久しぶりに8ターンファイトです。
章管理を一々複数変更するのが面倒に感じたので、番外編を一番上に並べ替えさせて貰いました。
「(どれにしようかしら……?)」
「友希那~っ!」
外の自販機でどの飲み物を購入しようかを考えていた友希那は、リサの声を聞いてそちらに顔を向ける。
自分を探していたのだろうか、少々焦り気味な表情が見て取れた。
「こっちにいたんだ……楽屋の方まで探しちゃったよ~」
「……準備のことで気にしていたの?」
「あ……うん。いなくなってたから気になってさ……」
聞いて見れば予想通りだった。色々と気を遣えるリサらしいから少し安心もした。
とは言え、少々心配性である面も見えたのでケロッとした様子で答えることにする。
「問題ないわ。それに、ここまで来たら後はやるだけで、なるようになるだけよ」
「え……?ああ……って、ちょっ……ええっ!?」
――リーダーが投げやり発言するの!?一瞬それもそうだなと思ってしまったリサが、友希那からすれば大袈裟な反応を見せる。
練習は期待を裏切らないと言う信念を持っている為、友希那はどんな結果でもそれが自分たちの積み重ねだと受け入れるつもりでいた。
「まあでも……そうね。やることとすれば、私たちがコンテストを通過するのをイメージするくらいかしら?」
「友希那……大分影響受けたね?」
「それはリサも……というより、Roseliaのみんながそうなのかもしれないわね」
普通にあり得そうな話だった。想像しても予想以上に違和感が無いので、二人して笑ってしまう。
それが結果的に緊張をほぐすことになったリサは、友希那の表情に注目して見る。
その表情は以前までのどこか板挟みのようなものを感じることはなく、ありのままが見えるようだった。
「どうかしたの?」
「いやあ~なんかさ……友希那がいつも以上にスッキリした顔してるなぁ~って思ったんだ……♪」
以前も笑ってはいたが、自然さが足りない気がしていたのだ。だからそう見えると思ったんだろうなとリサは一人納得する。
友希那もそう思っていたらしく、リサの言ったことには肯定する。
「何も隠す必要が無いって、こんな気持ちになるのね……」
――とても気が楽だわ。安らぎを得た笑みを見せる友希那を見て、リサも笑みを浮かべる。
本当に間に合って良かったと、リサの笑みには安堵の意味合いもあった。
「リサ……本当にありがとう」
「友希那……」
友希那は言い残しが無くなったかのように満足した様子を見せていた。
長くなってしまったからか、自販機にお金を入れて欲しい飲み物を買おうとする。
終わったらすぐに移動するだろうから、リサはここで一度声を掛けておく。
「今日の演奏、絶対に成功させようね♪」
「……ええ。もちろんよ」
リサの声に友希那は強く頷く。
飲み物も買い、リサとの話しもできて満足な友希那がそろそろ戻ろうと促すと、リサはいつも通りの様子で答えた。
友希那が
* * *
三回戦が終わった後昼食休憩が設けられ、この昼食休憩間に貴之は真司と共に裕子のお手製弁当をご馳走になっている。
「今度お前の方に顔を見せに行く予定を二人で立ててるから、決まり次第連絡するよ」
「分かった。早めに言ってくれればこっちも予定開けとく」
昼食を取っている間に今度二人に会う約束を済ませ、そのまま後半の大会が始まる。ここからは一台進行で大会が進んでいく。
「ライド・ザ・ヴァンガード!『ドラゴニック・オーバーロード』!『イマジナリーギフト』、『フォース』!」
「『ダイランダー』を『レスト』して『ダイユーシャ』のパワーをプラス10000!鋼鉄の勇者が持つ、正義の剣を受けろ!」
「それでは、このショーも閉幕に参りましょう!『ゴールデン・ビーストテイマー』でヴァンガードにアタック!」
「『アーリー』のスキルで『
