ガルパの復刻ガチャで逃したリサの水着☆4と、Morfonicaピックアップガチャで☆4ましろが出たので歓喜です。
また、火曜日にやっていたヴァンガードchで『マジェスティ・ロード・ザ・ブラスター』のデッキが発売するのが決まって驚き、早速予約してきました。
「悪いな。急に呼んだのに」
「いや、俺も正直暇を持て余してたんだ……寧ろありがたい」
瑞希から電話のあった翌日の昼過ぎ、向かう先の都合もあり後江の校門前で四人は集合した。友希那とリサは練習があったので、リサはベースを背負ったままである。
現地集合でもいいかと思ったが、貴之以外は一回しか行ったことが無い、または一度も行ったことがないなのでそれはやめにした。
「意外に早かったのか?」
「多分な……何も知らないところからだったし、早いんだろうな」
貴之にその能力が発現してから約一ヶ月程であり、無から調べているのなら間違いなく早い。
当時『PSYクオリア』のことを教えて貰った際、瑞希が人を殺すことすら可能な分厚さを誇る本を一冊持っていたので、恐らくあの中から探しているのだろう。
ともあれ、自分の能力についてが分かり、今後どうするかの判断もできるのでありがたい知らせであった。
「そう言えばさ、これからどこに行こうとしてるの?」
「その……この前のこともあるから、あなたには凄く言いづらいのだけれど……」
──結衣のバイト先で、貴之が『ヌーベルバーグ』に慣れる為に通い詰めだったカードショップよ。思い切って告げた友希那だが、言わなければ良かったのではないかと思って来ている自分がいるのに気付く。
何しろリサの表情が笑みに変わるものの、目が笑っておらず、心なしか周りから熱が奪われているように感じる。
これ自体、事情さえ知っていれば何故そこに通い詰めだったのかはすぐわかるのだが、生憎リサは何も知らない人だったのだ。
「ねぇ貴之……何で?」
「今から行く場所は人が殆どいないし、結衣もファイターだったから、練習には絶好の場所だったんだよ……」
「まあそれなら仕方ないけど……」
──何で、そこでだったの?と聞こうとしたところで、結衣と顔を合わせた当時は復帰に向けて慣らしていたことを想いだす。
この後知ることになるが、貴之は結衣とファイトすることで『PSYクオリア』への対策を、結衣は貴之とファイトすることで錆びついた腕の取り戻しをできていたのだ。
全国大会当日までは持ちつ持たれつな状態だったが、二人とも得たものは大きかった。
「さて、着いたぞ。ここが今日の目的地だ」
「へぇ~……こんなところにカードショップがあったんだ?」
貴之は何度も世話になった、俊哉と友希那は二回目、リサは始めてとなる『レーヴ』へと到着した。
商店街から遠ざかるように進んでいく為、気づかれにくい場所である。
「それにしても、どうしてこんな場所にしたのかしら?」
「隠しているのがいいって言うのか?そう言う訳じゃない気もするけど……」
友希那の疑問に対する答えを、俊哉は持ち合わせていない。これは今答えなかった貴之も同様である。
貴之が前の場所で世話になった時もそうなのだが、何故かこの店は人目に付かないような場所で経営していた。
しかしながらそれが今回の心置きなく『ヌーベルバーグ』の練習に活用できたので、店事情はさておきとしても貴之と友希那の恋仲には大いに貢献している。
そんな店の中に、貴之の催促を受けてから入るのであった。
「あら、来たわね?」
「どうも。俺以外にも三人一緒してますけど……」
同行して来た三人に関しては事前に連絡を受けていた為、瑞希は特に何も言わない。その人らの性分的にはもうじき限界が来るだろうと感じていたからだ。
始めてここに来たリサは、ファクトリーとは違う雰囲気を感じながら辺りを見渡していると、一人見知った人物を見つける。
「あっ、ホントだ……!結衣って、ここでバイトしてたんだ」
「リサも一緒だったんだね。カードショップ『レーヴ』にようこそ」
思えば、結衣の私服はあまり見たことがなかったことをリサは思い出す。
これも結衣が普段からここで働き、リサたちはバンドとして活動しているからに他ならない。
「そう言えば、あの二人は今どうなの?」
「それがねぇ……絶賛熱愛中なんだよ!この間だってアタシたちがいるのに堂々と……」
「ま、待ってリサ!あまり人前で言われると……」
最初こそその場の勢いでやっていくことができたものの、こうして言われると恥ずかしさが大いに勝る。
