Roseliaのパートは独自のものを混ぜ込みました。
「……ありそうですか?」
「会場にいる人たち次第ですけど、もしかしたらあるかもしれませんね……」
「遊ばれているだけあって探すの大変だね……」
時間は貴之と俊哉のファイトが終わった直後になる。準備が終わってまだ自分たちの番に時間があった為、燐子が携帯を使って全国大会の情報が見れないかを試みていた。
ことのきっかけはあこと燐子が二人で雑談をしていた際に今日の全国大会の話しになり、その際に調べれば見つかるかもしれないと言う燐子の声にあこが乗っかったのがことの発端となる。
その時紗夜も近くで話しを聞いていたので、そこに混ざって共に探せたら見ることにした。
流石に中継等は家庭のフルスペックPCでなければ厳しいとのことから、SNSの一種である『tube』による呟きを探っていくことを選択する。
「っていうかこれ、ちゃんと絞り込んでるのに多くない?」
「大分多いね……。みんな、何かあったら呟いてるみたい」
いくら最も遊ばれているカードゲームのヴァンガードで、今日しかない全国大会と言えど、あまりにも呟きの数が多かった。
呟きの内容としては各ファイターたちの意気込みであったり、トーナメントの途中経過だったりと多種に渡る。
この際貴之の呟きを探してしまうのが楽だと考えたのだが、彼は後半からは集中して呟きできないかもという旨を呟いていたので、望みは薄かった。
「ところでリサ、あなたは何も買わなくてよかったの?」
「アタシ?行きの時に買ってた分が残ってるから大丈夫だよ♪」
三人で探していると丁度戻ってきた友希那とリサの二人が、そんな彼女たちの姿を目撃して混ざりに行く。
戻ってきた二人には紗夜が事情を伝えて、燐子はそのまま全員が見れる速度を意識しながら呟きを辿っていく。
何か分かりやすいのがないかとスクロールしていくと、途中でリサが気づいたような声を上げる。
「これ、俊哉のアカウントだ……」
俊哉が呟いてるのを見つけたリサがそれに指さし、全員でそれを確認してみることにする。ちなみに時間はついさっき呟かれたばかりのものである。
内容はファイト結果の内容であり、『準決で当たったがやっぱりダチは強かった』と言う呟きだった。
それを見た瞬間、友希那とリサはどんな状況なのかを理解する。
「と言うことは、貴之はあと一回勝てばいいのね?」
「もうちょっとなんだね……」
長い時間戦い続けた貴之が、もう間もなくゴールラインに踏み込もうとしている。それが分かると嬉しさがこみ上げてくる。
彼が決勝も勝利し、こちらも通過すれば、ようやく貴之と友希那が望んだ未来が訪れる。それが分かるとリサは何としてもと意気込みを入れる。
貴之の状況を理解した友希那は、少々熱を帯びた目になる。
「(貴之……共に勝利を掴みましょう。その時には……)」
――私の想い、しっかりと伝えるから。その為にも友希那はコンテストで悔いのないライブにしようと改めて決意した。
* * *
「ほら、決勝までに水分補給しておけよ」
「悪いな……わざわざ買ってくれるなんて」
友希那たちが俊哉の呟きを見つけた直後、
これは貴之が戻らずすぐに行けるように待機することを選択し、俊哉が貴之に差し入れをしようと思った二つが重なった結果である。
「あの組み合わせ……地方でもあったんだよ」
「秋津が勝てば、決勝も地方であった組み合わせになるぞ」
「そうなの?じゃあ、二人共リベンジマッチってことなんだ……」
玲奈と一真が戦うと言う組み合わせに竜馬が、勝敗次第でどうなるかを大介が言うと、裕子は残ったファイトの状況を察する。
地方優勝していることもあるし、残っていたファイターたちと地方で当たっていたことからこんな形になったのだ。
「あいつから何か感じられるものは変わったか?」
「ん?そう言えば意識してなかったな……」
俊哉に言われた貴之は、一真の変化を意識していなかったのを思い出し、一度確認を試みる。
そして貴之に様子を探られ出した一真は今、玲奈と共にファイトの準備をしていた。
「……随分と張り切っているね?」