全国大会は更に進んでいき、遂に準決勝まで進む。
左側に残ったのは貴之と俊哉、右側に残ったのは玲奈と一真になった。右側は地方の時の再来であり、女性ファイター唯一の勝ち残りが玲奈であるのも同じであった。
「何気にこんなデカい大会でお前と戦うのは始めてだな……」
貴之の呟いた通り、この二人が大きな大会で戦うのは始めてであった。
店内大会や普通のファイトで戦うことは度々あるものの、これだけは今まで無かったのだ。
「例え
「寧ろそれでいい……。手を抜かれたって俺は満足できねぇし、あいつに誇れねぇ……」
――なら、全力でやろうか。互いの意図を理解してるからこそ、あっさりと成立する。
そして準備ができたので、後は始めるだけだった。
「「スタンドアップ!」」
「ザ!」
「「ヴァンガード!」」
貴之は『アンドゥー』、俊哉は『ゴーユーシャ』に『ライド』する。ここまでは何ら変わらない、いつもの流れであった。
「『ディメンジョンポリス』……パワー勝負になりそうな気がするなぁ」
ヴァンガードのパワーが影響する『ディメンジョンポリス』は当然、連続攻撃と『完全ガード』無視を活かす為にパワーを引き上げる貴之のスタイルを鑑みるとそう推測できる。
この二人はこの大会において獲得した『フォース』を全てヴァンガードに回している為、尚更そう考えられるのだ。
今回のファイトは俊哉の先攻で始まり、早速『スタンド』アンド『ドロー』を済ませる。
「『ダイタイガー』に『ライド』!スキルで一枚ドロー……」
流石に先攻における最初のターンである為、これ以上できることがない為貴之へターンを回す。
「『バー』に『ライド』!一枚ドローして、そのままヴァンガードにアタック!」
「まあそうなるか……ここはノーガードだ」
俊哉は貴之が『ダイタイガー』を警戒していることを理解する。後々攻めることができないのを嫌った結果である。
貴之が『ドライブチェック』で
『ダメージチェック』はノートリガーで、ダメージが1になったところで貴之のターンが終了する。
「『ダイドラゴン』に『ライド』!『ソウルブラスト』してパワーをプラス5000!さらに『ダイランダー』と『コスモビーク』を『コール』!」
『ダイランダー』は後列左側、『コスモビーク』は前列左側に『コール』される。この時『コスモビーク』の『カウンターブラスト』も忘れずに行う。
これによって『ダイドラゴン』のパワーは合計で20000まで上がり、『コスモビーク』もパワー15000に上昇する。
「早速ここまで上がる……余り相手にしたくはないね」
退却手段が少なく、パワー勝負に向かない『クラン』を使う弘人の呟きだった。準備する為の手数とダメージの受けやすさによるリスクヘッジが理由である。
真司なら『バインド』、大介なら攻撃をヒットさせない手段に『プロテクト』と言ったように対抗手段があるなら楽だし、竜馬のように戦術の押し付け合いに持ち込むのならまだ対抗しやすいだろう。
とは言え、自分が『アクアフォース』を使うと決めている以上、愚直よりはどうするかを考えた方が建設的だと考え方を切り替えた。
「よし……まずは『ダイドラゴン』でヴァンガードにアタック!」
「ノーガード……来い!」
俊哉の『ドライブチェック』は
イメージ内で俊哉の乗る『ダイドラゴン』によるビーム砲を受け、『ダメージチェック』に入る。
その結果はノートリガーで、貴之もダメージが1となる。
「次は『ダイランダー』の『ブースト』、『コスモビーク』でヴァンガードにアタック!」
「それもノーガードだな。『ダメージチェック』……」
相手のパワーが合計33000まで上がっており、ここで手札を二枚も使うのは割に合わないと判断した結果になる。
その結果はノートリガーで、ダメージが2になったところで俊哉のターンが終了する。
