先導者と歌姫 -高みを目指して-   作:ブリガンディ

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俗に言う夏休み編に突入します。まずはRoseliaメンバーによるファイトイベント編を数話に掛けて書いていきます。

ガルパピコでまさかのガチホラーをやるとは思わなんだ……(汗)。きさらぎ駅……線路を歩いたら帰ってこない……前に聞いたことあるぞこれ!?と思ったのは私だけではないはず……。
ちなみにこのネタ、アニメだとガルパピコが初めて使ったアニメ作品になります。本当になにやってんだ……(汗)

ヴァンガードifは櫂の境遇が大分変っていましたね……。詳しくは後書きで記載します。

後、ガルパの☆4キャラ交換券獲得ガチャをまだ回していないので、後で回して来ようと思います。


先導者と蒼薔薇、夏の一時
サマー1 蒼薔薇の挑戦


ガールズバンドによる合同ライブイベント──『ガールズバンドパーティー』が終わってから三日程経ったある日のこと、Roseliaの五人はCiRCLで練習をしていた。

貴之がここでのバイトを終えたので、もうここにはいないことを思い出した友希那が一日目にショックを受けることはあったが、それ以外は特に問題なく普段通りの練習ができている。

最後の通しも行って今日の練習が終わりとなり、片付けと次の予約を済ませて一度出入口をくぐると、リサがとある話しを持ちかけてきた。

 

「週末なんだけど……これに出てみない?」

 

「借りるわね。内容は……『女性限定 ヴァンガード交流大会』……エントリー受付は当日なのね?」

 

鞄から一枚のポスターを取り出してくれたので、それを四人で見させてもらう。

この大会、女性以外は参加できないものの、観戦の都合から会場自体は男性でも入ることができるようだ。

リサはたまにの小休止と、ちょっと趣向を変えたRoseliaでの交流としてどうだろうかと考え、こうして誘ってみたのである。

 

「参加人数の都合でしょうか……?地方大会と比べて、会場が少々狭いようですね」

 

「女性ファイターは全体でも二割いるかどうか、ですから……」

 

会場の場所を調べて見た紗夜の声を聞き、燐子が女性ファイターの人数比を思い出す。

貴之らが講習会で講師をしている時にも参加する人たちの人数比を確認するのだが、大体女性ファイターは二割前後程になるのが殆どであった。

 

「ところでリサ姉、これどこで知ったの?」

 

「これ?実は、昨日のバイト終わりにねぇ~……」

 

あこに問われたので、リサは昨日の出来事を話していくことにした。

 

 

 

 

 

 

 

*   *   *

 

 

 

 

 

 

 

「リサ、今週の週末に女の子だけでの大会があるんだけど、Roseliaのみんなで出てみる?」

 

「へぇ~。そんなのあるんだ……」

 

時間は遡って昨日の昼頃。午前のバイトが終わったタイミングで玲奈から大会のポスターを見せて貰った。夏休みになったこともあり、彼女らは午前中からもバイトすることが可能となったのである。

これを悪くないと思ったリサは、明日皆に話して見ようと思った。

また、この大会は必ず年には一回行われるらしく、玲奈は昨日もクラスの女子たちにCordで連絡して確認を取っている。

連絡を取ったのはいいが、生憎貴之らのクラスにはヴァンガードファイターが少なく、殆ど人がいないという悲しき目に遭った。

 

「教えて欲しいことがあったら言ってね?あたしが無理でも、貴之たちはファクトリーにいるだろうからそっちでもいいし」

 

「ありがとう♪って……玲奈はいいの?なんか参加しなそうな言い方してるけど……」

 

「……うん。あたしは参加を見送るんだ……」

 

リサが聞いてみた理由は、こんな大会を玲奈が逃す訳ないと考えていたからだった。

そしてそれが不味かったのか、玲奈の表情が一気に沈んでいく。

参加しない理由を聞いてみたら、非常に悲しき答えが返って来ることになった。

 

「中学生の頃に一回参加したんだけどね?リサたちみたいに始めて間もない人が記念に……っていうのも多くてさ、全国大会狙って本気でやってる人があたしくらいで、ファイトの結果も一方的になりがちだったんだよ……対戦相手の子も呆然としちゃうパターンが多かったし、それを見た時決めたの」

 

──あたしのせいで女の子が引退するくらいなら、参加を我慢しようって……。涙目になった玲奈を見て、リサはどうやって声を掛けるかに戸惑うこととなった。

 

 

 

 

 

 

 