そんなやり取りをみた貴之も、これはやり過ぎたかな?と、思いながら朱色になった頬を指でなぞった。
「話しが逸れちゃった……今日は姉さんが調べたのを聞きに来たんだったよね?」
「ああ。あれってどんなモノなんですか?」
「その話しは長くなるから、腰を下して楽にした方がいいわよ?」
カウンターが新設されており、横一列に椅子が並べてあった為そこに四人は座らせてもらう。
向かい側にいる瑞希から見て、左からリサ、友希那、貴之、俊哉の順に座る。この時リサが結衣以外の秋山姉妹とは初対面だったので自己紹介を互いに済ませておく。
「さて……長いこと待たせてしまったわね。これが貴之君の言ってた能力のことよ」
瑞希は持っていた分厚い本の、付箋ですぐに開けるようにしておいたページを開いて四人が見やすいようにする。
四人がそのページを注視すると、右上にその能力の名称が書かれてあった。
「『
「ええ。これは『苦難や高い壁を、本気で乗り越えようとする者にだけ与えられる、祝福の力』とされていて、貴之君の場合は複数の意味合いがあるわね」
『
この時瑞希が複数の意味合いと言ったので、各々が一度貴之の身にあった出来事をまとめていく。
「まずはやっぱり、長年の夢だった全国大会優勝でしょ?これがその『高い壁』になるよねぇ~……」
「次に分かりやすいのは『ヌーベルバーグ』の負担を乗り切ったことか。これが『苦難』になるんだろうな……。後は何がある?」
前者はリサ、後者は俊哉が挙げた。しかしながら、貴之のことなので自分たちがいない間にも何かやっていそうだと考える。
そこで気になった友希那が、一つ確認を取ることにする。今から聞くことも対象なのではないかと思ったからである。
「なら、貴之が『PSYクオリア』に勝つのを諦め無かったこともですか?」
「それも当てはまるはずよ。結果としてそれを使った結衣には勝ったし、一真君に勝つことだって、一度たりとも諦め無かったものね……」
この時『PSYクオリア』を唯一知らなかったリサが「何それ?」と言いたげな顔をしたので、それ以外の全員が気づいた。
また、『レーヴ』にいた──。つまるところ全員が知っているいるという認識もあって思わず口にしてしまった友希那が気づいて口元を抑えるが、どの道話す必要のある内容だった為お咎め無しとなった。と言うよりも、そうなってしまう話しだったので瑞希の方から配慮不足を謝った。
気を取り直して、リサに「ユニットの声が聞こえる話しを聞いたことがあるか」を問い、その後『PSYクオリア』に関してを大まかに説明する。
「ただこの話し、他の人には他言無用だから気をつけてね?今後のヴァンガードに大きく影響が出てしまうから……」
「わ、わかりました……。じゃあ、貴之が『ヌーベルバーグ』を使おうとしたのは……」
「『PSYクオリア』能力者は的確にトリガーを呼び寄せたりすることが可能だからな……。だったら、そのトリガー能力を無効化すればいいって考えになったんだ」
「だから、『ヌーベルバーグ』が必要と感じたのね?」
友希那の問いに貴之は頷く。もちろん心配させたのは分かっているが、それだけ自分も友希那との約束を意識していたのである。
なお、結衣とこの場にいない紗夜は、自身の苦悩を取り払った存在故に『ヌーベルバーグ』に関してそれなりに好印象だが、リサからすると貴之が無茶をした決定的証拠なのであまり好ましく思っていない。
「正解としては今上げた三つ全てが正解ね……ユニットの声を聞くことはできないけど、貴之君の得た『
──と言っても、これはあくまでもヴァンガードにおける話しね。瑞希の言葉を疑問に思った四人に、何故そう言ったのかに対して瑠美が答える。
「一応この力、ヴァンガードファイト以外もきっかけに捉えてくれるみたいだから、もしかしたらファイター以外も……って言う可能性はあるみたいですよ?」
「ただ、ヴァンガードファイターが最も目覚めやすいとは言っても、現状その力に目覚めたのが後にも先にも
「えっ……?俺一人だけ?」
誰か一人でもいるのではないかと思っていたが、予想以上に振りきれた答えに貴之は困惑する。
しかしながらその時間は短く、聞いておこうと思ったことを思いついた貴之はそれを聞いておくことにする。
「俺が『
「いえ、そう言うことは記載されていなかったわ……気を付けておくべきとすれば、力に依存しないようにすることだと思うわ。いつの時代も……唐突に力を得て調子づいてしまった人に、ろくな結末は訪れなかったのだから」