「ここまで来たんだし……どうせなら決勝まで進みたいと思ってるから。後はこの場で君に勝ちたいのもあるし……」
「なるほど……」
分かる話しだった。この大舞台で勝てばより良いものが得られることは間違いないだろう。
ちなみにもう一つ理由があったらしく、玲奈は「それに……」と付け加える。
「後二回勝てば、国内初の『全国優勝した女性ファイター』になれるからね♪」
「ね……狙いはそっちだったんだね」
もし、全国の決勝で貴之と戦いたいのだったら自分も譲れないと返していたが、こちらは想定していなかったのでその言葉を飲み込むことになる。
実際、国内で女性ファイターが優勝したと言うことは未だに無く、その栄光と希望に玲奈がもう少しと言う状況であった。
――女子のファイターが増えないと悩んでいたから、その解決も狙いか?一真は準備を進めながらそう推測した。
「前と比べて、少し余裕を持っている感じだな……。玲奈といる時間が増えてたみたいだし、その影響だろうな」
以前は『PSYクオリア』を使用しないで……と固執していたことが原因でどこか焦っていたようなものが混ざっていた。
それによってファイトを終えた後も『PSYクオリア』を使用した場合は浮かない顔をしていたが、今回は余裕を持っていることから、例え使用しても深く引きずる様子を見せていない。
自分と戦う時は迷わず使うことに変わりはないが、今回はこのファイトも使わないことに固執することは無いだろう。
「それは油断でき無さそうだな……。勝てそうか?」
「勝てるかどうかはあんまり考えて無いな……」
貴之の回答に俊哉は困惑する。分からないと言うことかと考えたが、それは違うようだった。
「ここまで来たら、勝つしかねぇだろ?」
「お前……それはそうだけどさ……」
――まあでも、変に考え込むよりはその方がいいのか。貴之のいっそ清々しい思考を聞いた俊哉は納得する。
あと一歩の所まで来て後ろ向きな考えをするくらいなら、思い切って堂々と構えているだけの方が気持ちも楽だし、変に調子を崩さないで済むのだ。
そうして俊哉が納得した時に、丁度玲奈たちがファイトの準備が終わっていた。
「じゃあ、始めよう」
「うん」
一真はまだ『PSYクオリア』を使わない。ギリギリまで使用しないで戦うつもりでいた。
彼のその選択に、玲奈は特に何も言いはしない。彼女は本人がそうしたいならそうすべきと言う考えを持っている。
「「スタンドアップ・ヴァンガード!」」
一真は『ぐらいむ』、玲奈は『メッセンジャー』といつも通りのユニットに『ライド』する。
このファイトは一真の先攻で始まり、彼は『ゼノン』に『ライド』して玲奈にターンを回す。
「では、こちらも準備から……『スターティング・プレゼンター』に『ライド』!」
今回は先に『ソウルチャージ』を行ってから一枚ドローし、後列中央に『フラスター・カテット』を『コール』する。
スキルで『ソウルチャージ』を行い、玲奈はこのターンで早速『ソウル』が3になる。
「一足先に……『プレゼンター』でヴァンガードにアタック」
「ノーガード」
『ブラスター・ブレード』のスキルは使えないが、既に手札に握っている『アレン』のスキルを使えるので、このまま受けることにする。
今回『ゼノン』に『ライド』したのは、『ペイルムーン』が……というよりも、玲奈のデッキが『スタンド』を妨害するスキルを持つユニットが無いことを知っているからだった。
玲奈の『ドライブチェック』はノートリガー、一真の『ダメージチェック』もノートリガーで、特に大きな変化が起きないまま最初のターンが終わる。
「今の内に、こちらも流れを作らせて貰おう……『ライド』!『ブラスター・ブレード』!」
彼が『ブラスター・ブレード』に『ライド』するのはいつものことだが、その表情に違いがある。
遠目に見ている人たちは当然、自分のいる位置では注視しないと見逃してしまうような違いではあるが、貴之はその違いに気づいた。
「(前よりも堂々としているな……)」
それが地方大会を終えて心境に変化があったことは確実である。
