先導者と歌姫 -高みを目指して-   作:ブリガンディ

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仕事の都合で新入社員の歓迎会をしていたら日付変更には合わせられませんでした……(泣)。

今回は友希那の誕生日会をやらせていただきます。来週から本編を再開します。
また、サブタイに使ったメモリアルとは何かを「記念」したものと言う意味合いがあります。


番外編 先導者とある日の出来事
メモリアル1 歌姫への贈り物(ギフト)


これはコンテストと全国大会が終わり、夏休みも二学期の中間テストも終わったある日のことである。

 

『と、言う事なんだけど……大丈夫?』

 

「なるほど……それならユリ姉に確認取るから、ちょっと待っててくれ」

 

学校も終わり、ヴァンガードファイトもやって頃良い時間になったのでそろそろ移動しようとしていた貴之にリサから電話が掛かった。

リサから電話があったのは、友希那の誕生日会に家を使わせてくれと言う頼みごとだった。こうなったのも知人の中で最も家が広いからである。

来るメンバーが再びRoseliaのメンバーであったので、再び家には七人と言う状態になりそうだ……と言いたいところだったが、実は俊哉と玲奈も参加を考えているので九人になりそうであった。

 

『分かった。そういうことなら返事待ってるね~』

 

「ああ。それじゃあまた」

 

リサとの電話を終えた貴之は、小百合へCordでチャットを送る。

――こうして家を使うのは、一学期のテスト以来だっけ?そんなことを思い返しながら小百合からの返信を待った。

 

「友希那への誕生日プレゼントは買っていくか?」

 

「忘れない内に買って行こうと思う。何かいいのがあればいいんだけどな……」

 

ちなみに貴之の場合、今年は友希那から銀色のペンダントを貰っているので、自分もそう言った打ち込んだものから少し外れて考えた方がいいかもしれないと考えていた。

なお、その貰ったペンダントは学校の日を省き、外出中は基本的に付けている。そんなこともあって、貴之は普段と違う方向に頭を回す必要が出てきた。

 

「……当日は出掛けるのか」

 

考えている内に小百合から返信が返ってきて、どうやら小百合はその日友人と泊まりに行くそうだ。一応人を呼んでも良いと言われているので、これで場所の心配は無くなった。

――八人ならギリギリ行けるか……。念の為こちらも確認を取る必要はあった。

 

「俊哉……Roseliaのメンバーも一緒で八人になるが大丈夫か?ユリ姉は当日外出していないみたいだ」

 

「結構大人数だな……まあ俺は問題ないな」

 

――と言うか、野郎一人で女子六人は色々厳しいだろ?俊哉が気を遣ってくれたので、逆に申し訳ない気持ちになった。

貴之自身はある程度平気なものの、確かに同性が一人いてくれれば気が楽になるのも事実であった。

 

「玲奈も平気か?」

 

「うん。あたしも大丈夫」

 

このタイミングで玲奈に先程リサから電話があったことと、その内容を伝えて問い、玲奈は大丈夫だと言ってくれたので今度はRoseliaのメンバーに確認を取る。

自分たちもそうだが、サプライズを考えているかもしれないと考えて、電話相手は友希那ではなくリサを選ぶ。

ちなみに今は学校にある空き教室の一つにいるのだが、ここは貴之らが全国の中高生ファイターが学校対抗で戦う団体戦……その名も『ヴァンガード甲子園』に出るために作られた『カードファイト部』の為に宛がわれた部室である。

この三人以外にも、大介と二学期になってから貴之のように出戻りに近い形の転校してきた少女を入れた五人で活動をしているのだが、今回いない二人は用事があるのでやむ得ず欠席となっている。

 

「そんなわけなんだが、大丈夫そうか?」

 

『なるほど……じゃあアタシもちょっと聞いてみるね』

 