「後々面倒だからこうするか……『バーサーク・ドラゴン』に『ライド』!スキルで『ダイランダー』を退却させる!」
『メインフェイズ』で『クルーエル・ドラゴン』を前列左側に、『アーマード・ナイト』を前列右側、『バー』を後列右側に『コール』する。
この時『バー』のスキルを使うことで『コスモビーク』も退却させ、俊哉の場にはヴァンガード一体のみとなる。
「相変わらず退却手段が多いな……」
「これで彼も……次のターンでの用意が難しくなるかな?」
真司が使う『なるかみ』も退却手段自体はそれなりにあるのだが、対象が前列を選ぶものが多いので『かげろう』と比べ自由な退却を行うことは難しい。
二回の内『ダイランダー』を退却させたことは大きく、この後『インターセプト』を使うことができるようになる。
『アーマード・ナイト』の『シールドパワー』は5000しかないものの、これが後々『ガード』の可否を分けることも十分にあり得るのだ。
「そろそろ攻撃だ……『クルーエル』でヴァンガードにアタック!」
「ノーガード。『ダメージチェック』……」
俊哉の『ダメージチェック』はノートリガーで、ダメージが2になる。
攻撃がヒットしたので『クルーエル』はスキルで『ソウルチャージ』をしてから退却する。
「次は『バーサーク・ドラゴン』でヴァンガードにアタック!」
「そうだな……それもノーガードだ」
トリガーを見てから次を決めようと考え、そのまま受けることを選択する。
貴之の『ドライブチェック』は
イメージ内で『バーサーク・ドラゴン』となった貴之が放つ双頭からの業火を浴び、俊哉は『ダメージチェック』を行う。
一枚目は
「トリガーが二枚も引けたから……次の攻撃は楽になったね」
「『アーマード・ナイト』も『バー』もパワーが増える条件満たしてるから、この二枚は大きいね」
トリガー効果もあるので『バー』の『ブースト』を受けた場合、『アーマード・ナイト』のパワーは38000まで跳ね上がる。
幸いにも今回はトリガー二枚のおかげでパワーが30000まで上がっている為、今なら十分に防げる数値である。
さらに言えば、
「最後だ……『バー』の『ブースト』、『アーマード・ナイト』でヴァンガードにアタック!」
「『ダイタイガー』で『ガード』だ!」
現状だと退却させたいユニットもいないので、俊哉は『ダイタイガー』を『ガーディアン』とする。
――
「(相手側より先に正義の勇者が出るって違和感あるけど……文句は言ってられないか)」
『スタンド』アンド『ドロー』を済ませた俊哉が苦笑する。
相手は
「こう言ったイレギュラーなパターンもアリだよな……!トランスディメンジョン!」
俊哉は『ダイユーシャ』に『ライド』し、『フォース』をヴァンガードに設置する。これもいつもの流れである。
というよりは、『ディメンジョンポリス』はヴァンガードのパワーが大きく影響する都合上、ヴァンガード以外には設置できないと言っても過言ではない故に戦術が大きく制限されているとも言えた結果である。
「(こう来るのは分かっていた……後は何を出してくる?)」
『メインフェイズ』で出されるユニット次第で何を制限されるかが変わる為、貴之は強く警戒する。
そして俊哉が出したのは、前列左側に『コスモビーク』、前列右側に『ミラクル・キューティー』、後列右側に『ダイタイガー』、後列中央に『ダイマリナー』、そして後列左側に『ダイランダー』を『コール』する。
今『コール』した五体のユニットの内、登場時にスキルを持つものは全て発動させている。この為貴之は『インターセプト』が阻止され、『ダイユーシャ』の攻撃は最低二枚以上の『ガーディアン』を出さねばならないと言う制限を受けた。
「多めに手札を使わせるだけじゃねぇ……手札確保まで狙ってんのか」
