D4DJの最終回が終わった寂しさを紛らわす為にモンハンコラボガチャ回したら、カイザー装備の響子が来たので、そこは救いでした。
「……それ、本当か?」
「ええ。瀬田さんから私に回ってきたわ」
夏休みが後半に入った夜。貴之は友希那から驚きの情報を貰った。
何でもヴァンガードをより楽しめる為の試作品が完成したらしく、そのテストに参加要請を送って来たのだ。
友希那経由になったのは、当の弦巻財団の令嬢でもあるこころが、貴之の連絡先を持っていない故に横の繋がりを使った結果である。
一応日付は今週から来週のどこかでとなっており、こちらの都合に合わせていいそうだ。
「ちなみだが、明日は行けそうか?」
「ええ、明日は大丈夫よ。他の人にも聞いてみましょうか」
貴之が俊哉、友希那がリサから順番に電話で確認を取ってみる。
何人かに聞いてみた結果、明日大丈夫なのはリサだけになり、一先ず予定を伝える。
それをリサが承諾したので、友希那から薫に電話を掛け、彼女経由でこころに返事を伝え、今度は反対の流れで明日の午後一に迎えに行く旨を伝えられた。
「明日は両方持ってくのか?」
「ええ。そうするわ」
友希那は大会を終えて暫くした後、もう一つのデッキを使い始めており、自分がどうしたいかを考えている最中だった。
というのも、今までと現在での音楽に関する心境が変わったように、ファイトスタイルも自分は他の『クラン』が選択肢に入るのではと考えている。
「自分の中にある答え、見つかるといいな」
「ええ。今すぐでなくともいいから……」
出来れば今年中で見つかれば──。そう考えながら、友希那は貴之の言葉に頷く。
そろそろ日が変わる時間になるので、一度睡眠を取って明日に備えることにした。
* * *
そして翌日──。三人は貴之の家の前に集まって待っており、少し談笑している間に一台の黒いリムジンがやってきた。
「おお……リムジンだ」
「うひゃ~……お金持ちだね」
「実物は初めて見たけれど、長いわね……」
三者三様それぞれの反応を示した直後、自分たちから見て一番近いドアが開けられる。
「待たせたわねっ!さあ、乗ってちょうだい!」
ドアを開ければこころが迎えに来てくれているので、有難く乗せてもらう。
「えっ!?広っ!」
「なんつースペースの広さ……」
「最早一つの部屋ね……」
中に入ってみれば二列で向かい合ってるソファに小さな固定テーブルまであるのだから、普通の来るまでは考えられない広さであった。
一般の人はこうなんだというのを、こころはハロハピを通じて知っているので深く追及はせず、そのまま車を進めるように言う。
「今日はこのまま私のお屋敷まで行ってそこでテストするわよっ!」
ハロハピが会議をする際にも使われる弦巻家はそのスペースの広さが重宝されており、パフォーマンスの練習にも持って来いらしい。
そんな場所でテストをするのだから、大会等に向けたタイプのものになっているのかもしれないと言う予想が出てきた。
「結局俺のクラスは全員外れだったんだよな……」
「貴之のクラス、思ったよりもファイター少ないよね?」
あの後も四人で勧誘をやっていたのだが、全てが不発に終わってしまっていた。この為、また新学期に別のクラスや後輩も探しにいかねばならない。
何か手伝えればと友希那たちも考えるが、そもそも後江以外はダメというのがまた難しいところである。
「さあ、ここがお屋敷よっ!」
「で、でけぇ……」
──自分の家の何倍あるんだ?弦巻家に辿り着き、まず感じたことはそこであった。広さが段違いである。
こころの案内で家に入った後は接客室で少し休憩と話しをした後、題に上げていたものを用意してある部屋に移動した。
「お待ちしておりました。こちらが用意したものになります」
黒服にサングラスを掛けた女性が出迎えてくれ、そこにあるものを見せる。
台が二つと、その上にグローブが置かれてあり、どうやらセットで使うものらしい。
「こちら、グローブを介してイメージをダイレクトに反映することが可能なファイト台になります」
「イメージをダイレクトにだって!?」
遂にそんな時代が来たのかと、貴之は大喜びであった。