また、貴之相手を前提に隠していただけだったのが理由で、一真は次の行動を迷わずに行う。
「『救国の賢者 べノン』を『コール』!登場時、手札の『エクスカルペイト・ザ・ブラスター』を一枚公開し、山札に戻すことでスキル発動!山札から『アルフレッド・アーリー』を一枚探し、公開して手札に加える!」
前列右側に白と青を基調とした法服を着て、白い杖を持った賢者の『べノン』が『コール』され、地方大会で彼が『エクスカルペイト』を使用したことを知らない人たちが「奴は正気か!?」と大きく動揺する。
「今日聞いた話しは本当だったんだな……」
「実際に使う人なんて、私初めて見た……」
流石に使用する人を目の当たりにした真司が驚いた顔になる。
貴之が初めて『ヌーベルバーグ』を使用したのは真司にヴァンガードを教えるよりも前だった為、裕子にそのことは伝えていなかった。故に今回、裕子から「初めて見た」と言う言葉が出たのだ。
実際に知っていた貴之はそんなこと全く気にせず、『べノン』自体に目を向けていた。
「あれが地方で見せなかったユニットだな……」
「なるほど……出したらスキルのせいでバレるからか」
『べノン』が現れたことにより、貴之の中で一真の使用しているデッキの中身が全て判明した。それと同時に、一真が地方から無理にデッキを変えることなく使用し続けていることも推測できた。
――俺たちの選択がどう影響するかか……。片や切り札を増やすべく一枚だけ地方から内容の変わっている貴之、片や地方からそのままの一真という構図が出来上がっていた。
一真の『メインフェイズ』は続き、後列右側に『アレン』を『コール』し、『カウンターブラスト』で前列左側に『ギャラティン』を『コール』し、一枚ドローした後に『マロン』を後列左側に、『うぃんがる』を後列中央に『コール』する。
「稼げるだけ稼ごう……『アレン』の『ブースト』、『べノン』でヴァンガードにアタック!」
「ノーガード、『ダメージチェック』……」
一真は先にパワーが上がっている方で攻撃し、防ぐ気を起こしにくくさせた。
その狙い通り玲奈はノーガードを選択し、『ダメージチェック』の結果はノートリガーだった。
「どちらを選ぶ?『うぃんがる』の『ブースト』、『ブラスター・ブレード』でヴァンガードにアタック!」
「っ……ノーガード!」
玲奈は歯を食いしばった表情で宣言した。その原因は手札に起因している。
その選択に全員は意外だと思いながらも、一つの考えに至る。
「今防いだら……手札消費が苦しかったのか?」
「トリガーを引いた形跡も無いから、十分にあり得るね」
大介の推測に弘人が肯定した通り、玲奈は手札に十分な『シールドパワー』を持つユニットがいなかった。
防ぐにしろ二枚以上の消費が確定してしまう手札だったら、防がずに受けてしまえと言う開き直った判断をするのだった。
玲奈からして幸いだったのは一真の『ドライブチェック』がノートリガーだったことで、玲奈は『ダメージチェック』の内に一枚
「最後は『マロン』の『ブースト』、『ギャラティン』でヴァンガードにアタック!」
「『ナイフダンサー』で『ガード』!」
流石にこのターンで4ダメージも受けると後が苦しいので、これだけは防ぎきる。
一真からすれば十分にダメージを与えられている為、一度ここでターンを終了する。
「まだ大丈夫そうかい?」
《少なくとも、このターンは問題無い》
ユニットに確認を取った一真は、玲奈に回ってきた二回目のターンも『PSYクオリア』無しで行くことを決定する。
しかしながら意固地と言う訳ではなく、仮に危険だと言われたらやむ無しとして使用するつもりでもいた。
「サーカス団を名乗るなら、これくらいのアクシデントは対応して見せないとね……『ニトロジャグラー』に『ライド』!」
攻撃を受けている間は焦った玲奈だが、スイッチを入れることで気を取り直す。『ライド』した後はスキルによって『ソウルチャージ』を行う。
『ライド』された『プレゼンター』のスキルで『ソウルチャージ』されたのは『ジル』で、これを前列左側にコールする。
