先導者と歌姫 -高みを目指して-   作:ブリガンディ

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気が付いたら二年半以上もこの小説書いてたんですね私……


アフター 次代の鼓動

第一回『ヴァンガード甲子園』が終わってからと言うものの、様々なことを経験してもうあっという間に10年の月日が経過していた。

 

「(こうして振り返ると、時の流れは早いな……)」

 

ヴァンガード甲子園が終わった直後から俊哉と紗夜が付き合い始め、年末から大介と燐子が読書関連で交流を持ち始め、玲奈と一真も僅かに遅れて付き合い始めている。

また、これの直後に颯樹がどうやら千里と薫とは幼なじみだったそうなので、貴之が取り急ぎ千里に許可を取って連絡先を教えた次第である。その後は薫とはすぐに顔を合わせられたものの、千里は立場の関係上、少し時間を要したようである。

進級した後に行われた全国大会は貴之が二連覇を達成しているが、この途中の地区大会では俊哉が決勝戦で貴之に打ち勝ち、努力の結晶とも呼べる大番狂わせを起こした。

これにより、貴之が作った『グレード4は使わなくても勝てる』に拍車を掛ける事態となり、グレード4は使いたい人だけが使う形で話題から一気に消えていくこととなる。

それどころか『勝てるなら自分の好きを貫くべし』、または『好きなものを使ってこそ勝ちの意味がある』とすら言われる程になり、よりファイターの自由が尊重される空気が確立された。

この年は全国大会が終わった後にアジア大会があり、貴之と俊哉、一真と瑚愛の上位四名が代表として招待を送られて、その大会でも貴之は優勝を飾っている。

なお、アジア大会は冬が始まり掛けている時に行なわれていたので、大会中ははRoseliaが『FWF』の選考コンテストを二連続の優勝で突破して演奏したり、上位二位のチームが武道館で演奏できる長期間コンテスト『BanG Dream!(バンドリ)』なども存在していた。

アジア大会を終えて戻って来る頃にはそのバンドリ選考終了まで残り僅かになっていたりもしたが、貴之は友希那を、友希那は貴之を微塵も心配していなかった。

 

「(この間に出来たのが、新しいチームだったな)」

 

バンドリのイベントが始まる前にデビューを始めたチーム『RASE A SUILEN』──縮めてRASが現れている。

このチームは母親が音楽家として有名な少女の珠出(たまで)ちゆ──バンドでのネームはチュチュが集めたメンバーで構成されており、友希那もスカウトを受けたが断っている。

ただ、友希那が認められない側の想いを遠回しながら理解しているので、ただ拒否するだけでは終わらず、彼女が歌ってほしいと思っていた曲を聴き、それを評価することを一度引き受けていた。

これにより向こうから剝き出しの対抗心をぶつけられる──なんてことは起こらず、何をやっていた。または気になっているチームや人はどこだ等を会った時に余裕があったら話すくらいには友好的になっていた。

友好関係を築き上げるのは大きく、バンドリのイベントでチュチュ側から対バンを提案された時も、とにかく全力でやる純粋な真剣勝負になっており、来てくれた人たちの投票で勝敗を分けるルールで行った結果は引き分けになっている。

その当時貴之も俊哉らと共に現場に赴いていたが、有利な条件で迎えられたのに同点までしか持っていけなかったチュチュから悔しさの吐露。不利な条件と言えども勝ち切れなかったことの悔しさを持つ友希那。この二人が表すチームの向上心から両チームが分かり合うことに至り、互いが選考を勝ち抜くことを応援する旨を送りながら握手を交わすと言うこれ以上無く綺麗な形で勝負が終わっている。

RoseliaとRASの二強で終わるかと思えば、ポピパが滑り込みで間に合い、結果三チームが武道館で演奏することになった。

 

「(これが終わって俺や一真が大学、あこを省いたRoseliaは短大──。これらの学業を兼ねながらファイターやバンドを続けて行ったんだったな……)」

 

