八幡side
「じゃあ八幡君、後はよろしくね」
「分かりました。総督達との会談にはサクラを確実に間に合わせるので」
俺がそう言うと、スフレさんを乗せたハイヤーは音を立てて、ホテルの敷地から出ていった。
「それじゃあ、時間も無いわけだし、早くホテルに入るわよ。二人とも」
そう言って俺の後ろにいるサクラは俺と如月に早く来いと言わんばかりに俺達の手を引っ張った。
まったく……時間が無いのはサクラのせいだろ。
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あれから俺達は名残惜しくもカレンちゃんと別れ、当初の予定にあったツヴァイ諸島の総督達の会談に向かおうとしていた。
だが、その前にサクラがホテルでシャワーを浴びたいと言う事なので、総督達の会談を行う会場に行く前に経由する形でサクラが泊まるホテルに一時的に滞在していた。
「ふぅー、サクラが好きな飲み物はこれだよな」
そんな限られた時間の中で、俺は何をしているのかと言うとホテルの自販機でドリンクを買っていた。
ツヴァイ諸島は南国であり、時期は夏に入ろうとしている頃である。熱中症とかになったら大変だからな。
ちなみにサクラの警護は如月に任せている。サクラの部屋に盗聴機や隠しカメラが無いことはすでに確認しているし、俺が居ないのもほんの数分だ。大丈夫だろう。
そう思いながらサクラの分のドリンクと俺と如月の分のドリンクを手に持ってサクラの部屋に戻ろうとする。
それにしても如月にはセレクションズとして警護の依頼は早かったか?まぁ、こういうのは慣れだしな。いつかは警護だけでなく他の依頼もこなせるようになるだろう。
後輩である如月の成長を想像しながら、俺はサクラの部屋の近くまでやってくると………
「きゃあぁぁぁぁぁ!!!!」
サクラの悲鳴が俺の耳に入ってしまった。
それを聞いて俺は急いでサクラの部屋まで戻ろうとする。おいおい、しっかり確認はした筈だぞ。まさか、あの密猟者か!?それとも………
色々な悲鳴の原因を頭の中で色々と模索していると、俺はサクラの部屋の前まで辿り着いた。
「サクラ!何があった!?」
俺はドアを開けてサクラがいる筈のお風呂場に向かった。そこで俺が見たのは………
「ひ、比企谷先輩、その………」
申し訳なさそうに俺を見ている如月と生まれたままの姿で尻もちをついて倒れているサクラだった。
「はは……如月君、これはどういう事かな?」
そう言って俺は如月にハンドレッドを構える。
「えっ…!?あ、あの、比企谷先輩?」
「まさか、セレクションズの中に裏切り者がいたとはな。サクラの裸が見たいがためにこのような行動をしたわけか。エミールには悪いが、即刻始末しなければ」
「えー!?ご、誤解ですって!」
「問答無用だ」
お互いが幼馴染みなのは分かる。だが、数十分前に俺は如月にサクラは身内だと話した筈なんだが。俺がいない間に身内の裸を見るとはいい度胸だ。
俺と如月があれこれとやり取りをし、俺が如月に対して引き金を引こうとすると………
「もぉ~!二人とも、早く出ていきなさい!」
「「っ!?」」
俺と如月のやり取りの中で、ずっと空気だったサクラが大きな声を出して俺達をお風呂場から追い出した。
「痛てぇ………」
そうか……サクラはまだシャワーの途中だったのか。これは悪いことをした。
あの後、お風呂場からサクラが俺に事情を話してくれた。なんだ、サクラがお風呂場で滑ったのを心配になった如月がお風呂場に向かった時に俺に出くわしてあのような状況になったのか。
これは俺の落ち度だな。本当にすまないと思う。如月には詫びとしていつか飯に連れて行かなきゃな。