先導者と歌姫 -高みを目指して-   作:ブリガンディ

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予告通り初の『イマジナリーギフトⅡ』を使ったファイトです。


ライド2 新たな戦術(ギフト)

「じゃあ、始めるか?」

 

準備を終えた大介の問いかけに玲奈が頷く。

デッキを編集したのは貴之だけだったので、二人は準備に時間は掛からない。

 

「「スタンドアップ・ヴァンガード!」」

 

玲奈が『メッセンジャー』、大介が『マガツウィンド』に『ライド』する。デッキが変わってない以上、この二人のファイトスタイルは変わらない。

今回は大介が先攻を獲得している為、彼のターンからファイトが始まる。

 

「まずは『フウキ』に『ライド』!スキルで一枚ドロー」

 

『フウキ』に『ライド』した後は特にやることも無く、大介はそのまま玲奈にターンを渡した。

 

「じゃあこっちも前準備から……『プレゼンター』に『ライド』!『ソウルチャージ』と一枚ドロー、『バニー』を『コール』!」

 

「お……玲奈はまだスイッチを入れてないな」

 

全国大会の終わった後であることを示すかのように、玲奈はまだスイッチの入った様子が無く、これに貴之が真っ先に気づいた。

確かにいつまでも肩の力を入れてても疲れるだけなので、このスタンスには賛成できた。これは彼女のなりに「気を楽にしよう」と言う呼びかけでもあった。

『バニー』は後列中央に呼ばれ、これで『メインフェイズ』でやりたいことは一通り完了することになる。

 

「じゃあ攻撃行くよ……?『バニー』で『ブースト』、『プレゼンター』でヴァンガードにアタック!」

 

「まあここはノーガードだな……。さあ来い!」

 

ダメージが0である以上強気の姿勢を取りやすく、大介は思い切った選択を取る。

今回の『ドライブチェック』は(ドロー)トリガーで、玲奈は一枚多く手札を獲得する。

対する大介の『ダメージチェック』はノートリガーだが、寧ろここでトリガーを引いてしまうと後が響くのでこの方が良かった。

ここでこのターンにできることが終わるので、再び大介にターンが回ってくる。

 

「後もう一ターンはいつも通りだろうな……」

 

「大事なのは三ターン目からだし、今は流れを優先的にでいいはずだね」

 

まだ『イマジナリーギフト』を獲得するターンではない為、その変化を見るのはもう少し先になる。

『プロテクト』は二つとも受動的な能力を有している為、それを見れないまま終わる確立が下がる先攻が大介だったのはそういった意味でも良かったのかもしれない。

次はどう動くだろうか?そんな予想が始まったところで大介の二ターン目が始まる。

 

「『マガツゲイル』に『ライド』!スキルで一枚ドロー」

 

さらに『メインフェイズ』で前列左側に二体目の『マガツゲイル』、前列右側に『チガスミ』、後列左側に『ドレッドマスター』、後列中央に『フウキ』を『コール』し、『ドレッドマスター』はスキルを発動する。

 

「こっちも攻撃だな『ドレッドマスター』で『ブースト』、『マガツゲイル』でヴァンガードにアタック!」

 

「ノーガード、『ダメージチェック』……」

 

流石にダメージが0なので玲奈はそのまま受ける。

彼女の『ダメージチェック』が(クリティカル)トリガーだったのを確認した後、『マガツゲイル』のスキルで『ブースト』を終えた『ドレッドマスター』を手札に戻す。

 

「次は『フウキ』の『ブースト』、『マガツゲイル』でヴァンガードにアタック!」

 

「うーん……それもノーガードかな」

 

一瞬悩んだが、(クリティカル)を引かれたら防ごうと割り切る。

その判断でノーガードにしたら、大介は『ドライブチェック』で(クリティカル)トリガーを引き当てて見せた。パワーは足りているので、まだ攻撃を行っていない『チガスミ』に回される。