高校が終わるのは進路を決めることも意味しており、それぞれの道に進むことになる。

その中で貴之は自分がファイターを辞めるに至った後のことを考えて、商業系のことを大学で学んでいた。

Roseliaはプロ入りを決めたが、あこの高校卒業までは待ってくれと宇田川家の両親に頼まれたので、それまでの間に学業を積んでおくことにしたそうである。

学業の最中、進路に集中すべくファイターを降りる人たちも現れ、寂しい想いをしながらも進んでいくことになる。

友希那たちがプロ入りする頃には、貴之も世界大会に挑戦するのも視野に入っており、貴之が世界大会優勝、Roseliaが世界一を取れたら結婚する約束をしたのも今では懐かしい記憶である。

その約束をした後、貴之は進路に専念しなければならない直前である大学三年の前半に世界大会優勝を掴み、友希那たちRoseliaはそこから三年後に世界一を取るに至った。

世界大会を優勝する頃には同期のファイターも残っておらず、貴之はファイターとしての志を伝えるだけ伝えてからファイターの道にピリオドを打ち、友希那たちもやりきるべきことを全てやりきった後、自分たちの熱が落ち着いて来たのを確認してバンド活動の道にピリオドを打った。

この約束が果たされ、お互いが落ち着いた後は身内間で最も速い結婚を果たし、今に至っている。

 

「(時間ちょうど。もうみんなも待ってるか……)」

 

こうして思い返しながら準備を済ませた貴之は、自動ドアを動くようにし、外に出る。

すると待っていた人たちが「もう大丈夫なのか」と聞きたそうな顔をしていたので、柔らかな笑みとともにこう答える。

 

「お待たせしました。『カードファクトリー』、本日も開店です」

 

ヴァンガード甲子園から10年経った今、貴之は商店街のファクトリーを引き継いで店長をやっていた。

 

 

 

 

 

 

 

*   *   *

 

 

 

 

 

 

 

「息子が始めようとしているんだけど、初心者にオススメって無いかな?」

 

「なるほど……初心者によくオススメされるのは『ロイヤルパラディン』と『シャドウパラディン』、それから『かげろう』の三つになりますね。私個人としても、特に使いたいのがないならこの三つから選んで始めるのがいいと思います」

 

「てんちょ~。ファイト付き合ってくれる~?」

 

「少しだけ待ってて下さいね。美穂さん、お願いしてもいいですか?」

 

「はーい。じゃあそれ終わったら変わろうか」

 

対応の最中、ファイトを子供に頼まれたので、美穂にお願いしてそちらに向かう。

彼女は大学を終えてからこの『ファクトリー』の正社員になっており、何事も無ければ彼女が店長になっていたのだが、貴之を強く推薦したことで今に至る。

美穂自身は二年ほど前に出産を済ませたようで、もう少ししたら退職もするべきになりそうだと言っていた。今日は居ないが、友希那も来週から少しずつ店の手伝いへ復帰できる為、そこまで待ってもらえれば十分である。

ただそれでも、この店は貴之が店長になって以来来る人の数が増えているので、店員の休憩時間まで考えると、やはり人手が欲しいところではある。

ちなみに、子供とファイトをやるときの貴之だが、「自分がもうファイターでは無くなった」と言うことを景気に、余程の大事なファイトでも無い限りはデフォルトの掛け声にシフトしていた。

これには自分がそのままだと、全員が無理して真似しなきゃダメなのかもと危惧されかねないのを予見してのことであり、実際、そのままだったらどうしようかと考えていた親御さんや初心者のファイターたちもいたので、この考えは正解だった。

なお、ヴァンガード甲子園の開始が決まるまで定期的に行っていた講習会は、参加できるファイターの減少を理由に終了し、今は次代の出現を待つことになっている。

 

「一回目みたいな何個も勝ち方があるデッキって、どうやったらいいのかな?」

 

「できるだけ、目的に合わせてユニットを絞り込むことと、慣れないうちはどの勝ち方を優先させるかを決めて、ユニットの数を変えるといいですね……」

 

ここで上げる例題としては、『ジ・エンド』で勝つことをメインにして、『グレート』がサブなら、『グレート』は二枚までに減らし、『グレート』に関係する『ネオフレイム』は二枚以下に抑える。

