先導者と歌姫 -高みを目指して-   作:ブリガンディ

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俊哉と竜馬という組み合わせによる二戦目です。


イメージ28 鋼のリベンジマッチ

「「スタンドアップ・ヴァンガード!」」

 

掛け声と共に始まった俊哉と竜馬のファイトが始まる。

ちなみにこの二人、この組み合わせになった途端にファイト欲が跳ね上がって有り余るものとなり、本大会でファイト前の準備時間で最短時間を記録することになる。

――余計な話し合いは必要ない。周りの皆に見せるのも含めてファイトで語ろう。それがこの二人の中で即座に共通認識となっていた。

 

「(さて、今日はどんなファイトを見せてくれるかな……?)」

 

「あっ……これ説明放棄の危険性ありそう……」

 

貴之が速い段階で見ることに集中しそうな状況になっているのを察し、玲奈が何とも言えない表情をしながら呟いた。

俊哉に見せてもらったヒーローやロボット系アニメの影響は残っており、それに気づいた友希那が聞いて見れば玲奈は肯定を返す。

 

「そういうところも変わっていなかったみたいね……」

 

――でも、楽しそうにしている方が貴之らしくていいと思うわ。他のファイトと比べて熱を感じさせる目をしている貴之の横顔を見て、友希那は柔和な笑みを浮かべる。

一人でいる時、或いは誰にも聞かれないような状況で呟いたのならこれで終わったのだが、今回は玲奈とリサという友希那の事情を知っている人が二人いた。

 

「うんうん♪友希那もこういうところは変わってないね」

 

「今の表情なんて、ファイト見てる最中じゃなかったら無理矢理見せてたのになぁ~……」

 

「えっ……ど、どうしてそんなことしようとするのよ……?」

 

自分の頬っぺたを指で撫でられたり、頭を撫でられたりしながら玲奈、リサという順番で言われたので、友希那は頬を朱色にして慌てた様子を見せる。

その会話を聞いた大介もちらりと貴之の方を見てみるが、彼はこの二人のファイトを楽しみにしていただけあって見るのに集中しており、その表情を見ていなかったのだ。

 

「うわ、なんてもったいないことを……」

 

その為大介は頭を抱えながら項垂れた。この一連の流れに全くついていけなかった弘人と、残ったRoseliaの三人は互いに顔を見合わせて首を傾げる。

 

「行くぜ、『ライザーカスタム』に『ライド』!一枚ドロー。スキルを使って『ライザーカスタム』でヴァンガードにアタック!」

 

竜馬は先攻を取れて、『ライザーカスタム』に『ライド』できると言う好調な滑り出しを見せた。

 

「貴之、リアガードは置かなくて良かったのかしら?」

 

「あの行動は俊哉のデッキを知ってるから、一体のユニットを警戒した行動だな……」

 

「「(あれ……友希那の声には即時反応できるの……?)」」

 

――好きなあの子の声は別物ってこと?友希那の問いに対し、普通に反応して答える貴之を見て玲奈とリサはそう思った。

人混みの中でも意識している人の声はハッキリと聞こえると言われることはあるが、これがその例なのだろう。こうなるとリサと玲奈ですら反応が怪しいと言うのに、友希那だけは即時反応だから尚更である。

ちなみに竜馬が警戒しているのは『ダイタイガー』で、『ノヴァグラップラー』がユニットが退却させられることは、他の『クラン』と比べて被害が大きいのがその理由だった。

俊哉はこの攻撃を受けることにし、イメージ内で『ライザーカスタム』の拳が『ゴーユーシャ』の腹に入る。

『ダメージチェック』では(クリティカル)トリガーというかなり痛い結果となった。

 

「あの『ノヴァグラップラー』って超速攻型……って感じでいいんですか?」

 

「そうだよ。ちなみに『ディメンジョンポリス』は一撃必殺をコンセプトとしてるから、対極的になってるね」

 

あこの問いに答える玲奈の説明を聞いて、リサは「だからあんなに楽しそうにしてたんだ」と、貴之の心境を改めて理解する。

ちなみに燐子も「ロマン……なんだね」とファイトを見て感じ取り、楽しそうな表情をしていた。

――これ……理解できないとダメなのでしょうか?唯一理解しやすくなる経験を得ていない紗夜が置いてけぼりになりかけ、少々焦る羽目になっていた。

 