『ダメージチェック』では二枚ともノートリガーで、これにより玲奈のダメージが3になった。

 

「最後に『チガスミ』でヴァンガードにアタック!この時、手札を一枚捨ててパワープラス15000!」

 

「流石にそれは防ぐよ!『お菓子なピエロ』で『ガード』!」

 

トリガー込みで34000になっていた『チガスミ』の攻撃を、合計パワー38000で防ぎきる。

これで大介がこのターンにできることが無くなった為、玲奈にターンが回る。

 

「では……本日もショーの披露を始めましょう。『ライド』、『ニトロジャグラー』!」

 

「おっ、玲奈のスイッチが入った」

 

「このターンからスイッチを入れるのは定番ってのもあるが、『イマジナリーギフト』が近いしな……」

 

貴之の言った通り、次のターンからは互いに『イマジナリーギフト』を使い始める。これがどう関わってくるかも重要なところだった。

『ライド』された『プレゼンター』のスキルで『ソウルチャージ』を行い、『ソウル』から『カテット』を後列左側に『コール』、さらに『ニトロジャグラー』のスキルで『ソウルチャージ』を行う。この段階で『ソウル』が4となる。

『メインフェイズ』では前列右側に二体目の『ニトロジャグラー』、後列右側に『トラピージスト』を『コール』し、『カテット』と『ニトロジャグラー』のスキルで一回ずつ『ソウルチャージ』を行う。これによって『ソウル』が6になり、次のターンで『アーティラリーマン』を出すだろうと予想できた。

 

「それでは攻撃を……『バニー』の『ブースト』、『ニトロジャグラー』でヴァンガードにアタック!」

 

「よし、ここはノーガードだな」

 

まだダメージは1、この後自分は『イマジナリーギフト』もあることと、この後『ライド』するユニットを考えれば防がなくていいと判断した。

玲奈の『ドライブチェック』は(フロント)トリガーで、次を防ぐのが面倒だと感じさせる。この攻撃を受けた大介の『ダメージチェック』がノートリガーだったことがそれに拍車を掛けた。

 

「次は『トラピージスト』の『ブースト』、『ニトロジャグラー』でヴァンガードにアタック!」

 

「ここは受けるか。『ダメージチェック』……」

 

『ダメージチェック』の結果はノートリガーで、両者のダメージが3になったところで玲奈の二ターン目が終了する。

この段階で『ソウル』が8まで溜まっているので、見ている五人に『クジキリコンゴウ』は選択肢から外れることを予想された。

玲奈のデッキを知っている以上、この『ソウル』数を前に『アーティラリーマン』を警戒しない理由がどこにもなかった。

 

「俺のターン、『スタンド』アンド『ドロー』……よし、ここからだな?」

 

「ええ……いつでもどうぞ?共に今回のショーを盛り上げましょう?」

 

「そう言うことなら早速使わせてもらうか……『ライド』!『マガツストーム』!『イマジナリーギフト』、『プロテクトⅡ』!これを前列左側に設置する」

 

早速大介は新しい『イマジナリーギフト』の投入を決断する。この選択は玲奈に誘われたのもあるし、実際に使ってみんなで調べる目的があるのもそうだ。

しかしながら、本人としては自分のデッキとの相性を確かめたいと言う理由があり、二つの理由がなくとも自分から使用していたことは予見で来ていた。

ここから新しい『イマジナリーギフト』の動きを見れる……と言うところで、貴之の携帯が振動したので確認する。

 

「(なるほど……俺が言ってたことが気になったんだな)」

 

友希那からCordによるチャットがきており、内容は練習が終わったからそちらへ向かうと言う旨のものだった。

今回は自分たちが七人で集まっていることから、五人全員で来ると邪魔になる可能性を考慮して友希那とリサの二人で来るそうだ。

『イマジナリーギフト』の確認とデッキの編集、そしてこのファイトを始めるまでの間にそれなりの時間が経っており、恐らく次のファイトを始める直前か、そのファイトの最中に来るだろう。

