Roselia2章の1~2話はほぼ変わらないので、こちらでは大雑把に進んでいきます。
まずは導入部分です。
ネクスト1 幕開けの兆し
夏休み最後の夜──。とある家族が引っ越して来てから一週間経っていた。
「(後江の制服は問題なし。デッキもある……後は、明日を待つだけ……)」
その家族の一人娘は、明日から向かう学校と開催が近い『ヴァンガード甲子園』の準備を始めていた。
自身が引っ越す前はここにいたので、およそ7年ぶりにここへ戻っている彼女は、新しい場所に来た実感が無い。
彼女がヴァンガードを始めたきっかけをくれた人は、自分が最後に見た限りではここにいて、雑誌でもこちら側にいたことを知っている。
自分がクラス替えの直後に早速風邪で休んでしまい、友達作りのチャンスを失って途方に暮れているところを誘い出してくれたので、その温かさは今でも覚えている。
好きかどうかと聞かれれば人としてなので、最悪のことは起こらない。同じ学校、同じクラスになったのなら、あの後どうなったのかを聞いてみようと思った。
「みんな、元気にしてるかな……?」
答えてくれる人がいなくとも、少女はその疑問を口にせずにはいられなかった。
* * *
「じゃあ、人が揃ったら言うよ」
「ええ。その時は後で話しを聞かせて頂戴ね?」
翌日──。新学期が始まった朝に、羽丘の校門前で貴之と友希那は今日この後のことを話していた。
今日から本格的に『ヴァンガード甲子園』のメンバー探しで、学校中を探し回ることになり、メンバーが集まればその段階で部活動としてカードファイト部を申請──通ったらそのまま部活動スタート。今日中に申請が通らなくとも、ファイト練習は怠らないとなる手立てである。
そんなこともあり、貴之はメンバーが揃ったら一度連絡を入れることを約束している。
「それじゃあ、またね」
「ああ、またな」
別れた直後に友希那が弄られる声が聞こえたものの、構っていたら遅れてしまうので今回は救助を諦める。
そして貴之が教室に着いた直後、自分が座る席の一つ後ろに空席があることに気づいた。
「……誰か来るのか?」
「らしいな。誰かまではまだ見てないけど」
──来るのは男子か女子か。異性がくるかもしれないとなれば楽しみになるのは、思春期の
そして、この現象を楽しいと思わなくなった貴之は自分の環境が変わったことを実感し──。
「出来ればヴァンガードファイターの女の子来ないかな?『ヴァンガード甲子園』に誘えるかもしれないし、何よりもファイトできるし……」
「本当、
──呟いた大介共々、玲奈の感性の変わりっぷりに頭を抱えた。
転校生がこちらに来るのが決まって楽しみにしていると、担任である長谷川が入って来て、朝のSHRが始まる。
「気づいているかもしれないが、今日は転校生の紹介をするぞ。入って来てくれ」
「「「(ん……?あの子、見覚えがある)」」」
長谷川の声を聞いて入ってきた、後江の制服を着た少女に対し、貴之と俊哉、そして玲奈は見覚えがあった。
「えっと……この度転校してきました。
やや青みがかった銀髪のショートヘアーに紅い瞳を持つ大人しめな少女──詩織が軽く一例した後、自分の席になる場所へ移動を始める。
「あっ……貴之……それに二人も……」
「おう、久しぶり」
「大体7年か……結構経ったよな」
「詩織、元気にしてた?」
再び俊哉と玲奈がしる人物であることに因果を感じながら、長谷川は詩織を手助けしてあげるように促す。
SHRが終わった後、詩織がクラスの──特に男子から質問攻めに遭ったのは最早予想通りである。
「そっか……二人ともお疲れ様だね」
質問攻めから午前の授業をこなした後、詩織はすっかり貴之らと同じ輪に入り込むんでいた。
やはり気になったのは貴之と友希那の関係で、こちらが大成功で終わっているのはいいことだった。
「さてと。詩織にも確認したいことがあるし、そろそろこの話ししちゃおっか」
「……話し?」
玲奈切り出しに、詩織以外の全員がうなずく。もし詩織さえよければ、ここで人数が揃うのである。
「詩織、『ヴァンガード甲子園』……出てみる気はある?」
「……!いいの?」
詩織からすれば目から鱗な話しであった。
自分は転校してしまう都合上、前の学校にいたファイターたちには一緒に出れないことを残念がられていた。
幸いにも向こうは人数が多いし、こちらで出れさえすれば会うことも可能だとは思える。