*   *   *

 

 

 

 

 

 

 

「……と、言うことがあったんだ」

 

「それはもう、玲奈が不憫でならないわね……」

 

あまりにも巡り合わせが悪すぎる──。リサの話しを聞いた友希那たちの結論であった。

しかしながら気軽に参加しやすいのは大きく、この日は元々休みにしていたので、選択の余地がある。

 

「そう言えばあこたち……教えてもらってから時々みんなでやることはあっても、大会には出たこと無いんだったね……。出てみようかな?」

 

「一回くらい、出てもいいかもね」

 

「合間の時間を使えば用意もできますし、大丈夫でしょう」

 

三人が出ると言うなら、友希那も出ようと言い、そのままリサも出ることを決めて結局全員が出ることになった。

と、こうして出ることを決めたのはいいが、一つ問題があった。

 

「燐子はこの前、私も貴之を手伝った時にデッキを組み替えているけれど……あなたたちはまだよね?」

 

『あっ……』

 

流石に大会へ出るのに購入したままのデッキでは厳しいだろう──と言うのが、友希那の考えである。

そうなるとデッキの構築を変えていく必要があるのだが、幸いにも伝手はあるのでこの点は相談がしやすいだろう。

 

「じゃあ、事情を話して聞いてみる?」

 

「それがいいと思います。一応、調べて実践することもできますが……」

 

──直接聞きながらの方が納得もしやすいでしょうし。紗夜の持論には、誰も反対しなかった。実際に一人でやってみて四苦八苦し、最後は貴之に教えてもらっていた友希那は顕著だった。

燐子自身は一人で最後までやっていた身だが、人とのコミュニケーションを取りやすいのがヴァンガードなのだから、この利点を逃す理由はないと後押しする。

一応、デッキの構築手順などが載っているサイト等も調べれば出てくるのだが、採用理由が一言だけで具体的なもので無かったり、構築の具体例が載っていなかったりと不便な物も多く、当たりを探すのに時間が掛かってしまったとは燐子の談である。

なお、調べている時にTubeで貴之らのデッキ構築の呟き見ていたのだが、一番アテにしていたのがこれであり、特に地方大会で採用していた貴之のデッキに至っては、そのバランスの悪さから本人自体が数個の改善案を出している程の徹底ぶりだった。

 

「貴之さん……どういう風に書いてたの?」

 

「具体例は……『クルーエル・ドラゴン』を使ってまで『ウォーターフォウル』の3ターン目『ライド』を狙ったり、二ターン目からグレード3を使った圧力を掛ける意義がない、『ボーテックス・ドラゴン』のデメリットを重く見るなら、それを外して他のグレードのユニットを増やす。手札の確保手段が欲しいなら『エルモ』や『サーベル・ドラゴニュート』を入れて、この時の入れ替え第一候補はスキル発動を狙いづらい『バー』……って感じに書かれてたよ。講習会で自分のデッキを例に上げるのを、文章にした感じかな?」

 

燐子の回答を聞いて、全員が一瞬だけ呆然とする。流石に熟練者は違うと全員して感じたのだ。

また、貴之の挙げていた地方大会のデッキに関しては俊哉たちからも結構ネタにされており、『熟練者が自分で使うこと前提に構築した故の、安易に真似しちゃいけないデッキ代表作』とされている。

この他にも大介のデッキは貴之のようなバランスの悪さはないが、軸が二つあると言う特殊なデッキなので『ヴァンガードに慣れ、変わった戦い方をしてみたい人の見本構築』となっており、これが可能な『クラン』を使うファイターたちからは素晴らしい参考資料として、今でも時々勧められることがある代物だった。

 

「確かに、当時の貴之君はかなり欲張りなデッキを使っていましたね……」

 

「それが今じゃ相当綺麗に整理されたデッキを使うんだから、イメージ力があっても難しいんじゃない?」

 

「ただ……状況次第では似たようなものを使いそうだけれどね」

 

貴之が使う今のデッキは明確にコンセプトを定めているのもあるが、やはり全国大会までのデッキは安定性が欠けてしまっているのは大きく、彼自身も「これをやり続けるのはよくない」と言っていた。

友希那が状況次第と考えたのは、オーナーとの話し合いの下、『自分がやりきったと胸を張って言える』を満たす為にやるかも知れないと言うところからきている。

話している最中に思い出した友希那がCordで貴之にチャットを送り、これからファクトリーに向かうことを返してもらった。

 

「私は行くけど……皆は?」

 

