久しぶりのティーチングファイト、ルール変更後なのでその辺の差異点を描写、更に前置きの話しを作るなんてやっていたら26000文字と非常に多くなってしまいました……(汗)。
ちなみに前回触れたコミック版のヴァンガードですが、こちらはリアルでも存在するコミック版の『カードファイト!!ヴァンガード』のルールをこの世界に合わせたものとなっており、主人公の名前は『先導アイチ』兄貴分は『櫂トシキ』となっています。ここも原作ままですね。
また、前日談を描く話しのタイトルは『カードファイト!!ヴァンガード
そう言えばアニメ3期ですが、遂に香澄が言っていた『星の鼓動』についてが回収されてしまったので、これ以降アニメ化しなそうな気がしてきました……(汗)。
アニメの時間軸的に考えると、友希那たち高校3年組が卒業してしまうからかもしれませんね……。
「悪い、待たせた」
「大丈夫ですよ。自分たちも今来たところっスから」
羽丘の校門前で、友希那とリサと話しながらこちらを待っていた麻弥と合流する。
この時玲奈がいたことで何故かを問われた為、途中まで同じ行き先だったことを伝えた。
「じゃあ、今度感想よろしくね」
「分かった。お前は今日思いっきり楽しんできな」
「もちろん!うじうじしてて、愛想尽かされるのだけはごめんだからね」
後で聞けるならいいと割り切れたらしく、玲奈は目の前のことを楽しむ選択を取れていた。
待ち合わせに遅れる訳には行かないので、一足先に移動を始める玲奈を四人で手を振って見送る。
「そう言えばさ、玲奈のお相手って誰なの?」
「一真だよ。えっと……『ロイヤルパラディン』使ってる、金髪の宮地生」
「……ああ!あの王子様っぽい感じの……!」
──玲奈も隅に置けないなぁ~……。話しを聞いたリサがニヤニヤとした笑みを見せる。
ただしきっかけ自体は『PSYクオリア』が関わってしまっている為、無理に話すことはできなかった。
「紗夜に続いて玲奈も……。少しずつ増えていくわね?」
「俺たちが何らかの波になったかも知れねぇな……」
紗夜は実際に聞いていないから分からないが、どちらとも貴之が直接ないし間接的に関わっているし、友希那も同性の友人で恋人持ちと言うことで影響を与えている。
今後、自分たちを散々煽っていた人たちを煽り返す日が来るかもしれない──。そう考えると思わず吹き出しそうになった。
「お二人は今日練習でしたっけ?」
「ええ。今から行けば丁度いい時間になるわね」
「そうだね……じゃあ、そろそろ行こっか?」
Roseliaは練習をする為、そろそろ向かった方がいい時間になっていた。
なのでリサの促しに頷いて移動を始めるのだが、その前にと友希那は貴之の胸へ軽めに抱きつく。
「少しだけ、こうさせて?」
「ああ。少しの間な……」
少しの間他の女子に囲まれた空間へ向かうのもある為、貴之がぶれないことの確認も込められている。
友希那の誘いに対してすぐ乗っかる辺り、その心配は無さそうだ。
「ひょっとして、遠導さんは『甘えさせたい側』なんですかね……?」
「本当にダメな時は分からないけど、基本はそうだと思うよ」
リサの予想は当たりであり、貴之は自分が本当に甘えたいと思わない限りは相手を甘やかしたいと思っている。
対する友希那は普段こそ甘えたい側だが、相手が本当に甘えたくなったらその分甘えさせて上げたいと思っているので、両者ともいい具合に対比的となっていた。
「ありがとう。行ってくるわね」
「ああ。練習頑張ってな」
「大和さん、貴之のことお願いね?」
「はい。任されたっス」
十分に甘え終わったので、友希那がリサを促して移動を始め、それを残った貴之と麻弥が手を振って見送る。
見送るべき相手を見送ったので、貴之らも今度こそ移動を始める。
「そう言えば、一個聞こうと思ってたんですけど……」
「……どうした?」
移動中、麻弥が悩んでいる様子で話しを振ってきたので、貴之は乗る素振りを見せる。
大丈夫な旨を聞ければ麻弥としても助かり、自分の悩みを話していく。
内容は自分の笑い方があり、二日前の合同練習の時も千聖に圧を掛けられてしまったことで思い悩んでいた。
今すぐは無理でも直すべきなんだろうかと麻弥が問いかけると、貴之は大した時間も掛けずに答えを出す。
「『クレイ』では普段と違う自分がいてもいいし、不思議じゃない」
「……え?」
「俺にヴァンガードを教えてくれた人が言ってたことでな……。受け売りだったこれも、今は立派に自分の物にできた」
──で、そうして自分の言葉にできたからこそ思ったことがある……。その続きがあると示した言葉に、麻弥は耳を傾ける。
「それはヴァンガード以外でも言えることで、アイドルならそう言う特徴的な笑い方をするアイドルがいたっていいと思うんだ……」
「じ、じゃあ……このままでもいいんですか?」
「ああ……大丈夫だよ」
──少なくとも、俺のクラスにいた人たちはみんなその笑いかた好んでたし。それを聞けて、麻弥は肩が軽くなったような気がした。
元より癖になってしまっているので治すまでが大変なのもあるが、自分を肯定してくれる人が多くいると言う事実がとても嬉しいかったのだ。
ならばと麻弥は今後もこのまま行こうと決意する。後は千聖の圧に負けないかどうかが勝負である。
「ありがとうございます。おかげで楽になれたっスよ」
「俺の言葉で……誰かの助けになれるならそれでいいさ」
これにて麻弥の悩みは解決の糸口が出来上がり、後は揉め事にならないように進めて行くことになった。
今日であれば貴之もファイト中に援護射撃ができるかもしれないので、タイミングを見たらそこでねじ込もうと決める。
「さて、着きました……ここがパスパレのいる事務所っスよ。臨時の関係者として入るので、こっちで手続きを済ませちゃいましょう」
麻弥の案内に従い、入館の手続きを済ませて入館証を貰う。
そのまま付いて行って少しして辿り着いた部屋のドアに麻弥がノックをし、反応を聞いてからドアを開ける。
「あ、麻弥ちゃん。お疲れ様だね♪」
「お疲れ様です、彩さん。遠導さんもどうぞ」
「今日はよろしくお願いします」
部屋の中にはマネージャーらしき人がいたので、貴之は敬語を使いながら部屋に入った。
一応彼女らと面識がある人と言うことなので、問題が起こらない限りは大丈夫としてマネージャーらしき人は今日はよろしくと言う旨を告げて部屋を後にした。
「それが今回使う、『バミューダ
「うん。みんな可愛いよね♪」
彩が使うことになった『バミューダ
今回使うデッキはコミックのキャラクターたちに合わせたものであり、深海のとある村に住んでいた少女たちが、アイドルの少女と共に過ごしていく中で『皆で共にいる』為、全員でアイドルなった後をテーマにされているデッキである。
一応そのコミック自体は二巻目で完結するので、先に顔ぶれを見せると言った形なのだろう。
ちなみに『クラン』の戦い方としては、本来なら少々特殊なスキル群を生かして上げにくいパワーを補うような戦い方をするのだが、今回使うデッキはメインとなる少女たちを揃えることでその可憐な容姿からは考えられない超パワーで正面突破するデッキとなっている。
「やっほーっ!お待たせ!」
デッキを見ていこうと思ったタイミングで日菜が到着したので、彼女も揃えてデッキを見ていく。
「ああ。これが新しいスキルだな……」
「これってどういうこと?」
今回使うデッキには一部スキルを共有し合うことが可能なユニットたちがおり、それが貴之も始めて見るスキルとなった。
その原理自体はそう難しいわけではなく、共有スキル持ちAと、共有スキル持ちBがいた場合、それぞれのユニットがAとBのスキルを両方持っている扱いとなるのだ。
