「(さて、俺が竜馬相手にどうやって戦うか……)」
ファイト台に立った大介は思考を働かせる。
勝数だけで見れば同等なのだが、副将戦を考えると厳しいのはこちらである。
一真相手に決して勝てないということはないだろうが、それでも厳しいことには変わりないので、どうにか勝って玲奈に少し楽をさせてあげたいところだ。
「まあ、事情が事情なのはそうだけどよ……ファイトで手ぇ抜いちまったら流石に俺もお前も納得行かないよな……」
「そうだな……気難しいところではあるけど」
未来のことも目前に迫ってしまっているので、自分が譲ればいいのかと言えばそれは違う。
そんなことをしてしまえば相手に失礼だし、自分に噓をつくも同義なので、悔いても悔い切れない状態になってしまう為、それは絶対にやってはいけない。
全力で戦い、負けたらその時──。二人の考えはこうしてまとまった。
「(歯がゆいな……こうやって見てることしかできねぇのは……)」
最後に構えている以上、ファイトの行方は皆を信じるしかない為、貴之はそう感じていた。
自分が瑚愛に勝って終わらねばならない為、当たらないまま終わるのは今できた状況を全く覆せない為、時の運と勝利の女神を信じるしかなかった。
「「スタンドアップ・ヴァンガード!」」
準備が完了し、二人がカードを表替えすことでファイトが始まる。
大介は今までと変わらず『マガツウインド』、竜馬は白い虎を彷彿させる二足歩行の獣『獣神 ホワイト・タイガー』に『ライド』する。
ファイトは大介の先攻から始まり、まずは『ドレッドマスター』に『ライド』してターンが終わった。
対する竜馬は『ライザーカスタム』に『ライド』し、そのまま攻撃を行う。
「それはノーガードで行くか……」
『ドライブチェック』はノートリガー、『ダメージチェック』は
「(ただ、『完全ガード』が落ちるのはちょっとよくないな……)」
へっぴり腰になったら負ける相手ではあるが、決めきれなかった時の保険が効かないのでここが困ったところである。
その為、大介はこの失った『完全ガード』一枚を考慮して戦うことになった。
「やるしかないか……『マガツゲイル』に『ライド』!リアガードにも一枚『コール』だ!」
リアガードの『コール』先は前列左側で、後列左側に『ドレッドマスター』も『コール』する。
この時、『マガツゲイル』のスキルはリアガード側だけ発動させる。トリガーが出れば竜馬のスタイルの都合上、確実に通せるからだ。
「これで攻撃だ……『マガツゲイル』でヴァンガードにアタック!」
「ノーガード……来い!」
竜馬は基本的にいつも通りの対応を貫くつもりでいた。そうしなければ負けるのはこちらだからだ。
『ドライブチェック』の結果は
対する竜馬の『ダメージチェック』は一枚目がノートリガー、二枚目が
次の攻撃も竜馬はノーガードで通し、『ダメージチェック』がノートリガーだったので、ダメージが3になってターンが終わった。
「こんなダメージは先払いみたいなもんだ……!『ライド』!『ジェノサイド・ジャック』!」
狂戦士を思わせる黒い鋼鉄戦士になった後、『メインフェイズ』で前列左側に武器を持った重装備の黒い獣神『獣神 ブラック・トータス』を『コール』する。
「『カウンターブラスト』と『ソウルブラスト』をして、『ブラック・トータス』のスキル発動!相手ヴァンガードにアタックできる!」
「……!ノーガードで行くか……」
竜馬の持っているユニット次第では攻撃回数が一回増えるので警戒していたが、『カウンターブラスト』のことを考えたら貰っておきたいので、受けることにした。
『ダメージチェック』の結果はノートリガーで、ダメージが再び1になる。
この攻撃が通らなかった場合は『スタンド』するのだが、今回は通ったので『レスト』状態になる。
「でも……何か『スタンド』させる手段を持ってそうだよね?」
「うん……じゃないと、大介が嫌そうな顔しないだろうし」
試合を見ている都合上、Roseliaの五人と裕子もデッキの内約はある程度把握できているので、竜馬が持っているなら使うだろうと考えていた。
『メインフェイズ』は終わらず、前列右側に『ジェノサイド・ジャック』後列左側に鳥をモチーフとした獣神『獣神 ヴァーミリオン・バード』が『コール』される。
「『メインフェイズ』に登場時、『ソウルブラスト』することで、味方ユニットを全て『スタンド』!」
「なるほど……だからあんな強気に行動していたのね」
「これで攻撃回数はあと三回……後江の彼、結構大変そうだね」
このスキルは二枚以上の『スタンド』と『ソウル』に『獣神 ホワイト・タイガー』が入れば追加効果が発動するが、今回はどちらも満たしていないのでそれは叶わない。
