先導者と歌姫 -高みを目指して-   作:ブリガンディ

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予告通りバレンタインイベントです。
スパンが短かったのでそんなに長くは書けませんでした……(泣)

アニメ3期ですが、もしかしたらアニメ版『GOD EATER』のように数話に一度特別編を挟んでいくスタイルになるかもしれませんね。
今回がRASだったので、今後もやるのなら3期のメインになっているポピパとRoseliaをどこかで一回ずつ出せばいいのかなと個人的に思っています。

私的にはこう言った裏話系のものは好きなので、今後も聞いてみたいと思っているところです。


メモリアル2 一年に一度の機会(チャンス)

これは友希那の誕生日会を開いてヴァンガード甲子園も終わり、更に冬休みも過ぎて学年末試験の影が見え始めて来たある日のことである。

 

「なんか、こうして俺らだけでいるのは久しぶりだな」

 

「確かにそうだな。俺が戻ってきてから、お前と顔を合わせる時は大体誰かが一緒にいたもんな……」

 

その日の前日、貴之は戻ってきて以来久しぶりに俊哉のいる谷口家に泊まらせて貰っている。

これには翌日に関しての理由があり、それの影響で貴之は家にいるとあまりよくない状況が出来上がっていた。

 

「良かったな。貴之は今年から本命が来るんだしさ」

 

「まあ……そうなんだけどな」

 

明日はバレンタインデーであり、それが何を意味するかは嫌と言う程分かっていた。

嬉しいと思う反面、これが今回貴之が急遽俊哉とそのご家族に話しを付けて泊めさせて貰った理由に繋がるのだ。

 

「ユリ姉に家空けてくれって言われた段階で全てを察したよもう……いや、気持ちは分かるけどさ……」

 

「夢を確実に貰える代償にしちゃ大分大きいな……」

 

丁度遠導家で小百合が前日から準備をしている為、貴之が家の中にいるとお互いにやりづらくてしょうがないのだ。ちなみに、今井家からも小百合が準備しているのが理由なのと同じ匂いを鼻で吸った為、リサと友希那もそうであることが分かって拍車を掛ける。

それ故に自分の知人で最も近くに家がある人……ということで谷口家に白羽の矢が立ったことで今に至る。

今現在は俊哉の部屋でヴァンガード甲子園の影響を確認したり、互いが使っていたデッキを再び確認して再調整をするか否かを考えたりと、高校生になったなりの自分たちが集まった過ごし方をしていた。

次の大きな大会は余程のことが無ければ再び全国大会になるはずであり、恐らくはそれに向けてここからまた数回に渡ってデッキを調整して行くことになるだろう。

 

「来年は進路も考えなきゃいけないから、ちょっと大変かもな……」

 

「ああ。今までと違ってヴァンガードだけ……ってのはやれねぇな」

 

バレンタインが近づくと言うことは、一年の終わりが近づいてくることも意味しており、少々憂鬱になる。

何事も無ければ普通にどこかの大学に行き、十分な勉学を積みながら残った時間で進路を考えて行こうと考えている貴之だが、ヴァンガードの世界に踏み込んで以来、ずっと考えていたことがある。

 

「(もし、ヴァンガード(あの世界)の良さを公的に伝えられる方法があるのなら……)」

 

──それを仕事にして見るってのも、いいのかも知れねぇな。自分が大きく変わった世界である為、貴之はそれが出来たらいいなと思うことは多かった。

当然、安定しない仕事であることは間違いないので、家族に相談する必要は出てくるし、自分が将来結婚するに当たってもそう言うことは少なからず影響が出てくるだろう。

また、こういうのはやれたらである為、余程のことが無ければ間接的に関われる仕事か、或いは一般の仕事に手を付けようとは思っていた。

実際には考える為の判断材料が少なすぎると言う結論に至り、今後来るであろう進路に関する資料等に目を通すところから始めようと決める。

 

「そうだ貴之、久しぶりに何か観るか?」

 

「ん?そうだな……」

 

どうやら俊哉も同じ結論に至ったらしく、ビデオ鑑賞をすべく貴之に話しを持ちかけた。

貴之が離れている間も俊哉は継続して気にいったアニメ等のDVD購入を継続していた為、観たことのないものが増えていた。丁度それらの内気になったのを選び、俊哉の話しを聞きながら一先ず第一巻を観るところまで進める。

明日のことも、進路のことも今は待つことしかできない二人は、思い切って自分たちが揃った時の普段通りを貫いた。

 

 

 

 

 

 

 

*   *   *

 

 

 

 

 

 

 