友希那が確認をしたところ全員で行くことになり、昼を取ってから向かうことにした。

 

 

 

 

 

 

 

*   *   *

 

 

 

 

 

 

 

「なるほど……あれに出るのか」

 

およそ一時間後、ファクトリーに着いたRoseliaの事情を聞いた貴之は納得した。確かにファイトの方法は教えたが、デッキの組み方は教えていなかったのだ。

今日いるファイターたちは貴之、俊哉、玲奈、一真の四人であり、残った三人は共に出掛ける予定があったので今日は不参加である。

 

「……あれ?こう言う大会なら逃さないと思うんだけど、玲奈さんは出ないのかい?」

 

「一回参加したことはあるんだけどさ……あたしたちみたいな人が出ていい実力じゃないんだよ……」

 

「なんて言うか……毎度の如く巡り合わせが悪いんだよなこいつ」

 

事情を知らなかったので、一真は気の毒にと思った。こうして玲奈が望みを叶える瞬間はまた一つ潰えるのである。

 

「じゃあそうだな……このデッキから構築を変えていく一例を見せて行くか」

 

ここで貴之が取り出したのは普段使う『かげろう』ではなく、『ロイヤルパラディン』のデッキであった。

それを意外に思う五人ではあったが、今までの彼からして何か明白な理由があることは察している。

 

「俺のデッキの場合、構築済みデッキから見ると『オーバーロード』以外は全部入れ替えたやつだからな……例には上げにくいんだ」

 

残しやすいユニットが存在しないのが例題に上げづらいと判断され、今回は『ロイヤルパラディン』となった。

このデッキの選択自体は四人で審議した結果であり、全員が納得行ったものである為細かい点での心配は必要ない。

また、今回教えるのが一真ではなく貴之であるのは彼も『ロイヤルパラディン』に慣れていることと、Roseliaメンバーとの接点の深さを考えると、貴之が最も適任であったからだ。

実際に編集をする時は皆で教えるが、まずは貴之が一例を……と言う感じである。

 

「まずはこのデッキの内容が分かりやすいように、ユニットごとで分けてっと……」

 

貴之はデッキを開封し、ユニットごとに分けてテーブルの上に置いていく。

これはこのデッキにどのユニットが何枚入っているかを分かりやすくする行為であり、デッキ編集を行う時は必ずこの状態にしてから始めている。

 

「さて、早速問題だが……このデッキで中心になるユニットは何だと思う?」

 

『……『ブラスター・ブレード』?』

 

『ロイヤルパラディン』が選ばれた理由として、いっそ清々しいほど分かりやすいデッキの中心たるユニットがいるからだ。

貴之が何かと『ブラスター・ブレード』と縁が深かった理由として、大きな転換を与えてくれたファイターたちの使っているユニットだったことが一番だが、『ブラスター・ブレード』の採用率が非常に高いことも起因する。

そのユニットを見れば彼女らも何となく察するので、このデッキを選んだのは正解だったと改めて感じる。

 

「そう。次にこのデッキで『ブラスター・ブレード』と組み合わせやすいユニット……『アルフレッド・アーリー』と『うぃんがる』だな。こいつらは『ブラスター・ブレード』と一緒に入れやすいユニットになる」

 

「そっか……『うぃんがる』が『ブラスター・ブレード』のパワーを上げるもんね」

 

「『アルフレッド・アーリー』の方は『ブラスター・ブレード』を呼び、それのパワーを上げる……共に使うことで効果を発揮するから残しやすいのね」

 

分かりやすい例題であるし、前にも一度聞いたことがあったのでおさらいの意味合いも取れることで、彼女らに取っては非常に覚えやすいものだった。

一応、『アルフレッド・アーリー』はファイターの意向次第で別のユニットが入るようになったり、『うぃんがる』は有用なサポートユニットを入れる都合でデッキに残せなくなったりすることもあるが、まずはこの三種類のユニットを軸に考えていいだろうと言える。

ここまでがデッキ編集をする段階で残しておきたいユニットを纏めるところであり、ここから入れ替えを行っていく。

 

「まず最初に自分が使いたいユニットを決めて、入れ替えやすいと思ったユニットと入れ替える形を取っていくのがやりやすいかな……」

 

流石に例がと分かりづらいので、貴之は二種類のユニットを四枚ずつテーブルの上に置いた。

今回は友希那から話しを聞いたので入れ替え用のカードを大量に持って来ており、準備は万端である。

この時に選んだ二種類のユニットは『騎士王 アルフレッド』と、『ソウルセイバー・ドラゴン』の二種類だった。

 