俊哉の狙いを推測した竜馬が感嘆の声を上げる。
ヴァンガードの超パワーによる一撃必殺が目立ちやすい『ディメンジョンポリス』だが、こうした搦め手もしっかりと備えている為、必ずしもそれしかないと言うわけでもないのだ。
「まずは……『ダイマリナー』の『ブースト』、『ダイユーシャ』でヴァンガードにアタック!」
「それ喰らったら痛いからな……『バリィ』で『完全ガード』!『クルーエル』も『ガーディアン』に加勢だ!」
例え『完全ガード』を使おうと無理矢理三枚の手札を消耗させることができるのは非常に大きい点だった。
『ツインドライブ』は一枚目がノートリガーで、二枚目が
攻撃を通せなくても、相手に余計な手札消費をさせることができたので、最低限の目的を果たすことは出来ている。
「パワーはヴァンガードに回す。次は『ダイタイガー』の『ブースト』、『ミラクル・キューティー』でヴァンガードにアタック!」
「無駄に多く使っちまったからな……ここはノーガードだ」
「ヴァンガードのパワーを30000以上にすれば、『キューティー』のスキルで手札確保を狙える……上手い判断だな」
大介の見立て通り、貴之が『ガード』を避けるだろうと踏んで選択した俊哉の選択は上手かった。
貴之の『ダメージチェック』は
「一旦こっちを倒しておくか……『ダイランダー』の『ブースト』、『コスモビーク』で『アーマード・ナイト』にアタック!」
「仕方ねぇ……ノーガード」
このまま行けばパワーは届くのだが、『かげろう』なら次のターンも『アーマード・ナイト』のスキル発動条件を満たせる可能性が高いので、今のうちに潰しておく。
貴之としてはこれ以上の手札消費は避けたいので、これも防がない。イメージ内で『コスモビーク』の放ったミサイル群の雨に晒された『アーマード・ナイト』が膝を付きながら光となって消滅する。
ここで俊哉のターンが終わり、次は貴之のターンとなった。
『(このターンは間違いない……)』
見ている七人は貴之が何に『ライド』するかなど分かりきっていた。恐らく会場にいる人たち全員がそうだろう。
満場一致とも言える予想がある中で、貴之の『スタンド』アンド『ドロー』が完了する。
「お前相手にこいつを使わない理由はねぇからな……ライド・ザ・ヴァンガード!『ドラゴニック・オーバーロード』!」
「やっぱりそうなるよな……けど、それがいいんだ」
もう見慣れ過ぎているのもあって、俊哉は焦ることなく笑みを浮かべていた。
大きな大会で貴之の『オーバーロード』と対峙する。それは俊哉にとって一つの待ち望んだ光景であった。
『フォース』をヴァンガードに設置した後、前列左側に二体目の『オーバーロード』、前列右側に『バーサーク・ドラゴン』、後列中央に『ラオピア』、後列左側に『エルモ』を『コール』する。
『バーサーク・ドラゴン』の登場時スキルを発動して『ダイランダー』を退却させ、ヴァンガードの『オーバーロード』は『ソウルブラスト』でパワーを引き上げる。
「あの二人……楽しそうだね」
「一番仲が良かったらしいから、尚更なんだろうな」
貴之と俊哉の様子を見て、古くからの付き合いは大きいなと真司と裕子は思うのだった。
実際、二人の予想通りファイトしている二人は複数の意味合いを持った笑みをしている。
一つ目はファイトを楽しんでいる意味合い、二つ目はこの全国大会で友と戦うというその時にしか味わえない時間を過ごす喜びの意味合いだった。
ファイター目線でならこのターンで終わらせたい貴之だが、個人の主観としてはもう少し続けたいと言う想いもあった。そして、それは俊哉も同じであった。
「じゃあ行くぜ……まずは『エルモ』の『ブースト』、『オーバーロード』でヴァンガードにアタック!」
「ノーガード。『ダメージチェック』……」
ダメージが2になっていたので、手札温存かつ様子見を選択する。