時は遡り夕方。貴之が俊哉に話しを付けて既に外出している最中、今井家に集まってリサと友希那はバレンタインに向けてのチョコレート作りに勤しんでいた。

午前中に小百合とばったりと顔を合わせて三人して材料の購入をし、軽い昼食を済ませて午後からチョコレート作りに入っていた。

ちなみにリサは友人たちへと作るのでかなり多めに、友希那の場合は両親と本命の貴之当てに過剰にならない量を意識している。

友希那が市販のチョコレートを使い、それを溶かすことで別の型にする方法があるのはリサに教わって始めて知ったことがあり、慣れていない人でもやりやすい方法であるそうだ。

 

 

「よしよし……これで準備オッケー♪後は明日のお楽しみだね」

 

「リサ、最初から最後まで……本当にありがとう」

 

復帰記念のライブが終わってから少しした後……正確には自分の誕生日会を終えた後から、友希那は自分も料理ができるようになるといいだろうと考えるようになった。

その理由は遠導家にお邪魔する際、それなりに高い確率で貴之が料理を振る舞ってくれることにあり、いつもそうして貰うのが悪い。自分も振る舞ってみたい。この二つ情が芽生えたことにより、リサに教わっている。

教わり始めて早四ヶ月。リサの教え方が上手いこともあり、十分に問題無いレベルになっていて、今では湊家で余裕がある時は自分が料理するようになっている。

ちなみに始めて自宅で料理を振る舞った際は友治が色んな意味で安堵の様子を見せており、それだけ心配を掛けたのだと改めて自覚する日にもなった。

ただし普通の料理はできるようになったものの、チョコレートを作る等は未経験だったので今回はリサに教えを請うことになった。

 

「始めての頃は手をやっちゃったりしてたけど……もう安心だね」

 

「あの時は心配させたわね……」

 

今までやらな過ぎたことが祟って、始めての頃は度々手を切ってしまうことがあり、リサが過剰なレベルで心配した程であった。

貴之の前ではどうにか隠そうとしたものの、人の変化や状況に対して非常に鋭敏な貴之の前では効果を成さず、あっさりと気づかれている。

それと同時に自分の為にだったことにも気づいて、嬉しさを込めての礼の言葉がやって来たので、友希那としては思わぬところで良い結果となった。

なお、自分が手をやってしまった時は両親もそうだが、Roseliaの面々にも驚かれて心配されてしまっているので、もう繰り返したく無いとは思っている。

 

「さて……全部やること終わったし、台無しにならないよう保管しておきますか」

 

「ええ。ここまでやったのだからね」

 

保管を怠ってダメになりましたでは、何のために頑張ったかが分からなくなる。その為しっかりとした管理をしておく必要があった。

ここから先は自分でやるべきことである為、リサにどうすればいいかを教わってから家に戻る。

 

「あら、お帰り友希那。上手く行ったかしら?」

 

「ええ。リサのおかげで上手くできたわ」

 

家に帰れば母が出迎えてくれたので、彼女の質問に答える。

友希那の回答を聞けて嬉しかった母が保管するように催促してきたので、それは忘れずに行う。

 

「明日、貴之君に喜んでもらえるといいわね♪」

 

「え、ええ……反応がどうなるか気になるわ」

 

自分と貴之の関係上こう言われるのは分かっていたが、平静を保って返すことは出来なかった。

とは言え、全ては明日どうなるかである為、友希那はただ成功を祈るばかりだった。

 

 

 

 

 

 

 

*   *   *

 

 

 

 

 

 

 

友希那たちが準備を終えた日の夜……貴之が俊哉とビデオ鑑賞を始めたのとほぼ同刻に当たる。

別の場所で一人、バレンタインに向けてチョコレート作りをしていた人がいた。

 

「(教えて貰っていたことが、功を奏したわね……)」

 

作っていたのは紗夜であり、以前つぐみにお菓子作りを教わって以来交流を持つようになり、その縁を使ってチョコレート作りについて尋ねてみた。

その結果は当たりであり、実践しながら簡単なものの作り方と、機会があればと少々難しめのもののレシピを渡して貰った。

簡単なものを何度か反復したら簡単だと思った紗夜は少々難しめなものに挑戦し、無事完成させて今に至る。

 

「時間、空いていればいいけれど……」

 

気になった紗夜は一度渡す相手にCordのチャットで明日は空いているかを確認する。

少しの間テレビを観ながら待っていると、空いている旨が帰ってきたので、集合時間と待ち合わせ場所を決める。

一先ず約束を漕ぎ付けることが出来て一安心する紗夜だが、完全に安心するにはまだ早い。

 

「(後は……どうやって切り出そうかしら?)」

 

出掛けて最後に渡す?それとも先に渡してから出掛ける?一応近くを見て回る予定で立てていたので、そこで悩むことになった。

相手側は合わせつ合わされつのスタンスである為、思いの外悩ましいものであった。

 

「……あれ?おねーちゃんまだいたの?」

 

