「デッキも変えて新しいギフトも確かめる……一辺に詰め込んで大丈夫?」
「これくらいなら問題無い。『ヌーベルバーグ』の負担を耐えられるようにするんじゃないしな」
――あれをやったから感覚が麻痺しているんだろうか?自分の問いに回答を貰った弘人は思わずそう考える。
纏めて複数のことをやるのが苦手な人だとどっちつかずになるのだが、実のところ貴之はそこまで苦手ではなかったりする。
何しろ自身が大会の為にファイトを重ねて腕を上げると同時に、Roseliaのメンバー集めと『Legendary』作成の協力、さらには一部の人たちの背中を押したりしているので、寧ろ得意な方である。
「まあ貴之だし、『オーバーロード』は入ってるな」
「そうなると後はサポートするユニットたちかぁ……」
小学生時代から共にヴァンガードをやっていた俊哉と玲奈は当然、他の全員も貴之だからと『オーバーロード』がいるのは確定事項で見ていた。
貴之自身もそこは把握されているだろうから気にすることはない。
「(あれが使えるかどうかは……また今度にしよう)」
決勝戦のファイトで使えたあの力が気にならないわけではないが、今回は新しい『イマジナリーギフト』とデッキの確認を優先する為、後回しにする。
――瑞希さんたち……何か知ってるのかな?少し考えながら、貴之も準備を進める。
「よし。準備できたぞ」
「なら、始めよう」
互いに合意をしたので、残りは始めるだけとなる。
「「スタンドアップ!」」
「ザ!」
「「ヴァンガード!」」
弘人は『エリック』に、貴之は『アンドゥー』に『ライド』する。
流石に『ファーストヴァンガード』を変える必要は無しとなったのだろう。全員でこの後の流れを見ることにする。
「そうだな……ここは『ステリオス』に『ライド』!スキルで一枚ドロー」
ファイトは弘人の先攻で始まり、少し悩んでから『ステリオス』になることを選ぶ。
全国大会の決勝で取った、開始早々リアガードも混ぜて一気に攻め込んでくる戦術を警戒してのものだった。
『メインフェイズ』では特にすることは無く、そのままターンを終了する。
「じゃあ早速デッキの変更点だな……『ライド』、『サーベル・ドラゴニュート』!スキルで一枚ドロー」
「早速新しいユニットだ……」
「なるほど……とても便利なサポートユニット持って来たね」
貴之は一振りの剣を持った二足歩行のできる翼竜『サーベル・ドラゴニュート』に『ライド』する。
また新しいユニットが見れたことでリサが興味津々な声を出し、一真は以前見たことがある故の評価を下す。
『メインフェイズ』で貴之は『ラオピア』を後列中央に呼ぶ。『ステリオス』に『ライド』された段階でパワー負けしており、前列に二体出しの選択肢が早速消えていたのだ。
「じゃあ行くぜ……『ラオピア』の『ブースト』、『サーベル・ドラゴニュート』でヴァンガードにアタック!」
「そうだね……ここは……ノーガードにしようか」
「……?どうしてあそこまで悩んでいたの?」
「それは『サーベル・ドラゴニュート』のスキルが関係してるんだ……攻撃はヒットするから、この後見れるよ」
貴之としては防がれようがそうでなかろうがどちらでも良かった。対する弘人はどちらも自分にとって良くないことが起こる故に悩んだのだ。
聞いてきた友希那に、玲奈はその悩ませた存在だけ教えておく。見ながら覚えた方がいいと思ったのも大きい。
この『ドライブチェック』で貴之は
イメージ内で『サーベル・ドラゴニュート』となった貴之が、軽い身のこなしで近寄ってから手持ちの剣で『ステリオス』となった弘人に攻撃を加える。
攻撃を受けた弘人の『ダメージチェック』はノートリガーで、そのままダメージが1となる。
「ヴァンガードにいる『サーベル・ドラゴニュート』の攻撃がヒットした時、スキルで一枚ドロー!」
