八幡side
ツヴァイ諸島の一件からもう1ヶ月か。葉山達に絡まれたり、サクラのライブに使われるヴァリアブルストーンを奪った密猟者達の捕縛の依頼など色々あったな。
ちなみに今はというと………
「はぁっ!」
「ふっ!」
リトルガーデンの生徒会の特別顧問として如月達武芸科一年の実践練習の授業中である。葉山達を除いてな。
「行くよ!レイティア!」
「勿論だ!エミール!」
「ついでにこれもだ!」
俺と如月が刀同士でつばぜり合いをしていると、右方から槍を構えたエミール、左方から拳型の武装で殴りかかろうとするレイティア、ハヤトの後ろから銃を俺に構えるフリッツの姿を視認する。
俺が何をしているかだと?見ての通り1対4の模擬試合だが。成績トップのこの四人が相手でも別に負ける気はないぞ。観客席にいる他の生徒は唖然としているけど。
「そらっ!」
俺は如月の武装であるブレードを弾き、如月から離れてレイティアとエミールとフリッツの攻撃をかわす。
「やるな。良いチームワークだ」
「いや、その四人がかりのチームワークをなに食わぬ顔で捌かれてもですね……」
「フリッツの言う通りだよ……」
「いやいや、そんな落胆するなよ。特に個人的な面からしたらフリッツとレイティアの二人はかなり評価してるんだぞ」
「そうなのか!?」
俺がそう言うと、レイティアが目を輝かせながら嬉しそうに俺に訊ねた。
「ああ、二人は如月やエミールと違って専用のハンドレッドを使わなくても如月達に合わせたスペックでチームワークが出来ている。セレクションズの加入も夢ではない。そうなれば、セレクションズの特権でお前達の専用のハンドレッドも作られるだろう」
「よっしゃ!!」
「やったな、フリッツ!」
戦いの最中だが、フリッツとレイティアは玩具を与えられた少年のように喜んでいる。まぁ、ハンドレッドの原材料であるヴァリアブルストーンは価値が非常に高く、自分用に作って貰えるとなれば確かに普通の人は嬉しいだろうな。
「さて、喜んでいる所悪いが、そろそろ授業も終わりの時間だ。もし俺のこの技を初見で避けられたらレイティアとフリッツは今からセレクションズの加入をクレアに頼んでみよう」
「よっしゃー!レイティア頑張るぞ!」
「絶対にかわす!」
うんうん、元気は十分だな。
「ハチマン先生ー。僕とハヤトはー?僕達にもご褒美が欲しいんだけど?」
「あ?あー……特に無いな」
エミールもご褒美が欲しそうに訊ねるが、別にお前らには必要ないだろ。セレクションズに入っているわけだし。
「えっ!?それはちょ「まぁ、腕試しが出来ると思え。じゃあ、行くぞー」
俺はエミールの言葉を無視して、銃型のハンドレッドにシャドウフルボトルを差し込む。
「フルチャージ。
俺が銃を構えてトリガーを引くと、銃口から黒い光弾がまるで人魂のように不規則に如月達の方に飛んでいく。
「うわっ!?何だこれ!?」
初見の如月が驚くのも無理はない。何故なら、その弾をブレードを斬ろうとしたら光弾は分裂したり、すり抜けたりしたからだ。
「ハヤト!後ろ!」
「えっ?なっ!?」
エミールの警告を受けて如月が後ろを振り向くと、光弾が如月の後ろに迫っており、如月はそれへの対応が遅れて背中に爆発音と共に被弾する。
「エミール、人を助ける暇は無いぞ」
「くっ!ぬわっ!?」
ハヤトの方を向いていたエミールは正面から来る光弾に如月と同じように被弾する。
逆サイドを見ると、やる気満々だったフリッツとレイティアはすでに被弾しており、二人一緒に倒れていた。
やれやれ、初見にはやり過ぎたか………
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授業が終わると、武芸科一年生達が俺や如月やエミール達を取り囲み、ハンドレッドの扱いやアドバイスを聞きに来たりしていた。如月のようにハンドレッドを扱って戦えるのは武芸科一年の二割、武装として変形出来るのが三割、残りの五割が武装として変形は出来ないが、ハンドレッドを何かしらの形に変えられる者である。だからこそ俺や如月のようにハンドレッドを扱える者は生徒からも一目を集めている。
今、如月に訊ねている入学式に遅刻をした女子生徒の二人、ノア・シェルダンと
一通り落ち着くと、俺は如月にある話をするため如月を大きな声で呼んだ。
「何です?比企谷先輩?」
「ああ、実はお前にセレクションズとしての個人的な依頼が来ていてな。すまないが、次の授業は休んで俺と生徒会長室に来てくれないか?」
「別に大丈夫ですけど……」
「よし、ならついてこい」
俺は如月にそう言って如月を生徒会長室に連れていく。エミールも誘って欲しそうな顔をしてたが、これだけは如月にしか言えない内容でな。
それにしてもサクラはよくあんな方法で如月達にサプライズをするよな。