「連絡を取っていたらこうなっていたわ」

 

日菜に声をかけられたことで、思考が現実に引き戻される。

どうやら喉が乾いて飲み物を飲みに来たようで、冷蔵庫を開けて中を確認する。

 

「……?何か質の良さそうなのが一個ある」

 

「そ、それは明日人に渡すものだから……」

 

「あー……なるほど。そう言えばおねーちゃんも友希那ちゃんのこと言えなくなってたもんねぇ……」

 

──取らないから大丈夫だよ……。そう言う日菜の表情はとてもニヤニヤとしていた。実際、紗夜もとある日をきっかけに、気に掛けるようになった人ができたのだ。

答える時に自分の顔が赤くなっていたからだと結論付け、紗夜は気づいたことがある。

 

「そう言えば、日菜には渡したい相手はいないの?」

 

「んー……。そう言うのはいないかな……あんまり気にして無かったけど」

 

──あっ、でも……リサちーから貰ったらお返しするかも。そんな言葉を聞いた紗夜は、困った笑みを浮かべた。実際、リサなら自分含むRoseliaのメンバーやその他友人にも渡すだろう。

それと同時に、日菜にもいつかいい出会いは訪れるだろうと、信じて待つと言う選択肢も生まれた。

 

「そう言えばおねーちゃん、お相手以外には誰に渡すの?」

 

「えっ?それは当日までのお楽しみよ?」

 

「ええ~っ!?ちょっとくらいいいじゃ~んっ!」

 

「もう……教えてしまったらサプライズにはならないでしょう?」

 

自分が原因で酷い有様になってしまっていた姉妹関係も、今では高校生となった自分たち相応にすっかりと元通りだ。

これに関しては、自分に出会いや考え方の変化をくれた人たちに感謝しかないと紗夜は思った。

 

 

 

 

 

 

 

*   *   *

 

 

 

 

 

 

 

「よし、じゃあ俺は行ってくる。泊めてくれてありがとうな」

 

「別にいいさ。友希那とそれ観て楽しんでな」

 

翌日の昼過ぎ、泊めてもらった礼にと思った貴之と当番であった俊哉が男二人(野郎だけ)で昼食を作り、谷口家にて食べ終わった後になる。

俊哉から久しぶりにビデオ鑑賞用にそのタイトルの全巻分のDVDを借り、その袋を持った状態で帰ることになる為、誤解が走るよりも前にしっかりと説明しようと心に決める。

借りたビデオはなんだかんだ40年近くの歴史のあるシリーズの内一つで、主人公の見た目が貴之に似ているから友希那が反応するかもしれないと俊哉が押したことで、貴之が借りる決断をするに至ったものである。

俊哉の方は商店街の方で予定があるらしいので、その入り口前で分かれることになる。

 

「あっ、貴之……お帰り。ごめんね?気を遣わせちゃって」

 

「いや、いいよ。お楽しみってのもあるし」

 

今日が何の日かを理解していないわけでは無かったので、特に気にしてはいない。

ちなみに貴之が戻って来たタイミングで友希那とリサも、それぞれの自宅の玄関から出てきて四人で顔を合わせることになる。

 

「どうしたの?その袋……」

 

「俊哉からDVD一式借りて来た。久しぶりにこう言うのもいいだろうと思ってな」

 

案の定リサに聞かれたので、それだけは先にしっかりと答えておく。

その中身が全部女子からのチョコレートだったらどうしようと思っていたので、そんな事態にならずに一安心だった。

貴之も聞かれたことで彼女らがどうしたいかは確信に近いものへ変わっており、その意味を問うて見る。

 

「……やっぱり貴之は気づいちゃうよね」

 

「そう言うことなら、早速渡しちゃうね♪」

 

小百合とリサが袋の自分が持っている鞄の中に手を入れ、とあるものを取り出して貴之の前に差し出す。

取り出したものはこの日の為に拘った包装をされており、貴之の予想が当たりであることを示していた。

 

「「貴之、ハッピーバレンタイン♪」」

 

「おお、ありがたい……ちゃんと食べさせてもらうよ」

 

小百合は家族として、リサは友人として貴之に手渡して来たので、貴之は拒否することなく受け取る。

ちなみに小百合とリサはこの後友人たちのところへ渡しに回るそうだが、その前に忘れずに見届けるべきものがあるようだ。

 

「じ、実は……私からも、あなたに渡したいものがあるの……」

 

「……!」

 

──は、初めて作ったから、自信はないけれど……。そう言いながら、友希那も鞄の中に入れていたものを取り出す。

先に貰った二人のと比べて包装が更に拘ったもになっており、どこからどう見ても「あなたが本命です」と告げているようなものだった。

言葉を紡ぐのが恥ずかしいのか、緊張しているのか、それとも両方なのか。友希那は瞳が少々潤んで顔が赤くなっている。

 