そう言ってリサは一度携帯電話から耳を離す。

この時友希那のであろう声は聞こえなかったので、電話を掛ける相手を選んだのは正解だったと言える。

少しすると話し声は聞こえなくなり、携帯電話に耳を当て直したであろう音が聞こえた。

 

『みんな大丈夫みたい。そうすると後は集合時間とかだよね?』

 

「そうだな……一度合流するか?」

 

『こういうのはみんなで合わせた方がいいし、そうする?』

 

再びお互いに確認しようとなって、電話から耳を離して各自で聞くべき相手に聞く。

全員でOKが返って来たので、一度羽沢珈琲店に集合することが決まった。

 

 

 

 

 

 

 

*   *   *

 

 

 

 

 

 

 

「夜から始められるようにするなら、昼過ぎて少しした辺りから準備した方がいいだろうな」

 

「そうですね……ところで、お二人のどちらかは料理ができますか?流石に三人で用意すると時間が掛かりますから……」

 

羽沢珈琲店に七人で集合してから少しして、当日どうするかが決まる。

友希那の誕生日を祝うので食事も多めに……となると日が沈むのが速くなってきているので、流石に日が暮れる直前では間に合わないと判断された。

また、女子が多いにしろ八人分を準備するので三人では少々担当する量が多いだろうと言うことになったので、紗夜がこうして問いかける。

 

「あっ、そういうことならあたしが手伝うよ。用が無くて家にいる日はやってるから」

 

「よし……これで当日料理できる人は十分だね♪」

 

四人いれば十分なので、玲奈の申し出はとてもありがたかった。

後は食材等の買い出しは料理を普段しない人が担当するのだが、ここで一つ問題点が発生した。

 

「流石に女子二人にそんな負担掛けさせられないし……俺も行った方がいいか?」

 

「行けなら越したことはないないけど……それやったらお前の負担が尋常じゃないぞ?友希那の迎えはお前に決まってるしさ……」

 

買い出しで必要な量が多すぎるのだ。これは八人分用意することによる弊害であった。

流石に三人では負担が大きすぎるので貴之が手伝おうとするものの、今度は貴之が一人だけ担当量が多過ぎると言う問題点がやってきた。

この点が問題となり、一度分担を考え直す必要が出そうになっていた。

 

「(いや……俺次第でどうにかなるな……)」

 

しかしながら、俊哉は一つだけ光を見出した。

以前の地方大会前にあったテストの時の結果による貴之の料理をご馳走になった後、俊哉も少しずつ練習していたからである。

故に自分の分担量を増やせば、貴之がオーバーワーク気味になっているのをどうにかできると踏んだのだ。

 

「貴之……料理の担当は俺と交代しよう。そうすればそのオーバーワークはどうにかなる」

 

「俺はいいけど……大丈夫なのか?」

 

「ちょっとの間辛抱するだけだし、大丈夫だ」

 

俊哉に念押しされたので、そういうことなら……と貴之も納得した。

また、当日は紗夜が見ながらやってくれることも決まったので、一先ずこれで問題解決となった。

 

「後は、プレゼントをどうするか……ですね?」

 

「だ、出せるお金が……」

 

プレゼントにおいて、一人まだ中学生なので金銭で自由の利きにくいあこが大変なことになる。

気持ちが籠っていることこそ大事なのだが、確かに一人だけ選びにくい状態だった。

 

「じゃあ、アタシたちはRoseliaみんなで選んで渡す?」

 

「なるほど……それはいいかもしれませんね」

 

それならばあこの不安になっていた点も解消できるので、リサの提案には燐子のみならず紗夜も賛成する。

最後にあこが賛成したことにより、これでRoselia側は方針が固まった。

 

「そうなると……俺らもそうするか?」

 

「こっちもこっちで……って言うのもいいけど、やっぱり貴之は単独でやらないとね?」

 

「えっ?何でそうなったんだ?」

 

