ボッチのハンドレッド使い   作:リコルト

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入学式その2

 

 

如月ハヤトside

 

 

ピンクの髪をした女子生徒、黒髪の女子生徒、金髪の男子生徒と順番にひとり、またひとりと、リディさんから名前を読み上げられると、壇上に上がってエリカさんから三角形のバッジを貰っていく。それにしても最初の三人、何だか俺やエミールより年上な雰囲気があるんだよな。気のせいか?

 

 

「どうやら呼ばれているのは、試験の成績順が低い順からのようだな」

 

 

式が中盤に差し掛かった頃に、レイティアが小声でぼそりと呟いた。

 

 

「どうしてそんなことが分かるんだ?」

 

 

そう言って俺はレイティアに訊ねた。

 

 

「外に紙が張り出されていたんだ。途中、何人か飛ばされているが、次に呼ばれるのはわたしの筈だ」

 

 

レイティアがそう言った時、リディさんはレイティアの名前を呼んだ。本当だ。レイティアは得意げそうに舞台に歩きだした。すでに新入生の半分以上が呼ばれているため、彼女もかなり成績は優秀な方だろう。

 

 

「残っているのは俺達ぐらいだな」

 

 

「そのようだね。ハヤトが最後なのは分かっているから、あとは僕とフリッツぐらいだね」

 

 

エミールとフリッツがそう話していると、リディさんは舞台からフリッツの名前を呼んだ。

 

 

「どうやらお前の方が上だったみたいだな。じゃあ、行ってくるわ」

 

 

エミールにそう言い残して壇上に向かうと、女性陣から黄色い歓声が巻き起こった。

 

 

それもそのはず、美しい金髪に長身。そして、甘いマスク。彼がモテるのは俺も十分に理解できる。

 

 

「そういや武芸科って、男臭い名前の割りには女の方が多いんだよな……」

 

 

試しに見渡すと、俺の周りには俺やエミールやフリッツを含めても新入生の5分の1ぐらいしかいない。

 

 

「年々男性の割合は殖えているとは言っても、ハンドレッドが強く反応するのは女性の方が多いらしいからね。僕達は珍しい存在なんだよ」

 

 

「つまり、ハンドレッドが反応する学生を集めると、女の方が多くなるってことか」

 

 

「ハヤトはそっちの方が嬉しい?」

 

 

「そりゃまあ、男だらけでむさ苦しいよりは嬉しいけどな」

 

 

「ふぅん、ハヤトも男の子なんだね」

 

 

「男の子って、お前もそうだろ」

 

 

「まぁ、そうなんだけどさ」

 

 

そう言ってエミールが曖昧な笑みを浮かべていると、舞台から不機嫌そうな様子でレイティアが戻って来た。

 

 

「……何かあったのか?」

 

 

「そんなの決まっているじゃないか。レイティアはフリッツが女の子達にモテモテなのが気にくわないんじゃないかな」

 

 

「おい、お前!余計な事を言うなっ!」

 

 

「ごめんごめん、って、次は僕だね」

 

 

エミールとレイティアが話していると、リディさんはエミールの名前を読み上げた。

 

 

「凄いな………」

 

 

俺が思わず呟いたのはエミールが舞台に向かって歩き出すと、フリッツの時と同じくらい黄色い歓声が講堂を満たしたからだ。

 

 

「何を言ってるんだ、お前の時の方が凄い事になるぜ」

 

 

舞台からエミールと入れ替わりで戻って来たフリッツが俺にそう話す。

 

 

「そんなことあり得ないって」

 

 

だって、フリッツみたいに長身でもなければ、エミールみたいにかわいい感じではない。いたって平凡と言いたい所だったが……

 

 

『次、如月ハヤト!』

 

 

「ほら、行ってこいよ」

 

 

俺はフリッツに背中を押されながら舞台に向かって歩きだした。すると、新入生からは黄色い歓声というよりはどよめきである。明らかにフリッツ達とは違う。

 

 

(本当に注目されてんだな、俺……)

 

 

俺に向けられる眼差しは尊敬や羨望だけではない。ライバルとして敵視する者もいれば、嫉妬のような突き刺さる目で見る者もいる。正直居心地が悪い。

 

 

俺は前にバッジを貰ったエミールとすれ違って、そのまま舞台の方に上がる。

 

 

「……あなたが如月ハヤトですか」

 

 

エリカさんの目がまるで品定めをするかのような目で見ていた。その視線に戸惑いはしたが、特に何事もなく、エリカさんは俺にバッジを渡してくれた。そのまま俺は自分の座席に戻った。

 

 

その後、プログラムとして教員の紹介が行われた。ただ、その大半は二十代ぐらいで、三十代以上は数名しかいない。ハンドレッドの開発などはここ最近のもののため、関係者は比較的若いと聞いていたが、これほどとは。

 

 

教員の紹介が早々に終わると、リディさんが再びマイクの前に立った。

 

 

『続いて、このリトルガーデンの艦長であり、生徒会長ー武芸科として、女王の座に就かれているクレア様からのご挨拶となります』

 

 

次はリトルガーデンの総責任者の挨拶か。そういえばクレア様ってレイティアも話していたような……

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

(如月ハヤト……クレア様を破る程の武芸者ですか。正直あまりそうには見えませんでしたが、悪意を持ってこの学園には来ていないため警戒はしなくて良いでしょう。問題は比企谷先輩が話していたあの三人ですね。彼らをしばらく観察していましたが、リディが比企谷先輩の話題を出してざわめいた瞬間、彼らだけは不愉快そうな表情でした。それにバッジを渡した時もあの雪ノ下雪乃という生徒はまるで、私の方が年上だと言わんばかりな態度でした。あなたが自ら来たのでしょうに。ひとまず彼らは警戒が必要ですね………)

 

 

 

 

 

 

 

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