サブタイの「ライド〇〇」はヴァンガード(旧アニメ版)を参考にしています。書き方を英語からカタカナに変えていますね。
まずは出だしとして日常部分と『イマジナリーギフトⅡ』の導入からです。
ラウクレは二日間とても楽しかったです。RoseliaとRAS、そしてスタッフの皆様には本当に感謝しかありませんよ……。
また、木曜日からリリース開始されたヴァンガードzeroも触りました。ガチャのリセマラ無しで『オーバーロード』を引けたので一安心です。
ライド1 新しき日々の始まり
「あら……気持ちよさそうに寝ているわね」
何者かが入って来て自分の寝ているのを見た感想を告げているが、貴之は反応する様子を見せない。
貴之の眠りは割と深い方であり、緊急事態でもなければアラーム音が聞こえるか、誰かに揺すられて起こされるかまではこうして寝たままであることが殆どである。
休日だった場合は基本的にアラームを掛けないので、普段より起きるのがある程度遅くなったりするのもそこにある。
入ってきた人物はそのままそっと貴之のところまで近寄り、彼の肩を優しく揺する。
「貴之、起きて。朝になったわよ?」
「ん……んぁ……?」
――時計のアラームこんなにいい声出すようになってたっけ?寝ぼけが残っているせいでずれた考えをしてしまった貴之はゆっくりと瞼を開く。
その開けた視界には微笑んでる友希那が一杯に映り、貴之が起きたのを確認した彼女が声を掛ける。
「おはよう、貴之。よく眠れたかしら?」
「ああ……友希那が起こしてくれたから、寝覚めもバッチリだな」
「そう。それならよかったわ」
貴之の反応に友希那も満足する。実際、貴之もすぐに布団から体を出した。
今日は三連休が終わって学校に登校する日であり、起こしに行くからと宣言していた友希那はこうして貴之にモーニングコールを行ったのだ。
ちなみにリサからはCordのチャットで『先に行ってるから、二人で仲良くおいで~♪』との文が来ている。貴之はまだ見ていないが、既に見ていた友希那はリサがニヤニヤと笑っていることを容易に想像できてしまった。
それはさておきとして、このままでは貴之が着替えられないだろうから先に伝えることだけ伝えておく。
「小百合さんから、もう朝ご飯できてるわよ」
「分かった着替えてすぐに行くよ」
「ええ。私は部屋を出たところで待っているわね」
友希那が部屋から出た後、貴之は手早く着替え、忘れ物がないかを確認してから鞄を持って部屋を後にし、そのまま友希那と二人でリビングまで降りる。
「おはよう、ユリ姉」
「あっ、おはよう貴之。友希那ちゃんもありがとうね」
「いえ、私がやりたくてやったことですから……」
――貴之、本当に良かったね。二人が一緒に降りてきて、自分も友希那とこう言ったやり取りができたことで小百合は改めてそう思った。
今日は友希那が来るのもあり、彼女の分はこちらで用意することとなった。今後もこうなるかは状況次第だろう。
三人揃って椅子に座ったので、同じタイミングで食べ始める。
「貴之は他の男子から刺さる目を……受けなさそうだね」
「
「と言うよりも、
友希那がかなりの美少女であったことから一瞬警戒した小百合だが、後江の人たちには「早くしろ」と急かされたと話していたのを思い出した。
女子校二つはどうなるかが怖いので、貴之は本気で頭を抱えそうになった。
この件に関しては、小百合が無理に手を出さない。友希那は聞かれた時に丁寧に答え、誤解を減らすようにすると言う方針を固める。
「あっ……そうなると、今度は私に色々問いかけて来るのかしら?」
「恋愛沙汰の話しだからな……年頃の女子たちなら多分来ると思う」
――だ、大丈夫かしら……?考えなければよかったと友希那は軽く後悔した。女子校では校内でそう言う関係になっている生徒を見ることはない為、可能性は十分に高い。
貴之が比較的落ち着いていられるのは、後江が共学であることが非常に大きく、まあ気にならないわけでもないだろうと考えることができるからだ。共学だとしても、恋愛沙汰に興味がある人は十分に多いのだ。
校内の出来事に関して小百合が手助けをすることは不可能なので、ここは頑張れとしか言いようがない。
「(私の場合、そもそも気になる相手を見つけることからだから……まだまだ先だね)」