その代わり『ジ・エンド』を四枚まで入れ、『ジ・エンド』に関係する『デカット』を増やすと言った具合である。

 

「慣れてくると余裕ができて来るので、偏らせると不安だと思った時に私と同じようにするといいですよ」

 

「なるほど……じゃあ、今はこっちを優先させようかな」

 

そのアドバイスを受けた少年は、いつか完全な共存を目指して今は優先順位を付けたデッキを作ることにした。

貴之の第一回ヴァンガード甲子園で使ったデッキは、『簡単に見えて実は運用難度の高いデッキ』の代表格となっており、慣れているファイターでも中々真似したがらないデッキに仕上がっている。

反して、アジア大会以降に使用したデッキはある程度整理された状態で完成されており、こちらは『誰が真似しても大丈夫な無難に強いデッキ』とされている。

そのデッキは今でもサンプルとして飾られており、デッキ構築の段取りを載せた簡易解説用紙と共にある。

 

「久しぶりに顔出して見たけど、相変わらず大盛況だな」

 

「いやもう、こんな人数が毎日来てくれるとは思いませんでしたよ……」

 

時間も昼を過ぎ、ある程度落ち着いた時間に聞き慣れた声が聞こえたかと思えば、俊哉が顔を出しに来ていた。

もう既にファイターを引退した身である彼だが、子を持った時遊び相手となる為に、情報収集とデッキの更新自体は忘れずに続けていた。

そんな彼も紗夜と結婚を果たしており、半年程前に彼女の腹の中に子を宿している。

どうやら子に世代を超えて伝えるべく、二人で集めたサブカルチャーの内、子に見せても大丈夫なものは残し、そうでないものは処分をしたようだ。

なお、貴之は店員としての時間さえ終わればいいのだが、業務中は基本的に対応を全うしている。

 

「……何か見ていきます?」

 

「そうだな……ちょっと見ていくか」

 

促したところ、俊哉が使えそうなカードがないかを探していき、必要なものを見つけたのでそれを購入する。

 

「(この景色を今のファイターたちに見せられるのなら、俺があの時頑張ったことに意味はあったな……)」

 

この店での空気もヴァンガード甲子園に貴之らが優勝したからであり、十年経った今も時々振り返って実感するのである。

ちなみにこの知らせを聞いたオーナーからは、やりきったのはいいが拳骨を貰っている。

その理由は『二十にもなってないガキが、世界の未来なんぞ背負うもんじゃない』とのことで、自分からやってやりきりたいことを、やらなきゃいけないことにしてしまったことへの指摘であった。

これには貴之も深く反省し、それ以来このようなことは一度も繰り返さなかった。

 

「じゃあ、俺は行くから終わった時連絡してくれ」

 

「ええ。また来て下さいね」

 

今日は業務後に合流予定なので、このようなやりとりで一度別れる。

店自体は大体商店街の店が終わる時間帯と同じタイミングで閉店するのだが、今回は事情が事情なので、かなり早い時間に切り上げとなる。

 

「てんちょー。また来るね~」

 

「はい。また来て下さいね」

 

そして夕方の五時頃。貴之の業務は普段より早めに終了するのであった。

 

 

 

 

 

 

 

*   *   *

 

 

 

 

 

 

 

「用具変えておいて良かった……」

 

家に帰ってきて人が集まった様子を見て、貴之は改めてそう実感した。

店員になって以来、稼ぎの量が凄まじいことになっていたので、一度テーブルやソファを多人数が来てもいいように買い替えていたのである。

その結果、今日は13人と言うある種の大御所状態になっているが、ギリギリどうにかなっている状態だった。

貴之が10年前から同じ家に残っているのは、店の都合もあるが姉の小百合が結婚を機に、自分の旦那と共に両親のいる場所に移動したからでもあった。

 

「いやぁ~……ホントに助かっちゃったよ。前はこの人数だとちょっと厳しかったもんね」

 

以前集まろとすると人数制限が掛かってしまうことを思い出しながら、リサが貴之に礼を言う。

彼女は高校三年の途中から弘人と関わりを持って付き合い始め、最近になって結婚を果たしている。

それまで暫くは友希那と紗夜、そして燐子にすら煽られていたので、関わりを持ち出してからはかなり早かった二人である。

 