それはごもっともだと思った。一真と結衣が『PSYクオリア』を使いたがらなかったのも、その禁忌感によるものだった。
自分が持たざる者だったこと、力に関して主観的な考えをしていた故に彼らを救うには至らなかったのだろうと貴之は思い返す。
また、発動方法はユニットに対して心の中で呼びかけるようにするか、絶対に引けないと言う強い意志を持つことにあり、これを発動可能なユニットに『ライド』する直前で行えばいいことが判明する。
「と言うことは……貴之がそれを使っても平気なのね……」
「うん。だから後は本人がどうするかだけど……もう決まってるの?」
「一応な。現状使うなら全国大会みたいに大事でデカい大会か、一真と全力でぶつかる時だけにするつもりではいるんだ……ただ」
──これを知った人が使うことを望むなら、俺はそれに応えるつもりだ。貴之がこう言ったのは俊哉の存在が大きい。いなければこの付け加えは一切語らなかっただろう。
それを聞いた俊哉もどうするかは基本的に任せるとして、いつか大会以外の場所で『
ならばと貴之が承諾したことで、二人の間での能力に関する取り決めは纏まった。
「私たちの方から聞いておきたいことがあるとすれば、貴之君が『
「今使えるのが分かっているのは、『オーバーロード』、または『グレート』に『ライド』する直前から、別のユニットに『ライド』する直前までですね……『ヌーベルバーグ』に『ライド』する直前からは効力が切れてました」
──多分、あのユニットも使えるんだろうな……。貴之は一体のユニットを思い起こす。恐らくこれは友希那とリサ以外は全員が検討を付けているだろう。
また、条件を話した時に貴之は一つのことを思い出し、それを伝えることにする。
「俺がこれを手にする直前、どこだか分からない空間で『オーバーロード』と対面したんです。実際に」
『……えっ!?』
まさかの衝撃的な発言に全員が驚愕する。幻覚だろうと言いたいところだったが、能力発現者である貴之が言うのでそれはできなかった。
ただし貴之からすれば大事なのはこの先であり、ここが最後の分岐点だと思われる。
「俺は『
この時打ち明けたことで思い出した貴之は、一番大きかったのは『ヌーベルバーグ』への再挑戦だったことを告げる。恐らく貴之の場合は『苦難を乗り越える』方が強かったのだろう。
しかしながら、これは力を得る為の条件の内の一つであり、実際は全てが正解だろうと言える気がしていた。
「じゃあ、『最後は自分で選べ』……って言うことなのかな?」
「多分な……全てを乗り越えたのなら、この先どうするかは自由なんだと思う」
推測でしかないが、恐らくこれは『PSYクオリア』とは決定的な差異となるだろう。
一真も結衣も、二人とも突然使えるようになったので、選択の余地は無かったはずであり、そうなると条件が厳しい代わりに、『
「じゃあ、貴之さんの証言も含めて纏めて行きますね……」
瑠美が簡潔に纏めることで、『
これは『高い壁や苦難を本気で乗り越えようとする者』が力を得る対象であり、きっかけはヴァンガードファイト以外でもよく、誰でも得られる可能性が高いものの、現状はヴァンガードファイトが一番獲得しやすいと思われる。
力の使用による代償は無く、条件を満たした場合に取得するか否かは選択可能な為、『最初から最後まで自身が選ぶことに意味がある力』であると結論付けられる。
「『PSYクオリア』の時もそうだけど、この力も基本は口外無用でお願いね?理由ももちろん、『PSYクオリア』と同じくよ」
こうなることは予想出来ていたので誰も反論せず頷く。最後に伝えるべきなら誰かと考えるが、伝えられるにしても現段階では一人……或いは二人だろう。
「一真は気づいてたし、アイツには今度俺から伝えるか……」
「どうするかな……紗夜には言ってもいいのか?」
前者は一番最初に気づいていた人なので順当だが、後者の理由を知るのは貴之一人しかいない。
なので、疑問に思われた俊哉は自分の近況を正直に話し、目的としては自分の目指すべき場所が一つできたことの連絡であった。
それならばと納得してもらえたが、ここで逃れられぬ質問がやってきた。
「俊哉って、その時から紗夜のこと気にしてるの?」
「ん?まあ、そうだな……」
リサの問いに俊哉が歯切れ悪く返すのも、自分の気持ちが良く分かっていないからだった。
しかしながら前日の紗夜の様子と、今回見た俊哉の様子。何かありそうだと友希那とリサは思った。