そこまで考えきった貴之は、了解の旨を返信してからファイトを見るのに戻る。

 

「『メインフェイズ』だが……ここは『オボロザクラ』と『サクラフブキ』を『コール』!二体とも登場時のスキルは発動させる!」

 

『オボロザクラ』は前列左側、『サクラフブキ』は後列左側に『コール』される。

両者がスキルを発動し、『プロテクトⅡ』の効果が働いている為、『ブースト』を入れれば合計で11000ものパワーがプラスされる。

 

「よし、まずは『チガスミ』でヴァンガードにアタック!」

 

「スキルを使わないなら……『フープ・マジシャン』にお願いしましょう」

 

パワーが互いに9000だった為、『シールドパワー』を持つ何かを呼ばれた段階で防がれることは決まっていた。

イメージ内では『フープ・マジシャン』が『チガスミ』の眼前にフープを置き、勢い余ってそれを通り抜けた『チガスミ』が別の場所から情けない体制で落っこちて来た。

 

「次は『フウキ』の『ブースト』、『マガツストーム』でヴァンガードにアタック!」

 

「なら……ここは一度ノーガード」

 

「なるほど……イメージ力の勝負ってことか」

 

――正直、この手の勝負は余り好きじゃ無いんだがな……。大介自身、地方大会と『ヌーベルバーグ』の制御を習熟していた時期の貴之に対してこの勝負で連敗していた故に、少々苦手意識があった。

ただ、ヴァンガードを続けていく以上、必ずこう言った場所に当たるので愚痴にはせず、気を取り直して『ツインドライブ』を行う。

その結果は一枚目がノートリガー。二枚目が(ドロー)トリガーとなり、まずまずといった結果を引き出した。

対する玲奈の『ダメージチェック』は(ドロー)トリガーで、向こうも手札を一枚増やす結果になった。

 

「ここは後で楽にしておこう。『サクラフブキ』で『ブースト』、『オボロザクラ』でヴァンガードにアタック!」

 

「それはノーガード。『ダメージチェック』……」

 

『ダメージチェック』の結果はノートリガーで、ここまでで大介のダメージが3、玲奈のダメージが5とそれなりに差がついた結果となった。

しかしこれでも気が抜けないのは、この後猛攻が待っていることに他ならない。

 

「パワーを補えるから自分のターンでも効果はあるが……」

 

「『インターセプト』のこともあるし、相手ターンの方が効果を発揮しやすいんだろうな……」

 

『プロテクトⅡ』はパワーの上昇量が少なめなので、その評価が下る。

他にも相手ターンで効果が消えないことも影響しており、尚更守り向きであることを意識させられる。

 

「私のターン、『スタンド』アンド『ドロー』……ではこちらも本番へ行きましょう……『ライド』!『ゴールデン・ビーストテイマー』!『イマジナリーギフト』、『アクセルⅡ』!」

 

玲奈も同様に新しい『イマジナリーギフト』を使用する。こちらはパワー増加量の減少を引き換えに、手札の確保を行う。

『メインフェイズ』では『ビーストテイマー』のスキルで空いている二つのサークルに展開を行う為、『カテット』のスキルによる『ソウルチャージ』のみを行う。

やることが終わった以上、後は『バトルフェイズ』で攻撃を行うのだが、ここで玲奈は一つのことを思い出す。

 

「(『プロテクトⅡ』はこっちのターンでもパワー増加の効果があるんだよね……)」

 

玲奈のターンで早速『プロテクトⅡ』が大きな仕事をした。このターンで決めたい玲奈としては、『インターセプト』が強化される以外にも、常時パワー増加を掛ける『プロテクトⅡ』が非常に嫌らしかった。

こちらの攻撃回数は恐らく五回になるが、全てヴァンガードに回すのか、それとも一部をリアガードサークルに回すのか、非常に悩ましいところだった。

 

「(こっちもこっちで結構危ないからな……どうするか)」

 