更にありがたいこととして、ユニットは自分の隣や後ろに現れると言う、ヴァンガードは自分であることを示すようなこだわりっぷりが伺える内容である。
この他にも、ダイレクトに反映されたイメージは近くの人にも視覚化されるらしく、大会でも使えそうな代物であった。
「こんなの見せられたら、早速ファイトしてみるっきゃねぇな……」
「なら、私が相手をするわ」
「二人とも早いなぁ~……じゃあ、アタシは二人が終わった後だね」
順番が決まるや否、二人して早速グローブを両手に付け、デッキを取り出してファイトの準備を進める。
一応このグローブはマジックテープで巻きつける式なので、多少サイズがずれていもどうにかなる。
「(さて、どんな反応をしてくれるかしら?)」
「これつけながらファイトって不思議な感じだな……」
「初めてだけれど、いつものようにリラックスしていけばよさそうね」
普段付けないものをつけてる都合上、どうしてもそちらに目が行くのだが、ファイトすれば忘れていると考えに辿り着き、深く考えるのは止めた。
グローブをつけた後、デッキを置く場所が僅かに光出したので、そこにデッキを置いてくれと言うことを察する。
デッキを置いた後は引き直しまで済ませ、後は始めるだけとなる。
「「スタンドアップ!」」
「ザ!」
「「ヴァンガード!」」
二人がカードを表に返すところで、ファイトが始まった。
貴之が『アンドゥー』になるのはいつも通りだが、友希那は違った。
「『ライド』、『ぐらいむ』!」
友希那が自分は『ロイヤルパラディン』を使用したことを示す。
Roseliaで活動する最中、共にいる仲間を大切に感じた彼女が『今の自分ならこっちの方が合っているかもしれない』……と、感じたのが事の発端で、そこから『シャドウパラディン』と並行して使っていくことに決めていた。
ただし、まだ使って間もないのもあり、デッキの方向性はそこまで固まっていない、一先ず簡単な編集を済ませた状態である。
「おおっ!『クレイ』の大地まで再現されてる!?」
「本当に、この世界へ入り込んだみたいだわ……」
見事に大地が再現されているのもあり、二人して驚く。
ちなみに、この光景はしっかりリサたちにも見えており、こころたち開発者にとって最初の目論見は成功と言える。
「そう言えば、ルールとかは大丈夫?」
「ええ、そこは大丈夫よ!」
どうやらこころは前もって様々なヴァンガード関連の動画や資料を見てルールを学んでいたらしく、説明は不要となった。
恐らく、テストの様子を見る為に必要だったのだろう。
「『ライド』、『ナイトスクワイヤ・アレン』!」
ファイトは友希那の先攻で始まり、『アレン』になると同時に彼女の姿が変わるイメージも反映される。
『メインフェイズ』ではやることが無いので、このままターンを終える。
「『ライド』、『サーベル・ドラゴニュート』!」
こちらも『サーベル・ドラゴニュート』に『ライド』した後、『メインフェイズ』は飛ばしてそのまま攻撃に移る。
友希那がノーガードを選択した後、貴之の『ドライブチェック』、友希那の『ダメージチェック』は共にノートリガーで、大きな変化がないままターンが終わる。
「すご……攻撃する時までバッチリ」
「ここまでは上手く行ってるみたいねっ!」
攻撃の際もイメージに従った動きを見せていたので、一通りの動きは全部成功しているらしい。
「光の剣は勇気の象徴……『ライド』!『ブラスター・ブレード』!」
「(姿が似てるとはいえ、やっぱり『ブラスター・ダーク』の時を思い出しちまうな……)」
友希那がなったのは、『ブラスター・ダーク』とは対になる光の剣士だった。
『メインフェイズ』では前列右側に『ミスリル』を『コール』し、スキルで前列左側に『ギャラティン』を呼ぶ。
その後後列左側に『アレン』を置いてから攻撃に移る。
「攻撃……『ミスリル』でヴァンガードにアタック!」
「『ター』で『ガード』!」
『ドライブチェック』も来ないので先に防いでしまうことにした。
先に防いでしまった以上、残った二つは受けるつもりである。
