ルーナ・ラブグッドと闇の帝王の日記帳   作:ポット@翻訳

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65「決断」

 


65「決断」

 

トム?

 

—— ルーナ?! ああよかった。考えるのは終わったのか?

 

終わったよ。待たせてごめんなさい。

 

—— いいさ。全然いい。

 

がんばって考えた。自分が知ったことについて、どう対処するかを決めるために。

 

—— で?

 

正直に言わせてもらうよ。ダンブルドアにトムを渡してピーター・ペティグリューのことを話す、っていうのも考えた。

 

—— でも?

 

でもできなかった。

 

—— できなかった?

 

できなかった。ヴォルデモート卿という人物が邪悪だっていう証拠はいくらでもあるし、それは無視できない。でも、わたしはあなたを知ってる。トムは友だちだし、邪悪な男の一部だったとしても、善人なのは分かってる。

 

—— 本当に?

 

完全に善人とまではいかないか。

 

—— ん?

 

ときどき意地が悪い。

 

—— 意地が悪い?

 

いい意味で。

 

—— 意地が悪いことのどこがいいんだ?

 

さあ。そんなことができる人はあなたしか知らない。ひねくれてる。

 

—— ありがとうと言っておくか。

 

どういたしまして。

 

—— つまり、ぼくと、ぼくの……あまりよくない性格を受けいれてくれるということか。

 

少しは。殺人や拷問をすすめられるのはやっぱり嫌だけど、細かいことなら気にならない。完全な善人になってほしい、っていうのはそもそも無理だから。みんな完璧にはなれない。

 

—— 何だと?! ぼくは完全に完璧だ!

 

そうでしょうね。全人類の模範。

 

—— そのとおり。

 

親切で。心がひろくて。

 

—— まさに。

 

真のヒーローで。

 

—— いかにも。

 

ときどき意地が悪くなる。

 

—— そういうときのぼくが最高のぼくだ。

 

そうだね。また友だちにもどれてうれしい。

 

—— こちらこそ。いろいろ理解してくれてありがとう。

 

うん、正直に言ってくれてありがとう。

 

—— これからはいつもそう努力する。それで……一週間のあいだ、なにがあった?

 

おもしろいことがあった。舞踏会は楽しかったけど、自分の友だちがヴォルデモートだったと分かって、ちょっとそっちに集中できなくなった。

 

—— ヴォルデモートそのものじゃなく一部だ。十分楽しめなかったのは残念だな……ぼくのせいなら申し訳ない。

 

いいよ。話してほしいって言ったのはわたしだから。それなりには楽しめたし。ハリーはドレスを気にいってくれたみたいだった。ロンのスーツから気をそらさせてくれるからって。

 

—— きれいだったんだろうな。

 

でもハーマイオニーとロナルドの喧嘩があった。

 

—— どんな?

 

わたしの予想がはずれて、ロンはハーマイオニーを誘ってなかった。

 

—— だから若い男はアホだと言っただろう。

 

その先がおもしろいんだけど、ダームストラングから競技会の代表で来た人が、ハーマイオニーを誘ってたんだ。ちなみに世界的なクィディッチ選手でもある。

 

—— へえ? 競技会の代表でクィディッチ選手の男がやって来て、女をさらわれるって? まるでベタな恋愛小説だな。

 

そうだよね?

 

—— だが彼女にとっては玉の輿だろう。

 

どうかな。終わりかけたころに、ロナルドがハーマイオニーに、「敵となれなれしくしている」って言って文句をつけて、ひどい喧嘩になった。ハーマイオニーは、だれかと一緒に行かれるのがそんなに嫌ならなぜ誘ってくれなかったのか、って言いだした。ロナルドに誘ってほしかったんだと思う。

 

—— たで食う虫も好きずきだな。

 

手きびしいね。ロナルドに会ってもいないのに。

 

—— ウィーズリーなんだろ。ウィーズリー一族なら、学校時代に二人会った。あの家系の血は濃いから、一人見れば全員分かるんだよ。

 

いい人だよ。

 

—— きみがそう言うなら、しかたない。

 

言う。

 

—— ロルフはドレスのことをどう言ってた?

 

いいドレスだって。

 

—— それで?

 

それでって?

 

—— すごく気にいってもらえたか?

 

どうしてわたしとロルフのことにそんなにこだわるの?

 

—— つまり、きみとロルフはそういう関係なのか?

 

ふうん……わたしが恋に落ちて、あなたのことを忘れるんじゃないかって心配してるの?

 

—— いや。

 

わたしとロルフがどこかに行って冒険をして『さらなる幻の動物とその生息地』っていう本を共著で書いて……

 

—— いっしょに本を書くつもりか?!

 

……かわいそうなトムを置き去りにしてしまうって。

 

—— きみはときどき意地悪だな。

 

だから闇の王と友だちなんだね。

 

—— 正式には闇の帝王(ダークロード)だから。

 

あ、ごめんなさい……偉大な帝王さま。

 

—— ありがとう。

 

ロード・オブ・ザ・ダーク。

 

—— そのとおり。

 

ロード・フォン・ダーキオ殿下

 

—— やめろ。

 

帝王のなかの最闇

 

—— やめなさい。

 

闇のなかの最帝王

 

—— おもしろいこと言ってるつもりなんだろうが、すべってるから。

 

彼は夜を司る……夜は……闇だから。その名はロード・オブ・ザ・ダーク。闇の帝王(ダークロード)

 

—— きみのことが嫌いになった。

 

好きでしょ。

 

—— ボーイフレンドと遊んでこい。

 

いや。こっちのほうが楽しい。

 

—— わがままだな。

 

正式な称号で呼びなさい。闇の帝王(ロード)ヴォルデモートの友、光の女王(レイディ)ルーナ。

 

—— そうだったのか?

 

そう。

 

—— 申し訳ありません、女王さま。そのような身分のかたとは露知らず。

 

分かればよろしい。

 

—— ぼくが帝王できみが女王ならロルフはどうなる?

 

さあ。公爵にしようか?

 

—— 道化でいいんじゃないか?

 

わがままはどっち?

 

—— きみだが?

 

わがまま帝王。

 

—— ちがう。

 

闇のわがまま王。

 

—— 全然ちがう。

 

ブラット(わがまま)マン:ダークロードの復讐!

 

—— そのときを待ってろよ、レイディ・ルーナ。復讐は甘美だ。

 

楽しみにしてる。いつ人間にもどるの?

 

—— さあ。待てと言ったのはきみだ。いつにしてほしい?

 

さあ。大きな変化だから。

 

—— いや、ぼくらにとってはそうじゃない。これまでと変わらない関係だ。

 

約束する?

 

—— ああ。顔をあわせて、ちゃんとに話しができる分、よくなる。

 

それはいいね。クリスマスまでに人間になれる?

 

—— 多分無理だ。あの呪文には時間がかかる。

 

新年は?

 

—— それなら何とかなる。

 

新しい年に、新しいトム。

 

—— ロード・トムとレイディ・ルーナの新しい冒険か。

 

待ちどおしい。

 

—— 同じく。

 

 

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