「なるほど……手札の差がどの道増えてしまうのね?」
「うん。だから篠崎君はあんなに悩んでたの」
貴之が『サーベル・ドラゴニュート』を採用するに当たって一番の理由がここにあり、分かりやすく強力な効果を持っていることにある。
今までは退却効果とパワー増加の効果等を優先的に入れる都合上外していたが、再び使用することで効果の強さを貴之は改めて実感した。
攻撃も終えてこのターンにできることは終わったので、ターン終了の宣言をして弘人にターンを回す。
「あまりのんびりとしてはいられなさそうだ……『アルゴス』に『ライド』!」
『メインフェイズ』で前列左側に『タイダル・アサルト』、前列右側に『ステリオス』、後列左側と後列中央に『ビビアナ』が『コール』される。
「五回攻撃……まあ何とかなるか」
五回攻撃と言えども、追加攻撃は『ブースト』無しと自身のスキルによるパワー減少がある為、トリガー次第では途中でその攻撃が止まるのだ。
最悪は手札を複数切ることも想定しながら、弘人の攻撃に備える。
「さあ来い……!」
「行かせてもらうよ。まずは『タイダル・アサルト』でヴァンガードにアタック!『ソウルブラスト』して『スタンド』!」
「ノーガード、『ダメージチェック』……」
まず一回目の『ダメージチェック』はノートリガーで、貴之のダメージが1になる。
後二回トリガーが来ない場合は確実に手札を消費することになるので、そうなった時のことを考え始める。
「次は『ステリオス』でヴァンガードにアタック!」
「それもノーガードで行こう。『ダメージチェック』……」
この『ダメージチェック』では
トリガーのおかげで、『アルゴス』以外の攻撃はトリガーを引かねば届かないことが決まった為、貴之としては非常に安心できる結果となった。
「一度勝負だね……『ビビアナ』の『ブースト』、『アルゴス』でヴァンガードにアタック!『アルゴス』のスキルで『ステリオス』を『スタンド』、『ビビアナ』のスキルで一枚ドロー、パワーをプラス3000!」
「いいぜ……ならこっちもノーガードだ!」
『サーベル・ドラゴニュート』のパワーが19000、『アルゴス』のパワーが20000となるが、先程
弘人の『ドライブチェック』は
イメージ内で『アルゴス』となった弘人の銃撃を『サーベル・ドラゴニュート』となった貴之が浴びた後、『ダメージチェック』が行われる。
その結果は
仕方がないので弘人はターンを終了し、貴之に番を回す。
「多分この辺りでバレるだろうな……『ライド』、『ドラゴンフルアーマード・バスター』!」
「……赤い『ドラゴンアーマード・ナイト』?」
「見た目はそんな感じだよね?」
貴之は赤い鎧を身に纏い、炎のような色をした剣を持つ戦士『フルアーマード・バスター』に『ライド』する。
友希那とリサが口にした通り、その見た目は『ドラゴンアーマード・ナイト』に近しいものであった。
そんな二人の言葉を聞いた貴之は、「違いはここからだぜ?」と前置きをする。
「登場時、二枚『ソウルブラスト』することで相手リアガードを一枚退却させる!今回選ぶのは……『タイダル・アサルト』!」
「手数を減らすならこっちだよね……!」
同じ縦列が埋まっていない『ステリオス』よりも、『タイダル・アサルト』を退却させた方が確実に手数を減らせるからこそであった。
イメージ内で『フルアーマード・バスター』となった貴之が剣から炎を飛ばし、その炎が『タイダル・アサルト』の体を焼いて退却させる。
ここまでだけなら、『ダメージゾーン』のカードを使わない代わりにリターンの安くなった『バーサーク・ドラゴン』のように見えるが、このスキルの真価は次にあった。
「さらにデッキの上から七枚見て、『オーバーロード』と名の付くカードを一枚公開して手札に加えることができる……俺が選ぶのは、『ドラゴニック・オーバーロード』!」
