先導者と歌姫 -高みを目指して-   作:ブリガンディ

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予告通りオーディションの話しになります。

ヴァンガードifの話しを見た限り、シュカちゃんは優しさ故にやってしまった感がありますね……まさかそんなことになるとは思わんでしょうな……。今まで起きた『じゃまー』案件の一部がレンたちのやらかしなのはちょっと笑いましたが……伊吹さんや、等々ヴァンガードファイトできない日々に諦めてしまったのか……(汗)。

ガルパピコにての巴が言い放った『ラーメンとつけ麵は別物』に関してですが、実は私も同じ考えだったりしてます(笑)。てか、女子高生なのにあんな頻度でラーメン食べるのは色々大変そうな気が……。


イフ3 それは誰かを助ける甘さ

「本当!?おねーちゃんチーム組めたの!?」

 

「ええ。と言っても、まだ一人だけだけどね……」

 

「それでもだよっ!一人組めただけでも前進じゃん!」

 

友希那と組んだ当日の夜。紗夜の部屋にて氷川姉妹で今日の出来事を話していた。

聞いた限り今日の紗夜は大収穫とも言える状況であり、日菜としても喜ばしいことである。

 

「いやー……リョウ君から聞いた時はビックリだったよ。今日のおねーちゃん豪運だね?」

 

「確かにそうね。私も奇跡の巡り合わせだと思うわ」

 

何度も思うが奇跡の巡り合わせとしか言いようのない程いい結果なのである。

これも日頃の行いなんじゃないかと日菜が問えば、紗夜は自信を持って言っていいのかどうかで反応に困ってしまった。

なお、『リョウ君』は竜馬の呼び方であり、小学生時代からの友人は大体こんな呼び方をしている。

 

「だって何も悪いことしてないじゃん?だって、学校とかでも色んな人手伝ってたりしてたでしょ?」

 

「ふふっ……そこまで入れられたら、否定はできないわね」

 

学校では風紀委員に生徒会──と、校内の為になる場所で活動をしているし、誰かが悩んでいるようなら寄り添って話しを聞いたりと、誰かのために動ける人と言う評価が強い。

紗夜の話したことで道が見えたと言ってくれる人もおり、教師陣に聞きづらいことは紗夜に聞くのもアリと言う声もある。

 

「あっ、そう言えばさおねーちゃん。今回どんな人と組んだの?」

 

「私たちと同い年で、湊友希那って言う子と組んだわ」

 

「友希那……?あれ?聞き覚え……ううん。見覚えあるなぁ、あたし……」

 

「本当?どこで見たことがあるの?」

 

日菜からすれば、自分の友人が声を掛けるものの最低限の反応で済まされてしまっている姿を度々見かけている。

無理しなくてもいいんじゃないかな?と最初は思ったりもしたが、実は自分を含む他の人だと全く反応されないので、彼女は『幼馴染み』と言う立ち位置でまだマシなのだろう。

どうやらその少女としては、自分が戻って来れる居場所になってあげたいと考えているようなので、日菜は諦めてはいけないことを勧めた。

 

「あたしが通ってる羽丘で。友達の一人が声かけるんだけどさ、いっつも最低限の返しで終わっちゃうんだよね……」

 

唯一例外の内容としてしては音楽の内容なのだが、その時は日菜がいない時なので、実際には見たことが無いことになっている。

紗夜がギターをやっていることは話したことはあるが、サポートをやっているとのことだったから紹介はしていなかったのだろうと推測した。

 

「なるほど……貴之が言った通り、何かを抱えているようね」

 

「やっぱりそーなるかぁ……おねーちゃん、どうするの?もう答えは決まってそうだけど」

 

「本当にすぐ気づかれるわね……。日菜の言う通り、私の答えは決まっているわ」

 

日菜も貴之程では無いが、人の感情に対してそれなりに鋭敏となり、その人が漂わせる雰囲気から困っている、楽しみにしているくらいは分かるようになっている。表情も合わせればより正確となる。

紗夜や竜馬たちの場合は昔から一緒にいる人の場合は少ない変化からでも気づけるようになっており、感知することに関しては貴之の代役をできてしまえそうなくらいになっていた。

そんなこともあったので、紗夜は勿体ぶる選択肢を捨て、自分の考えを答えることにする。

 

「私は、共にバンドの活動をする中で、彼女を助け出して見せるわ」

 

一人ではなく、みんなで一緒にね──。その答えに日菜も満足げに頷いた。

共に悩んで、解決に向けて走った経験がある紗夜だからこそ、迷わず出せる選択である。

 

「手伝えることがあったら言ってね?あたしも協力するよ」

 

「ありがとう。その時は頼らせて貰うわね?」

 

「任せてよっ!」

 