「『ダイマリナー』に『ライド』!一枚ドローして『ダイタイガー』を『コール』!」

 

「あのユニットが退却効果を持ってる。だから竜馬はリアガードを出さずに攻撃したんだ」

 

「確か、『ガード』に回す程の余裕が無かったのよね……」

 

警戒していたユニットが『ダイタイガー』であることを教えて貰い、友希那は以前『ノヴァグラップラー』を使う竜馬の戦い方を思い出す。

顕著だったのは以前貴之とファイトした時で、竜馬はパワーが足りなかったり、攻撃時のユニット確保だったりで結局一度も『ガード』をしていなかった。

『ノヴァグラップラー』はそれだけ攻撃に回したい『クラン』であり、一体の退却による被害が大きいことを示す。

 

「あのユニットは数少ない例外だけど、『ディメンジョンポリス』はヴァンガードのパワーが一定以上で効果を発揮するユニットが結構いるんだよ」

 

玲奈は今の内に『ディメンジョンポリス』のユニット傾向を、少し踏み込んでRoseliaの皆に教えておく。

ちなみにその条件を満たすのは二ターン目以降が多いので、もう少し待っててもらうことになることも忘れずに伝えておく。

 

「……任せちゃって大丈夫かな?」

 

「大丈夫だろ。玲奈、せっかく女子相手に機会できたんだし……今回は頼んだ」

 

「あっ!そう言えばそうだった……」

 

大介からの一言をもらった玲奈が、頬を朱色に染めながら目を輝かせる。

弘人からすれば「位置が遠いから、自分たちが一々説明するよりは……」という考えだったのだが、事情を知る大介からすると「女子同士でヴァンガードにおける交流を楽しんでもらう」という考えだった。

偶然とは言え、チャンスを得られた玲奈はかなり上機嫌となった。

 

「よし……『ダイタイガー』の『ブースト』、『ダイマリナー』でヴァンガードにアタック!」

 

「いいぜ……ノーガード!」

 

前に見ていた友希那と燐子の二人は、この後も竜馬は最低限以外『ガード』しないことを予想する。

この時俊哉が『ドライブチェック』で引いたのは(ドロー)トリガーで、竜馬の『ダメージチェック』はノートリガーだった。

しかもそのユニットは『完全ガード』を有する『ダイヤモンド・エース』であり、短期間で攻め切らないと負けが濃くなる『ノヴァグラップラー』としては見るだけでもご勘弁なユニットとなる。

 

「『ハイパワードライザーカスタム』に『ライド』!スキルで『ソウル』から『ライザーカスタム』を『コール』!更に『ジェットライザー』と『アイアン・キラー』を二体ずつ『コール』!」

 

「あんなにユニットを出しちゃって大丈夫なんですか……?」

 

「『守ったら負ける、攻めろ!』がコンセプトだから一気に出しちゃった方がいいんだよ。どの道『ダイタイガー』による退却が待ってるし、悠長にやるよりは……ってことだと思う」

 

あこからの問いに答えながら、玲奈も自分が竜馬ならこうしてるだろうと考える。

自分も少々癖がとは言え、攻めっ気が強めの『クラン』を使っている分彼の考えはより理解しやすかった。

 

「さぁて、本格的な殴り込みと行くぜ……!まずは左の『ジェットライザー』と『アイアン・キラー』だ!」

 

「ノーガード。『ダメージチェック』……」

 

お互いのスキルで合計パワー24000の攻撃を前に、割に合わないと思った俊哉は受けることを選び、イメージ内で『アイアン・キラー』の鉄球に搭乗していた『ダイマリナー』が打ち付けられる。

この時の『ダメージチェック』は二枚目の(クリティカル)トリガーとなり、パワーを得られただけ良かったと考える。

とは言え、それでも『ダメージチェック』で(クリティカル)が二枚出ると言うのは、ダメージソースを減らしてしまうことを意味するのであまり嬉しくはない。

 

「次は右の『ジェットライザー』と『アイアン・キラー』……ヴァンガードにアタックだ!」

 

「……もう一回ノーガード」

 

俊哉は一瞬迷ったが、『ハイパワードライザーカスタム』の攻撃を止める為にこちらは受けることにする。

今回の『ダメージチェック』はノートリガーで、残念ながらパワーを引き上げることはできなかった。

 

