騎士見習いの立志伝 ~超常の名乗り~ 作:傍観者改め、介入者
ペースがなかなか戻らない。
ETUの面々は、最も強い相手と最後の最後に激突したことを悟り、戦前の予想ほど頼りにならないものはないと考えていた。
戦術面で五分に持っていくことが出来た西野監督の手腕は一定の評価こそあるものの、やはり工藤春雄の温存は悪手だった。
中盤の強度が足りない。なにより榎本と石渡では蹂躙を許してしまっている。
「——————————————」
食い入るように見るのは、赤﨑と逢沢。目の前の映像で日本を最も苦しめている左サイドバック。彼は赤﨑とほぼ同年代で、逢沢ともあまり離れていない。
現代サッカー、その最先端を支えるサイドバックにおいて、若手で右に出る者はいないとされる男。
凄まじいスプリントと加速力。正確なクロス。日本のエース堂本を封殺する守備強度に加え、堂本の守備力を圧殺するドリブル技術。
これが白い巨人とそのライバルの時代を叩き壊した男の実力。伝説の二人を封殺した男の実力。
「———————堂本も頑張っているが、根源的なフィジカルの差がでかすぎる」
村越は、あの怪物がなぜサイドバックにこだわったのか、疑問に思っていた。あれほどの攻撃センスを持ち合わせながら、サイドバック。二列目でも十分に通用するだろう。
「——————賢過ぎたんだろうな、あの選手は。たぶんあれは、青葉のもしもの姿だ」
達海は、ムイーロをそのように評した。
「どういうことすっか、監督!!」
世良が監督に尋ねる。ポジションの違う青葉とムイーロを比べることに意味はあるのかと。確かにあのバカげた身体能力を持つ者同士、共通点はあるのかもしれない。だが、中に切り込むスタイルが主流の青葉に、外と中を変幻自在に、そしてアーリークロスを多用するスタイルは、青葉のそれではない。
浦和戦のような状況に応じた攻撃のバリエーションこそあるが、青葉のプレースタイルはゴールを奪うことに直結する。
「あれは、現代サッカーを良く知っているな。現代サッカーでCBに組み立てが求められ、それをプレスによって阻み、展開の速いサッカーが主流になった。そんな中、一昔前には中盤、そしてCBに対策が講じられ、SBにもそれが求められるようになった」
ただし、と達海はその説明に続き、その過去のポジションとは違う点を述べた。
「SBは本来上下運動の激しいポジションだ。その運動量は本職ならわかるだろ、石神?」
「—————うっす。攻撃も守備も両方やる必要があって、現代サッカーでは組み立てまで、ということですか」
無論経験を重ねたことで、石神にはそのトレンドを耳にすることぐらいあるし、世界の最先端ではそれがすでに導入されていることも知っている。
「つまりSBの運用方法が、限りなく広がってしまったって言うことだよ。チーム方針でまるっきり役割が違う。守備特化の伝統スタイルか、積極的な攻撃参加。攻撃参加と言っても外を多用するのか、中に切り込むのか。それでいて、SBは絶対に一対一で負けてはならない」
広がり続けるSBの運用方法。その動きについて解説をしていく達海。若手の石浜、清川、向井などは饒舌になっている達海が珍しいと感じていたが、自分たちのポジションがここまで重要だという意識を今まで持っていなかった。
だが監督の語り様はまるでSBが現代サッカーの命運を握るかのようであった。
「ポジションの立ち位置一つでもいくらでも変わるぜ。偽サイドバックやウクライナが見せた可変スリーバックの一角に入るか。中には相手のサイドハーフとSBの間に立ち続ける超攻撃スタイルなんてのもある」
そのマシンガントークをいったん区切り、周囲の選手たちを見回す達海。
「ムイーロって選手は、その全てを知っている、またはイメージして試合に入っている。その自慢のスタミナと身体能力を駆使し、“ほとんどの役割”を状況に応じて担っている」
「全部って、欲張り過ぎでしょ!? そんなん続けて、よく連戦に耐えられるな!!」