実のところ小百合はそんな相手がいない為、もしかしたら結構大変かも知れないと考えていた。
ちなみにこれを以前貴之に話した時は、「俺に気を回し過ぎてブラコン疑惑掛かっちまったんじゃねぇの?」と言われてしまっている。友希那との時間を邪魔しない意味合いも兼ねて、自分を見つめ直すいい機会なのだろう。
程なくして全員が朝食食べ終わったので、一先ず流しに食器を片付けることだけしてもらう。二人が歯を磨く時間を入れたら登校する時間であり、時間に少し余裕のある小百合が手早くやってしまうのだ。
「じゃあ、一足早く行かせてもらうよ」
「ご馳走様でした。行ってきます」
「はーい。二人とも気を付けてね」
小百合に見送られて家を出た後、二人は手を繋いで道を歩いて行く。
「こうしているのが、何だか夢みたいに思えてくるよ……」
「でも、夢じゃない……私たちがやりきった結果だもの」
これは自分たちが進み切った証拠なのだから、胸を張っていい。友希那の言いたいことはこれである。
貴之はそれを分からないことは無いので、彼女の言葉に頷く。
「この前一回だけ、俺がここを離れるなんてことがなかったら、もっと早くこうしていられたのかなって考えたんだけど……」
「けど……?」
「結局勝ててたかどうかなんて分かんねぇし、どの道約束してたら変わらないってなって考えるのやめたんだ……馬鹿らしくってさ」
あまりにも正直過ぎる開き直りに、友希那は思いっきり笑った。
だが実際、離れていようとそうでなかろうと、約束を交わした場合は自分たちが届かないので対して変わらないどころか、寧ろ遅くなってしまった可能性も考えられる。
また、友希那は自分の父親のこともあるので、仮に約束無しに付き合い始めても自分から早とちりして台無しにしてしまう可能性もあったので、今のままでいいと言うこともできた。
「何というか、私たちにこう言った考えは合わない気がするわ」
「それは言えてるな……俺もらしくないと思う」
「なら、進み方は決まったわね」
前を向いて、信じる道を突き進む――。これが二人の出した結論だった。
途中で立ち止まることもあるかもしれない。それでも最後には行き先を決め、そこへ行けばいいのだ。
そうして歩いている内に羽丘の校門前まで辿り着き、貴之は後江へ行くのでここで一度別れることになる。
「今日はどうするの?」
「みんなで集まって、新しいルールの確認をする予定になってる」
「……新しいルール?」
「ああ、今日から『イマジナリーギフト』の追加があってな……みんなで追加された『イマジナリーギフト』の確認と、それを適用したファイトをしようって話しになってる」
新しい『イマジナリーギフト』は、『フォース』と『アクセル』、『プロテクト』にそれぞれ一つずつ追加される。
その効果と使い方を確認するべく、後江と宮地のファイターたちで一つの店に集まってみんなで確認することが決まっていた。
話しを聞いた友希那は後で結衣に確認してみようと考えた。
「そっちは今日から練習だっけ?」
「ええ。コンテストの後でしっかりと休んだから、そろそろね」
今は新しく方針を考える期間の貴之に対して、友希那はこの後もやるべき道がある。その為にはそろそろ練習を再開する必要があった。
かく言う貴之も今日は長居する可能性が高いので、もしかしたら友希那たちが練習を終えてもまだ店にいる可能性はあることを伝える。
「なら、練習が終わった後に一度連絡するわ」
「分かった。じゃあ時間だし、そろそろ行くよ」
「ええ。それじゃあまた」
貴之の姿が人の中に紛れ込むまでの間、友希那は手を振って彼を見送る。
その後校舎の中に入って教室へ移動していると、全体的に浮ついている様子の話し声が多いことに気付く。
「(ま、まさかだけれど……私かしら?)」
思い当たる節しかない友希那は、恐る恐る教室のドアを開けて軽く挨拶する。
一応、クラスメイトは普通に返してくれるのだが、どうも気になっていますと言いたげな様子が多い。
「湊さん湊さん、一つ聞いてもいいかな?」
「……私に?」
「うん。後江の彼と二人で来てたから、何かあったのかなって……」
――やっぱりそう言うことだったのね。予想が当たってしまった友希那は覚悟を決めるべきだと考え始めた。
この時幸いだったのは、リサと自分の間で何かがあったと考えられていなかったことで、もしそうだった場合は要らぬ誤解が広まる前にどうにか自分が抑えにいく必要がある。