「行くぜ……!『バトルライザー』の『ブースト』、『ハイパワードライザーカスタム』でヴァンガードにアタック!」

 

「『ダイタイガー』で『ガード』!」

 

現在『ハイパワードライザーカスタム』のパワーは15000なので、これによってトリガーを引いても攻撃がヒットしないことが確定する。

それを表すかの如く、イメージ内では『ハイパワードライザーカスタム』に乗る竜馬が放った攻撃を『ダイタイガー』が己の体で受け止め、力尽きて倒れながら退却していく。

本当ならリアガードを一体でも多く退却させる為に取っておきたかったのだが、手札一枚の消費でやり過ごすには『ダイタイガー』以外選択肢のない手札だった為、出さざるを得ない状況だった。

『ドライブチェック』では(ドロー)トリガーを引き当てたので、手札に少しの余裕ができた。

 

「やるしかないか……『ダイドラゴン』に『ライド』!更に『コスモビーク』二体を『コール』!」

 

運の悪いことにグレード1のユニットが来なかった俊哉は、『ライド』と前列の左右に『コスモビーク』を『コール』することにとどまってしまう。

『コスモビーク』が登場した際の『カウンターブラスト』でパワーを上げ、『ダイドラゴン』の『ソウルブラスト』は忘れずに行う。

相手は余り『ガード』を使いたくない『クラン』だったとしても、相手の攻撃が甘いなら一回だけ防いで余裕を作られる可能性はあり得るのだ。

 

「ああ……ここでもう一枚『ダイタイガー』があれば、もう少し楽だったなぁ……」

 

「さっきも言ってた退却効果……だよね?」

 

「それにグレード1のユニットなら、『ブースト』も使えますし……」

 

「あっ、実は『ダイタイガー』にはちょっと悲しい要素があるの……それは実際に見てみよう」

 

紗夜が言いかけたところを玲奈は遮る。これは『ダイタイガー』を知らないと気づけないので、仕方ない所ではある。

 

「まずは左の『コスモビーク』でヴァンガードにアタック!」

 

「ノーガード。『ダメージチェック』……」

 

イメージ内で『コスモビーク』が放ったミサイルの雨を貰った後、『ダメージチェック』を行う。

その結果はノートリガーで、竜馬のダメージが2になる。

 

「流石に退却か手札消費はさせたいからな……!『ダイタイガー』の『ブースト』、『ダイドラゴン』でヴァンガードにアタック!」

 

「十分揃ってるか……このまま受けるぜ!」

 

竜馬はちらりと手札を確認してからノーガードを宣言する。ここで防いでも割に合わないというのもこの選択を助長した。

俊哉の『ドライブチェック』は(ドロー)トリガーとなり、これで『完全ガード』が二枚目となる。

 

「二枚の『完全ガード』は面倒だな……」

 

「『ノヴァグラップラー』からすると、とても辛そうね」

 

幸い手数があるからいいものの、息切れの激しい『ノヴァグラップラー』は『完全ガード』一枚だけでもかなり嫌なものになる。

前に貴之が八回に渡る攻撃をそれで防ぎ切ったのを覚えていたので、友希那はその辛さを感じ取れた。

イメージ内で『ダイドラゴン』のビームを受けてから行った『ダメージチェック』で、竜馬は(ドロー)トリガーを引き当てる。

一枚でもドローできるのは、息切れの激しい『ノヴァグラップラー』に取っては特に嬉しいものだった。

 

「ヴァンガードのアタックが、相手ヴァンガードにヒットした時、『ダイタイガー』を『ソウル』に置いてスキル発動!右の『アイアン・キラー』を退却だ!」

 

「悪い、『アイアン・キラー』……」

 

道連れにされた『アイアン・キラー』に竜馬は詫び、次の攻撃に備える。

イメージ内で見せた『ダイタイガー』の動きに、初めて見たRoseliaの五人は啞然とすることになる。

 

「『ダイタイガー』はああやって、自らを投げ出すの……だから、スキルが発動するとその場に留まれないんだ……」

 

「青山さんの言っていた悲しい要素というのは、これだったんですね……」

 

――我が身を賭して皆を守る。その姿は涙を誘うよね……。そんなことを呟きながら玲奈が目尻に涙を浮かべる。

これを見ていた紗夜、燐子、あこの三人はイメージに深く入り込んだからだろうで終わっいてたが、リサは違った。

 