若手の選手たちも、ムイーロのバカげた存在感に思わず声が出る。そんな馬鹿な存在、そんな在り得ない存在がいていいのかと。
「戦術の幅が広がり過ぎて、自分でも制御できていない。だからトーナメントまで復帰が遅れたと俺は見るね。あのスタイルは、20歳の体には重すぎる」
だから、自分が信じた、チームの為の動きを彼は制御できない。正しいと分かっていながら、それを抑えることができない、それが彼にとっての唯一の弱点。
ブラックな職場も真っ青な運動量が最大の強みであり、それを支えてしまうスタミナが、彼の現在の弱点なのだ。しかし、体が出来上がればその弱点も消えるだろう。
「ウクライナの戦術の肝はアイツだ。確かに、シンチェンコっていう大舞台に強い選手や、最前線には決定力の高いストライカーがいる。その他の選手もほとんどが5大リーグでベンチ入りか、それ以外のリーグで不動の存在になっている。地味だが、目立たない。縁の下の力持ちが多い。そして、彼らの力を最大限支えるムイーロ。それがウクライナの強さだ」
「—————勝てるんですか、日本は‥‥‥」
椿は、この完璧なSBを突破しない限り、日本に勝ち目はないと気づく。達海監督ならどうするのか、彼ならこんな状況でも突破口を見いだせるかもしれない。
「そこはまあ、西野さんの采配次第だな。堂本のプライドは今ズタボロだろう。けど、これまでチームを引っ張ってきた存在。若手の大会で、そんな起用をするのはまずいよね、多方面を考えれば」
堂本のスポンサーは、あの大手スポーツメーカーだ。あのスポンサーの息がかかった選手は、少し頭角を見せ始めると大体代表に呼ばれる。
それが結果を出せば、聖域に持っていくだろう。それは誰もが知り、誰もが語らない暗黙の了解。
「西野さんが勝負師に徹するなら、まず考えられるのが右サイドを変える。怪物には怪物を。そして、一枚貰っている榎本に代えて工藤投入がベスト。こうなってくると後が怖い」
どうしたものかと、達海が言葉を濁していると、駆が異を唱えた。
「——————俺、堂本選手はまだ折れてないと思います。あの選手は、ここが分岐点だというのを分かっているはずです」
「分かるんです。間近で青葉と競争する立場を。このまま下がれば、将来日本代表の右のポジションはないと。ここで踏ん張らないと、キャリアが大きく変わる」
「それに堂本選手の疲労は比較的軽いです。それに比べて鷹匠さんは連戦もあってか動きが鈍い。また、榎本選手のFKを手放すのは、ウクライナの思う壺。仮にカードを貰っていたとしても、ドリブラーが仕掛けてファウルを貰えれば、決定機は巡ってきます」
駆の選択には私情も入っていた。あの怪物と直接競い合う選手が、ここまで食らいついてきた選手が、ここで折れてしまうのは、何となく嫌だった。
榎本選手のすごさは、こんなものではない。ETUを下したときの彼の存在感は、こんなものではない。
「だから、まず変えるのは鷹匠さんです。秋本選手と交代して、トップに。そして、堂本選手をSTに据えます」
それを意味するのは、既存陣形の解体だ。息を呑む一同を尻目に、駆は続ける。
「悔しいですが、ムイーロの運動量は青葉と引けを取りません。その強度に対抗するには、青葉しかいない」
駆はここで4-2-3-1から4-2-2-2に変更することを提案した。
右サイドに青葉が入り、堂本をSTに。中盤は石渡に代えて工藤春雄。鷹匠に変わり、秋本。
「ワイドラインでの攻防を青葉に任せて、その後方で幕張選手がサポート。最前線のすぐわきに堂本選手を置くことで、ウクライナの左の強みを消す。攻撃に転じ、相手の強みを奪う」
相手の強みに無視できない強力なトライアングルを作る。そして、その競り合いを確実に勝利するための工藤投入。
だが、西野監督が執った策は、それとは違うものだった。
清武に代わり、工藤春雄。榎本も、堂本も代えない。
西野監督はリスクを考え、3枚替えはしなかった。そして青葉の出番は見送られた。
その瞬間、駆は目を震わせた。この局面で、ムイーロに対抗するためには青葉しかいない。そう考えた矢先の西野采配。
