ルーナ・ラブグッドと闇の帝王の日記帳   作:ポット@翻訳

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69「アイデア」、70「惨事」

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69「アイデア」

 

—— スネイプのことはどうなった?

 

よくわからない。

 

—— どういうことだ? まだ話していないのか?

 

話したけど、表情を読みにくい人だから。

 

—— 彼は何て言った?

 

死喰い人にくわわったのを後悔しているって。

 

—— むう、それはまずいな。

 

わたしはそう思わない。

 

—— だろうな。

 

昔やったことをいろいろ後悔しているって。

 

—— だれかと同じか。あとは?

 

ダンブルドアの判断に完全には同意できないことも多いみたい。

 

—— ほう? その点は有望だ。

 

ダンブルドアのことを気にかけてもいるけど。

 

—— 何だと。あの老いぼれはいつもぼくの邪魔をするんだな?

 

そうだね、ダンブルドアがスネイプ先生に優しくしたのは、いつの日か日記帳のトム・マールヴォロ・リドルが現れて人間にもどろうとしても、協力させないようにだね。

 

—— ありえないとは言いきれない。

 

被害妄想って言われたことはない?

 

—— 言ったやつはかならず報いを受けた。

 

報い? わたしも心配したほうがいいの?

 

—— 恐怖したほうがいい。

 

トムは自分で思っているほど怖くない。

 

—— 怖いぞ。それが特技みたいなものだ。

 

そうなの?

 

—— もちろん。ぼくの名前すら口にできないほど全魔法界を怖がらせた。そんな人はほかにいないだろ?

 

たしかに。あまりいい感じの実績じゃないけど。

 

—— そうかもしれないが、わりと誇りに思ってはいる。

 

だろうね。

 

—— 今回はもっといい遺産を残せるようにする。きみの助けももらって。

 

まずは人間にもどることだね。

 

—— だからスネイプを味方にする必要がある。

 

わかってる。

 

—— いろいろなことがいつのまにこんなに複雑になった?

 

わたしは、あなたと会ったころからかな。

 

—— その言葉をそっくり返す。

 

……

 

—— ぼくが話したほうがいいんじゃないか?

 

え? だれに?

 

—— スネイプに。この日記帳のページを居室にすべりこませて、うまくいけば……多分……

 

すごく失敗しそう。

 

—— かもな。でもほかに思いつかない。

 

それは第二案にしようよ。それとも第三。それとも第十。

 

—— まず第一の案がいる。

 

……

 

部屋に閉じこめちゃって、ぜんぶ話してみたらどうかな? 話を理解して、助けてくれるって言うまで外にださないようにして?

 

—— スネイプはそれなりに有能な魔法使いだ。いくら見どころがあるにしてもきみは子どもだ。大して長く彼を引きとめられるとは思えない。きみが厄介なことになるだけだろう。

 

そうかもしれない。もう少し考える。

 

……

 

—— 破れぬ誓いをさせたらどうだ? 重大なことを伝えたいから、それをだれにも漏らさないように誓ってほしいって言って。

 

先生をそういう罠にかけたくない。フェアじゃない。

 

—— フェア? うう……モラルとか気持ちとかくだらないことを気にせずにすんだころはよかった。

 

……

 

—— もうひとりのぼくが目覚めた。

 

ほんとうに?

 

—— ああ。かけておいた束縛がゆるむのを感じた。

 

つまりもう、怒ったヴォルデモートと、ヴォルデモートを支持する狂った死喰い人たちがうろついてるっていうこと?

 

—— そうだ。

 

そして、知っているのはわたしたちだけ?

 

—— そうだ。

 

すぐに助けを呼ばないと。

 

—— そのとおり。

 

スネイプ先生に言わないと。もうわたしたちだけの問題じゃない。それとどこかに通報しないと。

 

—— わかってる。もう後回しにはできない。

 

理解してもらえなかったらどうする?

 

—— やってみるしかない。

 

ほかの方法があればいいんだけど。

 

—— それはそうだが……ルーナ?

 

なに?

 

—— スネイプがぼくをダンブルドアに渡して破壊させようとする場合にそなえて言っておく……いろいろ……ありがとう……これまでのひとときはぼくの人生で最高の数年間だった。

 


70「惨事」

 

トム、ハリー・ポッターが誘拐された!

 

—— は? いつだ?

 

三十分まえ、ホグスミードで。フードつきのマントをかぶっただれかにさらわれて、ポートキーで飛ばされた! ついさっき、スネイプ先生のところに行く途中で、きいた。学校全体がパニックになってる! ほかの学校から来てる生徒や先生も。

 

—— きっとクラウチだな。ヴォルデモートが最初の計画にもどって、ポッターの血で復活しようとしているんだ。

 

どうする?

 

—— スネイプと話せ。できるだけ早く。

 

できるかどうかわからない。寮監の先生は全員ダンブルドアといっしょに魔法省の人と緊急会議に行ってる。わたしたちは寝室にもどるように言われた。

 

—— ぼくのせいだ。

 

バカなこと言わないで。トムのせいじゃないよ。

 

—— いや。ヴォルデモートがポッターをつかまえるために立てたという計画がバカげてると言って、だれかに行かせて誘拐してやればいいと言ったのはぼくだ。どうやらそのとおりにしたらしい。

 

何のつもりでハリーを誘拐するように言ったの?!