「玲奈……。また男子みたいになってるよ?」

 

言われたことで「ハッ、いけないいけない……」と正気に戻った玲奈を見て、「大丈夫かなぁ~……?」とリサは少々心配になる。

ちなみに友希那は貴之から説明を受けていた為、玲奈の反応をそもそも見ていない。

 

「最後、右の『コスモビーク』でヴァンガードにアタック!」

 

「それもノーガード。『ダメージチェック』……」

 

「(今回も全て受け切ったわね……)」

 

『ハイパワードライザーカスタム』のパワーは19000まで上がっていたが、トリガー効果を得た『コスモビーク』は25000になっていた。

防ぐにしても割に合わない手札をしていた為、竜馬は今回も受けることを選択する。

今回の『ダメージチェック』はノートリガーで、これによって竜馬のダメージが4となる。

ちなみに今回は二人のイメージが余りにも共感度が高すぎるせいなのか、3ダメージ目辺りから互いのヴァンガードとなっているユニットは装甲が所々破損していたりと、ダメージ表現がかなり細かいものとなっていた。

 

「あ、あの二人凄いね……」

 

「だな……というか、わざわざそこまでやるか?」

 

この過剰なイメージには、弘人と大介も圧倒されており、見ている人たちも少々ざわついている様子を見せる。

貴之はただ一人の例外で、「いいぞ、もっとお前らのイメージを見せてくれ……!」と少々食い入り気味な様子だった。

 

「「はは……」」

 

――やっぱりこのファイトは燃える……!俊哉と竜馬は笑みを浮かべていた。

考え方に近しいものが合ったり、すぐに意気投合できたりと、この二人は出会ってすぐに波長の良さに気づいていた。

それはファイトも同じであり、ここからがさらに燃えるところだと感じるタイミングも被っていた。

 

「もう分かってるよな……?」

 

「おう。いつでもいいぞ……!」

 

――なら、遠慮なく行くぜ……!竜馬は好戦的な笑みを見せながら一枚のカードを手に取る。

 

「『パーフェクトライザー』に『ライド』!『イマジナリーギフト』、『アクセル』!三体目の『アイアン・キラー』と『バーストライザー』を『コール』!」

 

前列右側に再び『アイアン・キラー』、『アクセルサークル』に『バーストライザー』が『コール』される。

今回の『ライド』は二人のイメージが影響していても『乗り換え』という概念があるのか、破損箇所は見当たらない状態だった。

そのイメージを見た人たちは「何あのイメージ……」と困惑する人や、「そこまでやるか?」と驚く人の方が多かったものの、貴之のように「いいぞ、もっとやれ」と肯定的な人も少なからず存在していた。

 

「さて、今回『ノヴァグラップラー』は何回攻撃できると思う?」

 

『……?』

 

玲奈からの問いかけに、燐子以外の三人が首を傾げる。

このタイミングで問いかけたと言うことは、少なくとも四回だけでないことは解るのだが、その肝心の数が分からなかったのだ。

 

「確か、あの後追加で『スタンド』させられる『ハイパワードライザーカスタム』がいないから……七回ですね?」

 

「凄い、大正解♪よく分かったね?」

 

「前に見ていたことがあって……その時のことを思い出したんです」

 

玲奈が絶賛してくるものだから、燐子は照れた笑みを見せながら理由を答える。

その攻撃回数に、話しを聞いた三人は啞然とするのだった。

 

「よし、行くぜ……!まずは『バーストライザー』でヴァンガードにアタック!」

 

「ノーガード。『ダメージチェック』……」

 

何度かの攻撃は防げないので、俊哉は早いうちに大人しくダメージを受け、トリガー効果を狙う選択をする。

しかし一回目の『ダメージチェック』はノートリガーで、これで俊哉のダメージが4になり、イメージ内で俊哉が乗る『ダイドラゴン』の損傷箇所が増える。

 

「次……左の『ジェットライザー』と『アイアン・キラー』でヴァンガードにアタック!」

 

「もう一回ノーガードだな……」

 

二回目もそのまま攻撃を受けることを選択し、山札の上からカードを一枚めくる。

その結果は(ヒール)トリガーで、これによってダメージが増えないままパワーを増やせた。

 

「まだまだ……!右の『ジェットライザー』と『アイアン・キラー』でヴァンガードにアタック!」

 

「受けておくか……『ダメージチェック』」

 

