「『ライド』!『リザードランナー アンドゥー』!」
貴之が『ライド』したのはいつも通りであることはいい。問題はこの先である。
「『ライド』。『プライモディアル・ドラコキッド』」
瑚愛が『ライド』した機械のような体を持つ小さき竜……この存在が大きな問題を呼んでいた。
「なっ……『ギアクロニクル』!?オイオイオイオイ……まさかこのご時世本気で使ってるのか?」
「やはり、疑われてしまうのは仕方ありませんか……」
『ギアクロニクル』は『ダークゾーン』にて発掘された謎の門『時空ゲート』から突如現れた軍勢であり、今でも様々な時代を旅しているらしい。
と、ここまではいいのだがファイトではグレード4を多用するデッキである為、今貴之が驚愕した理由に繋がっている。
これ自体は瑚愛も把握していることであったので、こうなってしまうのはそこまで気にしていない。
「(どうしてだろう?何か、嫌な予感がする……)」
ファイトは貴之の先攻で始まるのだが、結衣はファイトが始まってから胸騒ぎを覚えていた。
「『ライド』、『サーベル・ドラゴニュート』!」
「(なるほど……まず一枚目はそれですか)」
先攻は最初のターンに攻撃できない為、これ以上は何もせずにターンを終える。
「『ライド』、『ウェッジムーブ・ドラゴン』。スキルで一枚『ドロー』します」
武器を持ち、鎧を身に纏った竜になった後、『メインフェイズ』では特に大きな動きは見せず、攻撃へ移ることにした。
「では、『ウェッジムーブ・ドラゴン』でヴァンガードにアタック」
「ノーガード。どうぞ」
貴之に催促された『ドライブチェック』で、瑚愛は
対する貴之の『ダメージチェック』は一枚目がノートリガー、二枚目が
「ヴァンガードにいる『ウェッジムーブ』の攻撃がヒットした時、手札一枚を『バインド』することで、一枚引くことができます」
当然、この時瑚愛は自分にとって有利になるものを選ぶのだが、その時に見えたユニットが、貴之に事実を伝えた。
「……なるほど。どうやら本気らしいですね」
「分かってもらえて何よりです」
これは油断ができない──。貴之がそう認識したところで、彼女のターンが終わった。
「『ライド』、『ドラゴンフルアーマード・バスター』!」
ここでは既に欲しいカードが揃っているのでスキルの発動は見送り、『メインフェイズ』で前列左側に『バーサーク・ドラゴン』、後列左側に『エルモ』を『コール』した。
「こっちからも……『フルアーマード・バスター』でヴァンガードにアタック!」
「ノーガード。どうぞ」
定番と言っても過言ではない最初のノーガード宣言の後、『ドライブチェック』では
対する『ダメージチェック』はノートリガーでお互いのダメージが1で並ぶ。
「次は『エルモ』の『ブースト』、『バーサーク・ドラゴン』でヴァンガードにアタック!」
「(『フルアーマード・バスター』の存在から、『オーバーロード』は確定と見ていい……後は、サポートユニットがどうなっているかですね)」
デッキバランスを考えると片方しか入らないだろうと推測しながら、ノーガード宣言をする。
その結果は
「(なんだ……?さっきからずっと奥底を見られてるような感じがする……)」
そして、貴之が妙な違和感を覚えたのも、丁度このタイミングであった。
「行きます……『ライド』、『ロストブレイク・ドラゴン』。手札から登場した時、一枚を『バインド』することで一枚引きます」
「(またその手のユニット……二枚目まで見れば、いよいよ疑念は持てないわね)」
二回もそうされてしまえば、誰から見ても明らかだと瑞希も悟った。
『メインフェイズ』では前列左側に二枚目の『ロストブレイク』、後列左側には二枚目の『ウェッジムーブ』が『コール』された。
当然、『ロストブレイク』のスキルは発動されている。
「では、『ロストブレイク』でヴァンガードにアタック」
「……ノーガード」
違和感を感じつつも、今はできることが無いのでこの選択を取る。
瑚愛の『ドライブチェック』は