紗夜からすれば日菜は非常に頼りやすいから助かるし、日菜からしても紗夜に頼られるのは嬉しいので、実にWin-Win(双方勝者)な関係とも言える。

ただ、手伝いが必要になるのは少し後だと思うので、手伝ってもらうのはその時からになるだろう。

 

「(日菜……本当にありがとう)」

 

──私は幸せ者ね。誰かと繋がることの温かさを、紗夜は改めて嚙み締めるのであった。

 

 

 

 

 

 

 

*   *   *

 

 

 

 

 

 

 

「(今日はいない……まだ答えを出せていないみたいね)」

 

あこの申し出に妥協案を出して数日後の夜。

普段友希那の使っているライブハウスのスタジオが予約でき、そこで彼女と練習を終えて外に出て見たらあこの姿は無かった。

流石に今すぐに答えを出すことはできないのだろう。一瞬だけ難しく言い過ぎたかもしれないと思ったが、それは違うと否定する。

 

「(あれは、宇田川さんが今後ドラムを続ける為に絶対必要になること……。直すのは早ければ早いほどいいわ)」

 

一番を自慢してくれるならあの場ですぐにオーディションの参加を承諾できたのだが、二番目を自慢して来たことが決め手を欠いていた。

今必死に彼女の身にある『色眼鏡(フィルター)』を外そうとしている筈だが、もの次第では断念するしかない可能性も否めない。

とは言え、彼女が諦め切れないなら話しは聞こうと思うので、やはり彼女の決断と状況次第だった。

 

「この前来た子のことかしら?」

 

「ええ。彼女なりに考えているようですから……」

 

焦らずゆっくり考えて欲しいと紗夜は思っている。オーディションのチャンスは一回だけである。

その為、メンバー選定は厳しく行うので、急いで中途半端な答えや力を見せるよりは、落ち着いてしっかりとしたものを見せて欲しいのだ。

 

「あの子、ただ私と組みたいだけのような気がするけれど……」

 

「最初にあった時は……ですよね?今はまだ分かりませんよ?」

 

何故そうまで信じられるのだろうか?あこに対して猜疑心を持っていた友希那は不思議に思った。

そもそもオーディションに行ける段階まで行ったらそこで決めればいいし、時間が経てば考えなどいくらでも変わるのだから、紗夜からすれば友希那は少々焦っているようにも見える。

 

「それに、オーディションでお互いが納得しないのなら落とすんですから、湊さんが納得行かないのであればご遠慮なく。私も足りないと思えば断念します」

 

「もちろんそのつもりよ。生半可な技術力では……私たちの目指す場所には辿りつけない」

 

紗夜が今回無条件を望まなかった辺り、そこはしっかりとやるだろうことは友希那も安心する。

確かに自分も少し早とちりな面はあったので、これ以上問う必要は無くなった。

 

「明日も早いでしょうし今日はこれで解散にしましょう」

 

「そうですね。では、お疲れ様でした」

 

いつも通りの別れ道まで来たので、二人は手短に挨拶して別れる。

基本はその日の練習の内容やメンバー集めの状況を話すことが主で、年相応の女子らしい話しを紗夜は持っているのだが、友希那がその手を話しを一切持たない為、会話内容の一つ一つがかなり淡泊的なものになり、それほど時間を要さないのだった。

 

「(今頃、宇田川さんは思い悩んでいるはずだわ。自分のお姉さんと、自身が生んでしまった憧れと言う名の壁に……)」

 

一人で考える必要はないと言う事も伝えておけばよかったわね──。紗夜は少し悔やんだが、今度会って迷っているなら絶対に話しておこうと決めた。

ただ、彼女は自分から積極的に人と話せる性格でもあるし、燐子と言う友もいるので、もしかしたらがあるかも知れないとも思う。

 

「(あなたが大丈夫なら、こちらには受け入れる準備がある……。焦らず、そしてコンテストに間に合うように、答えを出して)」

 

バンドを組みたいと言う気持ちは確かに伝わっていたので、紗夜は心の中であこを応援した。

 

 

 

 

 

 

 

*   *   *

 

 

 

 

 

 

 

「なるほどねぇ~。答えが出たから、友希那に頼もうってことだね?」

 

「うんっ!完全に拒否された訳じゃないから、これも見せて話そうと思ってるの!」

 

「これがドラムのスコアだっけ?うーん……初めて見るから良く分からないなぁ」

 

あこが自分の姉と燐子と話してみた翌日の放課後──。校門前で、小百合とウェーブが掛かった茶髪を持つ少女──今井(いまい)リサと話していた。

ちなみにあこはリサに対してタメ口を使っているが、リサ自身が特に気にしないどころか、仲良くなれるなら構わないと言う考えを伝えたので、あこはその好意に甘えさせて貰っている。

