先導者と歌姫 -高みを目指して-   作:ブリガンディ

127 / 135
ネクスト13 雌雄を決する時

そして迎えた翌日の決勝トーナメント。まずは準決勝から始まり、後江と福原がここで当たることになった。

ドーム状の会場のど真ん中にあるファイト台を挟んで後江の五人と福原の五人が並んだ後、どの様な順番で当たるかが判明する。

 

「真司と当たるのは詩織か……」

 

「貴之は、ちゃんと決着つけて来るんだよ?」

 

今回真司と当たるのは中堅を任された詩織。貴之は先鋒として『かげろう』対決を制しに行く形である。

 

「あの二人以外、もう『かげろう』を使うファイターは残っていないみたいよ……」

 

「あの四校にはもういないんだ……」

 

友希那は昨日の段階で貴之に教えて貰っており、自分ともう一人を省いた『かげろう』使いは全滅していた。

これ以外にも、俊哉以外に『ディメンジョンポリス』を使うファイターの全滅も確認しており、この段階で俊哉は国内最強の『ディメンジョンポリス』使いとなっている。

 

「ここまで来ると、全国大会とほぼ変わらない状況になるのでしょうか……?」

 

「相手が強い意味では、一緒だと思います」

 

「でも、ファイトが楽しいことも一緒だと思いますよっ」

 

参加する全員がファイトを楽しんでいる。それは本当であることは信じたかった。

早速先鋒同士の対決となり、貴之ともう一人がファイト台に上がる。

 

「とうとうこの時が来たな(はじめ)……この大舞台で俺とお前、どっちが最高の『かげろう』使いとなるかを決める戦いが……!」

 

「ああ……全国の時はその機会を逃したからな……今回こそ雌雄を決そうじゃないか!」

 

貴之と対戦相手である、赤い髪と瞳を持った少年──(いずみ)肇が互いに好戦的な笑みを浮かべる。

やることは非常に明白である為、素早く準備を終わらせ、早速ファイトを始めることにした。

 

「「スタンドアップ!」」

 

「ザ!」

 

「「ヴァンガード!」」

 

貴之は『アンドゥー』、肇はまだ子供だと思われる赤い体を持った小さき翼竜『ワイバーンキッド ラグラー』に『ライド』する。

これが『かげろう』同士の頂上決戦になるのを感じさせながら、ファイトは肇の先攻で始まる。

最初のターンは『サーベル・ドラゴニュート』に『ライド』するだけでターンが終わる。

対する貴之も、最初のターンは『サーベル・ドラゴニュート』に『ライド』した後、特に『メインフェイズ』で何かすることもなく攻撃に移ろうとしていた。

 

「あのユニット、『かげろう』で組める大体のデッキに入りそうね……」

 

「殆どの人が使いやすいって言ってたから……あの二人もそうなんだと思う」

 

度々デッキを変える場面を見せてもらっていた裕子は、貴之も拘りが無かったり、特に明確な理由がないなら取り敢えず入れてもいいと言ってたのを思い出す。

それくらい、『サーベル・ドラゴニュート』は非常に便利な存在であるのだ。

 

「じゃあ、一旦攻撃……『サーベル・ドラゴニュート』でヴァンガードにアタック!」

 

「ノーガード」

 

いきなり防ぐのなら、それ相応の理由が必要であり、それがない以上素通しした方が安定である。

『ドライブチェック』、『ダメージチェック』は共に1で、特に大きな影響が起こらないままターンが終わる。

 

「『ライド』、『バーサーク・ドラゴン』!スキルは発動せず、『ワイバーンストライク ドーハ』を『コール』!」

 

見慣れた存在と共に、前列左側に現れたのは赤い体を持ったワイバーンであった。

 

「あっちも『バーサーク・ドラゴン』……やっぱり使いやすいんだ」

 

「あの人の方……『フルアーマード・バスター』が無いのかな?」

 

『フルアーマード・バスター』があるならもう確定と見て良かったが、出てこない以上まだ『オーバーロード』軸で被っていると断言することはできない。肇のデッキに関してはもう少し見ていく必要があるだろう。

また、この時に手札から登場したので『ドーハ』のスキルを使い、後列左側に右翼は青、左翼は赤の翼竜『ワイバーンストライク ギャラン』が『コール』された。

 