俊哉の問いに返した玲奈の言葉を聞いた貴之が思わず問い返した。

しかしながら、ここに集まっているのは二人の恋心事情を知っている人たちのみ。なのでそれはそうだと言う顔をする人しかいなかった。

 

「まあ、そういうことだね~……。まあ、友希那へのお返しだと思って頑張れ、貴之♪」

 

「そう言われたら仕方ねぇか……」

 

貴之の誕生日を祝った日に立ち会っていたのは後江のファイターたちと、幼馴染みである友希那とリサの六人であった為、リサはその時のことを覚えている。

六人の内一人は二学期になって貴之のように出戻りに近い転校をして来た少女であり、彼女は今回用事がある為やむ得ず不参加となっている。

ともあれ貴之がそれを受け入れたことにより、プレゼントに関することも全て決まった。

 

「よーし……それじゃあ当日に備えて、プレゼント選びに行きますか♪」

 

玲奈の一声に賛成して、一同は代金を払って店を後にする。

その後選べる物が多いという理由でショッピングモールへ赴き、全員でその日の内にプレゼントを選ぶのだった。

 

 

 

 

 

 

 

*   *   *

 

 

 

 

 

 

 

「(……みんな大丈夫なのかしら?今日は集まるというのに今から予定だなんて)」

 

そして当日の昼下がり。友希那は自室で携帯電話を操作しながら疑問に思った。

友希那は時間までみんなで集まって何か談笑でもしようかと思っていたのだが、あいにく今日集まる人の全員がその時間になるまで予定ありと言う有様だった。

最も、これはリサと紗夜が主導の下に全員で示し合わせた結果なのだが、これを友希那が知るのは貴之の家に上がってからだった。

 

「偶然にしては出来過ぎている気もするけど……。どうしたものかしら」

 

Roseliaのメンバーはおろか、貴之らまでもがそうであるので流石に疑問を持たない訳ではなかった。

しかしながら前回貴之は疑問に思いながらも聞かないと言う、楽しみや頑張りを無駄にしない為の我慢強さを見せていたことを思い出す。

すると、友希那の頭から詮索しようと言う思考がみるみると薄れていった。

 

「なら、私も待ちましょう。何があってもいいように」

 

そうして友希那は部屋で空き時間を利用する選択を選び、何か本や雑誌を読んでいようと考えた。

それらが置いてある棚から一冊を取り出し、それを読み始める。

 

「一先ずこれで運び終わったな……」

 

「後はアタシたちでやっておくから、貴之はしっかりと休んでおいてね♪」

 

友希那が読みふけっている間に、残りの七人は準備をしていた。

もちろんこれが一番大事で一番忙しいのは、前回も準備側で参加しているリサや俊哉が最も理解している。故にその一言に貴之は素直に頷く。

 

「じゃああこちゃん、また今日もお願いね?」

 

「うん!貴之さん、後で脚立借りますよ?」

 

「分かった。必要になったら言ってくれ」

 

料理をしない人たちは基本的に飾り付けを担当することになっていて、今回は燐子とあこが主導でやっていく。

貴之も手伝いはするものの、彼には友希那を迎えに行くと言う大事な役割がある為、分担量は少なめとなっている。彼女たちと違って不慣れであることも拍車を掛ける。

 

「こんなもんかな……?」

 

「大丈夫です。次はこちらをお願いします」

 

料理側にて、紗夜から合格の判決を得ることの出来ている辺りから、俊哉の料理の腕前は十分なものになってきていることが正銘された。

その一方で玲奈とリサは談笑しながら普通に料理をしているのだから、俊哉としてはまだまだかなとも思える。貴之も複数人で料理する場合は誰かと談笑するだけの余裕はあるが、自分にはそれがあまり無いからだろう。

と言っても貴之は裕子の教えがあってこそである為、ここでとやかく言っても仕方ないのだろう。

そんなことを考えて肩に力が入ってしまっっていたのか、紗夜がその肩にそっと手を乗せた。

 

