ルーナ・ラブグッドと闇の帝王の日記帳   作:ポット@翻訳

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61「準備」

 


61「準備」

 

やっとドレスの準備ができたよ、トム。

 

—— よかったな。

 

……

 

* 帝王さま、ポーションが完成しました。

 

—— よし。よくやった、ペティグリュー。

 

……

 

きれいにできたと思う。知ってる色をすべて入れたから。

 

—— きっとそれは……ユニークなんだろうな。

 

……

 

* ご指示どおり最後の材料を集めてきました。

 

—— よし。手はずどおりだな。

 

……

 

ポケットもつけて、退散効果のあるお守りを入れられるようにした。

 

—— なぜ? だれを退散させるんだ?

 

人じゃないよ。退散させるのはナーグルとフィリーフライとトードールとフムフリットと……

 

—— もういい。きみがいればどんな化け物が来ても百人力だよ。

 

……

 

* このままうまくいけば、来月中に帝王さまを復活させることができます。

 

—— わかっている。自由の味が待ちどおしい!

 

……

 

わたしはただトラブルの種を避けたいだけだよ。パーティはいろいろな生き物を引きよせるからね?

 

—— え? いや……そうなのか?

 

うん。

 

—— へえ、ならきみが出席してくれてよかった。していなかったらなにが起きることやら。

 

また皮肉を感じた。

 

—— え? ぼくから? まさか。

 

……

 

* 帝王さま、いつ儀式の準備をはじめればいいでしょうか?

 

—— まだだ。必要なものをすべてそろえてだけおいて、ぼくの合図を待て。

 

……

 

フィリーフライはほんの小さな空気の振動を何キロも先から感知できるって知ってた?

 

—— そんなようなことをきみが言ったのはおぼえてる。

 

だからフィリーフライはパーティーを好むんだよ。音楽を感じられるから。

 

—— そりゃすごい。

 

……

 

* もう一人のヴォルデモートがこれを止めにきたりしないでしょうね?

 

—— もちろん。あいつは完全に制圧しておいてある。

 

* そうでしょうが……復活のまえにあちらが目を覚ましたらどうしますか?

 

—— 覚まさない。心配は無用だ。

 

……

 

パーティのまえにロルフに会いにいこうかと思う。

 

—— ロルフに? なぜ?

 

このドレスを気にいってもらえるかどうか知りたいから。

 

—— ああなるほど。ボーイフレンドの意見は重要だからな。

 

ボーイフレンドじゃないよ、トム。

 

—— はいはい。

 

……

 

* クラウチに見つかったらどうしますか?

 

—— は?

 

* もう一人のヴォルデモートが……屈服させられるまえにクラウチを解放していました。クラウチは自由の身です。

 

—— それで?

 

* クラウチは精神不安定です。わたしは帝王さまが上位であると認めましたが、彼は認めないかもしれません。

 

—— 問題にはならない。

 

……

 

ロルフは友だち。

 

—— そうだろうよ。男の子の友だち、ということは……

 

ボーイフレンドじゃない!

 

……

 

* クラウチがこちらを探しはじめたら……

 

……

 

—— 邪魔になるようならぼくがかたをつけてやる!

 

トム! ひどいよ。

 

—— ルーナ? い……いや、ロルフの話じゃない。

 

じゃあだれの話?

 

—— だれでもない!

 

じゃあ何でそんなことを言ったの?

 

—— ただうっかり……いや、ロルフだ。

 

別の人に話しかけてた?

 

—— いや、そんなことは……

 

やっぱり! だからページが一枚なくなってたんじゃないの?

 

—— え? 何でそれが……?

 

ちょっとまえに気づいた。裏表紙のほうにあったとれかけのページ。わたしは勘ちがいだと思おうとしてた。ずっとまえになくなったページで、ただわたしが気づいてなかっただけなんだ、って……

 

—— ルーナ……

 

……でも勘ちがいじゃなかったんだ。だれかがちぎった。最近。そうじゃないの? だからときどき返事をするのが遅くなったりした。だから日記帳から出る手つだいをしてくれって、わたしをせかすこともなくなった。

 

—— ルーナ……

 

それからあなたはほかのだれかと話してた。その人と協力して……人間にもどる方法をさがしてた。

 

—— 待て、ルーナ……

 

トム。わたしは、この質問をずっと後まわしにしてた。

 

—— 頼む……

 

トムはまえに言ったよね。そのときは信じなかったけど、ジョークだと思ったけど……でもそのあとで考えるたびに、だんだんつじつまがあう気がしてきた。わたしは……わたしたちは友だちだと思ってた。変わっていってくれてるって思ってた……

 

—— ルーナ……?

 

トム……

 

—— ルーナやめろ!

 

……あなたはほんとうにヴォルデモート?

 

 


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