「よし、『バーサーク・ドラゴン』でヴァンガードにアタック!」

 

「ノーガード」

 

肇の『ドライブチェック』は(ドロー)トリガーで、手札の確保に成功する。

対する貴之の『ダメージチェック』はノートリガーで、ダメージが1で並ぶ。

 

「次、『ギャラン』の『ブースト』、『ドーハ』でヴァンガードにアタック!相手のリアガードが存在しない場合、『ドーハ』のスキルで相手はガードする時、『ノーマルユニット』を『コール』できない!」

 

「それもノーガード。『ダメージチェック』……」

 

ちなみに、『ギャラン』も相手のリアガードが存在しないときはパワーがプラス5000される。

二枚目の『ダメージチェック』は(ドロー)トリガーで、手札の増加が起きた状態でダメージが2になってターンが終わる。

 

「『ライド』!『ドラゴンフルアーマード・バスター』!スキルで『ドーハ』を退却させて、『ドラゴニック・オーバーロード』を手札に加える!」

 

これではまだどちらをフィニッシャーにするかが分からないが、旧来のイラストではなく、現在のイラストのものを採用されている。これは未来へ進む為の意思も込められている。

『メインフェイズ』では前列左側に『バーサーク・ドラゴン』、後列左側に『エルモ』を『コール』し、どちらを使うかを悟らせないようにしている。

 

「行くぜ……『フルアーマード・バスター』でヴァンガードにアタック!」

 

「ノーガード」

 

貴之の『ドライブチェック』は(クリティカル)トリガーで、ダメージが増える。

対する肇の『ダメージチェック』は一枚目がノートリガー、二枚目が(ヒール)トリガーで、ダメージが2に抑えられる。

 

「次は『エルモ』の『ブースト』、『バーサーク・ドラゴン』でヴァンガードにアタック!」

 

「それは『ター』で『ガード』!」

 

このターンの段階で、両者のダメージが2でターンが終わることになる。

 

「ここまで全く互角……次からどうなるか、かぁ……。アタシ、凄いハラハラして来た」

 

「ところで、向こうの彼はどう動くか分かる?」

 

「次は最後の準備になるかな……彼のデッキ、貴之君の『オーバーロード』以上に立ち上がりの遅いデッキだから……」

 

『かげろう』は全体的に立ち上がりの遅い構築になりやすいが、三ターン目すら準備期間になりやすい肇のデッキは特に遅い方であった。

貴之が使う『オーバーロード』が三ターン目から圧を掛け始め、その次のターンで決めに行くと考えると、尚更そう感じるのである。

 

「『ライド』!『シャインバルディッシュ・ドラゴン』!」

 

肇がなったのは、槍を持つ赤い巨竜だった。グレード3のユニットではあるが、彼の本領までの繋ぎになっている。

 

「登場時、『ソウルブラスト』することで山札の上から七枚までを確認し、『ドラゴニック・ブレードマスター』があるならそれを公開し、手札に加えることができ、このターンパワープラス5000!」

 

「引き当てたな……」

 

今引いたユニットが本領であり、スキルの都合上からいきなり三ターン目に出すのは望ましくないユニットでもある。

『イマジナリーギフト』は『フォースⅠ』を選択し、ヴァンガードサークルに設置する。

『メインフェイズ』で前列右側に黒い体を持った翼竜の『ドラゴニック・バーンアウト』、前列左側にもう一体『ドーハ』を『コール』する。

 

「『カウンターブラスト』と、『ドロップゾーン』にあるグレード2以上のユニットを一枚目山札の下に置くことで、『バーンアウト』のスキルでリアガードを一体退却させる」

 

『バーサーク・ドラゴン』が退却された後、後列中央に『サーベル・ドラゴニュート』が『コール』される。

 

「よし、『サーベル・ドラゴニュート』の『ブースト』、『バーサーク・ドラゴン』でヴァンガードにアタック!」

 

「ノーガード。『ダメージチェック』……」

 

その結果は(ヒール)トリガーで、ダメージが2で留まる。

 

「次は『シャインバルディッシュ』でヴァンガードにアタック!」

 

「まだ大丈夫……ノーガード」

 

先程のトリガーが、その選択肢を促してくれた。

『ツインドライブ』は一枚目がノートリガー、二枚目が(クリティカル)トリガーで、無事にダメージが通ることになった。

対する『ダメージチェック』は一枚目がノートリガー、二枚目が(クリティカル)トリガーで、貴之の方に前列リアガードもいない以上ここで攻撃を終了することになった。

 