怪物の出陣が見送られ、日本のエースに賭けたと見える。
だが、西野監督はある枷を壊そうとしていた。
なぜ“全力”を出さない。
なぜもっと輝けないのか。
なぜおまえは、フィールドを見るのか
満身創痍のストライカーと、封殺されたエースを生き返らせる。その役割ならば、日本は勝てるかもしれない。
ボランチならば、全ての状況をひっくり返せる。しかし西野はあえてそれをしなかった。
「————————青葉、お前はラスト30分から行くぞ。ちなみに全力で頼む」
騒然となる一言。誰もが青葉の性格を知り、誰もがその言葉を疑う。選手の信頼を壊しかねない一言。だが、西野は今、彼に伝えなければならない。
「お前は、ただゴールを奪うことだけを考えればいい。それを判断するのは私だ」
「————————それは」
[見せてみろ、お前の本当の姿を。遠慮はなしだ。存分に点を取ってこい]
九鬼と井口は、西野の意図が分かった。だから黙る。青葉は全体を考え過ぎなのだ。それはサイドハーフという守備も考える攻撃的な選手であるから。チームを勝たせる、チームを負けさせないという守備に重きを置いていた。
だが、西野の意図はそのそれまでの考えを変える「攻撃の為の守備」。それをより強く、得点から逆算し、常に点を取ることだけを考えろと。
それが守備の強度を上げることに繋がり、ラインを上げることにもつながると。
「鷹匠はラスト15分。体力を振り絞れ。堂本、お前は再び右サイドだ。トップ下は廃止し、スリーセンターで中央を固める」
西野の選択は、4-3-3。だが、それは4-1-2-3にも、更なる可変戦術にも切り替わる。
「最終ライン、SBは変えない。CBは井口と飛鳥。アンカーの立ち位置に工藤が入れ」
西野の監督時代を、若手たちは知っている。その代名詞となった攻撃と守備を巧みに組み替える変幻自在の戦術を。
「工藤を中央に据えた、榎本と石渡のスリーセンターを形成する。石渡は堂本をフォローするように。上がってきた幕張と三角形を組める位置取りを意識しろ」
守備的選手を入れ替えながら、攻撃の組み立てと相手の長所を瞬時に消し去る。前半は交代選手を使いづらいために、応急処置しか施せなかった。
だが、後半から試合の様相は変わる。否、西野の手によって変わる。
「ウクライナの可変スリーバックは歪であるために、対応はしづらい。だが、その特殊な陣形は、連携が肝だ。ムイーロを孤立させることで、奴の影響力を引きはがす」
「工藤、お前にはシンチェンコを見てもらう。最終ラインのサポートと、シンチェンコのマーク。ハードな任務だが、やれるな?」
飛鳥、井口、工藤。状況によっては3枚でヴェルモンド、シンチェンコを見ることになる。
この後さらに指示を与え、西野は後半から戦う選手たち、前半から戦っている選手たちを送り出していく。
「さぁ、いってこい!!」
大きな声で、檄を飛ばす西野。決して怒鳴るような声色ではない。むしろ、その背中を押す指導者に求められる姿だった。
GK 1番 真弓慎一郎(福岡)
RSB 2番 幕張健吾(湘南)
CB 3番 飛鳥亨 (ETU)
CB 14番 井口譲二(浦和)
LSB 6番 沖名太陽(山形)
CMF 7番 榎本文人(新潟)
CMF10番 石渡翔悟(仙台)
CMF12番 工藤春雄(岐阜) IN
RWG 8番 堂本貴史(フローニンゲン)
LWG22番 九鬼鉄心(大宮)
CFW 9番 鷹匠暎(浦和)
OUT
21番 清武周人(大阪C)
リザーブ
GK 23番 水野邦夫(名古屋) 22番 相馬元気(鳥栖)
CB 19番 本田マイケル(明治) 4番 城達哉 (讃岐)
RSB 16番 中条渉(岡山)
LSB 20番 赤間弓彦(讃岐)
CMF 15番 安川走斗(千葉)
SH 18番 宮水青葉(ETU) 12番 伊達直哉(仙台)
CFW 11番 小川知良(磐田) 13番 秋本直樹(横浜)
ウクライナは、システム変更をして、さらには完璧な布陣で襲い掛かる日本の奇襲に遭う。
——————マークが、剥がれないっ!
