元踏み台転生者物語   作:サクサクフェイはや幻想入り

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第二十七話

「ユーリ、行きなさい!」

 

そうイリスが言うのと同時に、ユーリと呼ばれた金髪の少女がこちらに突っ込んでくる。 速度は大したものだが、見切れない速さではない。 ただ厄介なのは、あのディフェンサーみたいなものだな。 なのはのフォーミュラカノンの砲撃も完璧に防ぎきっている。 ただ気になるのは、俺の斬撃は完璧に回避を選んでいる。 俺の力が解析できないため操っているイリスがそう選択しているのかは知らないが、確実に俺が剣を振るえば距離を開けている

 

『なのは、少し負担が大きくなるが聞いてくれるか?』

 

『なに、理樹君』

 

なのはの方にユーリと呼ばれた少女を行かせないように牽制しつつ、なのはに念話をする

 

『コイツ、俺が攻撃しようとすると距離を離すだろう?』

 

『うん。 私の攻撃はディフェンサーみたいなので防ぐけど、理樹君の攻撃特に剣で切りつけようとする攻撃は必ず距離をとるね』

 

どうやらなのはも気が付いていたようで、俺の言いたいことが分かっているらしい

 

『距離を離さないように砲撃の密度を濃くすればいいんだね?』

 

『もしそれをしてなのはのところに行くようなら、俺の援護をしようとはせずに退避を選んでくれ』

 

『大丈夫。 理樹君を信頼してるから。 だから、理樹君も思いっきりやって!』

 

その言葉を行動で示すかのように、砲撃だけでなくシューターも使い始めるなのは。 心なしか、なのはの体がさっきよりも発光しているような気がするが

 

「信頼、ね。 ならそれに応えなくちゃな!」

 

俺も速度を上げ、これまで以上にユーリと呼ばれた少女に接近戦を仕掛ける。 それが分かったのか、それとも多少の被弾を覚悟したのかユーリと呼ばれた少女もこちらの懐に飛び込んでくる。 腕を伸ばしてこちらをつかもうとするが、それを勢いよく蹴り上げそのままの勢いを利用し回転しながらディフェンサーのようなものを一枚切り裂く。 爆発と同時に煙が上がるが、それもなのはの砲撃によって吹き飛ばされる。 なのは狙いに切り替えたのかなのはの方に高速で飛ぶが、横から進行方向をふさぐ形で剣を刺しこむ。 その際ディフェンサーのようなものを巻きこみ、残り二枚。 そこになのはの砲撃が直撃する。 なのはの魔力とフォーミュラによって威力のあげられたそれは、ユーリと呼ばれた少女を巻き込み大爆発を起こす。 これで倒れてくれればいいのだが、それほど甘くはないだろう。 体を駆け巡る不快感が強くなる

 

「あぁ...... あああああああ!!」

 

「なに、アレ......」

 

「わからん、分からんがあのユーリって子の意思じゃないことは確かだろう」

 

おぞましいほどの魔力が解放され、ユーリと呼ばれた少女の周りに赤黒い稲妻が落ちる。 横目で別の場所で行われてる戦闘を見れば、全員がこちらを見て驚いている。 その中で、イリスは薄く笑っていた。 アイツ、これが何かを知ってるみたいだな。 今すぐにでも捕縛して聞きたいところではあるが、ユーリと呼ばれた少女から目を離すのは危険だ。 実際、白かった衣装は赤く染まり、瞳の色も変わり始めている。 変化はそれだけではない

 

「っ!? みんな!?」

 

はやての悲鳴のような叫び声が上がりそちらを見れば、耐性があった守護騎士やフェイト・テスタロッサ達までも先発隊と同じ様な状況になり始めていた。 それどころか、海からも棘のようなものが現れ始めていた。 もちろん、俺の体からも

 

「っ!? 理樹君!!」

 

なのはの声がやけに遠く感じると思えば、物理的に距離を離されていた。 見れば、金色だった瞳は緑色になり、衣装は完全に赤くなり、文様まで浮かび始めたユーリと呼ばれた少女に頭をつかまれなのはから距離を離されていた。 目を離したのがいけなかったな。 冷静に分析しながら、念話で指示を飛ばす

 

『はやて、リインフォース。 お前らは守護騎士とフェイト・テスタロッサ、それともう一人を安全圏まで離脱させろ。 ノイズがひどいが、結界の外は被害が出ていないらしい。 だから結界の外へ』

 

『何言ってるんや!そんな状態じゃ理樹君も!』

 

はやての言う通り、甲冑越しとは言え直接触れられているためか、これまでより浸食スピードが速い。 体内からの魔力放出では間に合わず、身体から棘が生え始めていた。 そんな状況ではあるが

 

『誰かがやらなければならない。 俺はまだ大丈夫だが、長引けば守護騎士やフェイト・テスタロッサは死ぬぞ。 いいか、お前らは怪我人を連れていったん撤退だ』

 

『了解した。 必ず戻ってくる、それまで持ちこたえてくれ』

 

『はいよ』

 

駄々をこねるはやてを連れ、リインフォースは撤退を始める。 さて

 

『戦力は大きく減ったわけですが、イリス捕縛に問題はありますかアミタさん?』

 

『その状況、大丈夫なんですか!?』

 

『大丈夫じゃないですけど、アナタ方でこの子と戦えるんですか? フォーミュラがあるにも関わらず、少し浸食を受けていたでしょう?』

 

実際、フォーミュラを搭載しているはずのなのはですら少し浸食を受けていたのだ、ありえないとは言い切れない。 事実なのか、それ以上アミタさんが何か言ってくることはなかった

 

『それで、捕縛に問題は?』

 

『・・・・・・して見せます』

 

『なら、そちらはよろしくお願いしますね』

 

これで状況は整ったわけで、いい加減この輸送も辞めさせないとな。 被害をいたずらに増やすだけだし。 そう思い、ユーリと呼ばれた少女の腹を思いっきり蹴り上げる。 輸送は止まったが、蹴った感触がどうにもおかしい。 人を蹴った感触ではなく、クッションを蹴ったような感触。 たぶん、あふれ出る魔力が衝撃を完全に殺したようだ

 

「理樹君!」

 

「・・・・・・なのはか」

 

かなりのスピードで輸送されていたはずなのだが、なのはが追い付いたようだ

 

「正直に言えばこっちの戦闘はかなり危険だ、出来れば向こうのイリス捕縛の方を頼みたかったんだが」

 

「もう、一人は嫌だから。 私も一緒に戦う」

 

なのはの瞳は不安そうに揺れていて、だからだろうか

 

「なら、頼む」

 

そう頼んでしまった

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