「『ソウルセイバー』の方はもう一個のパターンとして紹介するから後回しにして……今回は『アルフレッド』を使いたいって体で行かせて貰うぜ?」

 

確認を取れば全員が頷いてくれたので、貴之は先に進む。

 

「入れ替える時なんだが、基本的には『使いたいユニットと同じグレードのユニット』がデッキバランスも崩さないで済むからやりやすいな。今回の場合は『アルフレッド・アーリー』と『スタードライブ・ドラゴン』だな」

 

その二種類のユニットを見せてもらったが、先程までの流れからして『スタードライブ』が入れ替え候補なのだろうと察しが付く。

確認して見れば当たりであり、理由は『アルフレッド・アーリー』とは違って『ブラスター・ブレード』と組み合わせることで効果を発揮するユニットでは無いし、『アルフレッド・アーリー』と比べてスキルがリアガードでしか使えないことがマイナスであった。

ちなみに『スタードライブ』のスキルは、リアガードにいるこのユニットが相手ヴァンガードにアタックした時、自分のリアガードが三枚以上ならそのバトル中はパワープラス5000と言うスキルであり、グレード3のユニットにしては物寂しい効果であった。

 

「デッキ変えたことのある二人は、自分がどうして使いたいユニットと『スタードライブ(こいつ)』のポジションにいるユニットを入れ替えたかは覚えてるか?」

 

「うん。私の場合は『メイガス』の名前が付いていないからで……」

 

「私の場合は……今入れ替えられた『スタードライブ』と大体同じ理由だったわ」

 

だから『スタードライブ』を全く見かけないのだろうと、友希那は改めて実感した。

ちなみに友希那の持っている『シャドウパラディン』のデッキで最初に入っていたユニットは、『ディクテイター』以外には『撃砕の騎士 ダマン』が存在していた。

悲しいことにこの『ダマン』も『スタードライブ』と全く同じスキルを持っており、基本的に『ライド』することになるグレード3がリアガード用のスキルしか無いのはどうなんだとなり、外すことになっている。

 

「ちなみに俺が当時購入したデッキにも、『スタードライブ』と同じポジションに『クレステッド・ドラゴン』がいたんだが……当時は切り札になる『ウォーターフォウル』と入れ替えになった」

 

同じポジション……と聞くだけでも非常に悲しい存在であることを察してしまった。貴之が何度探しても大会での歴代採用者数がたった一人で、しかもデッキにたったの一枚しか入っていないのが涙を誘う。

しかもこのユニットを採用していたのは本当に初期の頃であり、まだユニットの揃いも良くない頃だったので、今このご時世ではもう採用するのはほぼ不可能だろう。

ちなみに『クレステッド』のスキルは『スタードライブ』のスキルとほぼ同じで、条件が自分のリアガードではなく相手のリアガードになり、三枚以下の時に発動できる。

 

「一先ずグレード3に関してはこれでいいとなれば、次はその他のグレードになるんだが……俺はまずここを入れ替えたいな」

 

「えっと、『堅強の騎士 ルノリア』……?これ『守護者(センチネル)』なのに……って、あれ?確か、貴之さんが使ってる『バリィ』って……」

 

「察しがいいな……あれは(ドロー)トリガーを持つユニットだからな……(ドロー)トリガーを持つ『まぁるがる』も一緒に入れ替えだ」

 

あこが気づいた通り、四人は(ドロー)トリガーのユニットを『守護者(センチネル)』としても採用していた。

これを行う最大の理由は、(ドロー)トリガーを素で引いてしまった時の痛手を解消することと、場に出しやすい『ノーマルユニット』の数を増やし、選択肢を増やす目的がある。

なお、一部のデッキはいっそ清々しい構築の都合上、グレード1に『守護者(センチネル)』を()()()()()()()()()()と言う事態も以前はあったが、最近はそれも解消されおり、依然としてグレード1に『守護者(センチネル)』を宛がう必要性は薄れている。

 

「今回新しく入れる(ドロー)トリガーは『イゾルテ』。グレード1は……このデッキなら場にユニットを出しやすいし『ライオンメイン・スタリオン』を入れてみるか」

 

「あら?このユニットって、確か『アルフレッド』の……」

 

「ああ。彼の愛馬だよ」

 

