ボッチのハンドレッド使い   作:リコルト

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長らくお待たせしました。八幡の復活です。


警護日和

 

 

八幡side

 

 

『ハンドレッド・オン』

 

 

泊まっているホテルで簡単な身支度をして、ハンドレッドを起動する所から俺の警備生活が始まる。

 

 

ハンドレッドを起動すると、普段のようにヴァリアブルスーツやプロテクターが現れず、まるで黒服を纏ったような戦闘には似合わない姿になる。

 

 

何故ハンドレッドを起動しているかだと?

 

 

俺のハンドレッド、今まで話していなかったが、正式名は『影を纏う者(シャドウ・メイクアップ)』。それは戦闘時に影を通してプロテクター等の防具や武器を自分の戦いに合わせて顕現、変えることができ、ハンドレッドの効果範囲なら影を操ることも出来る俺だけが使えるハイブリット型ハンドレッドだ。実際その全貌を知るのはクレア達生徒会メンバーとジュダルとエミールとシャロ、サクラぐらいだ。大抵の人はハンドレッドの形からシューター型と勘違いする。

 

 

そして、その性能は戦闘面だけでなく、日常的な面でも活躍する。俺のハンドレッドで作る影の防具はセンスエナジーの量で変わる時はあるが、思った以上に耐久力が高い。おそらくだが、生半可な防弾チョッキよりは数倍優秀だと思う。そのためサクラをボディーガードをするときはハンドレッドを起動して普通の私服の上から羽織るように影の防具を周りの黒服の男達に合わせて着ている。これがあれば万が一襲われても銃弾ぐらいなら俺は無傷でいられる。

 

 

またこの行動にはもう一つメリットがあり、それは普段から影を操る能力が使えることだ。使いすぎるとセンスエナジーがなくなり、大事な時に使えなくなるためにあまり使いはしないが、影で人を拘束したりするのには便利だからな。

 

 

さて話が長くなったが、サクラのボディーガードが始まって数日、リトルガーデンの入学式が有った今日はというと…

 

 

 

 

 

 

 

「ハチマン、あの飲み物が飲みたいわ」

 

 

「了解だ。すいません、これください」

 

 

サクラのライブを明後日に控えていて、リハーサルは明日行われる。今日はサクラがライブ前に息抜きが出来る最後の日である。そのため今日はサクラの希望を尊重してツヴァイ諸島の繁華街にやって来ていた。

 

 

俺はサクラが飲みたいと言っていた苺風味のドリンクを車販売のおじさんに一つ注文すると、すぐに出てきた。

 

 

「少し待ってな」

 

 

俺はそのドリンクにストローを刺して一口飲んでみる。別にアイドルの物を変態のように飲もうとしているわけではない。毒味のためにやっているだけである。万が一毒殺などが有ったりなんかしたら困るからな。

 

 

「うん、大丈夫だ。じゃあ……」

 

 

毒味を終えて、特に何もなかったため、俺はストロー引き抜き、新しいストローに替えようとすると……

 

 

「もーらい!」

 

 

「お、おい!」

 

 

サクラは俺からドリンクを奪い取り、俺が使ったストローに口をつけてドリンクを飲んでしまった。

 

 

「うん、美味しいわ!」

 

 

「あ、あのサクラさん……ストロー……」

 

 

俺はサクラが急にドリンクを奪い取るとは予想外で、まさか間接キスするとも思わなかったためかなり動揺している。俺達から少し離れて監視をしている他の警備もざわついている。やめて!俺が一番恥ずかしいの!

 

 

「あら。間接キスのこと?あれは私が狙ってやったことよ。別に良いじゃない」

 

 

「自覚あるのかよ。だったらやめておけよ。ほら、俺達ってまだ付き合っていないし……な?」

 

 

「え?付き合っているでしょ?私とハチマンってお互い同じ家で過ごした仲じゃない」

 

 

「恋人みたいに同棲してるように言うなよ。幼い頃、スフレさんも含めて家族のように過ごしただけだわ!」

 

 

本当にその発言は危ない。ただでさえ、明後日にライブがあるからサクラのファンも多いのに。まぁ、一応俺はともかく、サクラは変装してるから大丈夫かな。

 

 

「ハッハッハー!君達、お互い仲の良いカップルじゃないか!ほら、彼氏さん、サービスだ」

 

 

すると、俺とサクラの会話を面白そうに見ていた車販売のおじさんが俺に無償でドリンクをサービスしてくれた。ドリンクの色は黒っぽいからコーラだろうか。

 

 

そうだ、確かツヴァイ諸島は上空から見ると、ハートの形をした島となっていてカップルの観光客に人気な場所だったな。カップルに店員が優しいのも何となく頷ける。

 

 

「ほら、店員さんもカップルって言っているじゃない。さぁ、向こうで一緒に飲みましょう」

 

 

俺はサクラに手を繋がれ、サクラにされるがままに連れていかれる。それにしてもあの店員さん、サクラはともかくとして俺には気付いていないのだろうか。

 

 

 

 

……………………………………

 

 

 

…………………………………………………………

 

 

 

「そういえば今日はリトルガーデンの入学式だけど、ハチマンが興味のある人物っているの?」

 

 

椅子に座ってジュースを飲みながら、サクラが俺に訊ねた。

 

 

「そうだな……如月ハヤトっていう男子生徒かな。武芸者の素質が非常に高い。もしかすると、俺をいつか越えるかもしれないな」

 

 

「そんなことはないわよ。ハチマンは私の一番の武芸者だもの。もう少し自信を持ちなさい」

 

 

あらら、説教されちまったな。それでもサクラにそう言って貰えるだけでも嬉しいものだ。

 

 

「今頃、もう入学式は終わっているだろうな。何事もなければ良いんだが」

 

 

「それってハチマンをいじめたあの三人のこと?確かにハチマンが目当てで来たなら何かありそうかも」

 

 

「ああ、何かやりそうだが、さすがに入学式では事件は起こさないだろ。一応、常識はあるし」

 

 

 

その後、八幡とサクラは今年のリトルガーデンの新入生について色々と話しながらゆっくりと彼ら二人だけの休日を楽しんだ。

 

 

 

だが、八幡の予感は悪い意味で的中し、クレアが新入生の如月ハヤトと決闘することを知り、ホテルに八幡の大きな声が響くのはこの数時間後の話である。

 

 

 

 

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