先導者と歌姫 -高みを目指して-   作:ブリガンディ

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明けましておめでとうございます。新年初の投稿となります。
イベントシナリオの順番が思ったより入れ替わりました……
今回やった順番としては1話(4話要素込み)→2話→3話です。

バンドリTV楽しく見させていただきました。今年もまた頑張れそうです。

ちなみにガルパのフェス限は新メンバーでは無く、既存の限定メンバーを複数当たりました。一人だけでも新規欲しかったなぁ……。
その一方でヴァンガードzeroは新ガチャで早々に『ウォーターフォウル』が当たったので、こちらに運を吸われた可能性があります(笑)。


ライド5 折れた翼、未熟な翼

「あちゃ~、見事にバラバラだねぇ……」

 

「このままでは平行線を辿ってしまいそうですね……」

 

メインステージで歌う為の曲を決めている際、友希那以外の四人が順番に出して行った結果を見て頭を抱えることになる。

リサは『Roseliaと言えば』と考えて『BLACK SHOUT』、紗夜が『自分たちの技術を表しやすいもの』と考えて『Re:birthday』、燐子は『Roseliaの変化』を考えて『Legendary』、あこは『三曲だけでイメージを強く持たれないように』気を付ける意味合いでも新曲を提案していた。

新曲をアリにしていたのは、友希那も選択肢が足りないと感じていたからにあり、あこも大変なのは分かっているが選べなかったこともあり、「ごめんなさい……」と一言詫びを入れている。

 

「(本当に……これを持って来ていて良かったわ)」

 

仕方がないので消去法を使って演奏する曲を決めるのだが、ここもそれぞれの思いが間違いではないので平行線が続いてしまう。

やはり『大事なフェスだから』と言う想いが当人の主張を強くするし、慎重にもさせているのだ。故に普段と比べて控えめな人は主張が強めになり、主張している人は逆に少し落ち着いている。

全員がそれぞれ『悪いのは分かっているけど……』や、『それでもこうしたい……』と言う二つの想いを程よい強さで押し合っている為、このままでは終わらなそうな気もして来た。

こうなると一石を投じる何かが必要となるのだが、友希那は丁度それを持っていたことに心から安堵することになった。

 

「……友希那さん、どうかしましたか?」

 

「えっ?ああ、ごめんなさい。この話しをどこで切り出そうか……少し考えていたの」

 

燐子に問われたことで思考を現実に引き戻した友希那は、部屋で見つけていたカセットテープをテーブルの上に置く。

この時リサは書かれている字に見覚えがあると感じていたが、確信を持てないでいたので、まだそのことには触れないでおく。

 

「ちょっと、みんなに聴いてほしい曲があるの……」

 

「へ?聴いてほしいって……どうしたの?」

 

「……これは代案と呼べるものかもしれないけれど」

 

――悩んでいた新曲のこと、どうにかなるかもしれないわ。話しが平行線を辿っていたせいで進まなそうだと思っていた四人に取っては渡りに船だった。

その為一度聴いてみることを選び、友希那はそのカセットテープに入っている曲を再生する。

 

「……!」

 

「(この曲……なんて完成度なの!?)」

 

その曲を聴き終えたあこは息を呑み、紗夜はレベルの高さに驚く。

自分たちの技術を上回っているかもしれないとすら思えるその曲は、今の彼女らに影響を及ぼすには十分すぎるものを持っていた。

 

「(す、すごくカッコいい……もし、友希那さんがこの曲を歌ったら……)」

 

燐子は友希那が歌った時の姿を想像してみると、彼女の歌声なら似合うと思った。

男性が歌っていることによって歌詞のずれがある為、そこを友希那向けに合わせれば問題無いだろうとも考える。

 

「(凄いねこれ……聴いてるだけで、胸がギュッと締め付けられる……)」

 

――激しくて、だけど繊細で……。リサもこの曲に心を動かされていた。

少し調整をして、練習を重ねれば演奏できる。コンテストのおかげでリサは後ろ向きな考えをすることが減っていた。

最初はもう新曲を作ったのかと言う驚きを持っていたが、歌いだしからそれは違うことに気づけているのは全員共通だろう。

その中でリサは一人だけ、もう一つの点に気づけた。それはとある人物の人となりを知っているリサだからこそであった。

 