「次は、『ブラスター・ブレード』でヴァンガードにアタック!」
「ノーガード」
友希那の『ドライブチェック』はノートリガーで、大きな変化は起こらない。
イメージ内で『ブラスター・ブレード』となった友希那が、『サーベル・ドラゴニュート』となった貴之を剣で斬りつける。
それを受けた貴之の『ダメージチェック』はノートリガーで、お互いのダメージが1で並ぶ。
「最後は『アレン』の『ブースト』、『ギャラティン』でヴァンガードにアタック!」
「それもノーガード。『ダメージチェック』……」
『ダメージチェック』の結果がノートリガーで、貴之のダメージが2になったところでターンが終わる。
「『ライド』、『ドラゴンフルアーマード・バスター』!」
『ギャラティン』を退却させながら『オーバーロード』を手札に加え、『メインフェイズ』で前列左側に『バーサーク・ドラゴン』、後列左側に『エルモ』を『コール』する。
「よし……『フルアーマード・バスター』でヴァンガードにアタック!」
「そうね……ここはノーガードにするわ」
貴之の『ドライブチェック』が
対する友希那の『ダメージチェック』は二枚ともノートリガーで、痛手を受けたままダメージが3になった。
「次は『エルモ』の『ブースト』、『バーサーク・ドラゴン』でヴァンガードにアタック!」
「『エポナ』と『アレン』で『ガード』!」
次のターンで決められる可能性を下げる為に友希那が防いだところで、このターンは終了する。
「貴之、楽しそうね?」
「実際に『クレイ』の大地を踏んでる……っていう臨場感が影響してるかも知れねぇな」
友希那が感じ取った通り、貴之はこのファイト中、終始笑っていたのだ。
普段は
「なら、ここからは……」
「ああ、そうだな……」
──更に楽しくなる場所へ。それが二人の共通認識であった。
「『ライド』!『騎士王 アルフレッド』!」
『イマジナリーギフト』は『フォースⅡ』を前列左側に置いた後『メインフェイズ』に入り、まずはスキルで『ブラスター・ブレード』を『コール』する。
その後は後列右側と後列中央に『アレン』を『コール』し、後列右側の『アレン』を退却させる代わりに『うぃんがる』を『コール』した。
「行くわよ……『アレン』の『ブースト』、『ミスリル』でヴァンガードにアタック!」
「そいつは『ラクシャ』で『ガード』!」
確実に防げる攻撃はこれなので防ぐことにする。
攻撃を選んだ友希那自身もこれは想定の範囲内であるため、これは問題ない。
「次はこっちね……『アレン』の『ブースト』、『アルフレッド』でヴァンガードにアタック!」
「よし……これはノーガードだ」
まだダメージが2なので、ここは強気の選択を取る。
友希那の『ツインドライブ』は二枚とも
対する貴之の『ダメージチェック』は三枚とも全てノートリガーで、後がない状況に持っていかれた。
「最後は『うぃんがる』の『ブースト』、『ブラスター・ブレード』でヴァンガードにアタック!」
「『ワイバーンガード バリィ』で『完全ガード』!」
防がないと
現状友希那のダメージが3、貴之のダメージが5の状態でターンが終わり、良くも悪くも次のターンで全てが決まる予感がしていた。
「やっぱこいつを出さねぇとな……!ライド・ザ・ヴァンガード!『ドラゴニック・オーバーロード』!」
「おぉ……やっぱ大分大きいね」
「その様子だと、サイズ差も大丈夫かしら?」
再現性と言う観点から、問題ないかをこころが問えば、リサからは大丈夫の旨が返ってくる。
『フォースⅡ』を前列左側に設置した後、『メインフェイズ』では前列右側に『フルアーマード・バスター』、後列中央に『エルモ』、後列右側に『サーベル・ドラゴニュート』を『コール』し、『オーバーロード』は『ソウルブラスト』を行う。
「よし……早速『オーバーロード』で『ブラスター・ブレード』を攻撃!」
「!?ここはノーガードで行くわ……!」
いきなりオーバーロードで攻撃したことに驚きながらも、一度素通しを選ぶ。
貴之がこうした理由としては相手の手札が残り僅かなので、『フォースⅡ』による圧力と、安定した二回攻撃を狙いに言ったのである。