「(行くぜ……お前ら!)」

 

──いつでも行ける。と声を聞いたと同時、貴之は『超越者への祝福(ストライダー・ギフト)』を発動した。大会に出る以上、使うと決めていたのだから、迷うことは無い。

 

「じゃあ、一足先になるからな……!ライド・ザ・ヴァンガード!『ドラゴニック・オーバーロード』!」

 

「来たか……なら、後はどっちだ?」

 

『フォースⅠ』をヴァンガードに置いた後、『メインフェイズ』で前列左側に『バーサーク・ドラゴン』、前列右側に『ネオフレイム』、後列右側に『サーベル・ドラゴニュート』を『コール』する。

この時『オーバーロード』のスキルは忘れずに発動する。

 

「じゃあ行くか……『サーベル・ドラゴニュート』の『ブースト』、『ネオフレイム』でヴァンガードにアタック!」

 

「ノーガード。『ダメージチェック』……」

 

結果はノートリガーで、肇のダメージが3になる。

 

「次は『エルモ』の『ブースト』、『バーサーク・ドラゴン』でヴァンガードにアタック!」

 

「それは『ゲンジョウ』で『ガード』!」

 

次のターンまで考えると、これ以上貰うのは危険だと判断して防ぐことにした。

 

「追い払うべきはそっち……『オーバーロード』で『ドーハ』にアタック!」

 

「これなら大丈夫だ……ノーガード!」

 

貴之の『ツインドライブ』は一枚目が(ドロー)トリガー、二枚目が(クリティカル)トリガーで、効果は全てヴァンガードに回される。

当然『スタンド』させて二連続で攻撃が行われるも、それは『完全ガード』で防がれ、その時の『ドライブチェック』では(ヒール)トリガーが引き当てられ、ダメージがお互い3になった。

また、退却させた時に『サーベル・ドラゴニュート』と『エルモ』のスキルも使用しており、次の為に身構えているのが伺える。

 

「ああ……俺も貴之ならそうしてるかな」

 

「今回はデッキがデッキだから……って訳じゃなくて、本気で狙ってるよね」

 

相手の次が関係しているので、立て直しが楽になる意味でも、俊哉なら貴之と同意見の行動を取っていただろう。

今回使っているデッキならば『グレート』を意識させておいて『ジ・エンド』を狙うのも可能だが、相手が相手なので正直に動いていい──と言うよりは、そうしないと負担が大きい。

 

「さあ、対峙の時だ……!『ライド』!『ドラゴニック・ブレードマスター』!」

 

現れたのは、金色の鎧に炎の剣を持つ翼竜だった。このユニットこそ彼が選んだユニットであり、このユニットで勝つことを信念にしていた為、似通った部分のある貴之とは度々議論を交わしていた。

『フォースⅠ』をヴァンガードに重ね掛けした後、前列左側に三枚目の『ドーハ』、後列中央に『エルモ』を『コール』する。

 

「リアガードに『ドーハ』と『ギャラン』がいるなら、グレード3のユニットを『ソウルブラスト』、更に手札を二枚捨てることで『ブレードマスター』のスキル発動!相手リアガードを()()退却させ、『幻焔(ヴィジョン)・トークン』を『S・コール』する!」

 

イメージ内で炎の剣による薙ぎ払いで味方が全て焼き払われ、貴之は思わず顔を覆う。

 

「全部退却……ですか?先払いは大きいですが」

 

「あのトークン、グレード3扱いみたいですよ?」

 

「代償を補う何かを、持ってるかも知れないね」

 

リアガード指定、『ソウルブラスト』指定がある等非常に重い制約があるので、その分の見返りは十分に考えられた。

 

「行くぞ……!まずは『ギャラン』の『ブースト』、『ドーハ』でヴァンガードにアタック!」

 

「楽に防げるのはこっちだな……『ゲンジョウ』で『ガード』!」

 

後々の二体はトリガー勝負が待っているので、楽に防げる方を選んだ。

 

「よし、次は『サーベル・ドラゴニュート』の『ブースト』、『幻焔(ヴィジョン)・トークン』でヴァンガードにアタック!こいつはリアガードにいながら『ツインドライブ』ができる!」