ファイターが使用する『クラン』の都合上、後江が守り重視のバランス型、宮地がバランス寄りの攻撃型である為、この辺りでも少し不利が付いてしまっている。
「よし、ヴァンガードの『ジェノサイド・ジャック』でヴァンガードにアタック!」
「ノーガードで行くか……」
『ジェノサイド・ジャック』は自分のターンの際はパワープラス10000される為、防ぐのが割に合わない。
『ドライブチェック』の結果は
残った二回の攻撃は次に決める為、決めきれなかった時に望みを残す為にノーガードとし、その結果は一枚目が
「(さぁて……後はここで変な消耗をしないようにしないとな)」
「(動きからして明らかに別軸のデッキ……!『パーフェクト・ライザー』軸だったら少し消耗させるだけでもまだ良かったんだが)」
これまた後江側が非常に厳しい展開となっており、次のことを考えると大介は今までにないプレッシャーを感じた。
何しろ、自分が落とすと貴之まで番を回しきれない危険性が跳ね上がるからであり、何としても取りたいところである。
対する竜馬も、自分が落とした時のデメリットは少ないが、かと言って手を抜くのは大介に失礼だし、一真たちに甘えるのも違うので、気を抜くことはしない。
「(今までの傾向からして、相手の手札を無理矢理使わせにくることは確実……ならば、後はどれだけ残せるか。そこでこちらの勝機が決まりますね)」
瑚愛も戦況を把握して竜馬がどういう状況に持ち込めば勝ちかまでも見抜いていた。
「このままだと、かなり不味い空気になりかねませんね……」
「そうだね……秋津君も、貴之君に負けず強いから」
紗夜の危惧は裕子が誰よりも理解できていた。
貴之と真司の遠征を見に行ったことがあるからこそ、一真の強くなっていく瞬間も間近で見ている。
実際、一真も貴之と俊哉の二人と同じく全勝組の一人で、この勝率が後江側に圧を、見ている人たちに不安を与えている。
不安があるのは瑚愛の作り上げた波が原因であり、これが無ければ今回は宮地の勝ちかも知れないで終わっていた。
「このターンに掛けるしかない……!『修羅忍竜 ジャミョウコンゴウ』に『ライド』!」
紫色の体を持つ、翼がマントに見える忍者を彷彿とさせる竜になった。
「登場時かターン終了時、『ジャミョウコンゴウ』のスキルで相手は自分の手札を6枚まで選んで、残りを捨てて貰うぞ」
「6枚か……ならこうだな」
竜馬が選んだ後、『プロテクトⅡ』を前列左側に置く。
『メインフェイズ』で前列右側に忍びの装束をまとった獣『忍獣 タマハガネ』、後列中央と後列右側に『フウキ』を『コール』する。
「登場時、『ソウルブラスト』することで『タマハガネ』のスキル発動!相手のリアガードを一体退却させて、その後手札を一枚選んで捨てて貰うぞ!」
今回は『ブラック・トータス』を選んで退却させる。残りは登場時スキルの存在と、デメリットスキルから放置に決めた。
「後はやるだけのことをやるしかない……『フウキ』の『ブースト』、『ジャミョウコンゴウ』でヴァンガードにアタック!」
「ここ勝負に出るしかないか……ノーガード!」
竜馬も竜馬で、大介に手札を削られたことが災いし、防ぐ余裕がなくなっていた。
その為、ここで
『ツインドライブ』の結果は一枚目が
対する竜馬の『ダメージチェック』は一枚目が
「これはもうやむを得ないな……『ドレッドマスター』の『ブースト』、『マガツゲイル』で『ジェノサイド・ジャック』を攻撃!」
「これも仕方ないからノーガードだな」
この後、『マガツゲイル』のスキルで『ドレッドマスター』は手札に戻しておく。少しでも手札を確保しておくためである。
最後にダメ出しでヴァンガードにアタックするが、これは『シャイニング・レディ』で防がれてターンが終わる。
ターンの終わり際に『ジャミョウコンゴウ』のスキルを使いたかったが、竜馬の手札が丁度6枚なので意味をなさないから使えない。
「(玲奈に楽をさせるには、ここを耐えるしかない)」
「(決めないと負けるから、決めに行くぞ……!)」
間違いなく勝負を決めるのはこのターンであり、このターン次第で次以降が一気に変わるのである。
今を取り巻く事情を緊張感、後続の仲間のことを考えると、どちらかと言えば大介の方が荷が重い状態になってしまっているが、竜馬も竜馬で自分を信じて戦う胆力が求められていた。
「じゃあ、行くか……!『ライド』!『獣神 アズール・ドラゴン』!」
蒼い竜は、これが竜馬のデッキコンセプトであることを示しており、これで無ければまだ楽だったと大介に思わせる。
「登場時、『カウンターブラスト』してスキル発動!一枚引いて、手札を一枚『S・コール』してそのユニットでヴァンガードにアタックできる!今回は『ジェノサイド・ジャック』だ!」