再びノーガードを行ったことで、イメージ内で『アイアン・キラー』の鉄球を受けることになる。

『ダメージチェック』の結果は(ドロー)トリガーで、山札から一枚手札を足すことができた。

 

「ここでトリガーが二枚目か……結構大きいな」

 

「次のトリガー次第で、勝負が決まらなくなるかもしれないわね」

 

次の『パーフェクトライザー』の攻撃は防がれてしまう可能性が高いので、トリガーがこのターンの行方を左右する。

竜馬側の理想とすれば、(フロント)が二枚か、(フロント)(クリティカル)が一枚ずつと言ったところだろう。

前者は俊哉がガードしづらい。後者は攻撃がヒットしてしまえばそこでダメージ6にできるからだ。

 

「一番の勝負どころだな……『バトルライザー』の『ブースト』、『パーフェクトライザー』でヴァンガードにアタック!この時二枚『カウンターブラスト』して『パーフェクトライザー』のスキル!さらに『バーストライザー』もスキルで『スタンド』だ!」

 

「『ダイバトルス』で『ガード』!」

 

俊哉は白、青、赤(トリコロール)と『2』の数字が目を引く高速車両の『ダイバトルス』に『ガード』を頼む。

現在『パーフェクトライザー』のパワーが18000だったので、この『ガード』によってパワー45000まで上げれば攻撃が通らなくなるのだ。

パワーが足りなくなってしまっていたのは仕方ないことなので、竜馬は気を取り直して『ツインドライブ』を行う。

一枚目の結果は(フロント)トリガーだったので、これで攻撃を通しやすくなったのは大きい点だった。

しかしながら、二枚目の『トリガーチェック』の結果は(ヒール)トリガーがかなり悪いタイミングで出てしまった。

 

「仕方ねぇな……効果は『バーストライザー』に!そのまま『バーストライザー』でヴァンガードにアタック!」

 

「そいつは『ダイヤモンド・エース』で『完全ガード』!」

 

一枚だけで『ガード』できるのはトリガーユニットしか残っていなかったので、俊哉は止む得ずここで『ダイヤモンド・エース』を使うこととなる。

残りの攻撃はパワーが足りないことからこちらを倒し切るには至らないが、後々のことを考えるとかなり苦しいともいえた。

 

「次に賭けるんだろうね……」

 

「竜馬も竜馬で手札を殆ど使っちまってるからな……」

 

竜馬にも少々苦しい問題点が残っており、残りの手札が四枚しか残っていないのだ。

更にこの内一枚が『完全ガード』を有する『ツインブレーダー』なので、後二回しか攻撃を防げないことを意味していた。

また、この時トリガーをもう得られないのが災いして、残った二回の攻撃はパワー30000の『ダイドラゴン』には届かない状態になった。

 

「後二回……左の『アイアン・キラー』で左の『コスモビーク』に攻撃!」

 

「……ここはノーガード!」

 

場にユニットを揃える場合、一回だけなら防がなくても平気だった。

その為俊哉は『コスモビーク』を守ることはせず、退却させることを受け入れる。

 

「最後だ……右の『アイアン・キラー』で右の『コスモビーク』に攻撃!」

 

「それは『ジャスティス・コバルト』で『ガード』だ!」

 

現在『アイアン・キラー』のパワーが24000な為、パワー25000というギリギリ防ぐことができる。

ダメージが5の状態で終わったからなのか、俊哉の乗る『ダイドラゴン』は破損箇所が増える以外にもあちこちでスパークを走らせており、満身創痍なことを伺わせてくれる。

 

「イメージってあそこまで行くものなんだねぇ……」

 

「う~ん、これは流石にあたしもちょっと予想外かな……?」

 

――そんな表現をやる人たちなんて今までいたかなぁ?玲奈の抱いた疑問は、殆どの人たちが持っているものだった。

確かに『レスト』を披露と捉えて膝を付くようなイメージ等は、他の人も時折やっていたりするので何ら気にすることはないのだが、今の二人が見ている破損箇所等の表現は非常に珍しい。

それ故に玲奈は少々困惑気味な様子でリサに返していた。

 

「じゃあこっちも行くか……トランスディメンジョン!『超次元ロボ ダイユーシャ』!」

 

『パーフェクトライザー』の時と同じく、『ダイユーシャ』も『ライド』した直後なので無傷の状態だった。

 