小百合は自分の性分ではないことから、そのまま敬語を使わせて貰っている。

やはりと言うか小百合はバンドの知識が無いので、ドラムのスコアを見ても読めない。ドラムのだと分かっているのは、あこに教えてもらったからだ。

 

「凄い……こんなに使い込んでるんだ……。これを見せれば少し変わって来るかもしれないね♪」

 

「……ホント!?やったー……はまだちょっと早いや」

 

あこがドラムをやっていることは聞いていたので、そのボロボロになっているスコアが彼女の練習量をリサに教えてくれていた。

それを見たリサが前向きに言ってくれて嬉しくなったあこは一瞬舞い上がるが、まだ決まっていないことを思い出して一度クールダウンさせる。

その後少しの硬直を挟んでから、リサと小百合は口元を手で隠しながら、あこは頭を掻きながら笑う。

 

「そういえば、友希那さんは一緒じゃないの?」

 

「アタシと友希那は別のクラスだからねぇ~。向こうのHR長引いてたから、先にこっちまで来てたんだ」

 

思い出したようにリサが聞いてみると、リサが理由と経緯を話してくれた。

そんなことがあったので、リサは友希那に『先に行ってるよ~』とCordでチャットを打っている。HRを終えても反応を返してくれないかも知れないが、せめてものの気持ちだった。

 

「昨日おねーちゃんに教えてもらったけど、リサ姉の親友が友希那さんだって……あこ、始めて知ったよ」

 

「ああ……そう言えば、名前は言わずに話してたんだったね」

 

あこに言われたことで、リサはどう話していたかを思い出す。

友希那のことは名を出さずに話していたので、あこはリサの親友の特徴やどんなことをしているかは知っていても、誰かが全くわからない状態だった。

しかしながら、話していた特徴として、大人しめであることと、歌が非常に上手いことが一致していたので、納得できる要素はそれなりにある。

 

「湊さんって言えば……昨日、兄さんが『俺とは波長が合わない』って言ってましたね……」

 

「小百合ちゃんのお兄さんが?うーん……上昇志向があるなら、そんなに悪く無さそうだけどなぁ~」

 

リサが意外そうな反応をするが、小百合が自分の兄は誰であっても再戦やファイトを求める声は無視しないことを告げると、間違いなくそこでの相違であることを確信した。

誰かを助ける『等身大の先導者(ヒーロー)』でありながら、いつも楽しんでヴァンガードファイトをする姿は小百合にとっての誇りでもあり、敬愛する兄の助けになれた時は日菜と共々大喜びしていたことは今でも覚えている。

また、どこからともなく現れるのではなく、いつも近くにいて、年相応の悩みを抱えたりすることもあるのを知ったからこそ、紗夜も彼を好きになったのだろうと言うのは小百合と日菜の共通する推測であった。

 

「(前までは見ているだけで良かったはずなんだけどなぁ……)」

 

──なんでかな?落ち着かないアタシがいる……。リサは昨日からモヤモヤがあることに気づいている。

それは友希那が紗夜と組んだと言う話しを聞いてからであり、恐らくは自分の中にある不安と迷いの象徴であると考えた。

 

「小百合とあこと……お世話になってる先輩、でいいのか?」

 

「えっ……貴之さん!?」

 

「あっ、兄さん!」

 

リサが燻った想いに気づいたところで、貴之が同じ後江生である青い髪に切れるような目つきをした少年──大神(おおがみ)大介(だいすけ)と共にこちらまでやって来ていた。

大介も小学生時代からの付き合いであり、氷川姉妹を省いた中では最も家の距離が近かった。

 

「大介さんも一緒だから……これからヴァンガードファイト?」

 

「ああ。その前にちょっと寄り道ってところだな……大介を巻き込んじまってるけど」

 

「まあ、時間に余裕はあるしこれくらいはな」

 

貴之の寄り道自体は大介自身があまり気にしていないので問題にはならない。

唯一貴之と初対面になるリサは、先程の『友希那とは波長が合わない』と言っていた理由が分かったような気がした。

 

「(そっか……周りの人の声にも答えるし、困った人も見捨てないんじゃ、友希那と方針が合わないよね……)」

 

しかしながら、そんな彼も互いに助け合った仲の人がいるとなれば気にせずにはいられなかった。

 

「この人、あこちゃんと同じダンス部にいる先輩で、日菜さんと同年代の今井リサ先輩だよ♪」

 

「今井さんか……俺は遠導貴之。いつも妹がお世話になってます」

 

「あはは……よろしくね~♪アタシのことはリサでいいよ?」

 

「そうか?なら、そうさせてもらおうか……」

 

──これからもよろしく、リサ。貴之はあっさりと名呼びする方向に決定した。恐らく彼女は誰とでもすぐに打ち解けるのだろう。現に彼女も貴之を名呼びすることにした。

なお、この名呼びの応酬をしている際、リサは自分の胸の中が暖かくなるようなものを感じたが、何かまでは分からなかった。

ちなみに、貴之がここへ立ち寄った理由としてはあこの考えのことである。

 