『バーサーク・ドラゴン』との差異点はここにあり、『オーバーロード』と名の付くユニットを確実に加えやすい点にある。
また、この貴之が公開した『オーバーロード』を見た全員が気づいた。
「貴之、その『オーバーロード』はもしかしてだが……」
「ああ、こいつは旧来のイラストだ」
貴之が現在デッキに入れている『オーバーロード』のイラストは、貴之が初めて暫くするまでのものであった。
一真の問いに肯定し、貴之はこのイラストの『オーバーロード』を採用するに至った経緯を話す。
「デッキを作るに当たって、俺の原点って何かを思い返すと『
――こっちのイラストを使ったのは、その原点に立ち返った意味合いを込めてるんだ。その答えに全員がなるほどと思った。
『オーバーロード』を見れば回帰だが、貴之のことだからそれ以外にも何か一歩進んだものを用意してそうだと、貴之を古くから知る人たちは考える。
この後『メインフェイズ』で前列左側と前列右側に『バーサーク・ドラゴン』、後列左側に『サーベル・ドラゴニュート』、後列右側には赤い鎧と小盾、片手で振るえる剣を持った戦士『ドラゴンナイト ブルジュ』が『コール』される。
「さて、二回目の攻撃だ……まずは『サーベル・ドラゴニュート』の『ブースト』、『バーサーク・ドラゴン』でヴァンガードにアタック!」
「ノーガード、『ダメージチェック』……」
一回目の『ダメージチェック』はノートリガーで、弘人のダメージが2になる。
「次は『ラオピア』の『ブースト』、『フルアーマード・バスター』でヴァンガードにアタック!」
「トリガーさえ来なければいいが……ノーガード!」
トリガーを引かれたら流石に『ガード』することを弘人は決めた。
幸いにも『ドライブチェック』はノートリガーで、これ以上パワーが増えることは無い事になる。
イメージ内で『フルアーマード・バスター』となった貴之が、剣に炎を纏わせた状態で『アルゴス』となった弘人にぶつける。
その後の『ダメージチェック』では
「仕方ねぇ。『ブルジュ』の『ブースト』、『バーサーク・ドラゴン』で『ステリオス』に攻撃!」
「消費はできないな。ノーガード」
「相手リアガードを退却させた時、自身を退却させることでリアガードにいる『サーベル・ドラゴニュート』のスキル発動!山札から一枚手札に加える」
「また手札を加えた……便利だね~」
「あのユニット、貴之のデッキの短所を補っているのかしら?」
『サーベル・ドラゴニュート』のスキルを始めて見た友希那とリサの持った感想は的を得ており、ファイターたちは関心を示す。
貴之のデッキは今まで手札を確保する手段が少なく、『ドライブチェック』を省くと『バーサーク・ドラゴン』か、『ライド』された時の『アンドゥー』しか存在していなかった。
それによって生じる不足気味な手札を、このユニットのスキルで補い、後を楽にできるのだ。
貴之がターンを終了したことで互いに二ターンが終わり、貴之のダメージが2、弘人のダメージが3で僅かに貴之が有利な状況となった。
「よし……僕も使ってみるとしよう。『メイルストローム』に『ライド』!『イマジナリーギフト』、『アクセルⅡ』!」
「あれが新しい『イマジナリーギフト』……?」
二人がまだ新しいギフトのことを知らなかったので、玲奈が自分が貰ったガイドを貸す。
原則として最初に選んだ方を使っていくのを覚えた後、『アクセルⅡ』の能力を確認する。
「えっ……?手札を一枚増やせるの?」
「これ、パワーの増加量が減るよりもメリットが大きそうね」
「あたしもさっき使ってみたけど、手札の一枚は大きいよ」
――やっぱり二人も気づくよね。玲奈は彼女たちの反応を見て納得する。やはりそれだけ手札が増える影響は大きいのである。貴之も『サーベル・ドラゴニュート』を引っ張り出してきた辺り、どのデッキでも基本的に手札は多くても困らないのだ。