対する大介も、手札が五枚の状態で五回の攻撃を受ける為、状況次第では非常に危険な綱渡りをすることになる。

この非常に奥深い状況下において、見ている五人はそれぞれ自分ならどうするかを考える。

 

「(『ビーストテイマー』の攻撃を『プロテクトⅡ』の置かれてるユニットに回すか、それともヴァンガードに回すか……大介が『完全ガード』を持ってることと、ダメージが3なのが判断を困らせるな……)」

 

先にリアガードの攻撃で『プロテクトⅡ』のあるサークルにいる『オボロザクラ』を退却させてしまうと言う手段も取れるのだが、そうすると(フロント)トリガーを引いた際にとても勿体ないことになってしまう。

大介のダメージが4なら全てをヴァンガードに回してしまうし、ダメージが2ならリアガード退却を優先させたのだが、どちらとも言えない非常に判断の困る状況下だった。

 

「こういう時だからこそ……勝負の時間にしましょう。『バニー』の『ブースト』、『ビーストテイマー』でヴァンガードにアタック!」

 

「掛けてくるか……それなら乗った!『マガツストーム』のスキル発動!」

 

玲奈が選んだ方針は全てヴァンガードに攻撃。つまりはこのターンで勝負を決めに行く方針であった。

当然『ビーストテイマー』のスキルを発動し、『ソウル』から前列左側に『ジル』を。『アクセルサークル』には『ありす』を『コール』する。

手札が危ない上に、スキル発動条件を満たしている為、大介も迷わず後列にいるリアガード二体を退却させて攻撃のヒットを免れる。

それでも『ツインドライブ』は残っており、ここで玲奈は(フロント)トリガーと(クリティカル)トリガーを一枚ずつ引き当てる。この時(クリティカル)トリガーの効果はすべて『ありす』に与え、少しでも攻撃を通しやすくする。

手札五枚の内一つが『完全ガード』である為、それ以外で使える手札は多くて三枚が関の山であった。

 

「次は『ありす』でヴァンガードにアタック!」

 

「これは一旦掛けるしかないか……?ノーガード!」

 

相手のパワーが上がっている為、トリガー次第ではそのまま敗北の可能性を予見できていた大介はトリガー狙いでノーガードを選択する。この選択は『ありす』のパワーが40000まで上がっており、(クリティカル)が3で無い為、ここでのトリガーの出具合が判断材料になると考えたからだ。

イメージ内で『ありす』の操り糸を絡められた『マガツストーム』となった大介が、ゆっくりと締められる中で『ダメージチェック』を行う。

その結果は一枚目がノートリガー、二枚目が(ドロー)トリガーとなり、まだ望みを見出せる状態となった。

 

「攻撃終了時、『ありす』のスキルで締めくくり担当の『ラリーマン』を『コール』!」

 

「(さて……後三回、どうにか防げるな)」

 

手札を確認した大介はこの場を凌ぎ切れることを確認する。しかしながら、問題はその後どう攻め込むかだ。

向こうが手札を一枚増えいるのもあり、パワー増加のできるスキルを持つユニットを揃えないと厳しいだろう。更にはトリガー勝負まで込みな為、大介にとっては二度目の苦手な戦いが強いられる結果になる。

とは言っても逃げるつもりは無いので、大介としてはそのまま真っ向から立ち向かう心持ちだった。

 

「次は『バニー』の『ブースト』、『ジル』でヴァンガードにアタック!」

 

「それは『クロガネ』で『ガード』!」

 

トリガーも込みで合計パワーが30000となっていた『ジル』の攻撃は、合計パワー37000で迎え撃たれる。

先程引いたトリガーが大きな手助けとなっていた。

 

「次は『トラピージスト』の『ブースト』、『ニトロジャグラー』でヴァンガードにアタック!」

 

「ここで『プロテクトⅡ』の効果を発揮させるか……!『オボロザクラ』で『インターセプト』!」

 

