S> なぜポッターに計画を話した? 何のつもりだ?
F: 透明マントを借りる理由をハリーが知りたがったから?
S> それでヴォルデモートを攻撃するためだと答えたのか? 正気か? どうして言わずに持ってこれない?
G: ハリーは友だちだから。友だちから盗むのはよくない。
S> 借りればいいだろうが!
わたしはスネイプ先生に賛成。
S> ありがとうルーナ。
G: ルーナもそっちにつくのかよ。
F: ハリーにも知る権利があると思っただけなのに。
教えたらややこしくなる。ハリーがダンブルドアに告げ口して、ダンブルドアがわたしたちを止めようとしたらどうなる?
G: 告げ口なんかしないよ。
S> なぜそんなことが言える? いまごろもう校長室に向かっているかもしれないだろうが!
F: 向かっていないよ。
何でわかるの?
G: ハリーはこのドアの向こうにいるから。
S> は?
—— おーい? みんな、そこがあの書き起こし呪文が有効な範囲なのはわかってるな? ぼくにも全部見えてるぞ。なにが起きてる?
S> なぜ連れてきた?!
—— だれもこっちを見てないのか?
G: 計画を話してやったら、いっしょに来たいって言うから。
F: ロンとハーマイオニーも。
S> 三人とも? そのほかにはだれがいる? もう何人か呼んでパーティにでもするか? ケーキを焼いてやろう!
G: 落ち着いてよ先生。
F: そんなにひどいことにはなってない。
先生、水を一杯どう? 顔がちょっと赤いから。
—— もう知らないぞ? 今回は口出ししないことにする。
G: 多分いずれ打ち明けることにはなるんだからさ。
S> 一杯やりたい。
水ならここにある。
S> そういう意味ではないが、ありがとうルーナ。
いいえ。
S> これからドアを開くが、三人にはどこまで知らせた?
G: ヴォルデモートを攻撃する計画があるっていうことだけ。
F: それとポーションがあるっていうこと。
G: それとマントがほしいっていうこと。
トムについては?
G: トムのことは知らせてない。
—— 助かった。
S> 助かった。
よかった。
G: ところでトミーくんはどこ?
机のうえ。
F: やあトム。
—— やあフレッド。
G: ちょっと問題が起きた。
—— わかっている。読んでいた。
F: ああ、あの呪文がまだ効いてるのか。
G: おっと。
—— それで、ポッターをこの部屋に入れるのか?
F: うん。
—— それなら呪文はそのままにしてくれ。話についていきたい。
S> そうする。だが会話に参加させるわけにはいかない。というより、三人がいなくなるまで机のなかにしまっておくのがいいと思う。
—— 同意する。これ以上ややこしくする必要はない。
またあとでね。
—— 待ちどおしいよ。
……
(ハー): 失礼ですがスネイプ先生、理解できません。無責任としか言えないのでは? ダンブルドアに報告もしないまま、まだ子どもの生徒たちといっしょにヴォルデモートを攻撃する計画をたてるなんて。
S> ミス・グレンジャー、ならばなぜきみに声がかからなかったのかは理解できるな。
(ハー): 何なんですかこれは。
F: いい計画だよ。
G: そうそう、ちゃんと準備したから。
(ハリー): このマントが必要っていうのは、何のため?
F: ヴォルディにこっそり近づくため。
(ロン): で、その自殺ミッションをやらされる哀れな生贄は?
S> わたしだが。
(ロン): あっ。
(ハー): ダンブルドアに報告しないと。
S, G, F, L: ダメだ!
(ハリー): どうして?
G: ちょっと事情がある。
(ハー): その事情を教えなさい!
F: それはむずかしい。
(ロン): 何で?
G: いや、その……スパイがいるんだ。
(ハー): は?
F: むこうに通じてるスパイがいる。もしダンブルドアに報告すれば、ダンブルドアはそのスパイを危険にさらすような動きをとらざるをえなくなる。
(ハリー): ダンブルドアならだれかを危険にさらすようなことはしないよ。助けになってくれると思う。
S> その可能性に賭けてはいられん。今は秘密にしておくべきだ。
(ハー): スパイというのはだれ?
それはできるだけ教えたくない。人数が増えるとリスクも増えるから。
S> ここまで知らせたのが間違いだった。
(ハー): 何なんですかこれは。
S> それはもう聞いた。
(ハー): ほかに言いようがありません。あなたは教師で、こういうことに関わるべきではないはずです。とくに、生徒を関わらせるのは行き過ぎです。
G: 実はそもそもルーナが……うわっ! ぶったな?!
S> たたいたうちにも入らん。しばらく静かにしてくれ。
(ハリー): ぼくはダンブルドアに報告する。
S> そうはさせないぞ、ポッター。
(ハー): 止められるもんですか。
G: ああもう。
F: つかまえろ!
(ロン): おい! 離せよ!
ごめんね。
(ハー): やめなさい、信じられない!
(ハリー): 痛っ。
S>
G: 動くなよ。
F: 悪いなロン。
……
S> 大惨事だったな。
これからどうしよう?
G: あの三人ならもう心配ない。
F: 気をうしなってるからね。
S> マントだけとってきてくれればよかったものを。
F: えっ? この期におよんで言うのが「ほら見たことか」?
G: もう過ぎたことだよな。
S> 憎らしい。
とにかくマントは手にはいった。計画を実行できるのはいつ?
S> できるかぎり早く実行すべきだ。急がねば、わたしの居室に意識不明の状態で縛られた生徒が三人いるということが露見する。ああ、こんな台詞を言う羽目になるとは。
どちらにしても早く攻撃したほうがよかったんだよね?
S> まあたしかに。
ヴォルデモートが眠ったらトムが教えてくれる。近くに姿現しする手つだいもしてくれる。
S> こんなことをしているのが自分でも信じられん。もっと楽な人生はないものだろうか?
G: 先生、大丈夫?
S> 大丈夫どころか、頭がおかしくなりそうだ。ヴォルデモートに殺されないとしても、ダンブルドアに殺される。
F: それくらい大したことない。こっちは、弟を殴り倒したことがママに知られたら、ヴォルデモートが子猫に見えるくらいの恐ろしいことになる。
S> すまないが、そのなぐさめはあまり助けにならない。
トムを連れてくるね。
……
—— 愉快な見ものだった。
S> わたしならそういう表現は選ばない。
トム、なにか言いたいことはある?
—— ひとつだけ。フレッドとジョージはいるか?
F, G: うん?
—— ぼくが人間にもどったら、そのママに会わせてくれないか? なかなかの人物のようだ。
作者からの注釈(の抄訳):ハリーたちの冒険心が控えめですが、これは何年か続けて平和に過ごしてきたからです。重大なことはダンブルドアに任せよう、という思考をしやすくなっています。