これから使う彩が困惑しているものの、日菜が何となく分かった様子をしているので、もしかしたら彼女が感覚である程度補佐できるかもしれないと思えた。
「細かいところはファイトしながらやっていこうか」
「あ、はいっ!よろしくお願いします!」
「いい返事だ……それじゃあ丸山さん、良かったら他のみんなも一緒にイメージしてみよう」
その促しにより、パスパレの五人が目を閉じて
「今の俺たちは、地球によく似た惑星『クレイ』に現れたか弱い霊体だ」
この言葉で真っ先に正確なイメージに成功したのは日菜で、上手く言っていない四人を誘導してあげる。
日菜が成功したのは周りにヴァンガードをやっている人が多く、時々話しを聞くことがあったからというのが大きい。
「大丈夫になったな?説明に戻るけど、この世界で俺たちに与えられた能力は二つで、一つ目が『クレイ』住まう住人やモンスターたちを呼び寄せる『コール』!これで呼び寄せることができるのは契約した者たち……。つまり、互いのデッキに集められたカードたちなんだ」
彩の場合は『バミューダ△』の皆を呼ぶことになるんだと納得する。
場慣れしていることもあるが、ここまでの誘導力を持っている彼は簡単な役者ならできるかもしれないと千聖は思った。
「二つ目が霊体である自分を呼び寄せたモンスターらに憑依させる『ライド』!そして、『ライド』した俺たちのことを先導者……『ヴァンガード』と呼ぶんだ」
アイドルとは言え一般の女子高校人がいきなり騎士や竜になった姿を想像するのは難しいが、自分の見た目が余り変わらないで人魚になるであれば比較的容易だったらしく、彩は「なるほど……」と僅かな笑みを見せる。
ここまでは世界観の説明なので、実際にファイトの説明に入る。
「まずはデッキからファーストヴァンガードを一枚、裏向きで前列中央の『ヴァンガードサークル』に出そう。この時出せるのはグレード0のユニットだけだ」
「えっと……グレード?」
「彩ちゃん、左上に数字があるよ」
戸惑っているところに日菜が教えてくれたので、彩も無事にファーストヴァンガードを置くことができた。
「置くことができたら次はデッキをシャッフルして、その後上から五枚を手札として引こう」
貴之は既に使っているデッキだからいいのだが、彩のデッキが開けたばかりの構築済みデッキなので、複数のシャッフル法を教え、混ざりやすいように誘導する。
これでようやく始まり……ではなく、最後に一つだけやることが残っていた。
「ここで一回だけ、望む枚数分の引き直しができるんだ。その場合はデッキに戻したいカードを山札の下に置いた後、上から戻した枚数分だけ引き直して、もう一回デッキをシャッフルするんだ。オススメなのはグレード1からグレード3が一枚ずつ揃ってる状況だけど、そのデッキは見た限りグレード3が多いし、グレード1とグレード2を多めに持っておきたいかな……」
貴之のデッキは今グレード3が8枚と一般的な枚数なのだが、彩のデッキは目玉のユニットたちによる兼ね合いもあってグレード3が13枚とかなり多くなっている。
少し迷ったものの、仮にデッキに全てグレード3を戻したとしても、後で4分の1の確率で一枚引けるし、スキルで確保することも可能なので一度引き直すことにした。
「ここまでやったらいよいよ開始なんだが……掛け声は知ってるか?」
「あ、うんっ。それなら大丈夫だよ」
それならば問題なしなので、後は特殊な言い方をする人もいるが、無理はしなくていいと伝える。
「最後に、イメージは大切にして欲しい。何たって、ヴァンガードはイメージが力になるからな」
「イメージは力になる……」
彩が頷いたので、始めようと促してタイミングを合わせる。
「「スタンドアップ!」」
開始の合図が始まったので、全員が注目をする。
「ザ!」
彩は始めてである以上、無理せずデフォルトで行くことにした。貴之が『ザ』をつけるのは周知の事実なので、特に気にすることは無い。
「「ヴァンガード!」」
そうして二人がファーストヴァンガードを表返すことで、ヴァンガードファイトが始まった。
「『ライド』!『リザードランナー アンドゥー』!」
「ら、『ライド』!『
貴之は毎度の如く『アンドゥー』に、彩はホワイトチョコやビターチョコに合わせた色合いが混ざったドレスを着たマーメイドの『アリーチェ』に『ライド』する。
イメージ内で自分が『アリーチェ』に合わせた格好になっていたので、彩はその姿を見て目を輝かせた。
「凄い……!ホントに姿が変わった!」
「上手く行ったみたいだな……。これで互いに先導者として、『惑星クレイ』に降り立ったことになる。んで、早速始めていくんだが……今回はルールを教えることもあるから、俺が先攻で行かせて貰うぞ?」
教えて貰う以上、彩は特に反対はしない。了承を得られたことで貴之は行動に移っていくことにした。
「ところで、どうして先攻を選ぶのですか?」
「先攻の方が先に動くから、実践しながら説明ができるってのがあるんだ。言葉だけよりも、見せて貰った方が分かりやすいと思ってね」
「なるほど……。そう言う事ならダイジョウブです!」
イヴの疑問を解いたので、今度こそ説明に入る。
「まずは『スタンド』アンド『ドロー』の説明だ。ここでは『レスト』……横向きになっているユニットを縦向きの『スタンド』にしてから、山札の上から一枚引く……『ドロー』を行っていくんだが、最初のターンはユニットが縦向きの『スタンド』になっているから、今回は『ドロー』だけ済ませるぞ」
説明の為に一回『レスト』の状態も説明しながら処理を行っていく。
『ドロー』はまだしも、『スタンド』が分かって貰えなかったので、これは次のターンだなと貴之は割り切った。
「これが終わったら次は『ライドフェイズ』……ここでは自分のヴァンガードから一つ上のグレードか、同じグレードのユニットに『ライド』することができるんだ。『ライド』する場合はヴァンガードの上にカードを重ねる……俺の場合はこの『リザードランナー アンドゥー』の上に重ねることになるんだ」
「じゃあ、私の場合は『
「分かってくれて何より。じゃあ実際に『ライド』するぞ……俺はグレード1の『サーベル・ドラゴニュート』に『ライド』だ」
そう言って貴之が実際に『ライド』を実践し、イメージ内で姿が変わったことに暫し呆然とする。
「彩ちゃんも……そうやって姿を変えるのよね?」
「ああ。『バミューダ△』自体人の顔が見えるユニットが多いから、竜が集まってる『かげろう』程大きく変化はしない筈だけどな」
──感覚が狂ったりしないのかしら……?心配になってしまった千聖だが、当の本人からはその様子を感じられないので平気なのだろう。
「さて、『ライド』されたから『アンドゥー』のスキルで一枚ドロー……。これは『アリーチェ』にもあるスキルだから、丸山さんも忘れないようにな?」
「あっ、ホントだ……。忘れないようにしなきゃ」
「(……ファーストヴァンガードにするユニットは大体持ってるのかな?)」
日菜も紗夜に頼んで購入して来てもらったデッキは同じスキルを持つユニットがいるので、予想を立てた。
実際は違うスキルを持っているのと、このスキルを持っているので二種類いるが、基本は『アンドゥー』と同じタイプがファーストヴァンガードに採用される。
「ちなみにヴァンガードの下に重なっているユニットたちは『ソウル』って呼ばれて、後でユニットのスキルにコストとして使うこともあるんだ」
「今の感じだと、重ねて行けば増えるんだね……」
先程デッキを見せてもらっていたので、最悪彩の方が一ターン目から使う可能性が見えていた為一足早くそれを伝える。
「じゃあ次は『メインフェイズ』だ。ここでは空いてる場所にヴァンガードと同じかそれより小さいグレードのユニットを『コール』したり、左右のユニット前後の移動を出来たりするぞ」