唯一気掛かりなのは、実力が分からない大介を省くとファイターとしては間違いない自分が最弱なので、足を引っ張らないかが不安なところである。
「寧ろお願いしたいな……今、俺たち四人だけだから、人が足りないんだ」
「なるほど……」
大介の回答で、大体の人から遠慮されてしまったことを感じ取り、それなら足を引っ張る以前の問題であった。
そもそも自分が謙虚過ぎるだけなところもあるので、気にするのはほどほどに参加することを宣言した。
「じゃあ、それなら今日の放課後、部活の申請書作っちゃおう」
「そうなると部室探しもか……後で宛を聞いてみるか」
運よく人数が揃ったので、早速放課後の話しを詰め始めるのであった。
* * *
『そういうことなら、また後で会いましょう。詩織にはよろしくと伝えておいて』
「ああ。それじゃあまたな」
そして迎えた放課後。友希那に事情を伝え、電話を終えた貴之は早速四人と部活のことについて話し合う。
彼女らも彼女らで次に出るステージがあるので、そちらの練習に尽力するらしい。
後江は部活を生徒間で設立する条件があり、最低五人が集まっていれば生徒会に申請し、そちらの意向で決定される。
「さて、まずは部活名だけど……」
「まあ、難しく考えずに『カードファイト部』でいいんじゃないか?」
そして承認をしてもらうべく、名称から決める。部活の名前自体は至って分かりやすい名前に決定する。
次に部長と副部長を決めるのだが、最も学校間で素行が良いとされる人にするべきだと最初は考えていた。
「これ、貴之にしない?」
「えっ?俺か……?」
「確かにヴァンガードへの熱を考えたら、こいつが一番だな」
──が、今回目指すのは『ヴァンガード甲子園』。ここはヴァンガードの熱意も考えると彼に白羽の矢が立つ。
ただし、彼は熱で引っぱっていく担当になるので、副部長は素行や落ち着き重視で玲奈が選ばれる。
「えっと……顧問の先生はどうする?」
「いてもいいけど、俺たち結構自分で思い思いに組むから余りアドバイスできる人いなそうじゃないか?」
「いないと思うけど……取り敢えず探して見るね」
自分たち──特に貴之はアドバイスが必要ない強さや発想力を持っているし、その実績も持っているので顧問の先生は全くもって本分を発揮できないだろうことが予想された。
いざという時、学校でまず頼れるのは担任の先生──と言うことで、まずは長谷川に当たって見て、そのままヴァンガードに詳しい先生がいるかを聞いてみることにした。
「確かに後江は色んな先生いるけど、俺含め、ヴァンガードに見識の深い人はいなかったな……」
「そうでしたか……」
「『ヴァンガード甲子園』に関しては特例で顧問の先生なしが許されてるから、無理しなくてもいいんじゃないか?」
長谷川曰く、ヴァンガードに関しては元々学生たちのみでの大会を開かれることは想定されておらず、今から先生方が知識を得ようにも間に合わず、生徒たちが自主的に動けるので顧問があれこれ言おうにも邪魔になってしまうことを危惧したからそうである。
この他にも、大会当日の宿泊費以外は一切必要なく、カードの購入は生徒間の自腹となるので、学校で管理すべき費用が殆どないのも拍車をかけていた。
後で見つかったら頼もうかと考え、このまま生徒会へ申請をしに行くことにした。
「『ヴァンガード甲子園』を目指しての活動……か、了解したよ。結果は明日の放課後に、担任の先生を通じて伝えるよ」
「よろしくお願いします」
生徒会長に申請書を渡したので、残りは結果待ちとなった。
今日はできることが終わったので、後はファクトリーでファイトをし、夜はその後決めることになった。
* * *
「さて、俺たちも探していく訳だが……」
「僕たち以外、この宮地にいるのかな?」
詩織が来てくれたことにより順調な後江に対して、宮地側はかなり難儀していた。
何しろそれなりにファイターがいる向こうに対し、こちらはそれらしい人が殆どいないのである。
「一先ず、呼びかけるか、募集の貼り紙を出して見ないかい?何もしないよりはいいだろうし……」
「そうだな。取り敢えずやってみるか」
手っ取り早いのは呼びかける方向である為、まずはそちらでやってみることにした。
殆ど目をむけられない可能性はあるが、それでもやらないよりはマシだろう。