『メインフェイズ』で弘人は前列左側と前列右側に『ラザロス』を、後列右側に『テオ』を『コール』する。
「まずは『アルゴス』でヴァンガードにアタック!『カウンターブラスト』発動!」
「そいつは『バー』で『ガード』だ!」
どの道もう一回攻撃が来るなら、先に防いでしまおうという判断だった。
三回目と四回目は絶対に防ぐつもりでいる為、残りの攻撃は四回となる。
「では行こう……『ステリオス』の『ブースト』、『メイルストローム』でヴァンガードにアタック!」
「そうだな……ここはノーガード」
残り二回を確実に防ぐなら、ここで手札消耗を避けたいと考える。
弘人の『ツインドライブ』は一枚目がノートリガー、二枚目が
対する貴之の『ダメージチェック』はノートリガーで、ダメージが3になる。
「さあどうする……?『テオ』の『ブースト』、『ラザロス』でヴァンガードにアタック!」
「『サーベル・ドラゴニュート』で『ガード』、左の『バーサーク・ドラゴン』で『インターセプト』!」
スキル込みで『ラザロス』のパワーが20000だった為、貴之はパワー25000で迎え撃つ。
この攻撃は受けると『メイルストローム』がスタンドするわ、『テオ』のスキルで誰かのパワーが上がるわといいことが何もない為、防がない理由は無かった。
「次は『ビビアナ』の『ブースト』、『ラザロス』でヴァンガードにアタック!この時『ビビアナ』のスキルを発動!」
「これ以上場の損失は出来ねぇな……『ワイバーンガード バリィ』!」
「……ここで『完全ガード』は珍しいわね」
貴之ならば普段は余りしない選択だったので、友希那は率直な感想を呟く。
手札に十分な『シールドパワー』を持つユニットがおらず、後々響くくらいならという決断をした結果だった。
ともあれ、これで『メイルストローム』は『スタンド』しなくなったので、残す攻撃はあと一回となった。
「では最後に『アルゴス』でヴァンガードにアタック!」
「ノーガード。『ダメージチェック』……」
このダメージチェックでは
貴之のダメージが4になったところで、弘人のターンが終了する。
「よし、行くか……!ライド・ザ・ヴァンガード!『ドラゴニック・オーバーロード』!『イマジナリーギフト』、『フォースⅡ』!前列左側の
「パワーじゃなくて
「ヒットさせやすくするのでは無く、ヒットした後を取った形だね」
『フォースⅡ』の能力の所感は正に一真が言った通りだろう。また、この特性を見た時、ファイターたちはそうだが友希那とリサも『ディメンジョンポリス』とは相性が悪いだろうと容易に想像できた。
ちなみに貴之がリアガードサークルに置くことを選んだ理由としては、『オーバーロード』は『ツインドライブ』と連続攻撃で圧力を掛けられるので、多方向から圧力を掛けて見ようと思ったのからだ。
『メインフェイズ』で前列左側に『フルアーマード・バスター』、後列左側に『ラオピア』を『コール』するが、貴之の『メインフェイズ』はまだ終わらない。
「相手リアガードが四体以上なら、『カウンターブラスト』と自身を『ソウル』に置くことで『ブルジュ』のスキル発動!相手リアガードを一体退却させ、こちらのリアガード一体のパワーをプラス10000!」
平時はパワーが6000しかない『ブルジュ』の強みはここにあり、自身が『ソウル』にいくことで『ソウルブラスト』も行いやすくなるのだ。今回は『アルゴス』を退却させる。
このパワー増加は『フルアーマード・バスター』に与え、空いた後列右側に『サーベル・ドラゴニュート』を『コール』し、『オーバーロード』の『ソウルブラスト』を行ってようやく貴之の『メインフェイズ』が完了する。
「攻撃行くぜ……まずは『サーベル・ドラゴニュート』の『ブースト』、『バーサーク・ドラゴン』でヴァンガードにアタック!」
