今回、バンドリTVの翌日が仕事になっているので、リアルタイムは断念します……。
《ヴァンガードのイベントの時ってどうなってたの?》
《その時はイベント期間限定で、色んな場所に低確率で『ドラゴニック・オーバーロード』が出現するようになってたよ!一応、場所ごとに強さが変わってたから、『オーバーロード』と遭遇して詰んじゃうってことは無かったよ》
──倒せばボーナスとして、専用アイテムがほかの敵よりもドロップしやすくて多く貰えるし、結構いい調整だったんだよ。移動している最中、ヴァンガードのイベントに関する話しをリサに聞かれたので、あこが答えていく。
ちなみに、序盤の場所だと更に確率が下がるらしく、『NFO』の世界を体験してほしいのだろうと言う意図を感じられた。
《その時に必要な物……当時だと『ブラスター・ブレード』の装備を作る為のアイテムとかになるのよね?》
《あ……もしかしてですが、貴之君は……》
《ああ。泣く泣く『オーバーロード』を討伐していったよ……どうして
《た、確かに……貴之君には苦痛だったよね(-_-;)》
当然のことだが、貴之には精神的苦痛を伴う要素であり、倒す度に何度も心の中で詫びていた。幸いにも今回は相手が違うらしいので、そんな心配はしないで済むだろう。
チャットしながら進んでいる内に、今回の目的であるジェイクの前にたどり着いたので、一先ず三人に話し掛ける方法を伝えた。
《よく来てくれました……旅の方。実は、折り入ってお願いしたいことがあるのです。この手紙を、鉱山のリンダに届けて貰えませんか?》
この人がジェイクであるかと言うリサの確認に、あこが肯定を返し、燐子が彼はこの場所からリンダに何万通も手紙を出し続けていることを説明する。
《えっと……全く同じ内容のものを、よね?どうしてそんなに……》
《冒険者の数だけ必要だから、仕方がないんですよ( ・ω・ )》
「(友希那……思い切ったところ聞くなぁ……)」
後日、紗夜は俊哉にこれがメタ発言であることを教わることになり、また別方面での知識を学ぶのであった。
ジェイクであることが分かったので、今度は手紙の受け取り方を聞いていく。
《クエストの受注ボタンを押してくださいっ》
この『手紙をリンダに届ける』がそれであることを教えてもらい、三人がそれを押す。
《本当ですか!?ありがとうございます!リンダは村を出て西に進んだ先の鉱山にいるはずです。どうかよろしくお願いします……》
《よし、これでオッケーだね♪》
《それにしても……目的地が村を出て西に進んだ先だなんて随分と曖昧なんですね》
もう少し詳しい話しを聞けないかと思い、紗夜はジェイクに話しかけるが、返ってくる言葉はクエストを受注した時と全く同じ内容であった。
不思議に感じてもう一度声をかけるが、結果は全く同じである。
《……どうしてこの人は同じことしか言わないの?》
《NPCは同じことしか喋らないですよ?》
《NPC……?》
あこが言ったNPCを、既にこのゲームで遊んでいる三人は知っているので当たり前なのだが、今日から始めた三人はそんなことを知らないので、全く分からない単語となっている。
《人が操作していないゲームの登場人物のことです》
《正式名称は
これで一先ずNPCの定義は納得ができた。一先ず道案内は経験者側がしてくれるので、初心者側はついていくことで話しが決まった。
《ここから鉱山まではどのくらいでつくのかしら?》
《すぐそこですよっ!》
最初のダンジョンであるのもあり、そこまで遠くは無いのが幸いであった。
また、移動している際に、リサが光っている草を見つけた。
《これは薬草ですね》
《ってことは、薬になるの?》
名前の響きから予想がしやすく、燐子はリサの問いに肯定しながら調合の実践を行う。
《わっ!》
《出来ました。HP回復ポットです(・ω・ )》
これを使用することでHPの回復が可能であり、序盤では欠かせない便利アイテムの一つであった。
《これはタンクの氷川さんに渡しておきますね、もしHPが減ったら使ってください》
《あの……HPというのは?》