「……?真ん中はダメなんだ?」
「彩ちゃん、真ん中はヴァンガードがいるよ」
「あっ……」
──普通に考えれば気づけたのにぃ……。日菜の指摘を受けて恥ずかしくなった彩が顔を赤くした。始めてなので、そこは大目に見てあげることにした。
イヴが先導者は前で戦うことを義務付けられた武将や将軍なのかと問うてきたので、大体そんな感じと答える。
「気を取り直して……俺は『レッドダイブ・グリフォン』を『コール』するぞ」
後列中央に白い躰に虹色の模様がある、鳥類と四足歩行する獣が混ざったようなキメラの『レッドダイブ・グリフォン』が『コール』された。
本来は先攻側がこうしてむやみやたらに理由もなく『コール』するのは良くないのだが、今回は説明も兼ねて実践で見せる意味合いがある。
そこまでやった後、貴之は『サーベル・ドラゴニュート』のカードに手を置いて『レスト』した。
「アタック……」
「……!え、えっと……!」
「タカ君、彩ちゃんの反応見て楽しんでるでしょ~?」
「うんや、その反応見せようがそうじゃなかろうが、これはやるつもりだったぞ」
──俺としてはお約束だからな。とは言え、彩の反応が非常に素直で微笑ましいのは確かである。
これによって違うことに気付き、彩はきょとんとした表情を見せる。
「先攻は最初のターン、攻撃することを許されていないんだ……だから俺は、この後ある『バトルフェイズ』には移行できずここでターン終了だ」
「お、驚いたぁ……どうしようと思っちゃったよ」
覚えやすかったかと聞けば頷かれたので、貴之としては一安心だった。
「じゃあ次はそっちのターンだ。『バトルフェイズ』に関してはまた説明するから、一先ず『メインフェイズ』までやってみよう」
「うんっ!えっと……『スタンド』アンド『ドロー』だけど、最初は『スタンド』してるから『ドロー』だけ……。『ライド』は……よし、私は『
彩は自身の髪とよく似た色を基調に、赤のチャームポイントが付いてる衣装に身を包んだマーメイドの『エノ』に『ライド』する。
「スキルで一枚『ドロー』して……『トップスター チェル』を『コール』!」
前列右側に『エノ』と似たような色合いで制服風に作られた衣装を着ている、銀色の髪を持った若干幼さあるマーメイドの『チェル』が『コール』された。
「さて、『チェル』が『ライド』とか『コール』した時が条件の……登場時のスキルを使う場合は早速『ソウル』を使うことになるけど、使うか?」
「ホントだ……。使って見るよ。この『ソウルブラスト』ってどうすればいいの?」
「その場合はヴァンガードのしたのに重なっているユニット……今回の場合は『アリーチェ』だな。それを山札の一つ下のゾーンにある『ドロップゾーン』へ移そう。使う『ソウル』の数はユニットのスキルごとによってバラバラだけど、『チェル』の場合は一枚だな。後は手札の中にあるグレード3のユニットをどれか一枚見せることができれば発動可能だけど……どうだろ?」
「グレード3は……大丈夫、ちゃんとあるよ。それなら『ソウルブラスト』と、この『カラフル・パストラーレ ソナタ』を公開してスキル発動!山札の上から七枚をみて……『
残ったユニットはデッキに戻してシャッフルを行う。このまま攻撃だろうかと思ったが、日菜が一つ気づいた。
「タカ君、これって『コール』できるよね?」
「本当は相手の手札見ちゃうのはヤバいが……どれどれ?」
レクチャーなので今回は例外として、その一枚だけ見せて貰うと、手札にある際のスキルのおかげで大丈夫なことが判明する。
「じゃあ……スキルでグレード1として、『
前列左側に、イチゴチョコに近しい色合い衣装を着たマーメイドの『リーゼロッテ』が『コール』される。
この際、同名のユニット含めて一ターンに一度しか使えない『リーゼロッテ』のスキルにより、山札の上から一枚見て、それを『コール』するか『ソウル』に置くかが選べるのだが、ここで一つ疑問が生じた。
「えっと……遠導君。今グレード3が出たんだけど、これって『コール』できないよね?」
「ああ……手札以外から特殊な条件で『コール』する場合、今回の『リーゼロッテ』とかが顕著だな……。その場合はヴァンガードよりグレードの大きいユニットも『コール』できるぞ。これは『
「大丈夫なんだ……じ、じゃあ『カラフル・パストラーレ セレナ』を『Sコール』!」
後列右側に水色の髪と、自身の髪と同じ色を基調としたマーメイドの『セレナ』が『コール』される。
このユニットは日常系コミックにおける主要人物の一人であり、知的で落ち着いた性格をしている。
「その位置なら、前後移動をやってみようか。スキルとグレード1の能力もあって、『チェル』は後ろにいたいしな」
「確かこれが後ろにいる時に使える能力だったと思うんだよね……」
「そうなの?じゃあ、『セレナ』と『チェル』の前後を交代して……これで『メインフェイズ』を終わりにするよ」
イメージ内で『セレナ』と『チェル』が互いを見て頷き、前後を交代し、その光景を見たパスパレの五人が彼女らが繋がっていることを理解する。
「じゃあ、今から『バトルフェイズ』の説明に入るぞ。攻撃の宣言を行えるのは前列にいるユニットたち……丸山さんの場で言えば『チェル』を省いた全てのユニットだな。そのユニットたちが攻撃可能なのは、相手前列に存在するユニット……今回の場合は『サーベル・ドラゴニュート』が対象になる。攻撃するときは『レスト』……ユニットを横向きにして『アタック』を宣言するんだ」
「なるほど……。あっ、後ろにいるユニットは何かできるの?」
「ユニット次第ではできるぞ。これがさっき『チェル』を後ろに下げさせた理由に繋がるんだけど……グレード1以下のユニットは自分と同じ縦列にいるユニットが攻撃する場合、『レスト』することで自分のパワーを足せるんだ……これを『ブースト』って言うぞ」
「攻撃する時に『レスト』すれば『ブースト』……。なるほど」
貴之の説明を一個ずつ、実際に宣言せずとも動かしながら彩は覚えていく。
「攻撃の成否は左下にあるパワーと、『ブースト』やスキルで増やした分の合計で比べ合うんだ。ちなみに同点だった場合は攻撃側の勝ちだ」
──攻撃側は負けてもペナルティは無いから、気兼ねなく攻撃して大丈夫だ。それを聞けた彩は非常に安心した。
そう言うことならばと彩は攻撃して見ることにする。
「じゃあまずは……『エノ』でヴァンガードにアタック!えっと……ヴァンガードにアタックしたから、スキルでパワープラス2000!」
「分かった。攻撃された場合、防御側は手札のユニットを『ガーディアンサークル』に『コール』することで『ガード』を宣言して、呼び寄せたユニットの『シールドパワー』分のパワーを増やせるんだが……今回はノーガードで行こう」
ここでの宣言はどの道残った二回の内どちらかで行う為、その時改めて話すことにする。
「今回はヴァンガードで攻撃したから、『ドライブチェック』を行うぞ。山札の上から一枚めくって、それを表向きで『トリガーチェックゾーン』に置くんだ」
「う、うん……『ドライブチェック』っと……」
「その際に右上にアイコンのあるユニットを引けた場合はその効果処理をするんだが……今回は何も無いから特に何もしないが、ヴァンガードで攻撃して特定のユニットを引いた場合は、その効果処理までやって始めてパワー比べが終了するんだ。ちなみに、『ドライブチェック』でめくったカードは手札に加えるんだ」
今回の結果がノートリガーなので、特に何かをすることなく終了する。
イメージ内で『エノ』となった彩の踊りを見て、『サーベル・ドラゴニュート』となった貴之は戦意を削がれる。
