年生がまさか自分の体の使い方を真似たことに驚いていた。
受け流し、躱す技術。ボディコンタクトでの技術は、攻撃側にも要求される。相手の力を利用するのはむしろ、こういう局面の方は限りなく有効だ。
—————合気道ディフェンスとかじゃねぇ。影真似っていうレベルじゃねぇ
完全に自分に合った形で変化し、オリジナルの動きになっているのだ。
ボディバランスに優れた青葉はわかる。しかし、駆にそこまでの才能があったのかと。
————いや、逢沢傑の背をずっと見てきたんだ。そして傑みたいな動きが出来ちまう奴だ。
彼の観察眼—————見稽古といっていいレベルの洞察力。きっとあれは、傑の動きを見続けたことによって、鍛え抜かれたのだろう。
まるで合気道の如く、相手を躱した逢沢が落ち着いてゴールネットを揺らし、追加点。
ガッツポーズを決め、会心の出来だったと自他ともに感じさせる様子の駆。満面の笑みだった。
『決まったぁァァァ!! 逢沢も今日2点目!! 今大会単独の8得点目!! 体の使い方でしょうか、相手のプレスを受け流したような動きでしたが』
『そうですねぇ。ちょっと僕にもわからないですね。相手の動きを利用した、ところまではわかりますが、ちょっと原理までは————』
『江ノ島これで5点目!! 総体王者の本領を発揮か!!』
大会8得点目を決め、逢沢はピッチを後にする。その数分後に高瀬が織田のロングボールを胸トラップし、強引にフィジカルで体をねじ込み、長い脚を使ってボールを押し込んだのだ。
ここで、宮水青葉もお役御免ということでピッチから退いた。
変わって入った火野、夏目もしっかりと鳳凰の攻撃を止め、江ノ島のそれに伴い4-2-2の陣形に変化したブロック守備の前に、最後まで鳳凰は2点目以降のゴールを決めることが出来ず、タイムアップ。
撃ち合いが予想された試合は、あまりにも一方的な試合となってしまった。
『ここで長いホイッスル!! 試合終了!! まさかの先制を許しましたが、終わってみれば7対1! 宮水、逢沢の複数得点に織田のフリーキック弾! 高瀬のヘディングシュート、最後に夏目も決め、快勝です!』
同じ攻撃的なチームではあったが、個の力で負けていたと言わざるを得ない。宮水という点取り屋を止められず、真ん中で変幻自在のポジショニングと奇抜なプレーで違いを見せつけた逢沢駆を止められなかった。
さらに言えば、他の選手も実力者が揃っており、自力では完全に負けていたのだ。
「—————つ、つえぇな。これが日本代表—————」
「完全に自力で負けていた。個人も、チーム力も」
藤田も、そして両サイドバックも、攻撃的なプレーを封じられ、上回られたことで意気消沈していた。マッチアップしていた山本は、青葉のプレーに終始圧倒されていた。
世代別代表のエースはすさまじいものだった。今年の世代別に選ばれてはいないが、プロ注目の逸材も、想像以上の実力者だった。
特に司馬は、勝ち逃げをされたようなものだった。複数得点を決め、決勝の為の温存。そう思われても仕方のない逢沢と宮水の交代。
しかし、変わって入った1年生も青葉ほどではないが、快足を飛ばして鳳凰に脅威を与え続けていた。
控え選手であってもレベルが高い。これが江ノ島の選手層なのだと痛感した。
「—————け、けど————やっぱここまで打ちのめされたら、悔しいなぁ」
珍しく大泣き状態の甲斐。粘り強い守備に遭い、先制ゴールの後は完全に抑えられていた。
司馬も堀川の執拗なマークに遭い、思うようなゲーム展開に導けなかった。一芸に秀でた選手がいつの間にか弱点を克服していた、そんな印象を受けた。
————自分の十八番をあっさり止めるなんて、何か俺の見真似は足りないものがあったのかなぁ
ヴァニシング・ターンを止めた時の駆の顔は、少しだけいら立ちを見せているかのようだった。
まるで、自分以外にこれは譲れないと言わんばかりに。
伊庭監督は、異次元なプレーヤーがいることで、江ノ島は複数の選手がそれに強く影響されたと悟る。
