ボッチのハンドレッド使い   作:リコルト

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歌姫の警護

 

 

八幡side

 

 

「クレア、入るぞ」

 

 

「し、失礼します」

 

 

俺が生徒会長室に入ると、如月も俺の後に続くように生徒会長室に入ってくる。緊張しすぎだ。

 

 

生徒会長室に入ると、中央にある豪勢な机の椅子に座るクレアと側付きの少年、クリスがいた。

 

 

「来ましたわね、お待ちしておりましたわ」

 

 

「如月様、比企谷様、お久し振りです」

 

 

クレアは椅子に座りながら淡々と挨拶をし、対してクリスは召し使いのように深く会釈する。

 

 

「あの……比企谷先輩からセレクションズとして俺に依頼があると言われて来たんですけど」

 

 

詳しい事情を伝えられないまま、ここに連れてこられた如月がクレアに訊ねた。

 

 

「そうですわ。まず、来週ツヴァイ諸島に接岸することは貴方もご存じですわよね?」

 

 

「はい、確か滞在期間は四日間でその間はリトルガーデンの生徒は島に出入り自由だと……」

 

 

そう、如月の言う通りリトルガーデンはツヴァイ諸島の西側の島、ウエストランドに接岸し、滞在期間である四日間はそこから生徒達はツヴァイ諸島を出入り自由なのだ。そのため、今リトルガーデンの生徒達は観光気分で盛り上がっている。

 

 

停泊の理由は物資の補給もあるが、もう一つの大きな理由としてツヴァイ諸島政府の方々が俺達に助けてもらった恩返しをしたいそうだ。

 

 

「ええ、それで滞在期間の最終日である月曜日の祝日にツヴァイ諸島で霧島サクラのライブが仕切り直されるそうなのです」

 

 

「霧島サクラってたしか……」

 

 

そう言って如月は俺の方を見る。まぁ、確かに俺を見るのも仕方が無い事か。

 

 

「ハチマン?もしかして先日のクライアントについて如月ハヤトに話しましたの?」

 

 

「クレア、そんなに睨むなって。別にもうこの話を聞いている以上、隠さなくても大丈夫だろ」

 

 

「まぁ……そうですが」

 

 

「じゃあ、ここからは俺が話そう。霧島サクラがもう一度ライブをする理由は被災したツヴァイ諸島でいわゆるチャリティーライブをするためだ」

 

 

「チャリティーライブですか」

 

 

まぁ、リトルガーデンがツヴァイ諸島に接岸する情報を聞いて、サクラが予定表に強引にチャリティーライブをぶちこんだのは俺とスフレさんの秘密である。もちろん如月ハヤトとその妹にサプライズで会うためにな。

 

 

「ああ、ライブのチケットを買った人達はもちろん、ツヴァイ諸島の住民やリトルガーデンの人も無料参加のライブなんだが、少し問題があってな」

 

 

「問題ですか?」

 

 

「警備がちょっと心配でな」

 

 

それを聞いて如月は疑問を覚えた表情をする。

 

 

「えっ?でも比企谷先輩が霧島サクラの警護をしているんですよね?何も問題は……」

 

 

如月がそう言うと、ずっと俺と如月のやり取りを聞いていたクレアが如月にある話をした。

 

 

「そうですわね。確かにハチマンが警護として一人いれば心強いでしょう。ですが、実はツヴァイ諸島にはまだサベージが潜んでいるのです」

 

 

「サベージが!?」

 

 

一般生徒には明かされていないサベージの存在の話を聞いて如月は大きな声で驚いた。

 

 

「ああ、あの時宇宙から飛来したサベージの総数は七体だったんだ。その内の三体は俺達が倒し、一体はフランソワ軍が倒したんだが、残りの三体が行方不明なんだ」

 

 

「それにツヴァイ諸島で密猟者(ハンター)の存在が目撃され、今回のライブにも現れる可能性があるのです」

 

 

「密猟者?」

 

 

クレアが先程話した密猟者という単語に如月は聞いたことが無いという表情をしたので、俺は如月に軽く密猟者について説明する。

 

 

「国連やワルスラーン社といった公的な組織に属さない武芸者やその集団の事だ。簡単に言うとテロリストみたいな奴等だな。で、一週間前ぐらいに俺はその三人組の密猟者達と戦ったんだ。俺が不在だった日があっただろ?」

 

 

俺が如月に訊ねると、しばらくしてその出来事を思い出し、うんうんと頷く。

 

 

「強かった……ですか?」

 

 

おそるおそると如月が俺に訊ねた。

 

 

「ああ……この依頼自体が他言無用だから関係者の如月には話すが、かなり強かったな。しかも、全員がヴァリアントだから一回じゃ戦力も確実に計れない」

 

 

「全員がヴァリアント!?」

 

 

「貴方が驚くのも無理はありませんわね。私もハチマンからそれを聞いた時は驚きましたわ。ヴァリアントによる密猟者集団なんて私は聞いた事がありませんもの」

 

 

もちろん、俺でも聞いた事がない。会った時の驚きは今でも忘れられないと思う。

 

 

「一応、普通の警備の人は前回のライブの数倍の数は配備したが、武芸者も警備に必要だと思ってな。それも並外れた強さの。そこで如月が霧島サクラの追加の警護に選ばれたわけだ」

 

 

俺はそう言って如月に対して指を指す。まずは如月がこの依頼を受けないとサクラのサプライズは始まらない。お願いだ、引き受けてくれ。サクラの機嫌を直すのかなり大変なんだ。

 

 

「も、もしかして依頼って霧島サクラの警護の事だったんですか?そ、そんなの俺だけで大丈夫なんですか?エミールとかも……」

 

 

「いや、確かに如月を警護に選んだのは《LiZA》とサクラの警護をしてきた俺の判断もあるが、霧島サクラが警護として選ぶなら如月だけだと指名があったんだ」

 

 

どうだ?俺としても如月だけに警護をやらせる都合が良すぎる理由を思わず話したが、怪しすぎたか?

 

 

「……分かりました。相手のクライアントが俺を指名している以上やります」

 

 

やり過ごした~!!?いや、少しは疑えよ!

 

 

「……良い返事です。では、詳細はハチマンを通じて後日報告させて頂きます。休暇が消える代わりに給金が出ますからそこは覚えておいてください」

 

 

「あとは出来るだけ如月の希望を叶えるが、何か欲しい物とかあるか?可能な限りはするぞ」

 

 

「……でしたら、ライブの時に………」

 

 

 

 

 

 

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