「貴之、今の掛け声はあのユニットに『ライド』する時の言い方かしら……?」

 

「ああ、設定資料にあるんだけど……アレはファーストヴァンガードとして俊哉が使っている『ゴーユーシャ』が、あの姿になる為の掛け声でな……。『ゴーユーシャ』のところに集まった四体の次元ロボたちと超次元合体することでなれるフィニッシュフォームなんだ」

 

――後で読んでみるといいぜ。貴之の勧めに友希那は頷く。

また、友希那以外にも反応のいい人が玲奈のすぐ近くに一人いた。

 

「確か……『ダイユーシャ』は『ディメンジョンポリス』に属するユニットだから……」

 

『……それ持って来てたの!?』

 

すぐ近くで何かパラパラと音が聞こえるので振り向いて見れば、どこからともなく資料集を取り出してページをめくっている紗夜の姿があった。

玲奈と友希那を省くRoseliaのメンバーはそのことに驚いてツッコミを入れるが、紗夜は全く気にせず「あっ、ここですね……」と分かりやすいように付箋を貼る。

持って来て場所を分かりやすいようにできた紗夜とは裏腹に、友希那は「迂闊だったわ……」と俯く。その様子から察するに持って来ていないのだろう。

ちなみにこれは貴之が「後でもう一回教えるから……」と声を掛けることで解決した。

 

「『フォース』はヴァンガードに設置して、リアガードに四体のユニットを『コール』!」

 

前列左側には『ダイドラゴン』、後列中央には『ダイマリナー』、後列右側には『ダイタイガー』、後列左側には『ダイランダー』を『コール』する。

さらに『ダイドラゴン』の『ソウルブラスト』と、『ダイユーシャ』のスキルで『コスモビーク』と『ダイタイガー』を『レスト』させることで、『ダイユーシャ』のパワーを合計48000まで引き上げる。

この時『ダイユーシャ』のパワーが35000を超えている為、(クリティカル)がプラス1。『ダイドラゴン』のパワーがプラス10000されている。

 

「(こっちが『完全ガード』を持ってるから、いっそのこと使わざるを得ない状況作るってことか……!しかもおまけ付きだ……)」

 

二回以上攻撃をできることだけ守り、パワーを上げられるだけ上げている理由を竜馬は察する。

パワー次第ではまだ何とかなったかも知れないが、ダメージが4の状態で(クリティカル)2のユニットが相手では話しが変わる。

また、『ダイマリナー』のスキルで『ダイユーシャ』の攻撃を防ぐ場合は二体以上『コール』する必要があり、これのせいで『完全ガード』をするなら三枚以上手札を使う必要がある。

 

「行くぞ……!『ダイマリナー』の『ブースト』、『ダイユーシャ』でヴァンガードにアタック!」

 

「仕方ねぇ……!『ツインブレーダー』で『完全ガード』!一緒に出すのは……『ハイパワードライザーカスタム』!」

 

乗り切るためには俊哉の用意した策に乗るしか無く、竜馬は一枚多く手札を切る。

しかし、俊哉の『ツインドライブ』は一枚目こそノートリガーなものの、二枚目は星《クリティカル》トリガーだった。

 

「効果は全て『ダイドラゴン』に!そのまま『ダイランダー』で『ブースト』、『ダイドラゴン』でヴァンガードにアタック!」

 

「賭けしかねぇな……ノーガード!」

 

「まさか……手札にあるのは『シールドパワー』を持たないユニットなんですか?」

 

「どうかはわからないかな……でも、『ダイランダー』のスキルが邪魔してるからどの道この攻撃は防げないんだ」

 

玲奈の言った通り『ダイランダー』のスキルが影響して、竜馬は防ぐことができない状況だった。

『ダイランダー』のスキルはヴァンガードのパワーが30000以上なら相手の『インターセプト』を封じると言うもので、この終盤に置いて非常に大きな効果を及ぼす。

手札一枚ではパワー38000となった『ダイドラゴン』の攻撃から、パワー12000の『パーフェクトライザー』を守り切るのは専用のスキルを持っているユニットでなければほぼ不可能となる。

攻撃が成立したことで、イメージ内では『ダイドラゴン』が竜馬の乗る『パーフェクトライザー』にビームを当て、それを受けた『パーフェクトライザー』は機体の一部が爆発を起こしながらよろけ、膝をついた。