宮水青葉という強力な選手が、チームを引っ張り、他の選手も奮起する。単純に実力だけではなく、彼は精力的にチームに貢献する姿勢を見せていたのだろう。
だから彼は孤独なエースではない。江ノ島を背負うエースなのだと。
そして、無名だった逢沢駆は彼の影響を一番に受けていた。強気なプレー、奇抜な発想。そして半年前に比べてパワーアップしたフィジカル。今なお成長を続ける彼は、間違いなく世代別代表の10番を背負うにふさわしい男だった。
しかし、もはや彼は彼のいた世代別に呼ばれないだろう。彼が入るのはその上のカテゴリーだろう。
江ノ島というチームならば、完全体の蹴球に勝てるのではないか。そう思わせるものだった。
「負けましたよ、岩城監督。世間はダブルエースとか言いますけど、全然そんなことはなかった」
握手を交わしながら、伊庭は自分の率直な意見を出す。
「どんなトレーニングをされているのですか? あそこまで個性がそれぞれ出せるチームというのは、中々簡単ではないですよ」
「特段難しいことをしているわけではないですよ。ただ、選手の良いところを見ようとしている。僕は選手に対して一言いうだけでいい。後は実戦が教えてくれますから」
岩城が言えるのはそれだけだった。個性を大事にするということは、選手の長所を見てあげること。それを活かすにはどうすればいいのかを一緒に考える。
それがのちのフットボールの未来に影響があればと考えている。2チーム分の人数で今は回っているが、今後は入部希望者が増えていくだろう。
しかし、特待生の制度は取らない。勉学に励み、高校生としての義務を疎かにする者は、江ノ島にいい影響を与えない。
嫌なことから目を背ける。きっとその精神は、今後のフットボールにおいても悪影響を与えかねない。語学で苦労するプロ選手を見ればわかる。
語学は手段だ。海外で生活するためには最低限の語学が必要になる。日本人にとってそれは、大変な作業だ。
しかし、高校の勉学にも逃げず、どんな形であれ努力する気概があれば、きっとフットボールでも活きてくる。
貪欲に学ぶ姿勢を持つ者。それこそが、岩城の求める人材だった。だが仮に、青葉のような選手がいればどうするべきか。
勉強は不真面目でも、天才といえるような存在がいれば—————
—————やはり人材を見つけ出すというのは、育てるというのは難しい。
どこまでも、チームとして走れるサッカーを目指したい。走らないファンタジスタが通用するのは、高校までだ。上のレベルになればフィジカルだって要求される。
————追々考えましょう、この課題は。今は、この子たちが頂点まで駆け上がれるか。彼らの背中を押すだけでいい。
そうだ。自分はその道を選んだ。中途半端はせず、未来に託す覚悟が出来た。
————僕は背中を押すだけでいい。僕の現役の頃を超える選手が、たくさん出て
そんな選手の成長を眺めるだけでも、この1年間は楽しかった。ベンチの外から、ベンチ入りの控え選手から、化けてくる選手たちの頼もしい姿は、実に痛快だった。
————日本サッカーが、強くなればいい
どんどん成長する選手が、この高校から世界に羽ばたいてくれたらと、思ってしまう。
「凄いですね。ですが、私もあなたのような指導者に、肩を並べられるよう、精進しますよ」
伊庭の挑戦は終わらない。東に現れた超新星に追いつくために、西に鳳凰学園在りといわれるように。
そして、終わってみれば江ノ島の大勝に終わった試合を見ていた蹴球の面々は、
「どうやら、かなりスケールアップしているみたいだな、アオバ・ミヤミズは」
アルゼンチンの世代別代表のリカルドは、サイドから襲い掛かる彼の進撃に煮え湯を飲まされた過去がある。傑以上に厄介な相手。
タイマンでは敵わないと思ってしまった相手。滾る気持ちに偽りはない。
「うーん。スゴイね、あれ。僕より早いんじゃないの? というか、ホントにジャパニーズハイスクールスチューデン?」