「次。『ウェッジムーブ』の『ブースト』、『ロストブレイク』でヴァンガードにアタック」
「それもノーガードで行くか……『ダメージチェック』」
一瞬迷ったが、自分の動きを崩して思う壺は良くないのでこのまま受けることにした。
その結果はノートリガーで、貴之のダメージが3になったところで早くも二ターンが終了した。
* * *
「(いつも通り、問題なく皆が演奏出来ている。けれど……)」
──この違和感は……何?SMSで一曲目の演奏を終え、二曲目の演奏を始める友希那は妙な胸騒ぎを感じていた。
その理由は歓声の量であり、最初と比べてかなり小さくなっている。これは、間違いなく何かが足りないと感じさせるには十分過ぎるものだと断言できる。
「(勢い余った……と言うのが正解。と、言いたいけど……)」
──変化したものをそのままにしてしまっているかな……。なぜこうなっているかに気づいたオーディエンスの女性は、勿体無いことをしたなと考えた。
FWFの選考を通過した故に、気づけなかった……否。結成してから間もない以上、いつかはこの様な形で露呈する確率は非常に高かったので、どのみち仕方ないことだと言える。
「(さて、どの様にして伝えよう……)」
機会は伺えないものかと、また一人とオーディエンスが減っていく最中に彼女は考えを巡らせながら次の演奏も聞いていく。
「(だけど、この経験は……彼女たちが進む上で、とても大切なものになる……)」
どうか折れないで──。と、今は祈るしかなかった。
* * *
「行くか……ライド・ザ・ヴァンガード!『ドラゴニック・オーバーロード』!『イマジナリーギフト』、『フォースⅡ』!」
「なるほど……来ましたね」
貴之の愛用ユニットともなれば、流石に瑚愛も身構える。
『フォースⅡ』は前列左側に設置して、『メインフェイズ』で前列右側に『バーサーク・ドラゴン』、後列右側に『サーベル・ドラゴニュート』を『コール』する。
『バーサーク・ドラゴン』のスキルで『ウェッジムーブ』を退却させ、『オーバーロード』は『ソウルブラスト』をする。
「よし……まずは『サーベル・ドラゴニュート』の『ブースト』、『バーサーク・ドラゴン』でヴァンガードにアタック!」
「そうですね……ここは『リンリン・ワーカー』で『ガード』」
一番防ぎやすい攻撃なので、ここは防いでしまう。
「次は『オーバーロード』で『ロストブレイク』に攻撃」
「これは仕方ありませんね……ノーガード」
無理に防ごうものなら余分な手札消耗をするので、防ぐのは諦める。
案の定貴之は『ツインドライブ』で
なお、パワーや
「もう一度、『オーバーロード』でヴァンガードにアタック!」
「ならば、私は『スチームガード カシュテリア』で『完全ガード』!」
貴之の『ドライブチェック』はここでも
次の攻撃を、瑚愛はノーガードで通し、一枚目がノートリガー、二枚目が
「では、私もお見せしましょう……喪われた伝説を、この地に呼び覚ませ……ライド・ザ・ヴァンガード!『時空竜騎 ロストレジェンド』!『イマジナリーギフト』、『フォースⅠ』!」
ヴァンガードに『フォースⅠ』を設置した後、『メインフェイズ』で前列左側に三枚目の『ロストブレイク』の『コール』と同時に、スキルの発動を行う。
更に後列左側に機械の体を持つ小さき奉仕人の『テキパキ・ワーカー』が『コール』される。
「手札から登場した時、『テキパキ・ワーカー』のスキルで『ドロップゾーン』から一枚を山札の下に戻します」
このスキルはグレード3以上を対象にした場合は別のスキルを使用できたが、今回は狙いがあることからそれを選ばなかった。
「『ロストレジェンド』のスキル発動!手札から合計グレードが3以上になるように捨てることで、山札からグレード4のユニットを一枚まで探し『スタンド状態』で『S・ライド』します。私が選ぶのは……『時空竜 イディアライズ・ドラゴン』!」
「来やがったか……!」
彼女がなったのは、グレード4のユニットの内一体である。