話した後どうなるかを考えると不安ではあるが、何も言わないのが空気的に不味いのは馬鹿なことをやっていた時期に学んでいるので、もう答えるしか選択肢が無かった。
「じ、実はその……三連休の間から……私たち、付き合うことになって……」
「えっ!?ホント!?じゃあ、もしかして……!」
「え、ええ……今日初めて、二人きりで登校したの……」
答えるだけでも恥ずかしさが一杯になった友希那は顔を真っ赤にしていた。
その後クラスメイトの女子たちからは「予想が当たった!」とか、「女子校でもこう言うことあるんだ!」と言う喜びの声が上がる。
まだ恥かしさが残っているところに、是非とも話しを聞こうとクラスメイトたちが集まって来たので、友希那は思いっきり慌てることとなった。
「(この状況、結衣が来るまで助けは無さそうね……)」
結衣は結構遅い時間に来る為、暫くはこの状況が続くことを確信する。
――私……耐えられるのかしら?流石にクラスのほぼ全員と話すことなどなかった為、友希那は不安になった。
「あっ、始まった始まった……♪」
友希那が質問攻めを受ける一方で、リサはその声を聞いて予想通りであることを把握する。
ちなみに朝貴之と友希那が予想した通り、彼女の顔はこの上なくニヤニヤとした笑顔だった。
「ねぇねぇリサちー、何があったの?」
「おお、ヒナ。実はね~……友希那と貴之が付き合うようになったんだよ♪」
「ええ!?あの二人遂にそうなったのっ!?」
リサの様子が気になった日菜が理由を聞いてみると、内容が内容だった為に食いついた。
日菜の声を皮切りにリサと仲のよい友人も集まって来て、こちらも似た流れになったなとリサは感じ取る。
「よしよし……アタシでいいなら答えちゃうよ~。友希那から直接聞いた、
『……ホント!?』
その喰い付きっぷりにリサはしてやったりだった。
彼女らの念押しに肯定しながら、リサは二人による恋の
「(ちゃんとやることやった分のお礼ってことで、これくらいはやってあげないとね♪)」
――これで貴之も少しは気が楽になると思うな……♪リサの中にあるのは、友人が要らぬ悩みを持って苦労しないようにしてあげようと言う気遣いだった。
* * *
「と言うわけで、先日から友希那と付き合うことになってな……」
「あ、何?一回で成功したのお前!?」
貴之が後江に着いた後、羽丘と似たようなことがこちらでも起こっていた。
ファイターたちを筆頭にクラスメイトたちに己の恋の結果を話し、俊哉が目を剥きながら再確認してきたことに肯定する。
あまりにもすんなり行き過ぎだったので、貴之の回答を聞いた俊哉は腹を抱えて笑った。
「まあ何というか、やることやったならこうなるかとは思ってたが……流石に速いな」
「流れ出来上がってるのは分かってるけどさぁ……。やばい、普通に腹痛くなって来た……」
「俊哉お前、そんなに笑うことはねぇだろ……」
余程酷いことをしなければ失敗することはないと考えてた大介からも、一回は速かったようだ。
なお、まだ爆笑している俊哉を見た貴之は少々脱力気味になった。
「ところでどこまで行ったの?キスはした?同じ屋根の下で一夜を過ごした?それだけじゃ飽き足らず大人の階段を……」
「お前はちょっと落ち着け!?そうなって間もねぇんだぞこっちは!やれたとしてもキスまでになるだろうし、そもそもそれだってまだだ!」
放っておけば不味いセリフを言うところだった玲奈を必死の形相で止める。
実際のところ、キスですら付き合ってから一週間もしてない貴之らができれば運のいい方なのだから、大分高望みである。
「そうだ……こうして無事遠導が付き合ったってことで、改めて聞きたいんだが……」
「初恋のタイミングとその後の経緯と……」
「Roselia結成のサポート内容を♪」
「おぉ……そう来たか」
案の定クラスの全員が頷いて見せたのが確認できた為、貴之は一瞬だけ焦る。
結構こう言うのを答えるのは恥ずかしいので遠慮したいと言う人は多いのだろうが、貴之は不思議と話してもいいかなと考えていた。
何しろクラスの人たちは自分のことに関して変に荒波を立てず、話しを真剣に聞いてしっかりと理解してくれる人たちであることを知っていて、その心遣いが貴之に余計な心配をする時間を削り取ってくれていたので恩義を感じていたのだ。