「そいつのスキルを考えたらノーガード!」
前列左側に『S・コール』した後の攻撃による『ダメージチェック』の結果はノートリガーで、ダメージが4になる。
このユニットの攻撃が通らない場合は『スタンド』するのだが、どの道『ジェノサイド・ジャック』は無理矢理スキルで『スタンド』させられるので、ここは諦めるしかない。
『アクセルⅡ』を設置した後、前列右側に燃料を補給するための装置を付けたロボット『リフィリングライザー』、後列中央に金色の体を持つ修復用ロボット『ドグー・メカニック』を『コール』した後、一度『ジェノサイド・ジャック』をスキルで『スタンド』させる。
その後後列右側に『ヴァーミリオン・バード』を『コール』してユニットを全て『スタンド』させ、『アクセルサークル』に『ブラック・トータス』を『コール』してスキルで攻撃したところ、大介に『タマハガネ』の『インターセプト』で防がれて『スタンド』する。
「よし、総攻撃と行くぜ……!『ジェノサイド・ジャック』でヴァンガードにアタック!」
「『ドレッドマスター』で『ガード』!」
少しでも食らうとそのあとが苦しいので、ここは防ぐ。
「次、『ブラック・トータス』でヴァンガードにアタック!」
「それは……ノーガード」
『ダメージチェック』の結果はノートリガーで、後がない状況のダメージ5となってしまった。
ここから残り3回も攻撃が飛んでくるので、展開としては依然として苦しいままである。
「『ドグー』の『ブースト』、『アズール・ドラゴン』でヴァンガードにアタック!この時、『カウンターブラスト』して『アズール・ドラゴン』のスキル発動!リアガード一体を『スタンド』!」
ここで選ぶのが先程『ブースト』無しで攻撃した『ジェノサイド・ジャック』であり、万全の状態で二回攻撃を残せている。
大介が苦し紛れに『完全ガード』をした後、『ツインドライブ』に入る。
結果は一枚目が
「このまま行くぜ……!『ヴァーミリオン・バード』の『ブースト』、『リフィリングライザー』でヴァンガードにアタック!この時『リフィリングライザー』のスキルで、『ジェノサイド・ジャック』のパワーをプラス3000!」
ちなみに、『ジェノサイド・ジャック』が『レスト』していた場合は3000でなく、5000もプラスされていた。
この攻撃は『クロガネ』と『タマハガネ』で防ぐが、次の攻撃をもう防げない状態に陥った。
「フィニッシュだ!『ジェノサイド・ジャック』でヴァンガードにアタック!」
「これまでか……ノーガード」
イメージ内で『ジェノサイド・ジャック』に両手で貫手をくらい、『ジャミョウコンゴウ』となった大介は光となって消滅する。
『ダメージチェック』は一枚目が
「ダメだったか……」
「俺も俺で実はギリギリだったぞ……」
あと二枚減らされていたら、この総攻撃は叶わなかったと断言できる。
そんなこともあり、竜馬自身もかなり追い込まれており、大介が最後の一歩を踏み込み切れた場合、竜馬は手数不足で負けていたのだ。
このファイトは手を抜かなかった竜馬は後悔していないし、大介も勝ちたかったのが本音だが、やりきってこれなのだから、後は仲間を信じることにした。
終了の挨拶をした後、二人はそれぞれ仲間のところに戻っていく。
「すまん玲奈……お前の負担が凄いことになった」
「大丈夫。後は任せて」
大介の前では安心させるべく自然な笑みを出せていた玲奈だが、その心中は大分焦っていた。
宮地と戦う際、瑚愛は貴之が何としても取る為、ここまでに2対2へ持っていけばいいのが後江側の考えだった。
その際の鬼門が一真と颯樹で、この二人の内、颯樹は『リンクジョーカー』へ唯一耐性を手にし、個人的にも用を持っていた俊哉をぶつけることで一本取れたのでいい。問題は一真の方である。
彼は後江ですら貴之以外対抗が厳しい状況である為、一真と戦う前に二本取られないようにするのが望ましかったのだが、それが今回叶わなかったのである。
「(貴之までに繋げられないと、終わっちゃう……!)」
この試合がどころではない。最悪瑚愛の作った波でヴァンガードの世界が国内で終焉に走りかねないのだ。だからこそ、玲奈は双肩にこれ以上無い重さを感じた。
「『ペイルムーン』の……それどころか、『クレイ』にいるみんな……貴之だけじゃない。あたしたちはもっとみんなと一緒に戦いたい。だから……」
──あなたたちの心が同じなら、どうかあたしの声に耳を傾けて下さい。玲奈の祈りが届いたかは、まだ誰も知らない。
後日談でどんな話を読みたいですか?
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