「後から聞いた時はビックリだったよ……僕、リサがそうなってるなんて知らなかったからさ……」

 

「まあ、あれはさんざんっぱら俺や友希那を煽った報いみたいなもんだ」

 

こうしてリサと席を入れた弘人だが、この二人は一番『普通の家系』に近しい組み合わせとされていた。

弘人の趣味がガーデニングと植物鑑賞である為、一般的には異性に納得されやすい趣味であったからだ。

今ではダントツの一番とまでは行かないが、それでも十分すぎる程普通の趣味を持った親になる未来は見えている。

 

「逆に、子供の育成方針決めやすそうなのはそっちか……」

 

「……それは、言葉通りの意味ですか?」

 

大介がちらりと見た先にいるのは、子を宿している都合上、腹を大きくした紗夜であった。

彼女があからさまな反応をしたので俊哉に聞こうと思ったが、彼も彼であからさまな反応をしたのでそれは諦める。

大介は今、燐子と結婚を済ませており、そろそろ子を持とうかと言う話しが出てきている段階になっている。

 

「紗夜さん、もう半年でしたっけ?」

 

「ええ。燐子さんも、この時期が大変だから気を付けて下さいね」

 

そんなこともあって、燐子は少しだけ紗夜に確認を取る。

紗夜は紗夜でRoseliaとして活動をしている途中から、将来のことを見据えてファーストネーム呼びに改めた。

ただ、相手に敬称をつけることを忘れない辺り、真面目な彼女らしさが残っている。

 

「ってことは、あたしも身構えとかないと……」

 

「辛かったら言ってね。僕も手伝うから」

 

彼女らと少し遅れて、腹に子を宿すことになったのは玲奈で、一真との子を宿してから一か月程になる。

付き合い始めた時期は、俊哉と紗夜の二人と大体同時期だが、仕事が落ち着くのが遅かった故に、結婚等が少し遅れた結果になる。

やはりというか何と言うか、玲奈が付き合い始めた直後、後江では天変地異の出来事が起きたと阿鼻叫喚になっており、それに対して玲奈が「あたしを何だと思ってるの!?」と返しているが、お前の今までを思い返せと返されたことを記しておく。

 

「結婚……向こうが切り出してくれるかな?」

 

「あこちゃんも、もう少しだよね?」

 

「うん。切り出してくれたら、()はいつでもいいんだけどねー……」

 

10年も経てば、流石にあこもあの一人称は子供っぽいからと変え、時折していたカッコイイ発言も落ち着いた。

あこはRoseliaの四人が高校を卒業し、短大に入って間もないタイミングで付き合い出しているが、これに関しては煽られることはなく、寧ろその速さに皆が驚いた。

何しろ人生換算で言えば友希那よりも時期が早いことになり、先に付き合いだした男子陣すら「こりゃ凄い」と素直に称賛した。

とは言え、その相手は今日は重大な仕事が入ってしまい、残念ながら顔合わせには来れていない。

なお、あこは高校を卒業するに当たり、ツインテールを終了し、ヘアスタイルは肩に掛かるくらいまでの長さでウェーブを掛けたものにしている。

 

「相手が忙しいと、こう言う時にね……」

 

「そうなんですよ……頑張ってるのは分かるんですけどね……」

 

それに同意するのは、多忙な旦那を持つ詩織で、彼女の旦那も今日は仕事の都合で欠席だった。

結婚のタイミングも、付き合い出したタイミングもリサとほぼ同じだが、相手側の多忙さが段違いで、その分ともに居られる時間は大切にしている。

 

「意外なところは竜馬……いや、お前もある意味順当か?」

 

「いや、俺と令王那(れおな)も割と特殊だと思うぞ?」

 

「趣味があった……と言われれば確かに普通なんですけどね」

 