「そうだな……そう言うことなら答えよう。どこから聞きたい?」
その結果、貴之は彼らの問いに応じることを選ぶ。これを聞いて「やった!」と喜んだり、「待ってました!」と歓迎する声が聞こえた。
まず初めに聞かれたのは貴之が歩み続けて来たヴァンガードの始まり。これには自分の初恋にも直結する為、自分がどのタイミングで友希那を好きになったかを伝え、そこからヴァンガードを知った経緯と『クラン』を『かげろう』に選んだ理由を話す。
貴之も初めてヴァンガードをした時は教えて貰いながらやっていたのだが、その時に貴之のファイトスタイルの一つを確立させる出来事があった。
「俺はその時教えてくれた人に、「『
――イメージしやすいからな。これが女子校や宮地だったらポカンとされる可能性は高かったが、ここは後江だったのでみんな真剣に話しを聞いてくれる。故に貴之も話しやすかった。
クラスメイトたちも貴之のスタイル確立の話しを聞けて嬉しいし、どんな掛け声や言い回しがあるのかに興味を持ってくれる人も出てきた。その為、興味を持ってくれた人には今度別個で答えて上げることにする。当然、これは俊哉たちも答えられるので、こっちでも聞かれたら答えるとアナウンスを入れてくれた。
ヴァンガードに踏み入れた経緯の後は、Roselia結成に当たるサポート内容に移る。
「と言っても……俺がやっていたのはそのパートができる人を探したのと、入る入らないで悩んでた人の背中を押して上げたくらいだけどな……」
「で、その背中を押した結果白金さんの騒動があったと……遠導君、割と危ない綱渡りしてるね?」
「その日リサに思いっきり咎められたから否定できねぇ……」
この後Roseliaがデビューした際に披露したオリジナル曲の一つである『Legendary』の誕生秘話や、中間テストの際に自分の家を使って勉強できる環境を用意したことを話したりする。
話しをしていった結果、貴之のことは『己の決めた道を最後まで進み切る意志の強さと他人を思いやれる優しさを持つが、時折情けない面も持ち合わせた親しみやすい人』と言うのがクラス内の評価になり、転校して以来かなり立ち位置が固まった形となった。
貴之の評価が固まったところで朝のHRが始まる寸前だったので、放課後のことは後で決めることとなった。
* * *
「白金さん……大丈夫ですか?」
「大丈夫です。あんな風に思われてるのは予想外でしたが……」
時は進んで放課後。紗夜と燐子は二人でライブハウスに移動を始めていた。
朝っぱらから燐子はクラスメイトの女子に「失恋した」と勘違いされていたようで、貴之絡みで色々聞かれている。
そんな最中紗夜が教室に入って来て、燐子に助け舟を出したことで事無きを得た。
「(ある程度は大丈夫な反応が増えているけど……意外に思う人はまだ多いわね)」
紗夜と燐子が同じバンドにいることもあり、話す機会が増えているのでその会話の様子で紗夜の人となりが変わっているのを知っている人は多い。
しかしながら元より真面目な部分が強かったせいか、流石に恋愛沙汰を普通に回答した時はクラスメイトたちが固まっていた。
もう少し何とかならないかと考えるが、今は仕方ない。時間を掛けて変わっていくだろう。
「今日から……また練習でしたね」
「ええ。十分に休めましたか?」
「はい。また今日から頑張りましょう」
今日からメインステージに向けた練習がある為、放課後は再びRoseliaで集まることになる。
ライブハウス自体には花女にいる二人が一番近い為、何事も無ければ彼女たちが目的地へ辿り着くだろう。
そして案の定自分たちが先に来たので、鍵を借りて置く旨を伝える。
「さて、そろそろ……」
「お待たせしました~っ!」
――来る頃ですね?と紗夜が言うよりも早く、ドアを開けたあこが到着を示してくれる。
直後に友希那とリサの二人も入ってきたことは、三人揃って来たのを表していた。
なお、彼女らが共に来る間に何かあったのか、友希那の頬は朱色に染まっている。
「あこちゃん、友希那さんがああなってるのは貴之君のこと?」
「うん。二人で出かけた時何があったとか聞いてたら途中からあんな感じになったの」
「いやぁ~、ごめんね友希那?ちょっと聞き込み過ぎちゃった……」