これまで並のフィジカルだった場所に、飛鳥と工藤というフィジカルと強度に秀でた中盤を置くとどうなるか。
パスコースを序盤から一気に塞がれてしまったウクライナ。監督も目を見開き、驚く。とっさにパスコースを見出そうとドリブルをしかけようにも、自分がマークに苦しめられ、抜け出せないし、思うように展開できない。
「ぐっ!?」
シンチェンコが、あのシンチェンコが工藤という3部リーグの男に気おされつつある。バイエルンを蹂躙したあの男が、開始早々マークを掻い潜ろうとして、ボールを前に運べない。
そしてシンチェンコから流れて右サイドが繰り出したバックパスを刈り取るのは、つい先ほどシンチェンコをマークしていた工藤。
シンチェンコへのリターンを工藤が読み切った。
——————なんだこの選手は!? どういう意図で動いているんだ!?
シンチェンコは混乱した。計算もポジショニングもあったものではない。どうしてお前がそこに行くのか。奴は自分へのハードマークがメインではなかったのか。
大柄な選手でありながら、自由にフィールドを動き回る。巨大でありながら俊敏。しかし足元はどうして日本代表に呼ばれたのかと眼を疑うほど不器用なドリブル運び。
超常現象の様なスピードも、躱しきれる超絶ドリブルフェイントも備わっていない。野性的な、身体能力任せの前に運ぶドリブル。
だが、前に運び出す推進力は、その迫力は、リーグジャパンのトップを超えていく。
——————ここにボールが落ち着くと思った。やっぱりここだ!
そんな不器用で俊敏、この世代別日本代表で足元技術のランキングを付け加えるなら間違いなく最下位。そんな最下層の男が、日本の反撃を最初に担う。
刻み付ける。
—————石渡、榎本。工藤の機動力を存分に活かす為、パスコースを塞ぐ動きを数秒行うんだ。
西野監督からのもう一つの反撃へのキー。
——————工藤は球際だけなら、世界レベルだ。
球際の勝負に持ち込めば、工藤は必ず勝つ。工藤が詰めることができる状況を作り出せば、日本は勝てる。
そして、二人のコース斬りによるサポートが功を奏し、後ろを気にすることなく工藤がボールを狩り切ったのだ。
それは、ウクライナを支える可変スリーバックを叩き壊し、4-2-3-1の攻守を機能不全に陥らせる一つ目の効果。
馬力十分の男が、日本のフットボールにこれから名を刻むであろう、最強の下克上を行う者の、3部リーグ出身男が、中盤で進撃を開始する。
『パスカットからボールを奪った工藤!! そのまま逆襲だ!!』
ラインが上がる。それはすなわち、マークを剥がすことに手古摺っているウクライナを締め上げることだ。彼らのプレーエリアをさらに狭めていく。
そして、中盤中央からの、進撃の巨人。身長190センチオーバーの男が、日本の反撃を担う。
ウクライナの左を攻め込む、工藤。それに対して堂本と幕張が連動し、大きな三角形を形成。
4-3-3はポゼッションや守備型など、多様な戦術の幅を持つが、4-3-3は構造上三角形を作りやすい。
ここに、ウクライナの可変スリーバックを切り裂く強力なトライアングルが出現する。
堂本はSBとCBの脇を狙い、マークを集中させ混乱を引き起こし、大外を幕張が支配する。
——————ここで、中途半端はダメだ。任せるぞ
しかしムイーロ。個人戦術でその対応策を構築。あくまで彼の見るべきは堂本。幕張の撹乱に動じない。
幕張の相手は、下がってきたサイドハーフが行ってくるのだ。
—————引っ張られない‥‥ッ、やはりだめか
ムイーロは最高の選手だ。誰が一番危険なのかを知っている。まったく心が折れていない堂本を、前半で蹴散らしたあの男を警戒している。それは西野の手立ての一つを潰すものだった。
——————よし、可変スリーバックを必要以上に寄らせた。仕掛けろ
細かなパスを、サイドを起点に繰り広げる。マークを剥がすことが出来ず、数的不利を強いられていたウクライナ。ムイーロは誘いに乗らなかったが、シンチェンコが乗ってしまった。
—————ここで汗をかくことで、チームを救うっ!!