「『プロテクトⅡ』のおかげで、『インターセプト』をした『オボロザクラ』の『シールドパワー』は15000……これなら防ぎきれるな」

 

『プロテクトⅡ』の恩恵が働き、『オボロザクラ』一体だけで合計パワーが37000となり、これで合計パワー29000のアタックに耐えられた。

パワーの計算をしていた弘人は、攻撃する前に『プロテクトⅡ』にいるユニットへの攻撃するべきかもしれないという考えを強めた。

また、それと同時に『プロテクトⅡ』を潰すなら貴之が使う『オーバーロード』のように、連続攻撃のできるユニットが最適かもしれないと考えが出てくる。

と言うのも、『完全ガード』を無効化するタイプや、手札から『ガーディアン』を呼ぶ際に制限を掛けるタイプでは効力が足りないのが大きく、連続攻撃のできるユニットならトリガーでパワーを得て再攻撃できるからと言うのも大きかった。

『インターセプト』強化の効果がある為、それが無いと効果を腐らせやすい難点こそあれど、総じて汎用性が高い『イマジナリーギフト』であるとファイターたちに認識させる。

 

「では最後に……『アーティラリーマン』でヴァンガードにアタック!」

 

「『ミジンガクレ』で『完全ガード』!」

 

『ソウル』が10だった為『アーティラリーマン』のパワーは50000になっており、どの道手札を二枚以上使うのが決まっていたので思い切って『完全ガード』を切った。

と言うのも、次のターンで決めなければこちらの負けなので、勝ちを取るのならここで『完全ガード』を抱える為にユニットを多く消費するわけにはいかなかった。

せめて『完全ガード』を使わせたと割り切った玲奈はターンを終了する。

 

「(あ……ここで手札が増えてると少し安心かも)」

 

手札が一枚確保できていることにより、玲奈は安心を感じていた。『アクセルⅡ』の手札を確保する能力により、大介はトリガーと引き当てるユニット次第では勝ち切れない状況に追い込んでいるのだ。

これが『アクセルⅠ』ならどちらかが欠けていても勝機はあったかもしれないが、『アクセルⅡ』の効果がどちらも揃える必要性を出している。

『フォースⅡ』が唯一別方向への強化をするのなら、『アクセルⅡ』と『プロテクトⅡ』は総じて汎用性の高い強化を行う形と言えるだろう。

 

「キツイ状況だが、やるしかないな……」

 

こちらに残された攻撃回数は条件を満たせれば良くて五回。満たせないなら三回となってしまう。

その上相手の手札を考えると最低でもトリガーが一枚、『完全ガード』があるなら二枚引かなければならず、少しでもことが上手く運ばなければ負けてしまう状況だった。

 

「(だが待て。こういう時、貴之(あいつ)はユニットと己のイメージを信じてたよな……)」

 

ここで大介は一度冷静になり、こう言った土壇場で負けなしに最も近い相手のことを思い返す。

そして思い返すと同時に、自分もやってみようと考えた。

――よし、じゃあ早速。一度ここから打ち勝つイメージをし直してから、大介は自分のターンを始める。

 

「(……?少し感じが変わったか?)」

 

「(目が貴之に近くなったのかな。あれならきっと大丈夫)」

 

その変化に早く気づいたのは竜馬と弘人の二人で、小学時代から彼を知っている故に気づけた結果となる。

 

「俺のターン、『スタンド』アンド『ドロー』……おっと。これならまだやれそうだな」

 

「(なんだろう……?嫌な予感がする)」

 

ファイトをしている玲奈も二人に遅れて大介の変化に気付き、得体の知れない感じに警戒を強める。

人の変化等に対して鋭敏な所のある貴之も引っ掛かるものはあるが何かまでは分かっていない、そんな状況で大介は『ライドフェイズ』に入る。

 

