ルーナ・ラブグッドと闇の帝王の日記帳   作:ポット@翻訳

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48「二日目」

 


48「二日目」

 

ここにきてからもうすぐ一日半になるけど、この家は幽霊にとりつかれている気配が全然ない。

 

—— おもしろい。ぼくの学校時代にも、幽霊にとりつかれていると言われていた記憶はない。いつからその噂がひろまったのかもよくわからない。

 

わたしのお父さんの学校時代か、もうすこしあとからだと思う。

 

—— なにが原因だったんだろうな?

 

不思議だね。ここに幽霊はぜったいいない。ベッドに幸運ビートルの巣はあったけど。

 

—— そりゃあるだろう。カーテンにはスカイザーナットがいるぞ。

 

そう思う? あとで調べてみる。

 

—— いや、冗談なんだが。

 

うわ……本当にいるみたい。

 

—— 勘弁してくれ!

 

……

 

—— よし、これでもうほぼ二日間、生徒が二人失踪していて、一度は学校に侵入した殺人鬼と思われる人物が近辺にいることがわかっている。なのに伝説の偉人ダンブルドアはまだ、学校の徒歩圏内にある唯一の廃屋のなかを調べるというアイデアを思いついていない。こういうことで間違いないか? そもそも捜索は行われてるのか? あいつはきみたちがいないことにすら気づいていないのか?

 

認めるのはいやだけど、だんだんトムの言いたいことがわかってきた。

 

……

 

ミスター・ブラックを怒らせちゃった。

 

—— は? なにをして?

 

ネビルがね、不安そうになって。それでわたしも心配しだしたら、シリウスが学校の話をして、わたしたちを落ちつかせようとした。

 

—— それがどうなって怒ることに?

 

好きな教師はだれかってきかれた。ネビルはルーピン先生だって言って、シリウスは気にいったみたい。二人は友だちだったんだと思う。

 

—— きみは何て言ったんだ?

 

ルーピン先生は三番目に好きだって言った。一番と二番はスネイプ先生とフリットウィック先生。

 

—— それが気にいらなかったと?

 

この十分間ずっと卑劣な糞野郎って言ってる。

 

—— フリットウィックのことじゃなさそうだ。

 

多分ね。

 

……

 

おなかへった。

 

—— ぼくは減ってない。

 

トムは本だから。

 

—— なにが言いたい?

 

本はおなかがへったりしない。

 

—— そのとおり。だから減ってないと言ってるだろ。

 

何て返事すればいいかわからないよ。

 

……

 

—— きみが見つけたとき、ブラックは怪我をしていたんだったか?

 

うん。

 

—— なぜかはわかったか?

 

セストラルに蹴られたんだって。

 

—— え?

 

セストラルをおどろかせたんじゃないかな。

 

—— どうやって?

 

きいてみる。

 

—— ああ。

 

……

 

シリウスはミッドナイトだった。

 

—— は?

 

わたしがえさをやってたイヌ。

 

—— つまり動物もどき(アニメーガス)だと?

 

うん。

 

—— まあそれならなぜ捕まらなかったかは説明できるな。未登録だったんだろう。

 

蹴られた理由もそれ。目の前で変身されてセストラルがパニックになった。

 

—— だからグリフィンドールはバカだと言っただろう。

 

セストラルがいるのが分からなかったんだって。

 

—— なぜだ? 彼には見えないのか? 一度は死人を見たことはあるはずだろう? 戦争の生きのこりなんだから。

 

ただ暗くて気づかなかっただけだと思う。

 

—— グリフィンドール=バカ。証拠は増えるいっぽうだ。

 

……

 

ネビルはもう落ちついたみたい。ミスター・ブラックとだいぶ仲よくしてる。

 

—— ほう?

 

スネイプ先生が嫌いだっていう点で一致団結したんだと思う。

 

—— なるほど。共通の敵くらい仲間意識を高めるものはない。

 

悲観的な考えかただね。

 

—— 単なる事実だ。

 

二人の言いかたは不公平だと思う。スネイプ先生はそこまでひどくない。ネビルにはちょっといじわるをしたことがあったみたいだけど。

 

—— ちょっととはどういう意味だ。

 

ネビルのカエルに毒を飲ませるっておどした。

 

—— それは、ちょっとをすこし超えている。

 

ただのおどしだよ。スネイプの気嫌が悪くなったのは、ネビルが失敗をくりかえして、ネビルをずっと監視する必要があるせいでほかの生徒になにも教えられなかったから。本気でトレバーに手をだすつもりで言ったんじゃない。

 

—— トレバーって?

 

そのカエルのこと。

 

—— どこまで本気かは分からないだろ?

 

本人に聞いたから。薬学クラブのときに、フレッドとジョージが弟からきいた話を話してくれた。先生は、ハーマイオニーがネビルを手つだってそのポーションを直してくれるのを知ってたから、安全だとわかってたんだって。作業に集中するようになるように、すこし怖がらせただけだって。

 

—— それにしてもちょっとやりすぎじゃないか。

 

トムはわたしに何度も、同級生を拷問させたり毒をしこませたりしようとした。ひとのことが言える立ち場かな?

 

—— たしかに。

 

……

 

—— ルーナ・ラブグッドとネビル・ロングボトムが誘拐されて三日目。救出のみこみはまだない。ロングボトムは誘拐犯と仲良くなりはじめた。ラブグッドはベッドにいる昆虫のうごきを報告しはじめた。トムはのこりわずかな正気を失いはじめた。

 

あまり笑えないよ。

 

 

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