「(この歌声……暫く聴いて無かったから思い出すのに時間かかったけど……)」

 

――後で、友希那に聞けるタイミングあるかな?一人で決めることを辞めたからこそ皆に話すことをしたのだから、機会はあるだろう。

そして曲を聴き終わり、暫しの間沈黙が走る。

 

「どうだったかしら?今まで以上にレベルの高いものになるけれど……」

 

『……』

 

この曲をメインステージに持っていくかどうかを決める為の判断材料が欲しいため、友希那は投げかけてみる。

自分は一度聴いてたから予想はできていたものの、やはり曲に圧倒されて少しの間固まっていた。

 

「……ごい」

 

「……?」

 

最初に反応を示したのはあこだった。硬直が解けたばかりで消え入るような声だった為、友希那は聞き取り切れずに思わず耳を澄ませてしまう。

どう思われたか少々不安になった友希那だが、それがすぐ杞憂に終わったことを告げられる。

 

「すごい、すごいっ……すっご~い!カッコいい……!超カッコいいです!ね、りんりん!」

 

「うん……素敵な曲だったね」

 

「あこ、この曲ライブで演奏してみたいっ!」

 

「私も……大変かもしれないけど、演奏してみたいな……」

 

あこと燐子は非常に乗り気であり、もう早速自分たちならこうするといいのではと曲調に関して考え始める。

予想以上に反応が良かったので、今度は友希那が硬直してしまった。

 

「二人とも完全に気に入ったみたいだねぇ~……アタシもだな~♪」

 

「そうですね……確かにいい曲ですし、演奏してみたいと言う気持ちもありますが……湊さん。一つ確認をいいですか?」

 

「いいわ。言ってみて」

 

何か聞かれるかもしれないと言うのは覚悟していた為、友希那はそこまで気負わず先を促す。

元より、全員から同意を得られるかどうかが大事である為、当人たちが気になったら解決する必要があるのだ。

 

「この曲は一体……誰が歌っているのですか?」

 

「そうね。歌っているのが私じゃないのだから……聞かれるわね」

 

紗夜が聞いたことで、二人で話し込んでいたあこと燐子も話しを止めて友希那の方に顔を向ける。

ならばと答えようとしたことで、友希那はリサの目に気づいた。

 

「答える前にだけど……リサ、あなたは気づいているの?」

 

「多分ね。カセットの字と歌声で思い浮かんだんだけど……その歌、友希那のお父さんのだよね?」

 

「ええ。この曲は、お父さんが実際に歌うことが叶わずそのまま残っていたものなの……」

 

「友希那さんの……お父さんの……?」

 

時期としては、スカウトを受けて『売る為の音楽』を強要される直前に作り上げたものであり、全盛期とも呼べる時期に作られた為に歌声の熱が強かい。

しかし実際にこの曲を歌う前に勧誘を受け、以後は友希那があのような事をしでかす前触れを作るような日々が続いてしまうこととなってしまった。

そうして音楽を辞めた際に彼は自分の音楽に関するものを全て処分した筈なのだが、どういう訳かこの曲の入ったカセットテープだけは友希那の部屋に置かれており、先日『選択肢が足りない』と感じて押し入れから探していた友希那が発見して今に至るのだった。

見つけた直後は気になって仕方が無くて気付かなかったが、よくよく考えたらこの曲を歌うことは、()()()()()()()()()()()()のも同義であった。

 

「な、なるほど……そんなことがあったんですね」

 

「ええ。これは私たちが一から作った曲では無いから後で許可を取りに行く必要もあるし、それにはあなたたちの同意を貰う必要があったの」

 

「そうですね。ここで誰か一人が反対したのなら、諦めた方がいいでしょうから……」

 

全員で方針を合わせなければ良い物はできないし、元を作ってくれた人たちにも申し訳ない。

紗夜の言葉を聞いたあこと燐子は先に話し込んでしまっていたので冷や汗を掻くが、紗夜が「反対はしていませんよ」と言ってくれたので安堵する。

実際のところリサも賛成だし、紗夜も賛成の意を示してくれた為、この点に関しては最早問題無いだろう。

 

「なら、ここでの問題はあと一つになります」

 

「……あと一つ?」

 

「うん。友希那は……どうしたいの?」

 