ちなみに、この時『ライド』した時の代償が何も起こっていないことから克服済みであることが確定した。
なお、今回コストでは『ウェッジムーブ』を選んでおり、『ウェッジムーブ』は手札からからコストとして捨てる際、グレード3として扱うことができるのだ。
「『イディアライズ』が登場した時、こちらの『バインドゾーン』にあるユニットの合計グレードで発動するスキルが増えます……」
1以上ならば相手がリアガードを一枚選んで山札の下に置く。5以上ならば、自分の山札の上から一枚リアガードに『S・コール』。そして、11以上ならば『ドロップゾーン』から二枚をリアガードに『S・コール』できる。
「今回の合計グレードは15……よって、全てのスキルを発動します!」
「何……!?もう15だと……?」
これは貴之からすれば非常に不味く、次のターンで決めないと最悪速攻で負けの未来がやってきていた。
退却させるのは前列左側の『バーサーク・ドラゴン』で、瑚愛は山札の上から出た機械を思わせる学生服を来た少年『スチームスカラー カライン』を後列中央に、そして『ドロップゾーン』からは『ロストブレイク』を前列右側に、『ウェッジムーブ』を後列右側に『コール』した。
「では行きます……『テキパキ・ワーカー』の『ブースト』、『ロストブレイク』でヴァンガードにアタック」
「それは『ター』で『ガード』!」
「ならば『カライン』の『ブースト』、『イディアライズ』でヴァンガードにアタック。『ブースト』した時、『ソウルブラスト』して『カライン』のスキル発動。このバトル中、相手は『インターセプト』が出来ず、『ガーディアン』は三枚までしか『コール』できない」
「頼む、『ワイバーンガード バリィ』!」
『ドライブチェック』は一枚目が
なお、この攻撃が終わった後、『カライン』はスキルで『バインド』される。
「最後、『ウェッジムーブ』で『ブースト』、『ロストブレイク』でヴァンガードにアタック」
「仕方ねぇ……ノーガード!」
『ダメージチェック』は二枚ともノートリガーで、ダメージが5となり後がない状態になってターンが終わった。
なお、この時『ロストレジェンド』のスキルで『イディアライズ』は退却し、『ソウル』にいる『ロストレジェンド』へ『S・ライド』。『フォースⅠ』がヴァンガードに回されている。
「全国大会が終わった後から、デッキ内約が大きく変わっていますね……」
「ええ。俺はこっちの方が性に合ってるんで」
──どうしてこのタイミングなんだ?と疑問には思ったが、一先ずそれは答える。
グレード4を向こうは使っているので、それ故の問いかけかもしれない。
それを聞いた彼女は「引き留めてすみません」と話しを切り上げたので、このまま貴之はターンを始める。
「この戦いに終止符を打つ……!ライド・ザ・ヴァンガード!『ドラゴニック・オーバーロード・ジ・エンド』!」
『フォースⅡ』はヴァンガードに設置した後、『メインフェイズ』で後列中央に『ガイアース』、前列左側に『デカット』を『コール』する。
『デカット』のスキルを発動した後、前列左側に三枚目の『バーサーク・ドラゴン』を『コール』し、スキルで前列左側にいる『ロストブレイク』を退却させた。
「勝負に出るしかねぇか……!『サーベル・ドラゴニュート』の『ブースト』、『バーサーク・ドラゴン』でヴァンガードにアタック!」
「それは『リンリン・ワーカー』で『ガード』します」
「次は『エルモ』の『ブースト』、『バーサーク・ドラゴン』でヴァンガードにアタック!」
「ノーガードで行きます」
『ダメージチェック』の結果は
「行くぞ……『ジ・エンド』でヴァンガードにアタック!」
「そうですね……ここは『カライン』と『テキパキ・ワーカー』で『ガード』」
『ツインドライブ』は一枚目が
スキルでは『ソウル』に『オーバーロード』が存在する場合のスキルを発動し、『スタンド』させる。
「もう一度、『ジ・エンド』でヴァンガードにアタック!」