 

ここで、『ブレードマスター』を見慣れない人はこれが手札の補填手段なのだと理解する。

その結果は一枚目がノートリガー、二枚目が(クリティカル)トリガーで、ダメージが増加する。

貴之の『ダメージチェック』も二枚ともノートリガーで、ダメージが5であり、もう一回『ツインドライブ』が来る以上、次の攻撃は『完全ガード』を切るしかない。

 

「せめて使わせる……!『エルモ』の『ブースト』、『ブレードマスター』でヴァンガードにアタック!」

 

「『ワイバーンガード バリィ』!『完全ガード』だ!」

 

窮地を脱したが、貴之のリアガードはゼロとかなり厳しそうに見える状況下になっていた。

 

「(と言っても、これで一切安心できないのがな……)」

 

基本的にこんな状況でも逆転勝ちの可能性があるから油断できないのだが、貴之の場合は更に顕著である。

正直に言ってしまえば、先程のターンで決めたかったくらいには自分たちのファイトはギリギリから逆転が多いのだ。

 

「じゃあ、今度はこっちの番だ……!ライド・ザ・ヴァンガード!『ドラゴニック・オーバーロード・ザ・グレート』!」

 

前列左側に『ドロップゾーン』にいる『ネオフレイム』を『S・コール』した後、『フォースⅠ』を前列左側に設置する。

『メインフェイズ』では前列右側に『バーサーク・ドラゴン』、後列左側と後列中央に『エルモ』、後列右側に『ガイアース』が『コール』される。

スキルの都合上、『バーサーク・ドラゴン』のスキルは断念している。

 

「残りの手札……さっき引いたトリガーだけなのかしら?」

 

「多分。結構ギリギリだったね……」

 

とは言え、攻撃の準備は出来たので、後は勝負に出るだけだった。

まず最初に『ネオフレイム』で『ドーハ』を攻撃し、素通しされたことで『ドーハ』の退却に成功する。

 

「次、『ガイアース』の『ブースト』、『バーサーク・ドラゴン』でヴァンガードにアタック!」

 

「ノーガード。『ダメージチェック』……」

 

結果はノートリガーで、肇のダメージが4になる。

 

「まずは吐き出させる……!『グレート』でヴァンガードにアタック!」

 

「『ワイバーンガード バリィ』、『完全ガード』!」

 

この攻撃では『ネオフレイム』のスキルで(クリティカル)が増えているので、こうする必要がある。

『ツインドライブ』は二枚とも(クリティカル)トリガーで、ヴァンガードと『ネオフレイム』に双方の効果を一つずつ宛がわれた後、両者を『スタンド』させる。

次の『ネオフレイム』の攻撃は『ター』と『サーベル・ドラゴニュート』で防ぐ。

 

「これで決める……!『エルモ』の『ブースト』、『グレート』でヴァンガードにアタック!」

 

「……ノーガード」

 

『ドライブチェック』の結果は(クリティカル)トリガーで、ダメージが更に増加する。

イメージ内で『ブレードマスター』となった肇の剣と、『グレート』となった貴之の剣が何度もぶつかり合った後、貴之が本体に攻撃を届かせ、ダメ出しに炎を纏わせた拳でダブルブローを決めた。

『ダメージチェック』は全てノートリガーで、勝負が着いたのを証明するように、イメージ内の『ブレードマスター』となった肇が光となって消滅する。

 

「ダメージ6……ってことは……」

 

「ええ。貴之君が、『かげろう』使いの頂点になりましたね」

 

その問答がきっかけとなり、『かげろう』使い同士の対決を見ていた人たちの歓声が聞こえる。

聞こえているかどうかは解らないが、一先ず終了の挨拶を交わす。

 

「全く……お前はどこまで強くなれば気が済むんだ?」

 

「どこまでも……ってのが本音だな。まあ、時が来るまではこうだし、お前もそうなんだろ?」

 

貴之の問いに肇も頷き、また挑む旨を告げ、貴之もいつでも待っていると答えながら握手を交わし、一戦目の終わりを告げた。

後江からすると、最高の滑り出しでのスタートとなった。




肇のデッキはブースターパック『The Heroic Evolution』と『救世の光 破滅の理』、『結成!チームQ4』で出て来るカードで編集した『かげろう』デッキです。

次回は詩織と真司でのファイトです。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。