ルーナ・ラブグッドと闇の帝王の日記帳   作:ポット@翻訳

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66「困難」

 


66「困難」

 

* 帝王さま! いらっしゃいますか?!

 

—— ペティグリューか? なにが起きた?

 

* バーティ・クラウチです。クラウチに見つかって……帝王さまが連れ去られました。

 

—— は?

 

* もう一人の……体のヴォルデモートのほうがです。クラウチがわれわれを追跡していて……隠れ家を見つけて……もう一人の帝王さまが屈服させられたのを知って……不服だったようです。

 

—— それでどうなった?

 

* 戦闘になって……わたしは何とか逃げ切りました。

 

—— それでヴォルデモートが連れて行かれたのか?

 

* はい。わたしはどうすれば?

 

—— それが起きてからどれくらい経った?

 

* まだあまり。一時間くらいです。止めようとはしたんですが……安全を確保する必要が……帝王さまにご報告しなくてはと……

 

—— 自分の身を守りたくて、だろう?

 

* いえ、そんなことは……

 

—— 黙れペティグリュー。今回はその臆病さもある意味で役に立った。報告はたしかに必要だったし、その行為はとがめない。

 

* わたしは帝王さまの忠実なしもべですから! ずっと。

 

—— もちろん。それでいい。言っておくが、こちらに協力している以上、もう一人のヴォルデモートが復活したら、おまえは恨まれる。おまえにはぼくが必要だ。あいつにやられるまえに、ぼくがあいつを止めてやる。

 

* それで、わたしはどうすれば?

 

—— おまえがやろうとしているとおりでいい。安全な場所に隠れろ。クラウチが追ってきたら、逃げろ。

 

* ありがとうございます。帝王さま。ありがとうございます。

 

—— もうひとりのぼくの行き先は、できるだけ追跡してみよう。今のところは屈服させることができているが、これを維持するのはだんだん難しくなる。あの呪文を完成させるには、あいつを取りもどす必要がある。

 

* どうやって取りもどすんですか?

 

—— まだ分からない……今のところ、使えるのはおまえだけだ。

 

* できることなら何でもします。

 

—— おまえにできることはたかが知れているがな。とはいえヴォルデモートにも、クラウチしかいない。

 

* わたしだけじゃありません。またお仕えする時を待っていた忠実な部下たちがいます!

 

—— いるだろうが、そいつらはぼくとあいつのどちらにつく? 一つ間違えれば、死喰い人の内ゲバになる。

 

* 部下たちはあなたさまの優位性にひれ伏します。きっと。

 

—— クラウチは違った。

 

* クラウチは頭がおかしいからです。

 

—— 一方、残りは模範的な真人間だと?

 

* そ……その……なかには、立派な魔女や魔法使いもいますよ。

 

—— 三人挙げてみろ。

 

* ルシウス・マルフォイ。

 

—— 臆病者だ。自分のことしか考えない。逃げ切れると思えば瞬く間に自己保身のために寝返る。

 

* ベラトリックス・レストレンジ。

 

—— クラウチ以上に狂っている。もう一人のぼくに従う可能性のほうがはるかに高い。

 

* カロー兄妹は?

 

—— 却下。

 

* なぜですか?

 

—— 狂ったサディストだ。多分娯楽のためにおまえを殺す。あの二人は信用できない。それに単に気持ち悪い。

 

* みんなそう言ってますね。

 

—— ほかには?

 

* スネイプとか?

 

—— セブルスか。その手はあるな。学校内で地位があるし、必要なら連絡もとりやすい。記憶の範囲では、よく協力してくれていた。仲間に引きこんでもいいかもしれないな?

 

* 本当に信用できますか? スネイプとはちょっといい思い出がないんですが。

 

—— おまえの子ども時代のことなど知るか。

 

* すみません。

 

—— だが一理ある。この十数年、あいつはホグワーツ教師として、ダンブルドアのすぐそばにいた。忠誠の相手を変えた可能性もある。慎重に計画する必要がありそうだ。

 

* はい。

 

—— しばらく隠れていろ。スネイプについては調べてみる。

 

……

 

—— ルーナ?

 

なに?

 

—— つぎに薬学クラブがあるのはいつだ?

 

あした。どうして?

 

—— 手つだってほしいことがある。

 

 


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