「では、『スチームガード カシュテリア』で『完全ガード』!」
『ドライブチェック』の結果は
「最後……『ガイアース』の『ブースト』、『ジ・エンド』でヴァンガードにアタック!この時、『ガイアース』のスキル発動!」
「もう一度、では、『スチームガード カシュテリア』で『完全ガード』!」
「では、私のターンですね……もう一度、『ロストレジェンド』に『ライド』!」
『メインフェイズ』では空いてしまった前列左側に四枚目の『ロストブレイク』を『コール』し、スキルでグレード4の『イディアライズ』を『バインド』した。
「グレード3以上になるように手札を捨て、『ロストレジェンド』のスキル発動!時空を超えて、未知なる世界へと飛び立て……ライド・ザ・ヴァンガード!『時空竜 ミステリーフレア・ドラゴン』!」
「(出やがった……!)」
機械の鎧に身を包み、巨大な槍を持った竜を見て、貴之は焦る。
このユニットを出されたく無い故に全力攻勢に出たのだが、それを阻止された結果がこれなのである。
『イディアライズ』と同じく、『ミステリーフレア』にも『バインド』しているグレードの合計数に合わせて発動するスキルが存在している。
まず、グレード3以上でこのターン中自身のドライブがプラス1。グレード7以上でこのターン中自身の
「グレード19以上で、このターン終了時、手札を全て捨てることで追加ターンを得ることができます」
「(せめて13以上ならまだやりようはあったんだがな……)」
いくら『ロストレジェンド』に戻り、追加ターンで『ライド』できないと言う代償があるにしろ、この段階で相当厳しい。
この後後列中央に『ウェッジムーブ』が『コール』された後、攻撃に移る。
「まずは『テキパキ・ワーカー』の『ブースト』、『ロストブレイク』でヴァンガードにアタック」
「ノーガード。『ダメージチェック』……」
どのみちここ以外は『完全ガード』以外厳しいので、受けてしまうことにする。
『ダメージチェック』の結果はノートリガーで、いよいよ追い込まれてしまった。
「行きます。『ウェッジムーブ』の『ブースト』、『ミステリーフレア』でヴァンガードにアタック」
「『バリィ』で『完全ガード』!」
『トリプルドライブ』の結果は全て
「では、『ウェッジムーブ』の『ブースト』、『ロストブレイク』でヴァンガードにアタック」
「もう一回『完全ガード』!」
ただし、貴之もこれで手札が尽きてしまい、相手のトリガーと
当然の如く、彼女も追加ターンを獲得し、そのまま攻撃に移る。
「決めます。『ロストレジェンド』でヴァンガードにアタック」
「ノーガード……!」
瑚愛の『ツインドライブ』は二枚とも
「(ここまでか……!)」
それは貴之の敗北を決定づけるものであり、『ダメージチェック』でも最初の二枚が
* * *
『……』
貴之と瑚愛のファイトが終わるのとほぼ同時刻、演奏を終えたRoseliaはいつの間にか減っていた
今まで圧倒的な技術力で魅了し続けてきた自分たちの音楽が、初めて全く通じなかったのだから、無理もないだろう。
何故だと考えるのはステージ裏に戻ってからだと判断し、一先ず定型的な形で礼を告げる友瑚愛の希那だが、その声は震えており、非常にぎこちなかった。
ステージから降りた後は、つらいだろうけど一先ず反省会は開く旨を伝え、着替えたら急いで会場を後にすることを選ぶ。
「湊さん……でいいよね?少しいいかな?」
早速行動に移そうとしたところで、一人の女性が「手短に終わらせる」と声を掛けて来たので、皆に無理はさせないように友希那だけが話しに応じることを選んだ。
瑚愛の使ったデッキは『The Answer of Truth』に登場するカードで組んだ『ギアクロニクル』のデッキになります。
Roselia側のシナリオはここから途中までは独自展開を進んでいくことになります。
次回はこの二つの舞台が終わった後の話しになりますが、緊急の仕事に対応して書く時間が保てなかった場合は来週お休みすることになると思います……