時間の問題ではあったが、思ったより早かったなと貴之は感じた。
「さてと……現段階で分かっていることはここまでよ。あまり情報は多くないけど、少しでも助けになれば幸いね」
「初めての事例だったからまだまだ情報は残ってるかも知れないので、もう少し調べてみますね」
「また何か分かったら、こっちから伝えるね」
『
そんな状況下で、貴之は一つのことを思いつき、結衣に一つ頼み込む。
「一回だけ『ロイヤルパラディン』のデッキを貸してくれるか?」
「いいけど……何をするの?」
「あのユニットならどうかなと思ってな……」
貴之の思惑は自分のデッキなら確かめられるのを知っていた結衣は承諾し、一度デッキを取り出して貴之に貸し出す。
この時の相手は瑞希がやってくれることになり、彼女は自身が本来使う『エンジェルフェザー』で相手をしてくれた。
確認だけ行う為、貴之の先攻でファイトを流すように行い、二ターン目まで持っていく。
「(俺が頼んだら、お前は力を貸してくれるか?)」
貴之はそのユニットに心の中で語りかけて見るが、特に変化は訪れることは無く、不発であることを知って方をすくめた。
「その様子だと、自分の分身以外ではダメそうね?」
「みたいです。もしかしたらと思ったんだけどな……」
落胆する貴之を見て、友希那は何をしたかったのかを問う。
彼から出た答えは、経歴を知る者なら確かにと納得しやすいものであった。
「俺にとっては何かと縁のあるこいつなら、『
「そう言うことだったのね……」
耕史が使い、一真が使い、結衣が使い──と、何かと縁のある『ブラスター・ブレード』で実践して見たが、不発だったのだ。
この為、現段階では『オーバーロード』と名の付くユニット以外は使用不可能だと判明する。
『ブラスター・ブレード』ではダメと言うのさえ分かればいいので、後は素早くファイトを回し、終わった後は結衣にデッキを返した。
「今度こそ……だな?」
「ああ。使っても問題無いことが分かっただけでも十分だ」
万が一のことがあれば使うことを断念するつもりでいた貴之だが、その必要が無くなったことが何よりも大きかった。
──さっきのこと、忘れないでくれよ?俊哉の問いかけに貴之はしっかりと頷いた。
最後に挨拶を済ませてここを離れるのだが、リサがサラッと近い内に複数のガールズバンドが集まってライブを行うイベントがあることを伝える。
流石に全員が行くことはできないので、その時は結衣が行くことを決め、何か分かったら教えることが決まった。
「ようやく一段落だぜ……」
「使う本人が知らなかったし、ようやくだねぇ……」
「これで心配するべきことが無くなったのだから、安心して見ていることができるわ」
「本当に人の知らないところでとんでもないことするようになったよな……貴之」
貴之にそのつもりはなくとも、やはりそう見えるようなので可能な限り自粛しようかと考える。
恐らくもうここまでの無茶はしないと思いたいが、心構えは大事である。
「でも本当に、何も無いことが分かって良かったわ……」
「……悪い。待たせたな」
友希那が目尻に涙を浮かべていたので、貴之はそっと拭ってやる。
こうしていられるならもう平気だろう。見ていた俊哉とリサも信じたいと思った。
「さてさて……俊哉はそっち方面で答え出せるといいね?」
「俺のこともそうだが……お前は周り気にしすぎて行き遅れるなよ?」
「も、もう……!どうしてそう言うこと言うのさぁ!?」
他の人はわからないが、少なくとも俊哉はこう考えている。
何も事情を知らなければこう言った恋沙汰でリサを心配する必要は無いのだが、貴之と友希那の仲を見守ることが多いのを考えると、実はリサが一番危なかったりするのだ。
現に二人は人前でも堂々としていられる性分でもあるのだから、リサにはそっち方面で走る余裕を作ってもいいと俊哉は思っている。
「まあ、お互いこれからだな」
「そうだね……アタシもちょっと考えてみようかなぁ~?」
まだ自分の気持ちを自覚しきれない俊哉と、そもそもそう言った情を抱いた経験のないリサ。お互いに相手ができるまでは暫し時間がかかるだろう。
長い時間を掛けて終着点に辿り着いた貴之と友希那に対し、俊哉とリサはまだ振り出しに近い状態であった。
* * *
「今まで心配かけちまったな……」
「全くよ……気がつかない内に誰も知らない場所へ行くんだもの」
その日の夜、貴之は自分の部屋にて友希那と二人で今日のことを振り返る。
友希那の指摘どおり、『