「そこはノーガードにしよう。『ダメージチェック』……」
パワーこそ増えていないから防ぎやすいものの、ヒットした時のデメリットが最も少ないのでトリガー狙いをする。
『ダメージチェック』の結果は
「次は『ラオピア』の『ブースト』、『フルアーマード・バスター』でヴァンガードにアタック!」
「流石に防ごう!『医療士官』で『ガード』!」
現在のダメージが4、『フルアーマード・バスター』の
最初は弘人もノーガードで行こうと思ったのだが、『フォースⅡ』で
「早速『フォースⅡ』の圧力が出たな……」
「今後はトンデモパワーか
ヒットした時のリターンが増えると言うことは、相手が『ガード』しなければならない条件が大きくなる。その効果が早速現れていた。
更にこの後『オーバーロード』の相手もしなければならないので、多方向からの圧力が効いてきていた。
「次は『オーバーロード』で左の『ラザロス』にアタック!」
「ここは仕方ない……ノーガード!」
残り手札が四枚で、内一枚が『完全ガード』である為、次を防ぐ為にここは諦めた。
『ツインドライブ』では一枚目が
この後『オーバーロード』を『スタンド』させ、二回目の攻撃ができるようになる。
「最後だ……『ラオピア』の『ブースト』、『オーバーロード』でヴァンガードにアタック!」
「『
合計パワーが51000となっていた『オーバーロード』の攻撃は、宝石のように透明な翡翠の盾を持った士官『パスカリス』に防がれる。
この選択は貴之のイメージ力の強さを警戒したことから来るもので、案の定『ドライブチェック』で貴之は
ここで全ての行動が終わったので、貴之のターンが終了する。
「(『アクセルⅡ』の効果が効いてるな……丁度全てのサークルを埋められる)」
ユニットのいないサークルは三つだったが、今の『スタンド』アンド『ドロー』により、丁度手札が三枚になった。
これのおかげで全てのサークルにユニットを展開することが可能となり、十分に勝ちの目が見えるようになる。
「『ライドフェイズ』は飛ばして……『メインフェイズ』に移ろう」
前列左側に三体目の『ラザロス』、後列左側に『ビビアナ』、『アクセルサークル』には『ネイブルゲイザー』が『コール』される。
どの道最大で五回攻撃になってしまうのならと、『アクセルサークル』の増加を諦めて、『メイルストローム』の『ツインドライブ』二回に賭けることを選んだ。
「では行くよ……!まずは『ステリオス』の『ブースト』、『メイルストローム』でヴァンガードにアタック!」
「賭けるか……ノーガード!」
ダメージが3なのでトリガー次第で敗北してしまうが、己のイメージを信じることにした。
弘人の『ツインドライブ』は一枚目がノートリガー、二枚目は
対する貴之の『ダメージチェック』はノートリガーで、ダメージが4となる。
「次は『ネイブルゲイザー』でヴァンガードにアタック!」
「まだ『メイルストローム』の条件じゃない……これもノーガードだ」
「次とその次だっけ?」
「貴之のトリガーと手札次第だと防ぎきられるかもな……」
リサの確認に頷いて大介が答える。次の『ダメージチェック』が大きく関係してくるだろうことは予想できた。
そして『ダメージチェック』で貴之は
『完全ガード』も保有しているので後二回の攻撃は確実に防げるが、自身の『ダメージゾーン』を見て貴之は一つのことを考えた。
「(
自身の使っている『イマジナリーギフト』が『フォースⅡ』であることもあり、思いついたことを狙ってみる考えを取る。
その為には意図的に『メイルストローム』の『スタンド』する条件を満たさせるのだが、これは『完全ガード』で対策できるので心配無かった。
「次は『ビビアナ』の『ブースト』、『ラザロス』でヴァンガードにアタック!二体とも『スキル発動』!」
「こっちは『ター』で『ガード』だ!」