「(……ん?ヴァンガードをやっている人がいる?)」
そんな彼らの声を偶然聞いた、黒髪を持った少年がそちらに目を向ける。
彼の名は
学年は同じだがクラスは三人の全員とも違い、ヴァンガードの話しなど微塵も出る気配が無かったので、宮地でヴァンガードをやっている人は自分だけだと思っていたので少々気が楽になった。
何やら彼らも彼らで仲間探しに困っている様子なので、一先ず声を掛けに行こうと決めた。
「あの……ちょっといい?」
「「「……!?」」」
自分が声を掛けた瞬間、三人が驚いたようにそちらを振り向き、いきなりの反応だったので颯樹は一瞬だけひきつった顔になる。
いきなりこんな顔をしたらそりゃそうかと三人も気を取り直し、改めて要件を聞く。
「『ヴァンガード甲子園』に出るための人集めって聞いたから、僕が入ってもいいかなって……」
「と言うことは、君もファイターだね?」
一真の確認に颯樹は首を縦に振る。彼自身、元々ファイターが恐ろしいほど少ない学校にいたため、この転校を機に人を見つけられないかと躍起になっていた節はある。
それも伝えて見ると、尚更三人に──特に近寄りがたい第一印象のあった龍馬から特に大歓迎された。
「そういうことなら今日からよろしくな。んで、早速お互いを知るんだが……」
「まずは近くで寄り道できる場所を教えて、そこから『ルジストル』に行こう。盛谷君もそれでいい?」
「ありがとう。僕もここは来たばかりで、分からないことだらけだから助かるよ」
一先ず一人でも見つかっただけでも大きな前進──そう結論付け、今日は颯樹の歓迎会へと方針をシフトさせ、四人で学校を後にしていくのであった。
「(『ヴァンガード甲子園』……私はもう部活を続けられない身ですが……)」
──後で相談してみましょう。そんな四人を、陰から見る人影が一人いたが、その人が合流するのはまた別の日になる。
* * *
「あっ!ホントだ!ホントに詩織が帰って来てる!」
「久しぶりね。詩織」
「リサ?それに友希那も……久しぶり」
Roseliaが次に出る大きなステージのSWEET MUSIC SHOWER──通称『SMS』へ向けた練習をした帰り、詩織と小学が同じだった三人は、彼女が帰って来たので友希那たちに顔合わせを手伝う。
そのステージはFWFに勝るとも劣らないらしく、選考を突破した人たちも普通に出るほどらしい。
この情勢で久しぶりに再会した人がいるとなれば、俄然やる気が出てくるものであった。
「小学生時代からヴァンガード続けてるのは全員揃ったかな」
貴之と同じ小学にいて、貴之が転校するまでヴァンガードを続けていた四人は全員揃ったのである。
残りの人は資金的な都合で辛くなった人や、他にやりたいことが見つかったから手を引いた人たちであり、それを責めるようなことはしなかった。
「そう言えば、二人は……」
「そのことならねぇ……」
貴之と友希那が楽しそうに話し、途中貴之が優しく彼女を抱いたのが見えたので、リサは「この通りだよ♪」と一言で説明した。
「それならよかった……」
「と言うか、詩織も詩織でよく覚えてたね?」
「貴之が始めた理由、覚えやすかったから……」
あんなに楽しそうに言われるとね──。よくもまあ、当時の彼はにべもなく言えたものだと詩織は感じていた。
ただ、その思いを忘れずに走り続け、今はこうなっているのだから、やりきる姿勢は立派なものだと断言できる。
何か大きなことをやり遂げる人たちは、大体こうなのだろうかと詩織は少し考えたが、それは少し早計かもしれないとも考えられる。
「(私、帰って来たんだね……)」
──大丈夫、私は……寂しくないよ。元の学校で気にかけてるかもしれない人たちへ向けて、詩織は心の中で温かさを呟いた。
今回新しく登場した二人の内、颯樹は咲野 皐月様からご提案頂いた人物となります。
提案頂いたのはもう一人いますが、それはまた次の時に……
容姿のベースは以下の通りです。
刻風詩織……『ボーダーブレイク(PS4版)』より『クユラ』。アーケード版では女性の『ドライ』タイプの容姿ベースになった人物で、彼女を穏やかな印象に変えたもの。
盛谷颯樹……『異世界はスマートフォンとともに』より『望月冬夜』とのこと。
次回は後江の『カードファイト部』がどうなったのかと、Roselia2章の2話を大雑把にやりつつ、3話の冒頭に入ると思います。