首を傾げた当人に向けて、リサが問いかける。

全員が賛成したのはいい。しかし肝心な当人からの意思を聞けていない。それが最後の問題であった。

ならばと思った友希那は「私は……」と前置きをする。

 

「機会を貰えるなら、私はあの曲を歌いたい……。翼が折れてしまった鳥ように残されたあの曲にもう一度命を吹き込んで、メインステージで羽ばたかせてあげたい……」

 

彼女たちが演奏したいと言ったように、友希那もその想いを伝える。

伝えて終わりでは無く、友希那はもう一つやることが残されていた。

 

「メインステージまで時間が無いし、私情で選んだのは申し訳ないと思ってる。それでも、この曲が演奏したいと言ってくれるのなら……」

 

――私に、皆の力を貸して欲しい。友希那は右手を己の胸に当て、四人に頼み込む。

暫し沈黙が走るかと思ったが、友希那が頼んですぐ「先程も言いましたが……」と紗夜が切り出す。

 

「反対はしていません、私もあの曲を演奏したいと思っています。ただ……その想いに驚いただけです」

 

「さっきも言いましたけど、あこは大さんせ~ですっ!」

 

「私も、皆であの曲が演りたいです」

 

「だってさ、友希那?」

 

こちらに振ってきた以上、リサも賛成であることは間違い無し……つまりは全員が賛成であることを示してくれた。

 

「ありがとう。なら、私はこのことをお父さんに話してみるわ。皆は許可が貰えてもそうでなくとも、どちらでも大丈夫なように準備はしておいて」

 

全員が頷いてくれたので、これにて話しは纏まった。

あくまで今回は確認の為に集まっていたので、今日はこのまま解散となった。

 

 

 

 

 

 

 

*   *   *

 

 

 

 

 

 

 

「まさか、あんなにあっさりと決まるだなんて……」

 

「あはは~……まあ、平行線になっちゃってた時にあんなのが来ればねぇ」

 

帰り道で、友希那とリサは今日のことを振り返る。ちなみに帰り道の途中で貴之と合流している為、今は三人で帰っている。

友希那自身、突っぱねられる可能性を危惧していたのだが、それが杞憂に終わるどころか全員が乗り気なのに一瞬困惑する程であった。

 

「じゃあ、持って行ったその曲が渡りに船だった……ってことか」

 

「ええ……四人とも見事にバラバラの案だったから、最悪どうしようもないまま四択を選ばされるところだったわ……」

 

今回はそんなことにならないで良かったものの、実際にそうなったら中々に厳しいものがあるので、聞いていた貴之も頭を抱えたくなった。

 

「友希那のお父さん、許してくれるといいね?」

 

「ええ。そうね……その後は、私がどうやってこの頃の純粋な気持ちを歌えるかどうか……ね」

 

以前と比べれば遥かにマシだろう。ただ、本当に純粋かと言われればよく分からないと言った状態である。

許可を貰えたのなら純粋な情熱を歌に乗せられるのか、そもそも許可を貰えるのかどうか。そこが友希那にとっての気掛かりであった。

――いえ。そもそも私は、歌っていいのかどうかですら悩んでいるわね……。抱え込もうとしてそれを辞めた友希那の吐露に籠った意味は、貴之とリサは分かっていた。

 

「確かに、それは悩むよな。俺は目の当たりにしてた時期が短かいから余り過ぎたこと言えねぇけど……何であれ、最後に決めるのは友希那自身だな」

 

「うん。例え許可を貰えようとも、今回の曲のことで誰が何を言おうとも、アタシは友希那の出した結論は大事にしたいな」

 

「二人とも……」

 

友希那に対して二人が選んだのは待ちの姿勢。ここで自分たちが変に口出しするよりも、友希那が悩んだ上でしっかり決めた方が絶対にいいからこそ選んだのだ。

 

「ただ……一つだけ言うことがあるなら、友希那が真剣に悩んで向き合おうとしている気持ち。それは……」

 

――誰よりも音楽に対して純粋だからだってこと、それは忘れないでね?リサにそう言われた友希那は「向き合う、気持ち……」と呟きながら考えてみる。

暴走していた時期は他を蔑ろにしていたせいでそうだと言い切れないと思っていたが、そもそも純粋な情熱を持っていた父親に敬意を抱いて自分もと言う純粋な気持ちがあったからこそ、自分は今のような道を辿ったのだと考えることも可能だった。