『アルフレッド』がこのユニットに乗っているようなユニットだったのを思い出した友希那が聞いてみると、やはり正解であった。

ちなみにこのユニットのスキルは自分のリアガードが四枚以上なら、パワープラス3000と言うシンプルながらも『ロイヤルパラディン』の特色をよく表しているユニットでもあった。

 

「後は、『スタリオン』のことを考えるとユニット展開を補助できるのが欲しいな。丁度そのスキルを持っている『アレン』はそのまま残すとして、後変えるならグレード2の『ギャラティン』と『文武の賢者 ジャーロン』、グレード1の『オースピス・ファルコン』だろうな……」

 

「その中だと、『ギャラティン』は比較的悩ましいわね……」

 

『ギャラティン』はスキルを持たない代わりに、グレード2では貴重な『シールドパワー』10000を持つユニットであった為、ここは最も好みが出るところである。

何しろあの一真ですら『ギャラティン』を残す選択を取っていたのだから、その悩ましさが表れている。

一方で『オースピス・ファルコン』の方は、スキルでリアガード二体のパワーをプラス5000できるのは魅力だが、これの発動条件に自身を『レスト』することと、『カウンターブラスト』が必要なので非常に扱いづらいユニットとなっている。この為このユニットは扱いづらさから入れ替え候補としてよく上がっているらしい。

また、『ジャーロン』のスキルは『スタードライブ』のものと全く同じではあるが、こちらはグレード2なのでまだ残しやすい。

 

「デッキのことを考えると、ヴァンガードにいる『ブラスター・ブレード』のスキル発動や、『スタリオン』のスキル発動を狙いやすくなる『ミスリルの召喚術士』なんかは入れやすいな……。今回はユニットのスキルによる連携を狙いたいから『ジャーロン』を残して『ギャラティン』を入れ替えるぞ」

 

貴之自身も全国大会まではその『シールドパワー』で強気に『インターセプト』をしやすいことから、『ギャラティン』と同じ立ち位置の『ラーム』を採用していたが、『グレート』を使う決断をした時はスキルの組み合わせを重視して外している。

ここまで変更を加えれば、後は思いつき次第微調整になり、一先ずのデッキは完成となった。

 

「とまあ、こんな感じでデッキは完成だ。細かいところまで行くと各トリガーをどれだけ入れるかになるけど……これは『ゴールドパラディン』を使う紗夜が一番意識しておいて欲しいところだな」

 

「……私ですか?」

 

紗夜が使う『ゴールドパラディン』は、五人の中では唯一(フロント)トリガーが使用可能な『クラン』であり、これによって非常に自由度の高いトリガー配分が用意できるのだ。

ダメな例の典型ではあるが、(クリティカル)トリガーと(フロント)トリガーを八枚ずつ入れると言う、極限までの攻撃重視な構成すら可能である。

 

「……流石にそれは、リスクが大きすぎるのでやりませんよ?」

 

「紗夜さんも、(ヒール)トリガー無いのは怖いですよね……」

 

(ヒール)トリガーが無いと言うのは、ダメージを余り貰いにいけないことも意味しており、戦い方が非常に窮屈になってしまう危険性も孕んでいる。

こんな大きすぎるデメリットから、(ヒール)トリガー無しで戦うファイターは誰一人として存在せず、その能力の強さからデッキに四枚までしか入れることを許されないのにも納得できた。

 

「まあ基本はこんな感じだ。んで、後は『ソウルセイバー』を使う場合のパターンなんだけど、この場合は『ブラスター・ブレード』の重要性が下がるデッキになるから、この場合は『ソウルセイバー』を中心に考えて行くといいな……『ソウルチャージ』をしやすい『ぽーんがる』や『ふぁねるがる』を増やしていって、余裕があるかどうしても入れたいなら初めて『ブラスター・ブレード』を入れる形になる……」

 

「お互い相性が悪いもんね~……結衣も結構無茶やってるって言ってたし」

 

『ブラスター・ブレード』の能力自体は高いので、結衣のように軸の中心にならずとも入れると言う人は出てくる。要はそれ程使い勝手のいいユニットと言う証拠でもある。

貴之も一度『ブラスター・ブレード』を残す前提で組んで見るが、先程とはガラリとデッキ内容が変わり、『アルフレッド・アーリー』と『うぃんがる』が外れていた。

自分たちは最初に作った『ブラスター・ブレード』を主軸に添えたパターンのデッキに近い思想で組んでいくことになるが、『ソウルセイバー』を軸に組んだデッキもあることを頭の隅に入れていおく。

 

「何か分からないことがあったら教えるから、遠慮なく聞いてくれ。それから……」

 