《生命力のことですよね。モンスターから攻撃を受けたりすると減っちゃうので(-ω-;)》
《別の言い方をすると体力だな……HPって言わない時はこっちが多い。他にもライフとかあるけど……全部はキリがねぇな》
ちなみに紗夜が一番ピンときたのは体力だったらしい。
《ねえねえ、そのHP回復ポットってアタシでも作れるの?》
《一番簡単なものなら大丈夫ですよ。やってみます?》
リサがやってみたいと言うので、燐子が薬草を渡し、調合を押すだけでいいことを伝える。
《おおーできた~♪》
リサが初めての成功に喜び、そのまま何個か作っていく。
《取り敢えず、初心者組が五つずつ持ってりゃいいかな?気持ち多めにではあるが……》
《あれ?貴之たちは要らないの?》
《あこたちはレベルの都合で、殆どダメージ受けないし……》
「(貴之君、ナイスアシスト……)」
ちなみに、レベルが高いのはあこと燐子だが、職業の都合で一番頑丈なのは貴之だったりする。
それならばとリサは納得し、一先ず自分と残り二人の分を作って分けた。
《これが必要になる場所に行くのね……》
《モンスター自体はそこまで強くないけど、時々ギミックでダメージを受けちゃうんですよっ》
《老朽化が影響してるのか、時々天井が崩落することがあるんです》
《そんなところに、一人で行くことになったリンダさんは大変そうですね……》
恐らくジェイクは行けなかったのだろうなと考えながら、紗夜はリンダに同情する。
思いの外憤慨の意を抱けなかったのは、俊哉から借りていた小説で、主人公が過去、宿敵らから受けた仕打ちがあんまりにもあんまりだったせいだろう。
何しろ育ての親は殺され、妹は宿敵らの陰謀で連れていかれ、弟はその宿敵らが用意した危険物を手に取らされて暴走。その暴走させられた弟により、自身は右腕を切られている。
妹が連れていかれ、弟をいいように利用された身と言うところに紗夜は深い同情を抱き、同時に世界を敵に回してでも妹を助け出す方針は自分も日菜が連れていかれたらそうするだろうなとは考えていた。
《そう言えばあこちゃん。あそこキラぽん出るみたいだよ》
《えっ!?それ本当!?》
《……キラぽん?それに何かあるのかしら?》
キラぽんと言うモンスターは、あこが探し続けているレアモンスターであり、倒せるとレアアイテムをドロップするらしい。
ただし、すぐに逃げ出すうえ、その足もすばしっこいので倒すのは至難の業であるようだ。
《後、低確率でヴァンガードイベント第二弾のエネミーも出るっぽいな》
《へぇ?今度は何が出るの?》
貴之の補足を聞いたリサが聞いてみるものの、残念ながら敵が出てくると言うだけで詳細までは分からないようだ。
《確か、幸運が高いと出てくるんでしたよね?あこは幸運低めの『ネクロマンサー』だから、このダンジョンで会える気はしないけど……》
《大丈夫だよ。今日は『ブレイバー』で幸運高い貴之君がいるから(*´ω`)》
幸運と言うのは、『クリティカルが出て普段以上のダメージが出せる』だったり、『自分は状態異常になりづらく、相手を状態異常にさせやすい』などといったように、『自分にとって有利な条件や状況の取りやすさ』を表すものになる。
『ネクロマンサー』のあこが低めなのは、『死霊を操る分、祟られる』、『ブレイバー』の貴之が高めなのは、『勇気ある姿勢が、勝利に繋がる』からだろうと推測できる。
ちなみに、これ以外にも『吟遊詩人』の友希那も幸運は最高クラスに高くなる職業であり、理由は『音楽で仲間に幸運を与える分、自分に返ってくる』だと思われる。
《じゃあ、今日はそのキラぽんってのと、何かのユニットも探しながら……なのかな?》
《うん。そんな感じっ》
《何が出るか分からない……それもまた楽しみなのでしょうね》
少しずつではあるが、紗夜がゲームの面白みに順応して行っているのが見える。
この様子から、貴之は俊哉の計らいがあったのだろうことを推測するのであった。
* * *
《さて、ロゴロ鉱山に着いたぞ》
《な、なんか……うす暗い場所だね?》
移動しておよそ数分。パーティー一行で無事ロゴロ鉱山にたどり着いた。