合計パワー33000の『ラザロス』による攻撃は、合計パワー38000の前に阻まれる。
「これは厳しいかな……『テオ』の『ブースト』、『ラザロス』でヴァンガードにアタック!」
「そいつは利用させてもらうぜ……ノーガードだ!」
「えっ、防がない……?」
思わず声を出した友希那のみならず、攻撃宣言をしていた弘人ですら疑問に思った。
とは言え『完全ガード』を使わせるチャンスなので、そのチャンスは有難く利用させてもらうことにする。
対する思惑があった貴之の『ダメージチェック』はノートリガーで、次のターンに向けた用意が全て整った。
「最後に、『メイルストローム』でヴァンガードにアタック!」
「『ワイバーンガード バリィ』で『完全ガード』!」
流石にこの攻撃を防がない理由は無く、『完全ガード』を使う。
『ツインドライブ』が一枚目が
「さて……俺のターンだが一度聞いておこう。さっきのノーガードを疑問に思ったの何人いる?」
試しに聞いてみたら結局全員から手が挙がった。特に弘人はその筆頭である。
「じゃあ、何をしようとしたかの答え合わせだな……括目せよ、『オーバーロード』の新たな姿を!ライド・ザ・ヴァンガード!」
「(『オーバーロード』の……新たな姿?)」
貴之の前触れが友希那は非常に気になり、同時にこの前触れは貴之が『オーバーロード』の運用に特化しているデッキにしたことを意識させる。
イメージ内で『オーバーロード』となった貴之を、紅蓮の炎が竜巻となって包み込む。
その竜巻が薄れて行くと、顔つきと体の色合いこそ『オーバーロード』とさして変わらないものの、それ以外の部分はかなり変化が見られた。
まず初めに背の翼はより翼竜らしくなり、片手で振るうための刀が二つに増えているのでそれぞれに一つずつ持っている。更にその刀を持っている腕以外にも新しく数周り太い腕が左右に一つずつ増え、足も筋肉量が増えたように太くなっており、全体的にマッシヴな印象を感じさせる姿になっていた。
「『ドラゴニック・オーバーロード・ザ・グレート』!」
そのユニットこそ、『ドラゴニック・オーバーロード・ザ・グレート』。貴之が『オーバーロード』の運用に特化したデッキを作る際に取り入れた、このデッキにおける現段階の切り札である。
また、貴之はこのデッキを作るに当たり、『オーバーロード』と『グレート』以外のグレード3以上のユニットを、一度
「あれが新しい『オーバーロード』……」
「何というか……マッチョな感じするね?」
リサの感想は、『オーバーロード』と比べて全体的に体が太ましくなったことが起因するだろう。
また、貴之の狙いに気づいた弘人が額から一筋の冷や汗を流す。その狙いが完全に決まった場合、自分はどう足掻いても敗北を免れることが叶わないからだ。
「『グレート』の登場時、『ドロップゾーン』から『ドラゴニック・ネオフレイム』を一体まで探し、リアガードに『コール』することができる!今回は当然『コール』させてもらう。さらに、『フォースⅡ』はヴァンガードに!」
前列右側に真っ赤な体を持った龍の『ドラゴニック・ネオフレイム』が『コール』された。
これによって全ての用意が整い、後は攻撃して狙いを完成させるだけだった。
「よし、まずは『ネオフレイム』で左の『ラザロス』にアタック!」
「やられた……!ここはノーガード!」
もし見逃してくれるなら『インターセプト』をするつもりでいたが、その思惑を潰されてしまったのでここは防ぐのを諦める。
イメージ内で『ネオフレイム』が口から業火を吐き出し、『ラザロス』を焼く。それに耐えられなかった『ラザロス』は退却することになる。
ここで『サーベル・ドラゴニュート』のスキルを使っても良かったのだが、そもそも流れが出来上がっているので、その必要はなかった。
「ここで一回使わせる……!『ラオピア』の『ブースト』、『フルアーマード・バスター』でヴァンガードにアタック!」
