ルーナ・ラブグッドと闇の帝王の日記帳   作:ポット@翻訳

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73「チーム・ルーナ」


73「チーム・ルーナ」

 

S> この作戦は最悪だ。

 

—— ルーナみたいに言うなよ。

 

S> どういう意味だ?

 

—— ルーナもぼくの作戦が気にいらないと言っていた。

 

S> なぜだろうな。想像もつかない。

 

—— そうひどい作戦じゃない。そっちこそぼくの優秀さがわかってないんだ。

 

S> 疑っているのはおまえが正気かどうかだ。

 

—— ぼくは魔法界をほぼ征服した経験がある。作戦をたてるのはまかせてくれ。

 

S> 子どもひとりにやられた経験もある。

 

—— どうしてみんなその話をしたがる?

 

S> かなり重要なポイントだ。

 

—— 細かい部分で運がなかっただけだ。やたら古い魔法の約束ごとによって倒されただけで、あんなのはだれも準備しようがなかった。

 

S> たまたまそれが赤ん坊という形であらわれたわけか。

 

—— あのな。ほんとにルーナみたいだぞ。好感をもてない点がちがうが。

 

S> 最悪な作戦であることに変わりはない。

 

—— わかった。それならダンブルドアにぼくのことを報告して、あいつにましな作戦をださせてみるんだな。

 

S> ……

 

—— ほらどうした?

 

S> ……もう一度話を聞かせてもらおう。

 

……

 

—— よし……できあがったポーションが今日の昼にはこの学校に届く。

 

S> どうやって届くのかをまだ聞かせてもらっていない。連絡をとっている相手はだれだ?

 

—— どうでもいいことだろう。

 

S> よくない。

 

—— なにも問題ない。

 

S> だれかを働かせているのだな。

 

—— 無害なやつだ。

 

S> 死喰い人に違いない。となると、無害というのは信じがたい。

 

—— おまえだって死喰い人だった。

 

S> わたしは無害とは程遠い。

 

……

 

—— ポーションが届いた。森のすそあたりの、あの半巨人の小屋から数メートル左の木の根本にある。

 

S> それでわたしは深夜に森のすそまで出かけて、そのポーションと称するものを取りにいかされるのか? 近くに正体不明の死喰い人がうろついているというのに?

 

—— なにか問題でも?

 

S> 自分から罠にかかりにいく趣味はない。

 

—— 罠じゃない。

 

S> 何ともありがたい太鼓判だ。

 

—— なにを気にする? 怖いのか? おまえは無害とは程遠いんじゃなかったのか。

 

S> 屁理屈を。まるで子どもだな。

 

—— ルーナにもいつもそう言われる。

 

……

 

S> ポーションをとってきた。

 

—— すばらしい。

 

S> それで?

 

—— もっと量がいる。四号サイズの(コルドロン)がいっぱいになるくらい。それを見本にして複製してくれればいい。

 

S> 何のために?

 

—— 最初はもうひとりのヴォルデモートの血をつかうつもりだったが、あちらが別の作戦をやりだしたから、できなくなった。それを埋めあわせるのに、あのポーションが余分にいる。

 

S> もらったリストによると、いろいろな材料を切ったり、つぶしたりして準備する必要がある。どうやってこのすべてをヴォルデモートが力の回復手段をみつけるより早くやれと言うんだ?

 

—— 材料はそろっているか?

 

S> おおむねある。

 

—— ならやるだけだろう。

 

S> その仕事がバカにならない量だと言っているのだが。

 

—— たしかに……薬学が得意な生徒が数名、この状況をすでに理解していて、手つだう気になっていてくれたらいいのにな。

 

S> あの子たちを巻きこむつもりはない。

 

—— だろうな。この話はすべて忘れてくれ。ヴォルデモートがまた勢いをえて……戦争をはじめて……ルーナやウィーズリー兄弟やその家族が参戦して……死ぬかもしれないということだ。

 

S> こんなことをしようとしているのが自分でも信じられん。

 

—— その意気だ!

 

……

 

トム?

 

—— ルーナか? ほんとに?

 

うん、わたし。

 

—— 信じられない。また話ができてよかった。

 

ちょっとだけだよ。スネイプ先生がうしろで目を光らせてる。

 

—— きみが書いた内容を見てるのか?

 

そう。いま顔をしかめた。

 

—— 想像がつく。

 

ひとこと話してからでないとわたしは手つだわないって言ったから。

 

—— いい子だ。

 

また顔をしかめた。

 

—— きみと話すのが待ちどおしかった。

 

わたしも待ちどおしかった。

 

—— あの双子もそこに?

 

F: もちろんいるよ。

 

G: パーティの準備は万端。

 

F: ついでに世界を救う準備も。

 

G: 英雄的な仕事とか。

 

F: 勇者の旅とか。

 

—— ずいぶんグリフィンドールらしいじゃないか。

 

G: ありがとう。

 

F: 軽いもんよ。

 

S> そのくらいにしておけ。

 

—— またおまえか? もうちょっとルーナと話させてほしいんだが。

 

S> あきらめろ。

 

—— 意地悪。

 

S> あきらめろ。これからポーションを作るんだぞ。

 

—— おまえがな。ぼくは現場に手をだす立ち場にいない。……手がないから。

 

S> もう話はここまでとさせてもらう。調合のまえに知っておくべきことは他にあるか?

 

—— ない……ただ……おまえは失礼でそっけないわりに口うるさいが……ルーナになぜ気に入られたかわかったよ。

 

S> いまの返事は本人も見ていたぞ。

 

—— ルーナは笑っただろう。

 

S> ……ああ。

 

 




ここに揃ったメンツは別途に投稿したおまけSSの『秘密の薬学クラブ』にも出てきます(宣伝)

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