黒いを伸ばし、メガネを掛けた女性──鳰原(にゅうばら)令王那は、少し困った笑みを見せる。

この二人の出会いはパスパレのライブがきっかけであり、偶然場所が隣同士、休憩時間が来た時による竜馬の気遣いが話しの糸口となった。

令王那が竜馬と初対面した頃はRASで活動していた時のように明るさを感じさせる声音をしていたのだが、本来はこのように落ち着きのある人物である。

竜馬にこの素性を打ち明けるのは反応が分からない故に怖く、かなり勇気のいる行動だったが、その行動を踏み出した結果竜馬は素の状態を知れて喜び、結果付き合うきっかけになった。

この二人はまだ新婚であり、家でどうするかのあれこれも一つずつ決めていく時期である。

なお、竜馬は唯一年の差がある付き合いである為、色々難しいだろうことをかなり心配されていたりもするが、無事に乗り越えて今がある。

 

「よし……これで温め大体終わりか?」

 

「うん。これでもう終わりだよ♪」

 

こうして大人数で集まった場合は、何らかの温めればすぐに食べられるものと、いくつか飲み物を用意しておき、みんなで食べ飲みしながら雑談をするのが主となっている。

普段ならここには友希那もいるのだが、出産直前で病院にいるため、今回はやむなしである。

 

「今週中って話しだっけ?」

 

「ああ。もしかしたら今日になってもおかしくはないな……」

 

今週が40週経過した状態なので、ここが標準的な出産タイミングである。

その為、友希那も腹から来る痛みと戦う日々に終わりを迎えようとしているのだ。

 

「名前の方は考えてあるのか?」

 

「一応何個か候補は出しておいてるんだ。女の子だって言うから、そっちらしさ優先してるけど……」

 

生まれて来るのは女の子になると聞いているので、そちらに合わせた名前を考えてある。

男の子が来た時も考えていない訳ではないが、あくまでも優先は女の子側だ。

 

「おっと……電話が来たからちょっと席外すよ」

 

丁度夕食を食べ終わったタイミングだったので、貴之は物は後で片付ける旨を伝えてから席を外し、電話に出る。

その表情は穏やかさと嬉しさを兼ね備えたものであり、電話が終わった後もそれが維持されている。

 

「……何かありましたか?」

 

「ああ、子が生まれたから行ってくるよ」

 

弁当殻を片付け、携帯や財布等必要最低限の準備を済ませ、皆に見送られながら貴之は車を出して病院に向かうのであった。

 

 

 

 

 

 

 

*   *   *

 

 

 

 

 

 

 

「お疲れ様です。頑張りましたね」

 

「ありがとうございます。ようやく会えたわね……」

 

貴之が電話を終えた直後、病院にて友希那は腹を痛めて産んだ我が子を抱いた。

普段は貴之の店の手伝いをしているのだが、子の都合もあり暫くの間休んでいた。

この後は子がある程度大きくなるまでは、貴之と交代しながら育児と業務をこなしていく。

産声を上げた後、母となった自分の腕に抱かれて眠るその子は安心した様子をみせている。

どうやって育てていこうか考えていると、ノック音が聞こえたので、看護婦にドアを開けてもらう。

 

「ごめん。遅くなった」

 

「大丈夫よ。それより、あなたも抱いてあげて?」

 

友希那に勧められ、貴之もその子を抱く。

一応どのような抱き方がいいかは事前に確認と教えがあった為、その通りにしてみる。

 

「ようこそ。それと、生まれて来てくれてありがとう……」

 

自分が生まれた頃、両親もこんな気持ちだったんだろうな……と、思いながら、その子を抱いて表情の柔らかさが続く。

 

「名前……どうしましょうか?私は、こんな名前を考えているけれど……」

 

「なるほど……俺はこの辺りを考えた」

 

二人で考えた名前を並べ、一緒に悩む。

この時間を親になったんだなと思いながら悩み、最後にこの名前に決まった。

 

未幸(みゆき)……これから、俺たちと一緒に過ごそうな」

 

二人の間に生まれた女の子の名は遠導未幸──まだ見ぬ『未』来にある『幸』運を得てほしい願いを込められたものに決まった。




これにて本小説は終わりになります。

この10年間に何があったか、その他明かせなかった一部を補足していきますが、今回も長いので、読まなくて言い方は下まで飛ばしてしまって構いません。


ファイターたちの戦いの道
・ヴァンガード甲子園終了から二年後、瑚愛は進路の都合でファイターの道を終了。
(最高戦績はアジアベスト8。ここで一真に敗退)