「ヴァンガードが攻撃を受けたから、俺は『ダメージチェック』を行う。今回は1ダメージだから一回で、山札の上から一枚めくって『トリガーチェックゾーン』に置くところまでは『ドライブチェック』と同じだ」
貴之が行った『ダメージチェック』は、引と描かれているアイコン……すなわち
「今回はトリガーが引かれたな……今引いたのは
──丸山さんの場合は、『クレイ』でアイドルとしての活動が続けられなくなるってイメージするのが分かりやすいかな?そう考えると嫌なので、しっかり先導して上げたいと彩は思った。
「パワーが増えたなら、『リーゼロッテ』の攻撃は届きませんね……」
「そこは仕方ないところだな……でも、『セレナ』は『チェル』と一緒ならまだ届かせられるぞ」
『サーベル・ドラゴニュート』のパワーが18000になったので、パワー10000の『リーゼロッテ』では攻撃しても効果無しになってしまう。その為、このターンでの攻撃はあと一回となった。
「『ブースト』があるから届くんだ……じゃあ実際に体験!『チェル』の『ブースト』、『セレナ』でヴァンガードにアタック!」
「それならこっちはガードしようか。『希望の火 エルモ』で『ガード』!」
『ブースト』もあって『セレナ』のパワーが21000となっていたが、『エルモ』の『シールドパワー』を足してパワー28000になることで攻撃をヒットさせなくする。
「なるほど……。『ガード』する時はそこにおけばいいんだね」
「ああ。そして、『ガーディアン』として『コール』されたユニットは、『ガード』を終えたら退却……『ドロップゾーン』に置くんだ」
『ガード』の方法を覚えたところで、攻撃が出来なくなった彩はターンを終了させる。
「再び俺のターンだな……このターンなら、『カウンターブラスト』も紹介しておこうか。『ライド』!『バーサーク・ドラゴン』!」
「『カウンターブラスト』?」
「さっき『ダメージゾーン』に置いたカードがあるだろ?このカードを裏向きにすることで発動が可能なんだ」
──後で『カウンターブラスト』を使う為に敢えて攻撃を貰うってのも、選択肢の一つなんだ。彩はその考え方に納得する。
「まあこいつの場合は『ソウルブラスト』も同時にする必要があるんだが……。登場時、『カウンターブラスト』と『ソウルブラスト』でスキル発動!リアガード一体を退却させることができる……。グレード3を野放しにする気はないし、今回は『セレナ』を退却させようか……」
「えっ!?あっ……」
イメージ内で『バーサーク・ドラゴン』となった貴之は二つの口から炎を吐き出すが、それは『セレナ』に直接ではなく、彼女の頭上を通り過ぎるように威嚇として放った。これはリサの時を鑑みての気遣いがあった。
それでも効果はあったらしく、危険を感じた『セレナ』は安全圏へと逃げる選択を取る形で退却していく。
また、この時『インターセプト』を持つ『リーゼロッテ』ではなく、『セレナ』を狙ったのはパワーの高いグレード3を序盤から場に残したく無かったのと、『チェル』のスキルが災いして攻撃で退却させることが出来なかったからにある。
「あ、あれ……?」
「とまあ、これが『カウンターブラスト』を使う一例だな……。今回はちょっと気を遣ってみた」
「ありがとう……。あの子に怪我が無くて良かったよ」
──やっぱりこれで正解か。普段なら間違いなくそのまま炎をぶつけることで退却に追い込んでいたが、今回はユニットの見た目故に躊躇いが生じた。
また、『かげろう』はこうやって敵を退却させる手段が少し多めなことを教えておくと、この時千聖が一つの推測を立てる。
「(彼にとって厄介なユニットを『壁』とすれば、退却と言う形で自ら乗り越えていく……)」
──見た目は合わないけど、気質はとても合っているわね……。千聖が立てた推測通り、貴之もこの厄介なユニットを追い払える能力は好ましく思っていた。
『ヴァンガードサークル』で発動した為一枚引いてから、『メインフェイズ』で彼は前列左側に『ネオフレイム』、後列左側に『ブルジュ』を『コール』した。
「さて、二ターン目だからここから俺も攻撃しよう……と、その前にグレード2の能力である『インターセプト』を教えておこう。これは前列のリアガードにいて、自分を攻撃していないならそこから『ガーディアン』として味方を守りに行ける能力だ。パワーの加算は通常の『ガード』と同じで『シールドパワー』を使うぞ」
「でも、今回届かなそうだね?」
せっかく説明してもらったのはいいのだが、『リーゼロッテ』の『シールドパワー』が5000で、『ブースト』をされたらその段階で届かないことに日菜が気付く。
ならば仕方ないと、彩は次のターンで使えそうなら使うことにした。
「まずは『ブルジュ』で『ブースト』、『ネオフレイム』でヴァンガードにアタック」
「えっと……ここは一回ノーガードかな」
さっき言われた『カウンターブラスト』確保を実践すべく、ここは一回受けることを選択する。
イメージ内で『ネオフレイム』が吹きつけた炎を、『エノ』となった彩が浴びた後に『ダメージチェック』が行われ、結果はノートリガーだった。
「次は『レッドダイブ・グリフォン』で『ブースト』、『バーサーク・ドラゴン』でヴァンガードにアタック!」
「『ガーディアンサークル』に置くんだったよね……私は、『
イメージ内で『バーサーク・ドラゴン』となった貴之の攻撃を当てるべく、『レッドダイブ・グリフォン』が布石を打つべく迫っているところに、ビターチョコとホワイトチョコを元にした色合いの衣装と金色の髪が目を引くマーメイドの『リーナ』が立ちふさがる。
「なるほど……なら、『ガーディアン』を『コール』するところまでは通そうか」
『……?』
貴之の言葉に全員が首を傾げる。これには『ガード』の仕組みが関係していた。
「『ガーディアン』を『コール』した後に『ガード』の宣言があるから、これら二つの行為って
これが先程言ったことの理由であり、ここに一石を打てるのが『レッドダイブ・グリフォン』の強みになる。
「『ソウルブラスト』して『レッドダイブ・グリフォン』のスキル発動!相手の『ガーディアン』を一体退却させることができる!」
「えっ!?」
せっかく守る為に『コール』したと言うのに、退却させられるのは堪ったものではないだろう。
イメージ内で『レッドダイブ・グリフォン』が己の四つの足と翼を使い、『リーナ』を戦いの場から追い出した。
「ただ、このスキルはターンに一回しか使えないし、『完全ガード』持ちは場に出した段階でスキルを発動可能条件を満たすから、このスキルを使っても効果がないし、バトルが終わった後は退却するから無駄撃ちになっちまうんだ」
「な、なるほど……」
確かにこのスキルを何回も使えたらズルにも程があるだろう。とは言え、こう言った方面でも突破できる方法を得られることは相手に厳しい読み合いを仕掛けられるので、明白な強みと言えるだろう。
「一応丸山さんはまだ『ガーディアン』を『コール』しただけであって、『ガード』を宣言した訳じゃないから『ガーディアン』の『コール』をやり直せるけど……どうする?」
「うーん……防ぎたいけど、手札を使いすぎると大変だから……ノーガードで」
『レッドダイブ・グリフォン』の強みは相手の『ガード』したいと言う思惑を崩すのに一躍買えることであり、このスキルを使われてなお『ガード』する場合は必要以上に『ガード』する必要が出てくるのだ。
彩が防ぐのを諦めたので、貴之の『ドライブチェック』が行われる。
「……星のアイコン?」
「これは
──今回はもう攻撃が残ってないし、効果は全てヴァンガードに回そう。この場合、攻撃が残っていたらそのユニットに回すつもりだったんだと彩は考えた。
イメージ内で『バーサーク・ドラゴン』となった貴之の業火を二度浴びてから、彩は『ダメージチェック』を行う。