「もう一回『マガツストーム』に『ライド』!『プロテクトⅡ』は前列右側に!さらに『マガツゲイル』と『フウキ』、『サクラフブキ』を『コール』して、『マガツゲイル』のスキル発動!」

 

『マガツゲイル』のスキルによって引き当てることができたのは『チガスミ』であり、これによって残りはトリガー勝負だけになった。

ここまで来れば後は『バトルフェイズ』で成否を決めるだけだった。

 

「通しやすくしてからだな……まずは『チガスミ』で『ニトロジャグラー』を攻撃!」

 

「トリガー勝負に出るしかない……ここはノーガード!」

 

大介の狙いに気づいた玲奈は大人しく攻撃を受けることにする。『プロテクトⅡ』の影響でパワーが上がっており、こちらがいたずらに手札を使えば、残りの攻撃が止められなくなってしまう。

イメージ内で『チガスミ』の爪による鋭い一撃を受けた『ニトロジャグラー』はバランスを崩し、ジャグリングしていた爆薬入りの試験管が自身の近くで割れてしまう。

その時発生した爆発をまともに受けてしまい、『ニトロジャグラー』はステージから退場(退却)せざるを得ない状況になった。

 

「次は『マガツゲイル』で『ジル』に攻撃!」

 

「っ……それもノーガード」

 

これによって玲奈は『インターセプト』が不可能になってしまい、残りの攻撃は手札のユニットで防ぐ必要が出てきた。

『マガツゲイル』のスキルで『チガスミ』を退却させた後、大介は『マガツストーム』のスキルで前列の二つに『チガスミ』、後列右側に『ドレッドマスター』を『コール』する。

これで残すはトリガー勝負となり、これに撃ちてば大介の勝利はほぼ確実となる。

 

「よし……『フウキ』の『ブースト』、『マガツストーム』でヴァンガードにアタック!」

 

「『冥界の催眠術師』で『完全ガード』!」

 

ダメージが5なのでノーガードの選択肢は真っ先に捨てることとなり、トリガーによる突破を避けるなら手札を二枚以上消費するのが決まった故に『完全ガード』を使用する。

――大丈夫だ、行ける……。『ツインドライブ』を行う時、大介はそんな確信を抱いていた。

結果はその確信が形になったかのように二枚とも(クリティカル)トリガーで、左右の『チガスミ』にパワーと(クリティカル)を一つずつ与える。

 

「よし……これで完成だ」

 

「やるな……『チガスミ』のスキルでパワーラインを引き上げられるから、残りの手札からして届く……」

 

「青山さんは片方を止めるだけで手一杯……見事なイメージだね」

 

「(なんか引っ掛かると思ったが、あれは俺がイメージする方法まんま使ったのか……)」

 

ファイトの流れを見た俊哉と一真が大介を称賛し、貴之が感じ取っていたものの正体に気づく。

 

「よし、『ドレッドマスター』の『ブースト』、『チガスミ』でヴァンガードにアタック!攻撃時に『チガスミ』のスキル発動!」

 

「『ポイゾン・ジャグラー』と『フープ・マジシャン』、それから『プレゼンター』と『トラピージスト』で『ガード』!」

 

残りの手札五枚の内、四枚を使って合計パワーを52000まで引き上げ、合計パワー62000で防ぐ。

しかしながら攻撃を防ぐまでは良かったが、残りの手札が一枚となってしまい、次の攻撃は防ぎようが無かった。

 

「最後だ……『サクラフブキ』の『ブースト』、『チガスミ』でヴァンガードにアタック!」

 

「お見事としか言いようがないね……ノーガード」

 

見事に逆転されてしたことを称賛しながら玲奈は宣言した。

イメージ内で『チガスミ』の投げ放った忍具が『ビーストテイマー』となった玲奈に刺さり、彼女は『クレイ』から消滅する。

それを示唆するように『ダメージチェック』ではノートリガーで、新しい『イマジナリーギフト』を使用した最初のファイトは大介の勝利で終わる。

 

「どうにか上手くできたな……」

 