「クラスの人たちに聞かれ、あなたたちに聞かれ……暫くこれが続くのかしら?」
友希那からすれば、あっちやこっちで貴之との関係を聞きだされ、その度に何があったかを答えることになる。
その際に二人で出かけてどんな話しをしたかも思い出し、そこで恥かしさが出てきてこうなるのだ。
今日だけでそれをかなりの数やっていたので、友希那はこの先が少々不安になる。
「あこたちのクラスでもかなり盛り上がっていましたからね……「あの『歌姫』が!」って」
「色んなところで影響が出てるんだね……」
「上手くいった結果ですね……。ところで、練習前に一度休みますか?」
「いえ、大丈夫よ」
飲み物も持ってきており、それを口に入れることで友希那はクールダウンをする。
メインステージが近いので、やはり練習時間は有効に使って行きたいのもあった。
「待たせたわね……そろそろ始めましょう」
「メインステージでもやることは変わりません。私たちの音楽をするだけです」
「ええ。自分たちの音を突き詰めていき、その音で更に上を目指す。そして……」
――いつか、頂点に辿り着く。五人の想いは同じであり、その為にも早速練習を始めるのだった。
* * *
「はい。これが新しい『イマジナリーギフト』のガイドだよ。人数分あると思うけど、確認は忘れないでね?」
「ありがとうございます。使わせてもらいますね」
Roseliaの五人が練習を始めた頃、ファクトリーにて集まったファイターの七人たちも新しい『イマジナリーギフト』の確認を始めようとしていた。
貴之が美穂から『イマジナリーギフト』に関するガイドを人数分もらい、それを全員に渡してから確認を始める。
なお、効果を見なければ必要か否かが分からない為、新しい『イマジナリーギフト』の用意は各自で必要な分と言う形に収まった。
「元からあるのはその『イマジナリーギフト』の後ろにⅠ、新しく追加されるのはⅡを付け足して表記するのか……」
「一回目のギフト獲得でどっちにするかを選んで、決めたらそのファイトではそっちの『イマジナリーギフト』しか使えない。どっちかを前提に組むか、それとも分けられるようにするかで悩むね……」
「Ⅰは従来通りのもの、Ⅱは横向きのものにか……流石にどちらも同じでは分かりづらいか」
ギフトの効果が楽しみなのはあるが、先にルールを覚える必要がある為そちらを優先する。
新しいギフトが横向きなのは分かりやすくしたからだろうなで終わり、同時に使えないこと以外は従来通りの処理のしかたで大丈夫なことが判明する。
基礎的な確認が終われば、いよいよ肝心な新しいギフトの確認になる。
「『フォースⅡ』は元の
「『フォースⅡ』の置かれたサークルにいるユニットは元の
『フォース』はパワーの代わりに
と言うのも、『フォースⅠ』が元のパワーにプラスを与えるのに対して、『フォースⅡ』は元のクリティカルを変える効果なのだ。
仮に重複効果がアリな仕様の場合、重ね掛けによってその攻撃がヒットすれば勝ち確定と言う状況をあっさりと作り出してしまうので、それではバランスに問題が生じるだろう。
「マジか……これは俺、『フォースⅡ』を全く使えないかもな……」
「『ディメンジョンポリス』はパワー依存が激しいからきついだろうな……。こっちもこっちで使えなくは無いが、そうするならデッキの見直しが要ると思う……。その場合はⅠとⅡの使い分けになりそうだ」
「『ウォーターフォウル』も『ヌーベルバーグ』も、スキルを効果的に発動するならパワーが欲しいから、連続攻撃できる『オーバーロード』以外での活用が難しそうだね……。僕は『ブラスター・ブレード』を駆使して行けば比較的大丈夫そうかな」
この七人の中で『フォース』のギフトを持つ『クラン』を使うのは貴之と俊哉、一真の三人で、俊哉は落胆、貴之はデッキ更新の考慮をする。
特に、ヴァンガードのパワーに合わせて効果を発揮する『ディメンジョンポリス』を使う俊哉と『フォースⅡ』の相性は最悪で、実質的にギフトが増えてないも同然なほどであった。
『かげろう』も使えないわけではないが今の貴之が使うデッキ構成では難しく、現段階でも比較的有効なのはなのは一真の使う『ロイヤルパラディン』だった。
この時リサが選んだ『ネオネクタール』なら、『トークン』強化の相乗効果もあって有効そうだと貴之は考えた。