その結果一枚目が
「あっ、また違うアイコンだ……」
「おっ、
──ただし、ダメージを回復できるのは『自分と相手のダメージが同じ』か、『相手より自分のダメージが多い』場合だけで、それ以外の場合は回復できないからそこに注意だ。結構厳しいと思ったが、納得できる理由はあった。
ダメージが少ない方が回復し続けて、どう考えても勝ち目のないワンサイドゲームになることを防止する意味合いがある──と、考えれば納得できた。今回その気はないものの、貴之が一方的なワンサイドゲームを展開することも可能と言えば可能である。
と言っても、貴之自身はそう言うことをするような人間ではないし、退却や連続攻撃で何かと『カウンターブラスト』を使うことの多い『かげろう』でそれを実行することは不可能と言っていいだろう。
回復する場合は『ダメージゾーン』にあるカードの内一枚を『ドロップゾーン』に送ることを教えて貰い、彩は回復処理を行ってダメージが2で留まった。
これで攻撃が終わったので、貴之はターン終了を宣言する。
「あっ、ここで始めてユニットを『スタンド』させるんだね……」
「場合によっては先攻が二ターン目で『スタンド』させることはあるけど、基本的には後攻の方が先に『レスト』させることは多いね」
理由は大体が攻撃だろうと、流れを見れば五人とも理解できる内容だった。実際、貴之のデッキには『メインフェイズ』中に『レスト』してスキルを発動させるユニットは入っていない。
納得できたところで、彩は『スタンド』アンド『ドロー』を済ませる。
「さっきは『コール』だったけど……『リーゼロッテ』に『ライド』!スキルで一枚見て……『
『リーゼロッテ』のスキルはヴァンガードサークルでも発動可能であり、先程『バーサーク・ドラゴン』のスキルで空いてしまった前列右側に銀色の髪と、上から下に行くにつれ、白から蒼へとグラデーションされているかのような衣装を着るマーメイドの『ブリュム』が『コール』された。
更に『メインフェイズ』で後列中央に金色の髪をツインテールにし、
「『ソナタ』を見せて……今回は『カラフル・パストラーレ フィナ』を手札に加えるね♪」
「なるほど……」
──仮に俺が勝つなら、次のターンで決めないとキツイな……。口にはしなかったが、『
ここで『仮に』と出たのは、ヴァンガードを押している際のお約束のようなものであるが、それは相手がしっかりイメージできるかのチェックもある。
今回のようなファイトをしている貴之は、相手がギリギリ跳ね返せるくらいのイメージに抑えており、促したりすることで塗り替えさせるのだ。
また、『チェル』のスキルでデッキをシャッフルすることができたので、『プルーネ』のスキルが発動し、このターンパワーがプラス5000される。
「じゃあ二回目の攻撃……『チェル』で『ブースト』、『ブリュム』でヴァンガードにアタック!」
「一回ノーガードにするか。『ダメージチェック』……」
イメージ内で『ブリュム』の歌を『バーサーク・ドラゴン』となった貴之が聴き入った後、『ダメージチェック』を行う。
結果はノートリガーで、ダメージが2に並ぶ。
「リアガードにいる『ブリュム』の攻撃がヴァンガードにヒットしたから、『カウンターブラスト』してスキル発動!一枚ドローするね」
これにより、彩は追加で一枚確保することができた。また、リアガードにいれば相手のターン中パワーがプラス5000されるので、場にとどまりやすい。
最悪今回のデッキでフルパワーを発揮出来ずとも、『ブリュム』を残しておけば何かと動きやすいはずだ。
「次はこっちがいいかな……?『プルーネ』の『ブースト』、『リーゼロッテ』でヴァンガードにアタック!」
「良い判断だな……。リアガードの内片方の攻撃を残しておけば、トリガーを引いた時そのパワーを回す方を選べる。ここはノーガードで行こう」
今の考え方は日菜も覚えておくべきだと考えた。何しろこの後自分もファイトをするのだから。
称賛された嬉しさを抱きながら行った『ドライブチェック』で、彩は
「別々でもいいんだったよね……じゃあ、パワーは攻撃していない『リーゼロッテ』に、
「既に攻撃が届いているからリアガードにと……。これで次の攻撃も通りやすくなりましたね」
麻弥の気づきに貴之はご名答、と返した。貴之自身、この次は流石に防ぎたいのだが、消費する手札が多くなってしまうのだ。
イメージ内で『リーゼロッテ』となった彩の差し出しであるチョコを『バーサーク・ドラゴン』となった貴之が食べ、舌鼓を打ちながら恐ろしい速度で戦意がそがれていく。
そんな情けない光景を見て、千聖が呆然としている中で行われた『ダメージチェック』は一枚目が
この時駆けつけた『ゲンジョウ』も流石にキレたのか、杖で頭を殴って貴之に喝を入れると言う荒治療を行い、それを受けた貴之は『バーサーク・ドラゴン』となっている故に頭を抑えられず、苦悶の声を上げながら悶えた。
「い、イタそーです……」
これにはイヴも思わず顔を青くし、そのきっかけを作った彩も大丈夫だろうかと心配になった。
しかしながら、これは貴之が相手のイメージを尊重している結果であり、彼が率いる『かげろう』のメンバーも分かっていると言わんばかりに平気そうな様子をしている。
つまるところ、『ゲンジョウ』のあの行動は貴之の意図を理解した上で行っていたのだ。故にそこまでの心配にはならない。
それはさておきとして、ファイトの状況では一つ問題があった。
「これではヴァンガードに攻撃が届かないわね……」
せっかく上げたパワーを込みでも、『チェル』の『ブースト』を受けた『リーゼロッテ』の攻撃は28000。トリガー二枚でパワー30000まで上がった『バーサーク・ドラゴン』には届かないのだ。
ただ、何もできないわけではなく、貴之にとってはそこの説明をするいい機会となった。
「こう言う場合はリアガードに攻撃するのがオススメだ。攻撃側が勝っていれば、相手リアガードを退却させることができるぞ」
「そうなの?じゃあ、『チェル』の『ブースト』、『リーゼロッテ』で『ネオフレイム』にアタック!」
防いでも割に合わないので、貴之はそのまま受けることにした。
イメージ内で『リーゼロッテ』のチョコを貰い、その味に満足した『ネオフレイム』は悠々と戦線離脱する形で退却していき、それを確認して彩のターンが終わる。
現在のダメージは彩が2、貴之が3と言う形になった。
「その様子だと、楽しんでもらえてそうだな」
「うん♪難しそうだって思ってたけど、思ったほどじゃなくていつの間にか……」
他のカードゲームだと訳が分からないとなりやすいのだが、ヴァンガードは比較的分かりやすいルールをしており、入り込みやすいのも強みだった。
故に彩の中にあった不安も取り払われており、それを聞けた貴之も安心だった。
「さて、次がファイトの本番であるグレード3だ……ここまで言えば、もう分かる人は分かるな」
「おおっ!?目の前で見れるの!?」
貴之の前振りに日菜は瞳を輝かせるが、彩はかなり慌てた様子を見せる。
ここばかりは仕方ないだろう。何しろ全国大会優勝者が分身と称する程使い込んでいるユニットが現れるのだから。
例えそうでなくとも、今の貴之が使っているデッキの場合、三ターン目はそのユニットに『ライド』するのが最適解なのだ。
一先ず自分の見せるイメージを塗り替える練習だと思ってくれと彩を納得させ、『ライドフェイズ』に移る。
「紅蓮の炎で全てを焼き尽くせ……!ライド・ザ・ヴァンガード!『ドラゴニック・オーバーロード』!」
イメージ内で体格差もあって、『リーゼロッテ』となった彩はおっかなびっくりした様子で『オーバーロード』となった貴之を見る。