「それは『インテリジェンス』で『ガード』!」
パワー23000となっていた『フルアーマード・バスター』の攻撃を、合計パワー27000で受け切る。
しかしこれで残りの手札が『完全ガード』を含めて二枚になってしまい、非常に苦しい状況となる。
「取り敢えず使って貰おう……『グレート』でヴァンガードにアタック!『グレート』が攻撃した時、『ネオフレイム』のスキル発動!攻撃中『グレート』のパワーをプラス5000!さらに二枚『カウンターブラスト』することで
「やむを得ないか……『パスカリス』で『完全ガード』!」
このスキルの発動は仮にノーガードだった場合、確実に倒せる確率を上げる為の物だった。
こうなるとトリガーにお祈り……と言うわけにもいかないので、弘人は防ぐことを選択する。
「ちょっと待て。確か、『グレート』の『スタンド』条件ってよ……」
「満たしてるな……」
竜馬が気付き、俊哉が頷く。また、この会話のおかげで、友希那とリサが攻撃をヒットさせることが条件じゃないことに気付く。
『ツインドライブ』で貴之は二枚とも
「アタックしたバトルが終了した時、『ソウル』にグレード3のユニットがあるなら、『カウンターブラスト』と手札を二枚捨てることで『グレート』のスキル発動!ドライブを1減らす代わりに『グレート』と……『ネオフレイム』の一体を『スタンド』させる!」
「だから、最初の攻撃をヴァンガードにしていたのね……」
「『ネオフレイム』も『スタンド』するから後二回攻撃できるんだ……」
このデッキは『ネオフレイム』がいてくれるおかげで最大五回攻撃が可能となっており、ちょっとした『アクセルサークル』のような芸当も可能となっていた。
ユニット一体の最大パワーが下がりやすいコンセプトのデッキだが、その分安定感は増したと言えるだろう。
「残り二回の一回目はこうだな……『サーベル・ドラゴニュート』の『ブースト』、『ネオフレイム』で『ラザロス』に攻撃!」
「もう防げない……『ラザロス』は退却だね」
弘人の手札は先程無くなってしまっているので、もう防ぐことはできない。
再び『リアガード』が退却することで、『ラオピア』のパワーが18000まで上がる。
「最後だ……『ラオピア』の『ブースト』、『グレート』でヴァンガードにアタック!この時『ネオフレイム』は『カウンターブラスト』も発動!」
「ならば勝負だ!受けて立つ!」
「いいぜ……なら、チェック・ザ・ドライブトリガー!」
現在のダメージは4である為、貴之が
そんな一発勝負の状況下で、貴之が『ドライブチェック』を行う。
『……!』
「ゲット!
その結果は
「え、えっと……『フォースⅡ』は元の
「ああ。今の『グレート』はパワー66000、
友希那の問いに貴之は堂々と答える。特に
「えっ!?な、何その数値!?」
「ああ……うん、これは酷い」
「流石イメージの鬼だ……」
「こう言うのを平然とやって来るから貴之相手は怖いんだよねぇ……」
「運が悪かったとしか言えないねこれは……」
「弘人、心を強く持てよ?」
「(貴之相手にこれは……予想が甘すぎたね)」
その数値を聞いてリサ、俊哉、大介、玲奈、一真、竜馬の順で口にする。
一方で弘人は自分の考えの浅さを反省していた。間近で戦って、貴之のイメージ力を改めて実感したことも大きい。
イメージ内で『グレート』なった貴之は、刀を持っていない腕で一回ずつ殴り飛ばした後に右足で蹴り飛ばし、左右の刀で一回ずつ切り付け、二つの刀でX字斬りの順で『メイルストローム』となった弘人に連撃を見舞った。
『ダメージチェック』は最初の二枚が
「見事にやられたよ……いいデッキだね」
「この組み方で正解だったみてぇだ。前のデッキからさらにクリアなイメージができる」