・そこから一年間の間に、進路の都合で大介、弘人、詩織、竜馬、颯樹、一真、玲奈、俊哉の順で順にファイターの道を終える。
(俊哉がアジアベスト4、一真がアジア準優勝が最高戦績。その他は全国大会敗退)

・貴之は世界大会優勝後、後進にアドバイスしてから店員に。
(ヴァンガードが関わる仕事をしているのは貴之だけ)


その他バンドに関して
・ポピパはRoseliaとほぼ同時期にプロの道へ。メンバー感が非常に友好的な所から来る、バンドとしては珍しい陣形による演奏や、その空気で国内の人気を勝ち取る。貴之が世界を取ったのと同じ辺りで活動を終了し、それぞれの未来へ。

・アフグロは蘭の家庭の都合もあり、プロではなく、自分たちが活動できる期間を精一杯活動する方針へ。活動可能期間が終了すると同時に解散、以後はポピパと同じく自分たちの未来へ。活動期間はRoseliaが世界を取るまで。

・パスパレは途中に個人の仕事が入ったりはするも、自分たちがやりきったと確信するまで活動を続ける。活動終了後は一般人に戻り、それぞれの未来へ。活動期間はRoselia解散まで。

・ハロハピは世界中を巡り、それぞれの場所で一回笑顔を届け切った事で目標達成とし、活動を終了。活動期間は貴之と友希那が結婚する直前辺りまで。

・RASもRoseliaに遅れてプロ入り。少し遅れて世界を取る。その後は半年程でやりきったと感じて解散。パレオは竜馬と共にいることを選び、チュチュは音楽の世界に残り、新しいチームの育成を始める。残り三人もそれぞれの未来へ。

・Morfonicaは概ね原作通りの行動。ポピパより一年後にプロ入り。現在引退間近。


RASのチーム結成経歴とそこからの差異
・レイヤ、マスキング、パレオの三人は原作通りの経歴。

・たえが一時的に加入するのは共通だが、ファーストライブの日が違い、文化祭にてポピパ一周年記念のライブは実演できている。
(原作でたえがRASを抜ける日がファーストライブに)

・六花はたえが誘い、そこからオーディションの合格を勝ち取り、その後のライブで正式にメンバー交代。(アニメ2期と、アニメ3期の空白期間になる夏で交代)

・アニメ3期の8話にて、温泉旅行に急遽行くことになった際、パレオとチュチュは予定を空けて大急ぎで合流。その結果全員で集まることになった。(チュチュは風呂を苦手としていたが、克服も兼ねて赴いた)


後江、宮地のクラス替えと学校生活
・後江、宮地共にファイターたちは全員同じクラスで揃っていた。

・後江では玲奈が生徒会長となっており、日菜の発案した合同文化祭に参加している。


合同文化祭のライブイベントにて
・Roseliaは最初から参加を表明。ポピパも先頭で一周年記念ライブを実演成功。

・Roseliaはこの日限定の曲として『Destiny Calls』を演奏している。


遠導未幸に関して
・容姿は友希那にそっくりで、髪の色と瞳の色は貴之と同じ。

・成長した後は歌も好きで歌えるがヴァンガードの道を走る少女となる。とは言え、一般的な女子でもある為、オシャレも大事にするし、ガールズトークだってできる。
(同年代との交流は両親よりも上だったりする)

・使用『クラン』は『ロイヤルパラディン』で、『ブラスター・ブレード』を軸にしたデッキ。この為、貴之の持つ『ブラスター・ブレード』との縁は遂に娘にまでも及ぶこととなった。


と、以上になります。裏設定考えてもそれを公開できるタイミングないって結構寂しいものがあったりします。


長い間本小説を読んで頂きありがとうございました。
今回は打ち切りに近い形を取ってしまったので、次書く時は予定通りの完結をしたいところです。

次回また小説を書くことがあったら、またよろしくお願いいたします。

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