友希那はリサに礼を言い、しっかりと答えを出すと回答することでこの話しは一度ここまでとなる。

 

「貴之は頼まれていたことをやっていたんだっけ?」

 

「ああ。カードの一枚に俺のサイン書いてくれって言われてな……」

 

「と言うことは……『オーバーロード』にしたわね?」

 

――まあバレるよな……。それだけ分かりやすい以上、貴之はさして気にしない。

問題は、今回『レーヴ』に寄っていたもう一つの理由にある。どの道二人が何らかの反応を示すのは目に見えていた。

 

「もう一個大事な理由があってな……決勝の時、俺の身にあったことを知らないか聞きに行ってた」

 

「……何かあったの?」

 

「ああ。俺が『オーバーロード』に『ライド』する直前だったんだが……」

 

貴之はその時に自分が見えていたものを話す。

使用条件も不明で、使用した場合どうなるかが分からないので、そのまま使うのは非常に危険であった。

 

「とまあ、そんなこともあって今は調査結果待ちだ……終わり次第連絡を貰える。あまり危険すぎるものじゃなきゃいいんだが……」

 

「そうね……流石にそれが危険なものなら、今すぐ使うという考えを捨てて欲しいもの」

 

貴之と想いを通わせたからこそ、友希那は貴之に少しでいいから、無茶のし過ぎを控えて欲しいと思うようになっていた。

無論貴之も友希那を悲しませたく無いので、危険なものだと判明した場合は直ちに使用する考えを捨て去るつもりだ。

 

「どんなものか分かった時は連絡が来るんだよね?」

 

「その時は呼んで欲しいって?」

 

リサの言いたかったことは当たっており、貴之の言葉に頷く形で肯定を返した。

そう言うことならばと、貴之がそれを承諾したところで、家の前まで辿り着く。

 

「さて、私は言ってくるわ」

 

「うん。それじゃあまたね」

 

「答え、見つかるといいな」

 

友希那が父親に話しを持ち掛けるべく家に戻るので、二人はそれを見送ってから互いの家に戻っていくのだった。

ただし、貴之は今日友希那の家に泊まることになっているので、準備を済ませて湊家へ向かうのだった。

 

 

 

 

 

 

 

*   *   *

 

 

 

 

 

 

 

「それで、話したいことって何かな?」

 

「実はこの前、これを見つけたの……」

 

家に帰って夕食を取った後、友希那は父である湊友治(ゆうじ)に見つけたカセットテープを手渡す。

それを手に取った友治は「少し聴かせて貰うぞ」と一言入れ、そのカセットテープを再生する。

 

「懐かしいな……もう10年以上も前の曲じゃないか」

 

「なるほど……そう言うことなら俺もリサも知らなかった訳ですね」

 

貴之は最初に自分がいて大丈夫なのかと疑問に思っていたが、友治が「構わない」と言ってくれたのでご一緒させてもらっている。

もう一つの理由としては、友希那にいて欲しいと頼まれたので断れなかった面があるのだが……。

 

「うん。作りはしたけど、結局披露する場所が無かったんだよ」

 

――そう言えば、これだけ歌えなかったんだよな……。懐かしさと共に寂しさを感じさせる友治の表情が、この曲を演りたかったことを教えてくれる。

今回はこの曲に関しての話しを持って来ているので、友希那はここで話しを持ち込む。

 

「この曲を、メインステージで歌いたくて……お父さんから許可を貰いたいというのが、今回の話しなの」

 

「……この曲を?」

 

友希那の話しを聞いた友治は驚き、それならと通してしまおうかと思ったが、一度確認することがあった。

 

「俺としては構わないが……チームメンバーとはそのことを話したのかい?この前もそんなことがあっただろう?」

 

「その事なら心配ないわ。皆が演りたいかは今日確認してきたから……。皆も演りたいと言ってくれたし、私もその曲を連れていってあげたいの……」

 

「そうか……それなら心配はない。なら持って行きなさい」

 

以前スカウトの事に関して話しを聞いていたのでその確認を取ったが、抱いた危惧は杞憂に終わった。

友治としてはこの曲がより良い形で演奏されるのを楽しみで終わるのだが、友希那はもう一つだけ聞いておきたいことがあった。

 

「この曲から感じる音楽への純粋な情熱……。それを、私の歌声にのせて歌える自信が無くて……できるようにすればいいとは思っているのだけれど」

 