 

—— そうじゃない。やめろと言ったんだよ! ただ……もしやるなら……その方法がいいと言った。

 

やっちゃったじゃない!

 

—— やはりスネイプの協力はいる。もう一人のヴォルデモートはまだ復活していないと思う。していれば、感知できる。だからポッターはまだ安全だ。

 

でもいつまで?

 

—— わからない。

 

スネイプ先生はそのうち居室にもどると思う。忍びこんで待ってみる。

 

—— もどらなかったら? まっすぐポッターを探しに出ていったらどうする?

 

そうだったらわたしにはどうしようもないじゃない?! ハリーは死んで、みんな悲しんで、もう一人のヴォルデモートがもどってきて、みんな殺されて……

 

—— ルーナ、落ちつけ! 何とかなるから。

 

なにも確信できないでしょ。

 

—— できない。でも二人のうちどちらかは楽観的になるべきだ。きみは今そうなってくれていない。

 

ごめんなさい。気が気じゃなくて。

 

—— わかってる。

 

もう行くよ。まず地下室に。

 

……

 

—— ルーナ? どうなった? 部屋に入ったのか?

 

まだ。スリザリン生がたくさん寮にむかってて、あの部屋を通りすぎてる。タイミングを見はからって忍びこむつもり。

 

—— わかった。

 

……

 

はいった。

 

—— よくやった。

 

ありがとう。スリザリン生の気をそらすために、別の廊下にある像を爆破しちゃったけど、うまくいった。

 

—— 何をしたって?

 

責めないで。トムはもっとひどいことをしたことがあるでしょ。

 

—— 責めていない。すごく感心している。

 

これを教えたらフレッドとジョージも感心してくれると思う。

 

—— だろうな。スネイプは来そうか?

 

そうだったら、こうやってトムと話してると思う?

 

—— そりゃたしかに。

 

来たみたい。広間でだれかに声をあげてるのが聞こえる。

 

—— 幸運を祈る。

 

何とかなるよ。

 

—— もちろん。うまくいくさ。

 

またあとでね。

 

—— もちろん。ぜんぜん心配なんかしていない。

 

わたしはトムを親友だと思ってる。知ってたよね?

 

—— ぼくもルーナを親友だと思ってる。うまくいくと信じよう。

 

……

 

S> もしもし?

 

—— もしもし? スネイプ先生だな?

 

S> こちらの正体は分かるのか。そちらはだれだ?

 

—— だれだと思う?

 

S> ふざけるな。ゲームをする気はない!

 

—— わかっている。救世主くんを助けにいくんだろう。

 

S> どこまで知っている?

 

—— そいつが生きていると知っている。

 

S> なぜ分かる?

 

—— 感じる。

 

S> ポッターの存在を感じるのか?

 

—— ヴォルデモートの存在を感じる。弱っている。呪文が完成すれば強くなる。そうなるまではポッターは安全だ。

 

S> おまえは何者だ?

 

—— もう知っているだろう。ルーナから聞いたはずだ。

 

S> 今はおまえに訊いている。

 

—— トム・マールヴォロ・リドル。ヴォルデモートの分霊箱(ホークラックス)のひとつだ。

 

S> その話を真に受けるべき理由があるか?

 

—— 真に受けないのならなぜ話しかけるんだ。

 

S> わたしをからかうのはやめろ。

 

—— からかっていない。おまえの利益になる情報がある。こうなっては、ただ信じろと言うほかないようだ。当面は。もちろんおまえがポッターを救おうとしていると仮定しての話だが。もしヴォルデモートのほうにつくのなら、そもそもこの会話をする意味はない。そうだとしたら残念だが。

 

S> おまえが正体を偽っていないのだとして、なぜポッターを気にかける?

 

—— 気にかけていない。だがルーナのことは気にかけているし、ルーナはおまえを信じている。信じたのがまちがいだったとしたら、彼女は落胆するだろう。

 

S> それが事実だったとして、闇の帝王の一部であるおまえが、闇の帝王に逆らうのはなぜだ?

 

—— あいつが正気をうしなったからだ!

 

S> その点は異論ない。

 

—— つまりおまえは光の陣営なのか?

 

S> そういうことにしておこう。

 

—— 協力してやると言ったら聞きいれる気はあるか?

 

S> おまえになにができるのだ?

 

—— 居場所だ。

 

S> ポッターの居場所が分かるのか?

 

—— 推測はついている。

 

S> どこだ?

 

—— ぼくの父の家だ。ヴォルデモートが使おうとしている呪文には、父の骨が必要になる。墓は一族の土地にある。

 

S> それはどこだ?!

 

—— リトル・ハングルトン。バーティ・クラウチ・ジュニアが二人を護衛している。戦闘にそなえておけ。

 

S> クラウチは死んでいる。

 

—— 死んでいないことは保証する。議論はここまでだ。早く行け。ただでさえ、残された時間は少ない。

 

S> その点は同意する。だが話は終わっていない。おまえをミス・ラブグッドに返すつもりもない。理由は言うまでもないはずだ。

 

—— そうなるだろうと思ってはいた。

 

S> ポッターめ、生きていてくれよ。

 

—— とっとと行くんだ!

 

 

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