「彼は紛れもなく高校生だよ、ジェンパ。スグル・アイザワが認めたウィングストライカー」
————本気の君を体感したくなった。
彼はどこでプレーするのだろうか。真ん中なのか、それともサイドなのか。
蹴球の三巨頭は静かに見据える。日本のアマチュアで猛威を振るう存在に。
そんな宮水青葉は試合後、ある悩みを打ち荒木に打ち明けていた。
「———————もっとバリエーションを増やしたい。今のままでは海外で壁にぶつかる」
「———————冗談だろ? そのスピードがあるのに」
青葉の足があれば、大抵の状況で走り負けることはあり得ない。なのに、青葉は苦々しい表情を浮かべていた。
「スピードを出させないようにする戦術も確立されている。その状況下で2,3人抜いたとしても、単独突破は難しい。無論、ラストパスならできる自信はあるけど」
個の力、最初にゴールを決めなければ、パスは出なくなる。向こうは結果主義で、いかに早くゴールを奪うかで今後が決まってしまう。いい組み立てをしてもパスが来なければどうしようもない。
「さらりと2,3人抜けるとか言いやがったよ……けど、どうするんだよ? ドリブルのアドバイザーなんて聞いたことがないぞ」
「——————誰かいないかなぁ。ドリブルが専門だけど、ドリブルだけではなく、多角的にアドバイスをくれる人」
「————俺もいるなら探したいぜ。というか、引退後にお前がなれよ」
荒木は、ドリブル道に邁進する青葉が欲するほどのスキルを持つ存在など、中々日本にはいないと呆れる。
「—————俺以上にドリブルを知る存在。それをレクチャーし、デザインしてくれる人がいれば、もっと成長できると思うんだ」
いつかの江ノ島if
一条「・・・・俺、ですか? 俺はアンナに告白されて、その後は何か変わったことは・・・えと、なんか彼女がいると安心するというか」
青葉「ふむふむ」
一条「俺が練習ばかりしているせいもあるんですけど、傍で見ているアンナは笑顔のままなんですよね。時間が来れば自主練に戻るし。すみません、効果的なアドバイスが出来なくて」
青葉「いや、何か今後糸口になるかもしれない。時間を使わせてしまって済まないな」
龍ちゃん「じゃあ、今すぐ一対一でドリブルしましょう!! なんだかんだ回数少ないですし、プロの実力を見たいんです!」
青葉「お、おう(突然元気になったな、龍は)」
龍ちゃん「お願いします、青葉先輩!」
矢沢「抜け駆けは許さねぇぞ、一条!!」
武智「俺の腹筋をM————————」
海王寺「見せなくていい」
真鍋「か、確保ぉぉぉぉ!!」
颯「・・・・・行かなくていいの、アンナちゃん?」
アンナ「サッカーをしている龍が好きなんです。一途で夢に向かう姿が好きになったんです!」
奈々「ちょっと前まで、駆もあの輪にいたのになぁ。最近は織田先輩にくっついているし」
優希「余程選手権のFKが気になったのかな。プロ選手なのに、片付けまで率先してやっているし」
駆「せめて、止まっているボールに関しては、青葉の上に行きたいんです」
織田「お、おう(ドリブルは止められても、前にスルーパスを出せることは凄いのだが)」
リチャード「ここが、アオバ・ミヤミズの母校。ここで親交を深めて私が彼のステップアップを・・・(タツミの二の舞はさせない。よりいい移籍先を見つけるために。よりシビアに、彼の状態をチェックするんだ。贔屓目なしに)」
岩城「・・・・・さてと、まずは彼の真意を確認する必要がありますね」
—————達海監督は彼を信頼していましたが、どことなく頼りなさそうですね
武智「貴様、真鍋・・・図ったなぁぁ!!! 真鍋、お前もか!!」
真鍋「何も約束した覚えないんだけど。俺を巻き込むな!」
海王寺「頼むぞ、真鍋。本当にこいつの手綱を頼むぞ」
青梅「あ、あははは・・・・大変だね、潤は」
真鍋「お前は道連れだぞ、梅人」
青梅「ゑ?」
海王寺「何お前は無関係だと考えているんだ?」
青梅「えぇ・・・・」