ボッチのハンドレッド使い   作:リコルト

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感動の再会

 

 

八幡side

 

 

唐突なサクラの来訪にカレンちゃんは目を丸くして未だに状況を掴めてなさそうだ。まぁ、いきなり自分の好きなアイドルがやって来たら普通驚くよな。

 

 

「あ…あの、これって……夢ですか?」

 

 

「いいえ、夢じゃないわよ。ほら」

 

 

そう言ってサクラはカレンちゃんの近くのパイプ椅子に座り、彼女の頬を軽くつねった。

 

 

「痛い……じゃあ、これは現実なんですね!」

 

 

サクラにつねられた頬を軽く手で擦りながら、カレンちゃんは状況を理解した。その表情は俺が見たことが無いくらいとても嬉しそうだった。

 

 

カレンちゃんがこの唐突な状況を理解したようなので、俺は彼女にサクラが来た理由を話した。

 

 

 

……………………………………

 

 

………………………………………………

 

 

…………………………………………………………

 

 

 

「………というわけだ」

 

 

「なるほど、私のために……」

 

 

ふぅ、カレンちゃんは物分かりが良くて助かる。おかげで俺も説明がしやすかった。

 

 

「で、カレンちゃんは私のサインが欲しかったのよね?全然大丈夫よ。ハチマン、色紙」

 

 

「はいよ」

 

 

俺はあらかじめ準備していたサイン色紙とペンを懐から取りだし、サクラに渡した。サクラはそれを受け取ると、カレンちゃんに向かい、ペンを走らせる。

 

 

「はい、どうぞ。ちゃんと《如月カレンちゃんへ》って書いたわよ」

 

 

「あ、ありがとうございますっ!」

 

 

そう言ってカレンちゃんはまるで家宝を扱うかのように緊張しながら色紙を貰うと、彼女は目を丸くした。

 

 

何故なら、そこには如月カレンちゃんへという文字に加えて『久方ぶりの再会に』という文字が書かれていたからだ。

 

 

サクラと如月兄妹の関係を知っている俺からしたら、納得のメッセージである。一方、カレンちゃんとその兄もそのメッセージに未だに困惑している様子だった。

 

 

「このメッセージって、どういう……」

 

 

サクラを見ながら、カレンちゃんは訊ねた。

 

 

「それはね、こういう事よ」

 

 

カレンちゃんに訊ねられると、サクラはカレンちゃんも歌っていたあの歌を歌い始めた。俺もよく知るサクラの亡き母親から教わった彼女のお気に入りの歌だ。

 

 

「おい、これって……」

 

 

「サクラさん、どうしてその歌を……」

 

 

「そのメッセージに書いてある通りよ。この歌を教えたのは私なの。第二次遭遇時のグーデンベルグでね」

 

 

「「っ!!?」」

 

 

第二次遭遇、グーデンベルグ、そしてこの歌、この3つのピースにより困惑していた如月兄妹もまるで何かを確信したような驚いた表情を俺達に見せる。

 

 

「うそ……じゃないですよね」

 

 

「嘘じゃないわ」

 

 

サクラは微笑んで、カレンちゃんに話し続ける。

 

 

「実はあらかじめハチマンには貴方達の調査をして貰っていたの。ツヴァイ諸島でサベージと戦っていたハヤト君に興味が湧いてね。私もね、びっくりしたわよ。あのグーデンベルグの時の兄妹が貴方達だもの。その歌が証拠よ。ハチマンに何か聞かれなかった?」

 

 

「そう言えば……初めて私の所に比企谷先輩が来た時、この歌について……じゃあ、あの時から」

 

 

その通り。俺もあの歌を聞いた時は驚いた。もしかすると、あの時にカレンちゃんが歌ってくれなかったら、如月兄妹の正体について確信出来なかったかもしれない。

 

 

「あらためて……久し振りね、二人とも」

 

 

サクラが残した歌がまるで運命かのように十年近くの時を経て再会を果たした瞬間であった。

 

 

 

………………………

 

 

 

…………………………………………

 

 

 

…………………………………………………………

 

 

あれからサクラ達三人はあの第二次遭遇を振り返ったり、ここ最近の近況について時間一杯話していた。まぁ、話題がない俺はただ時間を気にして眺めてる事しか出来ないけどな。

 

 

「そう言えば……サクラさんと比企谷先輩ってかなり親しげですけど……」

 

 

予定的に話す時間もギリギリとなった事をサクラと如月に伝えようとすると、カレンちゃんが俺に訊ねた。

 

 

別に隠さなくても良いか。逆にここまで情報を共有する程仲が良いと不自然に思われるし。

 

 

「ああ、実は俺とサクラは家族なんだ」

 

 

「ええっ!?サクラさんと比企谷先輩が!?」

 

 

「まぁ、信じられないかも知れないけどな」

 

 

そう言って俺は如月兄妹に俺とサクラの関係を話した。俺とサクラはヴァリアント同士なので、詳しい経緯はカレンちゃんがいるこの場では話せなかったが、孤児同士の仲だと説明すると、二人は理解してくれたようだ。

 

 

「へぇー、名字が違いましたからサクラさんと比企谷先輩が家族だとは気付きませんでしたよ」

 

 

「そりゃ、世間には話していないからな。この事を知っているのはあまり居ないぞ」

 

 

後、如月兄妹以外に知っているのはシャロとスフレさん、後は陽乃さんに、生徒会の三人位だな。身近にいる人達だとそのぐらいだろう。

 

 

「サクラ、そろそろ……」

 

 

「ハチマン、分かったわ。それじゃあカレンちゃん、ライブの時にまた会いましょう」

 

 

「はい、サクラさん!」

 

 

 

こうしてサクラが計画していたサプライズは無事に成功した。カレンちゃんも喜んでいたし、如月も幼馴染み効果のせいか先程より緊張がほぐれている。

 

 

だが、一番嬉しいのはサクラだろう。歌手を始めたきっかけとなる大事な人に会えたのだから。

 

 

だが、如月ハヤト。お前にはサクラのサプライズにもう少し付き合ってもらうぞ。お前には俺達と同じ境遇同士、いつか話さなくちゃいけない事があるんだ。

 

 

 

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