『ダメージチェック』の結果はノートリガーで、俊哉のダメージは再び3になる。
「次は『オーバーロード』で『コスモビーク』にアタック!」
「そうだな……これもノーガードにするか」
貴之は縦列を一つがら空きにさせたかった故に、『コスモビーク』への攻撃を選んだ。
対する俊哉は『ツインドライブ』で判断することを選び、様子見のノーガードだった。
『ツインドライブ』の結果は一枚目が
当然の如く『カウンターブラスト』を発動し、『オーバーロード』を『スタンド』させる。次の攻撃で
「流石に防ぐだろうけどな……!『ラオピア』の『ブースト』、『ドラゴニック・オーバーロード』でヴァンガードにアタック!」
「お前のイメージ力は尋常じゃないからな……!『ダイヤモンド・エース』で『完全ガード』!」
――貴之のことだから、ここで
案の定、貴之の『ドライブチェック』は
それでも攻撃はまだ残っているので、効果は全て『バーサーク・ドラゴン』に宛がわれる。
「俊哉は一先ず、このターンを耐えれるみたいだね」
「後はどうやって次のターンで決めるか……。そこが大事になってくるね」
俊哉の手札次第だが、ここは『グレートダイユーシャ』へ『ライド』する方向へ持っていきながら、貴之の完全ガードを使わせるのが吉だろう。
ただし、『ダイユーシャ』単体ではトリガー無しの場合
――ここは手札温存かな?俊哉の目線で、七人全員が同じことを考えた。
「取り敢えずダメージか手札消費は稼いどかないとな……『バー』の『ブースト』、『バーサーク・ドラゴン』でヴァンガードにアタック!」
「こういう時は
予想通り俊哉はノーガードであり、イメージ内で『バーサーク・ドラゴン』の炎を受ける。
その結果は二枚ともノートリガーで、ダメージが5になったものの今回はこれ以上攻撃が来ないので、ダメージコントロールで大成功していた。
決めきれなかったのは仕方ないと割り切り、貴之は俊哉へターンを回す。
「俺のターン、『スタンド』アンド『ドロー』……。これは掛けるしか無いか……?」
「(掛け……確か、『ディメンジョンポリス』ならここから『ダイユーシャ』との組み合わせで『ガード』必須に持ち込めたはずだ……)」
俊哉が光を見いだしているものに貴之は推測を立てる。
――全ては俊哉のイメージ次第だが、こりゃ危ねぇな……。『ライドフェイズ』を飛ばした俊哉がメインフェイズに入る。
「『ダイドラゴン』と、『コマンダーローレル』を『コール』!」
「やっぱり『コマンダーローレル』か……」
俊哉は後列左側に白いバトルスーツに赤いマントを身につけた戦士『コマンダーローレル』を『コール』する。
このユニット、パワーは6000と非常に低いものの、大事なのは持っているスキルにあった。
また、『ダイドラゴン』の『ソウルブラスト』は忘れずに使う。
「『ダイマリナー』をレストすることで、『ダイユーシャ』のパワーをプラス10000……」
「あ、あいつそこまでして『完全ガード』を引っ張り出すつもりか……!」
貴之の手札は残り五枚だが、万が一普通に防がれてしまうことを想定して『ダイユーシャ』のスキルを発動しておく。
『コマンダーローレル』のスキルはリアガードが四体『スタンド』していればいいので、一体だけなら『レスト』して良かったのだ。
「よし……最終決戦と行こうぜ!『カウンターブラスト』と、リアガード四体『レスト』することで『コマンダーローレル』のスキル発動!」
イメージ内で『スタンド』状態だったユニットが、『コマンダーローレル』の指令によって共に準備に当たる。
そして準備された特殊な装置によるエネルギーを『ダイユーシャ』に送り込み、それを受けた『ダイユーシャ』の胴体の装飾や瞳にある緑色の部分が光を放った。
「ユニットを一体指定することで、そのユニットは