 

『……』

 

「やってくれるぜ……『ダメージチェック』」

 

そのイメージに押された会場の人たちが見守る中、竜馬は勝負を分ける『ダメージチェック』を始める。

こちらのダメージが一枚だけ少ない状況なので、二枚目に(ヒール)トリガーを引けたなら手札的にほぼ勝ち。そうでなければ負けである。

まず一枚目の『ダメージチェック』は(クリティカル)トリガーだった。

 

「(ここで(ヒール)トリガーじゃないだけマシか……?)」

 

トリガーを引いてしまったので次に出る確率が下がったと見るべきか、(ヒール)トリガーじゃないだけ二連続で引けとか言われないで助かったと見るべきか、引き当てた竜馬ですら認識に迷った。

そして運命を分ける二枚目の『トリガーチェック』で、竜馬は見事に(ヒール)トリガーを引き当てた。

九死に一生を得たのを表すかの如く、イメージ内で竜馬の乗る『パーフェクトライザー』が満身創痍な状態にも関わらずゆっくりと立ち上がり、ファイティングポーズを取って見せた。

 

「どうにかなったな……パワーはヴァンガードに回して一枚回復だ」

 

「なんてこった……ここで引かれるか」

 

どうにか逆転勝利まで行きそうだったのもあり、俊哉は思わずぼやいた。

しかし引かれたものは仕方ないので、ターン終了の宣言をする。恐らく攻撃回数的にほぼ勝ち目はないが、最後まで抵抗するつもりでいた。

 

「さあて、決着つけようか……!俺のターン!」

 

幸いにも場が全て埋まっている為、竜馬は『ライドフェイズ』と『メインフェイズ』を飛ばして早速攻撃に入る。

まず初めに左の『ジェットライザー』と『アイアン・キラー』による攻撃を、俊哉は『ダイバトルス』で防ぐ。

次に来た『バーストライザー』の攻撃は、場にいる『ダイドラゴン』と『コスモビーク』による『インターセプト』で防ぎ、右の『ジェットライザー』と『アイアン・キラー』による攻撃は残りの手札が二枚しかないので止む得ず『完全ガード』を行う。

ここで俊哉は手札が無くなり、無防備な状態で『パーフェクトライザー』と戦うことになる。

 

「これで全てが決まる……『バトルライザー』の『ブースト』、『パーフェクトライザー』でヴァンガードにアタック!」

 

「真っ向から受け切ってやる!」

 

竜馬の言う通り、この『ツインドライブ』で全ての行方が決まる。

竜馬がトリガーでパワーを上げきれず、(ヒール)トリガーで耐えきればパワーの都合上耐えきれる俊哉が。逆にトリガーによるパワー強化が足りているなら物量で押し切れる竜馬が勝つ状態と言える。

そしてその『ツインドライブ』で、竜馬は二枚とも(クリティカル)トリガーを引き当てる。

 

「パワーは『バーストライザー』、(クリティカル)はヴァンガードに!」

 

本当は堂々とヴァンガードと言いたいところだが、まだ俊哉のデッキから(ヒール)トリガーが一枚しか出ていない為、万が一を考えたらそれは出来なかった。

しかしながら、俊哉の『ダメージチェック』は一枚目の段階でノートリガーで、その危惧は杞憂に終わる。

そしてイメージ内で十分に距離を詰めた『パーフェクトライザー』は『ダイユーシャ』の頭部を右手で掴み、そのまま圧力をかけ続けて握り潰して見せた。

 

「終わっちまったか……もう少し続けていたかったところだがな……」

 

「いずれ決着が着いちまうからそこはしょうがねぇよ……。だったら、また今度ファイトしようか」

 

「そうだな……。そうしよう」

 

――でも、その前にだ……。俊哉の前置きで竜馬は自分が忘れていることを察した。

 

「「ありがとうございました。いいファイトでした」」

 

二人が礼をしてから握手を交わすと、歓声と一緒に拍手が聞こえて来た。




デッキの内容に関しては両者とも『イメージ18 鋼鉄の戦士たち』の時と全く同じ内容になります。ファイト結果に伴い、貴之と俊哉による親友対決は全国大会まで見送りとなりました。

次回は貴之と竜馬のファイトで、構想しているトーナメントの都合上、玲奈と一真によるファイトがその次回になります。
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