「最後のターンで何か変わったと思ったけど……その調子なら大丈夫そうだね?」

 

「ああ。後は今の感じを忘れないようにしておくだけだ」

 

最後に挨拶をしてからファイトが終わる。

早速次のファイト……とはいかず、一度新しい『イマジナリーギフト』を使用した感想を口にする。

 

「『マガツストーム』を主軸に行くなら『プロテクトⅡ』は相性がいいと思ったな。元々攻撃をヒットさせない手段が多いからさ」

 

『クジキリコンゴウ』を使用していないのでそちらは把握し切れていないが、『マガツストーム』だけを見ればかなり戦いやすかった。

今のデッキでも『プロテクトⅡ』で戦うことは十分に可能だが、デッキを組み替えて確認してみるのもアリだと考える。

 

「今回は上手く行かなかったけど、『アクセルⅡ』自体は全然悪く無かったよ。というか、明確に『アクセルⅠ』を使うデッキコンセプトでもない限り、基本はこっち一択でいいかも……」

 

玲奈がこの結論を下したのは、やはり手札を一枚確保できることにある。パワーの上昇量が減ったのは寂しい点ではあるが、『アクセルサークル』自体手数を増やせることに最大の意義があるので、そのデメリットは些細なものとして流せる。

自分が使っているデッキも現段階では『アクセルⅡ』一択に近しい状況だが、組み方次第では変わるかも知れないと考えた玲奈は後で組み替えも考慮しようと考えた。

 

「次は『フォースⅡ』を確認するが……デッキ変更した貴之が纏めてやればいいか?」

 

「俺は構わねぇけど……」

 

俊哉と一真に確認してみようとしたところで、背中に柔らかい物が押し付けられる感じがした。

その柔らかい感触が誰のものか、貴之は直ぐに分かった。

 

「友希那、来たみたいだな」

 

「ええ。リサも一緒よ」

 

「やっほ~♪二人揃って来たよ~」

 

友希那が自分と体を密着させるのを辞めたのを確認してから振り向くと、彼女は笑みを浮かべて答えてくれる。

リサは二人のやり取りはこれからも続くかなと思う程度で普通にしているが、後江組と宮地組はそれぞれの反応を示す。

 

「なるほど……聞いた話しは本当だったか」

 

「二人揃ってお熱いねぇ~……でも、付き合って間もないからしょうがないか」

 

「本当に長かったからな。掴んだのは離すなよ?そうなったら俺らも悲しい」

 

「「「……え?もうそうなったの?」」」

 

先に学校で話しを聞いていた後江組は事実確認で終わったが、宮地組は今朝後江で起きたような反応になった。

気になりはするものの本人たちが聞き疲れてしまっている可能性の考慮と、今日は新しい『イマジナリーギフト』を使ったファイトの為に来ているので、また今度聞ける時に聞いてみることにした。

 

「んで……次は俺だったか。誰がやる?」

 

「なら、僕とやろう。この二人でファイトする機会も余り多くないしさ……」

 

弘人の進言に貴之は頷く。確かに初対面以来彼とは一度もファイトしていなかったのだ。

他にも二人が来たこともあって、新しい『イマジナリーギフト』を複数見せた方が良いだろうという考えが全員の中で出ていたことも大きい。

 

「貴之がさっきデッキ組み替えてたから、面白いことになるかもよ?」

 

「その組み替えた直後のファイトを見れるのね……こっちへ来てよかったわ」

 

玲奈から話しを聞いた友希那はデッキを変えた貴之の戦いがどうなのかに胸を躍らせながら、準備している彼を見守るのだった。




新しい『イマジナリーギフト』を使ったファイトは大介の勝利となりました。
『プロテクト』絡みを新しく紹介しようとするとどうしても長引くのでどうするかと考えた結果、大介を先攻に回してみました。

描写内だとまだ貴之とファイトしていないということで相手を弘人に決めました。
次回はこの二人によるファイトとなります。
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