──三人にはこいつもプレゼントだ。そう言って貴之は入れ替え用のカードを入れている場所から、各人の『クラン』に合わせたユニットのカードを差し出した。

貰ってもいいのだろうかとも思ったが、理由としてはいきなり一人でやろうとすると金銭的な面と時間的な面で難しいのがあるし、これらのユニットが自分よりも彼女らの手元にあるべきと判断したことが大きい。

 

「……あれ?アタシのは枚数少なめだね?」

 

「ああ……リサが勝った『ネオネクタール』のデッキは他のより少し新しいやつでな……ちょっとだけいいユニットが最初から使われてるんだよ」

 

つまるところ、リサは他の四人より若干の得をしていたのである。

デッキ構築の楽しみが減ってしまう可能性があるのは寂しいところだが、悩み過ぎないでいいのはちょっと嬉しいところでもあった。

今度作りたい構築が見つかったら自分でやってみよう──。そう思いながら、デッキ構築が始まっていく。

 

「なるほど……この組み合わせなら、手段が増えますね」

 

「やっぱりそのユニットを使う以上は狙いたいもんねぇ……。方法が増えるだけでも狙いやすくなるよ」

 

紗夜は自分の主軸が登場させる流れに持っていける手段を増やす方向を選んだ。今回彼女を玲奈が見ているのは、同じ『アクセル』を持つ『クラン』を使用しているのが大きい。

 

「最初は全てが四枚ずつでしたね……ただ、この構築では、(クリティカル)トリガーを効果的に使うのが難しく思えます……」

 

「『ゴールドパラディン』は一気に展開していくタイプだし、そう言うことなら(フロント)トリガーを増やしていいかもね。それか、手札消費の激しさを無視できないなら(ドロー)トリガーを増やすかな」

 

『ペイルムーン』は確かに手札を使う方ではあるが、流石に『ゴールドパラディン』や『ノヴァグラップラー』程急速に使って行くわけでもないので、ある程度は平気である。

また、何も使わないなら一気に減らす必要もなく、どこかが六枚に増える代わりに、減らした場所が二枚になっててもいいことは忘れずに伝えた。

それを聞いてトリガー枚数を試行錯誤してみるが、流石にこんな短時間で上手く行くものでも無かった。

 

「こう言う場合はファイトしながら……がいいのでしょうか?」

 

「そうだね。取り敢えず今はこれだけ使いたいかな?って思うトリガー配分にして、ファイトを何回かやって試行錯誤して行こう」

 

試行錯誤した結果、様々なトリガー配分が生まれる。現在は貴之と一真が二人して同じ配分であることから、『アクセル』の『クラン』以外は(クリティカル)トリガー八枚、(ドロー)トリガー四枚、(ヒール)トリガー四枚の組み合わせで戦う人が多いものの、この(クリティカル)(ドロー)の配分が反対になっていたり、均等にしている人だっている。

だからこそ、ここは紗夜もファイトをしながら考えて言ってほしいところであり、それを承知してもらえたことで紗夜は現段階でのデッキを完成させた。

 

「効果的に狙いたいからその準備をしやくしたのはいいけど……むぅ~。どっちにするか迷っちゃうなぁ」

 

「フィニッシャーとして使う時、どっちの方法がいいかで選ぶといいかな……どっちを選んでもそのユニットのスキルによる恩恵は貰えるしね」

 

あこの方は使いたいユニットが固まっていたので、準備や連携を行いやすいユニットを中心に構築していけば残りはフィニッシャー選択だけになっていた。

一真は今自分が勧めた方法以外にも、双方を数枚ずつ入れて、使い分けられるようにする方法もあることを教える。

なお、あこの担当が一真になったのは消去法の結果であり、一真自身が彼女ら五人と一番縁が浅いので自分が変に決めるよりはと思っていたので、問題にはなっていない。

 

「ただその場合、どこかのグレードにいるユニットを一枚減らす必要があるかな……一番支障をきたさないようにするなら、このユニットを一枚減らして、それで残りはその二種類を入れれば大丈夫だと思う」

 

「そっか……!パワーはある程度なら無理矢理補えるし……ありがとうございますっ!」

 

こうしてあこのデッキは無事完成となり、後はファイトして確かめていく形になるだろう。

 

「トリガー配分での長所と短所が変わってくると思うんですけど、一例を聞いてもいいですか?」

 

「なるほど……まずは構築済みデッキで使われているトリガー配分をなんだけど」

 