この時スキルによって『カテット』を『ソウル』に置く代わりに、後列中央に『トラピージスト』を『コール』し、『メインフェイズ』で後列左側に『バニー』、『前列右側』に『ナイフダンサー』を『コール』する。
これによって玲奈の『ソウル』は現在6となり、着々と準備が進んでいることを表していた。
「では、こちらも披露の時間……『トラピージスト』の『ブースト』、『ニトロジャグラー』でヴァンガードにアタック!」
「なら、こちらはノーガード」
ダメージは1しかないので、手札温存を選択する。
玲奈がこの時『ドライブチェック』で
一真の『ダメージチェック』がノートリガーであった為、ダメージは互いに2となる。
「次は『バニー』で『ブースト』、『ジル』でヴァンガードにアタック!」
「ノーガード、『ダメージチェック』……」
ここでも『ダメージチェック』がノートリガーだった為、一真のダメージが3になる。
今回『バニー』のスキルはトリガー効果を無駄にしてしまう為、今回はスキルの発動を諦める。
「最後……『ナイフダンサー』でヴァンガードにアタック!」
「頼んだ『ギャラティン』、『インターセプト』!」
ダメージが3になったこと、次の『アーリー』によるスキルを考えて一度防ぐ。
攻撃を終えた玲奈はそのまま一真にターンを回す。
「(いい
元より油断するつもりはないが、地方以上に気を抜けないことを確信する。
こちらも友希那との約束、向こうも二連覇がかかっており、地方以上に譲れない戦いになるだろう。
「さあ、行くぞ……!『アルフレッド・アーリー』に『ライド』!スキルで『
『ブラスター・ブレード』のスキルで『ナイフダンサー』を退却させ、『フォース』はヴァンガードに設置する。
一真は今回、場のユニットが埋まりきっている為『メインフェイズ』では特にやることが無い。
「可能なら、このターンで終わらせたいところだ……『アレン』で『ブースト』、『べノン』でヴァンガードにアタック!」
「ノーガード、『ダメージチェック』……」
自分のターンで回復していた分がある為、一度防がずにそのまま受ける。
その結果は
「この攻撃がどう動くか……『うぃんがる』の『ブースト』、『アーリー』でヴァンガードにアタック!」
「『冥界の催眠術師』で『完全ガード』!」
トリガー二枚で負けてしまうこと、今の手札が残り四枚であることから防ぐならこうするしかない。
「最後は『マロン』の『ブースト』、行け!『ブラスター・ブレード』!」
「どの道防げないか……ノーガード!」
最後の二枚は『ゴールデン・ビーストテイマー』と『ナイトメアドール ありす』である為、防ぐことはできない。
この時の『ダメージチェック』は一枚目がノートリガー、二枚目が
勝ちには持っていけなかったが、2ダメージ与えられたので十分だと思いながら一真はターン終了を宣言する。
《
「……間に合うかい?」
《間に合う……いや、間に合わせるとも!》
「そうか……なら、僕がギリギリまで耐える」
――頼んだよ。ユニットからの警告を受けた一真はその決意を伝える。このまま戦うのはこのターンの途中で限界だと知らされたのだ。
だからといって、そこで暗い顔をすることは無い。素直に受け止めてまた次の機会と割り切った一真は玲奈の動きに備える。
「向こうが圧倒的に有利だけど、ここから巻き返すやり方はある……そんな感じだな」
「問題は、手札に何を握っているかだな……」
「後は『ソウル』にあるユニットも大事だったよね?確か『ソウル』の数は……」
竜馬と真司の推測通り、今の玲奈に巻き返せる算段はまだ残っている。
それに大事な『ビーストテイマー』は手札にあるし、残りはこのドローで引ける手札が何かと、『ソウル』にユニットがいるかになる。
現在の『ソウル』は7枚である為、その中にあるユニットが揃っているかは、手札が無いこの状況で非常に大事となる。
「(この感じ……そろそろ来るな)」
また、貴之は一真が『PSYクオリア』を発動させる予兆を感じ取る。