「ところであこ、決心の方はついたのか?」

 

「はいっ!この後話して見ようと思って……一応、スコアは持って来たんですけど」

 

あこの様子から見て、少し不安なのだろうと貴之は考えた。

何しろ一回失敗しているのだから、無理もない話しである。

 

「……あなたたち、何をしているの?」

 

少し話しを聞いてみようと思ったところで、友希那が疑問の眼差しと共に問いかけて来た。

友希那が来たことでリサが一度Cordによるチャットを確認するが、相変わらず既読を付けただけで反応は無しである。

ちょっとくらいは反応してくれと思うが、友希那からすればリサが()()()()()()()()認識なので、わざわざ返す必要はないとも言えた。

 

「ここで待っていた、ということは……覚悟は決まったのね?」

 

「はい……!あこ、友希那さんのチームに入って、自分だけの音を見つけて上に行きたいんです!」

 

友希那はあこがいるので自分に音楽と関係する話しを持ち掛けに来ているのを確信し、本題を促した。

手に持っているのはボロボロになるまで使い込まれたスコアであり、一瞬とは言え友希那は驚かされる。

 

「もちろん遊びじゃないです!本気でやろうと思ってます!一回だけでもいいんですっ!お願いします!」

 

あこは思いっきり頭を下げる。どうしても入りたい、そんな想いでいっぱいだった。

ちなみに、思いっきり頭を下げたことで友希那の表情が見えないので、どんな反応をされているか分からないし、何て言われるかも分からない。

それ故に怖くなったあこはぎゅっと目を閉じて、友希那の答えを待った。

 

「あこと言ったわね?一先ず顔を上げて頂戴」

 

「……え?」

 

予想よりも優しい声が聞こえ、あこが恐る恐る顔を上げれば微笑んでいる友希那が見えて困惑した。

少なくとも怒っていないことだけはわかる。彼女に何があったか分からないあこは答えを聞くまで呆然と友希那の顔を見つめてしまった。

 

「しっかりと答えを持って来てくれたようね」

 

「……!」

 

友希那の言葉にあこが安堵する直後、スコアを見てもいいかと問われたのであこはそれを手渡す。

少し見させて貰い、それが十分すぎるくらい本気なのが伝わってくるものであることを友希那は判断した。

 

「私としては問題ないわ。後は、紗夜にも話しましょう」

 

「よかったね、あこ」

 

「うん!本当に良かった……!」

 

「この様子だと、俺の助けはもう要らなそうだな……。あっ、俺もそれ見ていいか?」

 

安堵するあこの隣で友希那は疑問に思ったが、興味を持ったのならと思ってあこに確認を取ってからそれを手渡した。

この行動の意図が分かるのは恐らく、この前共にライブへ行った竜馬と俊哉、家族である小百合、彼のことをよく知る紗夜と日菜くらいだろう。

 

「遠導君、あなたバンドの経験どころか……知識もないのでしょう?」

 

「ああ。俺が見るのは曲の難易度とかそっちじゃない。このスコアから伝わる、人の頑張りの量や形……それを見ようと思ったんだ」

 

──紗夜が話し聞いた時、どんな反応するかを予想できるかもしれねぇしな。貴之の言葉が気になって仕方がないあこは寧ろお願いすることにした。

竜馬からそんなことができるようになった話しを聞かせて貰っている大介と、普段からそんな姿を見ていた小百合は平気だが、残りの二人は置いてけぼりな状況になる。

一通り読み終わった貴之は「ありがとう」と一言告げて、あこにスコアを返した。

 

「えっと……どうですか?」

 

「ちゃんと決心付いてるみてぇだし、これなら紗夜にも届くと思う」

 

「やったねあこちゃん。兄さんが言うなら間違いないよ」

 

彼のことを誰よりも知る小百合からの太鼓判も来て、あこは大喜びである。

 

「うーん……やっぱり対戦人数の差か?一回地方変わってる分、貴之の方がそういうのは有利だしな……」

 

「まあそれはありそうだな……向こうにいる時は、色んなカードショップ立ち寄ってたし」

 

こればかりは仕方ない面がある。二つの地方で活動経験があり、尚且つ片方で遠征経験がある貴之は機会に恵まれているのだ。

この前の出来事と、今日のあこへの応援。この二つを見た友希那は貴之の人物像にこんな評価を下した。

 

「あなた……思った以上に『甘い人』なのね」

 

「その『甘さ』がいいんじゃねぇか……それが誰かを助けられるのなら尚更だ」

 

貴之が持っている『甘さ』と言うのは、時に『人を助けることができる』ものであり、大事にしていきたいものである。

友希那からすれば疑問でしか無いが、「それに……」と、その疑問に対する回答の前置きが出された。

 