今までのデッキで一番すんなりと順応ができた。貴之からすればそう断言してもいいくらいだった。それ程までに今回のデッキが手に馴染むのである。
互いにファイトが終わった挨拶をした後、こちらでも『イマジナリーギフト』の話しが始まる。
「後、『フォースⅡ』は予想以上に相性がよかったな。このデッキは『ネオフレイム』も判断材料にして使い分けかもな……それか、『ゴジョー』か『エルモ』を組み合わせて『フォースⅡ』だけに絞り込むこともできそうだ」
「なるほど……こっちはさっき青山さんが言った通り『アクセルⅡ』だけでやっていけそうだよ。やっぱり、手札が増えるのが大きくてね……そのおかげでサークルを埋めることだってできたし」
組み替え前から一転、貴之は『フォースⅡ』に対してかなりの高評価を下す。連続攻撃と
弘人も玲奈と同じく手札増加の重要さを思い知る。特に自身の四ターン目はその恩恵を最大限に受けている。
「これは組み替えを考えてもいいかもしれねぇな……『イマジナリーギフト』が増えたから新しい戦い方だってできるだろうし」
竜馬の考えは最もだった。中には貴之のように組み替えの準備をしておけばよかったと思う人もいる程である。
とは言え、そのデッキを組むためにも新しい『イマジナリーギフト』の使用感は知っておきたいので、一先ずファイトして情報を持って帰りたいと言う思いが強い。
「じゃあ、次は誰が……」
「みんながよければだけど……そっちの人たちの相手してあげてもらってもいいかな?みんなとやりたそうだから……」
どうするか決めようとしたところで、美穂から声が掛かったのでそちらを振り向くと、今日『ファクトリー』にいた人たちがこちらに注目していた。
元々『ファクトリー』が対戦好きな人たちが集まりやすい場所であり、全国大会に出る人たちに善戦した人、全国大会に出ている人、しまいには優勝者もいるのだから、それは注目されても何らおかしくはない。
――別にいいけど、誰が誰とやればいいんだろうか……?そう考えていたところを玲奈が一気に持っていく。
「あっ、女の子いる!?あたしとやろう!」
『は、早い……』
女子で集まっているところを見つけた玲奈が真っ先に目を輝かせながら向かって行き、そこの人たちから承諾をもらえたので幸せそうな顔で準備を始めた。
それを見た途端、貴之たちも楽な配分を思いついた。
「よし……俺とファイトしたい人いるか?」
呼びかけることで、自分に来て欲しい人たちを探すことにした。
貴之が最初に聞いてみたところ、強いファイターと戦いたい人たちが集まっていた場所で手が上がり、そちらへ行くことになる。
「じゃあ行ってくる」
「ええ。頑張って」
「友希那の応援があればいくらでも頑張れそうだ」
恋人になれたからこその軽いやり取りを済ませ、貴之は自分とファイトしたい人たちの場所に向かう。
その後も誰かが聞いて来て欲しい人たちのところへ行き、全員が求められた場所に辿り着く。
「あっ、二人もこっちに来る?」
「……行く?」
「こう言う機会も中々ないし、せっかくだから行こうよ」
玲奈の誘いに乗り、友希那とリサもそちらに混ぜてもらうことになる。
『スタンドアップ!』
「ザ!」
『ヴァンガード!』
「(ファイトしてるみんな……どこも楽しそうだね)」
美穂が見渡せばファイトしている人も、それを見ている人もみんなが楽しいと顔に書いてある表情をしていた。
正しく思い出の『
貴之のデッキはトライアルデッキ『櫂トシキ』をブースターパック『結成!チームQ4』とブースターパック『救世の光 破滅の理』に出てくる『かげろう』のカードを使って編集したデッキになります。
再現性に拘るのなら『オーバーロード』はトライアルデッキのものではなく、『チームQ4』に出てくる
また、何気に本小説で初めて
次回からイベントシナリオの『思い繋ぐ、未完成な歌』を本小説風に合わせた展開でやっていこうと思います。