「……元々の数値じゃない?」
「『コマンダーローレル』のスキルは対象の現在のパワーが適用される……だから今、『ダイユーシャ』のパワーは66000、
気になって確認した裕子の問いに一真が答えた通り、このスキルは現在のパワーを参照するのが大きな特徴だった。
これを『完全ガード』無しで安全圏に保つ場合、合計パワーが96000を超えるようにする必要があるのだが、手札五枚の内一枚が『完全ガード』で、それを使いたい以上三枚以内で防ぐなら不可能だ。
ただし俊哉もこの『ツインドライブ』で『グレートダイユーシャ』を引けないとそこで攻撃が止まってしまうし、その後の『ツインドライブ』で
「勝負だ……!『ダイユーシャ』でヴァンガードにアタック!」
「『ワイバーンガード バリィ』、『完全ガード』!」
「流石に使うか……」
手札的に使うしか無いのは見て取れた。これ以外にも、『グレートダイユーシャ』が来ないなら防いでしまえばもう攻撃が来ないことも拍車を掛ける。
そんな状況下で行われた『ツインドライブ』は、一枚目は
「あいつ引いたぞ……!」
「こうなると次のトリガー次第だね……パワーは53000で攻撃できるから、手札次第では『ガード』できないし……」
――いや、トリガー次第では『ガード』しても意味がないのか……。弘人は自分の言葉を途中で訂正し、他の六人もその意味に気付く。
俊哉がダブルトリガーをした場合、『完全ガード』無しで三枚の手札ではどう足掻いても防ぎようがないのだ。なのでこれは見ていくしか無いと、大介のみならず全員がそう判断する。
「『カウンターブラスト』して、トランスディメンジョン!『グレートダイユーシャ』!」
泣いても笑ってもこの攻撃が最後となってしまうので、『フォース』はヴァンガードに設置する。弘人が先程言っていたパワー53000は二枚の『フォース』と『グレートダイユーシャ』のスキルによるものだった。
「最後の攻撃だ……!『グレートダイユーシャ』でヴァンガードにアタック!」
「俺はお前らを信じる……!ノーガード!」
貴之の手札三枚の内、一枚は『ラオピア』だったのだが、トリガーを引かれると突破されてしまう数値しか確保できないし、次のターンで使うつもりでいたため防ぐ選択を捨てた。
トリガーが全てを決めると言う状況で『ツインドライブ』が行われ、一枚目は
緊張が走る中二枚目のチェックが行われ、そこでも見事に
「取った……!効果は全てヴァンガードに!」
「大丈夫だ、まだ望みはある……!」
会場に大きな影響が及ぶ中、貴之は自身を落ち着かせる。自分が『ガード』しなかったのは次のターンに全てを賭けた証拠なのだから。
イメージ内で俊哉の乗る『グレートダイユーシャ』が『オーバーロード』なった貴之へ肉薄し、その手に持った身の丈ほどある巨大な剣を上から真っ直ぐに振り下ろした。
その一撃で『オーバーロード』となった貴之は痛みの余り、数歩後退してから剣を杖代わりにして膝を付いた。
「お前のことだから油断できないな……」
「長いこと待たせてるんだ……。もう待たせやしねぇさ」
貴之が言っていることを理解できるのは、この会場では五人しかいないだろう。
一人は今ファイトしている俊哉、今見ている人たちの中では後江組の玲奈と大介、貴之が離れている間に交流のあった真司と裕子である。
この『ダメージチェック』次第ではそれがまた遠のくことになるのだが、俊哉は自分がその引き金を引くことができる気が全くと言っていいほどしていない。
「じゃあ、『ダメージチェック』だな。まず一枚目……」
一枚目はノートリガー、二枚目もノートリガーと、これでダメージが5になる。
――まさか本当に打ち破るのか?一瞬だけそう考えた俊哉だが、自分の見たイメージがそれを否定する。