「これは紗夜が俺にくれた、今の俺を作る大事なものなんだ……だから捨てない。いや、捨てたくない」

 

「紗夜が……?」

 

紗夜と初めて話した時のことを考えると、恐らく彼の持つ『甘さ』は()()()()()()()()()()()()()と考えられた。

あくまで予想外なだけであり、捨てろと言うのもお門違いであることは理解しているので、友希那は彼が持っている『甘さ』を理解できたなら良しとする。

 

「(いいなぁ……そういうの。アタシにも、そんなことができてれば……)」

 

──友希那を助けられたかも知れないのに。話しを聞いていたリサは、思わず考え込んでしまった。

元より当時の彼女が耳を貸さない可能性は十分に考えられるが、それができた場合の未来を考えずにはいられない。

 

「いけない。長居しすぎてしまったわね……。あこ、紗夜に話しに行くのならついてきて」

 

「あっ、はいっ!じゃあ、そろそろ行きますね」

 

「あこちゃん、頑張ってね」

 

「(どうしよう?見送ってるだけ、見守ってるだけでいいのかな……?)」

 

長い時間待たせ過ぎると、流石に紗夜にも悪いのでそろそろ行かせて貰うことにした。

そんな時にリサの迷っている様子に気づいた貴之は、彼女に声を掛ける。

 

「やらないで後悔するのと、やって後悔するの……どっちがいいと思う?」

 

「っ!?な、なんで……」

 

「だって、湊さんとあこの様子見て迷ってたし……。無理にとは言わねぇけど」

 

いきなりでリサはビックリしたが、自分が顔に出やすい面はあるのでそこは納得することにした。

だが、確かに彼の言う通り動かないと迷ったままでいそうなことは簡単に予想ができた。

 

「そうだね……。うん、そうする!友希那、アタシも行っていい?」

 

「……どうせ無理にでも来るんでしょう?ならいいわ」

 

「そのつもり♪じゃあ行ってくるよ。ありがとね、貴之♪」

 

「ああ。リサも答えが出るといいな」

 

リサも同行することになり、三人でライブハウスに向かう。

 

「(凄いなぁ……あんなすぐに気づけるなんて)」

 

その道の途中、リサは貴之のことが気になって仕方がなかった。

また、貴之の今を作るのに大きな支えとなっている紗夜に会ってみたいと言う感情もあった。

 

「(さっきの様子からして女の子だろうし……なんだろう?このモヤモヤした感じ)」

 

会ったことも無い人を羨ましく思う事など初めてであり、どうしても考え込んでしまう。

結局のところ、ライブハウスに辿り着いても答えは出なかった為、この考えは隅に追いやることにした。

 

 

 

 

 

 

 

*   *   *

 

 

 

 

 

 

 

「なるほど、貴之が……。そうですね。これなら私も問題ありません」

 

「あ、ありがとうございますっ!」

 

ライブハウスに辿り着いた後。紗夜もOKの判定を下し、あこは無事にオーディション参加権利を獲得した。

後は日程を決めるのだが、あこの今の状態を考えると今日でもいいかもしれないと二人して考える。

また、あこの話しを聞く前に簡単に紗夜とリサで自己紹介をしたが、お互いに第一印象は対極的だろうなと考えた。

 

「(なんて言うか……綺麗だなぁ~。貴之もこう言う感じの人がいいのかな?)」

 

「(全体的に人当たりの良さそうな人ね……。第一印象だけで人は決まらないを物語っている感じがするわ)」

 

双方が違った形で互いを意識するのは無理もないだろう。特にリサは貴之を意識してしまっているのだから尚更だ。

ただ、お互いに性格的な意味で衝突する可能性は低そうだと確信し、そこは一安心であった。

 

「なら、あこにドラムの曲の練習時間を与えて、大丈夫そうなら今日やってしまいましょう」

 

「ええ。まだ練習したいとなった場合はまた後日と言う形で」

 

あこ自身が問題ないと言うので、この方向で進んでいくことになる。

 

「ところでリサ、練習用のベースは借りなくていいの?」

 

「……いいの?」

 

リサは邪魔しては行けないという考えも持っていたが、リサがついてきた理由に察しが付いている友希那からすれば、どうして借りないのだろうと思っていた。

 

「えっ?リサ姉ベースできたの?」

 

「うん。と言っても、あれから暫くやって無いよ?」

 

元々は友希那と一緒に演奏したいのが理由でベースをやっていたが、オシャレに興味を持ち、技術力の差を感じて辞めてしまっている。

そこから暫くして紗夜と組んだ話しを聞き、あこも友希那たちと組みたいと自分の前で言ってからは落ち着きが無くなった。

足引っ張っちゃったらどうしようかな……と考えていたところに、友希那から一声掛けられる。

 