『フォース』組が全体的に苦い顔をすると言う嫌な結果を引きずりながら、次のギフトを確認する。
「『アクセルⅡ』はパワーの増加量を引き換えに手札を一枚引けるみたいだ」
「手札が一枚増えるのは大きいな……その一枚が流れを大きく左右するかも知れないし」
『アクセル』は自身のリアガードサークルを増やすことと、そのサークルが自分のターン中はパワーを増やすという効果は変わらない。
パワーのプラスが10000から5000と半減してしまっていることが少々痛いと思うかもしれないが、それ以上に手札が増やせると言う強力なアドバンテージを手にしている為、そこまで問題にはならないどころか代償の割に貰えるメリットの方が大きかった。
これはサークルが増えた分手札の消費が増えたことによる『フォース』の高パワー攻撃を防げない確立が減り、ギフト相性による不利を軽減することにも繋がっていた。
「今のデッキのままでも行けそうだ……」
「手札が増えるって言うのが大きいよね……あたしもこのまま使えそうだけど、デッキ変えて見てもよさそうだね」
「このままだとミスマッチになっちまうが、長期戦も視野に入れたデッキを作れば普通に使えそうだな」
『アクセル』のギフトを持つ『クラン』を使うのは竜馬と弘人、玲奈の三人で、大分好評だった。
玲奈は手札からの『ソウルチャージ』のコストが楽に確保でき、弘人も連続攻撃をするための準備がやりやすくなる。
竜馬の場合、『決めきれないと負け』なコンセプトをしている現在のデッキだとパワー不足を懸念されるが、デッキを組み替えるいい機会かも知れないと考えた。
概ね満足となった『アクセル』の確認が終わり、最後は『プロテクト』になる。
「『プロテクトⅡ』はリアガードサークルのどこかに設置して効果を発揮か……」
「ギフトを置かれたサークルにいるユニットはパワープラス5000と、『インターセプト』時に『シールドパワー』プラス10000。重ね掛けによる重複あり、か……」
『プロテクト』は従来とは大きく変わり、手札に加えるのではなくサークルに設置となった。
『完全ガード』の数を増やせると言うアドバンテージを捨てる代わりに、『インターセプト』とパワーの強化で苦手な終盤での押込みの補強と守りの強化を両立するものだと言える。
また、『プロテクトⅡ』の効果は相手のターンでも有効な為、相手が最後の押込みをする際に労力を増やすことにも一躍買うことができるだろう。
「俺のデッキだと現段階は使い分けか……やってみないと分からないところだな」
『プロテクト』を使うのは大介一人だが、『フォース』ほど絶望的でもないし、かと言って『アクセル』程手放しで喜べるものではなかった。
確かに有用な効果を持ってはいるが、今までの絶対的なアドバンテージとリスクヘッジをする為下手な評価を下しにくかったのも大きい。
一先ずこれでギフトの確認が終わったので、ここから全員でデッキを組み替えたり、ファイトをしたりで研究を始めていくことになる。
「そうだな……俺は一度デッキを組み替えてみるか。次の目標を見つけた時はこうしたいってのもあるし」
「貴之、入れ替え用のカード持って来てたのか?」
「『かげろう』のだけだけどな。これだけなら入りきるからさ」
――始めるなら、先に始めててくれて構わないぜ。と告げて貴之がデッキを組み直し始める。
それならお言葉に甘えて……と誰からやるかを決めるべく話し合っていたところ、既にどういったコンセプトで組むかを決めていた為、貴之がものの五分でデッキを組み替え終えた。
まだ決まっていなかったので、そのまま改めてみんなで決めることにした。
「『プロテクト』は俺しかいないし、自然と俺はやることになるな……」
「あっ、あたし先にやってもいい?」
『プロテクト』を確認するためにも大介が必ずどこかで一回はファイトする必要があり、それなら先にやってしまおうと言う流れになる。
そこに玲奈が思い切って名乗り出て、全員が問題無いと肯定したことにより、最初にファイトする組み合わせは決まった。
やはり変化した日常の一部は描きたい……そんな思いから日常パートを入れました。
実際に『イマジナリーギフトⅡ』を使ったファイト展開を書くのは次回からになります。
次回は玲奈と大介でファイトを行い、その次がデッキ変更後の貴之と誰かによるファイトになります。