『グレートダイユーシャ』のコクピット内で見ていた俊哉の目の前には、間一髪で救援に間に合った『ゲンジョウ』が手当てを施す姿があったのだ。
「ゲット、
そのイメージ通りに三枚目は
せめてものの足搔きとして『ダイタイガー』のスキルで『ラオピア』を退却させてから、貴之にターンを回す。
「リアガードを呼べない可能性に賭けたか……」
「この状況で『ラオピア』のスキルは無視できないし、少しでも勝ち目を残すならこれしかないか……」
俊哉の残された手札では防ぎきるのは難しいが、勝ち筋を広げようとするとこれしかない。
「こいつで決着をつけるぞ……!ライド・ザ・ヴァンガード!『ドラゴニック・ウォーターフォウル』!登場時スキルで『ダイドラゴン』を退却!」
「(何も変わっていない……?地方の時の僕と同じか?)」
『フォース』をヴァンガードに設置した後、後列中央に二体目の『ラオピア』を『コール』した。
今回は『ラオピア』が『ウォーターフォウル』より後に来ているので、まだスキルは発動できていない。
この段階で彼のデッキを見てきた一真が、過去を振り返って推測を立て始めた。
「まずは『エルモ』で『ブースト』、『オーバーロード』で『キューティー』にアタック!」
「仕方ねぇ……ここはノーガードだ!」
どの道トリガー勝負に勝つしかないし、それに勝った場合はパワー的に攻撃がヒットしなくなる為今回は防がない。
リアガードが退却したことにより、『ラオピア』のパワーが5000増加する。
「行くぜ……!『ラオピア』の『ブースト』、『ウォーターフォウル』でヴァンガードにアタック!攻撃時、グレード3のユニットを『ソウルブラスト』!」
「『ゴーレスキュー』と『ジャスティス・コバルト』、『ダイバトルス』で『ガード』!」
対する俊哉はパワー63000と最低限の数値で『ガード』する……というよりも、手札の都合上これ以上はできなかった。
この後すぐにトリガー勝負が始まるのだが、ここで一つ俊哉側には懸念材料があった。
「あいつ……もう二枚
「……!
竜馬の呟きに反応の声を上げたのは玲奈だった。先程の攻撃を耐えられてしまった以上、俊哉はさらに不利な勝負を強いられることになった。
ただし、裏を返せば耐えきった貴之への褒美とも取れる、一転攻勢とはこの事だろう。
『ツインドライブ』での一枚目はノートリガー、二枚目は
「ゲット……!
「(今回は勝てると思ったんだけどな……。でも、そうか)」
――俺の親友は、こう言った大一番で滅茶苦茶強かったな。それが変わっていないことを肌で実感した俊哉は嬉しく思った。
イメージ内で『ウォーターフォウル』となった貴之が剣を持ってない空いてる手で『ガーディアン』を振りほどき、俊哉の乗る『グレートダイユーシャ』に剣を突き立てる。
その後剣の先端から暴力的な水流を流し込み、脱出する時間を与えずに『グレートダイユーシャ』を爆散させた。
そのイメージを証明するかの如く『ダメージチェック』はノートリガーで、このファイトの終了を告げた。
「やれやれ、呆れるくらいのイメージ力だな……」
「お前も人のこと言えねぇだろ……本当に危なかったからな?」
互いに全力だったからこそ、そのファイトに悔いは無い。仮に負けたとしても、貴之は俊哉を恨まないと断言する自身があるくらいのものだった。
――ありがとうございました。良いファイトでした。互いに満足いくものだったからこそ、いつも以上に自然な声音で挨拶ができ、いつも以上に強い力で握手をしていた。
再び冒頭にRoseliaシナリオ19話の続きが入っています。
こちらは会話内容が僅かに変化しているくらいでしょうか。
全国大会も残すファイト回数が後二回になりました。最後の二回も上手くやっていきたいと思います。
次回は準決勝の後半……玲奈と一真でのファイトとなります。