「さっき彼に言われたこと、覚えているでしょう?」

 

「う、うん……」

 

「なるほど。私も貴之の立場なら、そう言ったでしょうね」

 

今の状態のリサに貴之がどんな促しをするか、それが分らない紗夜ではない。

そう言われれば迷いを捨てて練習用のベースを借りるリサだが、紗夜の言葉を思い出して一瞬だけ胸が痛んだ理由は分らなかった。

 

「薄々と感じてはいたけれど……紗夜、あなたも『そちら側』だったようね」

 

「ええ。ですが、この『甘さ』がいいんです。貴之がくれたから、今の私がある……」

 

この回答を聞き、貴之と紗夜は同じ『甘さ』を分け合った関係であることを確信した。

とは言え、音楽を真剣にやってくれるなら別に捨てる必要はないので、これ以上追及することはしない。

少ししてからリサが戻ってきたので、軽く練習を済ませ、あこが大丈夫と言ったので、オーディションを始めることにする。

 

「今井さんには……手伝ってもらいますか?」

 

「そうね。しっかりした音があれば判断も付けやすいし、手伝ってもらいましょう」

 

他にも友希那からすれば、遊びに来たなら帰ってもらうのと、彼女がどうしたいかの判断材料を作ってやると言う二つの理由があったが、リサが承諾したのでそれを話すことはなかった。

 

「うわぁ……あこ、緊張してきた」

 

「だ、大丈夫だよ。自信もって」

 

あこを応援しようとしたリサだが、こちらも久しぶり過ぎるので少々不安だった。

 

「そうですね……お二人とも、イメージして見ましょうか。この四人がチームになって演奏している姿を」

 

「四人がチームに……」

 

紗夜は貴之式の思考誘導をやってみた。貴之がヴァンガードをやっている際に時々口にしていた言葉で、実際友希那にヴァンガードを教えた時も口にしていた。

あこの方も、「うんっ!そう考えたら大丈夫な気がしてきた!」と笑顔で答えてくれたし、リサも調子が戻ったので、紗夜も一安心である。

友希那は彼の経歴を知る身ならそれも出来そうだなくらいに思ってあまり気にはせず、大丈夫かを聞いてから自分のタイミングで合図を行い演奏を始める。

始まる直前まではどうなるかと思っていたが、始めた瞬間に、四人は不思議な感覚を味わうことになった。

 

「(……!いつも以上に自然な声を出せる……これは一体……?)」

 

「(見えない力に引っ張られるみたいに、指が動いてるのに……いつも以上に弾けている?これって確か……)」

 

「(ウソ……!?練習したとは言っても、完全にブランクが抜けたわけじゃないのに……こんなに弾けるなんて……!)」

 

「(……すごい!練習した時より、ずっと上手に叩けてる……!)」

 

演奏によって出来上がった、見えない何かに影響された四人は自分たちが予想以上のパフォーマンスを発揮したことに驚く。

どうしてかは分からないが、実力以上の力を発揮できたのはリサとあこの二人にとっては非常に嬉しい話で、上手く行っていることは自分の自信となり、更なる力の発揮につながる。

 

「(……そう言えば、この不思議な感じ……なんだろう?)」

 

「(この感じ、悪くはないわね……。他の三人も感じているようね)」

 

ドラムを叩きながら、思考に余裕が出てきたあこはその不思議な感じに疑問を持ち、紗夜はその感じを悪いとは思わず、そのまま演奏を続行する。

この時三人の様子から察しが付いたのは、視野が広がったおかげである。

 

「(よくわかんないけど、このまま行っちゃおう!そのほうが絶対上手く行くし)」

 

「(それぞれが繋がって一つになる……或いは、何かを中心に集まっていくこの感じ……。まさかだけれど……)」

 

あこと同じく余裕ができたリサは、最近見せてもらった世界に自分が感じたものがあることを思い出し、友希那は雑誌等で見たり、父から聞いた話しを思い出した。

幼少の頃から積み重ねたものによって、非常に高い技術を誇る友希那の歌声。ただひたすらに弾き続けることによって、同年代と比べて頭一つ抜けた技量を誇る紗夜のギター。ブランクがあれどそれまで積み重ねていた技術は無駄ではなく、元の性格もあって高い安定感を生み出すリサのベース。憧れの存在を追いかけて基礎を作り出し、その力強い叩き方で確かな存在感を見せつけるあこのドラム。

これら四つが重なってできた演奏は、五分と言う時間がまるで一瞬のように過ぎ去っていく。

 

「「「「…………」」」」

 

そして、演奏が終わった頃には四人全員が暫くの間呆然と固まっていた。それだけ信じられない程上手く行っていた演奏だった。

四人全員が、今回の演奏を終えて余韻に浸っていたのを表すが如く、一言も口を動かさないし、表情も呆然としたままだった。

 