貴之が言うイメージを塗り替えると言うのは、ここを耐えきることにあるのだろうと彩は考え、気を引き締める。
「さて、グレード3に『ライド』した場合だが、一部のユニットは『ライド』したことへの祝福として『イマジナリーギフト』を獲得することができるんだ」
「『イマジナリーギフト』?」
「大まかな分類は『フォース』、『アクセル』、『プロテクト』の三つで、最近ルールの追加がされて、今はそれぞれの分類ごとに二種類ある『イマジナリーギフト』から選択するようになったんだ」
全国大会までの頃であれば最近……から後ろの下りは要らなかったのだが、今回からは必要となった。
また、この時一つ気づいたことがあったらしく、日菜が声を掛ける。
「一部ってどういうこと?」
「そこか……俺の全国大会で使った時のデッキに『ボーテックス・ドラゴン』がいるだろ?あのユニットは『イマジナリーギフト』を獲得できないんだ」
一応雑誌は持って来ており、暗記したページまでめくって確認すると、『ボーテックス・ドラゴン』だけグレードごとに有するユニットの能力の下に描かれている『フォース』のアイコンが存在しなかった。
これが『イマジナリーギフト』を獲得できない理由であり、貴之がここ一番でしか使えなかった理由である。
「ちなみに俺が使う『かげろう』と、丸山さんが使う『バミューダ△』が得られるのは『フォース』だ」
「あっ……同じなんだ」
彩は少しだけ気が楽になる。複数を纏めて聞いたら頭が混乱してしまいそうだったからだ。
「まずは、ルール追加よりも前からあった『フォースⅠ』。これは六つあるサークルのどれか一つに置いて、設置された場所は自分のターンの間パワーをプラス10000するぞ。『イマジナリーギフト』の獲得手段が多かったり、増えたパワーを有効活用しやすい……または、パワー依存の激しい『クラン』はこっちを使いたいかな」
──ちなみに、こっちは同じ場所に複数置くとその分だけ加算されるから、最終的にとんでもないパワーになったりするぞ。『オーバーロード』が何度も強化された姿を想像し、彩は絶句してしまった。
そこまで長引く場合は互いに決め手が欠けてしまっている状況なので、そのパワーを得るケースはかなり少なく、貴之も攻撃するよりも前にパワー70000超えを『オーバーロード』で果たしたことは未だに無い。
「次は、ルール追加で実装された『フォースⅡ』。こっちもどれか一つのサークルを選んで置くことまでは一緒だ。『フォースⅡ』はパワーが増えない代わりに、元々の
──『フォースⅡ』は簡単にパワーを上げられたり、何らかの方法で連続攻撃を狙いやすい『クラン』がオススメだ。そこまで聞いた彩は、貴之の場合どちらを選ぶのかが気になって聞いてみた。
これはいきなりどちらかを選ぶと言われても始めてではよく分からないので、参考が欲しいと思ったのである。
「基準としてはグレード3で自分が主力としているユニット……俺の場合は『オーバーロード』とその派生形のユニットだな。それと、それらをサポートするユニットを見て決めることが多いな。『オーバーロード』だけを見た場合は正直どっちでもいいんだけど、この先派生形のユニットとそいつのサポートユニットである『ネオフレイム』が二体揃って同時攻撃するのも考えると、俺は『フォースⅠ』を選ぶな……。今回はヴァンガードに設置して、パワーをプラス10000だ」
──これはあくまでも基本的な選び方であって、状況次第では『フォースⅡ』も考慮に入るんだ。と言ってもいきなりここまで深く考えろとは言わないので、あくまでも参考程度にしておいて欲しいと貴之は告げた。
これを聞いて、パスパレの五人は『かげろう』が自由度の高めな『クラン』ではないかと推測する。一番かと言われれば違うものの、比較的自由が利くと言われればそうであった。
『メインフェイズ』で前列右側に『フルアーマード・バスター』、後列中央に二枚目の『レッドダイブ・グリフォン』、後列右側に『エルモ』、前列左側に『バーサーク・ドラゴン』を『コール』し、『バーサーク・ドラゴン』の登場時スキルと、『ブルジュ』のスキルで左右の『チェル』を両方とも退却させる。なお、パワーの上昇は『バーサーク・ドラゴン』に宛がった。
「(今回も気を遣ってくれたのかな……?)」
──遠導君、色んな方向で優しいんだね……。そしてその優しさが燐子を勇気づけ、友希那と共にいることになったのなら、間違いなくいいことだと思えた。
しかしながら、ファイトでは手加減しているとは思うが割と容赦ない一面もあり、『ソウルブラスト』することで『オーバーロード』のパワーをプラス10000して来た。
イメージ内で『オーバーロード』となった貴之の全身にみなぎった力が炎となって現れ、天へと向けて咆哮した。
「攻撃行くぞ……まずは『バーサーク・ドラゴン』でヴァンガードにアタック。リアガードにいる『バーサーク・ドラゴン』が攻撃した時、こちらのリアガードよりも相手リアガードが少ないなら、このバトル中パワープラス3000」
「えっと……『
先に防げるものは防いでしまえと考え、パワーの25000にしてパワー23000の攻撃を防いだ。
この考えになったのは、手札にデッキのキーとなるグレード3が密集しており、全てを防げないのが目に見えていたからだ。
「次は『ブルジュ』の『ブースト』、『フルアーマード・バスター』でヴァンガードにアタック」
「……?じゃあ、ノーガードで」
先程自分を称賛した時とは全く違う方法で攻撃して来たので、戸惑いながらもノーガードにする。
イメージ内で『フルアーマード・バスター』が剣から炎を飛ばし、『リーゼロッテ』となった彩がそれを浴びて思わず両腕で顔を覆い隠す。
この時の『ダメージチェック』は
「一旦こっちからだな……『オーバーロード』で『ブリュム』にアタック」
「リアガードに?うーん……ノーガード」
リアガードに来るのならこのターンで負けることは無いので、そのまま受けることにした。
宣言が終わったので『ドライブチェック』に入るのだが、ここで貴之から一つ説明が入る。
「グレード3の有する能力は『ツインドライブ』だけど、この言葉からは何を考えられる?」
「も、もしかして……『ドライブチェック』が二回できるとか?」
「そ、それはいくら何でも安直じゃないかしら……?」
「いや、丸山さんが当たりだ」
これには日菜以外が全員で驚く。その中でも最も驚いていたのが彩だった。
トリガーを引きやすくなり、トリガーが二枚引ける可能性もあり、手札が二枚も増えると言ういいことずくめな能力であり、多くのファイターたちがグレード3への『ライド』を急ぐ理由はここにあった。
「じゃあ、早速『ツインドライブ』だ……ファーストチェック……」
一枚目はノートリガーでホッとするが、まだ次があることを思い出す。
セカンドチェックの言葉と共に二回目の『ドライブチェック』が行われ、そこで
「ゲット、
『(……?狙い通りな顔をしてる)』
やけに焦った様子もなく宣言する貴之を見て不思議に思うも、ヴァンガードに回したのはもう攻撃が残って無いからだと考える。
イメージ内で『オーバーロード』となった貴之が、『ブリュム』の真横を通り過ぎるように業火を吐き出し、その熱量に恐怖した『ブリュム』がもう留まれないと判断してわき目も振らず逃げ出す形で退却する。
「『オーバーロード』の真骨頂はここからだ……!アタックがヒットした時、『カウンターブラスト』と手札二枚を捨ててスキル発動!ドライブをマイナス1する代わりに『スタンド』させる!」
「……もう一回攻撃できるんですか!?」
「ま、まるでムソーブショーみたいです……!」