「進み具合は人それぞれですから、焦らないで行きましょう」

 

「なんていうか、紗夜も大分丸くなったよな……でも、それもそうか」

 

「ま、丸くなったは余計ですよ……!」

 

――せっかく励ましの言葉を送ったのに。と紗夜が顔を赤くした。とは言えこれで肩の力は抜けた為、俊哉は改めて礼を言う。

そんな様子を見て、もしかしたらそうなのかもと近くにいたリサと玲奈はそう考えた。

 

「りんりん、これで終わり?」

 

「これで全部だよ。貴之君、どこなら大丈夫かな?」

 

「そうだな……ドアの開閉で邪魔にならなかったり、火が近くて危ないなんてことが無ければ大丈夫だな」

 

残りは彼女たちが二人掛かりでやっていくことになるのだが、高さの関係で届かないところは貴之が代行する形になる。

飾り自体は片付けも楽にできるようにと、折り紙を使った簡単な工作でできるものとなっており、こう言った配慮をしながら見栄えを良くしようという工夫が見て取れるのは素晴らしいと思った。

この飾りつけと料理の準備が終わった時、貴之は友希那を迎えに行く時間となる。そう考えると少しだけ緊張した。

三人で協力して飾り付けを終えた直後、リサと玲奈が全くの同タイミングで貴之に声を掛ける。

 

「「準備(ブースト)したから、出迎え(アタック)はお願いね♪」」

 

「おいおい……(ヒール)トリガーを届けに行けってか?」

 

軽いやり取りをしてから、貴之は玄関から湊家の前に行き、インターホンを押す。

その音に反応した友希那の母が彼女を呼び、呼ばれた友希那が返事をして階段を降りてくる音が微かに聞こえて来た。

 

「貴之……!迎えに来てくれたのね?」

 

「ああ。もう来れそうか?」

 

「ええ。荷物だけ持ってすぐに行くわ」

 

貴之の家だったと言うこともあり、携帯電話と財布だけと言う軽装で準備を済ませていた。

そのおかげで戻ってくるまでに三分も掛からないで戻って来ることができた。

 

「じゃあ貴之君、友希那のことお願いね?」

 

「えっ?あ、はい」

 

「ちょ、ちょっとお母さん……!?」

 

いきなりこう言うものだから、貴之と友希那は二人して驚いた反応をしてしまった。

それはさておき、そのまま遠導家に入る。大丈夫なのは事前にインターホンは鳴らさないことを決めていたのと、全員がクラッカーをスタンバイしているから反応ができないのだ。

打ち合わせ通り貴之が先にリビングへ入り、友希那を連れて来たと告げてから彼女を促す。

そして友希那が入った瞬間に、複数のクラッカー音が鳴り響いた。

 

「……!?」

 

『誕生日おめでとう!』

 

「えっ?あ、ありがとう……」

 

みんなで集まることしか聞いていなかったので一瞬混乱してしまった友希那だが、皆から送られた言葉で今日がその日であったことを思い出す。

それと同時に、今回この時間まで全員予定があると言っていたのを思い出した友希那がそれを聞いてみる。

 

「ごめんね。こうして迎えられるようにみんなで準備してたんだ」

 

「貴之の時と違って、場所が近いところでやるから若干ひやひやしてたけどな」

 

「もう……そういうことだったのね」

 

――でも、本当にありがとう。先ほどは困惑したままだったので、薄っすら赤くなった頬と潤んだ瞳をセットにした笑みで礼を言う。

それを聞けて満足であることを示すように、それを聞いた七人の内六人も満面の笑みになる。貴之はただ一人顔を真っ赤にしていたのは友希那の表情が(クリティカル)トリガー三枚分だったせいである。

 

「さて、飲み物も食べ物も十分に用意してるし……始めようか♪」

 