以前は感じなかったのだが、『ヌーベルバーグ』に慣れる為のファイトをしている際、『PSYクオリア』持ちの結衣とファイトすることの多かった貴之は彼女が『PSYクオリア』を使うタイミングを何度も見ており、それがきっかけで分かるようになっていた。
しかしながら、自分とのファイトでは最初から『PSYクオリア』を使う一真が相手なので、今回は特に役立たないなと確信する。
「では、ここから巻き返しをお見せしましょう……」
「(こちらの手札は残り五枚、『完全ガード』も無し……彼らを信じるしか無いな)」
玲奈がああ言っている以上、確実に巻き返される可能性は高い。
この手札で四回以上の攻撃は防ぎきれないし、相手のトリガー次第ではどうしようもない場面だってあり得る以上、ユニットの間に合わせるという言葉が頼りとなる。
「『ライド』!『ゴールデン・ビーストテイマー』!」
『アクセル』を設置した後、前列右側に『ありす』を『コール』する。
残った一枚は『ビーストテイマー』のスキルのコストとして取っておく為、使うわけには行かない。
「では、閉幕を始めましょう!『トラピージスト』の『ブースト』、『ビーストテイマー』でヴァンガードにアタック!」
「止めて置かないと不味いな……『エレイン』、『マロン』、防いでくれ!」
攻撃時、スキルによって玲奈は後列右側に『バニー』を、『アクセルサークル』に『ラリーマン』を『コール』する。
『ツインドライブ』では一枚目が
「……手札的に入るな?」
「ああ。一真の手札は三枚しか無いし、『ラリーマン』の攻撃は止められねぇからな……」
現段階で『ソウル』は七枚、ここに『ラリーマン』は『アクセルサークル』と
今回の攻撃で『エレイン』を使ってしまっており、手札に『完全ガード』を持っていない。
ここまで把握したことで玲奈の夢が現実になるかもしれないと俊哉は考えたが、貴之は一真の『
「次は『バニー』で『ブースト』、『ありす』でヴァンガードにアタック!」
「仕方ない……ここはノーガード!」
トリガーを引ければチャンスがあり、ダメージが2である為、ここは一度そのまま受けることにする。
しかしながら『ダメージチェック』の結果はノートリガーで、トリガー効果を持っている二回の攻撃を防げない状態になってしまった。
玲奈は攻撃を終えた直後、『ありす』のスキルで前列右側に『ジル』を『コール』し、その『ジル』のスキルで『バニー』を『ソウル』へ送って後列右側に『カテット』を『コール』する。
「まだ続きますよ……?『カテット』の『ブースト』、『ジル』でヴァンガードにアタック!」
「『ギャラティン』、頼む!」
新たに呼び出された二体のユニットはパワーが上がっていない為、これ以上無用なダメージを避けるべく防ぐ。
しかし、これで残り二回の攻撃は防げないことが確定してしまった。
《待たせた、いつでも大丈夫だ!》
「分かった……。なら、共に行こう!」
「(始まったか……!)」
一真が『PSYクオリア』を発現させ、貴之がそれに気付く。
絶望的とも言える状況で一真が落ち着きを取り戻した為、見ている人たちは不思議に思った。
「今回は先にこちら……『アーティラリーマン』でヴァンガードにアタック!」
「ノーガード、『ダメージチェック』……」
イメージ内で砲弾を受けた後の『ダメージチェック』はノートリガーで、パワーを上げられないままダメージが4になる。
「では、本日のショーの
《心配は無い、我らに任せよ》
「無論そのつもりだとも……私は受けて立とう」
イメージ内で『ジル』の蹴りを二回受け、これで『アルフレッド・アーリー』となった一真は消滅か……と思われたが、それは違った。
違和感を感じた玲奈がイメージをし直すと、そこには一真に応急処置を施している『エレイン』の姿があり、それをみた彼女は絶句することになる。
そのイメージが指し示す通り、一枚目が
「一真のイメージが上を行ったか……」
「玲奈も負けて無かったと思うけど……あれは見事だったな」
貴之は『PSYクオリア』に触れぬように話しを切り出し、俊哉がそれに乗ってくれた。
今回の