あこたちの向かい側でトリガー配分を変えようかと考えていた燐子から質問が来たので、一真は答えていく。

構築済みデッキで使われているトリガー配分は打点重視とも言えるタイプのトリガー配分であり、相手にダメージを与える量を増やしやすいのが長所であるが、手札補充は少しだけ遅れやすいのが短所であった。

ただ、元々ヴァンガードと言うゲーム自体が『ドライブチェック』によって手札補充を狙いやすいので、実質的にバランス型と言えるこのトリガー配分は、特にこれと言った配分を決めていない場合や、パワーを稼ぎにくいから(クリティカル)でリターンを増やしておきたいと言うデッキで使いやすくなる。

 

「白金さんが使ってる『オラクルシンクタンク』も、軸次第では後者の理由でこの配分を使いたくなる『クラン』ではあるんだ……後は、山札の確認でトリガーを狙いやすい都合上、(クリティカル)トリガーでのリターンを狙いやすいから、このトリガー配分はかなり使いやすいと思う」

 

「確かに……言われてみればそうですね。」

 

ちなみに、燐子は(クリティカル)トリガーと(ドロー)トリガーを六枚ずつにしようかと悩んでいたので、それの特徴を聞いてみる。

こちらは(フロント)トリガーを使えない『クラン』の中ではバランス型のトリガー配分であり、打点と手札補充のバランスの良さが長所になるが、これと言った強みが無いのが短所となる。

このトリガー配分は、俊哉が使う『ディメンジョンポリス』のようにスキルで打点が稼げる分少し手札補充に回したい場合や、貴之が使う『ドラゴニック・オーバーロード』のようにスキルで手札を消費してしまう分を少し補いたい場合に採用されやすい。

 

「中には(クリティカル)トリガー12枚とかいう極端なトリガー配分もあるけど、それは手札が何枚以下ってスキルを使うから()()()()()()()()()()デッキにした人がやる配分になる」

 

「そうなんだ……なら、今はこのままで良さそう。ありがとうございます」

 

自分がデッキを組み替える時は、新しい軸を使いたくなった時だろうと燐子は思った。

 

「貴之がやってた『ボーテックス』を一枚だけ入れるってやり方……結構難しいよね?」

 

「ファーストヴァンガードを省いたら引ける確率49分の1ってのがな……けど、引けたらラッキーくらいで行くなら全然アリだ」

 

リサが悩んでいるのはとあるユニットを入れたいが、そんなに多く入れたい訳ではないが使えたら嬉しいので一枚だけ入れようかと考えていたが、それはそれで引ける確率が落ちてしまうことだった。

引けないと困るので最低限で二枚入れたいと言う考えもあるが、『ボーテックス』のように多めに入れるとデメリットが大きいから一枚と言う選択も出てくる。

しかしながら、リサが入れようとしているのは『ボーテックス』のように大きなデメリットやリスクがあるわけでもないので、二枚は入れてもいいだろうと言える。

ちなみにリサのことを俊哉が見ているのは、一真程ではないが消去法で辿り着いた結果である。貴之が友希那を見るのは確定的で、紗夜のことを見るのは『クラン』的に玲奈が向いていた。

 

「グレードのバランスもあるし、一枚だけならその二つのユニットの内どっちかを三枚に減らす。二枚入れるなら他のグレードのユニット一つを追加で一枚減らす……そうすればそのユニットは入るよ」

 

「なるほど……いきなりバランス変えるのも危なそうだし、まずは一枚にしてみようかな……ありがとね♪」

 

こうしてリサも方針が決まって組み替えが終わる。トリガーに関しては『プラント・トークン』による展開力もあるのでこのままで行く方向にした。

 

「今の私は、前の私と比べてかなり変わったと思うから……少し悩んでいたの」

 

「なるほど……確かに、今のお前だとこっちの方が合ってる可能性は出てくるな」

 

友希那は貴之に付き添って貰う形でもう一度デッキが売ってある場所を見ていた。

この時に目を付けているのが『ロイヤルパラディン』のデッキで、仲間内を大切にするようになった自分と、この『クラン』の仲間と共に戦う方針が合っているように思えている。

使うのであれば『ブラスター・ダーク』に近しい『ブラスター・ブレード』のデッキを考えているが、もう一つ考えていることがある。

 

「けれど……『シャドウパラディン』の彼らを見捨てるかと言われれば、それも違う……そうしたく無いと思っている自分がいるわ」

 