彼のことを知っている身であれば一回目の攻撃で完全に止めてしまうか、敢えて一回目は攻撃させて二回目で防いで手札を消費することを狙おうとするが、始めて故に『オーバーロード』の能力に気づけなかった。
イヴの例えは一人で複数の相手を一人で行うことからだろう。と言ってもこれは『オーバーロード』を見ての所感である為、貴之自身を見てではないことが彼としては助かっている。
ヴァンガードの鉄則として、霊体である自分は一人だと何もできないであるので、先程の例えが自分を見てだった場合は訂正しなければならなくなっていたからだ。
「じゃあ次だ……『レッドダイブ・グリフォン』の『ブースト』、『ドラゴニック・オーバーロード』でヴァンガードにアタック!」
「えっと……これで足りるよね?『エノ』と『
「(惜敗してもスキルで『スタンド』する形で何度でも立ち上がり、その連続攻撃で並み居る強敵に打ち勝っていく……)」
──まるで、彼の生き方を体現したみたい……。ここまで自分の方針に合うユニットを見つけられたのは、これ以上ない幸運だろうと千聖は思った。
彩が呼んだユニットの『シールドパワー』を合わせた合計パワーは55000、『レッドダイブ・グリフォン』の『ブースト』を貰った『オーバーロード』のパワーは53000であり、何事もなくトリガーさえ来なければ防げる数値だった。
「じゃあ、攻撃がヒットするかしないかを判別する時だ……チェック・ザ・ドライブトリガー……」
普段と違う言い回しで行われた『ドライブチェック』の結果は
これによってパワー61000、
イメージ内で彩を守る為に立ち塞がっていた『ガーディアン』たちを悠々と飛び越え、剣を用いた斬撃を『リーゼロッテ』となった彩に三度浴びせる。
「今ので3ダメージっスね……」
「でも、どこか一枚でも
現在彩のダメージが3なので、
ここで
「状況を作り出した俺が言うのもアレかも知れないけど、こう言う時こそイメージだ。しっかりとできていればユニットも応えてくれる……」
「イメージ……うんっ、やってみる」
意を決した彩が行う『ダメージチェック』は、一枚目と二枚目がノートリガー、三枚目で
これによって先程日菜が言った通り、彩には敗北の危機から一転してチャンスが訪れる。
「ほ、ホントに引けた……」
「君のイメージが形になった瞬間だな……これ以上できることは無いから俺はターン終了。次はそっちがイメージを持って、俺のイメージを塗り替える番だ」
「うん♪『スタンド』アンド『ドロー』……」
見事に引き当てたことが自身に繋がり、そのままの勢いで自分のターンを始める。
この『スタンド』アンド『ドロー』で、彩は自分の使っているデッキのキーカードが全て揃い、どれに『ライド』するべきかを考える。
少し悩んだものの、これになるべきだと思ってそれをヴァンガードサークルに重ねる。
「みんな、行くよーっ!『ライド』!『カラフル・パストラーレ ソナタ』!」
彩は緑の衣装を着たマーメイドの『ソナタ』に『ライド』する。
このユニットは日常系コミックにおける主要人物の一人であり、友達想いの優しい性格をしていて、物語では多くの場面で彼女が主人公として扱われている。
『メインフェイズ』で彩が使う『ソナタ』専用のスキルも相まって、その少女たちの中では最もヴァンガード向きのユニットでもある。
「私が選ぶのは……『イマジナリーギフト』、『フォースⅡ』!これを前列左側のリアガードサークルに置くね」
この選択は貴之の意見を参考にして、こちらはこの後スキルの影響で全ての攻撃がとてもヒットしやすくなる為、リターンの大きさを狙ったものだった。
貴之目線ではヴァンガードに設置されるのならばまだ良かったのだが、リアガードに置かれると非常に厳しい状況と化す。
「上手いな……。これで俺は非常に厄介な攻撃二つの内、どっちかは受けなきゃ行けなくなる……」
現在貴之のダメージは3で手札も3枚。内一枚が『完全ガード』である為、スキルによる超パワーが発揮される攻撃の内一つしか防げない状況に陥っていた。
この為『フォースⅡ』による確定二ダメージ以上を受けるか、『ツインドライブ』によるパワー無いし
「あっ……彩ちゃん彩ちゃん、その子たちを出す場所なんだけどさ……」
「……えっ?や、やってみるよ……えっと……」
彩は日菜のガイド通り、前列左側に黒い髪とそれの色に合わせた衣装を着るマーメイドの『カラフル・パストラーレ カノン』、前列右側には二枚目の『セレナ』、後列右側に彩に近しい髪色とその色に合わせた衣装を着るマーメイドの『カラフル・パストラーレ フィナ』、後列左側にオレンジ色の髪とその色に合わせた衣装を着るマーメイドの『カラフル・パストラーレ キャロ』が『コール』される。
『フィナ』と『キャロ』は『ソナタ』と『セレナ』の二人と同じく村に住んでいた少女であり、『カノン』は唯一物語開始前まではアイドルとして活動していた都会暮らしの少女であり、とある状態で村にやって来て四人と出会ったのがコミックにおける物語の始まりであり、この五人が中心となって物語が広がっていく。
『カノン』は唯一都会住まいであったことからの戸惑いや、自分がアイドルである建前いつか戻らねばならない苦悩などがあり、『ソナタ』と並んで主人公として取り扱われることが多い。
『フィナ』は少々甘えん坊なところはあるが、料理やお菓子作り、裁縫などが得意な家庭的な少女。『キャロ』は皆が喜ぶことを考えることの多い、明るく元気のいい少女である。
──と、ここまでが主要人物五人の主だった特徴となるが、ファイトの流れは完全に彩のものになったと言える。
「だぁぁ……!お前、その配置は鬼だぜ……」
「あははっ!タカ君でもこれはキツイんだねぇー……」
「え?えっ!?な、なんでそうなるの!?」
五人全てが揃っている段階で相手するのが非常に苦しいのだ。これは『
まず、『ソナタ』は自分のターン中パワーがプラス5000。これだけでも攻撃をヒットさせる期待値が上がり、三体も上がるとかなりの効果となる。五人の中では一番腐りづらく、安定して強いスキルと言える。
『カノン』は登場時に『ソウルチャージ』のするしないを決められる。共有しないスキルは『セレナ』を省いて『ソウルブラスト』を使用するので、コストの補充に向いている。『セレナ』の専用スキルを考えると、あったらいいな程度でもあるのが玉に瑕だろう。
『セレナ』は手札が四枚以下の時に攻撃がヴァンガードヒットしたなら、一枚引くスキルを有している。これは手札をどうしても消費してしまいがちな、『カラフル・パストラーレ』を軸としたデッキの短所を補いやすいスキルである。
『フィナ』は『インターセプト』を獲得し、『インターセプト』した際の『シールドパワー』をプラス10000させるスキルで、これによりグレード3が増えてしまうことで薄くなる守りを、これでもかというくらいカバーできてしまう非常に強力なスキルだ。
最後に『キャロ』は『ブースト』を獲得し、『ブースト』した際のパワーをプラス5000するスキルを持っている。こちらもグレード3が多くなることで不足しがちな『ブースト』を補い、それ以上のリターンを与える強力なスキルだった。
これら全てを一体ずつが持っている状態だと話せば、最初に理解しきれなかった日菜以外の四人もようやくその恐ろしさに気づいてくれた。
「『フィナ』と『キャロ』が後ろってのがキツイんだ……!」
「後列だと攻撃できないもんねぇ……♪」
「そ、そう言えばそうだった……」
この五人の中で優先的に狙いたいのが『フィナ』と『キャロ』の二人で、この二人を場に残すと守りが頑強になるか、可憐な見た目とは裏腹にとんでもないパワーで攻撃されるか、或いはその両方かが待っている。
幸いにも貴之は退却手段が多く、連続攻撃もできる『かげろう』の『オーバーロード』軸なので、今回のようにならなければいくらでも対処可能なのだが、今回は手数が追いつかないのでほぼ不可能である。