周りから「あいつのイメージ力は底無しか?」と疑う声も上がっており、それを拾った貴之は彼のイメージ力を超えることが大事だと再認識する。
「ありがとう、お陰で助かった」
《
「まさかあれを回復されるだなんて……」
ヴァンガードのパワーが『アクセルサークル』込みでも届かない状態になってしまった為、玲奈はこれ以上の攻撃を断念してターンを終了する。
「何を使う……?」
勝ちを確実にするなら何かに『ライド』することになるが、玲奈の手札が二枚しか無い状態である為、場合によってはこのまま勝てる状況でもあった。
そんな状況で一真のターンが始まり、ドローまで済ませる。
「勝つのならば、やはりこれだな……『ライド』!『エクスカルペイト・ザ・ブラスター』!」
「(あいつは何か制御の変化はしているか……?)」
地方で見なかった人たちが全員動揺している中、貴之は一真の目に注視する。もしかしたら自分と同じことをしているかもしれないからだ。
しかしながら、様子自体は以前と変わらずに『PSYクオリア』を使った制御であることが判明する。
「あれを耐え凌ぐ自身はあるか……?」
「俺のイメージ力を信じるしか無いかな。できるなら『エクスカルペイト』に『ライド』するより前に決着を付けてぇところだな」
『ブラスター・ブレード』による
それでもできないと言わないのは、向こうの手の内が全て判明したお陰でやり様はいくらでもあると思えるからだ。
これ以外にも、先程俊哉に言ったように「できるかできないか」の考えをしていないこと、友希那との約束も大きく関わっている。
「(後はやるだけ……。俺のイメージ力をぶつけてやるだけだ)」
貴之が己に言い聞かせたタイミングで、一真は『エクスカルペイト』のスキルを使った後に『フォース』をヴァンガードに設置する。このターンも、場のユニットが揃っている以上『メインフェイズ』は何もしない。
「では、行かせて貰おう……『エクスカルペイト』で全てのユニットにアタック!」
「……ここはノーガードしかないか」
玲奈も手札の都合で『エクスカルペイト』の攻撃を防いでも次が無いので、ここは受けるしか無い。
『ツインドライブ』は二枚ともノートリガーだったものの、内一枚が『ブラスター・ブレード』であった為、一真の自滅と言う形による敗北は消え去る。
そのまま『エクスカルペイト』のスキルで『ブラスター・ブレード』に『ライド』し、再度攻撃の準備が完了する。
「決着を付けよう……『うぃんがる』の『ブースト』、『ブラスター・ブレード』でこの劇に終幕を飾る!」
『ブラスター・ブレード』のパワーが上回っている為、玲奈はトリガー勝負に出るしかなかった。
この『ドライブチェック』で一真は
他のユニットを選ばなかった理由は、玲奈が
イメージ内では『ブラスター・ブレード』となった一真の剣による一閃が、『ビーストテイマー』となった玲奈を切り裂いて消滅させている。
それを表すかのように、『ダメージチェック』の一枚目がノートリガーだった為、これでファイトの決着が着いた。
「まさかあれを耐えられちゃうなんてなぁ……。でも、もう大丈夫そうだね?」
「ああ。後は思いっきりファイトをしてくるよ」
確かに負けたことに悔しさはあるが、一真が『PSYクオリア』を使用しても全く問題無いことに対する安堵もあった。
彼が長きに渡る葛藤を終えたことに満足しながら、玲奈は一真と共に挨拶を済ませてから終わったことを知らせる。
決勝戦は再び地方の時と同じ組み合わせで行われることとなり、この前に休憩の時間を用意されるのも同じだった。
ファイトの勝敗は前回のこの組み合わせと同じ結果になりましたが、終わった後は全く違うものになりました。
今回のRoseliaのパートでああなったのは、残った部分は次回のファイトと共に纏めてやろうと思ったこと、暫く結果を見れずに気になったらこうする可能性はあるだろうと考えた二点の影響ですね。
次回は貴之と一真による決勝戦ファイトを書いていきます。
何事も無ければ全国大会と同時にRoseliaのコンテストも決着が付くはずです。