玲奈の一声を皮切りに、飲んだり食べたりしながらの雑談していく誕生日会が始まった。

プレゼントを渡すのは最後の手作りケーキと一緒になので、それまでは内緒である。

なお、このケーキ作りに参加したのは今回の料理できる全員である。その中でも特に料理を得意とするリサが主導で作っていた。

 

「ライブ見に行ったけど今回も凄かったね♪」

 

「ありがとう。楽しんでもらえたようで何よりだわ」

 

この誕生日会や二学期の中間テストより前にRoseliaはコンテストとはまた別の大きなライブに参加しており、そこで感じたことを元に改めてみんなで『どう言った形の音楽で頂点を目指すか』を話し合った。

他の四人は比較的早い段階で固まっていた中、友希那は一人長い時間悩む羽目になってしまいはしたものの、最終的には身近な人の手助けを貰いながらしっかりと答えを出して復帰記念のライブを行った。

今回玲奈が話しに上げたのはその復帰直後のライブであり、新曲も用意されたそれは来てくれた観客に大きな熱を与えるものだった。

 

「今回は大会が休日で助かったよぉ~……前と違って見に行けるしね♪」

 

「貴之、どうするかはもう大丈夫なんだよな?」

 

「ああ。俺が予想以上に欲張りだってのに気づいたからな……」

 

Roseliaの復帰ライブの時もそうだが、今回はそれぞれの日程がずれているので互いに見に行くことができる。

俊哉に聞かれた貴之だが、明白なデッキコンセプトは出来上がっていた。

使用する軸自体はいつも通り『オーバロード』なのだが、貴之が難しいと感じていた組み合わせを思い切ってやってしまうことにしたのだ。それが彼の言った『欲張り』に繋がる。

これなら問題ないと分かったところで他の様々な話題に変わっていき、用意した食事もみんなで完食したところでケーキを準備する。

 

「では、そろそろ用意したものを渡しましょう」

 

「……用意したもの?」

 

何も知らされていない友希那だけが、紗夜の言葉に戸惑う。

しかしながら答えは直ぐにやってきて、リサと玲奈、そして貴之が誕生日用に包装が施されたそれぞれのサイズの箱をテーブルの上に乗せる。

用意したものと言うのは、今日友希那に渡す誕生日プレゼントのことである。

 

「まずはアタシたちRoseliaの四人で選んだものからだよ♪」

 

「……これはハンカチね?」

 

「日常生活で使いやすいものを選ばせてもらいました……」

 

Roseliaの四人が選んだのは薔薇のマークがある青いハンカチであった。燐子の日常で使いやすいものがいいかもと言う提案を受け、彼女に似合いそうなものを探した結果である。

今後も仲良くやっていこうと言う気持ちが感じ取れて、友希那は彼女たちに礼を言う。

状況を選ばず使いやすいものである為、今後友希那は度々このハンカチを持ち歩いていくことになる。

 

「次は俺と玲奈で選んだものだな」

 

「こっちはバンドの練習とかで使いやすいものだと思うよ」

 

「っ……このタオル、随分と材質がいいわね」

 

開けて実際に触れてみた友希那はすぐに気づく。普段使っているタオルとは触り心地が明らかに違っていた。

こちらも大会を頑張るから、そっちもバンドを頑張れと言う意図を理解して、大切に使わせてもらう胸を返す。

タオルも比較的使いやすいものである為、大事なライブの当日等で使っていくことになった。

 

「最後は俺からだな……こいつはプライベート用になるかな」

 

「……もしかして、これも示し合わせたの?」

 

友希那に問われれば「そんなことはない、偶然」と全員が首を横に振る。しかしながらものが被らないで良かったのもまた事実だった。

――何が入っているのかしら?意識している人からのプレゼントである為、友希那は先程の二つ以上に緊張しながら包装を解いて箱を開ける。

 

「これは……ネックレス?」

 

「ああ。こないだ貰ったペンダントのお返しも込めてな」

 