「確かに、そう言う考え方も大切だ。今回はそれができないから使い分けるっていう方法で二つのデッキを使いっていくことになるけど、一緒に使える方が友希那の悩みは解決できる」

 

これは一真が抱いていた『PSYクオリア』に近しいものがある。友希那のは対象がユニットだけなので、そこまで思いつめなくていいことは幸いである。

友希那がこのような悩みを抱けている理由が分かっている貴之は、彼女がそう言う人で良かったと思わず頭を撫でていた。

 

「……貴之?」

 

「ああ、悪い悪い。その悩みを抱けるのは、友希那が優しい子だって言う証拠だから忘れないで欲しい」

 

「もう……おだてたって何も出ないわよ?」

 

貴之から優しい言葉を──それも褒め言葉だと嬉しくなって照れた笑みを浮かべる。

流石に『クラン』を変えてもすぐに使いこなせるとは思えないので、使ってみるのは今回参加する大会が終わってからにして、一先ず今使っているデッキを調整してから大会に望むことを選んだ。

 

「さて、一番は『ファントム・ブラスター・ドラゴン』をどうするかだろうな……使わないならこっちが選択肢に出てくるが……」

 

「そうね……もう少し使って見ようと思うわ。一回で諦めるのは早すぎるから……」

 

貴之は友希那が『ファントム・ブラスター・ドラゴン』を使った時のことを知っているので、使わないならと言う選択肢も紹介した。

しかしながら、友希那が使う選択を取ったので今回は無しとなり、それに合わせたデッキ構築を行う。友希那は明確にトリガー配分を変えようとは思っていなかったので、一先ずはこのままにしておく。

こうして一先ず全員のデッキが組み上がったので、これにてデッキ構築の講義は終了となり、後は皆してファイトしながら確かめていく形になる。

 

「俊哉君、相手をお願いしてもいいですか?」

 

「分かった。そう言うことなら手伝うよ」

 

五人である以上一人が空いてしまう。そんなこともあって、紗夜の頼みを承諾する。

そうと決まれば早速ファイトの準備を始めるのであった。




Q.どうして玲奈は参加させないの?
A.メタなことを言うと、彼女が出たら優勝が丸わかりになるんでダメです(無慈悲)

そんなわけで玲奈はまたもや女の子とのファイトが出来ずじまいになります……

Q.リサのデッキに後発デッキの設定があるのは何で?
A.Vシリーズでは『ネオネクタール』のカードは『ULTRARARE MIRACLE COLLECTION』から出始めたのだが、先導アイチ編の『ネオネクタール』がここしかないと言う事実があったから。

次のパックへ行こうとするともう新右衛門編なのですが、そっちで行こうとすると一人だけ総入れ替えに近いレベルでデッキ編集するから、まだ初心者のリサがやるのは早いだろうと感じました。

貴之は今回、トライアルデッキ『先導アイチ』を、ブースターパック『結成!チームQ4』に出てくる『ロイヤルパラディン』のカードで編集することで実践してみせました。

ヴァンガードifにおける櫂の境遇ですが、これを整理すると……
・アイチと出会っていない+シュカちゃんが『ブラスター・ブレード』を持って行ってしまっている(アイチの記憶に関しては封じられている可能性有り?)
・両親と共に暮らしており、非常に多趣味になっている面があり、性格が小学生時代の明るさを持ってそのまま成長する
・使用している『クラン』は小学生時代から引き続き『ロイヤルパラディン』だが、同時にファイターとしての性分が薄れている
・↑ファイターの性分が薄れ、明るい性格となった理由として、本来は『両親が自分を置いて金を盗ってそのまま逃げる』のが無くなり、代わりに『親が社長になっている』=櫂は『他にもやりたいことがあるなら、やらせて貰えるだけの余裕がある』。

この為、ギターやアメフトをやっていたらヴァンガードのことを忘れかけていた……と言うことになるのでしょう。こうなるとレンやテツとも出会わない世界線にもなりますし、櫂が『かげろう』を使う理由も無くなりますね。彼の両親がクソッタレなことをしなかったのがここまで響くとは……。
にしても櫂が無茶苦茶爽やかでビックリしましたよ……(笑)。ついでに言えば、『デスアーミー・ガイ』だろうユニットを妨害する理由がただのイケメンと化していましたね

次回は俊哉と紗夜で編集したデッキ同士のファイトになります。

本章完了後に読みたいのはどっちですか?どちらを書くかでNFOイベントを書く順番が変動します

  • アニメ1期OVAの海イベント
  • 夏にゆらめく水の国
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