『ツインドライブ』の結果は二枚とも
「次は『エルモ』の『ブースト』、『バーサーク・ドラゴン』でヴァンガードにアタック!」
「『イゾルデ』で『完全ガード』するわ!」
次に
「まだまだ……!『エルモ』の『ブースト』、『オーバーロード』でヴァンガードにアタック!」
「ここは……ノーガードね」
ここで
『ドライブチェック』の結果は
イメージ内で『オーバーロード』となった貴之の斬撃を、『アルフレッド』となった友希那がまともに受ける。
この時の『ダメージチェック』が全てノートリガーで、ダメージが6になった彼女が光となって消えることでファイトの終了が示された。
「いや……まさかここまで作り込まれてるなんてな……」
「本当に、あの世界へ入り込んでいるみたいだったわね」
もう少し上手く使えれば──。等の考えも出ては来るが、それ以上に今回見ていた景色の余韻が大きく残っていた。
そんなこともあって終了の挨拶が遅れてしまい、慌ててそれを済ませる。
「どうだったかかしら?何か足りないところがあったら教えて頂戴っ!」
「ファイト中は特に問題なかったな……ルールが増えたりしたら、そこの機能に対応するくらいで大丈夫だと思う」
「試して欲しいところがあるとすれば……ファイト前と終わった後かしら?そこに電子音声でもいいから、何らかのアナウンスがあったらどうなるかが気になるわ」
「なるほど……伝えておくわねっ!」
見た感じ殆どが完璧だったと言える為、今回のテストは成功に近い収まり方をしている。
「後は一応、総当たりになるようにローテする?」
「見る側とファイトする側で観点も変わるでしょうし、そうしましょう」
「順番は任せるぜ。思いっきりやろう」
その後総当たりでファイトを行い、その時に感じたことをこころに伝えた。
三人がいる間にできること全てを完了した後は、再びリムジンでの送迎が行われ、道中何も問題が無く終わるのであった。
* * *
「弦巻さんから、『またよろしく』──だそうよ」
「そうなの?あんな感じでいいなら、また手伝うよ♪」
「こっちもいい体験させてもらったし、いいこと尽くめだったな」
その日の夜──久々に三人で遠導家で過ごすことになり、今日のことを振り返っていた。
お互いに必要なものを与え合うことができたので、今回はいい結果で終わって一安心である。
「一応、あれは大会前提の大型だったし、今後小型化とかに成功したら凄いことになりそうだな……」
「その時は学校のイベントで使ったりするのかな?」
「近くでやるなら後江じゃないかしら?ファイターもそれなりにいるでしょうし」
羽丘と花女はそこまでファイターがいないので、イベント使用は難しいと考えられた。それ故に『ヴァンガード甲子園』も出るかは怪しい。
一応、羽丘には結衣がいるものの、彼女は店の手伝いもあって非常に厳しいだろう。
「メンバーの方、大丈夫そう?」
「誰か見つかるといいんだがな……」
「前途多難そうね……」
残念ながらメンバーは未だに見つかっていないらしく、秋が勝負になるようだ。
手伝ってやりたいところではあるが、彼女たちも次に出るライブが大きなものになりそうなので、一旦は保留しておく。
「じゃあ、落ち着いた時当たりにでも頼むかな……」
この後は友希那から『ロイヤルパラディン』と『シャドウパラディン』が決めきれない旨を聞き、焦らなくていいことを伝える。
それを聞いて納得したところで日が回ったので、消灯して眠りに就くのであった。
様々な出来事のあった夏も、もうじき終わりを告げようとしていた──。
友希那が使ったデッキはトライアルデッキ『先導アイチ』を、ブースターパック『結成!チームQ4』で編集した『ロイヤルパラディン』のデッキです。方針が固まってない故の簡易編集デッキになります。
次回からRoseliaシナリオ2章に入るので、プロット整理を行う都合上来週は一旦お休みします。
最後に、残念なお知らせですが、人気上昇の低迷から本小説は次章と後日談で終了とさせて頂きます。本当に申し訳ございません。
ただ、最後まで書ききるつもりでいるので、そこまでお付き合い頂ければ幸いです。