リサが言った通りうす暗い場所であり、これは周囲に用意されている灯りが弱くなっているのが起因している。恐らくそう遠くない内にその灯りも少しずつ失っていく未来が予見できる。
今回はここにいるリンダへ手紙を渡すので、早速探して行こうとするのだが、暗くなった影響で見づらくなっている前方から突如として何かが飛び出してきた。
《えっ?な、なんかこっちに来る!?》
《おっと危ない》
リサが慌てて逃げようとしたが、何者かの攻撃は貴之が剣で防いだので阻まれ、リサがその光景を見て足を止めた。
そのまま動きが止まっている不届き者を、あこが横から鎌で切り裂き、それが動きを止め霧散するように消滅していく。
《あっ、もう一体来た……》
遅れざまに出てきた存在は、燐子が杖をそちらに向けてから放った火球であっさりと撃ち落とすことで解決する。
今のは『ウィザード』が序盤から使える攻撃魔法の一つであり、序盤の相手なら、今の燐子はこれだけでも一撃で倒すことが可能だった。
《今のは何があったの?》
《ダンジョンだと、時々弱いモンスターが襲い掛かって来るんです》
友希那の問いに答えるあこは、今回は運悪く立て続けだったことを話す。そればかりは仕方ないので、割り切っておくことにした。
攻撃自体はそんなに強くないのだが、友希那とリサは職業の都合で思いの外ダメージを受けてしまうので気をつけて行こうと言う形で話しが纏まる。
また、万が一初心者組がダメージを受けてしまった場合は、なるべく回復するように意識をするように促しておく。
これに関しては紗夜がある程度ダメージを受けづらい職業なので、彼女は他二人と同じペースで使わない可能性が高いことを伝える。
《えっと……氷川さん、どうして盾を(?_?)》
《いえ、また来るのではないかと思って……》
今しばらくは来ないから、またその時に構えて欲しいことを伝えて構えを解いてもらう。
モンスターの襲撃に対応できるように、レベルが高い三人を外側、レベルの低い初心者組を内側と言う並びで進んでいくことにした。
本来ならば防御力が高い職業である紗夜は貴之のように外側にいるのだが、今回は初めてたてだから無理は言えない。
そんな風に方針を決めた時、友希那がいきなり走ったと思ったらすぐに止まった。
《ごめんなさい。うっかりオートランを押してしまったわ》
《止め方教えといてよかったわ……》
隣で顔を真っ赤にして友希那が可愛いと思いながらも、一先ずどうにか窘めて先に進むことにする。
そして進んでいる内に、人に近いシルエットをした存在を目撃した。
《あれ、ヘルスケルトンソルジャーだ……》
《ホントだ……厄介なのに出会ったね》
人型の骸骨は経験者なら誰もが通った初見殺しの代表格であり、『一人で始めた初心者が最初に倒されるのはだいたいコイツ』と言われる程である。
《……そんなに危険なの?》
《ああ。まず、序盤の敵とは思えない位に攻撃力とHPを持ってる》
《私たちは平気ですけど、皆さんだと一撃で倒されちゃいます(ノ∀ノ)》
まず普通に戦えば間違いなく負ける。その信じられない基礎ステータスが原因である。
故に『NFO』最初の初見殺し要素であり、何度も同じ轍を踏まぬよう負けてしまった場合は戦わない方法を教える仕様が用意されている。
《どうすればいいのかしら?》
《こいつは視界に入らなければ襲って来ない……幸いにも見つからなければ動きは遅いから、見られないように動くんだ》
これが明確な対処法であり、慣れない内はこの手に限る。
一先ずこの場は逃げる移動してやり過ごしていくことにした。
「前回が『オーバーロード』だったのなら、今回もまた大型のユニットなのかしら?」
「その可能性は大いにあるな……」
移動中、貴之と友希那は二人で今回のイベントで出てくるユニットを考えていた。
原作が短かった都合上、今回はかなり短いです。
変更点としては……
・リサがHP回復ポットを作りすぎていない。
・友希那が意図せぬオートランを自分でキャンセル。
・襲撃してきたモンスターが二体。
この辺りでしょうか。
次回もこのまま続きを書いていきます。