後江組と宮地組を合わせた七人のファイターの中では崩す形で貴之が、耐える形で大介が、本領発揮前に止める形で竜馬が比較的このデッキに対して耐性がある。逆に一番厳しいのは手数もほぼ同等で、退却手段が乏しめな俊哉か、退却対象が限定的で痒い所に手が届かず、超パワーのゴリ押しが辛くなりがちな一真だろう。
これをしっかりと使いこなすことで、イベント当日に予想以上の連勝をして彩が困惑するのは少し先の話しとなる。
「み、見た目以上にキョーアクですね……!」
「これ、始めて見たら絶対焦りそうっスよ」
イヴと麻弥の感想を聞いた貴之は、心の中でそれに激しく同意した。デッキで見ていたとは言え、一回目でそう簡単に決まると思う方が難しい話しである。
とは言え、貴之自身もここぞとばかりにイメージ力で相手を正面突破しているので、自身に向けて「お前が言うな」と心の中で喝を入れて気を取り直す。
「ああ、後はこれも使った方がいいと思うよ。その方が『ブースト』でもっとパワー出せるし……」
「そうだった……!『カウンターブラスト』と『ソウルブラスト』をして『ソナタ』のスキル発動!山札の上から『
「日菜ちゃん、もう教え要らないんじゃないかしら……?」
これによって、彩の場にいるユニット全てがパワー23000と言う恐ろしい数値を叩き出すものになった。
更に厄介なこととして、ここから『ブースト』した攻撃は『キャロ』のスキルも乗るので、パワー51000と言う最早トリガーが二枚と『ソウルブラスト』、或いはトリガー一枚と『ソウルブラスト』に『フォースⅠ』の効果を受けてからパワー8000のユニットに『ブースト』を貰った『オーバーロード』と同数値である。
この超パワーをトリガーも無しに放ってしまえるのだから、流れが完成したら止まらないデッキと言え、対処できないとそのままゲームセットまで持ち込まれてしまうだろう。
あまりにも的確な教えなので、千聖はこの後大丈夫かが不安になってしまった。現に計算を終わった日菜は爆笑しているし、それを知った彩は予想外過ぎて慌てている。
「さて……準備はできたようだし、そっちのイメージを俺にぶつけて来な!」
「うんっ!まずは『フィナ』の『ブースト』、『セレナ』でヴァンガードにアタック!」
「それはノーガードだ。『ダメージチェック』……」
唯一『ドライブチェック』無しと1ダメージが揃っている攻撃なので、ここはトリガー狙いを行う。
その結果はノートリガーで、貴之はトリガー祈りが確定した状態で4ダメージ目となった。
また、この時彩の手札が4枚以下だったので『セレナ』のスキルで一枚確保する。
「次は……『キャロ』の『ブースト』、『カノン』でヴァンガードにアタック!」
「じゃあここで、俺が使おうとしている『完全ガード』を説明するぞ」
状況としても使うしかないので、ここでそれの案内を行うことにした。
「まずは『
「終わったら退却するんだよね?」
「そこは『ガード』と同じで、バトルが終わったら退却になる」
最低でも二枚手札から消えてしまうので、最後の手段だなと見ていた五人は考えた。現に貴之はもう、次の攻撃を防ぐ手立てが残っていない。
ここで防いだ理由は確率で2ダメージのヴァンガードよりも、確定で2ダメージのこちらを防ぐ選択である。
「じゃあ最後……『ソナタ』で『ブースト』、『ソナタ』でヴァンガードにアタック!」
「ノーガード。さあ、そっちも『ツインドライブ』だ」
貴之の促しに強く頷いて行われた『ツインドライブ』で、彩は見事に二枚とも
「……!効果は全部ヴァンガードに!」
「お見事。ちゃんとイメージを塗り替えられたな……」
イメージ内で彩と『カラフル・パストラーレ』の五人が開くライブを見て、『オーバーロード』は周りの仲間がそれを見たくてしょうがないと言う衝動に駆られるのを感じる。
こちらとしても戦意喪失も同然であった為、手振りで行っていいことを告げ、その直後に『かげろう』の戦士たちがその会場に集まって歓声の声を上げる。
こうして彩は『バミューダ△』の少女たちと共に、争いを一つ鎮めて見せるのだった。
それが終わった後に行われる貴之の『ダメージチェック』は全てノートリガーで、ダメージが6になったので彩の勝利が決まった。
「ダメージが6になった俺は『かげろう』との契約が解除されて、霊体に戻るんだ……」
──耕史さん、また一人先導者が増えましたよ。イメージ内で、自分がしっかりとやれたことに満足しながら貴之は霧散して消えていく。
その姿を見送った彩は、自分のイメージを形どれた理由である『カラフル・パストラーレ』の五人の方へ振り向き、笑みと共に礼を言い、五人の少女も笑顔で返すのだった。
「とまあ、ここまでがヴァンガードファイトになる。どうだった?実際にやってみて」
「最初は覚えること多くて大変だな……って思ってたんだけど、意外に覚えやすかったし楽しかったよ♪後、イメージで動き方が変わっていくから驚いちゃった」
「今回のあれは相当特殊なケースだったからな……」
貴之も普段であれば退却させる際は相手に直接ぶつける形をとるし、ダメージを受ける際も攻撃を直に喰らっている。
故に今回のケースは非常にイレギュラーであった。
「ジブン、最後の方は彩さんとユニットたちの腕が筋肉ムキムキの状態を想像しちゃいました……」
「うわぁ~!アイドルでそれは色々と台無し……って言うか、私も一緒なの~!?」
──ま、まあそこはイメージだからある程度はな……。そうする人もいるにはいることを、貴之は暗に示していた。
実際のところ、筋肉ムキムキの美少女アイドルは想像が難しいところではあるが。
「さて、じゃあ次は日菜の番だな」
「はいはーいっ!それじゃあよろしくねっ!」
最後にありがとうございましたと挨拶をしてから、彩は場所を譲り、日菜とファイトする準備を始めるのだった。
彩のデッキはトライアルデッキ『Schokolade Melody』をブースターパック『Primary Melody』で編集した『バミューダ△』のデッキになります。
久し振りにこのパターンでファイトを書いたのもあって、凄い文字数となってしまったのは本当にすみません。そして、読んでくれた方には重ねて感謝の意を申し上げます。
『Sコール』、『Sライド』に関しては完全に言い方の区別忘れしてたせいで、今回で久々の言い回しになりました(汗)。
後、何気に忘れてましたが『レッドダイブ・グリフォン』がブースターパック『The Heroic Evolution』出身のカードです。
貴之がティーチングファイトする際は、基本的にチュートリアルモード的なレベルのイメージ力に調整しています。普段通りにやっていたらRPGのイベント戦闘のように理不尽なイメージ力差で全てを真正面から叩き潰してしまうので(汗)。
ちなみに、本小説の世界で市販されているスターターデッキの枚数比率ですが……
グレード0……17枚(トリガーとファーストヴァンガードで固定)
グレード1……14枚
グレード2……11枚
グレード3……8枚
となっており、リアルで販売されているトライアルデッキと同じ枚数比率になっています。本小説で彩が使ったデッキは例外で17、10、10、13の比率で非常にグレード3が多くなっています。
また、意外に思われるかもしれませんが、このデッキはリサに使わせようとしたデッキの没案の一つでもあります。彩に使わせた方が適任だろうなと言うのが最大の理由です。
最近になって、バンドリ3期が終わった後にそのまま『
他にも、女の子は肉がしっかり付いてる方が好みと言う方はオススメできると思います。
次回は日菜の初ファイトとなります。