「皆さん、演奏中に感じるものはありましたか?」

 

「「「……!」」」

 

一番最初に思考を現実に戻した紗夜が問いかけ、三人して頷いた。

 

「えっと……あれって結局何だったの?」

 

「あれは……その場所、曲、楽器、機材……そして、メンバー。技術やコンディションではない、その時、その瞬間にしか揃い得ない条件下だけで奏でられる『音』……」

 

「バンドの醍醐味……とでも言うのかしら?()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()そうですね……」

 

『そういったことがある』と言う話しだけを知っていても、実際に体験したことが無かった故に今まで実感の沸かないものだったので、実際に体験できたことには驚きだった。

 

この『誰もが体験できるものではない』と言う部分は大きく、友希那と紗夜ですら、今日この時まで体験できてないものだった。

 

「雑誌のインタビューなどで見かけたことがあるけれど……まさか……」

 

「なっ、なんかそれって……キセキみたいっ!」

 

「その気持ち分かるなぁ~♪なんていうか……魔法見たいって言うか」

 

「魔法、ですか……。確かに、全ての条件が整った時だけ与えられる、祝福を意味する魔法のようにも思えますね」

 

リサとあこ弾んだ様子を見せる。分かったことが嬉しいと言った様子に、紗夜も同意の旨を示す。彼女らの言いたいことは、なんとなくだが分かるのだ。

彼の戦う世界における表現で表すならば、次の自分へ『昇級(ライド)』と言うのだろう。

 

「えっと……音楽に魔法なんてものは無いのだけれど」

 

「み、湊さん……これは比喩表現ですよ?」

 

友希那は素でこんなことを言うので、紗夜も反応に困った。

その状況を打開できるリサは、彼女が昔から時々こうした天然のような発言をすることがあるのを教え、友希那が顔を赤くすると言う物珍しい光景が起きた。

 

「あ、あの……オーディションってどうなりましたか?」

 

「「あっ……」」

 

あこに問われたことで、何の為に演奏していたのかを思い出した。完全に結果そっちのけで話し込んでいたのだ。

 

「私の方は問題ありません。この経験をさせてくれる程の人なら、寧ろお願いしたいくらいです……湊さんはどうでしょう?」

 

「ええ。私の方もいいわ。あこ、あなたも今日から私たちの仲間入りよ」

 

「や、やった~!」

 

努力が報われたことを知り、あこは大喜びする。

憧れの人と一緒に演奏できるのが決まったのはいいが、一つ引っ掛かることがあったのであこは聞いてみる。

 

「あれ?リサ姉は違うんですか?」

 

「リサの場合は……一先ず保留ね。どうしたいかを決める為に来たことと、本来自分が使っていたベースでは無かったもの」

 

「今井さんがその気であるなら、後日もう一度……になりますね。結果はまた、その時次第でしょう」

 

仮に今日、オーディションを受けるつもりだったらこのまま迎え入れたかったのは二人揃って同じである。

故に残念に思うし、このまま逃すのは勿体無いので、確認を取ってみる。

 

「やらないで後悔するよりも、やって後悔したい……。だからアタシ、今度もう一回受けるよ」

 

「分かったわ。なら、また後日予定を決めましょう。それと、できればキーボードのメンバー探しを手伝って欲しいわ」

 

ここまで来たなら自分たちで聞いて回った方が速い──というのが友希那の考えである。

これには紗夜も同感で、自分の聞ける範囲と貴之と竜馬と言う人伝を使って行こうと考えた。

なお、友希那の協力を求める声にリサは察しが付いており、こればっかりはしょうがないと思った。

 

「友希那……普段からあまり人と話さないもんね」

 

「そ、それは……」

 

「やり方の問題なのかなぁ?友希那さん、こうして話す分には普通に話せてるし……」

 

友希那は自分の方針に従い、余計な会話を避けている為こう言った場面でそれが仇になる未来が見えていた。

こうなると友希那には無理をさせず、皆の状況を纏めて貰うことにする。まだメンバーでないリサに頼り過ぎるのは申し訳無いが、ここは仕方ないだろう。

そうして話しが纏まり、時間も来たので今日は解散となる。

 

「宇田川さん。改めて、これからよろしくお願いしますね?」

 

「はいっ!あこの方こそ、よろしくお願いしますっ♪」

 

自分を信じてくれた紗夜の歓迎に、あこは心からの笑みを浮かべて頷いた。

 

 

 

 

 

 

 

*   *   *

 

 

 

 

 

 

 

「……と言うことがあって、あなたさえよければ手伝って欲しいの」

 

「なるほど……分かった。そう言うことなら手伝うよ」

 