とは言えそれは自身が走り続けた故に辿り着いた境地でもある為、これ以上言いすぎるのも難ではあると友希那は考えている。
「前に一真が言ってた気持ちが……少しだけ分かった気がする」
「……と言うのは?」
──誰もいない場所ってのは、寂しいものなんだな……。知る限りでは人類初の『
ここで一真を上げた理由としては『PSYクオリア』の存在があり、友希那もそれを知っている身だからこそであった。
「来れる人がいるかわからないのに、
「誰かに来て欲しい、ね……」
──前の私も……そうだったのかしら?話しを聞いた友希那は、暴走時代とも言える頃の自分を振り返る。友治の音楽を認めさせるべく、相応の実力を持つ人を探し続けていた自分がきっとそうなのだと思えたのだ。
五年近く探しても全然見つからない中、初めて来てくれたのが紗夜であり、そこから自分に憧れたあこと復帰したリサ、更にあこから話しを聞き、貴之から勇気をもらった燐子と──最終的に、来てくれる人に四人も出会うことができた。
そう振り返ると、同じ『PSYクオリア』持ちとして結衣があり得たものの途中で辞めてしまった故に可能性が遠のいた一真。自分以外誰も持たない『
しかしながら、今日の話しを振り返った友希那は何も絶望視をするには早いとも思っていた。
「私も、あなたと同じ場所に行けるかも知れないのよね……?」
「『PSYクオリア』と違って、ヴァンガードファイトだけじゃないってのが大きいな……」
もしかしたら友希那も行けるかも知れない。彼女の場合はバンドが関わってきそうだが、絶対とも限らない。
そこで気づいた貴之はハッとし、一つ友希那に聞いてみた。
「もしかしてだが、友希那は……」
「どうなるかはまだ分からない……けれど、もしそれを得ることが大切な人の為になるのなら……」
──私もあなたのように、得ることを選ぶと思うわ。友希那の見せる優し気な笑みは、こちらへの理解を多分に含んだ上で歩み寄ってくれるようなものだと貴之は思えた。
ただそれは今の貴之にとっては非常に有り難く、少しくらい迷うと思っていた自分が迷わなくていいと思えるようになっていた。
「なら俺は、誰かが来るのをのんびり気長に待つとするか」
「前に進みながら、でしょう?追いかける人も大変ね」
友希那の言う通り、自分を追う人は本当に大変である為、折れないかどうかも大事になってくる。
ただそれでも、誰か一人はいるだろうと思えて、そうなった時は得ることを選択すると言ってくれた人もいるのだから、もう一人で心配することはない。
「……貴之?」
「いきなりで悪いな……なんか今日は、無性にこうしたい気分なんだ」
「もう……前と立場が反対ね」
時間も時間なので灯りを消して寝るのだが、耕史と再会した日とは反対に今回は貴之が体を寄せてきていた。
前の礼も兼ねて相手がそう望むのならと友希那はそれを受け入れることを選び、彼に抱かれた後にこちらも抱き返す。
その影響で心臓が高鳴りし始めたので、極力意識しないようにして二人は眠りにつくのだった。
* * *
貴之と友希那が部屋で共にいるのとほぼ同刻、俊哉は紗夜と電話で今日あったことを話していた。
内容はやはり、貴之が会得した『
『そんなことになっていただなんて……。ですが、私に教えても大丈夫だったのですか?』
「許可は貰って来たんだ。お前なら大丈夫だと思ったのもそうだし、俺が目指す場所が決まったからそれを伝えたいのもあったんだ」
『随分と買いかぶってくれますね?』
信じてくれるのは嬉しいのだが、こうして話し過ぎるのも大丈夫なのだろうかと心配になるが、紗夜自身はそんなことをしたくないので自分の時くらいは構わないのだが。
また、先を促すと俊哉はいつか貴之がそれを使わないと決めている場所で、力を使った彼と戦うことを目指すそうだ。
『
「無理してもいいことなんて何も無いからな……。多分、お前に言われるよりも前だったら勝つって言ってたと思う」
本当にあの時、紗夜に気づいてもらえて良かったと俊哉は思う。普段のペースを破って無理矢理倍速で走ろうとしていたのだから、もしやらかそうものなら友希那の二の舞を踏むことになっていただろう。
そうなると「それを見て知っていたのに、お前は一体何をやっていたんだ」と言われることは間違いなく、友希那を筆頭に過去を知る知人に何らかを言われるのは火を見るよりも明らかである。
故に俊哉からすると紗夜の存在は非常に大きく、不味い場所へ落ちそうになった自分をせき止めてくれたのだ。