「あ……あなたの為に、一生懸命作ったの。口に合うかどうか不安だけれど……受け取って欲しいの……」

 

「……」

 

貴之が数瞬の間硬直してしまったので、ダメなのだろうかと友希那が一瞬不安になるものの、それはすぐに杞憂で終わることになる。

何故かと言うと、硬直から復帰した貴之が友希那の両手を外側から包むように自分の両手を添え、それに対して今度は友希那が驚く番になる。

 

「受け取らないなんて訳が無い……。俺の為に作ってくれてありがとう、本当に嬉しいよ」

 

「貴之……本当に良かった」

 

表面上は柔らかな笑みの貴之ではあるが、心臓の鼓動は大分暴れている。対する友希那も顔が赤い状態で満面の笑みを浮かべ、その表情が心に来た貴之の心臓を更に暴れさせることとなる。

一先ず見たいものが見れてご満悦になったリサと小百合は二人に「お楽しみに」とだけ言い残し、それぞれの知人たちに渡しに回り始めた。

 

「ど、どうかしら……?」

 

「あっ!美味い……。一個だけなのが勿体ないくらい良くできてるよ」

 

「本当?それは良かったわ……」

 

早速遠導家にて友希那から貰ったチョコレートを口の中に入れた貴之の告げた感想に、友希那は安堵する。

その後はリサと小百合から貰ったものを少しずつ口に入れながら、俊哉から借りたDVDを二人で観ていくことにした。思いの外時間を食うことを貴之が知っていたので、一日で全てを見る選択肢は取らず、互いが大丈夫な日に少しずつ観進めて行く形を取った。

やはりと言うか、俊哉の予想通り友希那がその主人公の容姿に反応を示しており、貴之もそれに同意した。

ある程度視聴を続けるとそろそろ夕食を作り出すべき時間となり、そこで友希那が一つの提案を出した。

 

「せっかくだから、二人で一緒に作ってみるのはどうかしら?」

 

「ああ。それはいい提案だな」

 

それならばと早速食材の準備をすべく商店街に出掛けると、そこで友人たちに渡して回るのが終わった小百合とリサの二人と合流したのでそのことを伝える。

結果として今晩は四人で夕食を食べることになり、準備中も食べている際もリサと小百合に「もう夫婦見たいだね」と完全に弄り倒された。

ただそれでも、大切な人とその身内で過ごす時間はとても幸せなものであった。

 

 

 

 

 

 

 

*   *   *

 

 

 

 

 

 

 

「今日はどうだったかしら?」

 

一方で同日の夜。紗夜は待ち合わせをした人と出掛け、夕食を外で取った後になる。

今は商店街の入り口近くにいて、今日はそろそろ別れようかと言う話しになっていた。

また、最初の頃はこの人相手にも敬語だった紗夜だが、今では唯一タメ口を聞けるような距離になっていた。

 

「ええ。私も、今日は楽しかったわ」

 

相手側は満足しているようで、紗夜も問い返されたので答える。

このままお互いに別れの挨拶をしてそれぞれの場所に戻るかとなったその時に、紗夜は渡したいものがあると言って引き留める。

 

「ごめんなさい。渡すタイミングを逃してしまっていたわ……」

 

中身が崩れないように鞄を常々気にしていたが、問題なく渡せることを祈りながらそれを取り出す。

如何にも今日この日の為ですと言いたげな包装を見れば、流石に相手も何をしようとしていたかを理解する。

 

「ハッピーバレンタイン……。遅くなってしまったけれど、明日でもいいから感想を聞かせて欲しいわ」

 

相手側も何事もなく終わるかと思って気になっていたらしく、紗夜からもらえたことが嬉しかったようだ。

最後に来月のホワイトデーに向けたお返しの宣言を相手側から貰った後、今度こそ二人はお互いの場所に帰るのだった。




バレンタインイベントでした。捻りが無いと思ったらすみません。

貴之が借りたDVDは、イメージ7の後書きにある貴之の容姿における元ネタがヒントですが、ここではタイトルを出さないようにぼかしてあります。
また、紗夜も今後こう言った展開に持ち込んで行くのですが、今回はまだ相手が誰とかを一度も明確にしていないので、この様な形になりました。

ガルパのイベントは現在走っている最中で、まだストーリーは読んでいないのですが、恐らくこのイベントを本小説では終着点として、その後行けるならエピローグやアフターストーリーを書いていくことになると思います。
ともかく今回のシナリオには感謝しかないです……!

次回は来週の日曜になりますが、紗夜にスポットを当てた話しになり、今回の彼女が主軸のパートにおけるきっかけに触れる形になると思います。
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