あこのオーディションを終えた当日の夜。帰り道の途中で、紗夜の頼みを貴之は承諾した。

竜馬への連絡も貴之がやっておくことになり、後は明日からメンバーを探していくことになる。

 

「今井さんの動向次第では、とても助けになりそうだわ」

 

「幼馴染みだったっけか……それなら一番効果出そうだな」

 

自分たちが知る限り、友希那の最も身近にいたリサが踏ん切りを付けたことは有難く、これが友希那を救う一助になればと切に願う。

なお、メンバー探しでは人伝の多い紗夜か、友人との交流が多いリサに軍配が上がりそうなところである。

 

「貴之。もしも、バンドの話しを聞いて悩んでいる人がいたら……」

 

「話しを聞いて上げて欲しい……ってことなら任せてくれ。紗夜も練習時間を潰す訳には行かないだろ?」

 

「ええ。ありがとう」

 

友希那のところで活動する以上難しいのもあるし、自分が向いていることを頼まれるなら断る理由はない。

誰かと共にいることの強さや良さを知っている二人ならば、こう言った話しをするのにはさほど迷わないのだ。

 

「おっと……もうここまで来たか」

 

「早いわね……。話していたらあっという間だったわ」

 

「夢中になってると、時間の流れを早く感じるんだろうな」

 

この二人は揃って好きな人と一緒にいるからと言うのがあるものの、お互いの胸の内は知らない。そんな状況である。

どこかでひと段落着いたら出掛ける予定でも立てようかと思っているが、今しばらくは難しいだろうとも考えていた。

 

「ところで、湊さんの前で何かしたかしら?」

 

「湊さんの前で……?ああ、あこが持ってたドラムのスコアだっけ?あれを見て大丈夫っつう太鼓判を押したな。この前話したと思うけど、俺は人の頑張りの形とかが見えるから……」

 

「そうだったのね。で、そこで湊さんからは『甘い人』だと……」

 

「ああ。その直後リサに促し掛けたけど……紗夜も後押ししたな?」

 

貴之の問いに頷き、紗夜はそこで自分もそう言われたことを告げる。どうやら自分たちは二人でリサに行き道を示せたようだ。

 

「この『甘さ』は持っておいていいはずよ。それが人を助けるのだから……」

 

「そうだな。それは間違いない」

 

今後も、誰かを助けられるはず。そう信じる二人は『甘さ』を捨てずそのまま持っておくことにした。

自分の現状に『甘える』とは違う為、これを捨てず、また誰かを助けるのは二人して同じ考えである。

 

「さて、そろそろ上がるわね」

 

「ああ、また明日。お互い上手く行くといいな」

 

「ええ。それじゃあまた明日」

 

簡単に挨拶だけ済ませて、二人は家に上がる。

その後自分の妹たちが今日の出来事を聞いて喜んだのは、片方は友、片方は姉の成功に対するものであった。




こちらでの貴之は名字呼びを強く意識はしません。こちらの話しでこの設定にしたのは、メタい話しが『この設定を設けないと、Roseliaメンバーの一部を最後まで名字呼びになりかねない』と言う事態に気づいたからです。


こちらの話しにおける、貴之がRoseliaメンバーの名を呼ぶときはこうなっています。

友希那……名字+さん付け(他の全員を名前呼びにでもならない限りこのまま)
紗夜………名前呼び+呼び捨て(元より幼馴染みなので、遠慮する必要がない)
リサ………名前呼び+呼び捨て(求められたのでそうした)
あこ………名前呼び+呼び捨て(姉がいることを教えて貰っているし、小百合もいるから)
燐子………名字+さん付け(まだ出会っていないのでやむなし)


また、その他の変化はこうなります


リサ個人の変化

・貴之のことを意識している
・この時はまだ見に行ってみるくらいであったため、メンバー入りはしていない
・小百合が後輩になっており、結果として後輩が一人増えている(その代わり年上の知人が減っている)



リサから見る貴之
日菜と小百合、あこから教えて貰っていた人で、人の情にとても鋭敏な人。紗夜と話している場面を見たことはないけど、二人の様子からして仲は極めて良好なのだろう。気がついたら意識していることがあるので、もっと話してみたいと思う。


貴之から見るリサ
小百合と仲良くしてくれていて、日菜とは友人である人。見かけはどう見てもギャルなのだが、話して見ると普通だった。何だか紗夜に近しい熱を持った目を感じ初めて来ているので、もしかしたら……とは考えている。


本編のリサは貴之のことは『人として好き』ですが、『何か一つの要因が外れたらその先に進むかも知れない』状態で、今回にてその一幕を表したものになります。

『幼馴染みではない』、『大分前から好きな人がいることを初めて知った』と、二点も変わっているので、こう言う形に入りました。


次回はイメージ9~10……燐子と出会い、オーディションの話しを持ち賭けに行く場面までになると思います。

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