「なんか……お前にはこの先もずっと礼を言ってそうな気がしてきた」
『そ、そうですか?私は気づいて聞いただけなのですが……』
「でも、それが俺を引き戻してくれたんだ……」
──だから、ありがとうな。早速礼を言っていることに二人が気づいて笑う。
本当にそうなったらそれはそれで面白いかも知れないと思いながら、話題が再び『
『確かに、貴之君らしい力かも知れませんね……』
「ああ……そう言えばそうだな」
基本的に自分で選択し、それを最後までやり通す。彼に相応しい力だと言えるだろう。
その過程で貴之と彼に関わりのあったRoseliaメンバーが話しに出てくるが、ここで二人ともとある違和感を抱いた。
「……」
『どうかしましたか?』
「分かんないけど、貴之の話題が出た時に妙なモヤモヤを感じた……」
悪いことを言ってしまったかと思った俊哉だが、『あなたもですか?』という紗夜の言葉に驚かされることになる。
『実は私も、湊さんや今井さんが話題に出た時にもどかしさを感じたんです……』
「……マジで?」
『冗談でしたら、こんなことは言いませんよ』
何とも言えない気分にはなるが、親近感を得たのでそれはそれで良かったと俊哉は思う。
実は紗夜も同じだったらしく、自分一人だけではないと知れると安心するのだなと感じた。
それはさておきとして、二人とも気づいたことが一つあった。
「何というか俺たち、結構知らないことが多そうだな……?」
『……そのようですね』
何故そう感じたのかが分からない。それが共通点であった。
それをどうにかするべく、紗夜から一つの提案が上がる。
『でしたら今度、時間がある時に出かけてみますか?それを知る為にも……』
「いいけど、そっちは予定とか大丈夫なのか?」
『大丈夫です。その為の時間はいくらでも作れますから』
まさかの回答に俊哉は心臓が高鳴るのを感じた。恐らく驚きと嬉しさの入り混じりだろう。
一応イベントの合間に所々休日とする日は設けてあるので、そこは各々で有効活用していこうという認識合わせは済ませているようだ。
更に幸い二人とも予定がない日は殆ど自由に動ける為、やることが決まったミニライブ直後の休日にそうしてみることを決めた。
「予約しておいて正解だった……ミニライブの方も楽しみにしてるよ」
『本当ですか?なら、最高の演奏を準備して待っていますね』
紗夜のどこか弾んだような声を聞き、また心臓が暴れだすのを感じる。顔が赤くなっているのではないかと俊哉は思った。
そしていい時間になっていたので、ここで電話を終わらせ、灯りを消してから俊哉は布団に潜り込んだ。
今回のやり取りがあった為布団に入ってすぐに寝れる訳もなく、俊哉は落ち着かないなと思いながら思慮の時間に入る。
「(貴之も最初はああだったのか……?いや、あいつは友希那の歌ってる姿だから一瞬のような気も……)」
──今度また聞いてみるか?しかしながらそれも悪いような気がして俊哉は悩む。最近になってから紗夜のことを考える時間が増えてきたが、それはミニライブ直後の外出で二人一緒に考えるでもいいのだろう。
そうやって考えているといつの間に睡魔に負けたのか、俊哉は知らない内に意識を放り投げていた。
貴之の能力名はサブタイにもある通り『
『
この能力は大雑把に話すと『範囲が狭い代わりに、誰でも手にすることができる『PSYクオリア』とは違う力』になります。
一真がこれを得た場合は『ブラスター・ブレード』と、それをスキルで対象にしているユニットに限定され、貴之は『オーバーロード』と名の付いたユニットのみが対象です。
Roseliaメンバーだとシナリオ展開の都合上、友希那が一番得る確率の高いものとなっています。取るかどうかはまたその時……ですが(汗)。
前書きで触れていた『マジェスティ・ロード・ザ・ブラスター』ですが……
『マジェスティ・ロード・ザ・ブラスター』が新シリーズで使えるようになることを知る
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Roseliaシナリオ2章のことを思い出す
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閃いた!
となったので、コイツは必ず使う予定でいることをこの場で保証します。
次回はメインストーリーの6話を書いていきます。この辺りは原作ままだと省略する場面が増えるので、Roselia+他の人チームと言う形でやっていきたいと思います。