幕張のアーリークロスがここで炸裂。それは大外に張っていた九鬼めがけて飛んでいく。すかさず、スライドし、ウクライナがボールを刈り取りに行くが、全体的に左に偏っていた陣形がスライドするのには時間がかかる。
「スライドが追いつかなければ、元々歪だった陣形がさらに崩れる。攻め時だ、鉄心」
九鬼、逆を突くドリブルで対応しに来たSBを一枚剥がす。中に切り込む動き、そして追い縋るSBが大外から九鬼に誘導されるため、大きく空いた大外。
致命的なサイドのエリアが空く。そこをつくのは、左SBの沖名太陽。
—————ワントラップしたら遅れる! だが、絶妙な縦パスを送ってくれたおかげで!!
「絶対決めろよ、鷹匠ッ!!」
風を切り裂くようなダイレクトクロス。理想的な縦パス、理想的なブレーキ。ドリブルで抜いた瞬間にスペースを見つけた九鬼の意表を突く、致命的なキーパスが、そのクロスを生んだ。
だからこそ、沖名の精密で、それでいて速い弾道のクロスは実現したのだ。
最前線で戦い続ける男は、少しずつ潮目が変わりつつあるフィールドを誰よりも感じていた。
ウクライナは、日本が攻め方を変えたことで落ち着きを取り戻せないでいる。
味方がサイドで違いを見せているのが見えた。その瞬間、ストライカーは自らの仕事をするべく意識をさらに高める。彼がこの試合で出来る、彼がこのピッチにいられる時間は残りわずか。
分かっていた。分かっている。もうすぐ体力が底をつくのは、分かっているのだ。
やはり自分は引き立て役なのか。やはり、奴は日本サッカーのこれからの先頭に立つ男なのか。
それでもこちらには意地がある。プライドがある。点取り屋として曲げられない信念がある。
なにより、これから自分の代わりにフィールドに立つ男に、これ以上の無様は晒せない
世界よ、精々俺を見ておけッ
そして、“お前”も目に焼き付けろ。
——————1点差だ。絶対にひっくり返せ、“フェノーメノ”ッ!!
「う゛お゛ぉぉぉ゛ぉ゛ぉぉッぉぉッ!!!!!」
————やはり飛び込んできたか、このストライカーは!! だが、負けん!!
「「おぉ゛ッぉぉ゛ぉっぉぉ゛ぉぉッぉ゛ぉ!!!!!!」」
体を投げ出し、全てをボールへと集中する鷹匠と、絶対にヘディングなど許さないとばかりに体を強烈に寄せるウクライナのCB。
肉と肉がぶつかり合う。空中で激突する、やるかやられるかの刹那の攻防。一瞬の位置取りが勝敗を分かつ空の決闘。
そして———————
『クロスボールダイレクト!! 逸らしたァァァぁ!!! 1点を返しました!! 後半立ち上がり10分! 鷹匠のダイビングヘッド! 軌道変わってキーパーわずかに届かない!!』
『日本、反撃開始!! まだ終わらない!! まだ終われない!! まだ終わるわけにはいきません!!』
日本の最前線で戦い続けた男が、ついに一矢を報いた。
やはり鷹匠なんだよなぁ