「なるほど……。そう言うことなら、その想いをのせて歌えばいいんだ」

 

友希那の悩みを聞いた友治は、自分も経験したことに基づいた答えを示す。

それを聞いた友希那は拍子抜けした様な顔を見せてから、「でも……」と口を開く。それに対しても回答を持っている為、友治は続ける。

 

「それが今のお前のこの曲……それから、音楽に対する想いなんだろう?だったら、それを歌えばいい」

 

――どんな想いを抱えていたっていい。それをぶつけるんだ。友治の言葉は、友希那の背中をものだった。

事実、友希那は最後の確認をするかのような問いかけをした。

 

「私が未熟でも……?」

 

「折れてしまっている人間よりはよっぽどいいさ」

 

その回答によって、友希那は友治の無念を改めて理解する。また、この話しによって、貴之は一つの考え方を見出す。

 

「(この二人、翼が折れてもう飛ぶことのできない親鳥と、飛び方を教わったのはいいけど、完全には覚えきれていない雛鳥……ってところなんだろうな)」

 

友治は表舞台で歌ってその歌い方を教えることはできず、友希那はまだまだ覚えるべきことが多く残った状態で歌う……そんな状況が、貴之にそんな考え方を持たせた。

ただ、この二人が違うのは言葉を用いることで聞き出したり、教えたりすることが可能なことにある。それが飛ぶ翼も鋭い牙も持たない人としての、絶対的な強みであった。

それを証明するかの如く、友治は「それに……」と続ける。

 

「完成されていなきゃ演奏できない音楽なんて存在しないさ。ほら、貴之君だってこの前、絶望視されていたのを可能にしていたんだろう?」

 

「あ、あれに関してはこの前色んな人に咎められたばっかりなんでちょっと……」

 

「特に、リサは一番きつかったわね……」

 

『ヌーベルバーグ』の使用に関しては多くの人から「お前は正気か?」と何度も言われたので、暫く思い出したく無かった。貴之が後江で「情けない」と言われた際のごく一部である。

あと一押しだなと思った友治は「ただ……」と付け足しの前置きをする。

 

「お前がそれほどまでに技術や精神的な未完成さを思い悩んでいるとしても……」

 

――その想いはとっても純粋で、素晴らしいものだと思うぞ?そこで友希那はリサも同じことを言っていたことを思い出す。

ならもう心配は要らない。分かった瞬間友希那の表情は明るいものになった。

 

「もう大丈夫だね?」

 

「ええ。ありがとう、お父さん……。後でリサにお礼を言わないと」

 

「ああ、リサも友治さんと同じようなこと言ってたな」

 

友希那と貴之の話しを聞いた友治はどうしてリサが出てきたかを理解した。

話すべきことは終わり、貴之は友希那の部屋で共に寝させて貰うことが決まった。

 

「貴之君。これからも友希那の手を握ってやってくれるかい?」

 

「もちろんそのつもりです。その為にユリ姉について来たと言っても過言じゃないですから……」

 

「貴之の言っていることは分かっているけれど、改めて言われると……」

 

直後に二人のやり取りを聞いた友希那が顔を真っ赤にするのだった。




これにてこのイベントは前半が終わったような状態ですね。
変更点としては……

・最初の段階で誰が歌ったものかを話し、メンバーがどうしたいかを決める
・上記の変更点に伴い、紗夜の独自やあこの頼み込む場面が省略される
・友治と話す場面に成り行きで貴之も参加

こんなところでしょうか。ちなみに友希那の父親である友治の名は、友希那と同じ漢字を使うと言う方針を決めていたので、その中で一番男性人物に向いたものは『友』じゃないかと思ったことにあります。

また、今回のサブタイの中にある『折れた翼』と言うのは『機動戦士ガンダム00(1st Season)』の15話で使われたサブタイから来ていたりしています。
こちらでは既に音楽を辞めた友治のことを指していますが、向こうは『戦場に舞い降りた天使(ガンダム)』4機が、831機と言う圧倒的物量で対抗されてることで翼が折れ(打ち負け)、相手側の手に落ちそうになったことを指していますね。

次回はそのままイベントシナリオの続きをやっていくことになると思います。
ただ、そのままだと短すぎる可能性が高いので、オリジナルの展開も混ざるかもしれません。
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