貴之にプレゼントした銀のペンダントとは対照的に、こちらは金の細いチェーンにワンポイントで紫色の小さなビーズが一つ繋がれていた。この紫は友希那の衣装にある薔薇やリボンの色を意識して選んだ。

実はこのネックレス、友希那が貴之へのプレゼントとして購入したペンダントと同じブランドであり、箱の方を再確認した友希那がそれに気づく。

 

「……どうした?」

 

「貴之、あなたに渡したペンダントのブランドを確認してみて」

 

友希那に言われて一度自室に戻って確認し、彼女の言わんとしたことに気づいた貴之は顔を赤くしながら戻って来た。

余りにも予想外であったこともそうだが、気づかなかったことを恥ずかしく思ったのもある。

 

「ま、まさか同じだったことに気づかないとは……」

 

「こんなところでもやってくれるとは……!」

 

――お前ら以心伝心過ぎるだろ……。笑いを堪え切れなくなった俊哉が腹を抱えて爆笑した。

俊哉の笑っている理由に気づいて玲奈も笑い出す。少しして、リサは吹き出しこそしなかったものの、面白さの余りニヤニヤした顔になる。

 

「もう……二人ともいっそのこと籍を入れちゃえば?」

 

「「……!?」」

 

「?籍を入れる……?」

 

「あこちゃん、まだ知らなくて大丈夫だよ……」

 

リサの発言に貴之と友希那は顔を真っ赤にし、あこが疑問符を浮かべているのを燐子がその疑問符を抑えに行く。

あこが純粋であることが理由で、Roseliaのメンバー内では余計なことを吹き込まないようにしようと言う密かなお約束ができていたりする。

 

「な、なんか悪いな……俺が気づかなかったばかりに……」

 

「大丈夫よ。こう言うところでも似通ったことは悪いと思わないから……」

 

少々赤みが残った頬のまま気を取り直した二人が会話を進める。

何より友希那は一番大事なことを伝えていないので、それだけは何としても伝えるつもりでいた。

 

「ありがとう。大切に使わせてもらうわ」

 

「ああ。どういたしまして」

 

表情が良く浮かべる柔和な笑みでも目は今まで以上に幸せを感じさせる友希那と、彼女が喜んでくれたおかげで白い歯をセットで笑みを見せる貴之。

二人のやり取りがプレゼント渡しの終わりを合図していた。

 

「じゃあプレゼントも渡し終わったことだし、ロウソクに火を付けちゃおっか♪」

 

「そういうことなら、電気を消して来ますね」

 

最後に誕生日恒例の祝いの歌と共にロウソクの火を友希那に消して貰い、そこからケーキをゆっくりと食べ始める。

食べ終わった後は全員で片付けをし、時間が遅いので貴之と俊哉が遠くから来てくれたあこと燐子、紗夜の三人を送って行く。玲奈は近いところから来ているので、途中からそのまま一人で帰宅した。

そうして誕生日会が終わった後、友希那とリサは遠導家に泊まる為、テスト勉強以来久しぶりに三人で寝ることになった。

例によって、リサが友希那を真ん中にして貴之と二人での会話を楽しんで貰おうと狙ったのは前回の通りであり、その狙い通りリサが熟睡している間に二人きりで会話を楽しんでいた。




不慣れながら友希那の誕生日会になります。リアルがバタつき気味なところでやっていたので、ちょっと強引なところがあるかもしれません。

時間軸的にはRoseliaシナリオの2章終了直後となります。友希那や貴之がどんな選択をしたかは、この章を書く時になったらまたやっていきたいと思います。恐らく新曲が何かというのはバレてるでしょうね……(笑)。

今回の時間軸と現在進んでる本編の都合上、今回は貴之と友希那が付き合っているかどうかは触れない方向にさせてもらう頂きました。どうなるかは本編の方をお待ちください。
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